説明

正極活物質、リチウム二次電池および正極活物質の製造方法

【課題】充放電特性を良好なものとし、且つ、熱的安定性を高める。
【解決手段】このコイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここでは、正極22は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、一次粒子の表面にはMg及びFが存在しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質、リチウム二次電池および正極活物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウム二次電池の正極活物質としては、第1金属酸化物の粒子に対して金属フルオロ錯体を含む水溶液を接触させることにより、金属フルオロ錯体を構成する金属の酸化物である第2金属酸化物の粒子群を第1金属酸化物の粒子の表面に形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面がフッ素化合物でコーティングされたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−218198号公報
【特許文献2】特表2008−536185号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、サイクル特性を向上させることができるとされているが、熱的安定性については検討されておらず、熱的安定性が良好でない場合があった。また、特許文献2に記載のものでは、充放電特性や熱的安定性を向上させることができると記載されているが、まだ十分でないことがあった。このため、充放電特性が良好で、且つ、熱的安定性を向上させることができるものが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、充放電特性が良好で、且つ、熱的安定性を向上させることのできる、正極活物質、リチウム二次電池および正極活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、活物質粉末が、一次粒子が凝集した二次粒子である場合には、二次粒子の表面だけでなく、一次粒子の表面にもMg及びFが存在するものとすることで、充放電特性を良好なものとし、且つ、熱的安定性を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の正極活物質は、
一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、
前記一次粒子の表面にはMg及びFが存在している、
ものである。
【0008】
また、本発明のリチウム二次電池は、
上述した正極活物質を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
【0009】
また、本発明の正極活物質の製造方法は、
Mg源とF源とを溶解した水溶液と、一次粒子が凝集した二次粒子とを混合して前駆体粒子を得る混合工程と、
前記前駆体粒子を酸化性雰囲気で熱処理する熱処理工程と、
を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
この正極活物質、リチウム二次電池および正極活物質の製造方法では、充放電特性を良好なものとし、且つ、熱的安定性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。正極活物質の表面にMg及びFを存在させると、正極活物質の粒子表面における原子間の結合エネルギーが高くなるなどして、熱的安定性を高めることができると考えられる。特に、二次粒子表面だけでなく一次粒子表面にもMgおよびFが存在していれば、原子間の結合エネルギーが高まった表面が増加することにより、熱的安定性をより高めることができると考えられる。また、熱的安定性を高めるのに必要な量のMg及びFが存在する場合に、一次粒子の表面にまでMg及びFが存在すれば、層が厚くなりすぎず、電池反応を阻害しにくいため、充放電特性を良好なものとすることができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コイン型電池20の構成の概略を表す断面図である。
【図2】実施例1及び比較例1の正極活物質のXRD測定結果を示すグラフである。
【図3】正極活物質断面のEPMA分析を行った結果の一例である。
【図4】実施例1及び比較例1のDSC測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のリチウム二次電池は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、一次粒子の表面にはMg及びFが存在している正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。
【0013】
本発明のリチウム二次電池の正極において、正極活物質は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、一次粒子の表面にはMg及びFが存在しているものである。ここで、一次粒子の表面にMg及びFが存在しているか否かは、二次粒子の断面についてEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)などを用いて成分分析することで確認できる。一次粒子の表面にMgやFが存在していれば、二次粒子断面のMgやFについてのEPMA画像において、略円形状の輪郭と、その内側に複数存在する略円形状の輪郭を確認することができる。外側の輪郭は、二次粒子の表面にMgやFが存在することを示し、内側の輪郭は、一次粒子の表面にMgやFが存在することを示す。なお、MgやFは、上述した輪郭を確認できる程度に一次粒子の表面全体に均一に存在していることが好ましい。MgとFとの存在形態は、特に限定されるものではなく、例えば、それぞれが単独で、あるいは酸化物として存在していてもよいし、一次粒子の結晶構造に取り込まれて存在していてもよいし、MgF2などの化合物として存在していてもよい。なお、この正極活物質は、XRD(X-ray diffraction)で確認した際に、基本粒子(後述する処理前の正極活物質)に起因するピーク以外のピークが確認されないことが好ましく、なかでも、MgF2の明瞭なピークが確認されないことが好ましい。また、本発明の正極活物質は、XRDによって求めた格子定数が、基本粒子と同等であることが好ましい。このようなものでは、基本粒子の結晶構造が維持されているため、基本粒子の性能を維持しつつ、熱的安定性をより高めることができると考えられるからである。
【0014】
この正極活物質は、一般にリチウム二次電池の正極活物質として用いられるものの表面にMg及びFが存在しているものとすることができる。例えば、この正極活物質は、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物、又はポリアニオン系化合物などとすることができる。具体的には、例えばリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2など)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2など)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnO2、LiMn24など)、リチウム鉄複合リン酸化物(LiFePO4など)、リチウムバナジウム複合酸化物(LiV23など)などが挙げられる。このうち、Niを含む層状岩塩構造の酸化物であることが好ましい。Niを含む層状岩塩構造の酸化物では、Mgの固溶によってNi−O結合エネルギーが高くなることが報告されている(PHYSICAL REVIEW B 78 045108 2008)。また、Fは高い電子求引性を有しており、フッ素が酸素と置換した場合、Niイオンの陽イオン性を高めるため、Ni−O結合エネルギーの増加が期待される。これらの効果により、熱的安定性をより高めることができるだけでなく、両者の相乗効果により、熱的安定性をさらに高めることができると考えられるからである。正極活物質は、LiNi(1-x-y)CoxAly2 (x≧0、y≧0、x+y=1)で表される酸化物であることがより好ましい。このようなものであれば、容量をより高めることができるからである。また、LiNi(1-x-y)CoxAly2のような、Niを含む層状岩塩構造の酸化物では、例えば、充電によりLiが引き抜かれてLi0.25Ni(1-x-y)CoxAly2のような構造になると、示差走査熱量分析(DSC)における発熱開始温度が160℃程度と低くなる。このため、充電時に何らかの理由で活物質の温度が高くなりはじめると、160℃程度から、さらに発熱が促進されるため、熱的安定性が低くなりやすい。しかし、本発明を適用することで、例えば、発熱開始温度を180℃以上や200℃以上にまで向上することが可能であり、熱的安定性を高めることができるるからである。
【0015】
この正極活物質の一次粒子は、平均粒径が50nm以上2μm以下であることが好ましく、100nm以上1μm以下であることがより好ましく、200nm以上600nm以下であることが好ましい。また、正極活物質の二次粒子は、5μm以上20μm以下であることが好ましく、12μm程度であることが好ましい。ここで、二次粒子の平均粒径とは、電子顕微鏡(SEM)を用いて観察領域内に100個程度の二次粒子が含まれるようにして、その領域内にある各二次粒子の短径と長径とを計測し、この短径と長径との平均値を1つの二次粒子の粒径としたときの、全粒子の平均値をいうものとする。また、一次粒子の平均粒径とは、上述した100個程度の二次粒子から1+5n(n=0〜19の整数)番目に大きい20個を選択し、各二次粒子からランダムに5個の一次粒子を選択し合計100個の各一次粒子の短径と長径とを計測し、この短径と長径との平均値を1つの一次粒子の粒子の粒径としたときの、全粒子の平均値をいうものとする。
【0016】
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
【0017】
本発明のリチウム二次電池の負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、黒鉛、石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂,結晶セルロースなど樹脂の炭化物、及びこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが挙げられる。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤、集電体などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。
【0018】
本発明のリチウム二次電池において、イオン伝導媒体は、例えば液体状の有機溶媒電解液やイオン性液体、固体状のポリマー固体電解質や無機固体電解質、ゲル電解質などを用いることができる。このうち、液体状のもの、特に、支持塩を含む非水系電解液などを用いることが好ましい。支持塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6,LiClO4,LiAsF6,LiBF4,Li(CF3SO22N,Li(CF3SO3),LiN(C25SO22などの公知の支持塩を用いることができる。これらの支持塩は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。支持塩の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.2Mであることがより好ましい。電解液としては、非プロトン性の有機溶媒を用いることができる。このような有機溶媒としては、例えば環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル等が挙げられる。環状カーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等がある。鎖状カーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。環状エステルカーボネートとしては、例えばガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等がある。環状エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等がある。鎖状エーテルとしては、例えばジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等がある。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。これらのうち、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)などを混合して用いることが好ましい。こうすれば、より好適な出力特性及びサイクル特性を得ることができる。
【0019】
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、例えば高分子化合物の微多孔フィルムなど、2次電池の使用範囲に耐えうる材質であれば特に限定されずに用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル類、カルボキシルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその他のエステル類を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルムなどが挙げられる。また、これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。また、これらのフィルムには、例えばイオンの伝導性を高める添加剤や強度・耐食性を高めるような種々の添加剤を添加してもよい。この微多孔フィルムのうち、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンなどが好ましく用いられる。このセパレータは、非水電解液が浸透してイオンが透過しやすいように、微多孔化を施すのが好ましい。
【0020】
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。このリチウム二次電池の一例を図1に示す。図1は、コイン型電池20の構成の概略を表す断面図である。このコイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここでは、正極22は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、一次粒子の表面にはMg及びFが存在しているものである。
【0021】
次に、正極活物質の製造方法の一例について説明する。この製造方法は、Mg源とF源とを溶解した水溶液と、一次粒子が凝集した二次粒子とを混合して前駆体粒子を得る混合工程と、熱処理工程とを備えている。
【0022】
混合工程では、Mg源とF源とを溶解した水溶液と、一次粒子が凝集した二次粒子とを混合して前駆体粒子を得る。ここでは、混合工程に用いる、一次粒子が凝集した二次粒子を、処理前の正極活物質とも称する。Mg源は、水に可溶なものであれば特に限定されないが、例えば、硝酸マグネシウム(Mg(NO32)や、硫酸マグネシウム(MgSO4)、酢酸マグネシウム(Mg(CH3COO)2)、塩化マグネシウム(MgCl2)などのマグネシウム塩であることが好ましい。なかでも、硝酸マグネシウムがより好ましい。理由は明らかではないが、一次粒子表面にMgをより均一に存在させることができるからである。F源は、水に可溶なものであれば特に限定されないが、例えば、フッ化アンモニウム(NH4F)やフッ化水素アンモニウム((NH4)HF2)などのアンモニウム塩、フッ化ナトリウム(NaF),フッ化カリウム(KF),フッ化ルビジウム(RbF),フッ化セシウム(CsF)などのアルカリ金属塩、スズのフッ化物や銀のフッ化物などの金属塩を用いることができる。このうち、アンモニウム塩であることが好ましく、フッ化アンモニウムであることがより好ましい。理由は明らかではないが、一次粒子表面にFをより均一に存在させることができるからである。溶媒としての水は、不純物が少ないことが好ましく、蒸留水でもよいが、イオン交換水が好ましい。
【0023】
処理前の正極活物質としては、一般にリチウム二次電池の正極活物質として用いられるものを用いることができる。例えば、処理前の正極活物質は、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物、又はポリアニオン系化合物などとすることができる。具体的には、例えばリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2など)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2など)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnO2、LiMn24など)、リチウム鉄複合リン酸化物(LiFePO4など)、リチウムバナジウム複合酸化物(LiV23など)などが挙げられる。このうち、Niを含む層状岩塩構造の酸化物であることが好ましく、特に、LiNi(1-x-y)CoxAly2 (x≧0、y≧0、x+y=1)で表される酸化物であることが好ましい。この処理前の正極活物質において、一次粒子は、平均粒径が50nm以上2μm以下であることが好ましく、100nm以上1μm以下であることがより好ましく、200nm以上600nm以下であることが好ましい。また、二次粒子は、5μm以上20μm以下であることが好ましく、12μm程度であることが好ましい。
【0024】
混合に際して、Mg源に含まれるMgは、処理前の正極活物質に対して1mol%以上10mol%以下であることが好ましい。1mol%以上であれば、一次粒子表面にまでMgを存在させることができるからである。また、10mol%以下であれば、一次粒子表面に存在するMg量が多くなりすぎないため、電池反応を阻害しにくく、容量低下をより抑制できるからである。また、混合に際して、F源に含まれるFは、処理前の正極活物質に対して2mol%以上30mol%以下であることが好ましい。2mol%以上であれば、一次粒子表面にまでFを存在させることができるからである。また、30mol%以下であれば、一次粒子表面に存在するF量が多くなりすぎないため、電池反応を阻害しにくく、容量低下をより抑制できるからである。また、混合に際して、Mg源に含まれるMgの物質量に対する、F源に含まれるFの物質量の割合であるF/Mg比が、1以上6以下であることが好ましい。このような割合とすれば、容量低下をより抑制し、熱的安定性をより向上できるからである。
【0025】
混合に際して、Mg源とF源とを溶解した水溶液は、Mg濃度が0.005mol/L以上0.5mol/L以下であることが好ましい。0.005mol/L以上であれば、一次粒子表面にまでMgを存在させることができるからである。また、0.5mol/L以下であれば、一次粒子表面に存在するMg量が多くなりすぎないため、電池反応を阻害しにくく、容量低下をより抑制できるからである。また、Mg源とF源とを溶解した水溶液は、F濃度が0.010mol/L以上1.0mol/L以下であることが好ましい。0.010mol/L以上であれば、一次粒子表面にまでMgを存在させることができるからである。また、1.0mol/L以下であれば、一次粒子表面に存在するMg量が多くなりすぎないため、電池反応を阻害しにくく、容量低下を抑制できるからである。また、Mg源とF源とを溶解した水溶液は、例えば、Mg源を溶解した水溶液と、F源を溶解した水溶液との混合溶液でもよい。この場合、予め混合溶液を調製して、その後、処理前の正極活物質を混合してもよい。また、Mg源を溶解した水溶液に処理前の正極活物質を混合し、その後、F源を溶解した水溶液を混合してもよいし、F源を溶解した水溶液に処理前の正極活物質を混合し、その後、Mg源を溶解した水溶液を混合してもよい。
【0026】
混合は、攪拌しながら行うことが好ましい。こうすればMg源とF源と処理前の正極活物質とがより均一に分散し、分散剤などを添加しなくても、一次粒子表面にまで均一にMgやFを存在させることができるからである。混合時の液温は、水溶液が液体状態であるような温度であれば特に限定されないが、例えば、0℃以上30℃以下などの室温で行ってもよく、25℃程度であることが好ましい。混合時間は特に限定されないが、1分以上24時間以下が好ましく、3分以上10時間以下が好ましく、10分以上2時間以下がより好ましい。水溶液の濃度にもよるが、1分以上であれば、一次粒子表面にまで均一にMgやFを存在させることができるからである。また、24時間程度攪拌すれば、一次粒子表面に存在するMgやFの量がそれ以上増加しないと考えられるからである。
【0027】
このように、Mg源とF源とを溶解した水溶液と、処理前の正極活物質とを混合することで、前駆体粒子が得られる。この前駆体粒子を水溶液から分離する方法は特に限定されないが、濾過や、沈殿により分離してもよい。また、得られた前駆体粒子は、常温で、又は加熱により、乾燥させてもよい。
【0028】
熱処理工程では、前駆体粒子を酸化性雰囲気で熱処理する。Ar雰囲気などの不活性雰囲気で熱処理したものでは、一次粒子の表面にMgやFがほとんど存在しないのに対して、酸化性雰囲気で熱処理したものでは、一次粒子の表面にMgやFが存在するからである。また、特に、600℃以上などの高温で熱処理する場合に、不活性雰囲気では、原料として用いた処理前の正極活物質の結晶構造が崩れることがあるが、酸化性雰囲気では、結晶構造が崩れることを抑制できると考えられるからである。酸化性雰囲気は、特に限定されるものではないが、酸素雰囲気や大気などとすることができる。このうち、大気中で熱処理することが好ましい。
【0029】
熱処理工程では、600℃以上800℃以下の温度で熱処理を行うことが好ましい。600℃未満で熱処理した場合には、一次粒子表面にMgが存在しないか、存在してもその量が極めて少ないからである。また、800℃より高い温度で熱処理した場合には、一次粒子表面にFが存在しないか、存在してもその量が極めて少ないからである。
【0030】
このような製造方法により得られた正極活物質は、二次粒子表面だけでなく、一次粒子表面にもMg及びFが存在している。このため、充放電特性を良好なものとし、また、熱的安定性をより高めることができる。なお、この正極活物質は、XRDで確認した際に、処理前の正極活物質に起因するピーク以外のピークが確認されないことが好ましく、なかでも、MgF2の明瞭なピークが確認されないことが好ましい。また、この正極活物質は、XRDによって求めた格子定数が、処理前の正極活物質と同等であることが好ましい。このようなものでは、処理前の正極活物質の結晶構造が維持されているため、処理前の正極活物質の性能を維持しつつ、熱的安定性をより高めることができると考えられるからである。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0032】
以下には、リチウム二次電池を具体的に作製した例を、実施例として説明する。
【0033】
[正極活物質の合成]
(実施例1)
正極活物質を以下のように合成した。まず、イオン交換水に0.05mol/LのMg(NO32・6H2Oを溶解させて、含Mg溶液を調製した。また、イオン交換水に0.1mol/LのNH4Fを溶解させて、含F溶液を調製した。調製した含Mg溶液100mLと含F溶液100mLとを攪拌混合し、さらに攪拌を行いながらLiNi0.8Co0.15Al0.052を0.1mol(9.608g)添加し、25℃で1時間攪拌を行った。なお、LiNi0.8Co0.15Al0.052は、各金属の硝酸塩を原料として周知の共沈法で合成したものを用いた。このLiNi0.8Co0.15Al0.052は、一次粒子の平均粒径が約400nm、二次粒子の平均粒径が約12μmであった。このようにして、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgと10mol%のFを含む混合液を調製した。続いて、混合液を濾過して粉末を得た。得られた粉末をイオン交換水で2回洗浄し、真空雰囲気下にて120℃で乾燥して粉末状の前駆体粒子を得た。この前駆体粒子を、酸化性雰囲気下にて700℃で熱処理を行い、粉末状の正極活物質を得た。これを実施例1とした。
【0034】
(実施例2〜5)
LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し10mol%のMgと20mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例2の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し1mol%のMgと2mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例3の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgと5mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例4の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgと30mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例5の正極活物質を得た。
【0035】
(実施例6,7)
熱処理温度を800℃とした以外は、実施例1と同様の工程を経て実施例6の正極活物質を得た。また、熱処理温度を600℃とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例7の正極活物質を得た。
【0036】
(比較例1)
LiNi0.8Co0.15Al0.052をそのまま、比較例1の正極活物質とした。
【0037】
(比較例2,3)
LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgを含みFが0mol%の混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例2の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のFを含みMgが0mol%の混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例3の正極活物質を得た。
【0038】
(比較例4〜7)
LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgと2.5mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例4の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し5mol%のMgと50mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例5の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し15mol%のMgと30mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例6の正極活物質を得た。また、LiNi0.8Co0.15Al0.052に対し0.5mol%のMgと1mol%のFを含む混合液を調製した以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例7の正極活物質を得た。
【0039】
(比較例8,9)
熱処理温度を900℃とした以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例8の正極活物質を得た。また、熱処理温度を500℃とした以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例9の正極活物質を得た。
【0040】
(比較例10)
熱処理をAr雰囲気下で行った以外は、実施例1と同様の工程を経て比較例10の正極活物質を得た。
【0041】
[XRD測定]
得られた正極活物質について、X線回折測定により、結晶構造を推定した。X線回折測定には、XRD装置(リガク社製、RINT−2200)を用いた。
【0042】
[元素分析]
得られた正極活物質について、MgとFの存在状態を明らかにするために、断面の組成分析を行った。まず、活物質粉末を硬化性樹脂中で混合した後、硬化した樹脂の断面を切断した。この切断面を、電子線マイクロアナライザ(EPMA、島津製作所製、EPMA−V6)を用いて分析し、活物質断面におけるMgとFの分析を行った。
【0043】
[リチウム二次電池の作製]
不活性雰囲気のグローブボックス内にて、正極と、負極とを、セパレータとしての多孔性ポリエチレンセパレータを介して配設し、非水電解液を注入して、2032規格のコイン電池を作製した。ここで、正極は以下のように作製した。まず、得られた正極活物質を85重量%、導電材としてのカーボンブラックを10重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加、分散してスラリー状の正極合材とした。この正極合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体上に塗付し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、正極シートとした。負極には、リチウムホイルを用いた。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを30:70の体積比で混合した有機溶媒に、1molのLiPF6を溶解させたものを用いた。
【0044】
[充放電試験]
作製したコイン電池を用いて、充放電容量の評価を行った。まず、コイン電池を20℃にて、0.1mA/cm2の電流値で上限電圧4.2Vまで充電を行い、次いで電流密度0.1mA/cm2の電流値で下限電圧3.0Vまで放電を行った。この充放電サイクルを3サイクル行い、急激な容量減少が見られないことを確認した。
【0045】
[DSC測定]
まず、作製したコイン電池を4.2Vまで定電流定電位充電(定電位時間5時間)を行った。このとき、充電容量は210mAh/gであった。ここで、充電容量が210mAh/gの際、LiNi0.8Co0.15Al0.052は、Liを放出してLi0.25Ni0.8Co0.15Al0.052になっていると推察された。充電後の電池を短絡しないように気をつけながら、不活性雰囲気グローブボックス内で電池を解体した。解体した電池から電極を取り出し、Al集電箔から電極材を剥離させた。この粉末5mgと前記の非水電解液を2.8mlをSUS製のパンに入れ、かしめることで密閉をして、DSC装置(リガク社製、DSC8320)を用いて発熱挙動の測定を行った。発熱開始温度は次のように定義した。DSC曲線の微分曲線を描きだし、その極大点における温度をTaとした。そして、DSC曲線のTaにおける接線とベースラインの交点における温度Tbを発熱開始温度とした。なお、放電容量が小さい試料(140mAh/g以下)については、充電時のLi脱離量が大きく異なり一概に熱安定性を比較検討することが困難なため、DSC測定は実施しなかった。
【0046】
[実験結果]
表1に実施例1〜7および比較例1〜10の正極活物質合成条件、および実験結果を示した。
【0047】
【表1】

【0048】
XRD測定結果について検討する。図2は、実施例1及び比較例1の正極活物質のXRD測定結果を示すグラフである。XRD測定の結果、各試料でXRD図形に大きな違いは見られなかったことから、マグネシウムとフッ素処理によるLiNi0.8Co0.15Al0.052の結晶構造への影響はほとんど無いと推察された。
【0049】
元素分析の結果について検討する。図3は、活物質断面のEPMA分析を行った結果の一例である。図3(a)は、比較例9のMgのEPMA画像である。図3(a)より、比較例9のものでは、活物質の二次粒子表面のみにMgが分布していることがわかった。図3(b)は、実施例1のMgのEPMA画像である。図3(b)より、実施例1のものでは、活物質の一次粒子表面にもMgの分布がひろがっていることがわかった。表1では、MgとFの各々について、図3(a)のような分布の試料を「×」、一次粒子表面にも分布が広がっている図3(b)のような試料を「○」として分布状態を示した。実施例1〜7および比較例2,4〜6,8では、一次粒子表面にMgが分布していることから、一次粒子表面にMgを分布させるには、Mgは1mol%以上が好ましく、また、熱処理温度は600℃以上が好ましく、熱処理雰囲気は酸化性雰囲気が好ましいことが分かった。また、実施例1〜7および比較例3,5,6,9では、一次粒子表面にFが分布していることから、一次粒子表面にFを分布させるには、Fは2mol%以上が好ましく、熱処理温度は800℃以下が好ましく、熱処理雰囲気は酸化性雰囲気が好ましいことが分かった。
【0050】
放電容量について検討する。LiNi0.8Co0.15Al0.052をそのまま用いた比較例1と比較して、MgやFを添加するような処理を行った実施例1〜7や、比較例2〜10では、3サイクル目の放電容量が減少した。しかし、混合液の調製に際して、Mg量、F量、熱処理温度、熱処理雰囲気を最適な範囲に設定することにより、放電容量の減少をある程度に抑えることが可能であった。なお、比較例5,6では、3サイクル目の放電容量が特に小さかった。これは、活物質表面に不活性な被膜が形成されたことを示唆するものと推察された。以上説明した放電容量測定結果より、本願発明では、充放電特性を良好なものとすることができることがわかった。
【0051】
DSC測定結果について検討する。図4は、実施例1及び比較例1のDSC測定結果である。LiNi0.8Co0.15Al0.052をそのまま用いた比較例1では、167℃で発熱が開始するのに対して、実施例1〜7の試料では、発熱開始温度が200℃以上と、高い熱安定性を有することが明らかになった。これらの試料では、一次粒子表面にMgとFが分布していることが共通していることから、充電時の正極活物質の一次粒子と電解液との接触による酸素発生および溶媒燃焼を抑制していることを示唆するものと推察された。また、Mgのみを添加した比較例2や、Fのみを添加した比較例3では発熱開始温度上昇への影響が小さいことから、MgとFが一次粒子表面に共存することで、何らかの複合的な効果を示すことが明らかになった。以上説明したDSC測定結果より、本願発明では、熱的安定性を高めることができることがわかった。
【符号の説明】
【0052】
20 コイン型電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 非水電解液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子が凝集して二次粒子を形成した正極活物質であって、
前記一次粒子の表面にはMg及びFが存在している、
正極活物質。
【請求項2】
前記正極活物質は、Niを含む層状岩塩構造の酸化物である、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項3】
前記正極活物質は、LiNi(1-x-y)CoxAly2 (x≧0、y≧0、x+y=1)で表される酸化物であり、Li0.25Ni(1-x-y)CoxAly2 (x≧0、y≧0、x+y=1)まで充電した後の示差走査熱量分析における発熱開始温度が200℃以上である、請求項1又は2に記載の正極活物質。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極活物質を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム二次電池。
【請求項5】
Mg源とF源とを溶解した水溶液と、一次粒子が凝集した二次粒子とを混合して前駆体粒子を得る混合工程と、
前記前駆体粒子を酸化性雰囲気で熱処理する熱処理工程と、
を含む、正極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記Mg源に含まれるMgは、前記二次粒子に対して1mol%以上10mol%以下であり、前記F源に含まれるFは、前記二次粒子に対して2mol%以上30mol%以下である、請求項5に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記Mg源に含まれるMgの物質量に対する、前記F源に含まれるFの物質量の割合であるF/Mg比が、1以上6以下である、請求項5又は6に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理工程では、600℃以上800℃以下の温度で熱処理を行う、
請求項5〜7のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記Mg源はMg(NO32であり、前記F源はNH4Fである、請求項5〜8のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記水溶液は、Mg濃度が0.005mol/L以上0.5mol/L以下であり、F濃度が0.010mol/L以上1.5mol/L以下である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記二次粒子は、Niを含む層状岩塩構造の酸化物である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−209077(P2012−209077A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72812(P2011−72812)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】