止水剤塗布用のノズル
【課題】低粘度止水剤の垂れ落ちを防ぐと共に浸透性を高め、止水性能を高めることができる止水剤塗布用のノズルを提供する。
【解決手段】矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け、前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしている。
【解決手段】矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け、前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水剤塗布用のノズルに関し、特に、自動車のパネル貫通穴に装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群に予め止水剤を塗布して、線間止水処理を施す場合に好適に用いるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ワイヤハーネスにおいて、自動車のエンジンルームと車室とを仕切るパネル等を通してワイヤハーネスを配線する場合、ゴムやエラストマーからなるグロメットにワイヤハーネスを挿通し、該グロメット内を挿通するワイヤハーネスに止水処理を施し、該グロメットをパネルに穿設した貫通穴に装着して車室側へ浸水を防止している。
【0003】
即ち、前記グロメットを挿通するワイヤハーネスの各電線の間および各電線とグロメットの管部との間に隙間があると、該隙間を通してエンジンルーム側より車室内に浸水が生じるため、これら隙間もシールする必要があるため、止水処理が施されている。
【0004】
前記線間防水方法としては、本出願人は、特開2003−242844号公報(特許文献1)で、図13に示すように、低粘度止水剤Aを吐出する第一ノズル2の両側に、高粘度止水剤Bを吐出する第二ノズル3を備えた止水剤塗布具1を用い、電線wの表面に、低粘度止水剤Aの両側に高粘度止水剤Bを隣接させた状態で同時に塗布する方法を提供している。
【0005】
前記特許文献1では、低粘度止水剤Aが各電線w間に浸透するため確実に止水処理を行うことができ、かつ、高粘度止水剤Bによって低粘度止水剤Aの垂れや漏れを防止して、止水剤の使用量を最小限に抑制できるものとしている。
【0006】
しかしながら、前記止水剤塗布具1は、低粘度止水剤Aの両側で高粘度止水剤Bを吐出しているため、低粘度止水剤Aが電線wの長さ方向に広がることを堰き止めることはできるが、該低粘度止水剤Aの下方への垂れ落ちを有効に抑制する点で改良の余地があり、かつ、電線間への低粘度止水剤Aの浸透性を高める点からも改良の余地がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−242844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、低粘度止水剤の垂れ落ちを確実に防止し、該低粘度止水剤の浸透性を高めることにより、止水性能を向上できる止水剤塗布用のノズルの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、第1の発明として、矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け
前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしていることを特徴とする止水剤塗布用のノズルを提供している。
【0010】
前記した本発明の止水剤塗布用のノズルは、車体パネルの貫通穴へ装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤を充填するために下方から上方に移動させ、前記低粘度シリコンを前記電線群に塗布した後に高粘度シリコンを塗布する場合に最も好適に用いられる。
例えば、本発明の止水剤塗布用のノズルは、本出願人の出願に係わる特開2001−24358号公報で開示した止水剤塗布装置に付設されるノズルとして用いられる。
【0011】
即ち、止水剤塗布装置は、並列させた電線群を挟んだ両側に対向して配置し、これら電線群の並列方向と直交する下方から上方に向けて移動機構により移動される止水剤供給管の下部に付設され、該止水剤供給管の上部側に高粘度シリコン供給口と低粘度シリコン供給口とを備え、高粘度シリコン供給口から供給する高粘度シリコンを前記高粘度シリコン吐出口から吐出すると共に、低粘度シリコン供給口から供給する低粘度シリコンを前記低粘度シリコン吐出口から吐出する構成としている。
【0012】
前記構成のノズルは、低粘度シリコンを電線群に直接塗布した後に、該低粘度シリコンの表面を被覆するように高粘度シリコンを塗布するため、高粘度シリコンで低粘度シリコンの垂れ落ちを効果的に防止できると共に、高粘度シリコン吐出口を長尺幅としていることにより、低粘度シリコンの幅方向の流れを堰き止めることができるため、該低粘度シリコンを逃すことなく防水処理区間内の電線間に浸透させることができる。
また、高粘度シリコン吐出口の面積を高粘度シリコン供給口の面積より小さくしているため、高粘度シリコンの塗布圧を高めることができ、これにより低粘度シリコンを線間に押し込む力も増すため、低粘度シリコンを線間へ深く浸透させることができる。
さらに、高粘度シリコン吐出口を長尺幅としているため、高粘度シリコンの塗布幅が広くなり、これにより低粘度シリコンの浸透幅も広く確保することができる。
これらにより、低粘度シリコンの線間浸透性が向上し、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができると共に、止水ポイントが広がるため、止水剤塗布箇所の止水性能を高めることができる。
【0013】
前記高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積の40%〜60%の範囲とすることが好ましい。これは、40%未満では目詰まりが起きやすいために作業性が悪く、60%超では高粘度シリコン塗布圧向上の効果が不十分であることに因る。
【0014】
前記高粘度シリコンの供給路の幅方向の両側では、高粘度シリコン吐出口に向けて傾斜させて広げ、かつ、上下間隔は高粘度シリコン供給口から前記供給路の中間位置まで傾斜させて断面積を連続的に縮小させると共に、該中間位置から高粘度シリコン吐出口までは同一間隔としている。
高粘度シリコン供給路を前記形状とすることにより、高粘度シリコン吐出口を幅方向に広い形状とし、かつ、断面積を供給口よりも狭くすることができるため、高粘度シリコンの塗布幅拡大と塗布圧向上とを両立させることができる。
【0015】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記高粘度シリコン吐出口と前記高粘度シリコン供給口とを連通する高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしていることが好ましい。
【0016】
テフロンは摩擦係数が非常に低いため、このテフロンをハウジング表面にコーティング加工することにより、シリコンの潤滑性が高まり、前記供給路内や、前記吐出口周縁あるいは供給口周縁のシリコン付着を防止できる。従って、付着したシリコンの固化に因る供給路、吐出口、供給口の目詰まりを防ぎ、手入れや修理の手間を軽減できる。
【0017】
第2の発明として、矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口を設け、
前記第一高粘度シリコン吐出口と同一面側の幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設け、これら第二、第三高粘度シリコン吐出口は前記第一高粘度シリコン吐出口と同一高さ位置あるいは前記低粘度シリコン吐出口側に設け、該第二、第三高粘度シリコン吐出口から吐出する高粘度シリコンを低粘度シリコンの幅方向流れの堰き止め用として用いる構成としていることを特徴とする止水剤塗布用のノズルを提供している。
【0018】
前記第2の発明ノズルも前記第1の発明のノズルと同様に、車体パネルの貫通穴に装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤となるシリコンを充填するため下方から上向きに移動させて止水剤を吐出する止水剤塗布用のノズルとして最も好適に用いられる。
低粘度シリコンを電線群に直接塗布した後に、該低粘度シリコンの表面を被覆するように高粘度シリコンを塗布するため、高粘度シリコンで低粘度シリコンの垂れ落ちを防止できると共に、第二、第三高粘度シリコン吐出口の配置により、低粘度シリコンの幅方向の流れを効果的に堰き止めることができるため、該低粘度シリコンを逃すことなく防水処理区間内の電線間に深く浸透させることができる。
【0019】
また、第二、第三高粘度シリコン吐出口の設置により、高粘度シリコンの塗布幅が広くなり、これにより低粘度シリコンの浸透幅も広く確保することができる。
これらにより、低粘度シリコンの線間浸透性が向上し、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができると共に、止水ポイントが広がるため、止水剤塗布箇所の止水性能を高めることができる。
【0020】
前記第二、第三高粘度シリコン吐出口は同一形状とすると共に、該第二、第三高粘度シリコン吐出口の面積は前記第一高粘度シリコン吐出口の面積と相違させている。
第一高粘度シリコン吐出口の面積が第二、第三高粘度シリコン吐出口よりも大きい場合は、第二、第三高粘度シリコン吐出口の塗布圧が高くなるため、低粘度シリコンの幅方向への広がりをより確実に堰き止めることができる。
第一高粘度シリコン吐出口の面積が第二、第三高粘度シリコン吐出口よりも小さい場合は、第一高粘度シリコン吐出口からの塗布圧が高くなるため、低粘度シリコンを電線間に一層深く浸透させることができる。
なお、第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口は、同一面積としてもよい。
【0021】
第1の発明と同様に、前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口と第一、第二、第三高粘度シリコン供給口とを連通する第一、第二、第三高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしていることが好ましい。 前記テフロンコーティングを施すことにより、前記供給路内や、前記吐出口周縁あるいは供給口周縁へのシリコン付着を防止でき、付着したシリコンの固化に因る供給路、吐出口、供給口の目詰まりを防ぎ、手入れや修理の手間を軽減できる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明の止水剤塗布用のノズルを用いれば、電線群等に先に塗布される低粘度シリコンの表面を、後から塗布される高粘度シリコンで覆うことができるため、低粘度シリコンの垂れ落ちを確実に防止することができる。また、高粘度シリコン吐出口が長尺幅である、あるいは、幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設けていることにより、低粘度シリコンの幅方向への流れを効果的に堰き止めることができる。従って、低粘度シリコンを逃がすことなく線間に浸透させることができる。
【0023】
さらに、高粘度シリコン吐出口の面積を高粘度シリコン供給口の面積を、例えば、40%〜60%の範囲内で小さくすることにより、高粘度シリコンの塗布圧が高くなるため、この高粘度シリコンの高い塗布圧によって低粘度シリコンを線内深く押し込むことができる。
これらにより、低粘度シリコンの浸透性が高まり、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができるため、止水性能が向上する。
【0024】
また、高粘度シリコンの塗布幅が広いため、低粘度シリコンの塗布幅も広くなり、止水ポイントを広く確保できるため、この点からも止水性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズル10を示す。
【0026】
ノズル10は、図1(A)に示すワイヤハーネス組立作業台(図示せず)上に立設した布線治具21に挿通したワイヤハーネスW/Hの電線群wの止水区間Xにおいて、図1(B)に示すように、下方から上方に向けて、上下方向に一列に並列した電線群wを挟むように配置した一対の止水剤供給管26(26A、26B)の下部に取り付けられるものである。
【0027】
前記一対の止水剤供給管26は図2(A)(B)に示すように、角筒形状の上下方向に長く、その上部に高粘度シリコンの供給口27を開口していると共に、その下部に低粘度シリコンの供給口28を備え、図2(C)に示すように、低粘度シリコンの供給口28は内部の導管29を介して後述するノズル10の低粘度シリコン供給口13に低粘度シリコンを供給している。高粘度シリコンは供給口27より角筒の中空部を通して後述するノズル10の高粘度シリコンの供給口16に高粘度シリコンを供給している。
【0028】
ノズル10は図3(A)〜(D)に示す構造としている。
ノズル10は矩形状のハウジング11の塗布面側11bには、図3(C)に示すように、幅方向中央部に1つの低粘度シリコン吐出口12を開口し、該低粘度シリコン吐出口12よりも下方側に1つの高粘度シリコン吐出口15を設けている。低粘度シリコン吐出口12は上下方向にやや長い楕円形状とし、高粘度シリコン吐出口15は、低粘度シリコン吐出口12よりも幅方向両側に延在する長尺幅の横長スリット状としている。
【0029】
前記ハウジング11の止水剤供給管26への取付側11aには、図3(A)(B)に示すように、低粘度シリコン吐出口12よりも高位置に低粘度シリコン供給口13を設け、該供給口13から前記吐出口12にかけて下方傾斜させた低粘度シリコン供給路14で連通させている。
また、前記取付側11aには、高粘度シリコン吐出口15と高低差なく高粘度シリコン供給口16を設け、該供給口16から前記吐出口15まで高粘度シリコン供給路17で連通させている。
【0030】
詳しくは、前記高粘度シリコン吐出口15の幅w1は、高粘度シリコン供給口16の幅w2よりもやや広く、上下間隔h1は、高粘度シリコン供給口16の上下間隔h2よりも短く設定して、高粘度シリコン吐出口15の面積を高粘度シリコン供給口16の面積の40%〜60%の範囲内としている。
本実施形態では、高粘度シリコン吐出口15の幅w1を20mm、上下間隔h1を2mm、面積を39mm2とし、高粘度シリコン供給口16の幅w2を18mm、上下間隔h2を35mm、面積を97mm2とし、高粘度シリコン吐出口15の面積を供給口16の面積の40%に設定している。
【0031】
前記高粘度シリコン供給路17は、図3(D)に示すように、幅方向両側17a、17bを、高粘度シリコン供給口16から吐出口15に向けてテーパー状に広げる一方、図3(B)に示すように、上面側17cを、供給口16から供給路17の中間位置17eまで下方傾斜させた後、該中間位置17eから吐出口15までは水平とし、底面側17dは、供給口16から吐出口15にかけて水平としている。これにより、高粘度シリコン供給路17は、供給口16から前記中間位置17eまで上下間隔を狭めて断面積を連続的に減少させ、該中間位置17eから供給口15までは上下間隔を同一に設定している。
【0032】
前記ノズル10は、アルミを切削加工してハウジング11を作製した後、図4に示すように、該ハウジング11の全表面にテフロン18をコーティング加工を施している。このテフロン18のコーティング加工は、前記低粘度シリコン供給路14の全内周面と高粘度シリコン供給路17の全内周面にも行う。
【0033】
次に、ワイヤハーネスW/Hの止水区間Xの止水処理方法を説明する。
まず、前記図1(A)に示すように、ワイヤハーネス組立作業台(図示せず)上に立設した布線治具21にワイヤハーネスW/Hを挿通して、電線wの止水区間Xを上下方向に一列に並列した状態で配置する。
前記布線治具21は、ワイヤハーネス組立作業台に着脱自在に取り付ける支持軸22により支持され、ワイヤハーネスW/Hの電線wの布線方向に延在する基部23から所要間隔をあけて一対の電線保持部24、25を突出している。この電線保持部24、25は、上端開口24a、25aから電線wを挿入させると共に、挿入した電線wを一列に並列させる細幅な電線挿入用長穴24b、25bを備えている。
【0034】
次いで、低粘度シリコンをノズル10の低粘度シリコン供給口13に供給すると共に、高粘度シリコンをノズル10の高粘度シリコン供給口16に供給し、該ノズル10を下方から上向きに移動させて、前記防水区間Xの電線wに低粘度シリコン31と高粘度シリコン32とを塗布する。
【0035】
最後に、図1(C)に示すように、電線wの表面に粘着剤が塗布された発泡シートSを被せ、該発泡シートS内で低粘度シリコン31と高粘度シリコン32の塗布箇所を丸めて、テープTを巻き付けて固定する。
この状態で、グロメット40の筒部内に挿通して、図1(D)に示すように、グロメット40の小径筒部41の内周面に電線wの止水部を密着させる。
該グロメット40は、ワイヤハーネスを自動車に配索する際に、車体パネル43の貫通穴44に係止鍔部42を挿入係止して装着される。
【0036】
前記構成のノズル10を用いると、図5(A)に示すように、電線wの表面に低粘度シリコン31が先に塗布され、その後、該低粘度シリコン31の表面を覆うように高粘度シリコン32が塗布されるため、低粘度シリコン31の垂れ落ちを確実に防止できる。
また、高粘度シリコン吐出口15の幅が長尺であることにより、高粘度シリコン32の塗布幅が広くなるため、図5(B)に示すように、低粘度シリコン31の幅方向の流れも堰き止めることができる。従って、低粘度シリコン31を逃すことなく電線wの間に浸透させることができる。
【0037】
また、高粘度シリコン吐出口15の面積を高粘度シリコン供給口16の面積の40%に設定しているため、高粘度シリコン32の塗布圧が高まり、先に塗布されている低粘度シリコン31を電線wの間に強く押し込むことができる。これにより、低粘度シリコン31の浸透性が向上し、電線wの間に低粘度シリコン31を隙間なく埋めることができるため、電線w間の止水処理を確実に行うことができる。
【0038】
さらに、高粘度シリコン吐出口15が幅方向に長尺な形状であるため、低粘度シリコン31の塗布幅も広く確保でき、止水ポイントを拡大できる。従って、止水性能をより向上させることができる。
さらにまた、低粘度シリコン供給路14の内周面および高粘度シリコン供給路17の内周面を含むハウジング11の全表面にテフロン18をコーティング加工しているため、低粘度シリコン供給路14内や高粘度シリコン供給路17内、また、シリコン吐出口12、15やシリコン供給口13、16の周縁にシリコンが付着することによる目詰まり等を防止でき、メンテナンスの手間を省くことができる。
【0039】
図6に第一実施形態の変形例1を示す。
変形例1では、高粘度シリコン吐出口15の形状を、幅方向両端部を上方に湾曲させた円弧スリット形状としている。
このように、高粘度シリコン吐出口15を、低粘度シリコン吐出口12の下半側を囲むように配置しているため、低粘度シリコン31の幅方向への流れと、幅方向両端からの垂れ落ちを効果的に防止できる。
【0040】
図7および図8に本発明の第二実施形態を示す。
第二実施形態では、高粘度シリコン32を3箇所の吐出口15−1、15−2、15−3から吐出する構成としている。
【0041】
詳しくは、ハウジング11の塗布面側11bの幅方向中央部に1つの低粘度シリコン吐出口12を開口し、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口15−1を設け、該第一高粘度シリコン吐出口15−1の左右両側に、所要間隔をあけて第二高粘度シリコン吐出口15−2と第三高粘度シリコン吐出口15−3を設けている。
これら第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3は同一高さ位置に設けられ、いずれも同一形状および同一面積の円形穴としている。
【0042】
ハウジング11の前面側11aには、図7(A)(B)に示すように、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3と高低差なく、第一、第二、第三高粘度シリコン供給口16−1〜16−3を設けている。各供給口16−1〜16−3から吐出口15−1〜15−3までは、図7(B)(D)に示すように、夫々独立した高粘度シリコン供給路17−1〜17−3で連通させている。
【0043】
前記高粘度シリコン供給路17−1〜17−3はいずれも同一形状および同一断面積よりなり、各供給路17−1〜17−3は、水平方向に貫通し、供給口16−1〜16−3から吐出口15−1〜15−3にかけて同一形状および同一断面積としている。
【0044】
低粘度シリコン吐出口12、供給口13、供給路14については前記第一実施形態と同一構成としている。
また、ハウジング11の全表面にテフロン18のコーティング加工を施している点も第一実施形態と同一である。
【0045】
本実施形態に係るノズル10を用いると、図8(A)に示すように、電線wの表面に低粘度シリコン31が先に塗布され、その後、第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3から吐出された高粘度シリコン32が低粘度シリコン31の表面を覆うように塗布されるため、低粘度シリコン31の垂れ落ちを確実に防止できる。特に、幅方向両側に形成された第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3により、図7(B)に示すように、低粘度シリコン31の幅方向の流れを効果的に堰き止めることができる。従って、低粘度シリコン31を逃すことなく電線wの間に浸透させることができる。
【0046】
また、3つの高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3を幅方向に間隔をあけて配置しているため、高粘度シリコン32の塗布幅が広がり、これにより低粘度シリコン31の塗布幅も広く確保でき、止水ポイントを拡大できる。従って、止水性能をより向上させることができる。
【0047】
図9に第二実施形態の変形例1を示す。
本変形例1では、図9(C)に示すように、第一高粘度シリコン吐出口15−1の面積を第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、5−3の面積よりも小さくしている。
第一高粘度シリコン供給路17−1は、図9(B)に示すように、供給口16−1から吐出口15−1にかけて漏斗状として断面積を連続的に縮小させ、第二、第三高粘度シリコン供給路17−2、17−3は、供給路16−2、16−3から吐出口15−2、15−3にかけて拡径させて断面積を連続的に拡大している。
【0048】
本変形例1においては、中央の第一高粘度シリコン吐出口15−1から吐出される高粘度シリコン32の塗布圧が高まるため、低粘度シリコン31を所望区間に的確に押し込んで深く浸透させることができる。
【0049】
図10に本発明の第三実施形態を示す。
第三実施形態では、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3を、低粘度シリコン吐出口12と同一高さで、該低粘度シリコン吐出口12より幅方向両側へ所要間隔をあけた位置に形成している。
その他の構成は前記第二実施形態と同一としている。
【0050】
本実施形態は、低粘度シリコン吐出口12から低粘度シリコン31が吐出されるのと同時に、該低粘度シリコン31の吐出箇所と同一高さの両側で、前記第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3から高粘度シリコン32が吐出されるため、低粘度シリコン31が幅方向両側に流れ溢れることをより確実に堰き止めることができる。
【0051】
図11に第三実施形態の変形例1を示す。
該変形例1では、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3を、低粘度シリコン吐出口12よりも上方位置の幅方向両側に形成している。
【0052】
図12に第三実施形態の変形例2を示す。
該変形例2では、第一高粘度シリコン吐出口15−1の面積を、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3の面積よりも大きくしている。
これにより、第一高粘度シリコン吐出口15−1と、第二、第三シリコン吐出口15−2、15−3との間隔を狭めることができ、高粘度シリコンの未塗布領域が発生することを防止できる。
【0053】
なお、前記いずれの実施形態もグロメットに挿通する電線群に予め止水剤を塗布するものであるが、本発明のノズルは前記用途に限定されず、グロメットを挿通する他の挿通材、への止水剤の塗布、さらに、止水剤を塗布する必要がある部材へ止水剤を塗布する場合にも好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(A)〜(D)は、本発明の第一実施形態のノズルを用いたワイヤハーネスの止水処理作業を示す概略説明図である。
【図2】止水剤塗布装置を示し、(A)が概略側面図、(B)は止水剤供給管の斜視図、(C)は止水剤供給管の断面図である。
【図3】第一実施形態にノズルを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は後面(塗布面)図、(D)はD−D線断面図である。
【図4】図3(B)の拡大図である。
【図5】シリコン塗布状態を示し、(A)はシリコン塗布箇所の上下方向断面図、(B)は幅方向断面図である。
【図6】第一実施形態の変形例1の要部を示すノズル後面図である。
【図7】第二実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズルを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は上面図、(D)はD−D線断面図、(E)は後面(塗布面)図である。
【図8】図7に示すノズルで塗布したシリコンの塗布状態を示し、(A)はシリコン塗布箇所の上下方向断面図、(B)は幅方向断面図である。
【図9】第二実施形態の変形例1を示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は後面(塗布面)図である。
【図10】第三実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズルの要部を示す後面図である。
【図11】第三実施形態の変形例1の要部を示すノズル後面図である。
【図12】第三実施形態の変形例2の要部を示すノズル後面図である。
【図13】従来例の図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ノズル
11 ハウジング
12 低粘度シリコン吐出口
15 高粘度シリコン吐出口
15−1 第一高粘度シリン吐出口
15−2 第二高粘度シリコン吐出口
15−3 第三高粘度シリコン吐出口
16 高粘度シリコン供給口
17 高粘度シリコン供給路
26 止水剤供給管
W/H ワイヤハーネス
w 電線
X 止水区間
S 発泡シート
T テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水剤塗布用のノズルに関し、特に、自動車のパネル貫通穴に装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群に予め止水剤を塗布して、線間止水処理を施す場合に好適に用いるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ワイヤハーネスにおいて、自動車のエンジンルームと車室とを仕切るパネル等を通してワイヤハーネスを配線する場合、ゴムやエラストマーからなるグロメットにワイヤハーネスを挿通し、該グロメット内を挿通するワイヤハーネスに止水処理を施し、該グロメットをパネルに穿設した貫通穴に装着して車室側へ浸水を防止している。
【0003】
即ち、前記グロメットを挿通するワイヤハーネスの各電線の間および各電線とグロメットの管部との間に隙間があると、該隙間を通してエンジンルーム側より車室内に浸水が生じるため、これら隙間もシールする必要があるため、止水処理が施されている。
【0004】
前記線間防水方法としては、本出願人は、特開2003−242844号公報(特許文献1)で、図13に示すように、低粘度止水剤Aを吐出する第一ノズル2の両側に、高粘度止水剤Bを吐出する第二ノズル3を備えた止水剤塗布具1を用い、電線wの表面に、低粘度止水剤Aの両側に高粘度止水剤Bを隣接させた状態で同時に塗布する方法を提供している。
【0005】
前記特許文献1では、低粘度止水剤Aが各電線w間に浸透するため確実に止水処理を行うことができ、かつ、高粘度止水剤Bによって低粘度止水剤Aの垂れや漏れを防止して、止水剤の使用量を最小限に抑制できるものとしている。
【0006】
しかしながら、前記止水剤塗布具1は、低粘度止水剤Aの両側で高粘度止水剤Bを吐出しているため、低粘度止水剤Aが電線wの長さ方向に広がることを堰き止めることはできるが、該低粘度止水剤Aの下方への垂れ落ちを有効に抑制する点で改良の余地があり、かつ、電線間への低粘度止水剤Aの浸透性を高める点からも改良の余地がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−242844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、低粘度止水剤の垂れ落ちを確実に防止し、該低粘度止水剤の浸透性を高めることにより、止水性能を向上できる止水剤塗布用のノズルの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、第1の発明として、矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け
前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしていることを特徴とする止水剤塗布用のノズルを提供している。
【0010】
前記した本発明の止水剤塗布用のノズルは、車体パネルの貫通穴へ装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤を充填するために下方から上方に移動させ、前記低粘度シリコンを前記電線群に塗布した後に高粘度シリコンを塗布する場合に最も好適に用いられる。
例えば、本発明の止水剤塗布用のノズルは、本出願人の出願に係わる特開2001−24358号公報で開示した止水剤塗布装置に付設されるノズルとして用いられる。
【0011】
即ち、止水剤塗布装置は、並列させた電線群を挟んだ両側に対向して配置し、これら電線群の並列方向と直交する下方から上方に向けて移動機構により移動される止水剤供給管の下部に付設され、該止水剤供給管の上部側に高粘度シリコン供給口と低粘度シリコン供給口とを備え、高粘度シリコン供給口から供給する高粘度シリコンを前記高粘度シリコン吐出口から吐出すると共に、低粘度シリコン供給口から供給する低粘度シリコンを前記低粘度シリコン吐出口から吐出する構成としている。
【0012】
前記構成のノズルは、低粘度シリコンを電線群に直接塗布した後に、該低粘度シリコンの表面を被覆するように高粘度シリコンを塗布するため、高粘度シリコンで低粘度シリコンの垂れ落ちを効果的に防止できると共に、高粘度シリコン吐出口を長尺幅としていることにより、低粘度シリコンの幅方向の流れを堰き止めることができるため、該低粘度シリコンを逃すことなく防水処理区間内の電線間に浸透させることができる。
また、高粘度シリコン吐出口の面積を高粘度シリコン供給口の面積より小さくしているため、高粘度シリコンの塗布圧を高めることができ、これにより低粘度シリコンを線間に押し込む力も増すため、低粘度シリコンを線間へ深く浸透させることができる。
さらに、高粘度シリコン吐出口を長尺幅としているため、高粘度シリコンの塗布幅が広くなり、これにより低粘度シリコンの浸透幅も広く確保することができる。
これらにより、低粘度シリコンの線間浸透性が向上し、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができると共に、止水ポイントが広がるため、止水剤塗布箇所の止水性能を高めることができる。
【0013】
前記高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積の40%〜60%の範囲とすることが好ましい。これは、40%未満では目詰まりが起きやすいために作業性が悪く、60%超では高粘度シリコン塗布圧向上の効果が不十分であることに因る。
【0014】
前記高粘度シリコンの供給路の幅方向の両側では、高粘度シリコン吐出口に向けて傾斜させて広げ、かつ、上下間隔は高粘度シリコン供給口から前記供給路の中間位置まで傾斜させて断面積を連続的に縮小させると共に、該中間位置から高粘度シリコン吐出口までは同一間隔としている。
高粘度シリコン供給路を前記形状とすることにより、高粘度シリコン吐出口を幅方向に広い形状とし、かつ、断面積を供給口よりも狭くすることができるため、高粘度シリコンの塗布幅拡大と塗布圧向上とを両立させることができる。
【0015】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記高粘度シリコン吐出口と前記高粘度シリコン供給口とを連通する高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしていることが好ましい。
【0016】
テフロンは摩擦係数が非常に低いため、このテフロンをハウジング表面にコーティング加工することにより、シリコンの潤滑性が高まり、前記供給路内や、前記吐出口周縁あるいは供給口周縁のシリコン付着を防止できる。従って、付着したシリコンの固化に因る供給路、吐出口、供給口の目詰まりを防ぎ、手入れや修理の手間を軽減できる。
【0017】
第2の発明として、矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口を設け、
前記第一高粘度シリコン吐出口と同一面側の幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設け、これら第二、第三高粘度シリコン吐出口は前記第一高粘度シリコン吐出口と同一高さ位置あるいは前記低粘度シリコン吐出口側に設け、該第二、第三高粘度シリコン吐出口から吐出する高粘度シリコンを低粘度シリコンの幅方向流れの堰き止め用として用いる構成としていることを特徴とする止水剤塗布用のノズルを提供している。
【0018】
前記第2の発明ノズルも前記第1の発明のノズルと同様に、車体パネルの貫通穴に装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤となるシリコンを充填するため下方から上向きに移動させて止水剤を吐出する止水剤塗布用のノズルとして最も好適に用いられる。
低粘度シリコンを電線群に直接塗布した後に、該低粘度シリコンの表面を被覆するように高粘度シリコンを塗布するため、高粘度シリコンで低粘度シリコンの垂れ落ちを防止できると共に、第二、第三高粘度シリコン吐出口の配置により、低粘度シリコンの幅方向の流れを効果的に堰き止めることができるため、該低粘度シリコンを逃すことなく防水処理区間内の電線間に深く浸透させることができる。
【0019】
また、第二、第三高粘度シリコン吐出口の設置により、高粘度シリコンの塗布幅が広くなり、これにより低粘度シリコンの浸透幅も広く確保することができる。
これらにより、低粘度シリコンの線間浸透性が向上し、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができると共に、止水ポイントが広がるため、止水剤塗布箇所の止水性能を高めることができる。
【0020】
前記第二、第三高粘度シリコン吐出口は同一形状とすると共に、該第二、第三高粘度シリコン吐出口の面積は前記第一高粘度シリコン吐出口の面積と相違させている。
第一高粘度シリコン吐出口の面積が第二、第三高粘度シリコン吐出口よりも大きい場合は、第二、第三高粘度シリコン吐出口の塗布圧が高くなるため、低粘度シリコンの幅方向への広がりをより確実に堰き止めることができる。
第一高粘度シリコン吐出口の面積が第二、第三高粘度シリコン吐出口よりも小さい場合は、第一高粘度シリコン吐出口からの塗布圧が高くなるため、低粘度シリコンを電線間に一層深く浸透させることができる。
なお、第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口は、同一面積としてもよい。
【0021】
第1の発明と同様に、前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口と第一、第二、第三高粘度シリコン供給口とを連通する第一、第二、第三高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしていることが好ましい。 前記テフロンコーティングを施すことにより、前記供給路内や、前記吐出口周縁あるいは供給口周縁へのシリコン付着を防止でき、付着したシリコンの固化に因る供給路、吐出口、供給口の目詰まりを防ぎ、手入れや修理の手間を軽減できる。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明の止水剤塗布用のノズルを用いれば、電線群等に先に塗布される低粘度シリコンの表面を、後から塗布される高粘度シリコンで覆うことができるため、低粘度シリコンの垂れ落ちを確実に防止することができる。また、高粘度シリコン吐出口が長尺幅である、あるいは、幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設けていることにより、低粘度シリコンの幅方向への流れを効果的に堰き止めることができる。従って、低粘度シリコンを逃がすことなく線間に浸透させることができる。
【0023】
さらに、高粘度シリコン吐出口の面積を高粘度シリコン供給口の面積を、例えば、40%〜60%の範囲内で小さくすることにより、高粘度シリコンの塗布圧が高くなるため、この高粘度シリコンの高い塗布圧によって低粘度シリコンを線内深く押し込むことができる。
これらにより、低粘度シリコンの浸透性が高まり、電線間の隙間を低粘度シリコンで確実に埋めることができるため、止水性能が向上する。
【0024】
また、高粘度シリコンの塗布幅が広いため、低粘度シリコンの塗布幅も広くなり、止水ポイントを広く確保できるため、この点からも止水性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズル10を示す。
【0026】
ノズル10は、図1(A)に示すワイヤハーネス組立作業台(図示せず)上に立設した布線治具21に挿通したワイヤハーネスW/Hの電線群wの止水区間Xにおいて、図1(B)に示すように、下方から上方に向けて、上下方向に一列に並列した電線群wを挟むように配置した一対の止水剤供給管26(26A、26B)の下部に取り付けられるものである。
【0027】
前記一対の止水剤供給管26は図2(A)(B)に示すように、角筒形状の上下方向に長く、その上部に高粘度シリコンの供給口27を開口していると共に、その下部に低粘度シリコンの供給口28を備え、図2(C)に示すように、低粘度シリコンの供給口28は内部の導管29を介して後述するノズル10の低粘度シリコン供給口13に低粘度シリコンを供給している。高粘度シリコンは供給口27より角筒の中空部を通して後述するノズル10の高粘度シリコンの供給口16に高粘度シリコンを供給している。
【0028】
ノズル10は図3(A)〜(D)に示す構造としている。
ノズル10は矩形状のハウジング11の塗布面側11bには、図3(C)に示すように、幅方向中央部に1つの低粘度シリコン吐出口12を開口し、該低粘度シリコン吐出口12よりも下方側に1つの高粘度シリコン吐出口15を設けている。低粘度シリコン吐出口12は上下方向にやや長い楕円形状とし、高粘度シリコン吐出口15は、低粘度シリコン吐出口12よりも幅方向両側に延在する長尺幅の横長スリット状としている。
【0029】
前記ハウジング11の止水剤供給管26への取付側11aには、図3(A)(B)に示すように、低粘度シリコン吐出口12よりも高位置に低粘度シリコン供給口13を設け、該供給口13から前記吐出口12にかけて下方傾斜させた低粘度シリコン供給路14で連通させている。
また、前記取付側11aには、高粘度シリコン吐出口15と高低差なく高粘度シリコン供給口16を設け、該供給口16から前記吐出口15まで高粘度シリコン供給路17で連通させている。
【0030】
詳しくは、前記高粘度シリコン吐出口15の幅w1は、高粘度シリコン供給口16の幅w2よりもやや広く、上下間隔h1は、高粘度シリコン供給口16の上下間隔h2よりも短く設定して、高粘度シリコン吐出口15の面積を高粘度シリコン供給口16の面積の40%〜60%の範囲内としている。
本実施形態では、高粘度シリコン吐出口15の幅w1を20mm、上下間隔h1を2mm、面積を39mm2とし、高粘度シリコン供給口16の幅w2を18mm、上下間隔h2を35mm、面積を97mm2とし、高粘度シリコン吐出口15の面積を供給口16の面積の40%に設定している。
【0031】
前記高粘度シリコン供給路17は、図3(D)に示すように、幅方向両側17a、17bを、高粘度シリコン供給口16から吐出口15に向けてテーパー状に広げる一方、図3(B)に示すように、上面側17cを、供給口16から供給路17の中間位置17eまで下方傾斜させた後、該中間位置17eから吐出口15までは水平とし、底面側17dは、供給口16から吐出口15にかけて水平としている。これにより、高粘度シリコン供給路17は、供給口16から前記中間位置17eまで上下間隔を狭めて断面積を連続的に減少させ、該中間位置17eから供給口15までは上下間隔を同一に設定している。
【0032】
前記ノズル10は、アルミを切削加工してハウジング11を作製した後、図4に示すように、該ハウジング11の全表面にテフロン18をコーティング加工を施している。このテフロン18のコーティング加工は、前記低粘度シリコン供給路14の全内周面と高粘度シリコン供給路17の全内周面にも行う。
【0033】
次に、ワイヤハーネスW/Hの止水区間Xの止水処理方法を説明する。
まず、前記図1(A)に示すように、ワイヤハーネス組立作業台(図示せず)上に立設した布線治具21にワイヤハーネスW/Hを挿通して、電線wの止水区間Xを上下方向に一列に並列した状態で配置する。
前記布線治具21は、ワイヤハーネス組立作業台に着脱自在に取り付ける支持軸22により支持され、ワイヤハーネスW/Hの電線wの布線方向に延在する基部23から所要間隔をあけて一対の電線保持部24、25を突出している。この電線保持部24、25は、上端開口24a、25aから電線wを挿入させると共に、挿入した電線wを一列に並列させる細幅な電線挿入用長穴24b、25bを備えている。
【0034】
次いで、低粘度シリコンをノズル10の低粘度シリコン供給口13に供給すると共に、高粘度シリコンをノズル10の高粘度シリコン供給口16に供給し、該ノズル10を下方から上向きに移動させて、前記防水区間Xの電線wに低粘度シリコン31と高粘度シリコン32とを塗布する。
【0035】
最後に、図1(C)に示すように、電線wの表面に粘着剤が塗布された発泡シートSを被せ、該発泡シートS内で低粘度シリコン31と高粘度シリコン32の塗布箇所を丸めて、テープTを巻き付けて固定する。
この状態で、グロメット40の筒部内に挿通して、図1(D)に示すように、グロメット40の小径筒部41の内周面に電線wの止水部を密着させる。
該グロメット40は、ワイヤハーネスを自動車に配索する際に、車体パネル43の貫通穴44に係止鍔部42を挿入係止して装着される。
【0036】
前記構成のノズル10を用いると、図5(A)に示すように、電線wの表面に低粘度シリコン31が先に塗布され、その後、該低粘度シリコン31の表面を覆うように高粘度シリコン32が塗布されるため、低粘度シリコン31の垂れ落ちを確実に防止できる。
また、高粘度シリコン吐出口15の幅が長尺であることにより、高粘度シリコン32の塗布幅が広くなるため、図5(B)に示すように、低粘度シリコン31の幅方向の流れも堰き止めることができる。従って、低粘度シリコン31を逃すことなく電線wの間に浸透させることができる。
【0037】
また、高粘度シリコン吐出口15の面積を高粘度シリコン供給口16の面積の40%に設定しているため、高粘度シリコン32の塗布圧が高まり、先に塗布されている低粘度シリコン31を電線wの間に強く押し込むことができる。これにより、低粘度シリコン31の浸透性が向上し、電線wの間に低粘度シリコン31を隙間なく埋めることができるため、電線w間の止水処理を確実に行うことができる。
【0038】
さらに、高粘度シリコン吐出口15が幅方向に長尺な形状であるため、低粘度シリコン31の塗布幅も広く確保でき、止水ポイントを拡大できる。従って、止水性能をより向上させることができる。
さらにまた、低粘度シリコン供給路14の内周面および高粘度シリコン供給路17の内周面を含むハウジング11の全表面にテフロン18をコーティング加工しているため、低粘度シリコン供給路14内や高粘度シリコン供給路17内、また、シリコン吐出口12、15やシリコン供給口13、16の周縁にシリコンが付着することによる目詰まり等を防止でき、メンテナンスの手間を省くことができる。
【0039】
図6に第一実施形態の変形例1を示す。
変形例1では、高粘度シリコン吐出口15の形状を、幅方向両端部を上方に湾曲させた円弧スリット形状としている。
このように、高粘度シリコン吐出口15を、低粘度シリコン吐出口12の下半側を囲むように配置しているため、低粘度シリコン31の幅方向への流れと、幅方向両端からの垂れ落ちを効果的に防止できる。
【0040】
図7および図8に本発明の第二実施形態を示す。
第二実施形態では、高粘度シリコン32を3箇所の吐出口15−1、15−2、15−3から吐出する構成としている。
【0041】
詳しくは、ハウジング11の塗布面側11bの幅方向中央部に1つの低粘度シリコン吐出口12を開口し、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口15−1を設け、該第一高粘度シリコン吐出口15−1の左右両側に、所要間隔をあけて第二高粘度シリコン吐出口15−2と第三高粘度シリコン吐出口15−3を設けている。
これら第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3は同一高さ位置に設けられ、いずれも同一形状および同一面積の円形穴としている。
【0042】
ハウジング11の前面側11aには、図7(A)(B)に示すように、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3と高低差なく、第一、第二、第三高粘度シリコン供給口16−1〜16−3を設けている。各供給口16−1〜16−3から吐出口15−1〜15−3までは、図7(B)(D)に示すように、夫々独立した高粘度シリコン供給路17−1〜17−3で連通させている。
【0043】
前記高粘度シリコン供給路17−1〜17−3はいずれも同一形状および同一断面積よりなり、各供給路17−1〜17−3は、水平方向に貫通し、供給口16−1〜16−3から吐出口15−1〜15−3にかけて同一形状および同一断面積としている。
【0044】
低粘度シリコン吐出口12、供給口13、供給路14については前記第一実施形態と同一構成としている。
また、ハウジング11の全表面にテフロン18のコーティング加工を施している点も第一実施形態と同一である。
【0045】
本実施形態に係るノズル10を用いると、図8(A)に示すように、電線wの表面に低粘度シリコン31が先に塗布され、その後、第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3から吐出された高粘度シリコン32が低粘度シリコン31の表面を覆うように塗布されるため、低粘度シリコン31の垂れ落ちを確実に防止できる。特に、幅方向両側に形成された第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3により、図7(B)に示すように、低粘度シリコン31の幅方向の流れを効果的に堰き止めることができる。従って、低粘度シリコン31を逃すことなく電線wの間に浸透させることができる。
【0046】
また、3つの高粘度シリコン吐出口15−1〜15−3を幅方向に間隔をあけて配置しているため、高粘度シリコン32の塗布幅が広がり、これにより低粘度シリコン31の塗布幅も広く確保でき、止水ポイントを拡大できる。従って、止水性能をより向上させることができる。
【0047】
図9に第二実施形態の変形例1を示す。
本変形例1では、図9(C)に示すように、第一高粘度シリコン吐出口15−1の面積を第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、5−3の面積よりも小さくしている。
第一高粘度シリコン供給路17−1は、図9(B)に示すように、供給口16−1から吐出口15−1にかけて漏斗状として断面積を連続的に縮小させ、第二、第三高粘度シリコン供給路17−2、17−3は、供給路16−2、16−3から吐出口15−2、15−3にかけて拡径させて断面積を連続的に拡大している。
【0048】
本変形例1においては、中央の第一高粘度シリコン吐出口15−1から吐出される高粘度シリコン32の塗布圧が高まるため、低粘度シリコン31を所望区間に的確に押し込んで深く浸透させることができる。
【0049】
図10に本発明の第三実施形態を示す。
第三実施形態では、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3を、低粘度シリコン吐出口12と同一高さで、該低粘度シリコン吐出口12より幅方向両側へ所要間隔をあけた位置に形成している。
その他の構成は前記第二実施形態と同一としている。
【0050】
本実施形態は、低粘度シリコン吐出口12から低粘度シリコン31が吐出されるのと同時に、該低粘度シリコン31の吐出箇所と同一高さの両側で、前記第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3から高粘度シリコン32が吐出されるため、低粘度シリコン31が幅方向両側に流れ溢れることをより確実に堰き止めることができる。
【0051】
図11に第三実施形態の変形例1を示す。
該変形例1では、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3を、低粘度シリコン吐出口12よりも上方位置の幅方向両側に形成している。
【0052】
図12に第三実施形態の変形例2を示す。
該変形例2では、第一高粘度シリコン吐出口15−1の面積を、第二、第三高粘度シリコン吐出口15−2、15−3の面積よりも大きくしている。
これにより、第一高粘度シリコン吐出口15−1と、第二、第三シリコン吐出口15−2、15−3との間隔を狭めることができ、高粘度シリコンの未塗布領域が発生することを防止できる。
【0053】
なお、前記いずれの実施形態もグロメットに挿通する電線群に予め止水剤を塗布するものであるが、本発明のノズルは前記用途に限定されず、グロメットを挿通する他の挿通材、への止水剤の塗布、さらに、止水剤を塗布する必要がある部材へ止水剤を塗布する場合にも好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(A)〜(D)は、本発明の第一実施形態のノズルを用いたワイヤハーネスの止水処理作業を示す概略説明図である。
【図2】止水剤塗布装置を示し、(A)が概略側面図、(B)は止水剤供給管の斜視図、(C)は止水剤供給管の断面図である。
【図3】第一実施形態にノズルを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は後面(塗布面)図、(D)はD−D線断面図である。
【図4】図3(B)の拡大図である。
【図5】シリコン塗布状態を示し、(A)はシリコン塗布箇所の上下方向断面図、(B)は幅方向断面図である。
【図6】第一実施形態の変形例1の要部を示すノズル後面図である。
【図7】第二実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズルを示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は上面図、(D)はD−D線断面図、(E)は後面(塗布面)図である。
【図8】図7に示すノズルで塗布したシリコンの塗布状態を示し、(A)はシリコン塗布箇所の上下方向断面図、(B)は幅方向断面図である。
【図9】第二実施形態の変形例1を示し、(A)は正面図、(B)はB−B線断面図、(C)は後面(塗布面)図である。
【図10】第三実施形態に係るワイヤハーネスへの止水剤塗布用のノズルの要部を示す後面図である。
【図11】第三実施形態の変形例1の要部を示すノズル後面図である。
【図12】第三実施形態の変形例2の要部を示すノズル後面図である。
【図13】従来例の図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ノズル
11 ハウジング
12 低粘度シリコン吐出口
15 高粘度シリコン吐出口
15−1 第一高粘度シリン吐出口
15−2 第二高粘度シリコン吐出口
15−3 第三高粘度シリコン吐出口
16 高粘度シリコン供給口
17 高粘度シリコン供給路
26 止水剤供給管
W/H ワイヤハーネス
w 電線
X 止水区間
S 発泡シート
T テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け
前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしていることを特徴とする止水剤塗布用のノズル。
【請求項2】
前記高粘度シリコンの供給路の幅方向の両側では、高粘度シリコン吐出口に向けて傾斜させて広げ、かつ、上下間隔は高粘度シリコン供給口から前記供給路の中間位置まで傾斜させて断面積を連続的に縮小させると共に、該中間位置から高粘度シリコン吐出口までは同一間隔としている請求項1に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項3】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記高粘度シリコン吐出口と前記高粘度シリコン供給口とを連通する高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロン(登録商標)コーティングしている請求項1または請求項2に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項4】
矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口を設け、
前記第一高粘度シリコン吐出口と同一面側の幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設け、これら第二、第三高粘度シリコン吐出口は前記第一高粘度シリコン吐出口と同一高さ位置あるいは前記低粘度シリコン吐出口側に設け、該第二、第三高粘度シリコン吐出口から吐出する高粘度シリコンを低粘度シリコンの幅方向流れの堰き止め用として用いる構成としていることを特徴とする止水剤塗布用のノズル。
【請求項5】
前記第二、第三高粘度シリコン吐出口は同一形状とすると共に、該第二、第三高粘度シリコン吐出口の面積は前記第一高粘度シリコン吐出口の面積と相違させている請求項4に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項6】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口と第一、第二、第三高粘度シリコン供給口とを連通する第一、第二、第三高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしている請求項4または請求項5に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項7】
車体パネルの貫通穴へ装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤を充填するために下方から上方に移動させ、前記低粘度シリコンを前記電線群に塗布した後に高粘度シリコンを塗布するものである請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項1】
矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方側に高粘度シリコン吐出口を設け
前記高粘度シリコン吐出口は前記低粘度シリコン吐出口より幅方向の両側に延在する長尺幅とし、かつ、該高粘度シリコン吐出口と高粘度シリコン供給口とを連通する供給路は吐出側に向けて断面積を縮小させ、該高粘度シリコン吐出口の面積は高粘度シリコン供給口の面積より小さくしていることを特徴とする止水剤塗布用のノズル。
【請求項2】
前記高粘度シリコンの供給路の幅方向の両側では、高粘度シリコン吐出口に向けて傾斜させて広げ、かつ、上下間隔は高粘度シリコン供給口から前記供給路の中間位置まで傾斜させて断面積を連続的に縮小させると共に、該中間位置から高粘度シリコン吐出口までは同一間隔としている請求項1に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項3】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記高粘度シリコン吐出口と前記高粘度シリコン供給口とを連通する高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロン(登録商標)コーティングしている請求項1または請求項2に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項4】
矩形状のハウジングの一面側の幅方向中央部に開口する1つの低粘度シリコン吐出口と、該低粘度シリコン吐出口より下方の幅方向中央部に1つの第一高粘度シリコン吐出口を設け、
前記第一高粘度シリコン吐出口と同一面側の幅方向両側に第二、第三高粘度シリコン吐出口を設け、これら第二、第三高粘度シリコン吐出口は前記第一高粘度シリコン吐出口と同一高さ位置あるいは前記低粘度シリコン吐出口側に設け、該第二、第三高粘度シリコン吐出口から吐出する高粘度シリコンを低粘度シリコンの幅方向流れの堰き止め用として用いる構成としていることを特徴とする止水剤塗布用のノズル。
【請求項5】
前記第二、第三高粘度シリコン吐出口は同一形状とすると共に、該第二、第三高粘度シリコン吐出口の面積は前記第一高粘度シリコン吐出口の面積と相違させている請求項4に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項6】
前記低粘度シリコン吐出口と低粘度シリコン供給口とを連通する低粘度シリコン供給路の内周面と、前記第一、第二、第三高粘度シリコン吐出口と第一、第二、第三高粘度シリコン供給口とを連通する第一、第二、第三高粘度シリコン供給路の内周面とを含む、前記ハウジングの表面をテフロンコーティングしている請求項4または請求項5に記載の止水剤塗布用のノズル。
【請求項7】
車体パネルの貫通穴へ装着されるグロメットに挿通するワイヤハーネスの電線群を上下方向に並設した状態で、これら電線群の間に止水剤を充填するために下方から上方に移動させ、前記低粘度シリコンを前記電線群に塗布した後に高粘度シリコンを塗布するものである請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の止水剤塗布用のノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−181815(P2008−181815A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15547(P2007−15547)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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