説明

正極板の製造方法

【課題】 正極ペーストを適切な粘度に調製可能な正極板の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属箔28と、この金属箔上に形成され、正極活物質粒子22、炭素系の導電助剤23及び結着材24を含む正極活物質層21とを有する正極板20の製造方法は、正極ペースト21Pを作製する正極ペースト作製工程と、この正極ペーストを金属箔上に塗布する塗布工程とを備え、正極ペースト作製工程は、横軸を混合粉体密度とし、対数目盛の縦軸を正極ペーストの粘度とした片対数グラフにおいて、混合粉体の混合粉体密度の値x、及び、正極ペーストの粘度の値yの組(x、y)が領域R内に入るように、50〜65wt%の範囲から選択した固形分濃度NVに、正極ペーストを調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池に用いる正極板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車などの車両や、ノート型パソコン、ビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源に、充放電可能なリチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう)が利用されている。
この電池に用いられる正極板の正極ペーストとして、例えば、特許文献1には、活物質(正極活物質粒子)と導電性物質(導電助剤)とバインダ樹脂(結着材)との合計組成割合(固形分濃度)が自身の60wt%以上であり、かつ、粘度が40Pa・s以下である正極ペースト組成物(正極ペースト)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−30691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、正極ペーストの固形分濃度は高いほど、正極板の製造上好ましい。塗布後の乾燥時間や使用する溶媒量を抑えることができるからである。しかしながら、正極ペーストの固形分濃度を高くすべく、用いる溶媒量を減らすと、正極ペーストの粘度が高くなり、例えば、ダイコータ等の塗工機を用いて適切に塗布できなくなる場合がある。
前述した特許文献1では、比較的高い固形分濃度(60wt%以上)で、かつ、40Pa・s以下の粘度の正極ペーストが示されているが、この特許文献1には、1つの実施例の記載しかなく、しかも、正極ペーストの粘度を40Pa・s以下に調製する具体的な手法に関する記載がない。
【0005】
また、正極ペーストの固形分濃度、及び、正極活物質粒子と導電助剤と結着材との配合割合を一定に保った正極ペーストでは、正極ペーストの固形分濃度が比較的高い領域(具体的には、50〜65wt%の範囲)において、混合粉体密度と、正極ペーストの粘度との間に相関があることが判ってきた。具体的には、導電助剤の材質を変えることにより、正極ペーストの混合粉体密度を高くすると、正極ペーストの粘度が低くなり、逆に、混合粉体密度を低くすると、正極ペーストの粘度が高くなる。
なお、正極活物質粒子、導電助剤及び結着材は固形成分となる。また、固形分濃度とは、正極ペーストに占める固形成分の割合をいう。従って、固形分濃度は、固形分濃度=(固形成分(正極活物質粒子,導電助剤,結着材)の質量)/((固形成分の質量)+(溶媒の質量))×100(wt%)で表される。
また、混合粉体密度とは、溶媒と混合する前の正極活物質粒子と導電助剤とを混合した混合粉体を、予め定めた一定のプレス条件でプレスして形成した圧粉体の密度をいう。
【0006】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであって、正極ペーストを適切な粘度に調製可能な正極板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、金属箔と、上記金属箔上に形成され、正極活物質粒子、炭素系の導電助剤、及び、結着材を含む正極活物質層と、を有する正極板の製造方法であって、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、溶媒と共に混合して、正極ペーストを作製する正極ペースト作製工程と、上記正極ペーストを上記金属箔上に塗布する塗布工程と、を備え、上記正極活物質粒子と上記導電助剤とを上記正極ペーストにおける配合割合と同じ割合で配合し混合した混合粉体を、内径が20mmの円筒形状のシリンダに10g投入した後、軸線方向に8.0Paの圧力条件にてプレスした圧粉体の密度を混合粉体密度とし、B型の回転粘度計を用いて、2s-1の剪断速度で、上記正極ペーストの粘度を測定したときの測定値を、上記正極ペーストの上記粘度の値yとし、上記正極ペーストにおける、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、固形成分とし、上記正極ペーストに占める上記固形成分の割合を、固形分濃度としたとき、上記正極ペースト作製工程は、横軸を上記混合粉体密度とし、対数目盛の縦軸を上記正極ペーストの上記粘度とした片対数グラフにおいて、上記混合粉体の上記混合粉体密度の値x、及び、上記正極ペーストの上記粘度の値yの組(x、y)が、以下のA,B,C及びD点を直線で結ぶ領域内に入るように、50〜65wt%の範囲から選択した上記固形分濃度に、上記正極ペーストを調製する正極板の製造方法である。
A点:(2.19g/cc,5000mPa・s)
B点:(2.34g/cc,500mPa・s)
C点:(2.53g/cc,500mPa・s)
D点:(2.38g/cc,5000mPa・s)
【0008】
上述の製造方法では、正極ペースト作製工程は、混合粉体密度の値x、及び、粘度の値yの組(x、y)がA〜D点を直線で結ぶ領域内に入るように、50〜65wt%の範囲から固形分濃度を選択し、正極ペーストをその固形分濃度に調製する。このため、固形分濃度が比較的高い(50〜65wt%)の範囲の正極ペーストでありながら、粘度がダイコータを用いて塗布可能な範囲(500〜5000mPa・s)内の正極ペーストを作製することができる。従って、その正極ペーストを適切に塗布して正極板を製造できる。
【0009】
なお、炭素系の導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、カーボンファイバが挙げられる。また、正極活物質粒子としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiCoNiO
2、LiNiCoMnO2などの層状酸化物や、LiMn24等のスピネル系酸化物や、L
iFePO4等のオリビン系酸化物の粒子が挙げられる。また、結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。また、溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
【0010】
或いは、本発明の他の態様は、金属箔と、上記金属箔上に形成され、正極活物質粒子、炭素系の導電助剤、及び、結着材を含む正極活物質層と、を有する正極板の製造方法であって、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、溶媒と共に混合して、正極ペーストを作製する正極ペースト作製工程と、上記正極ペーストを上記金属箔上に塗布する塗布工程と、を備え、上記溶媒と混合する前の上記正極活物質粒子と上記導電助剤とを混合した粉体を混合粉体とし、上記混合粉体を予め定めた一定のプレス条件でプレスして圧粉体を形成した場合における、上記圧粉体の密度を混合粉体密度とし、上記正極ペーストにおける、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、固形成分とし、上記正極ペーストに占める上記固形成分の割合を、固形分濃度としたとき、上記正極ペースト作製工程は、上記正極ペーストの上記固形分濃度、及び、上記正極活物質粒子と上記導電助剤と上記結着材との配合割合を保ちつつ、上記正極ペーストに用いる上記導電助剤の材質を変更して、上記混合粉体密度を変化させて、上記正極ペーストの粘度を変更する粘
度変更工程を含む正極板の製造方法である。
【0011】
上述した正極板の製造方法は、上述の正極ペースト作製工程及び塗布工程を備え、正極ペースト作製工程は、固形分濃度及び配合割合を保ちつつ、導電助剤の材質を変更して、混合粉体密度を変化させて、正極ペーストの粘度を変更する粘度変更工程を含む。これにより、正極ペーストの粘度を調製して適切に正極板を製造することができる。
【0012】
なお、導電助剤の材質を変更する手法としては、同じ炭素系の導電助剤のうちで、密度(例えば、TAP密度や静嵩密度)や比表面積(例えば、BET法を用いて測定したBET比表面積)や平均粒径の異なる材質のものに変更する手法のほか、複数種類の炭素系の導電助剤を混合した混合の導電助剤における各導電助剤の割合を変更する手法をも含む。
【0013】
また、混合粉体密度は、以下のようにして得る。まず、正極活物質粒子と導電助剤とを、正極ペーストに用いるのと同じ配合割合で混合して、これらの混合粉体を作製する。そして、φ40mmの円筒形状のシリンダ内に、その混合粉体を所定量(例えば10g)投入した後、その投入した混合粉体を軸線方向に一定のプレス条件(例えば8.0Paの圧力)で加圧し、できた圧粉体の体積を測定する。そして、この圧粉体の体積で、投入した混合粉体の重量(10g)を除した値を混合粉体密度とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1,2の電池の斜視図である。
【図2】実施形態1,2の正極板の斜視図である。
【図3】回転粘度計の概略図である。
【図4】正極ペーストに関する、混合粉体密度と粘度との関係を示すグラフである。
【図5】実施形態1,2にかかる正極板の製造方法を示す説明図である。
【図6】固形分濃度NVをパラメータとした、正極ペーストに関する混合粉体密度と粘度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態1にかかる製造方法で製造された正極板20を備える電池1について、図1,2を参照しつつ説明する。
この電池1は、いずれも帯状の正極板20、負極板30及びセパレータ40を備え、これらを捲回した捲回型の電極体10をなすリチウムイオン二次電池である(図1参照)。なお、電池1は、図1に示すように、電極体10を電池ケース80に収容してなる。
【0016】
この電池ケース80は、共にアルミニウム製の電池ケース本体81及び封口蓋82を有する。このうち電池ケース本体81は有底矩形箱形であり、この電池ケース80と電極体10との間には、樹脂からなり、箱状に折り曲げた絶縁フィルム(図示しない)が介在させてある。また、封口蓋82は矩形板状であり、電池ケース本体81の開口を閉塞して、この電池ケース本体81に溶接されている。この封口蓋82には、電極体10と接続している正極集電部材91及び負極集電部材92のうち、それぞれ先端に位置する正極端子部91A及び負極端子部92Aが貫通しており、図1中、上方に向く蓋表面82aから突出している。これら正極端子部91A及び負極端子部92Aと封口蓋82との間には、それぞれ絶縁性の樹脂からなる絶縁部材95が介在し、互いを絶縁している。さらに、この封口蓋82には矩形板状の安全弁97も封着されている。
【0017】
また、電極体10は、正極板20と負極板30との間に、セパレータ40を介して扁平形状に捲回されてなる(図1参照)。この電極体10の最外側及び最内側には、セパレータ40のみが数周捲回されている。なお、この電極体10の正極板20及び負極板30はそれぞれ、クランク状に屈曲した板状の正極集電部材91又は負極集電部材92と接合している(図1参照)。このうち、多孔質状のポリエチレンからなるセパレータ40には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合有機溶媒に溶質(LiPF6)を添加してなる電解液(図示しない)が含浸されている。
【0018】
また、薄板形状の負極板30は、帯状で銅製の銅箔(図示しない)と、この銅箔の両主面上に、それぞれ帯状に形成・配置された2つの負極活物質層(図示しない)とを有している。
このうち負極活物質層は、グラファイトからなる負極活物質粒子、及び、PVDFからなる結着材(いずれも図示しない)を含む。
【0019】
一方、薄板形状の正極板20は、図2に示すように、長手方向DAに延びる帯状のアルミニウム箔28と、このアルミニウム箔28の両主面上に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に形成・配置された2つの正極活物質層21,21とを有している。
このうち正極活物質層21は、LiNiCoMnO2からなる正極活物質粒子22、TAP密度が39g/cc、BET比表面積(BET法によって測定した比表面積)が0.15m2/g、平均粒径が48nmのアセチレンブラック(以下、アセチレンブラック1ともいう)と、TAP密度が0.04m2/g、BET比表面積が68m2/g、平均粒径が35nmのアセチレンブラック(以下、アセチレンブラック2ともいう)とを混合した混合物からなる導電助剤23、及び、PVDFからなる結着材24を含む。
なお、この正極活物質層21における、正極活物質粒子22と導電助剤23と結着材24との配合割合は、重量比で、正極活物質粒子22:導電助剤23:結着材24=92:6:2である。また、この正極活物質層21は、正極活物質粒子22と導電助剤23と結着材24とを溶媒26と共に混合した正極ペースト21P(後述)を塗布し、乾燥してなる。また、本実施形態1では、後述するように正極板20を製造する際に、正極ペースト21Pの粘度Vを変更するため、正極活物質層21の導電助剤23を、アセチ
レンブラック1からアセチレンブラック1とアセチレンブラック2との混合物に変更している。
【0020】
ところで、発明者らは、正極板を製造する際に用いる正極ペーストの特性、即ち、正極ペーストに用いる正極活物質粒子と導電助剤との混合粉体密度MDと、正極ペーストの粘度Vとの関係について調査した。
具体的には、表1に示す、導電助剤が異なる複数の試料ペースト(試料ペーストTP1,TP2,TP3,TP4,TP5,TP6)をそれぞれ作製した。
このうち、試料ペーストTP1の導電助剤には、BET比表面積が26m2/g、平均粒径が2400nmの鱗片形状のグラファイトを用いた。また、試料ペーストTP2の導電助剤には、BET比表面積が13m2/g、繊維長が10μmのカーボンファイバを、試料ペーストTP3には、前述したアセチレンブラック1を、試料ペーストTP4には、前述したアセチレンブラック2をそれぞれ用いた。さらに、試料ペーストTP5の導電助剤には、TAP密度が0.28g/cc、BET比表面積が58m2/g、平均粒径が40nmのファーネスブラックを、試料ペーストTP6には、BET比表面積が800m2/g、平均粒径が39.5nmのケッチェンブラックをそれぞれ用いた。
なお、いずれの試料ペーストTP1〜TP6とも、正極活物質粒子にはLiNiCoMnO2を、結着材にはPVDFを、溶媒にはNMPを、それぞれ用いた。また、各試料ペーストTP1〜TP6における、固形分濃度NV(=50wt%)、及び、正極活物質粒子と導電助剤と結着材との配合割合(正極活物質粒子:導電助剤:結着材=92:6:2)はそれぞれ同じとしている。即ち、正極ペーストの固形分濃度NV及び配合割合は一定である。
【0021】
【表1】

【0022】
上述した各試料ペーストTP1〜TP6に用いる正極活物質粒子と導電助剤との混合粉体密度MD、及び、各試料ペーストTP1〜TP6の粘度Vをそれぞれ測定した。
混合粉体密度MDの測定では、まず、溶媒と混合する前の、共に粉体の正極活物質粒子と導電助剤とを用意し、これらを重量比で正極活物質粒子:導電助剤=92:6の配合割合で混合して、これらの混合粉体を作製した。そして、φ40mmの円筒形状のシリンダ(図示しない)内に、その混合粉体を10g投入した後、混合粉体を軸線方向に所定のプレス条件(具体的には、8.0Paの圧力)で加圧(プレス)する。その後、できた円柱形状の圧粉体の体積を、シリンダの目盛りから読み取る。この圧粉体の密度、即ち、投入した混合粉体の重量を圧粉体の体積で割った値を算出して、この値を混合粉体密度MDとする。
【0023】
また、図3に概略図を示すB型の回転粘度計VMを用いて、各試料ペーストTP1〜TP6の粘度Vをそれぞれ測定した。この回転粘度計VMは、軸芯AXを中心に回転可能な、平面円板形状のプレートVMCと、軸芯AXに垂直な平面形状の基盤VMBとを有する。
プレートVMCの剪断速度を2s-1に設定して、各試料ペーストTP1〜TP6の粘度Vをそれぞれ測定した。
【0024】
各試料ペーストTP1〜TP6の測定結果について、横軸を混合粉体密度MDとし、対数目盛の縦軸を正極ペーストの粘度Vとした片対数グラフにプロットした(図4参照)。さらに、各試料ペーストTP1〜TP6の測定結果に基づいて近似直線(グラフ中、破線で示す直線)を記した。
このグラフによれば、導電助剤が変わると、混合粉体密度MDが変化することが判る。なお、試料ペーストTP3及び試料ペーストTP4の測定結果から判るように、同種の導電助剤(本例ではアセチレンブラック)であっても、物性値(TAP密度、BET比表面積及び平均粒径)が異なれば、混合粉体密度MDもまた異なるものとなる。
さらに、固形分濃度NV、及び、正極活物質粒子等の配合割合を一定に保った正極ペースト相互間では、混合粉体密度MDと粘度Vとの間に相関があることが判る。具体的には、混合粉体密度MDが高い正極活物質粒子22と導電助剤23とを用いた正極ペーストでは、固形分濃度NV及び配合割合に変化がなくても、その粘度Vが低くなる。逆に、混合粉体密度MDが低い正極活物質粒子22と導電助剤23を用いた正極ペーストでは、その粘度Vが高くなる。これは、固形分濃度NV、及び、正極活物質粒子、導電助剤及び結着材の配合割合を一定とした正極ペーストであっても、用いた導電助剤のTAP密度が低いと、ペーストに占める導電助剤の体積が増し、ペーストの流動が妨げられて粘度が上昇すると考えられる。
従って、例えば、固形分濃度NV、正極活物質粒子22、導電助剤23及び結着材24の配合割合を変えることなく、ペーストの粘度Vを上げるには、混合粉体密度MDが低くなる正極活物質粒子22及び導電助剤23を用いると良く、このために、導電助剤について言えばTAP密度の低いものに変更すると良いことが判る。また逆に、粘度Vを下げる場合には、混合粉体密度MDが高くなる正極活物質粒子22及び導電助剤23を用いると良いことが判る。
【0025】
次いで、電池1に用いる正極板20の製造方法について、図5を参照しつつ説明する。
この正極板20の製造方法に、正極活物質粒子22、導電助剤23及び結着材24を、溶媒26と共に混合して、正極ペースト21Pを作製する正極ペースト作製工程、及び、この正極ペースト21Pを前述したアルミニウム箔28上に塗布する塗布工程を含む。
【0026】
このうち、正極ペースト作製工程ではミキサ100を用いる(図5参照)。このミキサ100は、有底円筒形状の混合槽110と、この混合槽110内において内容物を攪拌するプロペラ形状の攪拌はね120とを備える。このうち、攪拌はね120は、図示しない駆動源により、混合槽110内で回転し、そのときに生じる剪断力で混合槽110内の内容物を攪拌・混練する。
【0027】
一方、塗布工程では、図5に示す塗工装置150を用いる。この塗工装置150は、巻出し部151、ダイ160、ヒータ170、巻取り部152、及び、複数の補助ローラ153,153を備えている。
【0028】
このうち、ダイ160は、正極ペースト21Pを内部に貯留するペースト貯留部161と、このペースト貯留部161の正極ペースト21Pをアルミニウム箔28の主面上に向かって連続的に吐出する吐出口162とを有する。このうち吐出口162は、スリット状で、長手方向DAに移動するアルミニウム箔28の主面上に、帯状に正極ペースト21Pを吐出するべく、アルミニウム箔28の幅方向(図5中、奥行き方向)に平行に開口している。
【0029】
また、ヒータ170は、アルミニウム箔28、及び、このアルミニウム箔28に塗布された正極ペースト21Pを加熱する。これにより、2つのヒータ170,170の間を移動している間に、アルミニウム箔28を暖めると共に、このアルミニウム箔28に塗布された正極ペースト21P内の溶媒26を揮発させる。従って、ヒータ170を通過し終えたときには、正極ペースト21Pを全乾燥、即ち、正極ペースト21P内の溶媒26を全て蒸発させることができる。
【0030】
次いで、正極ペースト作製工程について説明する。
この正極ペースト作製工程は、正極ペースト21Pを一旦調製する調製工程と、この正極ペースト21Pの粘度Vを測定する測定工程とを有する。さらに、固形分濃度NV、及び、正極活物質粒子22と導電助剤23と結着材24との配合割合を保ちつつ、正極ペースト21Pに用いる導電助剤23の材質を変更して、混合粉体密度MDを変化させて、正極ペースト21Pの粘度Vを変更する粘度変更工程とを含む。
【0031】
まず、調製工程では、具体的には、正極活物質粒子22を92重量部と、結着材24であるPVDFを2重量部と、導電助剤としてアセチレンブラック1(TAP密度が39g/cc、BET比表面積が0.15m2/g、平均粒径が48nm)のみを6重量部と、溶媒26であるNMPとを混合(混練)して正極ペーストを調製した。なお、これら正極活物質粒子22、導電助剤23、結着材24及び溶媒26の各投入量(絶対量)を調整して、正極ペースト21Pの固形分濃度NVを50wt%にした。具体的には、固形成分(正極活物質粒子22,導電助剤23,結着材24)の投入量(質量)と、溶媒26の投入量(質量)とが、(固形成分の投入量):(溶媒26の投入量)=1:1になるように、正極活物質粒子22、導電助剤23、結着材24及び溶媒26を混合して、正極ペースト21Pを調製した。
次いで、測定工程で、この正極ペーストの粘度Vを測定したところ、約800mPa・sであり、この正極ペーストの粘度Vが、本実施形態1における正極ペーストの所望の値(=1000mPa・s)から外れていることが判った。
【0032】
そこで、粘度変更工程では、正極ペースト21Pにおける固形分濃度NV(50wt%)及び配合割合(正極活物質粒子22:導電助剤23:結着材24=92:6:2)を一定に保ちつつ、導電助剤の材質を、上述のアセチレンブラック1のみから、このアセチレンブラック1と前述したアセチレンブラック2とを混合した混合物に変えて、正極ペースト21Pを再度調製した。
具体的には、混合槽110内の正極活物質粒子22と導電助剤23との配合比は変えずに、混合粉体密度MDが2.30g/ccとなる混合粉末(アセチレンブラック1及びアセチレンブラック2)の配合比を決定する。なお、前述した、図4のグラフ(固形分濃度NV及び配合割合が一定の正極ペーストに関する、混合粉体密度MDと粘度Vとの関係)を用いて、正極ペーストの粘度Vが1000mPa・sのときの混合粉体密度MDの値を2.30g/ccにした。
再調製の正極ペースト21Pが、決定した配合比となる投入量のアセチレンブラック2、正極活物質粒子22、結着材24及び溶媒26を混合槽110にそれぞれ投入し、ミキサ100でこれらを混合(混練)した。
【0033】
再調製の正極ペースト21Pの粘度Vを測定したところ、1000mPa・sであった。かくして、本実施形態1における正極ペースト21Pの粘度Vを所望の値に変更する
ことができた。
これは、前述の図4に示したように、導電助剤にアセチレンブラック2のみを用いた試料ペーストTP4は、アセチレンブラック1のみを用いた試料ペーストTP3に比して、混合粉体密度MDが低い一方、粘度Vが高い。このため、導電助剤をアセチレンブラック1のみから、アセチレンブラック1とアセチレンブラック2との混合物に変えることで、混合粉体密度MDを低い値に変更して、低かった(800mPa・s)正極ペースト21Pの粘度Vを、1000mPa・sまで上げることができたと考えられる。
【0034】
上述した正極ペースト作製工程の後、塗布工程では、まず、塗工装置150の巻出し部151に予め捲回した帯状のアルミニウム箔28を長手方向DAに移動させ、そのアルミニウム箔28の主面上に、ダイ160により正極ペースト21Pを塗布する。その後、この正極ペースト21Pをヒータ170で乾燥させ、巻取り部152に一旦巻き取る。
続いて、この塗工装置150を繰り返し用いて、アルミニウム箔28の主面のうち、既に正極ペースト21Pを塗布した側の裏側の主面上についても、正極ペースト21Pを塗布し、乾燥させた。
【0035】
塗布工程の後、乾燥させた正極ペースト21Pについて、公知の手法でアルミニウム箔28と共にプレスして、アルミニウム箔28の両面に、圧縮済みの2つの正極活物質層21、21を配置してなる正極板20を得る(図2参照)。
上述のように作製した正極板20を、いずれも帯状の負極板30及びセパレータ40と共に捲回して電極体10とした。さらに、正極板20及び負極板30にそれぞれ正極集電部材91及び負極集電部材92を溶接する。その後、電極体10を電池ケース本体81に収容し、封口蓋82で電池ケース本体81を溶接で封口する。そして、図示しない注液孔から電解液を注液し、その注液孔を封止して、電池1が完成する(図1参照)。
【0036】
以上より、本実施形態1にかかる正極板20の製造方法は、上述の正極ペースト作製工程及び塗布工程を備え、正極ペースト作製工程は、導電助剤にアセチレンブラック1のみを用いて一旦作製した正極ペーストの固形分濃度NV及び配合割合を保ちつつ、導電助剤23の材質を変更して、混合粉体密度MDを変化させて、正極ペースト21Pの粘度Vを、例えば1000mPa・sに変更する粘度変更工程を含む。これにより、正極ペースト21Pの粘度Vを調製して正極板20を製造することができる。
【0037】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図面を参照しつつ説明する。
なお、実施形態1では、一旦作製した正極ペーストに用いる正極活物質粒子と導電助剤との混合粉体密度MDを事後的に変更した。これに対し、本実施形態2にかかる正極板の製造方法では、正極ペースト作製工程において、混合粉体の混合粉体密度の値x、及び、作製する正極ペーストの粘度の値yの組(x,y)が後述する領域内に入るように、50〜65wt%の範囲から選択した固形分濃度に、正極ペーストを事前に調製する点で、実施形態1とは異なる。
そこで、実施形態1と異なる点を中心に説明し、実施形態1と同様の部分の説明は省略または簡略化する。なお、実施形態1と同様の部分については同様の作用効果を生じる。また、同内容のものには同番号を付して説明する。
【0038】
本発明者らは、正極活物質粒子と導電助剤と結着材との配合割合を一定とした正極ペーストについて、正極活物質粒子と導電助剤を混合した混合粉体の混合粉体密度MDと、固形分濃度NVを50,55,60,65wt%に変化させた正極ペーストの粘度Vとの関係について調査した。
具体的には、表1に示す、導電助剤、及び、固形分濃度NVのそれぞれ異なる複数の試料ペースト(実施形態1の試料ペーストTP1〜TP6に加え、試料ペーストTP7,TP8,TP9,TP10,TP11,TP12)をそれぞれ作製した。なお、試料ペーストTP1〜TP6の固形分濃度NVを50wt%に、試料ペーストTP7,TP8の固形分濃度NVを55wt%に、試料ペーストTP9,10の固形分濃度NVを60wt%に、試料ペーストTP11,TP12の固形分濃度NVを65wt%にそれぞれ調製した。
また、いずれの試料ペーストTP1〜TP12とも、正極活物質粒子にLiNiCoMnO2を、結着材にPVDFを、溶媒にNMPをそれぞれ用いた。また、正極活物質粒子と導電助剤と結着材との配合割合(正極活物質粒子:導電助剤:結着材=92:6:2)をそれぞれ同じにした。
【0039】
前述した実施形態1と同様の手法を用いて、各試料ペーストTP1〜TP12に用いた正極活物質粒子と導電助剤の混合粉体密度MD及びペーストの粘度Vをそれぞれ測定した。
各試料ペーストTP1〜TP12の測定結果について、横軸を混合粉体密度MDとし、対数目盛の縦軸を正極ペーストの粘度Vとした片対数グラフにプロットした(図6参照)。さらに、各試料ペーストの測定結果に基づいて、固形分濃度NV毎に近似直線(グラフ中、破線で示す直線)をそれぞれ記した。
【0040】
図6に示すグラフによれば、正極ペーストの固形分濃度NVが比較的高い領域(50〜65wt%の範囲)において、混合粉体密度MDを一定にすると、固形分濃度NVが高いほど、正極ペーストの粘度Vもまた高くなる。即ち、固形分濃度NVを高くすべく、用いる溶媒量を減らすと、正極ペーストの粘度Vが高くなる。
従って、正極板を製造する際、正極ペーストに用いる正極活物質粒子と導電助剤との混合粉体密度MDを求めれば、図6に示すグラフに基づいて、作製する正極ペーストの粘度Vが、所望の大きさ(例えば、前述した塗工装置150を用いて適切に塗布可能な粘度の値)になる固形分濃度NVを比較的高い領域から選択することができる。
【0041】
なお、塗工装置150のダイ160を用いて適切に塗布できる正極ペーストの粘度Vの値yの範囲は、500〜5000mPa・sである。そこで、高い固形分濃度NVを有しながら、適切に塗布可能な粘度Vを有する正極ペーストの領域Rを、図6のグラフ上に定義する。
この領域Rは、具体的には、グラフ中の近似直線のうち、固形分濃度NVが最も高い(65wt%)の近似直線、及び、固形分濃度NVが50wt%の近似直線で挟まれる領域と、500〜5000mPa・sの粘度Vを満たす領域とが重なる領域(図6中のハッチング部分)で与えられる。即ち、領域Rは、図6のグラフ中における、A点(2.19g/cc,5000mPa・s)、B点(2.34g/cc,500mPa・s)、C点(2.53g/cc,500mPa・s)及びD点(2.38g/cc,5000mPa・s)を直線で結ぶ菱形形状の領域である。
【0042】
以上を踏まえて、本実施形態2の正極ペースト作製工程では、まず、前述の実施形態1と同様、正極活物質粒子22、アセチレンブラック1からなる導電助剤23及び結着材24を用意する。そして、このうちの正極活物質粒子22と導電助剤23とを混合した混合粉末を用いて、前述した実施形態1に記載の手法で混合粉体密度MDの値xを測定したところ、2.32g/ccであった。
図6のグラフに示す領域Rには、この混合粉体密度MDの値x(x=2.32)となる領域が含まれるので、用意した正極活物質粒子22、導電助剤23(アセチレンブラック1)及び結着材24を用いて、適切に塗布可能な粘度Vで、かつ、高い固形分濃度NVの正極ペースト21Pを作製できることが判る。しかも、固形分濃度NVを定めると粘度Vがどの程度の値となるのかについても、正極ペーストを調製する以前に予測可能である。
【0043】
そこで、本実施形態2では、領域R内に入る、混合粉体密度MDの値x、及び、粘度Vの値yの組(x、y)として(2.32g/cc,600mPa・s)を選択する。すると、この組(x、y)の混合粉体密度MDと粘度Vとにするためには、固形分濃度NVを50wt%とすべきことが判る。
以上より、実際の正極ペースト作製工程において、正極ペースト21Pの固形分濃度NVが50wt%となるように正極ペースト21を調製する。具体的には、固形成分(正極活物質粒子22,導電助剤23(アセチレンブラック1),結着材24)の投入量(質量)と、溶媒26の投入量(質量)とが、(固形成分の投入量):(溶媒26の投入量)=1:1になるように、溶媒26の液量を調整した。
かくして、正極ペースト21Pを作製した。この正極ペースト21Pの粘度Vを測定したところ、600mPa・sであった。
上述した正極ペースト作製工程以降は、前述した実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
本実施形態2にかかる正極板20の製造方法では、正極ペースト作製工程は、混合粉体密度MDの値x、及び、粘度Vの値yの組(x、y)がA〜D点を直線で結ぶ領域R内に入るように、50〜65wt%の範囲から固形分濃度NVを選択し、正極ペースト21Pをその固形分濃度NVに調製する。このため、固形分濃度NVが比較的高い(50〜65wt%)の範囲の正極ペースト21Pでありながら、粘度Vがダイコータを用いて塗布可能な範囲(500〜5000mPa・s)内の値とされた正極ペースト21Pを作製することができる。従って、その正極ペースト21Pを適切に塗布して正極板20を製造できる。
【0045】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1では、導電助剤の材質を変更する手法として、同じ炭素系の導電助剤のうちで、アセチレンブラック1のみからアセチレンブラック1とアセチレンブラック2との混合物に変更する手法を示した。しかし、例えば、グラファイトからアセチレンブラック1に変更するなど、炭素系の導電助剤の材質を変更する手法としても良い。また、例えば、複数種類の炭素系の導電助剤を混合した混合の導電助剤における各導電助剤の割合を変更する手法としても良い。具体的には、例えば、アセチレンブラック1とアセチレンブラック2を所定の混合比(例えば、アセチレンブラック1:アセチレンブラック2=50:50)で混合した導電助剤を用いる正極ペーストについて、アセチレンブラック1とアセチレンブラック2の混合比を変えて(例えば、45:55)、その正極ペーストの粘度を変更する手法が挙げられる。
【符号の説明】
【0046】
20 正極板
21 正極活物質層
21P 正極ペースト
22 正極活物質粒子
23 導電助剤
24 結着材
26 溶媒
28 アルミニウム箔(金属箔)
MD 混合粉体密度
NV 固形分濃度
R 領域
V 粘度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔と、
上記金属箔上に形成され、正極活物質粒子、炭素系の導電助剤、及び、結着材を含む正極活物質層と、を有する
正極板の製造方法であって、
上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、溶媒と共に混合して、正極ペーストを作製する正極ペースト作製工程と、
上記正極ペーストを上記金属箔上に塗布する塗布工程と、を備え、
上記正極活物質粒子と上記導電助剤とを上記正極ペーストにおける配合割合と同じ割合で配合し混合した混合粉体を、内径が20mmの円筒形状のシリンダに10g投入した後、軸線方向に8.0Paの圧力条件にてプレスした圧粉体の密度を混合粉体密度とし、
B型の回転粘度計を用いて、2s-1の剪断速度で、上記正極ペーストの粘度を測定したときの測定値を、上記正極ペーストの上記粘度の値yとし、
上記正極ペーストにおける、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、固形成分とし、
上記正極ペーストに占める上記固形成分の割合を、固形分濃度としたとき、
上記正極ペースト作製工程は、
横軸を上記混合粉体密度とし、対数目盛の縦軸を上記正極ペーストの上記粘度とした片対数グラフにおいて、
上記混合粉体の上記混合粉体密度の値x、及び、上記正極ペーストの上記粘度の値yの組(x、y)が、以下のA,B,C及びD点を直線で結ぶ領域内に入るように、50〜65wt%の範囲から選択した上記固形分濃度に、上記正極ペーストを調製する
正極板の製造方法。

A点:(2.19g/cc,5000mPa・s)
B点:(2.34g/cc,500mPa・s)
C点:(2.53g/cc,500mPa・s)
D点:(2.38g/cc,5000mPa・s)
【請求項2】
金属箔と、
上記金属箔上に形成され、正極活物質粒子、炭素系の導電助剤、及び、結着材を含む正極活物質層と、を有する
正極板の製造方法であって、
上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、溶媒と共に混合して、正極ペーストを作製する正極ペースト作製工程と、
上記正極ペーストを上記金属箔上に塗布する塗布工程と、を備え、
上記溶媒と混合する前の上記正極活物質粒子と上記導電助剤とを混合した粉体を混合粉体とし、
上記混合粉体を予め定めた一定のプレス条件でプレスして圧粉体を形成した場合における、上記圧粉体の密度を混合粉体密度とし、
上記正極ペーストにおける、上記正極活物質粒子、上記導電助剤及び上記結着材を、固形成分とし、
上記正極ペーストに占める上記固形成分の割合を、固形分濃度としたとき、
上記正極ペースト作製工程は、
上記正極ペーストの上記固形分濃度、及び、上記正極活物質粒子と上記導電助剤と上記結着材との配合割合を保ちつつ、上記正極ペーストに用いる上記導電助剤の材質を変更して、上記混合粉体密度を変化させて、上記正極ペーストの粘度を変更する粘度変更工程を含む
正極板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252810(P2012−252810A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122756(P2011−122756)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】