説明

歩道工事現場迂回用段差スロープ装置

【課題】車椅子の使用者にも負担のない歩道工事現場迂回用段差スロープ装置を得る。
【解決手段】歩道段差スロープ装置10は、縁石プレート11A、高さ調整可能な脚15を有する支持脚手段14、第1連結手段(フック手段)16よりなる縁石プレート手段11:縁石プレート11Aに連結するスローププレート17A、このスローププレートの側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード19、第1連結手段に連結支持される第2連結手段(バー手段)20、緩衝パッド21、第3連結手段としての有孔アングル部材22Aを有するスロープ手段17:エンドプレート23A、第3連結手段に連結支持される第4連結手段(ピン)を有するエンドスロープ手段23とにより構成する。縁石段差が高い場合、補助スロープ手段25を縁石プレート手段11とスロープ手段17との間に介在させる。各種プレートは、表面を滑り止め加工し、裏面をリブ補強した軽量金属製とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道工事現場手前で通行人を歩道から車道側迂回路に導き、また歩道工事現場先方で通行人を車道側迂回路から歩道に導く歩道工事現場迂回用段差スロープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩道段差スロープSは、図1に示すように、歩道工事現場1の手前で通行人を歩道2から車道側迂回路3に導き、また歩道工事現場1の先方で通行人を車道側迂回路3から歩道2に導くものであり、通常、迂回路の外縁および内縁にプラスチック製のパイロン4を配列し、隣接するパイロン間に端部ループ付きバー5を掛け渡し、迂回路誘導ガイドとしている。
【0003】
歩道工事現場で使用されるこのような迂回用スロープとしては、従来、歩道と車道との間に厚手のベニヤ板を掛け渡すだけであり、場合によっては、ベニヤ板上に単にゴムシートをかぶせることもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のベニヤ板による簡易スロープは、変形し易くばたつきがちであり、また歩行時に撓んで安定が悪く、歩行者、特に、車椅子の使用者に大きな負担がかかるものであった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、変形しにくく、車椅子の使用者にも負担をかけない歩道工事現場迂回用段差スロープ装置を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置は、
歩道側端縁および車道側端縁を有して歩道の縁石上に載置する縁石プレート、前記車道側端縁の両側の端部にそれぞれ設けた車道面に着座する高さ調整可能な1対の脚を有する支持脚手段、前記1対の脚間で前記車道側端縁に設けた第1連結手段よりなる歩道の縁石上に載置する縁石プレート手段と、
前記縁石プレートに連結するスローププレート、このスローププレートの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード、このスローププレートの縁石プレート側の端縁に設けて前記第1連結手段に連結支持される第2連結手段、前記スローププレートの下面で前記縁石プレート側端縁とは反対側の端縁に設けて車道面に着座する緩衝パッド、前記縁石プレート側の端縁とは反対側の端縁で前記スローププレートの端面に車道側に突出するよう設けた第3連結手段を有するスロープ手段と、
前記スローププレートに連結するエンドプレート、このエンドプレートのスローププレート側の端縁に設けて前記第3連結手段に連結支持される第4連結手段を有して前記スローププレートの上面と車道面との段差を解消するエンドスロープ手段と
を具え、前記各種プレートは、表面を滑り止め加工し、裏面をリブ補強した軽量金属製としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置によれば、各種プレートは、表面を滑り止め処理し、裏面をリブ補強した軽量金属製としたため、軽量丈夫であり、変形しにくく、歩行者が安定して歩行でき、またスローププレートの側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガードを設けてあるため、車椅子の使用者も、脱輪することなく、歩道と車道との段差を楽に昇降できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の好適な実施例においては、段差が高い縁石の場合、前記縁石プレートと前記スローププレートとの間に介在させる補助スロープ手段であって、幅は前記スローププレートと同一で、長さは前記スローププレートよりも短い補助スローププレート、この補助スローププレートの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード、この補助スローププレートの縁石プレート側の端縁に設けて前記第1連結手段に連結支持される第2連結手段、前記スローププレート側の端縁で前記補助スローププレートの端面に車道側に突出するよう設けた第1連結手段を有する該補助スロープ手段を、さらに設ける。この実施例によれば、単に、縁石プレートとスローププレートとの間に補助スロープ手段を継ぎ足すことによって、高い段差の縁石でも、ゆるやかな傾斜のスロープとなり、歩行者の脚力、車椅子操作の腕力に負担をかけず、段差移動を楽に行えるようになる。
【0009】
好適には、スローププレートおよび補助スローププレートは、それぞれ、左右に2分割した1対のハーフスローププレートよりなるものとする。
【0010】
第1連結手段および第2連結手段のうちの一方を少なくとも2個のフックを有するフック手段とし、第1連結手段および第2連結手段のうちの他方をフックに回動自在に掛合するバー手段により構成すると好適である。
【0011】
各種プレートの上面には、滑り止めシートを設けると、プレート表面の滑り止め加工が簡単となる。
【0012】
好適な実施例においては、両側のサイドガードの外側面に、それぞれ少なくとも1個のソーラー自発光LED手段を設ける。この構成によれば、昼間に蓄えた太陽光電力を利用して夜間にLEDが自動的に発光し、夜間の歩道迂回路案内に役立つ。
【0013】
次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図2に、車道との間の縁石段差が条例規格で90mmまたは150mmという低い段差歩道の場合に適用する本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置10の第1の使用状況を示す。本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置10は、歩道の縁石上に載置する縁石プレート手段11を有する。この縁石プレート手段11における縁石プレート11Aの上面は、中間部分から歩道側端縁12に向かって約10゜の勾配を付ける。縁石プレート11Aにおける車道側端縁13に支持脚手段14を設け、この支持脚手段14は、車道側端縁13の両側の端部に、それぞれ車道面に着座する高さ調整可能な1対の脚15を有する。さらに、縁石プレート11Aにおける車道側端縁13には、1対の脚15間で第1連結手段としてのフック手段またはバー手段を設ける。図2に示す実施例においては、互いに離れた位置に配置した複数個のフック16Aよりなるフック手段16とした。この実施例におけるフック手段16は、上方に開放するフック16Aと、フックに収容するバーを係止するばね負荷ラッチ(図示せず)を有するものとするとよい。
【0015】
本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置10は、さらに、縁石プレート手段11に連結するスロープ手段17を設ける。このスロープ手段17は、スローププレート17Aと、このスローププレート17Aの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード19と、このスローププレート17Aの縁石プレート側端縁18の下面に設けて第1連結手段としてのフック手段16に連結支持される第2連結手段としてのバー手段20を設ける。図2の実施例においては、第2連結手段、すなわちバー手段20は、上向きに開口するフック16Aの内部輪郭に嵌合する外部輪郭を有するバー20Aにより構成する。
【0016】
図2の(b)に示すように、スローププレート17Aの下面には、縁石プレート側端縁とは反対側の端縁に設けて車道面に着座する緩衝パッド21を設ける。さらに、縁石プレート11側の端縁とは反対側の端縁には、スローププレート17Aの端面に車道側に突出するよう設けた第3連結手段22を設ける。図示の実施例においては、この第3連結手段を、L字状断面を有する有孔アングル部材22Aとし、車道側に突出する部分に設けた孔にエンドプレート23Aの第4連結手段24としてのピン24Aを掛合させ、スローププレート17Aにエンドスロープ手段23のエンドプレート23Aを連結可能にする。このエンドスロープ手段23の下面に設けるリブには、図2の(b)に示すように、テーパを付け、エンドスロープ手段23が車道面との間に段差を生じないようにする。
【0017】
上述の縁石プレート手段11、スロープ手段17、およびエンドスロープ手段23における各種プレートは、それぞれ表面を滑り止め加工し、裏面をリブ補強した軽量金属製とする。
【実施例2】
【0018】
図3に、車道との間の縁石段差が条例規格で200mmという高い段差歩道の場合に適用する本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置10の第2の使用状況を示す。この場合には、図2に示した縁石プレート手段11とスロープ手段17との間に、補助スロープ手段25を介在させる。この補助スロープ手段25は、スローププレート17Aと同一の幅で、スローププレート17Aよりも短い長さの補助スローププレート25Aと、補助スローププレート25Aの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード26と、この補助スローププレート25Aの縁石プレート側の端縁に設けて第1連結手段に連結支持される第2連結手段、すなわち、バー手段20とを設ける。さらにまた、スローププレート17A側の端縁で補助スローププレート25Aの端面に車道側に突出するよう設けた第1連結手段、すなわち、フック手段16を設ける。
【0019】
スロープ手段17および補助スロープ手段25のスローププレート17A,25Aは、左右に2分割した1対のハーフスローププレートよりなるものとする。
【0020】
各種プレートの上面に設ける滑り止め加工としては、滑り止めシートを設けると好適である。また、スローププレート17A,25Aにおける両側のサイドガード19,26の外側面に、それぞれ少なくとも1個のソーラー自発光LED手段27を設ける。このソーラー自発光LED手段27は、昼間に蓄えた太陽光電力を利用して夜間にLEDが自動的に発光するものとし、夜間の歩道迂回路誘導に役立てる。
【産業上の利用分野】
【0021】
本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置は、歩道の配管工事等の際に、工事現場を車道側に迂回させ、また歩道に戻るときの縁石段差解消スロープとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】歩道工事現場を車道側に迂回する状況を説明する説明図である。
【図2】車道との間の縁石段差が条例規格で90mmまたは150mmという低い段差歩道の場合に適用する本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置の第1の使用状況を示し、(a)は側面図、(b)は(a)の円Xで囲んだ部分の拡大図である。
【図3】車道との間の縁石段差が条例規格で200mmという高い段差歩道の場合に適用する本発明歩道工事現場迂回用段差スロープ装置の第2の使用状況を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 歩道工事現場
2 歩道
3 車道側迂回路
4 パイロン
5 端部ループ付きバー
10 歩道工事現場迂回用段差スロープ装置
11 縁石プレート手段
11A 縁石プレート
12 歩道側端縁
13 車道側端縁
14 支持脚手段
15 脚
16 フック手段
16A フック
17 スロープ手段
17A スローププレート
18 縁石プレート側端縁
19 サイドガード
20 第2連結手段(バー手段)
20A バー
21 緩衝パッド
22 第3連結手段
22A 有孔アングル部材
23 エンドスロープ手段
23A エンドプレート
24 第4連結手段
24A ピン
25 補助スロープ手段
25A 補助スローププレート
26 サイドガード
27 ソーラー自発光LED手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩道工事現場手前で通行人を歩道から車道側迂回路に導き、また歩道工事現場先方で通行人を車道側迂回路から歩道に導く歩道工事現場迂回用段差スロープ装置において、
歩道側端縁および車道側端縁を有して歩道の縁石上に載置する縁石プレート、前記車道側端縁の両側の端部にそれぞれ設けた車道面に着座する高さ調整可能な1対の脚を有する支持脚手段、前記1対の脚間で前記車道側端縁に設けた第1連結手段よりなる歩道の縁石上に載置する縁石プレート手段と、
前記縁石プレートに連結するスローププレート、このスローププレートの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード、このスローププレートの縁石プレート側の端縁に設けて前記第1連結手段に連結支持される第2連結手段、前記スローププレートの下面で前記縁石プレート側端縁とは反対側の端縁に設けて車道面に着座する緩衝パッド、前記縁石プレート側の端縁とは反対側の端縁で前記スローププレートの端面に車道側に突出するよう設けた第3連結手段を有するスロープ手段と、
前記スローププレートに連結するエンドプレート、このエンドプレートのスローププレート側の端縁に設けて前記第3連結手段に連結支持される第4連結手段を有して前記スローププレートの上面と車道面との段差を解消するエンドスロープ手段と
を具え、前記各種プレートは、表面を滑り止め加工し、裏面をリブ補強した軽量金属製としたことを特徴とする歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項2】
前記スロープ手段のスローププレートは、左右に2分割した1対のハーフスローププレートよりなるものとした請求項1記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項3】
段差が高い縁石の場合、前記縁石プレートと前記スローププレートとの間に介在させる補助スロープ手段であって、幅は前記スローププレートと同一で、長さは前記スローププレートよりも短い補助スローププレート、この補助スローププレートの幅方向の両側側面にそれぞれ設けて側方端縁から隆起するフランジ状のサイドガード、この補助スローププレートの縁石プレート側の端縁に設けて前記第1連結手段に連結支持される第2連結手段、前記スローププレート側の端縁で前記補助スローププレートの端面に車道側に突出するよう設けた第1連結手段を有する該補助スロープ手段を、さらに設けた請求項1または2記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項4】
前記補助スロープ手段の補助スローププレートは、左右に2分割した1対のハーフスローププレートよりなるものとした請求項3記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項5】
前記第1連結手段および第2連結手段のうちの一方を少なくとも2個のフックを有するフック手段とし、前記第1連結手段および第2連結手段のうちの他方を前記フックに回動自在に掛合するバー手段により構成した請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項6】
前記各種プレートの上面には、滑り止めシートを設けた請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。
【請求項7】
前記両側のサイドガードの外側面に、それぞれ少なくとも1個のソーラー自発光LED手段を設けた請求項1乃至6記載の歩道工事現場迂回用段差スロープ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−113356(P2007−113356A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308525(P2005−308525)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000207894)大明株式会社 (15)
【出願人】(393018130)長谷川工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】