説明

歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステム

【課題】歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステムに関し、デュエット曲の合唱区間で聴取者に対して自然的に聴取させて臨場感や立体感を好適に演出可能とする。
【解決手段】第1及び第2マイク12,13より入力される歌唱音声がそれぞれ受信される第1及び第2受信部15,16で対応付けることができ、パート別音声出力制御部14が、合唱区間識別手段22が歌詞抽出データよりデュエット曲の現に演奏しているタイミングが合唱区間以外の区間(女性パート、男声パート)と識別した場合には、第1又は第2マイク12,13からの歌唱音声を第1及び第2スピーカ17,18の両方より出力させ、合唱区間と識別した場合には、第1マイク12からの歌唱音声を第1スピーカ17より出力させ、第2マイク13からの歌唱音声を第2スピーカ18より出力させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムの技術分野に属し、デュエット曲の合唱時の歌唱音声のスピーカからの出力を制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケシステムを備える設備では、デュエット曲の歌唱時に2本のマイクが使用され、合唱パートでの両方のマイクより同時に歌唱音声が入力された場合にはステレオ対応のスピーカからの臨場感や立体感のある歌唱音声の出力が望まれる。
【0003】
従来、カラオケシステムには、通常、その演奏楽曲データとしてソロ曲の他に、二人で同一楽曲を歌唱するためのデュエット曲が内蔵されており、それに対応した2本のマイクが備えられている。また、カラオケシステムにおけるスピーカシステムは、ステレオ対応として少なくとも2つのスピーカより構成されている。
【0004】
このようなカラオケシステムでは、ソロ曲を歌唱する場合やデュエット曲を歌唱する場合に歌唱者により2本の内の何れかのマイクが使用され、あるいは両方のマイクが同時に使用されても左右2本のスピーカから歌唱音声が出力される構成となっている。スピーカ出力だけに関して、例えば、特許文献1のように1本のマイクから歌唱音声を入力しても2つのスピーカより同じ歌唱音声を出力し、これが2本のマイクの両方より歌唱音声が入力された場合であっても同様に2つのスピーカより同じ歌唱音声が出力されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−257206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなカラオケシステムにおけるスピーカ出力の態様では、特にデュエット曲を歌唱する場合に、実際には二人が左右に別れて歌唱しており、直接的な聴取では左右別々の歌唱であるにも拘わらず、2つのスピーカの中心から歌唱音声が重なった状態で聴取されることとなって、臨場感や立体感が欠けて不自然なものとなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、デュエット曲の合唱区間で聴取者に対して自然的に聴取させて臨場感や立体感を好適に演出可能とする歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、合唱区間を特定可能とされてなるデュエット曲に対応し、第1マイク及び第2マイクと第1スピーカ及び第2スピーカを備えたカラオケシステムであって、合唱区間識別手段及びパート別音声出力制御手段を有し、前記合唱区間識別手段は、任意のデュエット曲の演奏中、現に演奏しているタイミングが合唱区間か否かを識別し、前記パート別音声出力制御手段は、前記合唱区間識別手段により、現に演奏しているタイミングが合唱区間以外の区間と識別された場合には、第1マイク又は第2マイクからの歌唱音声を前記第1スピーカ及び第2スピーカの両スピーカより出力させ、合唱区間と識別された場合には、第1マイクからの歌唱音声を前記第1スピーカ又は第2スピーカの何れか一方のスピーカより出力させ、第2マイクからの歌唱音声を他方のスピーカより出力させる、構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デュエット曲の現に演奏しているタイミングが合唱区間以外の区間と識別された場合には、第1マイク又は第2マイクからの歌唱音声を第1スピーカ及び第2スピーカより出力させ、第1マイク又は第2マイクからの歌唱音声を第1スピーカ及び第2スピーカの両スピーカより出力させ、合唱区間と識別された場合には、第1マイクからの歌唱音声を第1スピーカ又は第2スピーカの何れか一方のスピーカより出力させ、第2マイクからの歌唱音声を他方のスピーカより出力させる構成とすることにより、合唱区間以外の区間では、何れかのマイクより入力した歌唱音声を演奏データとミキシングして第1スピーカ及び第2スピーカの両方より出力させることから、ソロパートの歌唱時には聴取者に対して通常通りにダイナミックな歌唱音声を演出することができ、また、合唱区間での聴取者に対して第1マイク及び第2マイクからの歌唱音声がそれぞれ別々のスピーカより出力されることから、聴取者に自然的な状態で聴取させることができ、臨場感や立体感を好適に演出させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステムの一部ブロック図である。
【図2】図1のデュエット曲演奏データの構成説明図である。
【図3】図1におけるデュエット曲の歌唱音声出力制御の説明図(1)である。
【図4】図1におけるデュエット曲の歌唱音声出力制御の説明図(2)である。
【図5】図1におけるデュエット曲の歌唱音声出力制御の説明図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステムの一部ブロック図を示すと共に、図2にデュエット曲演奏データの構成説明図を示す。図1において、カラオケシステム11は、第1マイク12及び第2マイク13が用意される。当該第1マイク12及び第2マイク13は、有線式、無線式を問わない。第1マイク12からはパート別音声出力制御部14に第1受信部15を介して歌唱音声が入力され、第2マイク13からはパート別音声出力制御部14に第2受信部16を介して歌唱音声が入力される。当該パート別音声出力制御部14にはスピーカシステムとして、少なくとも2つの第1スピーカ17及び第2スピーカ18が接続される。
【0012】
また、カラオケシステム11には、図示しない楽曲データベースより演奏対象の楽曲の歌詞データより抽出した歌詞抽出データに基づいて表示部20で表示させる歌詞表示制御部19を備えると共に、演奏対象の楽曲の演奏データを上記パート別音声出力制御部14に出力する音楽演奏制御部21を備える。そして、合唱区間識別手段22を備える。
【0013】
上記合唱区間識別手段22は、デュエット曲の歌詞描出データを歌詞表示制御部19から取得し、デュエット曲の演奏中、予め特定されている当該デュエット曲の歌唱区間データに基づき、演奏の進行に伴いながら合唱区間データを取得して、現に演奏しているタイミングが合唱区間か否かを識別するプログラムである。
【0014】
合唱区間か否かを識別するための合唱区間データとして、演奏データ(音符データ)に基づくデジタル演奏に同期して歌詞を表出するための歌詞描出データ(色変わりデータや外字マークデータ等を含む)を利用するもので、例えば、図2に示すように、デュエット曲は、前奏部、女性パート、男性パート、合唱パート(合唱区間)、間奏部及び後奏部が特定されており、通常、女性パート、男性パート、合唱パートにおける描出歌詞は、それぞれ異なる色変わりをさせたり、異なる種別の外字マークが付される。そこで、合唱区間識別手段22を、この歌詞表示色の色の種別や外字の種別をもって歌唱区間の種別を識別できるように構成することで、当該歌詞描出データを利用すれば、デュエット曲の演奏中、現に演奏しているタイミングが合唱区間か否かを識別することができるものである。
【0015】
上記パート別音声出力制御部14は、第1マイク及び/又は第2マイクからの歌唱音声と演奏データを音楽演奏制御部21でデコードした演奏信号とをミキシングし、適宜ボリウムなどのゲイン調整機能で増幅してスピーカシステムの第1及び第2スピーカ17,18より出力させることを基本機能とし、上記合唱区間識別手段22により、現に演奏しているタイミングが合唱区間以外の区間(女性パート、男声パート)と識別された場合には、第1マイク12又は第2マイク13の一方のマイクからの歌唱音声を第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方より出力させ、合唱区間と識別された場合には、第1マイク12からの歌唱音声を第1スピーカ17より出力させ、第2マイク13からの歌唱音声を第2スピーカ18より別々に出力させる電子回路である。
【0016】
なお、当該パート別音声出力制御部14において、第1マイク12からの歌唱音声は第1受信部15で入力され、第2マイク13からの歌唱音声は第2受信部16より入力されることから、互いに第1マイク12と第1スピーカ17、第2マイク13と第2スピーカ18とを対応付けることができる。
【0017】
そこで、図3〜図5に、図1におけるデュエット曲の歌唱音声出力制御の説明図を示す。図3(A)、(B)は、デュエット曲の現に演奏されているパートが、図2における歌詞抽出データにおける女性パートであり、歌唱音声が第1マイク12に入力された場合を示している。この場合、合唱区間識別手段22は、歌詞抽出データより現に演奏されているパートが女性パートであり合唱区間以外の区間と識別する。そして、パート別音声出力制御部14が、当該識別結果の識別信号に基づいて、スイッチング素子等で第1マイク12より入力された歌唱音声を第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方に送るべく制御し、それぞれで第1マイク12より入力された歌唱音声と演奏信号とをミキシングし、第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方より出力させる。
【0018】
また、図4(A)、(B)は、デュエット曲の現に演奏されているパートが、図2における歌詞抽出データにおける男性パートであり、歌唱音声が第2マイク13に入力された場合を示している。この場合、合唱区間識別手段22は、歌詞抽出データより現に演奏されているパートが男性パートであり合唱区間以外の区間と識別する。そして、パート別音声出力制御部14が、当該識別結果の識別信号に基づいて、スイッチング素子等で第2マイク13より入力された歌唱音声を第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方に送るべく制御し、それぞれで第2マイク13より入力された歌唱音声と演奏信号とをミキシングし、第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方より出力させる。
【0019】
そして、図5(A)、(B)は、デュエット曲の現に演奏されているパートが、図2における歌詞抽出データにおける合唱パートであり、それぞれの歌唱音声が第1マイク12及び第2マイク13に入力された場合を示している。この場合、合唱区間識別手段22は、歌詞抽出データより現に演奏されているパートが合唱パートであり合唱区間と識別する。そして、パート別音声出力制御部14が、当該識別結果の識別信号に基づいて、スイッチング素子等で第1マイク12より入力された歌唱音声を第1スピーカ17側のみに送り、第2マイク13より入力された音声信号を第2スピーカ18側のみに送るべく制御し、第1マイク12より入力された歌唱音声と演奏信号とをミキシングして第1スピーカ17より出力させると共に、第2マイク13より入力された歌唱音声と演奏信号とをミキシングして第2スピーカ18より出力させるものである。
【0020】
このように、合唱区間以外の区間(女性パート、男声パート)では、何れかのマイクより入力した歌唱音声を演奏信号とミキシングして第1スピーカ17及び第2スピーカ18の両方より出力させることから、ソロパートの歌唱時には聴取者に対して通常通りにダイナミックな歌唱音声を演出することができ、また、合唱区間では聴取者に対して第1マイク12及び第2マイク13からの歌唱音声がそれぞれ別々に第1スピーカ17及び第2スピーカ18より出力されることから、聴取者に自然的な状態で聴取させることができ、臨場感や立体感を好適に演出させることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステムは、カラオケの基本的機能を備えるカラオケ機器製造の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
11 カラオケシステム
12 第1マイク
13 第2マイク
14 パート別音声出力制御部
17 第1スピーカ
18 第2スピーカ
19 歌詞表示制御部
21 音楽演奏制御部
22 合唱区間識別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合唱区間を特定可能とされてなるデュエット曲に対応し、第1マイク及び第2マイクと第1スピーカ及び第2スピーカを備えたカラオケシステムであって、
合唱区間識別手段及びパート別音声出力制御手段を有し、
前記合唱区間識別手段は、任意のデュエット曲の演奏中、現に演奏しているタイミングが合唱区間か否かを識別し、
前記パート別音声出力制御手段は、前記合唱区間識別手段により、現に演奏しているタイミングが合唱区間以外の区間と識別された場合には、第1マイク又は第2マイクからの歌唱音声を前記第1スピーカ及び第2スピーカの両スピーカより出力させ、合唱区間と識別された場合には、第1マイクからの歌唱音声を前記第1スピーカ又は第2スピーカの何れか一方のスピーカより出力させ、第2マイクからの歌唱音声を他方のスピーカより出力させる、
ことを特徴とする歌唱音声出力制御機能を備えるカラオケシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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