説明

歯ブラシ乾燥装置

【課題】歯ブラシのブラシ部分を比較的均一に乾燥することができ、ブラシに水分を多く含んだの歯ブラシを乾燥させる際においても、柄の部分を衛生的に保つことができる歯ブラシ乾燥装置を提供することを課題とする。
【解決手段】歯ブラシ乾燥装置として、装置を構成する筐体10と、筐体上部に設けられる歯ブラシをブラシが下方を向くように、歯ブラシの柄をほぼ水平に支持する支持台33、34と、前記支持台33、34に支持される歯ブラシのブラシに向かって直接風が当たるように下方から風を導く、前記筐体10内部に上下方向に設置される流路である縦送風路13と、前記縦送風路13内に下方から上方へ向かう風を送風する送風手段20と、送風手段により送風される風を加熱する加熱手段24とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシのブラシ部分を乾燥させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシの衛生を保つために、歯ブラシの収納容器にブラシ部分の乾燥装置を設けたものが存在する。しかしながら、多くの家庭の洗面台には鏡付きの収納キャビネット内に歯ブラシ立てが既に設置されており、新たに、このような乾燥装置の付いた歯ブラシ収納容器を設置すると、収納キャビネット内の歯ブラシ立てが無駄になり、また、設置スペースが確保しずらという問題がある。
そこで、歯ブラシの収納と歯ブラシのブラシの乾燥を分離し、小型の乾燥装置のみを設置して、歯ブラシを乾燥装置で乾燥後、収納キャビネット等に収納するようにすれば、このような問題は解決されると考えられる。収納と分離して歯ブラシのみの乾燥を目的とする小型の装置として、明示はされていないが下記特許文献に、上方の開口から内部に歯ブラシのブラシ部分を挿入し、下方から温風を吹き付ける装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭48−42762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の歯ブラシを乾燥させる装置は、収納機能を有するので収納に適するように歯ブラシを柄を立てた状態で、ブラシ部に熱風を当てる構造を有していた。しかし、濡れたブラシ部分は水分が下方に向かうので、ブラシの下側になった方は乾きにくくなり、均等にブラシを乾かすことが困難である。また、ブラシ部分の水を切らずに乾燥させるような場合には、柄側を下にして歯ブラシを立てて収納すると柄に向かって雫がたれ、柄が不衛生になるという問題も生じる。
本発明は、以上のような観点に立ち、歯ブラシのブラシ部分を比較的均一に乾燥することができ、ブラシに水分を多く含んだの歯ブラシを乾燥させる際においても、柄の部分を衛生的に保つことができる歯ブラシ乾燥装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、装置を構成する筐体と、筐体上部に設けられる歯ブラシをブラシが下方を向くように、歯ブラシの柄をほぼ水平に支持する支持台と、前記支持台に支持される歯ブラシのブラシに向かって直接風が当たるように下方から風を導く、前記筐体内部に上下方向に設置される流路である縦送風路と、前記縦送風路内に下方から上方へ向かう風を送風する送風手段と、送風手段により送風される風を加熱する加熱手段とを有する歯ブラシ乾燥装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記歯ブラシ乾燥装置において、前記縦送風路は下端側が閉じられるとともに、側面に開口が形成され、前記送風手段は、当該側方の開口から風を導き入れるものであり、前記加熱手段は、当該側方の開口から送風手段までの間に設けられるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の歯ブラシ装置において、前記縦送風路の前記ブラシに対向する下端位置に排水可能に形成される水受け皿が設けられるものである。なお、ここで、「水受け皿」とは、上方が開放した容器であれば足り、深さが浅いものに限定されるものではない。また、「排水可能に形成される」とは、水受け皿に溜まった水を所定の操作により除去できるような構造を有することを意味する。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記歯ブラシ乾燥装置において、前記支持台に支持された歯ブラシを振動させる振動手段を有するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の歯ブラシ乾燥装置において、前記振動手段は、前記歯ブラシを上下に振動させるものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の歯ブラシ乾燥装置において、前記振動手段により上下に振動する歯ブラシの柄の中央より先端側の下面に当たり、動きを規制する振動規制部材を
設けたものである。
請求項7に記載の発明は、前記筐体の前記縦送風路を構成する部分の全部又は一部が前記筐体の他の部分に対して着脱可能に形成されるものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成により本願発明は次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、歯ブラシのブラシが下方を向くように歯ブラシの柄をほぼ水平に支持台に支持すると、ブラシに向かって直接熱風が吹き付けられ、これによりブラシを乾燥させる。この際、歯ブラシのブラシは下方を向くので、ブラシ部の水分は毛先方向に向かい、他のブラシの毛に移行することがほとんどなく、また、下方からブラシに向かって送風するので、歯ブラシを均等に乾燥させることができる。また、ブラシ部が比較的多量の水分を含んでいても、柄がほぼ水平に保たれ、ブラシの毛先方向に水分が落下するので柄に水分が垂れることがなく、柄の衛生を保つことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ブラシ部から水滴が下方の縦送風路内に落下する可能性があるが、送風手段や加熱手段をブラシ部の直下に設けないので、加熱手段や送風手段が濡れる可能性を低減させることができ、また、ブラシ部の対向面となる縦送風路の下端側に送風手段等の構成要素を設けなくてよいので、この部分に、排水部や殺菌手段などを設けることができる。
請求項3に記載の発明は、ブラシの対向面となる縦送風路の下端位置に排水可能に形成される水受け皿を設けることにより、ブラシから落下した水滴を適宜水受け皿に溜めて排水することで筐体内部に水が溜まっていくことを防ぐことができる。
請求項4に記載の発明は、振動手段により歯ブラシを振動させることにより、ブラシが含んだ水分を重力の作用と相まって毛先側に移動させることができ、これによりブラシの水分を早く除くことができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、歯ブラシの振動を水分の移動方向に合致する上下方向とすることで、ブラシの水分の下方への移動を促進することができる。
請求項6に記載の発明は、上下に振動する歯ブラシの柄の下面に当たる振動規制部材を設けることで、下方側にブラシが振動し振動規制部材により移動が規制された際に、ブラシ内の水分のみを慣性により下方へ移動させることができ、さらにブラシの水分の下方への移動を促進することができる。
請求項7に記載の発明は、ブラシからの水分がもっとも付着する可能性が高い縦送風路部分を取り外して別途洗浄することができ、縦送風路を清潔に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る歯ブラシ乾燥装置の正面図である。
【図2】図5のA−A断面図である。
【図3】実施形態に係る歯ブラシ乾燥装置の左側面図である。
【図4】実施形態に係る歯ブラシ乾燥装置の右側面図である。
【図5】実施形態に係る歯ブラシ乾燥装置の平面図である。
【図6】歯ブラシ乾燥器の変形例を示す縦断面図である。
【図7】(a)(b)は歯ブラシ乾燥器の縦送風路管の分離状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係る歯ブラシ乾燥装置Xの正面図を示し、図3に歯ブラシ乾燥装置Xの右側面図を示し、図4に歯ブラシ乾燥装置Xの左面図を示し、図5に歯ブラシ乾燥装置Xの平面図を示す。さらに、図2に図5のA−A断面図を示す。
歯ブラシ乾燥装置Xは、筐体10、送風機構20、振動機構30、殺菌部40を有する。筐体10は、プラスチック製の前後に薄い箱体であり上部約四分の一に半円筒状の上部覆い部12が設けられ、下部四分の三の筐体主部11には、右側に送風機構20が内蔵され、左側に上下に延びる流路を構成する下方に水受け皿13bが設けられる縦送風路13が設けられる。上部覆い部12の左上面は開口12aとなっており、縦送風路13を通る風が上方に抜けるようになっている。縦送風路13下端位置に設けられる水受け皿13bは、上方が開放した箱体で引き出し状になっており図の左側方向へ取り出すことができる。さらに、縦送風路13の略中央右側面は後述するように送風機構20からの送風を導入する開口が設けられている。また、この開口の下端から左側壁にかけてやや左上がりの傾斜壁13aが設けられるとともに、傾斜壁13aには水を下方に通すための穴13aaが設けられる。
【0013】
送風機構20は、シロッコファンにより送風するものであり、ケーシング21、モーター22、シロッコファン23、加熱手段となる電熱線24より構成される、ケーシング21の開口は図において左横方向の縦送風路13内へ送風するように構成されている。なお、ケーシング21は筐体10に一体に形成されるものであり、筐体10の正面側にケーシング21の空気取り入れ口21aが形成されている。このような構成により、モーター22を回転させるとシロッコファン23により空気取り入れ口21aから吸入された空気はケーシング21から左横方向の縦送風路13内へ送られることになる。また、電熱線24を設けることで、縦送風路13へ送風される空気は熱せられた熱風として流れることになる。なお、筐体10内の図2における歯ブラシBのヘッド部分に正面視一致する側壁部分に、反射型の光センサ25が設けられ、図示しない電気回路によって歯ブラシBのヘッド部が光センサ25の前に位置したことを検知して、モーター22・電熱線24および後述する殺菌部40の紫外線ランプに電流を所定時間だけ流すように制御されている。この所定時間は、歯ブラシBのブラシ部を十分乾燥することができる長さに定められる。
【0014】
振動機構30は、前記上部覆い部12の下面位置で前記縦送風路13の左側の境界面上方位置に設けられる円柱状のゴムにより形成される固定支持台34、固定支持台34の右側に設けられる略直方体状のゴムからなる振動支持台33、振動支持台33が一端に設けられ、他端が回動可能に軸支される板状の棒体からなる振動干32、振動干32の中央近傍に上端が回動可能に固定され、下端はシロッコファンの背面の回転軸から偏心した位置に回動可能に固定される細長い板体からなるクランク干31とから構成される。このような構成により、固定支持台34及び振動支持台33により歯ブラシBはブラシ部が縦送風路の上部に位置するように略水平に支持され、モーター22が回転することでクランク干31の上端は上下運動をし、クランク干31の上端が回動可能に固定されている振動干32はクランク干31の上下運動に連動して遥動運動をすることになる。そして振動干32の一端側に設けられる振動支持台33は上下に振動をすることになる。これによって、歯ブラシBは振動支持台33に押し上げられ、また、重力により下方に落下することで上限に運動し、ブラシ部の根元が固定支持台34に打ち付けられることになる。即ち、固定支持台34は振動する歯ブラシBの柄の中央より先端側の下面に当たり、動きを規制する振動規制部材を構成する。このようにブラシ部の根元が固定支持台34に打ち付けられることにより、ブラシ部に含まれる水分は下方へ移動し落下することとなる。
殺菌部40は縦送風路13内の図における歯ブラシBのブラシ部下方近傍の前後の壁面に固定される紫外線ランプにより形成される。
【0015】
次に、以上のような構成を有する歯ブラシ乾燥装置Xの使用方法について説明する。使用者は、まず、歯を磨き終えてブラシ部を洗い終えた歯ブラシBを上部覆い部12の右側の開口12bにブラシ部から差し入れて、図2に示すようにブラシを下方に向けブラシ部の根元近傍を固定支持台34に置き、また、柄部を振動支持台33に置く。これにより、歯ブラシBのブラシ部が光センサ25の前を遮るので、モーター22・電熱線24・殺菌部40に電流が流され、熱風がブラシ部の下方から上方へと送られ、また、振動支持台33が上下動をし、紫外線ランプがブラシ部を照射する。これにより、ブラシ部の根元は上方から下方に固定支持台に叩きつけられて水分が下方へと移動して落下し、同時、下方からの熱風によりブラシ部の水分を蒸発させることで、ブラシ部を短期間で乾燥させることができる。また、紫外ランプによりブラシ部を殺菌することができる。所定時間が経過すると、モーター22、電熱線24、殺菌部40への通電が止まるので、使用者は歯ブラシBを抜いて、収納場所に収納する。
【0016】
(変形例)
図6に本実施形態の変形例に係る歯ブラシ乾燥装置Yの図2に対応する縦断面図を示す。上記歯ブラシ乾燥装置Xでは、振動機構30を設けたが、歯ブラシ乾燥機Yのように振動機構30を設けない構成としてもよい。この場合、歯ブラシを乾燥させる前に、ブラシ部を下方に向け歯ブラシの柄を洗面台などに叩きつけて歯ブラシのブラシ部に残る水分を落下させ、できるだけ水分を除去してから歯ブラシ乾燥装置内に歯ブラシを入れることが望ましい。
また、歯ブラシ乾燥装置Xでは縦送風路の中間部分から送風機構20の風を流入させるようにしているが、歯ブラシ乾燥装置Yのように送風機構20の開口を下方にして、縦送風路の下端から風を流入させるようにすることもできる。
【0017】
さらに、上記歯ブラシ乾燥装置Xでは縦送風路を構成する筐体部分は筐体全体と一体に形成されているが、これを着脱可能にしてもよい。歯ブラシ乾燥装置Yは縦送風路を構成する部分が着脱可能に形成されており、これを図7(a)(b)に示す正面図にて説明する。歯ブラシ乾燥装置Yでは、筐体10が縦送風路13を構成する部分である縦送風路管10Bと筐体本体10Aとに分かれている。縦送送風路管10Bは正面側及び背面側に筐体本体10Aに重なり、前後から筐体本体10Aを狭持する張り出し部10Baが設けられており、筐体本体10Aと張り出し部10Baとが重なる面同士には、筐体本体10A側に上下に延びる凸条10A1が形成されるとともに、張り出し部10Ba側には凸条10A1が係合できる上下に延びる溝10Ba1が設けられている。これにより、図7(a)の状態から図7(b)に示すように、縦送風路管10Bを下方向にスライドさせて、筐体本体10Aから分離して取り外すことができる。なお、縦送風路を構成する部分の着脱方法はネジで固定したり、係合部材で固定したり等、任意の方法が採用でき、また、全部でなく一部のみを着脱可能にすることもできる。
【0018】
それから、ここでは送風機構としてシロッコファンを用いているが軸流ファンにするなど送風機構は種々の変形が可能である。
また、ここでは殺菌部として紫外線ランプを用いているが、エチルアルコールなどの殺菌液をブラシ部に噴射するようにする等、殺菌手段は種々のものを採用することができる。
そして、上記実施形態では、光センサ25を歯ブラシ乾燥装置のスイッチとして用いているが、スイッチは種々のものを用いることができ、歯ブラシ乾燥装置Yのように、固定支持台34に取り付けたマイクロスイッチ26をスイッチとしたり、筐体10外表面にスイッチを設けたり等種々の変形が可能である。また、送風機構20の風量や温度、送風時間などを外部から調整できるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0019】
X、Y 歯ブラシ乾燥装置
10 筐体
11 筐体主部
13 縦送風路
13b 水受け皿
10A 筐体本体
10B 縦送風路管
20 送風機構
21 ケーシング
22 モーター
23 シロッコファン
24 電熱線
30 振動機構
33 振動支持台
34 固定支持台
40 殺菌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を構成する筐体と、
筐体上部に設けられる歯ブラシをブラシが下方を向くように、歯ブラシの柄を支持する支持台と、
前記支持台に支持される歯ブラシのブラシに向かって直接風が当たるように下方から風を導く、前記筐体内部に上下方向に設置される流路である縦送風路と、
前記縦送風路内に下方から上方へ向かう風を送風する送風手段と、
送風手段により送風される風を加熱する加熱手段と
を有する歯ブラシ乾燥装置。
【請求項2】
前記縦送風路は下端側が閉じられるとともに、側面に開口が形成され、
前記送風手段は、当該側方の開口から風を導き入れるものであり、
前記加熱手段は、当該側方の開口から送風手段までの間に設けられるものである
請求項1に記載の歯ブラシ乾燥装置。
【請求項3】
前記縦送風路の前記ブラシに対向する下端位置に排水可能に形成される水受け皿が設けられる請求項2に記載の歯ブラシ装置。
【請求項4】
前記支持台に支持された歯ブラシを振動させる振動手段を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の歯ブラシ乾燥装置。
【請求項5】
前記振動手段は、前記歯ブラシを上下に振動させるものである請求項4に記載の歯ブラシ乾燥装置。
【請求項6】
前記振動手段により上下に振動する歯ブラシの柄の中央より先端側の下面に当たり、動きを規制する振動規制部材を設けた請求項5に記載の歯ブラシ乾燥装置。
【請求項7】
前記筐体の前記縦送風路を形成する部分の全部又は一部は、前記筐体の他の部分に対して着脱可能に形成されるものである請求項1から6のいずれか1項に記載の歯ブラシ乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−252983(P2010−252983A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105498(P2009−105498)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509117768)
【Fターム(参考)】