説明

歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステム

【課題】本発明は、カラオケ装置に搭載されて歌唱時の音声から声年齢を評価する歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムに関し、何ら特別の操作も要さずに歌唱者の声年齢の若さの程度を表示させることで継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させることを目的とする。
【解決手段】声紋認証手段51が入力した歌唱音声から声紋を解析し、歌唱者情報取得手段52がデータベースより対応の利用者の少なくとも実年齢情報を取得する一方で、声年齢特定手段53が当該歌唱音声より抽出された物理的特徴量から声年齢リファレンス56を参照して歌唱者の声年齢を特定し、年齢比較手段54が当該歌唱者の実年齢情報と当該声年齢とを比較して差分評価の結果を評価結果表示制御手段55が所定のタイミングで表示部41に表示させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置に搭載されて歌唱時の音声から声年齢を評価する歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケ装置は種々の機能を備えるようになってきており、例えば歌唱採点や全国的なランキングを決定するものが出現し、歌唱者の年齢を推定することも提案されている。一方で、継続的な歌唱やカラオケ利用が望まれ、さらなる継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させることが望まれる。
【0003】
カラオケ利用者にとっては、自分の歌唱音声の声年齢が幾つくらいであるのかは非常に興味を引くところであり、このような歌唱音声から声年齢を評価する技術や話者の発声音声から性別及び年齢を認識する技術が例えば下記特許文献で開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−047673号公報
【特許文献2】特開平10−055195号公報
【0005】
上記特許文献1は、カラオケ歌唱者の歌唱音声から当該歌唱音声の物理的特徴量の一つとしてのフォルマント周波数を抽出し、これに基づいて歌唱者の年齢を推定し、当該推定年齢を用いて運勢を表示させる等の種々のサービスを提供し、或いはカラオケ演奏を制御するというものである。また、上記特許文献2は、不特定の話者が発声した音声から性別や年齢を識別することを目的として、性別及び年齢の特徴が基底分布で表現される隠れマルコフモデル(HMM)を用いて、不特定話者の音声における音素の識別情報を多く含む低次元のパラメータから第1の音素HMMのセット(モデル)を音声の物理的特徴量として作成すると共に、第1の音素HMMのセットの性別及び年齢毎を表現しているパラメータに基づいて第2の音素HMMのセット(モデル)を作成しておき、入力される発声音声に対して当該第1及び第2の音素HMMセット(モデル)から話者の性別及び年齢を認識するというものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献等の技術を含めて通常の発声音声や歌唱音声から声年齢を認識することが可能であるが、何れも声年齢のみを対象としており、各特許文献のように声年齢のみを表示させてもカラオケのグループ利用の場合には歌唱者以外の利用者にとっては歌唱者の実年齢を知らないと歌声の若さの程度がわからず、周囲の利用者へのサービス効果が薄くなるという問題がある。一方で、実年齢自体や実年齢を推定できる内容で表示させることとすると、歌唱者のプライベートの面で好ましくないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、何ら特別の操作も要さずに歌唱者の声年齢の若さの程度を表示させることで継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させる歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、利用者IDで管理される利用者毎に少なくとも声紋情報及び実年齢情報が登録されたデータベースにアクセス自在であり、少なくとも表示部を備える歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムであって、歌唱音声入力手段、声紋認証手段、歌唱者情報取得手段、声年齢特定手段、年齢比較手段及び評価結果表示制御手段を有するものであり、前記歌唱音声入力手段は、歌唱者による歌唱楽曲の歌唱音声を入力し、前記声紋認証手段は、入力した前記歌唱音声から声紋を解析し、前記歌唱者情報取得手段は、前記解析された声紋に基づいて、前記データベースより対応の利用者の少なくとも実年齢情報を取得し、前記声年齢特定手段は、前記入力された歌唱音声に基づいて物理的特徴量を抽出し、当該物理的特徴量に基づき予め作成された声年齢リファレンスより歌唱者の声年齢を特定し、前記年齢比較手段は、当該歌唱者の前記取得した実年齢情報と前記特定した声年齢とを比較して差分を評価し、前記評価結果表示制御手段は、前記年齢比較手段での差分評価の結果を所定のタイミングで前記表示部にて表示させる、構成とする。
【0009】
請求項2の発明では、歌唱される一の歌唱楽曲を複数の利用者が歌唱した場合に総ての歌唱者に対して前記差分評価の結果を表示させる構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力した歌唱音声から声紋を解析してデータベースより対応の利用者の少なくとも実年齢情報を取得する一方で、当該歌唱音声から抽出された物理的特徴量から声年齢リファレンスを参照して歌唱者の声年齢を特定させ、当該歌唱者の実年齢情報と当該声年齢とを比較した差分評価の結果を所定のタイミングで表示させる構成とすることにより、何ら特別の操作も要さずに歌唱者の声年齢の若さの程度を表示させることができると共に、歌唱を長年に亘り継続している人は声帯や腹式発声に基づく腹筋が鍛えられ、張りのある若々しい歌声を保つことが多いことに鑑みて、利用者全体に対して実年齢と相対して若々しい歌声を維持することの興味を引かせて継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムを位置付ける構成説明図を示す。図1(A)は通信ネットワークを使用して本システムを構成させた場合のネットワーク模式図、図1(B)はホスト装置の概要ブロック構成図、図1(C)は顧客データベースの説明図である。図1(A)において、ホスト装置11は歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムの一部を構成するものとして、通信ネットワーク12を介して所定数のカラオケ演奏端末13(13A〜13N)を管理するものであり、相互にデータ授受自在に接続されたものである。上記通信ネットワーク12としては、例えば、一般公衆電話回線やこれを用いたADSLや光通信回線或いはインターネット、さらにはLANがあるが、インターネット上に構築されるVPNが好ましい。
【0012】
ホスト装置11は、図1(B)に示すように、少なくとも送受信手段21、制御手段22、データ処理手段23及び顧客データベース(DB)24を備える。上記送受信手段21は、各カラオケ演奏端末13(13A〜13N)との通信(データ授受)を行うために、通信ネットワーク12の通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成される。上記制御手段22は、当該ホスト装置11を統括的に制御するもので、例えば物理的なCPUであり、図示しないROMに格納されているプログラムのアルゴリズム処理を行う。
【0013】
上記データ処理手段23は、顧客DB24に対して所定のデータを抽出し、変更し、若しくは追加する処理を行うプログラムであり、図示しないRAMに展開されて実行される。上記顧客DB24は、利用者IDで管理される利用者毎に少なくとも声紋情報及び実年齢情報が登録されたデータベースであり、一例として図1(C)に示すように、利用者ID、氏名、セカンドネーム、住所、電話、年齢、性別、職業、登録者の顔写真等のイメージファイル名、声紋データファイル名が関連付けられ、当該イメージデータ及び声紋データは当該顧客DB24中に記憶されているものである。
【0014】
続いて、図2に、本発明の歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムに係るカラオケ演奏端末のブロック構成図を示す。図2に示すカラオケ演奏端末13は、主要装置としてのカラオケ装置30を有するもので、バス31、中央制御部32、ROM33、RAM34、音楽曲出力部35、A/D変換部36、再生制御部37、楽曲DB(楽曲データベース)38、映像DB39、送受信部40及び処理部41を適宜備える。
【0015】
また、当該カラオケ装置30に有線及び無線で外部接続されるものとして、表示部42、ミキシングシステム43、マイク44、スピーカ45を備える。そして、上記処理部41には声紋認証手段51、歌唱者情報取得手段52、声年齢特定手段53、年齢比較手段54、評価結果表示制御手段55及び声年齢リファレンス56が備えられる。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケ装置においても大部分が適用可能であることを示すために、装置全体を説明する。
【0016】
中央制御部32は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM33に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。上記RAM34は、種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0017】
上記音楽曲出力部35は、楽曲コードで楽曲DB38より抽出された演奏データをデジタル再生してミキシングシステム43に出力する電子回路である。上記A/D変換部36は、マイク44より入力される音声信号をデジタル信号に変換してミキシングシステム43に送出すると共に、声紋認証手段51及び声年齢特定手段53に送出する電子回路である。上記マイク44及びA/D変換部36により音声入力手段が構成される。当該ミキシングシステム43は、上記A/D変換部36より入力したデジタル信号の歌唱音声データと、当該音楽曲出力部35より送られてくるデジタル信号の演奏データをミキシングし、アナログ信号に変換すると共に増幅してスピーカ45より出力させるものである。
【0018】
上記再生制御部37は、演奏時に、選択されて楽曲DB38より抽出された楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を当該楽曲の演奏データに同期させて表示部42に出力すると共に、映像DB39より抽出された当該楽曲に対応された背景映像データを演奏データに同期させて表示部42に出力する電子回路である。
【0019】
上記楽曲DB38は、演奏データ(MIDIデータ)及び歌詞テロップデータが同期されて構成される楽曲データ(ファイル)について楽曲コードをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。楽曲データはそれぞれの楽曲の演奏をデジタル的に表現したデータであり、歌詞テロップデータは楽曲データに同期された楽曲の歌詞文字データである。上記映像DB39は、演奏される楽曲に対応した背景映像が、当該楽曲の楽曲コードに対応した映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0020】
上記送受信部40は、上記ホスト装置11と上記通信ネットワーク12を介してデータ授受を行うためのもので、通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。なお、上記表示部42としては、例えば、プロジェクタスクリーン、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等がある。
【0021】
上記処理部41に備えられる声紋認証手段51は、入力した前記歌唱音声から声紋を解析するプログラムであり、RAM34に展開されて実行される。近年、声紋認証は著しく進歩してきており、特別の機材を必要とせずにマイクに入力された音声の時間、周波数、強度をグラフ化することによって指紋のような特徴的パターンを抽出することができるものであり、これに基づいて個人認証を行うことができ、携帯電話などの小型の通信機器に専用チップないしソフトウエアを実装させたインタフェース若しくはスタンドアローンで即座の個人認証を可能としている。このような声紋認証技術として、例えば特許第3422688号公報や特許第3482368号公報に記載されたものが適用できる。
【0022】
上記処理部41に備えられる歌唱者情報取得手段52は、前記声紋認証手段51で解析された声紋データに基づいて、ホスト装置11の顧客DB24より通信ネットワーク12を介して対応の利用者の少なくとも実年齢情報を取得するプログラムであり、RAM34に展開されて実行される。なお、後述の声年齢を特定するにあたり、声年齢リファレンス56において性別をも条件としている場合には、当該歌唱者情報取得手段52は、実年齢情報の他に性別情報をも取得する。
【0023】
上記処理部41に備えられる声年齢特定手段53は、入力された歌唱音声(音声デジタルデータ)に基づいて物理的特徴量を抽出し、当該物理的特徴量に基づき予め作成された声年齢リファレンス56より歌唱者の声年齢を特定するプログラムであり、RAM34に展開されて実行される。当該物理的特徴量は、ここでは前述の特許文献1,2に記載されているものを対象とするもので、単独若しくは組み合わせで適宜設定することができる。なお、音声の物理的特徴量として、他に基本周波数(声帯の振動周期の逆数)や音声波の音圧レベルを対象としてよい。
【0024】
この場合、声年齢リファレンス56には当該物理的特徴量を年齢別、年齢範囲別若しくは年代別のものとし、予め多数のサンプル音声からサンプリングして例えば平均したもの、若しくは範囲として作成されたものを用いる。例えば、平均化された音声の物理的特徴量がリファレンスされている場合に、声年齢特定手段53では比較する歌唱音声の物理的特徴量が声年齢リファレンス56の物理的特徴量に最も近い(最尤)声年齢が選択される。なお、声年齢リファレンス56において、サンプリング時に性別をも条件項目として作成してもよく、男女で声質が類似しても声年齢特定の精度を向上させることができる。
【0025】
上記処理部41に備えられる年齢比較手段54は、歌唱者に対する上記歌唱者情報取得手段52の取得した実年齢情報と上記声年齢特定手段53が特定した声年齢とを比較して差異を評価するプログラムであり、RAM34に展開されて実行される。上記処理部41に備えられる評価結果表示制御手段55は、上記年齢比較手段54での差分評価の結果を所定のタイミングで表示部42に表示させるプログラムであり、RAM34に展開されて実行される。
【0026】
なお、図示しないが、当該カラオケ装置30には、利用者による選択した楽曲の楽曲コードを直接入力するためのものや、演奏楽曲、歌唱音声に対する種々の調節を行うボタンやツマミ類が可変抵抗器等の電子素子に直結された操作パネルも接続され、当該操作パネルはエコーや左右バランス、スピーカ45からの出力音量のボリウム等を備える。ところで、カラオケ演奏端末13をスタンドアローンのカラオケシステムとして適用させる場合には上記顧客DB24を備えさせる構成とすることにより実現することができるものである。
【0027】
そこで、図3に図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の処理フローチャートを示すと共に、図4に図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の表示形態の説明図を示す。図3において、まず、所定の楽曲のカラオケ演奏が開始されると、A/D変換部36において、マイク44から入力された歌唱音声をデジタル変換し、ミキシングシステム43に送出すると共に、声紋認証手段51及び声年齢特定手段53に送出する(ステップ(S1))。ミキシングシステム43では、A/D変換部36より入力したデジタル信号の歌唱音声データと、当該音楽曲出力部35より送られてくるデジタル信号の演奏データをミキシングし、アナログ信号に変換すると共に増幅してスピーカ45より出力される。
【0028】
声紋認証手段51では、上記A/D変換部36より送出される歌唱音声の音声デジタルデータを解析して当該歌唱者の声紋データを特定し(S2)、歌唱者情報取得手段52において、声紋認証手段51で特定した声紋データに基づき、ホスト装置11に対して当該声紋データの合致する実年齢情報を要求し、当該ホスト装置11より当該声紋データに合致した利用者IDより特定される当該実年齢情報を取得する(S3)。取得した実年齢情報は一旦RAM34に記憶される。なお、声年齢リファレンス56において性別をも条件としている場合には、実年齢情報の他に性別情報をも要求して取得し、実年齢情報と共に一旦記憶される。
【0029】
声年齢特定手段53では、上記音声デジタルデータに基づいて物理的特徴量を抽出し、声年齢リファレンス56を参照して当該物理的特徴量で関連付けられている声年齢を特定する(S4)。なお、声年齢リファレンス56において性別をも条件としている場合には、取得した性別情報の条件項目内の物理的特徴量で関連付けられている声年齢を特定する。
【0030】
特定された声年齢に基づいて、年齢比較手段54が当該歌唱者の上記取得した実年齢と、上記特定された声年齢とを比較することで差分を評価する(S5)。そして、評価結果表示制御手段55が上記評価した年齢の差分評価結果のデータファイルを表示制御部37に送出することにより表示部42にて表示させる(S6)。表示部42での表示態様の一例として、図4(A)〜(D)に示される。すなわち、図4(A)〜(D)に示すように、実年齢自体や、当該実年齢を推測できるような表示を行うものでなく、実年齢との差分評価や若さの程度のみを表示するものである。なお、表示のタイミングは、カラオケ演奏後に限らず、演奏中であってもよい。
【0031】
このように、何ら特別の操作も要さずに歌唱者の声年齢の若さの程度を表示させることができると共に、歌唱を長年に亘り継続している人は声帯や腹式発声に基づく腹筋が鍛えられ、張りのある若々しい歌声を保つことが多いことに鑑みて、利用者全体に対して実年齢と相対して若々しい歌声を維持することの興味を引かせて継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させることができるものである。
【0032】
次に、図5に図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の他の処理フローチャートを示すと共に、図6に図5の歌唱声年齢評価による場合の表示形態の説明図を示す。この実施形態は、一の楽曲のカラオケ演奏内で複数の利用者が別々に歌唱した場合として、当該歌唱した総ての歌唱者の声年齢に関する表示を行うものである。この場合、図2における声紋認証手段51は、例えば歌唱区間毎に歌唱者の声紋データを抽出して一旦RAM34に記憶しておき、当該声紋データが前の歌唱区間の声紋データと比較して異なる都度、歌唱者情報取得手段52で歌唱者情報を取得させる処理をおこなうものである。なお、ここでは、性別を条件項目とすることの説明を省略するが、上記同様に適用することができるものである。
【0033】
図5において、まず図3と同様に、所定の楽曲のカラオケ演奏が開始されると、A/D変換部36において、マイク44から入力された歌唱音声をデジタル変換し、ミキシングシステム43に送出すると共に、声紋認証手段51及び声年齢特定手段53に送出する(S11)。声紋認証手段51では、上記A/D変換部36より音声データに基づいて、演奏中の所定歌唱区間で歌唱楽曲の上記入力された歌唱音声の音声デジタルデータを解析して当該歌唱者の声紋データを特定し、一旦RAM34に記憶する(S12)。歌唱者情報取得手段52では、声紋データで特定される実年齢の他に歌唱者の氏名情報を取得する。すなわち、歌唱者情報取得手段52において、特定した声紋データに基づき、ホスト装置11に対して当該声紋データの合致する実年齢及び氏名の情報を要求して取得する(S13)。取得した実年齢情報及び氏名は一旦RAM34に記憶される。なお、声年齢リファレンス56において性別をも条件としている場合には、上記同様に、実年齢情報及び氏名の他に性別情報をも要求して取得し、実年齢情報及び氏名と共に一旦記憶される。
【0034】
そこで、声年齢特定手段53において、上記音声デジタルデータに基づいて物理的特徴量を抽出し、声年齢リファレンスを参照して合致する物理的特徴量に関連付けられている歌唱者の声年齢及び氏名を特定する(S14)。声年齢特定手段53が声年齢を特定すると、特定された声年齢に基づいて、年齢比較手段54が当該歌唱者の上記取得した実年齢と、上記特定された声年齢とを比較することで差分を評価して特定し、歌唱者の氏名と関連付けて一旦RAM34に記憶する(S15)。
【0035】
声紋認証手段51では、歌唱区間毎に歌唱者の声紋データを解析して特定し、RAM34に記憶したそれまでの声紋データと比較することで歌唱者の変更を判定する(S16)。異なる声紋データの場合には(S17)、S13に戻り、S14〜S17のように歌唱者情報取得手段52がホスト装置11より当該歌唱者の実年齢及び氏名の情報を取得し、声年齢の特定、比較評価をカラオケ演奏終了まで繰り返す(S18)。
【0036】
そして、カラオケ演奏が終了すると(S18)、評価結果表示制御手段55が記憶した一のカラオケ演奏内で歌唱した総ての歌唱者の上記特定した年齢の差分評価の結果及び氏名のデータファイルを表示制御部37に送出することにより表示部42にて表示させるものである(S19)。表示形態としては、一例として図6に示すように、歌唱した総ての歌唱者の声年齢評価を列挙させるものである。なお、表示はカラオケ演奏中であってもよい。
【0037】
このように、一のカラオケ演奏内で複数の歌唱者が歌唱しても、何ら特別の操作も要さずに歌唱者毎に歌唱者の声年齢の若さの程度を表示させることができると共に、利用者全体に対して実年齢と相対して若々しい歌声を維持することの興味を引かせて継続的な歌唱を喚起させ、カラオケ利用を喚起させることができるものである。
【0038】
ところで、上記各実施形態では、歌唱者情報取得手段52が歌唱中に声紋認証手段51で解析して特定した声紋データに基づいてホスト装置11より当該歌唱者の利用者IDに関連づけられた実年齢情報等を取得する場合を示したが、当該歌唱者情報取得手段52においてログオン時などで予め利用者IDカード等で利用者IDを取得し、ホスト装置11より実年齢情報や声紋データ等を取得してRAM34においてもよい。この場合、歌唱中に声紋認証手段51で特定された声紋データに基づきRAM34に記憶しておいた声紋データと比較して現に歌唱している歌唱者の利用者ID及び実年齢情報等が特定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムは、少なくとも表示部を備えるカラオケ装置の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムを位置付ける構成説明図である。
【図2】本発明の歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムに係るカラオケ演奏端末のブロック構成図である。
【図3】図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の処理フローチャートである。
【図4】図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の表示形態の説明図である。
【図5】図2のカラオケ演奏端末による歌唱声年齢評価の他の処理フローチャートである。
【図6】図5の歌唱声年齢評価による場合の表示形態の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
11 カラオケホスト装置
13 カラオケ演奏端末
24 顧客DB
30 カラオケ装置
41 処理部
42 表示部
51 声紋認証手段
52 歌唱者情報取得手段
53 声年齢特定手段
54 年齢比較手段
55 評価結果表示制御手段
56 声年齢リファレンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者IDで管理される利用者毎に少なくとも声紋情報及び実年齢情報が登録されたデータベースにアクセス自在であり、少なくとも表示部を備える歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムであって、
歌唱音声入力手段、声紋認証手段、歌唱者情報取得手段、声年齢特定手段、年齢比較手段及び評価結果表示制御手段を有するものであり、
前記歌唱音声入力手段は、歌唱者による歌唱楽曲の歌唱音声を入力し、
前記声紋認証手段は、入力した前記歌唱音声から声紋を解析し、
前記歌唱者情報取得手段は、前記解析された声紋に基づいて、前記データベースより対応の利用者の少なくとも実年齢情報を取得し、
前記声年齢特定手段は、前記入力された歌唱音声に基づいて物理的特徴量を抽出し、当該物理的特徴量に基づき予め作成された声年齢リファレンスより歌唱者の声年齢を特定し、
前記年齢比較手段は、当該歌唱者の前記取得した実年齢情報と前記特定した声年齢とを比較して差分を評価し、
前記評価結果表示制御手段は、前記年齢比較手段での差分評価の結果を所定のタイミングで前記表示部にて表示させる、
ことを特徴とする歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステム。
【請求項2】
請求項1記載の歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステムであって、歌唱される一の歌唱楽曲を複数の利用者が歌唱した場合に総ての歌唱者に対して前記差分評価の結果を表示させることを特徴とする歌唱声年齢評価表示機能を備えるカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−164965(P2008−164965A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354801(P2006−354801)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】