説明

歩行者用信号機に使用されるLEDランプ

【課題】複数の白色LEDでもって歩行者用信号機の前面カバーを好ましい色に照射する。
【解決手段】LEDランプは、開口部43を四角形としてなる凹面鏡40の反射器4の中心部に設けてなるソケット5にねじ込んで交換自在に連結される。LEDランプ2は、ソケット5にねじ込んで連結される外周に雄ネジ12を設けてなる連結部11と、連結部11に固定してなる複数の白色LED2を備えるランプ本体10とからなる。ランプ本体10は、中央部と外周部とに白色LED2を固定してなる固定台15と、この固定台15の外側をカバーする透明カバー16とを備えている。この透明カバー16は、固定台15の外周部に固定してなる外周LED2Xの光を透過させる外周部16Aに、外周LED2Xの光を変色して透過させる変色フィルター7を設けて、この変色フィルター7が、固定台15の外周部に固定してなる外周LED2Xの光を変色して透過させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者用信号機の電球に代わって使用される光源をLEDとするランプに関し、とくに光源に白色LEDを使用しながら、電球に匹敵する発光色とするLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号機用のランプには電球が使用される。電球は発光効率が低いので、電力消費が大きい欠点がある。また、寿命が数千時間と短いことから、定期的に交換する必要があってメンテナンスに手間がかかる欠点もある。さらにメンテナンスを簡単にするために、電球の寿命を長く設計すると、発光効率が急激に低下して消費電力が大きくなる欠点がある。電球の発光効率と寿命とは互いに相反する特性であって、両者を同時に満足できない。この欠点を解決するために、交通用信号機に、電球に代わって使用されるLEDランプが開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−265807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される、交通用信号機に電球に代わって使用されるLEDランプは、図1に示すように、多数のLED92を筒体95の側面95Aと先端面95Bとに固定している。このLEDランプ91が、歩行者用信号機に電球に代わって使用されると、前面カバー99の青緑色部分を好ましい色に発光できなくなる欠点がある。それは、LEDランプと電球の発光スペクトルが異なるからである。電球がフィラメントを赤熱させて発光させる発光スペクトルを図2に示す。この図に示すように、電球は、可視光線の領域で連続する発光スペクトルを有する。これに対して、白色LEDは、電球のように可視光線の広いスペクトルでは発光しない。図3は、白色LEDの発光スペクトルを示している。この白色LEDは、青色LEDが発光する青色の発光ピークと、この青色の光に励起されて発光する蛍光体との発光色とで、白色としている。すなわち、青色LEDの青色発光と、蛍光体が発光する青色に対して補色となる蛍光体の発光とを人の目で見て、白色に見えるようにしている。このため、人の目には白色に見えるが、発光スペクトルは極めて異なるものである。
【0005】
この白色LEDが歩行者用信号機の電球に代わって使用されると、信号機の中央部分にある白色部分の発光色を電球色と同じ白色に発光できる。ところが、歩行者用信号機は、周囲に青色を透過させる青色フィルターを設けて、この領域に電球の光を透過させて青緑色に発光させている。電球は、可視光線の広いスペクトルに発光するので、青色フィルターに透過させて、所定の青緑色に発光できる。しかしながら、白色LEDの発光スペクトルは電球とは極めて異なるので、同じ青色フィルターに発光色を透過させても、電球に近似する青緑色に発光できない。このため、電球に代わって白色LEDを使用すると、白色領域を電球に近似する発光色にできるが、青緑色領域を電球に匹敵する発光色にできない欠点がある。白色LEDにおいて、青色領域を電球に匹敵する発光色にすることは、現実的には極めて難しいが、原理的には可能である。ただ、この白色LEDを歩行者用信号機に電球に代わって使用すると、前面カバーの白色部分を電球に匹敵する白色には発光できなくなる欠点がある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、白色LEDを使用することで従来の電球に比べて著しく省エネルギーとしながら、さらに歩行者用信号機の前面カバーの白色部分と青緑色部分とを、電球に匹敵する発光色にできる歩行者用信号機に使用されるLEDランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の歩行者用信号機に使用されるLEDランプは、表面で光を反射する凹面鏡40であって開口部43を四角形としてなる反射器4の中心部に設けてなるソケット5にねじ込んで交換自在に連結される、光源を白色LED2とするLEDランプである。LEDランプ2は、ソケット5にねじ込んで連結される外周に雄ネジ12を設けてなる連結部11と、この連結部11に固定してなる複数の白色LED2を備えるランプ本体10とからなる。ランプ本体10は、中央部と外周部とに白色LED2を固定してなる固定台15と、この固定台15の外側をカバーする透明カバー16とを備えている。この透明カバー16は、固定台15の外周部に固定してなる外周LED2Xの光を透過させる外周部16Aに、外周LED2Xの光を変色して透過させる変色フィルター7を設けており、この変色フィルター7が、固定台15の外周部に固定してなる外周LED2Xの光を変色して透過させている。
【0008】
以上のLEDランプは、光源に白色LEDを使用することで、従来の電球に比べて著しく省エネルギーとしながら、さらに歩行者用信号機の前面カバーの白色部分と青緑色部分とを、電球に匹敵する発光色にできる特徴がある。それは、以上のLEDランプが、固定台の中央部と外周部とに白色LEDを固定して、その外周に透明カバーを設け、この透明カバーの外周部に変色フィルターを設けて、変色フィルターでもって、固定台の外周部に固定している外周LEDの光を変色して透過させるからである。
【0009】
本発明のLEDランプは、変色フィルター7を青色減衰色に着色することができる。
以上のLEDランプは、変色フィルターを青色減衰色に着色しているので、前面カバーの青緑色部分をより電球による発光色に近い青緑色に発光できる特徴がある。
【0010】
本発明のLEDランプは、透明カバー16が、外周面に着色フィルム29を付着して変色フィルター7とすることができる。
以上のLEDランプは、着色フィルムを付着して透明カバーに変色フィルターを設けるので、透明の透明カバーを製作して、その光に着色フィルムを付着することで、簡単に最適な色の変色フィルターとすることができる。
【0011】
本発明のLEDランプは、透明カバー16の中央部16Bを無着色部として、固定台15の中央部に配置している中央LED2Yの光を無着色部に透過させることができる。
以上のLEDランプは、透明カバーの中央部を無着色部としているので、白色LEDの発光を無着色部に透過させて、前面カバーの白色部分を明るく照射できる特徴がある。
【0012】
本発明のLEDランプは、透明カバー16の中央部16Bと外周部16Aとに異なる色の変色フィルター7を設けて、固定台15に固定している中央LED2Yの光を中央部16Bの変色フィルター7Bに透過させ、外周LED2Xの光を外周部16Aの変色フィルター7Aに透過させることができる。
以上のLEDランプは、透明カバーの中央部とを外周部とに異なる色の変色フィルターを設けているので、透明カバーの中央部を透過する光と外周部を透過する光とを個別に調整して、前面カバーの白色部分と青緑色部分の発光色を理想的に調整できる。
【0013】
本発明のLEDランプは、固定台15に固定してなる白色LED2を、青色発光ダイオードの光を蛍光体で変色して白色としてなる白色ダイオードとすることができる。
以上のLEDランプは、窒化ガリウム系の明るく発光する白色ダイオードを使用して、白色LEDを明るく発光させながら、この白色LEDの白色光を変色フィルターでもって、電球に匹敵する青緑色に発光できる。
【0014】
本発明のLEDランプは、固定台15が、長方形である複数枚の側面基板15Aを多角形の筒状に配置し、かつ先端面に中央基板15Bを配置することができる。
以上のLEDランプは、固定台の中央部と外周部とに配置する白色LEDでもって、前面カバーを均一に明るく照射できる。
【0015】
本発明のLEDランプは、透明カバー16の中央部16Bを、光を乱反射する無数の凹凸面とし、外周部16Aの表面を平滑面とすることができる。
以上のLEDランプは、前面カバーの白色部分を均一に明るく照射できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の歩行者用信号機の断面図である。
【図2】電球の発光スペクトルを示すグラフである。
【図3】白色LEDの発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例にかかるLEDランプを使用する歩行者用信号機の一例を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す歩行者用信号機の反射器の背面斜視図である。
【図6】図4に示す歩行者用信号機の反射器からランプホルダを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図7】図5に示す反射器からランプホルダを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図8】図4に示す歩行者用信号機の反射器とランプホルダの連結構造を示す水平断面図である。
【図9】図8に示すLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【図10】図9に示すLEDランプとランプホルダの断面図である。
【図11】図9に示すLEDランプの透明カバーを取り除いた図である。
【図12】図10に示すLEDランプのXII−XII線断面図である。
【図13】図11に示すLEDランプの固定台の分解斜視図である。
【図14】図8に示す歩行者用信号機の反射器を前面から見た状態を示す図であって、凹面鏡に映るLEDの配置を示す図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかるLEDランプの透明カバーを取り除いた図である。
【図16】図15に示すLEDランプを備える歩行者用信号機の反射器を前面から見た状態を示す図であって、凹面鏡に映るLEDの配置を示す図である。
【図17】本発明の一実施例にかかるLEDランプの概略回路図である。
【図18】複数のLEDを中央基板と側面基板に配置する状態を示す図である。
【図19】バイパス回路の原理を示す回路図である。
【図20】変色フィルターが透過させる光を吸収する吸収特性を示すグラフである。
【図21】変色フィルターを透過した白色LEDの光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図22】本発明の他の実施例にかかるLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【図23】本発明の他の実施例にかかるLEDランプとランプホルダの連結構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための歩行者用信号機に使用されるLEDランプを例示するものであって、本発明はLEDランプを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】
本発明のLEDランプを使用してなる歩行者用信号機を図4ないし図8に示す。LEDランプ1は、反射器4の中心部に設けているソケット5に、電球に代わって交換できるように連結される。図の歩行者用信号機は、ランプホルダ3を介してソケット5を反射器4に連結している。
【0019】
歩行者用信号機は、表面で光を反射する反射器4の中心部に脱着穴41を設けて、この脱着穴41に、ソケット5を連結しているランプホルダ3を脱着できるように連結している。LEDランプ1は、直接には反射器4に連結されず、ソケット5を設けているランプホルダ3に交換できるように連結される。歩行者用信号機は、LEDランプ1を交換するときにランプホルダ3を反射器4から外す。反射器4から外されたランプホルダ3は、ソケット5に連結している古い電球を外し、電球に代わってLEDランプ1を連結する。ソケット5に新しいLEDランプ1を連結する状態で、ランプホルダ3は反射器4の脱着穴41に連結される。図6と図7は、反射器4から外したランプホルダ3とLEDランプ1を示している。
【0020】
反射器4は、表面で光を反射する凹面鏡40であって、開口部43を四角形としている。反射器4は金属板をプレス加工して製作され、内面にクロームメッキなどの金属メッキをして、光を効率よく反射するようにしている。凹面鏡40の反射器4は、球面ないし放物面の形状とし、かつ開口縁部には四角形の垂直面44を設けて、開口部43を四角形としている。垂直面44は、球面ないし放物面に設けられるので、その境界はアーチ状となる。四角形の開口部43は、図8に示すように、パッキン48、49を介して四角形の前面カバー9で水密構造に密閉される。図の前面カバー9は、前面に配置される透明プレート9Aの内面に、青色や赤色に着色されたフィルター9Bを積層している。透明プレート9Aは、光を透過する透明のガラスや樹脂で製造される。透明プレート9Aとフィルター9Bの積層体である前面カバー9は、外周縁に沿って、断面形状を溝側とするリング状のパッキン48を被覆している。さらに、パッキン48で被覆された前面カバー9の外周部を、反射器4の開口部43に設けた段差部45の内側に嵌合させる状態で挿入している。さらに、前面カバー9の外周部が嵌入された段差部45の外側を、断面形状を溝側とするリング状のパッキン49で被覆して水密構造に密閉している。
【0021】
凹面鏡40の反射器4は、その中心にランプホルダ3を挿入する脱着穴41を設けている。脱着穴41は、ランプホルダ3を連結する円筒状の筒状突出部42を外側に突出して設けている。円筒状の筒状突出部42は四角形の垂直面44を含む方向に突出しており、この内側にランプホルダ3が挿入される。筒状突出部42の内形は、ランプホルダ3の外形にほぼ等しく、ランプホルダ3を、円筒状の筒状突出部42である周壁の内側に挿入して、定位置に連結できる構造としている。周壁にランプホルダ3が挿入して連結され、このランプホルダ3にLEDランプ1が連結される。筒状突出部42は、LEDランプ1や電球を挿通できる大きさとしている。
【0022】
ランプホルダ3は、金属板をプレス加工して製作される。ランプホルダ3は、反射器4の中心に、後方に突出するように設けている筒状突出部42の内側に挿入して連結される円筒状の連結筒部32を有する。この連結筒部32の前面は、反射器4の脱着穴41を閉塞するリングプレート31を設けている。さらにリングプレート31には、中心に内側筒体33を連結してランプホルダ3に中心孔34を設けている。中心孔34を構成する内側筒体33の後端、すなわち中心孔34の底部には、電球をねじ込んで連結するソケット5を固定している。ソケット5は、電球の雄ネジ12をねじ込んで連結するために、内面に雌ネジ52を設けている。
【0023】
以上の歩行者用信号機は、以下のようにしてランプを交換する。
(1)図6と図7に示すように、ランプホルダ3を反射器4の筒状突出部42から引き抜いて反射器4から外す。
(2)反射器4から外された状態で、ランプホルダ3のランプを新しいものに交換する。
(3)その後、ランプホルダ3の連結筒部32を反射器4の筒状突出部42に挿入して、反射器4に連結する。ランプホルダ3を反射器4の開口部41に挿入する状態で、ランプホルダ3を固定するために、反射器4には弾性バネからなる連結具8を設けている。
【0024】
以上のようにして、電球に代わって使用される、すなわち電球から交換されるLEDランプ1は、図9ないし図13に示すように、ランプホルダ3のソケット5にねじ込んで連結される連結部11と、この連結部11に固定しているランプ本体10とを備える。連結部11は、外周に雄ネジ12を設けて、ソケット5の雌ネジ52にねじ込んで連結できるようにしている。さらに、連結部11は電球と同じように、外周面と先端とに、互いに絶縁して電極13、14を設けている。
【0025】
ランプ本体10は、連結部11に一体構造の基板ホルダ20を備え、この基板ホルダ20の前方に、中央部と外周部とに複数の白色LED2を固定している固定台15を固定している。固定台15は、白色LED2を外周部に固定するための複数の側面基板15Aと、白色LED2を中央部に固定するための中央基板15Bとからなる。固定台15の側面基板15Aと中央基板15Bは、その表面に複数の白色LED2を固定している。さらに、固定台15をカバーするように基板ホルダ20に透明カバー16を連結している。
【0026】
基板ホルダ20は、ランプホルダ3の中心孔34に挿入される円柱状の挿入部21の一端に、円盤状の鍔部22を連結してなる形状にプラスチックで一体成形している。挿入部21は、ランプホルダ3の中心孔34に挿入できるように、その外形を中心孔34の外形より小さくしている。中心孔34に挿入される挿入部21は、その先端に、連結部11を被せて固定している。
【0027】
鍔部22は、固定台15の側面基板15Aを固定している。図の鍔部22は、前面から突出する連結壁23を設けている。連結壁23は、側面基板15Aの背面側に位置して設けている。さらに、鍔部22は、連結壁23に対向して嵌着凸部26を設けており、連結壁23と嵌着凸部26との間を、側面基板15Aの後端を挿入して連結する嵌入部27としている。嵌入部27は、側面基板15Aを挿入して定位置に配置するので、その間隔を側面基板15Aの厚さにほぼ等しく、正確には側面基板15Aの厚さよりもわずかに広くしている。
【0028】
図12と図13のLEDランプ1は、6枚の側面基板15Aを六角筒状に配置して、固定台15を六角筒状としている。したがって、基板ホルダ20には、六角筒状に連結壁23を配置して、その外側に嵌着凸部26を設けている。
【0029】
嵌入部27に挿入された側面基板15Aを抜けないように連結するために、連結壁23は、側面基板15Aの係止凹部15aに案内される係止凸部23aを設けている。図13の側面基板15Aは両側に係止凹部15aを設けているので、連結壁23の両側に係止凸部23aを設けている。側面基板15Aは、後端から前方に離れた位置に係止凹部15aを設けているので、係止凸部23aはこの係止凹部15aを案内される位置に配置される。後端を嵌入部27に挿入している側面基板15Aは、係止凹部15aに係止凸部23aを案内して、基板ホルダ20に抜けないように連結される。ただ、側面基板15Aは、傾く姿勢で基板ホルダ20から抜ける、いいかえると、傾ける姿勢で後端を嵌入部27に挿入し、その後、鍔部22に対して垂直姿勢として、係止凹部15aに係止凸部23aを案内して抜けない状態となる。側面基板15Aは、先端を中央基板15Bに連結して、互いに傾斜しないように連結される。
【0030】
側面基板15Aを固定台15に固定するために、中央基板15Bは、図13に示すように、側面基板15Aの先端を挿入する連結穴15cを設けている。図の側面基板15Aは、先端部に複数の連結突出部15bを設けているので、中央基板15Bには各々の連結突出部15bを挿入して連結する複数の連結穴15cを設けている。側面基板15Aの先端に設けた連結突出部15bが中央基板15Bの連結穴15cに挿入されて、側面基板15Aはその先端が互いに連結される。この状態で、六角筒状の固定台15を構成する6枚の側面基板15Aは、その先端が広がらないように、すなわち傾動しない状態で基板ホルダ20に連結される。傾動しない側面基板15Aは、係止凹部15aに係止凸部23aが案内されて、基板ホルダ20に抜けないように固定される。
【0031】
さらに、図10ないし図12のLEDランプ1は、側面基板15Aを貫通する止ネジ24を連結壁23にねじ込んで、止ネジ24で側面基板15Aを基板ホルダ20に確実に固定している。止ネジ24が緩まない状態で、側面基板15Aは基板ホルダ20から外れることはない。さらに、以上のLEDランプ1は、仮に止ネジ24が緩んでも、係止凹部15aに係止凸部23aを案内して、抜けないように基板ホルダ20に連結される。したがって、LEDランプは、必ずしも止ネジを介して側面基板を連結壁に固定する必要はなく、止ネジを省略することもできる。さらに、側面基板は、接着して連結壁に固定することもできる。
【0032】
以上の固定台15は、鍔部22に対して垂直姿勢に固定されて、その中心軸を連結部11の雄ネジ12と同軸に、すなわち、固定台15の中心軸と、連結部11の中心軸とが同一直線状に配置されるように、固定台15は基板ホルダ20に固定される。
【0033】
また、図のLEDランプ1は、固定台15を六角筒状とするが、この固定台は、五角形以上の多角形の筒状とすることもできる。
【0034】
各々の側面基板15Aは、連結突出部15bを中央基板15Bの連結穴15cに連結して、中央基板15Bに電気接続している。この側面基板15Aは、連結突出部15bに導電部(図示せず)を設け、この導電部を中央基板15Bの連結穴15cに設けている導電部(図示せず)にハンダ付けして電気接続する。図13のLEDランプ1は、複数の連結突出部15bを中央基板15Bに連結するので、側面基板15Aのプラス側とマイナス側とを中央基板15Bに連結することができる。この構造は、側面基板15Aを中央基板15Bに物理的に固定すると共に、中央基板15Bに電気接続できる。ただ、本発明のLEDランプは、側面基板を接着し、あるいはL金具や止ネジ等の固定補助部品を介して互いに固定することもできる。
【0035】
固定台15に配置される側面基板15Aは、互いに隣接する側面基板15Aの間に冷却隙間28を設けている。冷却隙間28のある固定台15は、LEDランプ1を水平姿勢に配置する状態で、冷却隙間28に空気を対流させて、側面基板15A、すなわち白色LED2を効率よく冷却できる。
【0036】
固定台15は、側面基板15Aと中央基板15Bの表面に複数の白色LED2を固定している。側面基板15Aは、長手方向に離して複数の白色LED2を固定し、かつ幅方向に配置される白色LED2の個数を、後端よりも先端に多くしている。幅方向に配置する白色LED2の個数を、後端よりも先端で多くするのは、凹面鏡40の反射器4の半径が、先端に向かって大きくなるからである。
【0037】
図11と図13のLEDランプ1は、側面基板15Aの長手方向に離して3列に白色LED2を配置して、先端側に位置する第1列には2個の白色LED2aを横方向に離して配置して、後端側に配置される第3列には1個の白色LED2cを配置している。さらに、図のLEDランプ1は、第2列にも2個の白色LED2bを配置している。すなわち、図のLEDランプ1は、第1列と第2列に2個、第3列に1個の白色LED2を配置している。
【0038】
図14は、凹面鏡40の反射器4を前面から見て、凹面鏡40に写る白色LED2の位置を●で示している。この図に示すように、側面基板15Aの長手方向に配置している第1列、第2列、第3列の白色LED2は、外側から次第に内側に配置される状態で凹面鏡40に写る。反射器4の最も外側に写る第1列の白色LED2aは、最も大きな円周上に配置され、第2列の白色LED2bはその内側の円周上に、さらに第3列の白色LED2cは第2列の白色LED2bの円周よりも内側にあって最も小さい円周上に配置される。小さい円周と大きい円周に同じ個数の白色LEDを配置すると、小さい円周上の白色LEDは間隔が狭くなる。それは、円周の長さが短くなるからである。
【0039】
図9ないし図13のLEDランプ1は、側面基板15Aの第3列に1個、第2列と第1列に2個の白色LED2を配置するので、これを前面から見ると図14に示すように、最も小さい円周には6個、中間と最外周には12個の白色LED2が配置される。したがって、小さい円周の明るさと大きな円周の明るさの差を少なくして、全面を均一な明るさにできる。すなわち、前面カバー9の全面を均一に明るく照射できる。さらに、図15と図16に示すように、側面基板15Aの第1列に3個、第2列に2個、第3列に1個の白色LED2を配置することで、前面から見てより均一な明るさとして、前面カバー9をさらに均一に明るくできる。
【0040】
図13のLEDランプ1は、さらに中央基板15Bには4個の白色LED2を固定して、全体で34個の白色LED2を固定台15に固定している。本発明のLEDランプは、固定台に固定する白色LEDの個数を特定するものではないが、固定台に固定する白色LEDの個数を変更して、全体の明るさを調整することができる。また、固定台に固定する白色LED自体の消費電力を変更して、全体の明るさを調整することもできる。
【0041】
側面基板15A及び中央基板15Bに固定される白色LED2は、好ましくは、基板実装型であるチップタイプの白色LED2を使用する。チップタイプの白色LED2は、基板の正確な位置に、簡単に実装できる特徴がある。さらに、チップタイプの白色LED2は、広い指向特性を有しており、照射される光が広く拡散される特性があるので、砲弾型の集光部を有する白色LEDに比較して、斑なく均一に前面カバーを照射できる特徴がある。すなわち、LEDランプは、広い指向性を有するタイプの白色LEDを配置することで、白色LEDから照射される光を広く拡散して、前面カバーを斑なく均一に明るく照射できる。ただ、本発明のLEDランプは、使用する白色LEDを、必ずしもチップタイプのLEDとする必要はなく、集光部を有するLED(例えば、砲弾型のLED)を使用することもできる。さらに、白色LED2は、好ましくは、電球色のLEDを使用する。ただ、白色LEDには、電球色以外の白色に発光するものも使用できる。
【0042】
図17はLEDランプ1の概略回路図を、図18は複数の白色LED2を中央基板15Bと側面基板15Aに配置する配置図を示している。これらの図に示すようにLEDランプ1は、連結部11の外周面と先端とに設けた電極13、14を整流回路18に接続し、整流回路18の出力側に、複数の白色LED2と定電流素子19を直列に接続している。このLEDランプ1は、商用電源を整流回路18で脈流に変換して複数の白色LED2を点灯する。定電流素子19は、白色LED2の電流が一定の電流値以上にならないように安定化する。
【0043】
整流回路18は、ダイオードブリッジ18Aである。ダイオードブリッジ18Aは、入力される交流電源を直流に変換して、複数の白色LED2を直列接続してなる直列回路のプラス側とマイナス側に整流された直流を出力する。直列に接続する白色LED2の個数は、供給される電源電圧と白色LED2の定格電圧で特定される。たとえば、商用電源としてAC100Vの交流電源を供給するLEDランプは、定格電圧を3Vとする白色LEDを、30個〜40個直列に接続して点灯できる。図のLEDランプ1は34個の白色LED2を備えているので、全ての白色LED2を直列に接続している。ただ、複数の白色LEDは、直列と並列とに接続することもできる。
【0044】
多数の白色LED2を直列に接続している白色LED2の直列回路は、ひとつの白色LEDが切れると全体の白色LEDが点灯しなくなる。いずれかの白色LEDが切れる確率は、直列に接続している白色LEDの個数が多くなると高くなる。歩行者用信号機は、LEDランプ1が切れて点灯できない状態では、交通事故の原因となる。したがって、いかなる状態においても、LEDランプ1を確実に点灯することが大切である。この弊害は複数の白色LEDを並列に接続することで解消できる。並列接続している白色LEDは、いずれかの白色LEDが切れても並列に接続している白色LEDが消灯することがない。ただ、白色LEDを並列に接続する回路構成は、白色LEDに供給する電圧を商用電源を整流した電圧よりも低くする必要があるので、商用電源の電圧を降下して白色LEDに供給する電源回路を必要とする。この電源回路には、主としてスイッチング電源が使用される。スイッチング電源は整流回路に比較して回路構成が複雑で高価になる。また、整流回路に比較すると寿命が短くなる欠点もある。内蔵している電解コンデンサが経時的に劣化するからである。
【0045】
商用電源をダイオードの整流回路で整流して白色LEDに直接に供給する回路構成は極めて簡単で、安価に製造できる特徴がある。とくに、ダイオードで整流した脈流を電解コンデンサで平滑化しない整流回路は、経時的に劣化する部品がなく、長時間にわたって故障することなく安定に動作する。ただ、この回路構成は、商用電源を整流するので出力電圧が白色LEDの点灯電圧に比較して相当に高くなる。たとえば、100Vの商用電源が整流された脈流はピーク電圧が約140Vと相当に高くなる。この電圧で白色LEDを点灯するには、多数の白色LEDを直列に接続して、各々の白色LEDに印加される電圧を低くする必要がある。ただ、前述したように多数の白色LEDを直列に接続する回路構成は、いずれかひとつの白色LEDが切れると、直列に接続している他の全ての白色LEDが点灯されなくなる。
【0046】
白色LED2に並列に接続しているバイパス回路6は、図19に示すように、切れた白色LED2’をバイパスさせて、他の白色LED2が消えるのを防止する。バイパス回路6は、図19の(a)で示すように、並列に接続している白色LED2が切れない状態ではOFF、また、図19の(b)で示すように、白色LED2が切れた状態でONに切り換えられる。バイパス回路6は、並列に接続している白色LED2の両端の電圧を検出する電圧検出部61と、この電圧検出部61でオンオフに制御させるスイッチング素子62とを備えている。電圧検出部61は、白色LED2が切れて入力電圧が正常電圧を超えると、スイッチング素子62をONに切り換えて、切れた白色LED2’に電流をバイパスさせる。LED両端の電圧は、白色LED2が切れない状態では白色LED2の点灯電圧の1.5〜4Vとなる。しかしながら、白色LED2が切れると、切れた白色LED2’の両端がオープン状態となって、点灯電圧よりも高くなる。電圧検出部61は、LED両端の電圧が点灯電圧よりも高くなると、スイッチング素子62をONに切り換えて、切れた白色LED2’にバイパスして電流を流す回路を設ける。スイッチング素子62がONに切り換えられると、切れた白色LED2’の両端の電圧は低下する。この状態においても、スイッチング素子62はON状態に保持されて、切れた白色LED2’にバイパスさせるように電流を流す状態が保持される。
【0047】
バイパス回路6は、図13と図10に示すように、側面基板15Aと中央基板15Bの裏面に実装されて、切れた白色LEDにバイパスするように通電する。
【0048】
バイパス回路6は、全ての白色LEDと並列に接続するのを理想とする。ただ、全ての白色LEDと並列にバイパス回路を制御すると、白色LEDと同じ数のバイパス回路を必要として、部品コストが高くなる。
【0049】
図18と図19のLEDランプ1は、バイパス回路6を複数白色LED2の直列回路と並列に接続して、バイパス回路6の数を白色LEDよりも少なくしている。図18と図19のLEDランプ1は、少ない白色LED2と並列に接続する少数LEDバイパス回路6Aと、この少数LEDバイパス回路6Aよりも多数の白色LED2の直列回路と並列に接続している多数LEDバイパス回路6Bとしている。図のLEDランプ1は、少数LEDバイパス回路6Aを1個の白色LED2と並列に接続して、多数LEDバイパス回路6Bは2個の白色LED2の直列回路と並列に接続している。図示しないが、少数LEDバイパス回は2個以上の白色LEDの直列回路と並列に接続し、多数LEDバイパス回路を少数LEDバイパス回路よりも多数の白色LEDの直列回路と並列に接続することもできる。
【0050】
図19のLEDランプは、バイパス回路6を並列に接続している白色LED2の個数を、側面基板15Aの先端部で後端部よりも多くしている。すなわち、多数LEDバイパス回路6Bは側面基板15Aの先端部の白色LED2の直列回路に接続され、少数LEDバイパス回路6Aは、側面基板15Aの後端部の白色LED2と並列に接続している。図19のLEDランプは、側面基板15Aの両側に長手方向に並ぶ第1列の白色LED2aと第2列の白色LED2bを直列に接続して、これらの白色LED2a、2bの直列回路に多数LEDバイパス回路6Bを並列に接続して、第3列に配置する1個の白色LED2cと並列に少数LEDバイパス回路6Aを接続している。したがって、1枚の側面基板15Aには、2組の多数LEDバイパス回路6Bと1組の少数LEDバイパス回路6Aを実装している。
【0051】
また、中央基板15Bに設けている白色LED2は、2個の白色LED2dを直列に接続して、これらの白色LED2dの直列回路に多数LEDバイパス回路6Bを並列に接続している。ただ、中央基板に設けている白色LEDは、各々の白色LEDに少数LEDバイパス回路を並列に接続、すなわち、1個の白色LEDと並列に少数LEDバイパス回路を接続することもできる。
【0052】
以上のLEDランプ1は、第3列の白色LED2cが切れて点灯しなくなると、切れた白色LED2’のみ消灯されて他の全ての白色LED2を点灯できる。また、第1列と第2列に配置するいずれかの白色LED2が切れて点灯しなくなると、切れた白色LED2’に対して、側面基板15Aの長手方向に並ぶひとつの白色LED2のみが消灯され、すなわち、2個の白色LED2が消灯して他の全ての白色LED2が点灯される。2個の白色LED2は、側面基板15Aの長手方向に並ぶので、ひとつの白色LED2が切れて消灯しても、前面カバー9の明るさの不均一を最小にできる。それは、前面カバー9を前から見る状態で、第1列と2列の白色LED2の間隔は、第1列目や第2列目に円周上に並ぶ白色LED2の間隔よりも狭くなるからである。
【0053】
ただし、多数LEDバイパス回路は、必ずしも側面基板の長手方向に並ぶ2個の白色LEDの直列回路と並列に接続することなく、側面基板の横方向に隣接する白色LEDの直列回路と並列に接続することができ、また、2個の白色LEDの直列回路と並列に接続することなく、3個以上の白色LEDの直列回路と並列に接続することができる。また、少数LEDバイパス回路も、必ずしも1個の白色LEDと並列に接続することなく、多数LEDバイパス回路が並列に接続している白色LEDの直列回路よりも少数の白色LEDの直列回路と並列に接続することもできる。
【0054】
透明カバー16は、基板ホルダ20に配置された複数の白色LED2の発光を外部に透過できる透光性を有する。透明カバー16は、複数の基板からなる固定台15を内部に収納できる形状にプラスチックやガラスで成形している。図9と図10の透明カバー16は、固定台15の外周部に固定している外周LED2Xの光を透過させる外周部16Aを円筒状として、固定台15の中央部に固定している中央LED2Yの光を透過させる中央部16Bを球面状として、中央部16Bで外周部16Aを閉塞する形状としている。透明カバー16は、その内部に、基板ホルダ20に固定される固定台15を収納している。
【0055】
透明カバー16は、固定台15の外周部に固定している外周LED2Xの光を透過させる外周部16Aに、外周LED2Xの光を変色して透過させる変色フィルター7を設けている。この変色フィルター7は、外周LED2Xの光を変色して透過させる。図に示す透明カバー16は、外周部16Aのほぼ全面に変色フィルター7を設けている。この構造は、固定台15の外周部に固定された外周LED2Xから照射される光を効果的に変色して透過できる。ただ、透明カバーは、外周部に、部分的に変色フィルターを設けることもできる。この透明カバーは、固定台の外周部の特定の領域に固定された外周LEDから照射される光を変色して透過できる。すなわち、透明カバーは、外周部に設ける変色フィルターの領域を調整して、外周LEDから照射される光が変色される状態を調整できる。図の変色フィルター7は、透明カバー16の表面に着色フィルム29を付着して、特定波長の光を透過させるようにしている。ただし、変色フィルターは、透明カバーの表面に、透光性の塗料を塗布して着色して設けることも、透明カバーを成形する透明プラスチックやガラスに、顔料や染料を添加して着色して設けることもできる。
【0056】
変色フィルター7は、白色LED2の光を透過させて、前面カバー9の青緑色部分9Xを照射して、電球に匹敵する青緑色に発光させる吸収スペクトルのフィルターである。白色LED2は、図3に示すように、青色LEDの発光スペクトルと、この発光色で励起されて発光する蛍光体との発光スペクトルとを照射して白色としている。変色フィルター7は、この発光スペクトルの光を透過させて、前面カバー9の青緑色部分9Xを電球に匹敵する青緑色に発光させる。この変色フィルター7が透過する光を吸収する吸収特性を図20に示している。この変色フィルター7は、波長を420nmとする光を吸収するフィルターであって、青色の発光ピークを吸収する青色減衰色に着色している。ここで青色減衰色には、白色光を透過させる状態で、その透過光が、好ましくは、黄色、黄緑色、緑色等となるような色が使用される。すなわち、この変色フィルター7は、黄色ないし緑色等に着色したフィルターとすることができる。この変色フィルター7は、白色LED2の青色の発光ピークを吸収する。したがって、変色フィルター7を透過した光の発光スペクトルは、図21に示すように、青色の発光ピークが減衰されたものとなる。図21に示す発光スペクトルの光が、前面カバー9の青緑色部分9Xを照射すると、電球に匹敵する青緑色に発光させる。変色フィルター7の吸収特性は、白色LED2の発光スペクトルを考慮して最適な状態に設定される。変色フィルター7は、白色LED2の発光色を透過させて、透過光で前面カバー9の青緑色部分9Xを照射して、電球に匹敵する青緑色に発光させるように吸収特性が選定される。したがって、変色フィルター7の吸収特性は、白色LED2の発光スペクトルにより変化するもので、図20に示す吸収特性のものには特定されない。
【0057】
図9の透明カバー16は、外周部16Aに外周LED2Xの光を透過させて、中央部16Bに中央LED2Yの光を透過させる。中央部16Bは、着色されない無着色部として、白色LED2の光をできるかぎり減衰させることなく、全ての発光色を透過させる。ただ、中央部にも特定の発光色を吸収させるフィルターを設けて、白色LEDの光を透過させることで、より電球に近い白色とすることもできる。この構造は、発光色が電球の白色と異なる白色LEDを使用して、前面カバーの白色部分を電球の白色に匹敵する発光色にできる。
【0058】
透明カバー16先端の中央部16Bの表面は、光を乱反射する無数の凹凸面として、先端部を除く部分となる外周部16Aは、表面を平滑面としている。平滑面は、白色LED2の光を効率よく透過して、前面カバー9を明るく照射し、乱反射する凹凸面は、中央基板15Bに固定している中央LED2Yの光を散乱させて、前面カバー9の表面を均等な明るさに照射する。
【0059】
この透明カバー16は、基板ホルダ20の前方に固定されて、内部に収納される光源である白色LED2の発光を外部に透過させる。透明カバー16は、接着して、あるいは、ねじ込んで、あるいはまた係止構造で、基板ホルダ20の鍔部22の外周縁部に固定される。
【0060】
さらに、図の透明カバー16は、内部の空気を換気する換気口17を開口している。図12に示す透明カバー16は、固定台15を構成する側面基板15Aの間に設けた冷却隙間28と対向する位置にスリット状の換気口17を設けている。このように、固定台15の冷却隙間28と対向する位置に換気口17を設けている透明カバー16は、側面基板15Aの間の冷却隙間28に流れる空気流を透明カバー16の外部にスムーズに換気して、側面基板15Aや白色LED2の発熱を効率よく冷却する。さらに、図12に示す透明カバー16は、固定台15の冷却隙間28と対向する位置に設けた換気口17同士の間にも換気口17を設けている。このように、多数の換気口17を設けた透明カバー16は、どの位置で停止されても、内部の空気を確実に換気できる。さらに、図に示す換気口17は、透明カバー16の外周部16Aから中央部16Bに向かってスリットの幅が広くなるように開口している。このように、換気口17の開口面積を中央部16Bに向かって大きくする透明カバー16は、電子部品が多く配置される中央基板15Bを効率よく放熱できる。
【0061】
以上のLEDランプ1は、固定台15を、複数枚の側面基板15Aを多角形の筒状に配置して、先端面に中央基板15Bを配置してなる形状としている。このLEDランプ1は、固定台15の側面基板15Aの表面に固定される外周LED2Xの光を外周方向に照射して、中央基板15Bの表面に固定される中央LED2Yの光を前方に照射して、前面カバーを均一に明るく照射できる。ただ、LEDランプは、固定台の形状を以上の形状には特定しない。固定台は、複数の白色LEDを固定して、これらの白色LEDから照射される光を、前方ないし外周方向に照射できる他の全ての形状とすることができる。例えば、固定台は、複数の白色LEDを全て前方に照射する姿勢で固定することもできる。
【0062】
さらに、LEDランプは、図22に示す構造とすることもできる。この図に示すLEDランプ1は、透明カバー16のほぼ全面に変色フィルター7を設けている。さらに、このLEDランプ1は、固定台15の中央部に固定される中央LED2Yと、外周部に固定される外周LED2Xとを異なる発光色としている。このLEDランプ1は、例えば、中央LED2Yを外周LED2Xよりも色温度の高い白色LED2とすることができる。このLEDランプ1は、外周LED2Xに比べて色温度の高い中央LED2Yの光を透明カバー16の中央部16Bに透過させて、前面カバーの中央部の白色部分を明るく照射できる。また、中央LED2Yに比べて色温度の低い外周LED2Xの光を透明カバー16の外周部16Aに透過させて、前面カバーの外周部の青緑色部分を電球に匹敵する発光色にできる。このLEDランプ1は、透明カバー16に設ける変色フィルター7が透過光を吸収する吸収特性と、固定台15の中央部と外周部とに固定される白色LED2の発光色とを調整して、前面カバーを内面から理想的な発光色で照射できる。ただ、透明カバーの全面に変色フィルターを設けるLEDランプは、固定台の中央部と外周部とに固定される白色LEDを、全て同じ発光色とすることもできる。
【0063】
さらに、図23に示すLEDランプ1は、透明カバー16の中央部16Bと外周部16Aとに、異なる色の変色フィルター7を設けている。このLEDランプ1は、固定台15の中央部に固定している中央LED2Yの光を中央部16Bの変色フィルター7Bに透過させて照射し、固定台15の外周部に固定している外周LED2Xの光を外周部16Aの変色フィルター7Aに透過させて照射する。この透明カバー16は、中央部16Bの変色フィルター7Bと外周部16Aの変色フィルター7Aとで、透過光の吸収特性を異なる特性として透過光を調整する。この透明カバー16は、たとえば、外周部16Aの変色フィルター7Aに比べて、中央部16Bの変色フィルター7Bの青色減衰特性、すなわち、青色の発光ピークを吸収する特性を低くする。これにより、LEDランプ1は、透明カバー16の中央部16Bの変色フィルター7Bを透過した光で前面カバーの中央部の白色部分を明るく照射し、外周部16Aの変色フィルター7Aを透過した光で前面カバーの外周部の青緑色部分をより電球による発光色に近い青緑色に発光できる。
【0064】
この透明カバー16は、例えば、外周部16Aの変色フィルター7Aを黄色ないし緑色等に着色し、中央部16Bの変色フィルター7Bを、外周部16Aの変色フィルター7Aよりも薄く着色して透過光を調整する。このLEDランプ1は、固定台15の中央部と外周部とに固定される全ての白色LED2の発光色を電球色に比べて色温度の高い白色として、前面カバーの中央部の白色部分と外周部の青緑色部分とを、電球に匹敵する発光色にできる。さらに、このLEDランプ1は、透明カバー16の中央部16Bに設ける変色フィルター7Bと外周部16Aに設ける変色フィルター7Aが透過光を吸収する吸収特性と、固定台15に固定される白色LED2の発光色とを調整して、前面カバーを内面から理想的な発光色で照射できる。ただ、このLEDランプは、固定台の中央部と外周部とに異なる発光色の白色LEDを固定することもできる。
【0065】
以上のLEDランプは、歩行者用信号機に、電球に代わって使用されるが、このLEDランプを、他の交通用の信号機、たとえば、車両用または鉄道用の信号機に、電球に代わって使用することもできる。以上のLEDランプは、この用途においても、変色フィルターでもって、白色LEDの光を変色して透過させるので、前面カバーの青緑色部分を電球による発光色に近似する青緑色にできる。
【符号の説明】
【0066】
1…LEDランプ
2…白色LED 2’…切れた白色LED
2a…LED
2b…LED
2c…LED
2d…LED
2X…外周LED
2Y…中央LED
3…ランプホルダ
4…反射器
5…ソケット
6…バイパス回路 6A…少数LEDバイパス回路
6B…多数LEDバイパス回路
7…変色フィルター 7A…変色フィルター
7B…変色フィルター
8…連結具
9…前面カバー 9A…透明プレート
9B…フィルター
9X…青緑色部分
10…ランプ本体
11…連結部
12…雄ネジ
13…電極
14…電極
15…固定台 15A…側面基板
15a…係止凹部
15b…連結突出部
15B…中央基板
15c…連結穴
16…透明カバー 16A…外周部
16B…中央部
17…換気口
18…整流回路 18A…ダイオードブリッジ
19…定電流素子
20…基板ホルダ
21…挿入部
22…鍔部
23…連結壁 23a…係止凸部
24…止ネジ
26…嵌着凸部
27…嵌入部
28…冷却隙間
29…着色フィルム
31…リングプレート
32…連結筒部
33…内側筒体
34…中心孔
40…凹面鏡
41…脱着穴
42…筒状突出部
43…開口部
44…垂直面
45…段差部
48…パッキン
49…パッキン
52…雌ネジ
61…電圧検出部
62…スイッチング素子
91…LEDランプ
92…LED
94…反射鏡
95…筒体 95A…側面
95B…先端面
99…前面カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面で光を反射する凹面鏡(40)であって開口部(43)を四角形としてなる反射器(4)の中心部に設けてなるソケット(5)にねじ込んで交換自在に連結される、光源を白色LED(2)とする歩行者用信号機に使用されるLEDランプであって、
前記ソケット(5)にねじ込んで連結される外周に雄ネジ(12)を設けてなる連結部(11)と、この連結部(11)に固定してなる複数の白色LED(2)を備えるランプ本体(10)とからなり、
前記ランプ本体(10)は、中央部と外周部とに白色LED(2)を固定してなる固定台(15)と、この固定台(15)の外側をカバーする透明カバー(16)とを備え、
この透明カバー(16)が、固定台(15)の外周部に固定してなる外周LED(2X)の光を透過させる外周部(16A)に、外周LED(2X)の光を変色して透過させる変色フィルター(7)を設けており、この変色フィルター(7)が、前記固定台(15)の外周部に固定してなる外周LED(2X)の光を変色して透過させるようにしてなる歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項2】
前記変色フィルター(7)が青色減衰色に着色されてなる請求項1に記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項3】
前記透明カバー(16)が、外周面に着色フィルム(29)を付着して変色フィルター(7)としてなる請求項1又は2に記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項4】
前記透明カバー(16)が中央部(16B)を無着色部としており、前記固定台(15)の中央部に配置している中央LED(2Y)の光を無着色部に透過させるようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項5】
前記透明カバー(16)が中央部(16B)と外周部(16A)とに異なる色の変色フィルター(7)を設けており、前記固定台(15)に固定している前記中央LED(2Y)の光を中央部(16B)の変色フィルター(7B)に透過させ、前記外周LED(2X)の光を外周部(16A)の変色フィルター(7A)に透過させるようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項6】
前記固定台(15)に固定してなる白色LED(2)が、青色発光ダイオードの光を蛍光体で変色して白色としてなる白色ダイオードである請求項1ないし5のいずれかに記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項7】
前記固定台(15)が、長方形である複数枚の側面基板(15A)を多角形の筒状に配置し、かつ先端面に中央基板(15B)を配置してなる請求項1ないし6のいずれかに記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。
【請求項8】
前記透明カバー(16)の中央部(16B)が光を乱反射する無数の凹凸面で、外周部(16A)の表面を平滑面としてなる請求項1ないし7のいずれかに記載される歩行者用信号機に使用されるLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−103871(P2012−103871A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251348(P2010−251348)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(391016886)日本フネン株式会社 (30)
【Fターム(参考)】