説明

歯白色化製品

【課題】歯白色化製品の提供。
【解決手段】歯白色化製品20は、裏層と歯白色化組成物を有する。歯白色化組成物は、第一ポリマー、第二ポリマー、水、および歯白色化剤を包含する。第一ポリマーは水溶性ポリマーであり、第二ポリマーはポリビニルアルコールである。歯白色化製品20は、水溶性ポリマーフィルム22と、固体白色化剤とを含み、この固体白色化剤は、水溶性ポリマーフィルム22の一方の面にコーティング24として塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯白色化製品、より詳しくは、白色化剤を組み込んだ歯白色化製品に関する。
【背景技術】
【0002】
歯を白色化(whitening)することは、過去数年にわたって大変人気を呼んでいる。ますます多くの消費者が、自分たちの歯を白色化することを選択している。歯を白色化するための選択肢には、練り歯磨き、口内洗浄剤、チューインガム、医院内での漂白、および最も一般的には、店頭販売又は歯科医から得られるトレイと共に用いられる歯白色化溶液が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
化学的白色化活性物質と組み合わせて材料のストリップを用いる歯白色化製品が、当該技術分野において既知である。これらの白色化製品は、それらの意図した目的のために機能する可能性があるが、これら歯白色化製品の取り扱いおよび美観を向上させるという引き続き存在する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
歯白色化製品が提供される。歯白色化製品は、裏層と歯白色化組成物を有する。歯白色化組成物は、第一ポリマー、第二ポリマー、水および歯白色化剤を包含する。第一ポリマーは水溶性ポリマーであり、第二ポリマーはポリビニルアルコールである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明白に請求する請求項によって結論とするが、添付図面と併せてなされる以下の記述により、本発明は更によく理解されると考えられる。
【0006】
本明細書に参照された全ての特許および特許出願は、本明細書に参考文献として組み込まれる。本明細書における全ての重量%は、別に記述された場合を除き、加工後(例えば、乾燥後、冷却後、硬化後、押出し後、又はキャスティング後)の歯白色化組成物を指す。本発明の実施形態について詳細に述べるが、それらの実施例は添付図面に図解されており、図を通して同種の数字は同じ要素を示すが、同じ最後の2桁の数字を有する要素(例えば20と120)は類似の要素であることを暗示する。本発明は、歯白色化剤又は歯用漂白剤と、1種以上の水溶性ポリマー、並びに所望により水と可塑剤を包含する歯白色化組成物を含む歯白色化製品を対象とする。別の実施形態では、本発明は、ポリエチレンオキシドポリマーを含む歯用漂白組成物を対象とし、およびさらに他の実施形態では本発明は、ポリビニルアルコールポリマーを含む歯用漂白組成物を対象とする。本明細書で使用する時、語句「水溶性」は、好ましくはpH調整剤の補助なしで20℃の水中で測定した時、水への溶解度が5重量%超過、好ましくは10重量%超過、又はより好ましくは15重量%超過である化合物又は組成物を意味し、水へ可溶化するために20℃超過の温度を必要とするが、溶液が20℃に冷却された時に上述の重量%を未だ有する溶質を包含する。溶解度は、1570rad/s(15,000RPM)で30分間の遠心分離により分離しないことで確定される。水溶性ポリマーを含有する溶液は、不透明、半透明、又は透明であってもよい。より好ましくは「水溶性」は、pH調整剤の補助なしで20℃の水中で初めに混合した時、水への溶解度が5重量%超過、好ましくは10重量%超過、又はより好ましくは15重量%超過である化合物又は組成物を意味する。また水溶性ポリマーは、好ましくは水和可能でもある。本明細書で使用する時、語句「水和可能な」は、水を吸収する化合物又は組成物を指すことを意図する。本発明は、本明細書においてこれらのフィルム又はストリップに関して記載されるであろうが、本発明は、デンタルトレイのような他の歯白色化製品と共に使用可能であると考えられる。本発明にて使用するのに適した水和可能でもある水溶性ポリマーとしては、約0.016ag(10,000ダルトン)〜約16.6ag(10,000,000ダルトン)の範囲、および好ましくは約0.16ag(100,000)〜約2.5ag(1,500,000ダルトン)の範囲で変化する分子量のエチレンオキシドポリマー、エチレンオキシドポリマーのホモポリマー又は混合物が挙げられる。このようなエチレンオキシドポリマーは、様々な供給源から商業的に入手可能である。分子量が0.016〜1.66ag(10,000〜1,000,000ダルトン)の範囲のポリエチレンオキシドは、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)から商標名ポリオックス(POLYOX)(登録商標)として、入手可能である。他の適したポリマーとしては、ポリプロピレンオキシド、架橋ポリアクリル酸(例えばカーボポール(Carbopol))、直鎖状ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、メチルメタクリレート、キサンタンガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、寒天、ポリビニルピロリドン(PVP)、カラギーナン、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース)、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドコポリマー(例えば、ポロキサマー)、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー、ポリビニルエステル−メチルコポリマー、ポリオキシエチレン(polyoxyethelene)−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。フィルムの厚さは変更してもよいが、以下により十分に記載されるように、フィルムは、約0.1マイクロメートル〜約1500マイクロメートル(μm)の厚さを有していてもよい。歯白色化組成物は、独立型フィルムとして提供されてもよく、あるいは裏層又は材料のストリップに適用される、コーティングされる、或いは別の方法で裏層又は材料のストリップと共に提供されてもよい。裏層は、単層として、あるいは発泡体、メッシュ、又は材料のストリップのあらゆる組み合わせのような複数の層から形成される積層体として、提供され得る。裏層は、水溶性、部分的に水溶性、水不溶性、透水性、不透水性、又は部分的に透水性であり得る。裏層は、連続又は不連続(すなわち、複数の別個のセグメントから形成される)であり得る。いくつかの適した裏層の例は、米国特許第5,891,453号、同第5,989,569号、および2004/0005277に記載されている。
【0007】
口腔内の唾液による水溶性ポリマーの水和は、ポリマーマトリックスに組み込まれた白色化剤の解放(例えば、可溶化、拡散、又は移動)を可能にする。白色化剤は、歯白色化製品から、歯白色化組成物が適用されている歯表面へ解放される。本発明の実施に適する白色化剤又は漂白剤としては、過酸化物、亜塩素酸金属塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適したペルオキシド化合物には、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウムおよびこれらの混合物が挙げられる。適した亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウムが挙げられる。好ましい亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソンである。
【0008】
所望により、水溶性ポリマーは、可塑剤と混合してもよい。適した可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、およびキシリトールなどの多価アルコール、並びにグリセロールトリアセテートなどのグリセロールエステルが挙げられる。グリセリン並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコール(例えば、0.00033〜0.0009ag(200〜600ダルトン)の範囲の分子量の、ユニオンカーバイト社のカーボワックス(Carbowaxes)シリーズとして、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)から入手可能であるもの)が、使用可能である。他の可塑剤としては、セルロースエステル、セバケートエステル、ヒマシ油、リン酸トリクレシル、フタル酸塩、アジピン酸塩、クエン酸エチル、エタノールアミン、およびオリゴ糖が挙げられる。
【0009】
所望により、本明細書に記載されたあらゆる歯白色化組成物は、さらにある量の水を包含してもよい。存在する水の量は、生じる加工(例えば、乾燥又は硬化)の程度により、変化してもよい。本実施形態は、加工後、歯白色化組成物の約2重量%超過、又は約4重量%超過、又は約6重量%超過、又は約10重量%超過、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約40重量%未満、又は約30重量%未満の水を包含してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、図1に示すように、歯白色化製品20は、水溶性ポリマーフィルム22と、固体白色化剤とを含み、この固体白色化剤は、水溶性ポリマーフィルム22の一方の面にコーティング24として塗布されている。固体白色化剤は、フィルムがまだ粘着性である間に、あるいはフィルムの乾燥後、硬化後、又は冷却後に塗布することができる。この方式で、歯白色化剤を塗布することにより、フィルムを形成する際に溶媒として使用された可能性がある水に対する歯白色化剤の暴露が減少し、また、全体的に歯白色化剤が分散した水和可能なフィルムと比較して、水溶性ポリマーと歯白色化剤との間の接触量が減少する。更に、この実施形態では、歯に適用される歯白色化剤の歯表面での濃度が増大する。このようなコーティングは、歯の表面に直接隣接するおよび/又は使用中に歯の表面と接触するので、歯白色化剤が歯表面に向かって拡散するのを助けることもできる。水溶性ポリマーフィルムの一方の面に塗布することができる適した固体歯白色化剤としては、過酸化カルビミド、過酸化カルシウム、過炭酸塩、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸塩、過硫酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。これら歯白色化剤は、噴霧されるか、グラビア印刷、ミスト研削、ドロップ粉砕および当該技術分野で既知の他のプロセスにより塗布され得る。
【0011】
固体歯白色化剤のコーティングは、水溶性ポリマーフィルムの全部又は一部を被覆し得る。コーティングの厚さは、約0.001ミクロン超過、又は約0.005ミクロン超過、又は約0.01ミクロン超過、又は約0.05ミクロン超過、又は約0.1ミクロン超過、又は約1ミクロン超過、又は5ミクロン超過、並びに/若しくは約100ミクロン未満、又は約50ミクロン未満、又は約10ミクロン未満、又は約1ミクロン未満であり得る。歯白色化剤の単位面積あたりの用量は、少なくとも約0.001mg/cm、又は少なくとも約0.005mg/cm、又は少なくとも約0.01mg/cm、又は少なくとも約0.05mg/cm、又は少なくとも約0.1mg/cm、又は少なくとも約1mg/cm、又は少なくとも約10mg/cm、又は少なくとも約100mg/cm、並びに/若しくは約500mg/cm未満、又は約250mg/cm未満、又は約100mg/cm未満、又は約10mg/cm未満であり得る。他の材料は、固体歯白色化剤と混合するか、又は固体歯白色化剤を塗布する前又は後に順次塗布することができる。例えば、結合剤、接着剤、デンプン、甘味剤および風味剤、着色剤(例えば、ストリップの活性サイドを不活性サイドから識別するのを助けるために)、キャスティングプレートのような表面からの歯白色化組成物の解放を促進する離型剤(例えば、タルク粉末、マンニトール(manitol)粉末、レシチン、コーンオイル、蜜蝋、シリカ、カルシウムモノステアレート、グリセロールモノステアレート、長鎖脂肪酸のアルカリ塩)、アルカリ化剤又は酸性化剤を包含するpH調整剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80およびグリセリルオレエート)、および他の口腔ケア活性物質を、塗布工程の一環として適用できる。固体歯白色化剤は、乾燥した形状で塗布できるが、塗布中、歯白色化剤と共に溶媒を使用できると考えられる。一実施形態において、水溶性ポリマーおよび歯白色化剤の両方を可溶化する溶媒は、歯白色化剤を水溶性フィルムの表面に塗布する時に使用できる。このプロセスにおいて、歯白色化剤は溶媒中に可溶化され、次いで水溶性フィルム表面に塗布され、その結果、溶媒がフィルムの一部を可溶化できるので、歯白色化剤がフィルム内の少なくとも一部に分散される。あるいは、溶媒は歯白色化剤を可溶化するのみであってもよく、この場合、溶媒が蒸発するか又は除去された後に、フィルムの一方の面上に別個のコーティングが形成される。適した溶媒としては、所与の温度で歯白色化剤を可溶化し得るが、その温度では水溶性ポリマーを可溶化しない溶媒が挙げられる。いくつかの例としては、酢酸セロソルブ、アニソール、1,4ジオキサン、酢酸エチル、エチレンジアミン、ジメチルセロソルブ、セロソルブ溶媒、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、又はイソプロパノール)、カルビトール溶媒、n−ブタノール、カイル(cuyl)セロソルブ、n−酢酸ブチル、2−プロパノール、およびメチルセロソルブ、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0012】
水溶性ポリマーフィルム22は、従来の押出法、カレンダー法、プレス法又は溶液流延法を用いて調製できる。例えば、ポリエチレンオキシドを溶液流延することによってフィルムを調製するには、エチレンオキシドポリマー又はポリマーの混合物を、ポリマーと相溶性である十分な量の溶媒に溶解する。適した溶媒の例としては、水、アルコール、アセトン、エチルアセテート、又はこれらの混合物が挙げられる。溶液が形成された後、攪拌しながら可塑剤を添加し、透明で均質な溶液が形成されるまで、必要であれば溶解を助けるために熱を加え、次いで、白色化剤と、風味剤などの他の成分とを添加する。溶液は、適した支持材料上にコーティングされ、乾燥されてフィルムを形成する。支持材料は、2つの基材間の結合を破壊することなく、ポリマー溶液を意図された支持材料幅にわたって均一に広げる表面特性を有していなければならない。適した支持材料の例としては、ガラス、ステンレススチール、テフロン、ポリエチレン含浸クラフト紙が挙げられる。また溶液は、上述の裏層、ポーチ又は歯白色化組成物用のパッケージの一部分上にキャスティングされ得る。フィルムの乾燥は、乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空乾燥機、又はあらゆる他の適した乾燥機器を用いて高温の空気槽において行われてもよく、その後、歯白色化剤をフィルム上に噴霧することができる。
【0013】
本発明の別の実施形態において、水以外の溶媒で水溶性フィルムを形成することによって歯白色化剤の効能および/又は安定性を増大することが可能であり、これによって、形成プロセス中、歯白色化剤は水と接触せず、フィルムの製造後に残留水が残らないようにすることができる。本明細書で使用する時、用語「安定性」とは、ある材料が一定の期間にわたって元来の濃度又は構造を維持する傾向を指すことを意図する。本明細書で使用する時、用語「効能」とは、単位時間当たりの歯を白色化する量を指すことを意図する。1つのプロセスにおいて、水溶性ポリマーおよび歯白色化剤は混合され、次いで押出機に供給され、機械的作用によって起こるねじれが水和可能なポリマーを溶融する。次いで、溶融したポリマーは押出されてフィルムとなり、歯白色化製品に成形される。
【0014】
また、歯白色化剤の効能は、フィルムを形成する水溶性ポリマーの量を低減することによっても増大され得る。一実施形態において、水溶性ポリマーフィルムは、水不溶性有機添加物および/又は水不溶性無機添加物を更に含み、水溶性ポリマーの量が低減し、その結果、使用中、歯白色化剤の可溶化が最大になる。適した水不溶性有機材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンおよびこれらのコポリマー)およびポリエステルが挙げられる。適した水不溶性無機材料としては、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウムおよび二酸化チタンおよびシリカが挙げられる。水不溶性添加物は、フィルムの少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約80重量%未満、又は約70重量%未満、又は約50重量%未満、又は約40重量%未満、又は約30重量%未満を構成し得る。これらの実施形態において、水溶性ポリマーの量は、フィルムの少なくとも約5重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約80重量%未満、又は約70重量%未満である。水不溶性添加物は、フィルムに組み込む前に粉砕され得る。1つの実施形態において、水不溶性添加物の平均粒径は、少なくとも約1ミクロン、又は少なくとも約20ミクロン、又は少なくとも約25ミクロン、並びに/若しくは約100ミクロン未満、又は約50ミクロン未満、又は約25ミクロン未満、又は約10ミクロン未満である。水和可能なポリマーを水和するか、ないしは別の方法で可溶化するよりも、歯白色化剤を可溶化する方がより多くの水を利用できるので、歯白色化剤との反応に利用できる水溶性ポリマーの量を低減することに加えて、歯の表面で利用できる歯白色化剤の濃度を水和中に増大させることが可能である。歯白色化剤は、米国特許第6,419,906号に記載されるように水溶性ポリマーと混合されるか、又は前述のようにフィルム上にコーティングされ得る。
【0015】
本発明の別の実施形態において、フィルムの水和を向上させるために、ウェブ、スクリム又はメッシュが更に歯白色化製品に組み込まれる。ウェブ、スクリム又はメッシュは、ランダムな又は繰り返しの幾何学的パターンで整列される繊維から形成することができる。図2を参照すると、ウェブ32を含む歯白色化製品120が図示されている。ウェブ32は、繰り返しの幾何学的パターンで配置される繊維34から形成される。繊維は、1種以上の水不溶性、水溶性、又は水和可能なポリマーから形成されることができ、歯白色化剤その中に組み込んでもよい。繊維が水不溶性材料から形成されれば、ウェブは、水不溶性材料を組み込む前述のフィルムと同様な様式で機能する可能性がある。繊維は、繊維間に空隙36を設けるような様式で配置される。空隙は、ウェブ32の水和を促進することができ、それ故、歯白色化剤の可溶化を促進することができる。空隙の大きさは様々であるか、又はウェブ全体にわたって実質的に一定の大きさであり得る。例えば、空隙は、所望の水和率に応じて、ある領域ではより小さく、別の領域ではより大きくてもよい。繊維34は、少なくとも約1ミクロン、又は少なくとも約5ミクロン、又は少なくとも約10ミクロン、又は少なくとも約20ミクロン、又は少なくとも約50ミクロン、並びに/若しくは約200ミクロン未満、又は約100ミクロン未満、又は約50ミクロン未満、又は約20ミクロン未満の繊維直径を有することができる。繊維間の間隔38は、少なくとも約1ミクロン、又は少なくとも約5ミクロン、又は少なくとも約10ミクロン、又は少なくとも約20ミクロン、又は少なくとも約50ミクロン、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、並びに/若しくは約5mm未満、又は約2.5mm未満、又は約1.5mm未満、又は約50ミクロン未満である。
【0016】
代わりの実施形態において、図3に示す歯白色化製品220は、それに塗布されたコーティング又は層44を有するウェブ32を含む。ウェブ32は、水溶性、水不溶性、又は水和可能なポリマー、あるいは他のポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)およびセルロースのような他の材料から形成され得る。ウェブ32の繊維34は、ランダム又は繰り返しパターンで配置され得る。コーティング44は、水溶性ポリマーと歯白色化剤を含む。コーティングには、可塑剤、水、水不溶性添加物などの他の材料が包含され得る。コーティングは、実質的に固体の層がウェブ32上に形成されるように空隙36を橋架けする(bridge)ことができる。コーティングは、歯白色化製品320に関して、図3に示すように空隙を完全に充填するか、又は図4に示すように空隙を部分的に充填してもよい。空隙が部分的に充填される時、形成されるポケット50は、ウェブの水和を促進することができ、故に歯白色化剤の可溶化および放出を促進することができる。あるいは、コーティング44は、歯白色化製品420に対して、図5に示すように空隙を部分的に橋架けするだけの場合もあり得る。別の実施形態において更に、コーティング44は、図6に例として示すように、歯白色化製品520に対して、ウェブ32の空隙36を橋架けせず、繊維34を単に全体的又は部分的にコーティングするだけである。
【0017】
コーティングおよび/又は繊維内の歯白色化剤の濃度、並びに水溶性ポリマーの量は、コーティングが空隙を橋架けするおよび/又は繊維をコーティングする程度に応じ、また歯白色化剤の所望の可溶化率に基づいて、これらのウェブ実施形態内で変更することができる。理解されるであろうように、一実施形態においては、空隙の完全な充填、空隙の部分的な充填、空隙の部分的な橋架け、および繊維のコーティングのあらゆる組み合わせが提供され得る。
【0018】
関連実施形態において、図7に示すように、明確なウェブ又はスクリムがない孔明きフィルムが提供されてもよい。歯白色化製品620において、水溶性ポリマー、歯白色化剤、可塑剤、および所望により水を含む単層又は多層フィルムが提供されてもよい。フィルムは、乾燥後又は硬化後に孔明きされ得る。孔明きプロセス中に形成される空隙、孔又は開口630は、フィルムの厚さを完全に貫通することができ、又はフィルムの厚さの一部のみに貫通してもよい。空隙636は、ウェブの空隙について前述したのと同一の直径を有し得る。前述のように、空隙636は、ランダム又は繰り返しパターンで提供され、その大きさおよび形状を変更することができる。更に、この実施形態は、前述のような歯白色化剤のコーティング又は前述の実施形態の他の機構を包含し得る。
【0019】
本発明の別の実施形態において、歯白色化製品720は、図8に示すように、積層フィルムの形状で提供される。積層フィルムは、水溶性ポリマーおよび/又は水和可能なポリマーを含む2つ以上の層を含む。歯に適用されるべき第一層64は、更に歯白色化剤を含む。ポリマーは、第一層の少なくとも約1重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約70重量%未満、又は約50重量%未満を構成する。歯白色化剤は、第一層の少なくとも約1重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約15重量%、並びに/若しくは約70重量%未満、又は約60重量%未満、又は約50重量%未満を構成する。第一層の残余部分は、水、あるいは前述の水不溶性添加物又は可塑剤などの他の材料を含み得る。使用中に唇および/又は頬に隣接して位置する第二層66は、歯白色化剤を含まないのが好ましい。第二層66のポリマーは、第二層の少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、並びに/若しくは約100重量%未満、又は約90重量%未満、又は約80重量%未満を構成する。可塑剤は、第二層の少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約1重量%、又は少なくとも約2重量%、並びに/若しくは約40重量%未満、又は約30重量%未満、又は約20重量%未満を構成する。第二層66の残余部分は、水、水不溶性添加物、又は歯白色化剤以外の口腔ケア活性物質などの他の材料を含み得る。本発明と共に使用するのに適した他の口腔ケア活性物質の例としては、リン酸塩(例えば、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、およびこれらの混合物)、フッ化物イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、栄養剤および酵素が挙げられる。これらの口腔ケア活性物質は、さらに米国特許第6,096,328号(および、ここに引用された特許)に記載されている。また、これらの口腔ケア活性物質を、単層のみを含み、水溶性ポリマーおよび/又は水和可能なポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド(polyethyylene oxide))および可塑剤から形成されたフィルムに組み込むこともでき、その基本的な形成は、米国特許第6,419,906号に記載されている。
【0020】
歯白色化製品720の第一層64および第二層66の組成は、異なる機能性を付与するように適合され得る。例えば、第一層64は、第二層66よりも少ない水溶性ポリマー/水和可能なポリマーを含んでいてもよく、その結果、第一層64は、歯白色化剤をより迅速に水和し、それにより歯白色化剤をより迅速且つより効果的に可溶化する(即ち、より高い濃度をより迅速に提供する)。第二層は、水溶性ポリマー/水和可能なポリマーを比較的多く含有することができ、それにより第二層は、歯白色化製品の裏側からの幾らかの水和を許容しつつも、可溶化された歯白色化剤が歯から離れて放散するのを防ぐバリアー層として機能する。また、第二外側層は、より多くの水溶性ポリマーを含むので、第一層64よりも長くフィルム様の状態で残留し、その結果、歯白色化剤はより長い期間歯に作用するであろう。また、第二層からの歯白色化剤がないと、過酸化物源が唇および頬の軟組織に直接隣接しないので組織の許容性が向上し得る。歯白色化製品720は、初めに第一層をキャスティングし、次いで、第一層が乾燥又は硬化する前若しくは後に、第二層を第一層の上にキャスティングすることによって形成することができる。層は、整列したローラによって共にプレスされることができ、その結果、第一層と第二層の間にできるギャップを阻止することができる。第一層および第二層は、同じ水溶性ポリマー又は別個の水溶性ポリマーを含み得る。
【0021】
本発明の別の態様において、水溶性ポリマーと歯白色化剤を含むフィルムは、薄い形状で、歯白色化剤の濃度が増加されて提供される。フィルムの厚さは、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μm、又は少なくとも約10μm、又は少なくとも約15μm、並びに/若しくは約2mm未満、又は約1mm未満、又は約0.5mm未満、又は約0.25mm未満、又は約0.1mm未満、又は約20μm未満、又は約15μm未満である。歯白色化剤の濃度は、少なくとも約1%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%、並びに/若しくは約70%未満、又は約60%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満である。驚くべきことに、これらの高濃度レベルの歯白色化剤は、扱いにくいラバーダム又は他の人工的な軟組織バリアーを必要とすることなく、許容できる軟組織忍容性を維持して、利用されることができる。本明細書で使用する時、語句「人工バリアー」とは、歯白色化剤が、漂白作用の間に、歯に隣接する軟組織上に移動することを防止する又は防止することを意図するあらゆる物理的手段を指すことを意図する。他の人工バリアーとしては、光硬化型樹脂を挙げることができる。本明細書で使用する時、語句「軟組織忍容性」とは、焼けるような又は刺すようなと多くの場合表現される知覚をユーザーが感じる程度、あるいは歯肉組織の刺激をユーザーが感じる程度を指すことを意図する。この知覚は、軽度から重度までの範囲であり得る。加えて、好ましくは歯白色化剤がない1つ以上の層を、歯白色化剤を含有する前述の層に隣接して備えることができる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、歯白色化組成物は、2つ以上の水溶性ポリマー、歯白色化剤、並びに所望により可塑剤および/又は水を含む。歯白色化組成物は、独立型フィルムとして、又は他の形状にて、裏層上に層として備えられてもよい。一実施形態では、第一水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールであり、第二水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、架橋ポリアクリル酸(例えば、カーボポール(Carbopol))、直鎖状ポリアクリル酸、アクリレートコポリマー(例えば、ノベオン社(Noveon, Inc)、オハイオ州、クリーブランド)からのアヴァルラ(Avalure)AC)、アルギン酸ナトリウム、メチルメタクリレート、キサンタンガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、寒天、ポリビニルピロリドン(PVP)、カラギーナン、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシメチルセルロース)、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドコポリマー(例えば、ポロキサマー)、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー、ポリビニルエステル−メチルコポリマー、ポリオキシエチレン(polyoxyethelene)−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリウレタン(例えば、ノベオン社(Noveon, Inc)、(オハイオ州、クリーブランド)からのアヴァルラ(Avalure)UR)、アクリル酸−アルキルメタクリレートコポリマー(例えば、ノベオン社(Noveon, Inc)、(オハイオ州、クリーブランド)からのペミュレン(Pemulen))およびこれらの混合物から成る群から選択される。ポリビニルアルコールと第二水溶性ポリマーとの組み合わせは、ポリビニルアルコールポリマーにより提供される長期間接着と相まって、歯への適用のための良好な初期接着特性を有する歯白色化組成物を提供し、これは長期間着用適用(例えば一晩)での使用に特に有益であり得ると考えられている。
【0023】
ポリエチレンオキシドポリマーとポリビニルアルコールポリマーを含む歯白色化組成物が、これらに記載されるであろう。また第三水溶性ポリマーが、提供されてもよい。好ましい第三水溶性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸(例えば、カーボポール(Carbopol))である。ポリエチレンオキシドは、約100,000超過、又は約200,000超過、又は約300,000超過、又は約600,000超過、並びに/若しくは約10,000,000未満、又は約4,000,000未満、又は約1,500,000未満、又は約900,000未満の平均分子量を有していてもよい。歯白色化組成物は、約10重量%超過、又は約20重量%超過、又は約30重量%超過、又は約40重量%超過、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約60重量%未満、又は約50重量%未満のポリエチレンオキシドを含んでもよい。歯白色化組成物は、異なる平均分子量を有するポリエチレンオキシドの混合物を含んでもよい。歯白色化組成物は、約0.5重量%超過、又は約2重量%超過、又は約5重量%超過、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約50重量%未満、又は約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約10重量%未満のポリビニルアルコールを含んでもよい。ポリエチレンオキシドポリマーとポリビニルアルコールポリマーとの比は、約10:90〜約90:0.5、又は約50:2〜約30:20であってもよい。ポリビニルアルコールは、様々な度合いに加水分解されていてもよい。加水分解の度合いは、ポリビニルアセテートのポリビニルアルコールへの変換の程度を示す。ポリビニルアルコールの加水分解の度合いが上昇すると、ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの混合物は、より接着性が高く、より凝集性が低くなるであろう。従って、ポリビニルアルコールの加水分解の度合いが上昇すると、同じレベルの接着性を提供するために、同じ量のポリエチレンオキシドに対して、より少ないポリビニルアルコールが必要である。ポリビニルアルコールは、超加水分解、完全加水分解、中程度加水分解、又は部分的加水分解していてもよい。一般的に、部分的加水分解から超加水分解までの加水分解の範囲は、約70%(部分的加水分解)〜約99.5%(超加水分解)である。一実施形態では、加水分解の範囲は、約70%超過、又は約80%超過、又は約87%超過、並びに/若しくは約99%未満、又は約95%未満、又は約91%未満である。本明細書で使用する時、語句「加水分解」は、歯白色化組成物の製造前の、原材料の加水分解のレベルを指すことを意図する。別の実施形態では、加水分解の範囲は、約87重量%〜約91重量%であり、ポリビニルアルコールの量は、歯白色化組成物の約5重量%〜約50重量%である。また歯白色化組成物は、所望により可塑剤を包含してもよい。一実施形態では、歯白色化組成物は、約1重量%超過、又は約10重量%超過、又は約20重量%超過、並びに/若しくは約80重量%未満、又は約60重量%未満、又は約80重量%未満の可塑剤を含んでもよい。好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコールである。より好ましい可塑剤は、分子量約200〜約9,000を有するポリエチレングリコールである。また歯白色化組成物は、所望により本明細書に上述したのと同じレベルにて、水も包含してもよい。歯白色化組成物は、歯白色化組成物の約0.5重量%超過、又は約3重量%超過、又は約6重量%超過、並びに/若しくは約40重量%未満、又は約20重量%未満、又は約10重量%未満の過酸化水素を包含してもよい。また、2種の水溶性ポリマーを含む歯白色化組成物の上述の実施形態は、メッシュ又はスクリム、水不溶性有機添加剤又は水不溶性無機添加剤、穿孔等のような本明細書に記載されたあらゆる他の実施形態の態様を組み込んでもよい。
【0024】
ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールとの混合物を組み込んだ上述の実施形態の非限定例を、以下に説明する。これらの組成物は追加成分を包含してもよく、又は他の成分は列記されたもので代用されてもよいことが認識されるであろう。各実施例は、水分含有量を低減する加工前後の歯白色化組成物処方を記載する。
【0025】
実施例1
【表1】

【0026】
実施例2
【表2】

【0027】
実施例3
【表3】

【0028】
実施例4
【表4】

【0029】
実施例1〜4を包含する本発明のポリエチレンオキシド/ポリビニルアルコール混合物の実施形態は、ポリエチレンオキシドと溶媒(例えば、水)を含む第一混合物、およびポリビニルアルコールと溶媒(例えば、水)を含む第二混合物を調製することにより、作製することができる。また溶媒の混合物も、本明細書において使用されてもよいことが認識されるであろう。両混合物は、ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの両方が十分に水和するまで、別個に攪拌される。第一混合物と第二混合物は組み合わされ、歯白色化剤(例えば、過酸化水素)および所望により可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール600)が添加される。この歯白色化組成物は、裏層又は適した乾燥表面上にキャスティングされてもよい。その後、歯白色化組成物は、所望の量の溶媒が除去されるまで、乾燥される。歯白色化組成物は、凍結乾燥でき、あるいは放射加熱又は対流加温を組み込んだトンネル乾燥機が使用され得る。一実施形態では、歯白色化組成物は、室温で約0.085m/分〜約0.3m/分の流量の窒素空気混合物を使用して、乾燥ボックス内で乾燥可能である。乾燥時間は、約15分〜約2時間、あるいは約20分〜約60分であってもよい。
【0030】
カーボポール(Carbopol)の商標名で販売されているカルボキシメチレンポリマーのような架橋ポリアクリル酸、およびポリビニルアルコールポリマーを含む歯白色化組成物を対象とする本発明の別の実施形態が、ここに記載されるであろう。歯白色化組成物は、約0.1重量%超過、約0.5重量%超過、約1重量%超過、約2重量%超過、約5重量%超過、並びに/若しくは約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、約40重量%未満、約50重量%未満の架橋ポリアクリル酸を含んでもよい。加工に先立ち、歯白色化組成物は、約0.01重量%超過、約0.02重量%超過、約0.05重量%超過、約0.1重量%超過、約1重量%超過、約1.5重量%超過、約2重量%超過、約5重量%超過、並びに/若しくは約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満の架橋ポリアクリル酸を含んでもよい。適した架橋ポリアクリル酸としては、カーボポール(Carbopol)956、カーボポール940、カーボポール910、およびカーボポール970が挙げられる。歯白色化組成物は、約0.5重量%超過、又は約2重量%超過、又は約5重量%超過、並びに/若しくは約90重量%未満、又は約50重量%未満、又は約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約10重量%未満のポリビニルアルコールを含んでもよい。ポリビニルアルコールと架橋ポリアクリル酸の比は、約0.5:50〜約90:0.01、又は約1:1〜約10:1、又は約1:6〜約2:1であってもよい。ポリビニルアルコールは、様々な程度に加水分解されていてもよく、所望により可塑剤を包含してもよく、両者は上述の通りである。また歯白色化組成物は、所望により水を含有してもよい。歯白色化組成物は、歯白色化組成物の約0.5重量%超過、又は約3重量%超過、又は約6重量%超過、並びに/若しくは約40重量%未満、又は約20重量%未満、又は約10重量%未満の過酸化水素を包含してもよい。
【0031】
架橋ポリアクリル酸とポリビニルアルコールを含む歯白色化組成物の非限定例を以下に説明する。これらの組成物は、追加成分を包含してもよく、又は他の成分は列記されたもので代用されていてもよいことが認識されるであろう。各実施例は、水分含有量を低減する加工前後の歯白色化組成物処方を説明する。
【0032】
実施例1
【表5】

【0033】
実施例2
【表6】

【0034】
実施例3
【表7】

【0035】
実施例4
【表8】

【0036】
別の実施形態では、本発明の歯白色化組成物は、PVPと、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、架橋ポリアクリル酸(例えば、カーボポール(Carbopol))、直鎖状ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、メチルメタクリレート、キサンタンガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、寒天、カラギーナン、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース)、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドコポリマー(例えば、ポロキサマー)、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー、ポリビニルエステル−メチルコポリマー、ポリオキシエチレン(polyoxyethelene)−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、およびこれらの混合物の1つ以上を含む第二ポリマーとを含む。第一ポリマーの濃度は、歯白色化組成物の約50重量%未満、約40重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、又は約10重量%未満であってもよく、一方で第二ポリマーの濃度は、第一ポリマーの濃度よりも高くてもよく、歯白色化組成物の約0重量%〜約90重量%であってもよい。別の実施形態では、第二ポリマーの濃度は、歯白色化組成物の約50重量%超過、又は約60重量%超過、又は約70重量%超過、又は約80重量%超過であってもよい。この歯白色化組成物は、さらに本明細書に記載されたあらゆる実施形態のあらゆる態様を包含してもよい。例えば、この歯白色化組成物は、さらに水および/又は可塑剤を包含できる。可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、およびキシリトールなどの多価アルコール、並びにグリセロールトリアセテートなどのグリセロールエステルが挙げられる。グリセリン並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコール(分子量0.00033〜0.0009ag(200〜600ダルトン)の範囲のユニオンカーバイト社のカーボワックス(Carbowaxes)シリーズとして、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)から入手可能なものなど)が使用できる。他の可塑剤としては、セルロースエステル、セバケートエステル、ヒマシ油、リン酸トリクレシル、フタル酸塩、アジピン酸塩、クエン酸エチル、エタノールアミン、およびオリゴ糖が挙げられる。水および/又は可塑剤の濃度は、歯白色化組成物の約40重量%超過、又は約45重量%超過、又は約50重量%超過、又は約55重量%超過、並びに約80重量%未満、又は約70重量%未満、又は約60重量%未満であってもよい。
【0037】
本発明の上述の実施形態の全ては、例えば厚さ10ナノメートル(nm)〜500ミクロン(μm)の薄い保護コーティング層、又は材料のストリップから形成された裏層のような他の層とさらに組み合わされることもできる。裏層は、例えば米国公開特許出願2003/0228264に記載されているような、水不溶性又は水溶性又は侵食性(erodible)であってもよい。コーティング材は、フィルムの柔軟性を妨害せず、白色化ストリップを複数の歯の配列に一致させるのに十分な程薄い層で塗布されてもよい。あるコーティング材は、高分子量(即ち、1.66ag(1,000,000ダルトン)よりも大きい分子量)の1つ又はその組み合わせであり、エチルセルロース、プロピルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロース、t−ブチルセルロース、酢酸セルロース、およびポリビニルアルコールの誘導体(例えば、ポリビニルアセテートおよびセラックなど)が挙げられる。
【0038】
本発明の歯白色化製品は、ポーチ内に個々のストラップとして包装され得、又は、フィルムのロールが、テープ様ディスペンサー内に供給され得る、ここで、個々のストリップは、口腔内で使用するためにロールから切断され得るか、あるいはフィルムは、所定の長さのストリップをフィルムのロールから分離させることを許容する穿孔又は他の脆弱性機構を備え得る。所望により、本発明の歯白色化製品は、更に剥離ライナーを包含できる。剥離ライナーは、フィルム又はウェブがそれ自体に対して呈するよりも少ない親和性をフィルムおよび/又はウェブに対して呈するあらゆる材料から形成することができる。剥離ライナーは、ポリマーフィルム、紙、ホイル、織布、不織布、および当該技術分野で既知の他の適した材料から形成することができる。所望により、剥離ライナーは、例えばワックス、シリコーン、テフロン(登録商標)、フルオロポリマーなどのコーティングを包含できる。本発明のフィルムは、剥離ライナー上に直接形成することができる。剥離ライナーは、フィルムをその上に形成する前又は形成した後のいずれかにおいて、所望の大きさに切断することができる。また本発明の歯白色化製品は、米国特許第5,098,303号に記載されたもののようなデンタルトレイ用ライナーとしても提供され、ここでストリップは、デンタルトレイのトラフに組み込まれる。
【0039】
本発明の歯白色化製品を使用するにおいて、フィルムが、口腔内の唾液により水和される、又はストリップを水に浸漬することによって事前に濡らされて、歯の表面に適用される時、適当な様式で歯に適用されるであろう。この点に関して、歯白色化製品は、歯の列(上列又は下列)を被覆するのに適する幅寸法を有するように形成される。したがって、歯白色化製品を、歯の上列又は歯の下列に対して、別々に又は同時に適用してもよい。歯白色化製品の長さ寸法は、所望の被覆量により決定される。この点に関して、白色化することが望ましい歯の数が、製品の寸法を決定するであろう。例えば、他人から最も見え易い前歯のみを白色化することが所望される可能性がある。従って、この場合の歯白色化製品の長さは、全ての歯を白色化することが所望される場合と比べて、短くすることができる。製品を歯に適用する期間は、歯白色化剤の種類および濃度並びに外因性又は内因性の汚れの種類および強度に依存するであろう。
【0040】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の原理の最良の実例およびその実際の適用を提供し、その結果、当業者が本発明を様々な実施形態で、意図される特定の用途に適するように様々な修正を伴い、利用できるようにするために、選択され記載された。このような全ての修正および変形は、適正に、法律的に、公正に権利を与えられる幅に従って解釈される時、添付の請求項により決定されるような本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に従って作製された歯白色化製品の側部断面図であり、歯白色化剤のコーティングがフィルムに塗布されている。
【図2】本発明の歯白色化製品の別の実施形態の斜視図であり、歯白色化製品は、ウェブと、ウェブの空隙を完全に橋架けするコーティングとを含み、その下の機構を明らかにするために、コーティングの一部が取り除かれている。
【図3】図2の歯白色化製品の側部断面図であり、空隙は部分的に充填されたものとして示されている。
【図4】図2の歯白色化製品の側部断面図であり、空隙は完全に充填されたものとして示されている。
【図5】本発明の歯白色化製品の別の実施形態の斜視図であり、歯白色化製品は、ウェブと、ウェブの空隙を部分的に橋架けするコーティングとを含む。
【図6】本発明の歯白色化製品の別の実施形態の斜視図であり、歯白色化製品は、ウェブと、ウェブの空隙を橋架けしないコーティングとを含む。
【図7】孔明きフィルムを含む本発明の歯白色化製品の別の実施形態の側部断面図。
【図8】第一層と第二層を含む本発明の歯白色化製品の別の実施形態の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯白色化製品であって、
裏層、
歯白色化組成物であって、第一ポリマー、第二ポリマー、水および歯白色化剤を含む組成物を含んでなり、前記第一ポリマーが水溶性ポリマーであり、前記第二ポリマーがポリビニルアルコールであり、かつ前記第一水溶性ポリマーと前記ポリビニルアルコールポリマーとの比が約10:90〜約90:0.5である、製品。
【請求項2】
前記第一ポリマーの濃度が、前記歯白色化組成物の約10重量%〜約90重量%である、請求項1に記載の歯白色化製品。
【請求項3】
前記第二ポリマーの濃度が、前記歯白色化組成物の約0.5重量%〜約50重量%である、請求項1または2に記載の歯の白色化製品。
【請求項4】
前記水の濃度が、前記歯白色化組成物の約2重量%〜約90重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯白色化製品。
【請求項5】
前記歯白色化組成物が、前記歯白色化組成物の約1重量%〜約80重量%の濃度で可塑剤をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯の白色化製品。
【請求項6】
前記可塑剤がポリエチレングリコールである、請求項5の歯白色化製品。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコールが、約70%〜約91%加水分解されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯白色化製品。
【請求項8】
前記歯白色化剤が過酸化水素である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯白色化製品。
【請求項9】
前記第一ポリマーが、約300,000〜約900,000の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯白色化製品。
【請求項10】
前記第一ポリマーが架橋ポリアクリル酸である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯白色化製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−111678(P2010−111678A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287327(P2009−287327)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【分割の表示】特願2007−507298(P2007−507298)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】