正面フライスおよびその使用
正面フライス(12)は、円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサート(20)を有して構成されている。硬質材料刃インサートは、ピッチ円上に来るように刃支持部(16)のポケット(18)の中に配置されており、フライスの処理面(26)に対して90°よりも小さい取り付け角(Kr)で取り付けられた主要刃先(24)を有している。良好な耐用年数において、高い切削効率を確保するために、10°〜30°、好ましくは15°〜25°の範囲の取り付け角(Kr)が選択され、同時に、主要刃先(24)は、軽度に凸状に構成されている。主要刃先(24)は、0.5〜1.5mmの範囲の値を有する移行半径(R30)を介して、サブ刃先(32)に移行している。軸方向すくい角(γa)は、20〜30°、好ましくは23〜27°の範囲である。有効な一変形例によれば、半径方向すくい角(γr)は、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に係る、円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサートを備える、正面フライスに関する。
【背景技術】
【0002】
このような正面フライスは、工具キャリアにダイプレートが取り付けられたフライスヘッドとして構成されている場合が多い。ダイプレートの例には、超硬合金、セラミック(サーメット)、または、多結晶ダイアモンド(PKD)から成るスローアウェイチップが含まれる。従来の平フライスヘッドでは、ダイプレートは、取り付け角κrが約75°になるように、すなわち、主要刃先が、フライス軸を含む被処理面に対して約75°の角度κrで伸びるように取り付けられている。フライス軸は、未加工品表面に対して垂直であり、工具の正面に配置されたサブ刃先が、加工面を作成する。
【0003】
切り屑排出を行う他の工具と同様、冒頭部分に記載した種類の正面フライスも、ダイナミックに発展しており、削り速度が上昇し、同時に工具寿命が向上している。ここでは、多くの場合、極めて高い金属削り性能であっても、被処理表面に良好な表面品質を確保する必要がある。従って、このような高性能のフライスヘッドを工具機械に結合するクランプ技術がさらに重要になる。現在の中空テーパシャフト(HSK)インターフェースは、動作直径が100mmよりもかなり大きなフライスヘッドを、1000m/分以上の削り速度でも高品質で高性能の処理表面を実現可能に安定かつ高い同心精度で、工具機械スピンドルに結合させることが可能である。この場合、スピンドル回転速度は、10000U/分以上であってよい。
【0004】
しかし、冒頭部分に記載した種類の正面フライスでは、削り速度が高くなるにつれて、問題が生じる。すなわち、刃先が未加工品の中に突然入り込むことにより、フライスが著しく揺動し、刃インサートの局所的過負荷をもたらすような、切削抵抗の経過が導かれる。従って、工具の切削性能および耐用年数は、多くの場合、十分なレベルで維持されることは少ない。
【0005】
本発明の課題は、請求項1の上位概念に係る正面フライス、特にフライスヘッドを改良して、耐用年数を延長させ、より良好な切削性能を実現し、良好な表面品質を得ることにある。
【発明の概要】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する正面フライスによって解決される。
本発明によれば、1つに、取り付け角κrは、10°〜30°、最も好ましくは18°〜22°の間の値に著しく低減され、同時に、主要刃先は、軽度に凸状に構成される。このようにすることによって、切削抵抗が、極めて良好に分布され、従って、著しく低減されることが分かった。ここで、いわゆる「ニュートラルな切削」、すなわち、被処理部材に引っ張り荷重および圧力荷重が生じない切削が行われる。主要刃先の経路を変更することによって、同時に、スピンドルが受けるトルクもより少なくなる。これによって、フライスの実現可能な削り速度を、4000m/分まで上昇させることが可能である。
【0007】
主要刃先を長くしたため、刃における熱の生成が比較的少ないという、さらなる利点が生じる。従って、本発明に係る工具は、いわゆる乾式加工(MMS)技術に最適である。本発明に係る構成に従って、取り付け角κrを10°〜30°の範囲にすることによって、主要刃先の大部分の領域が荒削り刃として機能し、径方向に内側に配置された、実際にはより小さな領域が、仕上げ削り刃として動作するという、特別な効果が得られる。仕上げ削り刃の領域では、切り屑の量は著しく少ないため、そこに発生する切削抵抗は低減され、より高い品質を有する表面処理が実現可能である。
【0008】
さらに、本発明によれば、主要刃先が、より小さな移行半径(0.5〜1.5mmの範囲の値を有していることが好ましい)を介して、サブ刃先に移行するようになっている。このため、フライスの耐用年数は、さらに延長され得る。このように、移行半径が、仕上げ削り刃部の中央に配置されているので、これによって、フライスの耐用年数を著しく延長させることが可能である。ここで、正面フライスの効率は、軸方向すくい角が大幅に正(ポジティブ)(好ましくは、20°〜30°の範囲、特に好ましくは23°〜27°の範囲)に選択されている場合に、さらに上昇する。この構成では、刃が大幅に正に配置されているため、熱の生成がさらに低減され得る。従って同時に、切り屑は刃領域の外に飛散する。
【0009】
最も容易には、主要刃先とサブ刃先との間の移行半径の選択を介して、切り屑形成、および同時に、処理される未加工品表面の表面品質に影響を与えることが可能である。従って、用いられる硬質材料刃インサートは、顧客の希望や使用条件に適した移行半径を有して構成される。ここで、移行半径の値が大きくなるにつれて、ますます良好な表面品質が実現可能である。
【0010】
取り付け角κrを介しても、有効かつ容易に、実現される表面品質に影響を与えることが可能である。ここで、取り付け角κrが大きいほど、被処理表面の表面品質は向上する傾向にある。本発明によれば、移行半径と取り付け角κrとを相互に関連させることによって、工具を、最適かつ顧客の希望に応じて、所定の各使用分野、すなわち、求められる被処理未加工品の表面品質に適合させることが可能である。この際に、工具の全構造を変更する必要はない。
【0011】
請求項1の特徴を組み合わせることによって、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金を処理する場合に、40m/分までの送り速度、かつ、4000m/分までの削り速度で動作可能な、より良好な切削性能を特徴とする工具であって、単に形状パラメータを変更することによって、所望の各使用目的に好適に適合させることが可能である工具が得られる。極めて小さな円状切削領域(Flugkreis)直径でも、極めて大きな円状切削領域直径でも、工具の構成は維持されることが示された。本発明に係る工具は、10〜1400mmの範囲の円状切削領域直径の場合に適している。
【0012】
主要刃先の曲げ半径が80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の値をとる場合に、特に有効に、切削抵抗が低減し、同時に主要刃先の熱応力が減少することが分かった。さらに、曲げ半径は、従来の機械で再現可能に形成することができるため、全ての硬質材料刃インサートは、同一の条件を有するという利点を有している。これによって、全ての刃インサートに同一の摩耗が確保される。
【0013】
工具に作用する切削反力は、請求項3に従って、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲の、負(ネガティブ)の半径方向すくい角で処理される場合に、さらに低減可能である。これによって、切り口は、さらに柔らかく、かつ、均一になり、このため工具はさらに静かに動作する。
【0014】
硬質材料刃インサートの構成および材料の選択に関して、大きな選択の可能性が存在する。しかし、特に、アルミニウムおよびその合金を処理する際に、極めて高い切削性能、すなわち送り速度を実現するためには、多結晶ダイアモンドまたは立方晶窒化ホウ素(CBN)から成るダイプレートを備える硬質材料刃インサートが特に適していることが示された。当然、供給部の実際の寸法は、その工具機械およびスピンドルに依存している。しかし、基本的には、本発明に係る正面フライスの構成は、工具の切削性能を、あらゆる材料の場合に著しく上昇させることが可能である。
【0015】
硬質材料から成るダイプレートを用いる場合、ダイプレートは、刃支持プレート上に固定されていることが好ましい。ここで、固定は、接着、ハンダ付け、または嵌合を介して行われる。特に良好な切削条件は、単に、刃支持プレートが2.3〜2.9mmの厚みを有し、硬質材料から成るダイプレートが0.4〜0.6mmの範囲の厚みを有している場合に、実現可能であることが示された。
【0016】
基本的に、硬質材料刃インサートは、フライスボディのポケットの中に、取り外し可能に、例えばねじ止め、または、嵌合によって、取り付けられていてよい。しかし、工具の効率は、硬質材料刃インサートが刃支持部のポケットの中に、ハンダ付けまたは接着によって取り付けられている場合に、高くなる。このようにして、溝を大きく構成することができるので、切り屑の排出運搬をさらに良好に行うことが可能であり、従って切削性能さらに向上させることが可能である。
【0017】
しかし同様に、硬質材料刃インサートを、刃カセットで支持することも可能である。刃カセットは、設定可能にフライスボディに固定されていることが好ましい。
【0018】
フライス工具の耐用年数は、硬質材料刃インサートに適したコーティングを施すことによって、改善することが可能である。ここで、コーティングの種類は、切削される材料に応じて選択されることが好ましい。コーティングの有効な構成は、請求項10の対象である。
【0019】
冒頭部分で既に説明したように、本発明に係るフライス工具は、最も高い切削性能の場合でも、いわゆる乾式加工に適している。この場合、フライス工具を、請求項11に従って変形することが有効である。好ましくは内側に設置された冷却剤管の開口部から排出されるMMS(最小潤滑)流体(これは、圧搾空気から構成されていてよい。この圧搾空気は、例えば油滴と置き換えられる)が、1つに、噛み合った複数の刃を潤滑および冷却し、同時に、生じた切り屑を冷却すると共に排出運搬するように機能する。このようにして、工具の効率をさらに上昇させることが可能である。
【0020】
更なる好ましい構成は、他の従属請求項の対象である。
【0021】
以下に、概略的な図面を参照しながら、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、フライスヘッドとして構成された正面フライスを示す斜視図である。
【図2】は、正面フライスの回転軸に垂直方向に見た、硬質材料刃インサートを大きく拡大して示す概略図である。
【図3】は、図2の硬質材料刃インサートを示す、図2の観察方向「III」から見た図である。
【図4】は、図2および図3に係る硬質材料刃インサートを、フライス軸に平行に見た図である。
【図5】は、正面フライスのさらなる実施形態を示す側面図である。
【図6】は、図5の正面フライスを示す正面図である。
【図7】は、図5および図6の正面フライスを示す斜視図である。
【図8】は、図5の細部「VIII」を示す拡大図である。
【図9】は、図5の細部「IX」を示す拡大図である。
【図10】は、負の半径方向すくい角を実現するための、硬質材料刃インサートの、フライス軸に対する位置を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1では、参照番号12により、正面フライスが示されている。正面フライスの円筒状のシャフト14は、フライスヘッド16を支えている。フライスヘッド16は、各ポケット18の中に、1つの硬質材料刃インサート20を収容している。この構成では、この場合、全ての硬質材料刃インサート20が、同一のピッチ円または円状切削領域上に来ると共に、互いに所定の円周距離をおいて配置されていることになる。隣接しあう硬質材料刃インサート20間の各円周距離は、互いに異なっていること、すなわち、フライス工具のピッチは均一ではないことが好ましい。これによって、工具の固有振動数に応じて、揺動勾配が低減されるという効果を実現する。
【0024】
この工具は、正面平フライスのために使用される、いわゆる平フライスヘッドである。このような工具では、フライスヘッドの直径は、好ましくは、処理される未加工品の幅の1.3倍になるように設定される。
【0025】
図1に係る工具の特徴は、硬質材料刃インサート20の形状、および、工具の回転軸22に対する位置が、特別な手法で選択される点にある。これについて、図2〜4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0026】
最も良好には図3から明らかなように、この構成では、主要刃先24が、フライス軸22に垂直にのびる面、すなわちフライス工具の処理面26に対して、取り付け角κrでのびていることを指す。取り付け角κrは、10°〜30°、好ましくは15°〜25°、最も好ましくは18°〜22°の範囲である。このように取り付け角κrが極めて小さいため、主要刃先24が、送り時に、所定の寸法MZの場合には比較的長い
【数1】
にわたって、刃の歯合を導く。このように、仕上げ削り刃部30に隣接して、比較的大きな区域の荒削り刃28が形成される。
【0027】
本構成は、3次元の位置だけでなく刃の形状にも、特徴を有している。最も良好には図3から明らかなように、主要刃先は、軽度に凸状に構成されている。具体的には、主要刃先24の輪郭は、少なくともより大きな拡張領域を介して、曲げ半径R28を有する弧を成している。曲げ半径R28は、80〜120mmの範囲、好ましくは90〜110mmの範囲、すなわち例えば100mmである。主要刃先24は、より小さな移行半径R30を介して、サブ刃32に移行する。移行半径R30は、0.5〜1.5mmの範囲、すなわち、例えば1mmである。
【0028】
主要刃先24とサブ刃先32との間の移行半径R30によって、切り屑形成、および、同時に処理される未加工品表面の表面品質が、影響を受ける。これに対応して、用いられる硬質材料刃インサートは、顧客の希望や使用条件に応じて適した移行半径を有して構成される。ここで、移行半径の値が大きいほど、より高い表面品質が実現され得る。
【0029】
取り付け角κrを介しても、実現される表面品質に、有効かつ容易に影響を与えることが可能である。ここで、取り付け角κrが小さくなるにつれて、従って、寸法MZ(図3を参照)が小さくなるにつれて、被処理表面の表面品質が改善される傾向にある。すなわち、移行半径と取り付け角κrとを相互作用させることによって、本発明に係る工具を、最適かつ顧客の希望に応じて、所定の各使用領域に、すなわち、処理される未加工品表面の目標とされる品質に、適合させることが可能である。この際に、工具の構造全体を変更する必要はない。
【0030】
図示される第1の実施形態の硬質材料刃インサートは、刃支持プレート34が、全面的に硬質材料ダイプレート36を支持している実施例である。硬質材料ダイプレート36は、例えば、多結晶ダイアモンド(PKD)または立方晶窒化ホウ素(CBN)から構成されている。VHMまたはサーメット材料などの他の硬質材料を用いてもよい。このような硬質材料ダイプレートは、0.5mmの厚みを有していることが好ましい。
【0031】
刃支持プレート34は、硬質材料刃インサート20に十分に高い保形性を提供するように選択された材料から構成されている。刃支持プレート34は、固体カーバイド(Vollhartmetal)またはサーメット材料またはセラミック材料から構成されていることが好ましい。しかし、刃支持プレート34は、他の材料、アルミニウムから成る材料でも、または、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなる材料から構成されていてもよい。重要な点は、刃支持プレート34が、できる限り全面で、フライスヘッド16のポケット18の支持面で支持されることである。こうすることによって、切削反力が、信頼性を有して、かつ、材料に過負荷を与えることなく、受容され得る。
【0032】
図2および4からは、硬質材料刃インサート20の、3次元の位置が明らかである。図2の図からは、硬質材料刃インサート20は、参照番号38で示されたすくい面が、主要刃先24の領域に、20〜30°の範囲、好ましくは23〜27°の範囲の軸方向すくい角γaが生じるような設置で、配置されていることが分かる。
【0033】
参照番号αによって逃げ角が示されている。この逃げ角は、主要刃およびサブ刃の場合には正である必要があり、例えば8°の範囲にある。
【0034】
硬質材料刃インサートのこの形状および構成では、様々な材料の高速切削、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の切削において、極めて良好な切削条件をもたらす。処理面26に対して極めて小さな取り付け角κrを形成する主要刃先24の軸方向すくい角γaが比較的大きいため、切削性能が高い場合でも、極めて良好な切削条件が生じる。ここで、熱の生成は極めてわずかであり、刃領域の外部に切り屑が飛散する良好な切り屑飛散が実現される。
【0035】
径方向に延長された主要刃先24は、荒削り刃として動作し、他方、主要刃先24に隣接する径方向に内側に配置された刃先部分30は、仕上げ削り刃として動作する。特に均一な切削抵抗を有する良好な切削条件によって、刃インサートが、削られる材料の中に導入される際に、従来のフライス工具の比較可能な部材の場合に生じるような、大きな力ピークが、刃インサートに生じることはない。従って、本工具は、高い切削性能の場合でも静かに動作し、生成される表面の品質をより改善することが可能である。
【0036】
上述の効果は、(図4に示すような)硬質材料刃インサート20を、回転軸22を含む面に対して、負の半径方向すくい角γrが生成されるように設置する場合に、さらに改善される。この半径方向すくい角は、例えば、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲である。この構成によって、フライス刃によって行われる切り口がより柔らかくなる。換言すると、これによって、被切削部材に引っ張り荷重および圧力荷重が生じない、いわゆる「ニュートラルな切削」が行われる。同時に、スピンドルにおけるトルクの受容もさらに低減される。そして、主要刃先24をさらに延長することによって、熱の生成をさらに低減可能である。
【0037】
図2〜4に係る形状および配置の硬質材料刃インサートを有して構成された正面フライスでは、最大4000m/分の削り速度を実現することが可能であることが示された。ここで、スピンドル回転速度は、10000U/分よりも高い範囲であってよい。送り速度は、特に、例えばアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する際には、40m/分の範囲であってよい。
【0038】
上述の、正面フライスにおける硬質材料刃インサートの構成および配置は、フライスヘッドを、安定性が十分なシャフト14と組み合わせた場合に、産業的に極めて有効に利用可能である。このシャフト14は、HSKインターフェースを介して、機械スピンドルまたはさらなるシステムモジュールに結合されていることが好ましい。こうすることによって、非常に高い回転速度の場合でも、上述の領域においては、十分に高い同心精度および揺動安定性を確保することが可能である。
【0039】
図1〜4を参照しながら、正面フライスの一実施形態について説明した。この実施形態では、構造の主要構成要素だけを強調して説明した。以下では、図5〜10を参照しながら、実験した、正面フライスの他の一実施形態について説明する。この実施形態では、個々の部材の寸法を調整して再現している。繰り返しを避けるために、本実施形態の説明では、先に記載した実施形態の部材に対応する構成要素には、各参照番号の前に「1」を付記した、類似の参照番号を用いた。
【0040】
参照番号112によって示される正面フライスは、HSKインターフェース140を備えるシャフト114を有している。参照番号116によって示されるフライスヘッドも、シャフト114と同様、鋼によって製造されている。点線142は、内部に配置された管構造体を示すものである。この管構造は、フライス刃に冷却剤/潤滑剤を供給するためのものである。この内部管構造は、各刃に、別々に、冷却剤/潤滑剤の管が割り当てられるようになっていることが好ましい。好ましくは、内部に配置された冷却管142の開口部(詳細には図示されていない)は、各ポケット118の中に配置されており、開口部から排出された冷却剤/潤滑剤を、熱除去のために、および/または切り屑を排出運搬するために、特に有効に利用することが可能である。冷却剤/潤滑剤は、液状の潤滑剤であるが、乾式加工または最小潤滑(MMS技術)で使用される、いわゆるMMS流体であってもよい。このようなMMS流体は、例えば、最大50バールの圧力下の圧搾空気である。この空気は、高質の油滴と置き換えてもよい。
【0041】
最適には図6および7から明らかであるように、フライスヘッド116は、7つの硬質材料刃インサート120を備えている。これらの刃インサートは、等間隔の51.43°の円周距離AUを置いて配置されている。これらの硬質材料刃インサートは、図1〜4を参照しながら説明した硬質材料刃インサートと同様に構成されている。ポケット118は、フライスヘッド116に直線状の溝が生成されるように構成されている。H118により、ポケット118の軸方向の長さが示されている。この長さは、例えば直径約130mmのフライスヘッドでは、約25〜30mmである。
【0042】
硬質材料刃インサート120は、全面的に、フライスヘッド116内の、当該刃インサートに割り当てられたポケット118の支持面(詳細には図示されていない)で支持されている。硬質の刃インサート120の厚みD120は、例えば3mmであり、他方、硬質材料の支持面、例えばPKDまたはCBNから構成されていることが可能な支持面は、0.5mmの厚みを有している。この厚みは、D136で示されている。
【0043】
参照記号Sによって、主要刃先124とサブ刃132との間の刃移行部が示されている(図8を参照)。この移行部では、さらにより小さな0.5〜1.5mmの範囲の移行半径R130が形成される。この移行半径R130の領域には、仕上げ削り刃が配置され、荒削り刃は主要刃先124によって形成される。80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の曲げ半径R128の後に、主要刃先が形成される。
【0044】
新たに、本構成では、硬質の刃インサート120が、主要刃先の側で、フライスヘッド116内に形成されたポケットの対応する支持面に全面で支持されている場合に、約8°の負の半径方向すくい角γr(図6および図10を参照)が生じる。図10は、すくい面138の配向方向に対して平行に見た図である、従って、すくい面138は、図10では、線として示されている。この視点では、図示される実施形態では、角度γrは8°である。
【0045】
図9の詳細図から明らかであるように、ポケット118内に構成された、硬質材料刃インサート120用の支持面は、すくい面138がフライスの軸122に対して約25°の角度で傾斜するように、配置されている。
【0046】
従って、硬質材料刃インサート120は、比較的大きな軸方向すくい角γaが約25°の範囲にあり、半径方向すくい角γrが8°であるように、配置されている。
【0047】
図5および8から明らかであるように、主要刃先124は、フライス工具の軸122に垂直にのびる面EN(すなわち処理面)に対して、角度κrで設置されている。この場合も、この角度は極めて小さく、10〜30°の範囲である。この構成によって、次の機能が実現される。
【0048】
主要刃先は、主要刃先124とサブ刃132との間の頂点Sにおいて、切削を行う。主要刃先124が処理面ENに対して小さな角度κrで傾斜していると共に、硬質材料刃インサートが比較的大きな軸方向すくい角γaで軸方向に設置されており、これに関連して、主要刃先124が凸状に構成されており、負の半径方向すくい角γrが形成されるため、切削抵抗が著しく低減されると同時に、最大4000m/分の高い削り速度の場合でも、刃の熱応力を制御して導く切削条件がもたらされる。ポケット118が開いた構造であるため、内部に配置された冷却剤/潤滑剤管にとっては、開口部の位置および配向が好適であり、刃の熱応力をさらに低減させることが可能である。これによって、工具の削り速度および切削性能をさらに向上させることが可能である。
【0049】
上述の説明に従って形成および構成された工具は、基本的な構成を変更することなく、様々な工具直径を有することが可能である。円状切削領域直径、すなわち主要刃先が配置される直径が10〜1400mmの範囲である工具が製造される。この工具は、様々な表面品質の表面の処理のために有効に用いられる。
【0050】
当然ながら、図示された実施形態は、本発明の原理から逸脱することなく、変形させてもよい。すなわち、例えば、固体カーバイドまたはサーメット材料といった、他の硬質材料によって処理してもよい。同じことが、刃支持プレートの材料の選択にも当てはまる。
【0051】
刃支持プレートは、鋼材料、超硬合金材料、アルミニウム材料、CFK材料、およびGFK材料から成る群から選択されてよい。同様に、厚みも2.5mmに制限されない。厚みは、硬質材料ダイプレートの厚みに応じて、変更してもよいし、これに応じて選択してもよい。
【0052】
硬質材料ダイプレートは、必ずしも、刃支持プレート全体を覆っている必要はない。主要刃および/またはサブ刃の領域にだけのびるダイプレートインサートで処理してもよい。硬質材料ダイプレートの形状を変形して、例えば、チップブレーカ機能を満たすように構成してもよい。
【0053】
同様に、硬質材料刃インサートに、摩耗を低減するコーティングを、少なくとも部分的に設けることも可能である。このコーティングは、例えば、TiN、TiAIN、AITiN、AICrNおよび/またはAI2O3の基づく硬質材料コーティングによって構成されていてよい。このコーティングは、単一層、複合層、または多層として構成されていてよい。このコーティングは、硬質の非晶質炭素層、すなわち、VDIガイドラインVDI3824第1〜4章およびVDIガイドライン2840:2004に基づく、いわゆるDLC層で構成されていてもよい。同様に、柔らかい保護層を設けることも可能である。この保護層は、柔らかいWC/CまたはMoS2層によって形成されていてよい。
【0054】
硬質材料刃インサートをフライスヘッドのポケットの中に直接組み入れる代わりに、硬質材料刃インサートをカセットの中に取り付けて、該カセットの方をフライスヘッドに、例えば固定式または調節可能に取り付けてもよい。
【0055】
本発明に係るフライス工具の主要な利用分野は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の荒削り処理および層処理である。ここで、削り速度は、最大4000mm/分まで実現可能である。
【0056】
図示された実施形態では、構成は、硬質材料刃インサート20または120が、同じピッチで、円周上に分布されている。同様に、異なるピッチで分布されていてもよい。すなわち、隣接する硬質材料刃インサートの相互の円周距離AUを、異なるように構成してもよい。こうすることによって、工具の固有振動を、大幅に抑制することが可能である。
【0057】
従って、本発明は、円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサートを備える正面フライスを実現する。硬質材料刃インサートは、刃支持部のポケット内のピッチ円上に配置されると共に、フライスの処理面に所定の90°よりも小さい取り付け角で取り付けられた主要刃先を有している。良好な耐用年数で、最も高い切削効率を確保するためには、10°〜30°、好ましくは15°〜25°の範囲の取り付け角κrが選択される。ここで同時に、主要刃先は、軽度に凸状に構成されている。有効な一変形例によれば、軸方向すくい角γaは、20〜30°の範囲であり、半径方向すくい角γrは、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に係る、円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサートを備える、正面フライスに関する。
【背景技術】
【0002】
このような正面フライスは、工具キャリアにダイプレートが取り付けられたフライスヘッドとして構成されている場合が多い。ダイプレートの例には、超硬合金、セラミック(サーメット)、または、多結晶ダイアモンド(PKD)から成るスローアウェイチップが含まれる。従来の平フライスヘッドでは、ダイプレートは、取り付け角κrが約75°になるように、すなわち、主要刃先が、フライス軸を含む被処理面に対して約75°の角度κrで伸びるように取り付けられている。フライス軸は、未加工品表面に対して垂直であり、工具の正面に配置されたサブ刃先が、加工面を作成する。
【0003】
切り屑排出を行う他の工具と同様、冒頭部分に記載した種類の正面フライスも、ダイナミックに発展しており、削り速度が上昇し、同時に工具寿命が向上している。ここでは、多くの場合、極めて高い金属削り性能であっても、被処理表面に良好な表面品質を確保する必要がある。従って、このような高性能のフライスヘッドを工具機械に結合するクランプ技術がさらに重要になる。現在の中空テーパシャフト(HSK)インターフェースは、動作直径が100mmよりもかなり大きなフライスヘッドを、1000m/分以上の削り速度でも高品質で高性能の処理表面を実現可能に安定かつ高い同心精度で、工具機械スピンドルに結合させることが可能である。この場合、スピンドル回転速度は、10000U/分以上であってよい。
【0004】
しかし、冒頭部分に記載した種類の正面フライスでは、削り速度が高くなるにつれて、問題が生じる。すなわち、刃先が未加工品の中に突然入り込むことにより、フライスが著しく揺動し、刃インサートの局所的過負荷をもたらすような、切削抵抗の経過が導かれる。従って、工具の切削性能および耐用年数は、多くの場合、十分なレベルで維持されることは少ない。
【0005】
本発明の課題は、請求項1の上位概念に係る正面フライス、特にフライスヘッドを改良して、耐用年数を延長させ、より良好な切削性能を実現し、良好な表面品質を得ることにある。
【発明の概要】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する正面フライスによって解決される。
本発明によれば、1つに、取り付け角κrは、10°〜30°、最も好ましくは18°〜22°の間の値に著しく低減され、同時に、主要刃先は、軽度に凸状に構成される。このようにすることによって、切削抵抗が、極めて良好に分布され、従って、著しく低減されることが分かった。ここで、いわゆる「ニュートラルな切削」、すなわち、被処理部材に引っ張り荷重および圧力荷重が生じない切削が行われる。主要刃先の経路を変更することによって、同時に、スピンドルが受けるトルクもより少なくなる。これによって、フライスの実現可能な削り速度を、4000m/分まで上昇させることが可能である。
【0007】
主要刃先を長くしたため、刃における熱の生成が比較的少ないという、さらなる利点が生じる。従って、本発明に係る工具は、いわゆる乾式加工(MMS)技術に最適である。本発明に係る構成に従って、取り付け角κrを10°〜30°の範囲にすることによって、主要刃先の大部分の領域が荒削り刃として機能し、径方向に内側に配置された、実際にはより小さな領域が、仕上げ削り刃として動作するという、特別な効果が得られる。仕上げ削り刃の領域では、切り屑の量は著しく少ないため、そこに発生する切削抵抗は低減され、より高い品質を有する表面処理が実現可能である。
【0008】
さらに、本発明によれば、主要刃先が、より小さな移行半径(0.5〜1.5mmの範囲の値を有していることが好ましい)を介して、サブ刃先に移行するようになっている。このため、フライスの耐用年数は、さらに延長され得る。このように、移行半径が、仕上げ削り刃部の中央に配置されているので、これによって、フライスの耐用年数を著しく延長させることが可能である。ここで、正面フライスの効率は、軸方向すくい角が大幅に正(ポジティブ)(好ましくは、20°〜30°の範囲、特に好ましくは23°〜27°の範囲)に選択されている場合に、さらに上昇する。この構成では、刃が大幅に正に配置されているため、熱の生成がさらに低減され得る。従って同時に、切り屑は刃領域の外に飛散する。
【0009】
最も容易には、主要刃先とサブ刃先との間の移行半径の選択を介して、切り屑形成、および同時に、処理される未加工品表面の表面品質に影響を与えることが可能である。従って、用いられる硬質材料刃インサートは、顧客の希望や使用条件に適した移行半径を有して構成される。ここで、移行半径の値が大きくなるにつれて、ますます良好な表面品質が実現可能である。
【0010】
取り付け角κrを介しても、有効かつ容易に、実現される表面品質に影響を与えることが可能である。ここで、取り付け角κrが大きいほど、被処理表面の表面品質は向上する傾向にある。本発明によれば、移行半径と取り付け角κrとを相互に関連させることによって、工具を、最適かつ顧客の希望に応じて、所定の各使用分野、すなわち、求められる被処理未加工品の表面品質に適合させることが可能である。この際に、工具の全構造を変更する必要はない。
【0011】
請求項1の特徴を組み合わせることによって、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金を処理する場合に、40m/分までの送り速度、かつ、4000m/分までの削り速度で動作可能な、より良好な切削性能を特徴とする工具であって、単に形状パラメータを変更することによって、所望の各使用目的に好適に適合させることが可能である工具が得られる。極めて小さな円状切削領域(Flugkreis)直径でも、極めて大きな円状切削領域直径でも、工具の構成は維持されることが示された。本発明に係る工具は、10〜1400mmの範囲の円状切削領域直径の場合に適している。
【0012】
主要刃先の曲げ半径が80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の値をとる場合に、特に有効に、切削抵抗が低減し、同時に主要刃先の熱応力が減少することが分かった。さらに、曲げ半径は、従来の機械で再現可能に形成することができるため、全ての硬質材料刃インサートは、同一の条件を有するという利点を有している。これによって、全ての刃インサートに同一の摩耗が確保される。
【0013】
工具に作用する切削反力は、請求項3に従って、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲の、負(ネガティブ)の半径方向すくい角で処理される場合に、さらに低減可能である。これによって、切り口は、さらに柔らかく、かつ、均一になり、このため工具はさらに静かに動作する。
【0014】
硬質材料刃インサートの構成および材料の選択に関して、大きな選択の可能性が存在する。しかし、特に、アルミニウムおよびその合金を処理する際に、極めて高い切削性能、すなわち送り速度を実現するためには、多結晶ダイアモンドまたは立方晶窒化ホウ素(CBN)から成るダイプレートを備える硬質材料刃インサートが特に適していることが示された。当然、供給部の実際の寸法は、その工具機械およびスピンドルに依存している。しかし、基本的には、本発明に係る正面フライスの構成は、工具の切削性能を、あらゆる材料の場合に著しく上昇させることが可能である。
【0015】
硬質材料から成るダイプレートを用いる場合、ダイプレートは、刃支持プレート上に固定されていることが好ましい。ここで、固定は、接着、ハンダ付け、または嵌合を介して行われる。特に良好な切削条件は、単に、刃支持プレートが2.3〜2.9mmの厚みを有し、硬質材料から成るダイプレートが0.4〜0.6mmの範囲の厚みを有している場合に、実現可能であることが示された。
【0016】
基本的に、硬質材料刃インサートは、フライスボディのポケットの中に、取り外し可能に、例えばねじ止め、または、嵌合によって、取り付けられていてよい。しかし、工具の効率は、硬質材料刃インサートが刃支持部のポケットの中に、ハンダ付けまたは接着によって取り付けられている場合に、高くなる。このようにして、溝を大きく構成することができるので、切り屑の排出運搬をさらに良好に行うことが可能であり、従って切削性能さらに向上させることが可能である。
【0017】
しかし同様に、硬質材料刃インサートを、刃カセットで支持することも可能である。刃カセットは、設定可能にフライスボディに固定されていることが好ましい。
【0018】
フライス工具の耐用年数は、硬質材料刃インサートに適したコーティングを施すことによって、改善することが可能である。ここで、コーティングの種類は、切削される材料に応じて選択されることが好ましい。コーティングの有効な構成は、請求項10の対象である。
【0019】
冒頭部分で既に説明したように、本発明に係るフライス工具は、最も高い切削性能の場合でも、いわゆる乾式加工に適している。この場合、フライス工具を、請求項11に従って変形することが有効である。好ましくは内側に設置された冷却剤管の開口部から排出されるMMS(最小潤滑)流体(これは、圧搾空気から構成されていてよい。この圧搾空気は、例えば油滴と置き換えられる)が、1つに、噛み合った複数の刃を潤滑および冷却し、同時に、生じた切り屑を冷却すると共に排出運搬するように機能する。このようにして、工具の効率をさらに上昇させることが可能である。
【0020】
更なる好ましい構成は、他の従属請求項の対象である。
【0021】
以下に、概略的な図面を参照しながら、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、フライスヘッドとして構成された正面フライスを示す斜視図である。
【図2】は、正面フライスの回転軸に垂直方向に見た、硬質材料刃インサートを大きく拡大して示す概略図である。
【図3】は、図2の硬質材料刃インサートを示す、図2の観察方向「III」から見た図である。
【図4】は、図2および図3に係る硬質材料刃インサートを、フライス軸に平行に見た図である。
【図5】は、正面フライスのさらなる実施形態を示す側面図である。
【図6】は、図5の正面フライスを示す正面図である。
【図7】は、図5および図6の正面フライスを示す斜視図である。
【図8】は、図5の細部「VIII」を示す拡大図である。
【図9】は、図5の細部「IX」を示す拡大図である。
【図10】は、負の半径方向すくい角を実現するための、硬質材料刃インサートの、フライス軸に対する位置を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1では、参照番号12により、正面フライスが示されている。正面フライスの円筒状のシャフト14は、フライスヘッド16を支えている。フライスヘッド16は、各ポケット18の中に、1つの硬質材料刃インサート20を収容している。この構成では、この場合、全ての硬質材料刃インサート20が、同一のピッチ円または円状切削領域上に来ると共に、互いに所定の円周距離をおいて配置されていることになる。隣接しあう硬質材料刃インサート20間の各円周距離は、互いに異なっていること、すなわち、フライス工具のピッチは均一ではないことが好ましい。これによって、工具の固有振動数に応じて、揺動勾配が低減されるという効果を実現する。
【0024】
この工具は、正面平フライスのために使用される、いわゆる平フライスヘッドである。このような工具では、フライスヘッドの直径は、好ましくは、処理される未加工品の幅の1.3倍になるように設定される。
【0025】
図1に係る工具の特徴は、硬質材料刃インサート20の形状、および、工具の回転軸22に対する位置が、特別な手法で選択される点にある。これについて、図2〜4を参照しながら、より詳細に説明する。
【0026】
最も良好には図3から明らかなように、この構成では、主要刃先24が、フライス軸22に垂直にのびる面、すなわちフライス工具の処理面26に対して、取り付け角κrでのびていることを指す。取り付け角κrは、10°〜30°、好ましくは15°〜25°、最も好ましくは18°〜22°の範囲である。このように取り付け角κrが極めて小さいため、主要刃先24が、送り時に、所定の寸法MZの場合には比較的長い
【数1】
にわたって、刃の歯合を導く。このように、仕上げ削り刃部30に隣接して、比較的大きな区域の荒削り刃28が形成される。
【0027】
本構成は、3次元の位置だけでなく刃の形状にも、特徴を有している。最も良好には図3から明らかなように、主要刃先は、軽度に凸状に構成されている。具体的には、主要刃先24の輪郭は、少なくともより大きな拡張領域を介して、曲げ半径R28を有する弧を成している。曲げ半径R28は、80〜120mmの範囲、好ましくは90〜110mmの範囲、すなわち例えば100mmである。主要刃先24は、より小さな移行半径R30を介して、サブ刃32に移行する。移行半径R30は、0.5〜1.5mmの範囲、すなわち、例えば1mmである。
【0028】
主要刃先24とサブ刃先32との間の移行半径R30によって、切り屑形成、および、同時に処理される未加工品表面の表面品質が、影響を受ける。これに対応して、用いられる硬質材料刃インサートは、顧客の希望や使用条件に応じて適した移行半径を有して構成される。ここで、移行半径の値が大きいほど、より高い表面品質が実現され得る。
【0029】
取り付け角κrを介しても、実現される表面品質に、有効かつ容易に影響を与えることが可能である。ここで、取り付け角κrが小さくなるにつれて、従って、寸法MZ(図3を参照)が小さくなるにつれて、被処理表面の表面品質が改善される傾向にある。すなわち、移行半径と取り付け角κrとを相互作用させることによって、本発明に係る工具を、最適かつ顧客の希望に応じて、所定の各使用領域に、すなわち、処理される未加工品表面の目標とされる品質に、適合させることが可能である。この際に、工具の構造全体を変更する必要はない。
【0030】
図示される第1の実施形態の硬質材料刃インサートは、刃支持プレート34が、全面的に硬質材料ダイプレート36を支持している実施例である。硬質材料ダイプレート36は、例えば、多結晶ダイアモンド(PKD)または立方晶窒化ホウ素(CBN)から構成されている。VHMまたはサーメット材料などの他の硬質材料を用いてもよい。このような硬質材料ダイプレートは、0.5mmの厚みを有していることが好ましい。
【0031】
刃支持プレート34は、硬質材料刃インサート20に十分に高い保形性を提供するように選択された材料から構成されている。刃支持プレート34は、固体カーバイド(Vollhartmetal)またはサーメット材料またはセラミック材料から構成されていることが好ましい。しかし、刃支持プレート34は、他の材料、アルミニウムから成る材料でも、または、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなる材料から構成されていてもよい。重要な点は、刃支持プレート34が、できる限り全面で、フライスヘッド16のポケット18の支持面で支持されることである。こうすることによって、切削反力が、信頼性を有して、かつ、材料に過負荷を与えることなく、受容され得る。
【0032】
図2および4からは、硬質材料刃インサート20の、3次元の位置が明らかである。図2の図からは、硬質材料刃インサート20は、参照番号38で示されたすくい面が、主要刃先24の領域に、20〜30°の範囲、好ましくは23〜27°の範囲の軸方向すくい角γaが生じるような設置で、配置されていることが分かる。
【0033】
参照番号αによって逃げ角が示されている。この逃げ角は、主要刃およびサブ刃の場合には正である必要があり、例えば8°の範囲にある。
【0034】
硬質材料刃インサートのこの形状および構成では、様々な材料の高速切削、特に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の切削において、極めて良好な切削条件をもたらす。処理面26に対して極めて小さな取り付け角κrを形成する主要刃先24の軸方向すくい角γaが比較的大きいため、切削性能が高い場合でも、極めて良好な切削条件が生じる。ここで、熱の生成は極めてわずかであり、刃領域の外部に切り屑が飛散する良好な切り屑飛散が実現される。
【0035】
径方向に延長された主要刃先24は、荒削り刃として動作し、他方、主要刃先24に隣接する径方向に内側に配置された刃先部分30は、仕上げ削り刃として動作する。特に均一な切削抵抗を有する良好な切削条件によって、刃インサートが、削られる材料の中に導入される際に、従来のフライス工具の比較可能な部材の場合に生じるような、大きな力ピークが、刃インサートに生じることはない。従って、本工具は、高い切削性能の場合でも静かに動作し、生成される表面の品質をより改善することが可能である。
【0036】
上述の効果は、(図4に示すような)硬質材料刃インサート20を、回転軸22を含む面に対して、負の半径方向すくい角γrが生成されるように設置する場合に、さらに改善される。この半径方向すくい角は、例えば、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲である。この構成によって、フライス刃によって行われる切り口がより柔らかくなる。換言すると、これによって、被切削部材に引っ張り荷重および圧力荷重が生じない、いわゆる「ニュートラルな切削」が行われる。同時に、スピンドルにおけるトルクの受容もさらに低減される。そして、主要刃先24をさらに延長することによって、熱の生成をさらに低減可能である。
【0037】
図2〜4に係る形状および配置の硬質材料刃インサートを有して構成された正面フライスでは、最大4000m/分の削り速度を実現することが可能であることが示された。ここで、スピンドル回転速度は、10000U/分よりも高い範囲であってよい。送り速度は、特に、例えばアルミニウムおよびアルミニウム合金を処理する際には、40m/分の範囲であってよい。
【0038】
上述の、正面フライスにおける硬質材料刃インサートの構成および配置は、フライスヘッドを、安定性が十分なシャフト14と組み合わせた場合に、産業的に極めて有効に利用可能である。このシャフト14は、HSKインターフェースを介して、機械スピンドルまたはさらなるシステムモジュールに結合されていることが好ましい。こうすることによって、非常に高い回転速度の場合でも、上述の領域においては、十分に高い同心精度および揺動安定性を確保することが可能である。
【0039】
図1〜4を参照しながら、正面フライスの一実施形態について説明した。この実施形態では、構造の主要構成要素だけを強調して説明した。以下では、図5〜10を参照しながら、実験した、正面フライスの他の一実施形態について説明する。この実施形態では、個々の部材の寸法を調整して再現している。繰り返しを避けるために、本実施形態の説明では、先に記載した実施形態の部材に対応する構成要素には、各参照番号の前に「1」を付記した、類似の参照番号を用いた。
【0040】
参照番号112によって示される正面フライスは、HSKインターフェース140を備えるシャフト114を有している。参照番号116によって示されるフライスヘッドも、シャフト114と同様、鋼によって製造されている。点線142は、内部に配置された管構造体を示すものである。この管構造は、フライス刃に冷却剤/潤滑剤を供給するためのものである。この内部管構造は、各刃に、別々に、冷却剤/潤滑剤の管が割り当てられるようになっていることが好ましい。好ましくは、内部に配置された冷却管142の開口部(詳細には図示されていない)は、各ポケット118の中に配置されており、開口部から排出された冷却剤/潤滑剤を、熱除去のために、および/または切り屑を排出運搬するために、特に有効に利用することが可能である。冷却剤/潤滑剤は、液状の潤滑剤であるが、乾式加工または最小潤滑(MMS技術)で使用される、いわゆるMMS流体であってもよい。このようなMMS流体は、例えば、最大50バールの圧力下の圧搾空気である。この空気は、高質の油滴と置き換えてもよい。
【0041】
最適には図6および7から明らかであるように、フライスヘッド116は、7つの硬質材料刃インサート120を備えている。これらの刃インサートは、等間隔の51.43°の円周距離AUを置いて配置されている。これらの硬質材料刃インサートは、図1〜4を参照しながら説明した硬質材料刃インサートと同様に構成されている。ポケット118は、フライスヘッド116に直線状の溝が生成されるように構成されている。H118により、ポケット118の軸方向の長さが示されている。この長さは、例えば直径約130mmのフライスヘッドでは、約25〜30mmである。
【0042】
硬質材料刃インサート120は、全面的に、フライスヘッド116内の、当該刃インサートに割り当てられたポケット118の支持面(詳細には図示されていない)で支持されている。硬質の刃インサート120の厚みD120は、例えば3mmであり、他方、硬質材料の支持面、例えばPKDまたはCBNから構成されていることが可能な支持面は、0.5mmの厚みを有している。この厚みは、D136で示されている。
【0043】
参照記号Sによって、主要刃先124とサブ刃132との間の刃移行部が示されている(図8を参照)。この移行部では、さらにより小さな0.5〜1.5mmの範囲の移行半径R130が形成される。この移行半径R130の領域には、仕上げ削り刃が配置され、荒削り刃は主要刃先124によって形成される。80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の曲げ半径R128の後に、主要刃先が形成される。
【0044】
新たに、本構成では、硬質の刃インサート120が、主要刃先の側で、フライスヘッド116内に形成されたポケットの対応する支持面に全面で支持されている場合に、約8°の負の半径方向すくい角γr(図6および図10を参照)が生じる。図10は、すくい面138の配向方向に対して平行に見た図である、従って、すくい面138は、図10では、線として示されている。この視点では、図示される実施形態では、角度γrは8°である。
【0045】
図9の詳細図から明らかであるように、ポケット118内に構成された、硬質材料刃インサート120用の支持面は、すくい面138がフライスの軸122に対して約25°の角度で傾斜するように、配置されている。
【0046】
従って、硬質材料刃インサート120は、比較的大きな軸方向すくい角γaが約25°の範囲にあり、半径方向すくい角γrが8°であるように、配置されている。
【0047】
図5および8から明らかであるように、主要刃先124は、フライス工具の軸122に垂直にのびる面EN(すなわち処理面)に対して、角度κrで設置されている。この場合も、この角度は極めて小さく、10〜30°の範囲である。この構成によって、次の機能が実現される。
【0048】
主要刃先は、主要刃先124とサブ刃132との間の頂点Sにおいて、切削を行う。主要刃先124が処理面ENに対して小さな角度κrで傾斜していると共に、硬質材料刃インサートが比較的大きな軸方向すくい角γaで軸方向に設置されており、これに関連して、主要刃先124が凸状に構成されており、負の半径方向すくい角γrが形成されるため、切削抵抗が著しく低減されると同時に、最大4000m/分の高い削り速度の場合でも、刃の熱応力を制御して導く切削条件がもたらされる。ポケット118が開いた構造であるため、内部に配置された冷却剤/潤滑剤管にとっては、開口部の位置および配向が好適であり、刃の熱応力をさらに低減させることが可能である。これによって、工具の削り速度および切削性能をさらに向上させることが可能である。
【0049】
上述の説明に従って形成および構成された工具は、基本的な構成を変更することなく、様々な工具直径を有することが可能である。円状切削領域直径、すなわち主要刃先が配置される直径が10〜1400mmの範囲である工具が製造される。この工具は、様々な表面品質の表面の処理のために有効に用いられる。
【0050】
当然ながら、図示された実施形態は、本発明の原理から逸脱することなく、変形させてもよい。すなわち、例えば、固体カーバイドまたはサーメット材料といった、他の硬質材料によって処理してもよい。同じことが、刃支持プレートの材料の選択にも当てはまる。
【0051】
刃支持プレートは、鋼材料、超硬合金材料、アルミニウム材料、CFK材料、およびGFK材料から成る群から選択されてよい。同様に、厚みも2.5mmに制限されない。厚みは、硬質材料ダイプレートの厚みに応じて、変更してもよいし、これに応じて選択してもよい。
【0052】
硬質材料ダイプレートは、必ずしも、刃支持プレート全体を覆っている必要はない。主要刃および/またはサブ刃の領域にだけのびるダイプレートインサートで処理してもよい。硬質材料ダイプレートの形状を変形して、例えば、チップブレーカ機能を満たすように構成してもよい。
【0053】
同様に、硬質材料刃インサートに、摩耗を低減するコーティングを、少なくとも部分的に設けることも可能である。このコーティングは、例えば、TiN、TiAIN、AITiN、AICrNおよび/またはAI2O3の基づく硬質材料コーティングによって構成されていてよい。このコーティングは、単一層、複合層、または多層として構成されていてよい。このコーティングは、硬質の非晶質炭素層、すなわち、VDIガイドラインVDI3824第1〜4章およびVDIガイドライン2840:2004に基づく、いわゆるDLC層で構成されていてもよい。同様に、柔らかい保護層を設けることも可能である。この保護層は、柔らかいWC/CまたはMoS2層によって形成されていてよい。
【0054】
硬質材料刃インサートをフライスヘッドのポケットの中に直接組み入れる代わりに、硬質材料刃インサートをカセットの中に取り付けて、該カセットの方をフライスヘッドに、例えば固定式または調節可能に取り付けてもよい。
【0055】
本発明に係るフライス工具の主要な利用分野は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の荒削り処理および層処理である。ここで、削り速度は、最大4000mm/分まで実現可能である。
【0056】
図示された実施形態では、構成は、硬質材料刃インサート20または120が、同じピッチで、円周上に分布されている。同様に、異なるピッチで分布されていてもよい。すなわち、隣接する硬質材料刃インサートの相互の円周距離AUを、異なるように構成してもよい。こうすることによって、工具の固有振動を、大幅に抑制することが可能である。
【0057】
従って、本発明は、円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサートを備える正面フライスを実現する。硬質材料刃インサートは、刃支持部のポケット内のピッチ円上に配置されると共に、フライスの処理面に所定の90°よりも小さい取り付け角で取り付けられた主要刃先を有している。良好な耐用年数で、最も高い切削効率を確保するためには、10°〜30°、好ましくは15°〜25°の範囲の取り付け角κrが選択される。ここで同時に、主要刃先は、軽度に凸状に構成されている。有効な一変形例によれば、軸方向すくい角γaは、20〜30°の範囲であり、半径方向すくい角γrは、−6°〜−10°、好ましくは−7°〜−9°の範囲である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサート(20;120)を備える正面フライスであって、上記硬質材料刃インサート(20;120)は、ピッチ円()上に来るように刃支持部(16;116)のポケット(18;118)に収容され、上記フライスの処理面(26;EN)に対して90°よりも小さい取り付け角(κr)で取り付けられた主要刃先(24;124)を有しており、以下の、
上記取り付け角(κr)は、10〜30°、好ましくは15〜25°、最も好ましくは18〜22°の範囲であり、
上記主要刃先(24;124)は、軽度に凸状に構成されており、
上記主要刃先(24;124)は、0.5〜1.5mmの範囲の値を有する小さい移行半径(R30;R130)を介して、サブ刃先(32;132)に移行し、
上記主要刃先(24;124)の軸方向すくい角(γa)は、20〜30°、好ましくは23〜27°の範囲である、という特徴の組み合わせを特徴とする、正面フライス。
【請求項2】
上記主要刃先(24;124)は、実質的に、80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の半径(R28;R128)に沿っていることを特徴とする、請求項1に記載の正面フライス。
【請求項3】
上記主要刃先(24;124)の半径方向すくい角(γr)は、−6〜−10°、好ましくは−7〜−9°の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の正面フライス。
【請求項4】
逃げ角(α)は、8〜12°の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項5】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、少なくとも刃(24,32;124,132)を把持する、多結晶ダイアモンド(PKD)または立方晶窒化ホウ素(CBN)から成るダイプレート(36;136)を有しており、上記ダイプレートの厚み(D36;D136)は、0.4〜0.6mmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項6】
上記ダイプレート(36;136)は、刃支持プレート(34;134)の上に固定されており、上記刃支持プレート(34;134)の材料は、鋼材料、超硬合金材料、アルミニウム材料、CFK材料、およびGFK材料から成る群から選択されると共に、好ましくは2.3〜2.9mmの厚み(D34;D134)を有することを特徴とする、請求項5に記載の正面フライス。
【請求項7】
上記ダイプレート(36;136)は、上記刃支持プレート(34;134)に接着されているか、または、ハンダ付けされていることを特徴とする、請求項6に記載の正面フライス。
【請求項8】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、上記刃支持部(16;116)のポケット(18;118)にハンダ付けされているか、嵌合されているか、または、接着されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項9】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、不規則な円周距離(AU)を置いて、隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項10】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、少なくとも部分的に、少ない摩擦係数(VDIガイドラインVDI3824第1〜4章、および、VDI2840:2004)を有する硬質の非晶質炭素層(DLC層)の単一層、複合層、もしくは多層として、または、WC/C層もしくはMoS2層などの柔らかい保護層として、摩耗を低減するコーティング、例えば、TiN、TiAIN、AITiN、AICrN、および/または、AI2O3に基づく硬質材料コーティングを備えていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項11】
上記主要刃先(24;124)の方に向けられた開口部を有する、内部に配置された冷却剤管(142)を特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の正面フライスの、アルミニウム材料を荒削り処理および仕上げ削り処理するための使用。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の正面フライスの、最大4000m/分の削り速度のための使用。
【請求項1】
円周上に分布された多数の平面状の硬質材料刃インサート(20;120)を備える正面フライスであって、上記硬質材料刃インサート(20;120)は、ピッチ円()上に来るように刃支持部(16;116)のポケット(18;118)に収容され、上記フライスの処理面(26;EN)に対して90°よりも小さい取り付け角(κr)で取り付けられた主要刃先(24;124)を有しており、以下の、
上記取り付け角(κr)は、10〜30°、好ましくは15〜25°、最も好ましくは18〜22°の範囲であり、
上記主要刃先(24;124)は、軽度に凸状に構成されており、
上記主要刃先(24;124)は、0.5〜1.5mmの範囲の値を有する小さい移行半径(R30;R130)を介して、サブ刃先(32;132)に移行し、
上記主要刃先(24;124)の軸方向すくい角(γa)は、20〜30°、好ましくは23〜27°の範囲である、という特徴の組み合わせを特徴とする、正面フライス。
【請求項2】
上記主要刃先(24;124)は、実質的に、80〜120mm、好ましくは90〜110mmの範囲の半径(R28;R128)に沿っていることを特徴とする、請求項1に記載の正面フライス。
【請求項3】
上記主要刃先(24;124)の半径方向すくい角(γr)は、−6〜−10°、好ましくは−7〜−9°の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の正面フライス。
【請求項4】
逃げ角(α)は、8〜12°の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項5】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、少なくとも刃(24,32;124,132)を把持する、多結晶ダイアモンド(PKD)または立方晶窒化ホウ素(CBN)から成るダイプレート(36;136)を有しており、上記ダイプレートの厚み(D36;D136)は、0.4〜0.6mmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項6】
上記ダイプレート(36;136)は、刃支持プレート(34;134)の上に固定されており、上記刃支持プレート(34;134)の材料は、鋼材料、超硬合金材料、アルミニウム材料、CFK材料、およびGFK材料から成る群から選択されると共に、好ましくは2.3〜2.9mmの厚み(D34;D134)を有することを特徴とする、請求項5に記載の正面フライス。
【請求項7】
上記ダイプレート(36;136)は、上記刃支持プレート(34;134)に接着されているか、または、ハンダ付けされていることを特徴とする、請求項6に記載の正面フライス。
【請求項8】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、上記刃支持部(16;116)のポケット(18;118)にハンダ付けされているか、嵌合されているか、または、接着されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項9】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、不規則な円周距離(AU)を置いて、隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項10】
上記硬質材料刃インサート(20;120)は、少なくとも部分的に、少ない摩擦係数(VDIガイドラインVDI3824第1〜4章、および、VDI2840:2004)を有する硬質の非晶質炭素層(DLC層)の単一層、複合層、もしくは多層として、または、WC/C層もしくはMoS2層などの柔らかい保護層として、摩耗を低減するコーティング、例えば、TiN、TiAIN、AITiN、AICrN、および/または、AI2O3に基づく硬質材料コーティングを備えていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項11】
上記主要刃先(24;124)の方に向けられた開口部を有する、内部に配置された冷却剤管(142)を特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の正面フライス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の正面フライスの、アルミニウム材料を荒削り処理および仕上げ削り処理するための使用。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の正面フライスの、最大4000m/分の削り速度のための使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−521140(P2013−521140A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555439(P2012−555439)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053312
【国際公開番号】WO2011/107594
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(506360974)ギューリング オッフェネ ハンデルスゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】Guehring oHG
【住所又は居所原語表記】Herderstrasse 50−54, D−72458 Albstadt, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053312
【国際公開番号】WO2011/107594
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(506360974)ギューリング オッフェネ ハンデルスゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】Guehring oHG
【住所又は居所原語表記】Herderstrasse 50−54, D−72458 Albstadt, Germany
【Fターム(参考)】
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