説明

歩行性昆虫捕獲器

【課題】周囲が側板で囲まれた捕獲器の、粘着剤を有する底板部内に付着した水を外部に排水できるようにして、粘着剤の粘着力が損なわれないようにした皿状の歩行性昆虫捕獲器を提供する。
【解決手段】粘着剤10を設けた底板部の前後端縁より起立状に側板部2、3を起立させ、その前後の側板部2,3より相互に係止する天板部を延設すると共に、底板部の左右端縁に立上げ片板部11を有する捕獲器の、底板部の四隅に切欠状の角部水抜部ロを設けた。更に、底板部と側板部2,3との境界における前後方向の中央にも切欠状の中央水抜部イを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリなどの歩行性昆虫の捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の捕獲器は、例えば、特開平10−165069号公報に開示されているように、厚紙を折り曲げて略箱形状に組み立てた構造である。
即ち、上面に粘着剤を付着した底板部の前後端縁より起立状に側板部を起立させ、その前後の側板部より相互に係止する天板部を延設すると共に、底板部の左右端縁に立上げ片板部を有する構造である。
【0003】
従って、従来品の底板部は、その周囲が前後の側板部及び立上げ片板部によって囲まれているので、受皿状になっている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−165069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、歩行性昆虫捕獲器は、一般的には家庭の居室などに設置する。しかし、食品工場など水を使用する場所に、前記従来品の歩行性昆虫捕獲器を設置すると、受皿状の底板部に水が付着し、粘着剤の粘着力が損なわれる不具合があった。
【0006】
そこで、本発明は、斯様な従来品の不具合を除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成すべく、本発明は、前記底板部の四隅に、切欠状の角部水抜部を設けてなることである。
【0008】
また、前記底板部と側板部との境界における前後方向の中央に、切欠状の中央水抜部を設けてなるのが好ましい。
【0009】
更に、前記角部水抜部は底板部、立上げ片板部、側板部の一部を切欠して形成してなるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1の発明によれば、底板部上面に付着した水は、角部水抜部より外部に排水されるため、底板部上面に設けた粘着剤の粘着力が損なわれない。
【0011】
本請求項2の発明によれば、中央水抜部によって、更に、底板部内の水を外部に排水し易くなる。
【0012】
また、本請求項3の発明によれば、底板部内の空気の流出、流入性が向上するため、その空気の流出、流入により、粘着剤に付着した水の蒸発が促進でき、水の除去が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施例を図面に基ずいて説明する。
図1は、本発明に係る歩行性昆虫捕獲器を示し、この捕獲器は、図4に示す様に一枚の合成樹脂(例えば、ポロプロピレンなど)シートを、折り目2A、3A、11Aなどに沿って折り曲げて組み立てたである。
図4において、20A、30A、31Aはスリットを示す。
【0014】
図中、1は底板部、2,3は底板部1の前後端縁より起立状に折曲して形成した側板部及び天板部、11,11は底板部1の左右端縁より起立状に折曲した立上げ片板部をそれぞれ示す。
【0015】
以上の側板部22,32、及び天板部23、31は不透明に着色され、各側板部22、32にはスリット20A、30Aによって形成した扉板部20、30が形成され、この扉板部20、30を折曲することにより、歩行性昆虫、例えばゴキブリの侵入口20B、30Bが形成されている。
【0016】
そして、図2に示すように、一方の天板部23に設けた挿入片板部21を、他方の天板部31のスリット31Aに挿入係止すると共に隔片板部21A、21Aを他方の天板部31上に重ね合わせることにより、両天板部23、31は一体に略箱形状に組み立てられる。
【0017】
以上の低板部1の上面には、透明状の粘着剤10が付着され、歩行性昆虫が粘着力により、捕獲できるように構成されている。
この粘着剤10は底板部1の上面の前後方向及び左右方向に設けた幅広のラインには付着されていない。その為、粘着剤の付着されていない幅広のラインから水が排水しやすくなる。
【0018】
この底板部1の四隅側には、低板部1及び立上げ片板部11、側板部22,23のそれぞれ一部を切欠して形成した角部水抜部ロ、ロ、ロ、ロが設けてある。
【0019】
この角部水抜部ロ・・・によって、低板部1の上面に付着した水が外部に排水される様に構成されている。
【0020】
また、底板部1と側板部2,3の境界における前後方向の中央には、中央水抜部イ、イを形成して、更に、底板部1内の水を排水しやすいようにしている。
中央水抜部イ、イは前後方向の中央に形成しているが、底板部1と側板部2,3の境界における前後方向の中央以外にも形成しても良い。即ち、複数個所に形成することもできる。
【0021】
そして、この角部水抜部ロ・・・及び中央水抜部イ、イはいずれも底板部1上面より高い位置から底板部1に向けて切欠されているため、底板部1内への空気の流出入が行い易く、低板部1の粘着剤10に付着した水を除去しやすいようにしている。
また、中央水抜部イ、イを複数個所に形成すると、一層、底板部1内への空気の流出入が行い易すくなり、低板部1の粘着剤10に付着した水を除去しやすい。
【0022】
また、底板部1、粘着剤10は透明材から成り、そのため、歩行性昆虫が入りやすく、入った昆虫は底板部1の外側から視覚できるので、捕獲の有無が判断しやすい。
【0023】
なお、図示する底板部1は、全体を水平状に形成しているが、組み立てた際には、この底板部1は前後方向又は左右方向の中央部が高く傾斜しているので、底板部1内に付着した水が自然に外部に排水できる。
また、この粘着剤10は底板部1の上面の前後方向及び左右方向に設けた幅広のラインには付着されていない。その為、粘着剤の付着されていない幅広のラインから水が排水しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる捕獲器の斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の要部の断面図である。
【図4】本発明の展開図である
【符号の説明】
【0025】
イ、イ 中央水抜部
ロ、ロ、ロ、ロ 角部水抜部
1 底板部
11粘着剤
22、32 側板部
23,31 天板部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に粘着剤を付着した底板部の前後端縁より起立状に側板部を起立させ、その前後の側板部より相互に係止する天板部を延設すると共に、底板部の左右端縁に立上げ片板部を有する歩行性昆虫捕獲器において、前記底板部の四隅に、切欠状の角部水抜部を設けてなることを特徴とする歩行性昆虫捕獲器。
【請求項2】
前記底板部と側板部との境界における前後方向の中央に、切欠状の中央水抜部を設けてなる請求項1記載の歩行性昆虫捕獲器。
【請求項3】
前記角部水抜部は底板部、立上げ片板部、側板部の一部を切欠して形成してなる請求項1記載の歩行性昆虫捕獲器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−195507(P2007−195507A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20178(P2006−20178)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(593184341)エコア株式会社 (4)
【Fターム(参考)】