説明

歌詞テロップ表示サイズ制御システム

【課題】 複数歌唱パートを有するカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートの歌唱者と表示装置との相対距離が異なる場合であっても、各歌唱パートの歌唱者と表示装置との相対距離に適した表示サイズで歌詞テロップを表示する。
【解決手段】 複数歌唱パートを有するカラオケ楽曲において、各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から表示装置29までの各距離を算出する歌唱者距離算出手段39と、歌唱者から表示装置29までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを対応付けた歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cに基づき、単独歌唱パートからなる独唱部では、歌唱者と表示装置29との距離に対応した表示サイズで、複数歌唱パートからなる合唱部では、各歌唱者と表示装置29との距離の平均値に対応した表示サイズで、それぞれ歌詞テロップを表示させる歌詞テロップ表示制御手段38aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートの歌唱者から表示装置までの距離に応じて、当該表示装置に表示される歌詞テロップの表示サイズを変更可能な歌詞テロップ表示サイズ制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スナックやバーなどでカラオケを楽しむ場合に、ステージが設置されている店舗を除いて、各利用者は着席した位置で歌唱するのが一般的である。通常の場合、店内には大型の表示装置が設置されており、利用者はこの表示装置に背景映像と共に表示される歌詞テロップを見ながら歌唱を行う。しかし、各利用者の着座位置と表示装置との距離は必ずしも同様でなく、表示装置に近い位置に座った歌唱者は間近に歌詞テロップを見ることができる一方、表示装置から遠い位置に座った歌唱者は歌詞テロップを見づらい場合がある。
【0003】
従来、表示装置に表示される歌詞テロップの大きさを変化させることができるカラオケ装置に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術は、マイクロホンから入力される歌唱音声の音圧レベルが基準歌声データよりも小さい場合に、歌唱者にとって歌詞テロップの表示サイズが小さすぎると判断して、歌詞テロップの表示サイズが大きくなるように制御を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−11785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デュエット曲のような複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を歌唱する際に、各パートの歌唱者の着席位置が互いに近ければ、各歌唱者から表示装置までの距離はほぼ同一であり、歌詞テロップの視認状態もほぼ同様である。しかし、各パートの歌唱者が離れて着席している場合には、各歌唱者から表示装置までの距離が大きく異なることがあり、この場合には歌唱者毎に歌詞テロップの視認状態が異なってしまう。すなわち、表示装置から相対的に近い位置に着席している歌唱者にとっては、歌詞テロップの表示サイズが適当である場合であっても、表示装置から相対的に遠い位置に着席している歌唱者にとっては、歌詞テロップの表示サイズが小さすぎて、歌詞テロップを見づらいことがある。一方、歌詞テロップの表示サイズが大きすぎる場合には、カラオケの雰囲気を盛り上げるために表示している背景映像を見づらくさせてしまい、カラオケ本来の楽しさを損なうことになる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートの歌唱者と表示装置との距離が異なる場合であっても、各歌唱パートの歌唱者と表示装置との距離に適した表示サイズで歌詞テロップを表示することが可能な歌詞テロップ表示サイズ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の歌詞テロップ表示サイズ制御システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の歌詞テロップ表示サイズ制御システムは、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートの歌唱者から表示装置までの距離に応じて、当該表示装置に表示される歌詞テロップの表示サイズを変更可能としたシステムであって、歌唱者距離算出手段と、歌詞テロップ表示制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
歌唱者距離算出手段は、各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から表示装置までの各距離をそれぞれ算出するための手段である。歌詞テロップ表示制御手段は、歌唱者から表示装置までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを対応付けた相関テーブル又は相関関数に基づき、表示装置に表示される歌詞テロップの表示を制御して、単独の歌唱パートで歌唱する独唱部では、当該歌唱者と表示装置との距離に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させ、複数の歌唱パートで歌唱する合唱部では、各歌唱者と表示装置との距離の平均値に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させるための手段である。
【0009】
このような構成からなる歌詞テロップ表示サイズ制御システムでは、デュエット曲のように複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、歌唱者距離算出手段の機能により、各歌唱パート(例えば、男声パート又は女声パート)を歌唱する歌唱者から表示装置までの距離を算出する。また、本発明では、歌唱者から表示装置までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを対応付けた相関テーブル又は相関関数を有している。そして、歌詞テロップ表示制御手段の機能により、歌唱パート毎に、各歌唱パートの歌唱者から表示装置までの距離に対応させて、歌詞テロップの表示サイズを変更する。すなわち、単独の歌唱パートで歌唱する独唱部では、当該独唱部を歌唱する歌唱者から表示装置までの距離に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させ、複数の歌唱パートで歌唱する合唱部では、各歌唱者から表示装置までの距離の平均値に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させる。この際、歌唱者から表示装置までの距離が相対的に短い場合には表示サイズを相対的に小さくし、歌唱者から表示装置までの距離が相対的に長い場合には表示サイズを相対的に大きくすればよい。
【0010】
また、歌唱者距離算出手段で算出する各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から表示装置までの各距離は、各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者が使用しているマイクホロンから表示装置までの各距離として構成することが可能である。
【0011】
このような構成からなる歌詞テロップ表示サイズ制御システムでは、歌唱パート毎に使用するマイクロホンを予め特定し、歌唱者距離算出手段の機能により、各マイクロホンから表示装置までの距離を算出する。例えば、マイクロホンに電波発信器を内蔵しておき、表示装置の近傍に電波受信器を設置する。そして、電波受信器に入力される電波の受信強度に基づいて、各マイクロホンから表示装置までの距離を算出することができる。また、マイクロホンから発信される音声信号を重畳した搬送波の受信強度に基づいて、各マイクロホンから表示装置までの距離を算出してもよい。すなわち、マイクロホンから発信される電波の受信強度が相対的に強ければマイクロホンから表示装置までの距離が相対的に近いことになり、反対に電波の受信強度が相対的に弱ければマイクロホンから表示装置までの距離が相対的に遠いことになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の歌詞テロップ表示サイズ制御システムでは、歌唱者から表示装置までの距離が相対的に短い場合には表示サイズを相対的に小さくし、歌唱者から表示装置までの距離が相対的に長い場合には表示サイズを相対的に大きくする等、歌唱者から表示装置までの距離に対応させて、歌詞テロップの表示サイズを変更することができる。さらに、複数の歌唱パートからなるデュエット曲等を複数の歌唱者が歌唱する際に、特に合唱部において合唱する場合に、各歌唱者から表示装置までの距離がそれぞれ異なっていたとしても、適切な表示サイズで歌詞テロップを表示することができる。したがって、複数の歌唱パートからなるデュエット曲等の歌唱者がそれぞれどのような位置にいたとしても、各歌唱者にとって最適な表示サイズで歌詞テロップを表示することで歌詞テロップが見易くなり、デュエット曲等の歌唱を好適に行うことができる。
【0013】
また、一般的に、歌唱時にはマイクロホンを持って歌唱を行うため、マイクロホンから表示装置までの距離を検出することにより、歌唱者から表示装置までの距離を容易かつ正確に把握することができる。さらに、既存のマイクロホンに歌唱者距離を測定するための装置を組み込むだけで、各歌唱パートを歌唱する歌唱者から表示装置までの距離を算出することができるので、装置構成が複雑とならず、装置の製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムにおける制御機能を説明する説明図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムにおける制御機能を説明する説明図。
【図5】本発明の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムにおける歌唱パート毎の歌詞テロップ表示サイズ制御を説明する説明図。
【図6】歌詞テロップ表示サイズ設定テーブルの説明図。
【図7】歌唱者から表示装置までの距離と歌詞テロップ表示サイズとを対応付けた相関関数の説明図。
【図8】予約待ち行列の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の歌詞テロップ表示サイズ制御システムの実施形態について説明する。図1〜図4は本発明の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを示すもので、図1は第1の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図、図2は第1の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御機能を説明する説明図、図3は第2の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図、図4は第2の実施形態における歌詞テロップ表示サイズ制御機能を説明する説明図である。また、図5は歌唱パート毎の歌詞テロップ表示サイズ制御を説明する説明図、図6は歌詞テロップ表示サイズ設定テーブルの説明図、図7は歌唱者から表示装置までの距離と歌詞テロップ表示サイズとを対応付けた相関関数の説明図、図8は予約待ち行列の説明図である。
【0016】
<歌詞テロップ表示サイズ制御システムの概要>
本発明の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムは、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から表示装置までの距離に応じて、当該表示装置に表示される歌詞テロップの表示サイズを変更するためのシステムであり、図1又は図3に示すように、カラオケシステム10に組み込まれている。すなわち、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、歌唱者距離算出手段39によりマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離をそれぞれ算出し、マイクロホン(A)25又はマイクロホン(B)26を使用する歌唱パートが演奏されると、当該歌唱パートに対応付けられた各マイクロホン(A)25又はマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離に対応した表示サイズとなるように、歌詞テロップの表示制御を行う。
【0017】
<カラオケシステム/第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムを適用するカラオケシステム10は、図1及び図2に示すように、電波発信器25aを内蔵したマイクロホン(A)25と、電波発信器26aを内蔵したマイクロホン(B)26とを備えており、表示装置29の近傍に設置された電波受信器27及び電波受信器28により、電波発信器25a及び電波発信器26aから発信される電波の強度を測定することにより、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までのそれぞれの距離を算出するようにしたものである。
【0018】
すなわち、第1の実施形態に係るカラオケシステム10は、図1及び図2に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、ミキシングアンプ24、電波発信器25aを内蔵したマイクロホン(A)25、電波発信器26aを内蔵したマイクロホン(B)26、電波発信器25aに対応する電波受信器27、電波発信器26aに対応する電波受信器28、表示装置29を備えている。なお、電波受信器27及び電波受信器28は、表示装置29表示装置の近傍に設置されている。
【0019】
<カラオケシステム/第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係るカラオケシステム10は、図3及び図4に示すように、ワイヤレス方式のマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から発信されて、マイクレシーバ30により受信される電波(例えば、音声信号を伝送する搬送波)の電波強度を測定することにより、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までのそれぞれの距離を算出するようにしたものである。
【0020】
第2の実施形態のカラオケシステム10は、図3及び図4に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、ミキシングアンプ24、マイクロホン(A)25、マイクロホン(B)26、表示装置29、マイクレシーバ30を備えている。なお、マイクレシーバ30は、表示装置29表示装置の近傍に設置されている。
【0021】
以下、第1の実施形態及び第2の実施形態についてまとめて記載するが、両者で異なる構成要素については、その都度説明を行う。また、以下の説明において、プログラムとはROM32等に記憶されており、CPUにおいて実行されることにより、その機能を発揮するソフトウエア資源のことを言い、プログラムと同等の機能を発揮することが可能な論理回路を含む概念である。
【0022】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段35との間で有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0023】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケシステム10で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0024】
<マイクロホン>
マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26は、歌唱音声の入力を行うための装置である。第1の実施形態のマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26は、歌唱者の位置(マイクロホンの位置)から表示装置29までの距離算出に使用するための電波発信器25a,26aがそれぞれ内蔵されている。また、表示装置29の近傍には、各電波発信器25a,26aから発信された電波をそれぞれ受信するための電波受信器27,28が設置されている。第1の実施形態では、図1及び図2に示すように、各電波発信器25a,26aに対応した各電波受信器27,28における電波の受信強度に基づいて、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離を算出するようになっている。この場合、各電波発信器25a,26a及び各電波受信器27,28でそれぞれ使用する電波の周波数帯域を異ならせることにより、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26を識別することができる。
【0025】
また、第2の実施形態では、図3及び図4に示すように、ワイヤレス方式のマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26を使用しており、搬送波により音声信号を変調して伝送するようになっている。また、表示装置29の近傍には、マイクレシーバ30が設置されている。そして、マイクレシーバ30により音声信号が重畳された搬送波を受信することにより、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から入力された音声信号をミキシングアンプ24に出力する。第2の実施形態では、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から発信され、マイクレシーバ30で受信される電波の受信強度に基づいて、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離をそれぞれ算出するようになっている。この場合、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26の搬送波の周波数帯域をそれぞれ異ならせることにより、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26を識別することができる。
【0026】
なお、いずれの実施形態においても、マイクロホンの数は2本に限られず、3本以上であってもよい。この場合には、各マイクロホンに内蔵された電波発信器にそれぞれ対応させて電波受信器を設置し、あるいは各マイクロホンの搬送波の周波数帯域をそれぞれ異ならせる。
【0027】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、予約管理手段36、音楽再生制御手段37、映像再生制御手段38、歌唱者距離算出手段39を備えている。
【0028】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0029】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33aが記憶されるようになっている。
【0030】
<予約待ち行列>
予約待ち行列33aは、図8に示すように、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成されており、デュエット曲のように複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲の場合には、各歌唱パートに対してマイクロホン(A)25又はマイクロホン(B)26が紐付けられている。なお、選曲者の利用者IDを取得して、利用者IDを予約待ち行列33aの構成要素として付加してもよい。この場合には、カラオケリモコン装置22に利用者IDを取得するための手段を付加して、選曲予約時に利用者IDを取得するようにすればよい。なお、デュエット曲が演奏される際に、各歌唱パートと対応するマイクロホン(A)25又はマイクロホン(B)26との関係を表示装置29の表示画面に表示することにより、利用者に対して各マイクロホンと歌唱パートの対応関係を報知することができる。
【0031】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a、映像データベース34b、歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0032】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cについては、後に詳述する。
【0033】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0034】
<予約管理手段>
予約管理手段36は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲された楽曲IDを演奏順に並べて演奏予約待ち行列33aを生成し、この予約待ち行列33aをRAM33に格納して管理するためのプログラムからなる。
【0035】
<歌唱者距離算出手段>
歌唱者距離算出手段39は、複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、当該カラオケ楽曲を歌唱する各歌唱者から表示装置29までの距離をそれぞれ算出するためのプログラムからなる。第1の実施形態の歌唱者距離算出手段39は、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26の各電波発信器25a,26aに対応した電波受信器27,28における電波の受信強度に基づいて、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離をそれぞれ算出する。また、第2の実施形態の歌唱者距離算出手段39は、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から発信され、マイクレシーバ30で受信される電波の受信強度に基づいて、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離をそれぞれ算出する。
【0036】
すなわち、表示装置29の近傍に、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から発信される電波を受信するための受信装置を設置した場合には、当該受信装置における電波の受信強度と、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離には相対関係があり、電波の受信強度が相対的に強ければ、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離が相対的に近いことになり、反対に電波の受信強度が相対的に弱ければ、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離が相対的に遠いことになる。したがって、電波の受信強度と、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離との相関関係を予めリスト化しておけば、電波の受信強度に基づいてマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離を推定することができる。
【0037】
なお、歌唱者距離算出手段39は上述した構成に限られず、レーザ距離計や、超音波の反射を利用して物体間距離を測定する超音波距離計等、公知の距離計測手段からの計測データを取得して各歌唱者から表示装置29までの距離をそれぞれ算出する構成としてもよい。
【0038】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段37は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ24に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ24は、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26からそれぞれ入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段37から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ23より出力させるための装置である。なお、第2の実施形態では、ワイヤレスマイクを使用しているため、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26からの歌唱音声信号は、マイクレシーバ30を介してミキシングアンプ24に入力される。
【0039】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段38は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置29に出力するためのプログラムからなり、本実施形態では、歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)の表示サイズを制御するための歌詞テロップ表示制御手段38aを備えている。
【0040】
<歌詞テロップ表示制御手段>
歌詞テロップ表示制御手段38aは、歌唱者(具体的には、歌唱者が使用するマイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26)から表示装置29までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを対応付けた相関テーブル又は相関関数に基づき、表示装置29に表示される歌詞テロップの表示を制御して、単独の歌唱パートで歌唱する独唱部では、当該歌唱者と表示装置29との距離に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させ、複数の歌唱パートで歌唱する合唱部では、各歌唱者と表示装置29との距離の平均値に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させるためのプログラムからなる。本実施形態では、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの各距離を、各マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26をそれぞれ使用する各歌唱者から表示装置29までの距離と仮定している。
【0041】
<歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル/相関関数>
歌詞テロップ表示制御手段38aが参照する歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cは、HDD34に格納されており(図1参照)、図6に示すように、歌唱者から表示装置29までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを紐付けして構成されている。この歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cでは、歌唱者から表示装置29までの距離が相対的に短いと歌詞テロップの表示サイズを相対的に小さくし、歌唱者から表示装置29までの距離が相対的に長いと歌詞テロップの表示サイズを相対的に大きく設定している。また、歌詞テロップ表示制御手段38aが相関関数を参照して歌詞テロップの表示サイズを制御する構成とすることもできる。この相関関数は、歌唱者から表示装置29までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを規定した関数であり、相関関係は図7に示すようになっている。この相関関数は、相関テーブルと同様に、HDD34に格納しておけばよい。
【0042】
<表示装置>
表示装置29は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。なお、本実施形態では、店内に1つの表示装置29が設置されている場合を想定しており、複数の利用者がそれぞれ歌唱する位置から表示装置29までの距離(各利用者が使用するマイクロホン(A)25又はマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離)がそれぞれ異なっていることを前提としているが、店内に複数の表示装置29を設置した場合であっても本発明を適用することができる。この場合には、表示装置29毎にそれぞれ複数のマイクロホンを対応させて設置し、各表示装置29とこれに対応する各マイクロホンとの位置関係に応じて、歌詞テロップの表示サイズを制御すればよい。
【0043】
<歌詞テロップ文字サイズの表示制御>
次に、図2及び図4〜図6を参照して、本発明の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムにおける制御について説明する。以下、本発明の実施形態に係る歌詞テロップ表示サイズ制御システムにおいて、デュエット曲を演奏する際に、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26を使用して歌唱を行う場合を想定して説明を行う。
【0044】
図2に示すように、第1の実施例では、マイクロホン(A)25から表示装置29までの距離Daと、マイクロホン(B)26から表示装置29までの距離Dbとを比較すると、マイクロホン(B)26の方がマイクロホンA(25)よりも表示装置29から遠くに存在していることがわかる。また、第2の実施例では、図4に示すように、マイクロホン(A)25から発信され、表示装置29の近傍に設置されたマイクレシーバ30により受信される電波強度と、マイクロホン(B)26から発信され、表示装置29の近傍に設置されたマイクレシーバ30により受信される電波強度とを比較すると、マイクロホン(B)26の方がマイクロホンA(25)よりも電波強度が弱く、マイクロホン(B)26の方がマイクロホンA(25)よりも表示装置29から遠くに存在していることがわかる。
【0045】
ここで、歌唱者距離算出手段39の機能により、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの距離をそれぞれ算出すると、第1の実施例では、図2に示すように、マイクロホン(A)25から表示装置29までの距離Daが2.5mであり、マイクロホン(B)26から表示装置29までの距離Dbが5.5mであったとする。したがって、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から表示装置29までの平均距離は4mとなる。
【0046】
同様に、第2の実施例では、図4に示すように、マイクロホン(A)25から発信される電波の電波強度は「強」であるため、電波強度/距離・相関リストを参照すると、マイクロホン(A)25から表示装置29までの距離は3m未満と推定され、マイクロホン(B)26から発信される電波の電波強度は「弱」であるため、電波強度/距離・相関リストを参照すると、マイクロホン(B)26から表示装置29までの距離は5m以上であると推定される。したがって、マイクロホン(A)25及びマイクロホン(B)26から発信される電波の電波強度の平均値は「中」となり、その平均距離は3m以上5m未満と推定される。
【0047】
ここで、歌詞テロップ表示制御手段38aの機能により、図6に示す歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル34cを参照して、歌詞テロップの表示サイズを決定する。すなわち、各実施形態ともに、図5に示すように、マイクロホン(A)25を使用するパートaを演奏する場合には、歌詞テロップの表示サイズを「S(小)」で表示させ、マイクロホン(B)26を使用するパートbを演奏する場合には、歌詞テロップの表示サイズを「L(大)」で表示させ、マイクロホン26A及びマイクロホン(B)26を使用する合唱部を演奏する場合には、歌詞テロップの表示サイズを「M(中)」で表示させる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明の歌詞テロップ表示サイズ制御システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 カラオケシステム
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
23 スピーカ
24 ミキシングアンプ
25 マイクロホンA
25a 電波発信器(マイクロホンA内蔵)
26 マイクロホンB
26a 電波発信器(マイクロホンB内蔵)
27 電波受信器(マイクロホンA用)
28 電波受信器(マイクロホンB用)
29 表示装置
30 マイクレシーバ
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
34c 歌詞テロップ表示サイズ設定テーブル
35 送受信手段
36 予約管理手段
37 音楽再生制御手段
38 映像再生制御手段
38a 歌詞テロップ表示制御手段
39 歌唱者距離算出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歌唱パートにより構成されるカラオケ楽曲を演奏する際に、各歌唱パートの歌唱者から表示装置までの距離に応じて、当該表示装置に表示される歌詞テロップの表示サイズを変更可能なシステムであって、
歌唱者距離算出手段と、歌詞テロップ表示制御手段と、を備え、
前記歌唱者距離算出手段は、前記各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から前記表示装置までの各距離をそれぞれ算出し、
前記歌詞テロップ表示制御手段は、歌唱者から表示装置までの距離と歌詞テロップの表示サイズとを対応付けた相関テーブル又は相関関数に基づき、前記表示装置に表示される歌詞テロップの表示を制御して、単独の歌唱パートで歌唱する独唱部では、当該歌唱者と前記表示装置との距離に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させ、複数の歌唱パートで歌唱する合唱部では、各歌唱者と前記表示装置との距離の平均値に対応した表示サイズで歌詞テロップを表示させる、
ことを特徴とする歌詞テロップ表示サイズ制御システム。
【請求項2】
前記歌唱者距離算出手段で算出する前記各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者から前記表示装置までの各距離は、各歌唱パートにそれぞれ対応付けられた歌唱者が使用しているマイクホロンから前記表示装置までの各距離である、
ことを特徴とする請求項1に記載の歌詞テロップ表示サイズ制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227158(P2011−227158A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94532(P2010−94532)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】