歯科用ドリル用着脱式ストッパ
【課題】その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの軸部に外嵌されて穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパを提供する。
【解決手段】歯科用ドリル用着脱式ストッパを、定常状態でその内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さくその外周面から内周面に至り且つその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成しスリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体1と、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成しストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具とで構成する。
【解決手段】歯科用ドリル用着脱式ストッパを、定常状態でその内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さくその外周面から内周面に至り且つその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成しスリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体1と、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成しストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具とで構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラント治療におけるインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの軸部に、歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌されて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、欠如歯部の顎骨に形成したインプラントフィクスチャー埋入用孔内に歯科用補綴物の維持安定装置となるインプラントフィクスチャーを埋入して天然歯における歯根の機能を代行させ、このインプラントフィクスチャーの口腔内側に歯科用補綴物の固定装置を連結固定して歯科用補綴物維持装置とし、この歯科用補綴物維持装置に歯科用補綴物を固定する歯科用インプラント治療技術が開発され実施されている。
【0003】
このようなインプラント治療において、欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する際には、通常その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成された歯科用ドリルを装着されたハンドピース等の歯科用駆動装置を用いて、欠如歯部の顎骨に歯科用ドリルの刃部で穿孔することにより行われる。
【0004】
しかしながら、このような作業によって形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さが所望の深さでなかった場合には、インプラントフィクスチャー埋入用孔内に埋入されたインプラントフィクスチャーに歯科用補綴物を固定することができなかったり、インプラントフィクスチャー埋入用孔内にインプラントフィクスチャーを安定して埋入することができなかったりするという事態が発生してしまうばかりでなく、最悪の場合には顎骨を損傷してしまうおそれがあるので、このようなインプラント治療では、欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を正確な位置に且つ正確な深さで形成することが最も重要なのである。
【0005】
そこで、患者の顎骨の断層写真をコンピュータに取り込み、事前にフィクスチャーの埋入方向を決めてフィクスチャーを含む補綴装置の完成状態を正確にシミュレートしたデータに基づきフィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを作製すると共に、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制するためのフランジがその軸部と一体に形成されているフランジ付歯科用ドリルを用いた歯科インプラントを配置するための方法(例えば、特許文献1参照。)が開発された。
【0006】
このようなテンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法は、インプラントフィクスチャー埋入用孔の位置や方向がテンプレートで規定されると共に、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さはフランジ付歯科用ドリルのフランジで位置規制されるため、インプラントフィクスチャー埋入用孔の位置がズレてしまったり、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さが所望の深さでなかったりする事態を防止することができる。
【0007】
しかしながら、前記フランジ付歯科用ドリルは、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制するためのフランジがその軸部と一体に形成されている構成となっているため、前記テンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法を採用した場合には、その刃部の形状が全く同一形状であるフランジ付歯科用ドリルであっても、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さに合わせてそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった数種類のフランジ付歯科用ドリルも用意しなければならないという欠点があるばかりでなく、通常はそれぞれ異なった形状の刃部を有する複数種類の歯科用ドリルを用意しなければならないから、これらの複数種類の刃部毎にそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった膨大な種類のフランジ付歯科用ドリルを用意しなければならないという欠点があるので、その経済的負担が非常に大きいという欠点もあった。
【0008】
更には、前記テンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法を採用した場合には、従来より多用されている一般的なフランジのない歯科用ドリルを用いることができないため、歯科医は前記の如く複数種類の刃部毎にそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった膨大な種類のフランジ付歯科用ドリルを新たに用意しなければならないという欠点があるばかりでなく、従来より使用している多数の一般的なフランジのない歯科用ドリルが無駄になってしまうという欠点もあった。
【0009】
【特許文献1】特表2005−518834号公報(請求項1,請求項11等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消し、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラント治療におけるインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの軸部に、歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、特に歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌した状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできる歯科用ドリル用着脱式ストッパを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、定常状態でその内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部がその軸方向全長に形成されてスリット部が開口された円筒状を成し、スリット部の軸方向の中央部に拡径具挿入部が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体と、このストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体の拡径具挿入部に挿入されるとストッパ本体の内径を歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具とで歯科用ドリル用着脱式ストッパを構成すれば、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿入すると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させ、一方拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部がら抜き取ると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの軸部に外嵌されて位置固定された状態へと移行させることができるため、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜するという簡単な操作だけで、ストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌した状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできることを究明して本発明を完成したのである。
【0012】
即ち本発明は、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの該軸部に、該歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、
定常状態でその内径が前記歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部がその軸方向全長に形成されて該スリット部が開口された円筒状を成し、該スリット部の軸方向の中央部に拡径具挿入部が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体と、
該ストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜自在な形状を成し、該ストッパ本体の拡径具挿入部に挿入されると該ストッパ本体の内径を前記歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具と、
から構成されていることを特徴とする歯科用ドリル用着脱式ストッパである。
【0013】
そして、このような歯科用ドリル用着脱式ストッパにおいて、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位を有すると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の縮小部位の内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、ストッパ本体の拡径具挿入部が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体の内径を確実に拡径することができて好ましく、そしてこれらの態様において、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじが形成されていると共に、拡径具に、ストッパ本体の拡径具挿入部の雌ねじに螺入される雄ねじが形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を螺入するだけで容易にストッパ本体の内径を拡径することができて好ましいことも究明したのである。
【0014】
また、ストッパ本体の中心軸を挟んでスリット部と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位が形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を挿入した際にストッパ本体の内径が拡径し易くなるので好ましく、更にストッパ本体が、チタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので好ましいとも究明したのである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパは、前記した構成より成るものであるから、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿入すると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させることができ、一方拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部から抜き取ると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの軸部に外嵌されて位置固定された状態へと移行させることができるため、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜するという簡単な操作だけで、ストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌して位置固定された状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできるばかりでなく、従来より存在する一般的なフランジのない歯科用ドリルであっても、その軸部に先端側又は後端側から外嵌して位置固定することにより、従来のフランジ付歯科用ドリルと同様に、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制することができる歯科用ドリルとして流用することができるので、従来より使用している多数の一般的なフランジのない歯科用ドリルを無駄にすることがないので、経済的負担を大幅に軽減させることができるのである。
【0016】
そして、歯科用ドリルの軸部に外嵌する際にその軸方向の位置を変えて固定するだけで、所望の深さを有するインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設することができるから、従来のフランジ付歯科用ドリルの如く穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さに合わせてそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった複数種類のフランジ付歯科用ドリルも用意する必要が一切ないのである。
【0017】
更には、本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパでは、それぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった複数種類のもの用意したとしても結果的には段階的なインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さにしか対応できない従来のフランジ付歯科用ドリルとは全く異なり、歯科用ドリルの軸部に外嵌する際にその軸方向の位置を自由に変えて固定することができるので、1つの歯科用ドリルであっても、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを連続的に自由に対応することができる。
【0018】
そして、このような歯科用ドリル用着脱式ストッパにおいて、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位を有すると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の縮小部位の内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、ストッパ本体の拡径具挿入部が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体の内径を確実に拡径することができて好ましく、そしてこれらの態様において、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじが形成されていると共に、拡径具に、ストッパ本体の拡径具挿入部の雌ねじに螺入される雄ねじが形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を螺入するだけで容易にストッパ本体の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0019】
また、ストッパ本体の中心軸を挟んでスリット部と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位が形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を挿入した際にストッパ本体の内径が拡径し易くなるので好ましいばかりでなく、ストッパ本体の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましく、更にはその拡径具挿入部が上方に向いた状態で且つその拡径補助部位が机上等の平坦な面上に当接させた状態でストッパ本体を安定して机上等の平坦な面上に載置することができるから、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜する際にこのように机上等の平坦な面上に載置した状態にすれば、容易に挿抜する操作を行えるので好ましく、またストッパ本体が、チタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので、フィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを使用せずにインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する場合において、ストッパ本体が歯肉等の生体に直接接触した際に、生体に与える影響を緩和させることができて好ましいばかりでなく、その耐久性も向上させることができて好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面により本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパについて詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の1例を示す斜視説明図、図2は図1の正面説明図、図3は図1の背面説明図、図4は図1の平面説明図、図5は図2のA−A線断面説明図、図6は図5に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の1例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図、図7は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の他の例を示す正面説明図、図8は図7の平面説明図、図9は図7のB−B線断面説明図、図10は図9に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の他の例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図、図11は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の更に他の例を歯科用ドリルの軸部に外嵌し位置固定させた状態を示す正面説明図である。
【0021】
図面中、1は定常状態でその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部1aがその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成し、スリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体であり、歯科用ドリルDの軸部D3に歯科用ドリルDの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設するインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制する役目を果たす。
【0022】
このストッパ本体1は、図1,図2及び図4〜図11に示す如くその外周面から内周面に至るスリット部1aがその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成していると共に、このスリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている形状を成しており、そして図11に示す如くこのストッパ本体1を歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌させて位置固定する際には、図5及び図9に示す如く定常状態ではその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さいため、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入することにより、ストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめて、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通可能な拡径状態とし、拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置まで移行させることができるのである。
【0023】
そして、このストッパ本体1は、弾性変形可能な金属材料から成るものであるので、後述する拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置まで移行させた後に、拡径具2をストッパ本体1の拡径具挿入部1bから抜き取ると、その弾性変形力によってその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態へと戻ろうとするので、このようなストッパ本体1の弾性変形力により歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌されて固定された状態を維持することができるのであり、一方歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌されて固定された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDから取り外す際には、再び図6及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入することにより、ストッパ本体1の内径を前記歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめて、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通可能な拡径状態とした後に、拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から抜き取ればよいのである。
【0024】
このストッパ本体1には、図1,図2及び図4〜図11に示す如くその外周面から内周面に至り且つその軸方向全長に形成されたスリット部1aを有しており、このような構成のスリット部1aが存在することにより、ストッパ本体1は、図5及び図9に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態と、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きい拡径状態、即ちスリット部1aの幅が定常状態よりも広がって変形した状態とに相互に移行することができるのである。
【0025】
このストッパ本体1のスリット部1aの軸方向の中央部には、図1,図2,図5〜図7及び図9〜図11に示す如く拡径具挿入部1bが穿設されており、この拡径具挿入部1bは、後述する拡径具2が挿入されることによりストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめることができるように、拡径具2の形状に対応した形状を成しているものであれば何でもよく、例えば図1,図2及び図11に示す如くその外周面側から見た際にその断面が円形状を成していたり、図7に示す如くその外周面側から見た際にその断面が矩形状を成していたりしてもよい。
【0026】
そして、このストッパ本体1の拡径具挿入部1bとしては、図1,図2,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有すると共に、後述する拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、図7,図9及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bが外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、後述する拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましい。
【0027】
また、これらの態様のストッパ本体1の拡径具挿入部1b及び後述する拡径具2において、図1,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ1bbが形成されていると共に、拡径具2にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに螺入される雄ねじ2aが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入するだけで容易にストッパ本体1の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具2をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体1を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0028】
そして、このストッパ本体1の中心軸を挟んでスリット部1aと反対側の部位の外周面側に、図1及び図3〜図6に示す如く軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位1cが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入した際にストッパ本体1の内径が拡径し易くなるので好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましく、更にはその拡径具挿入部1bが上方に向いた状態で且つその拡径補助部位1cが机上等の平坦な面上に当接させた状態でストッパ本体1を安定して机上等の平坦な面上に載置することができるから、拡径具2をストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜する際にこのように机上等の平坦な面上に載置した状態にすれば、容易に挿抜する操作を行えるので好ましい。
【0029】
このストッパ本体1の材質としては、弾性変形可能な金属材料から成るもの、即ち一般的なステンレスやアルミニウム等の金属材料から成るものであれば特に限定されないが、ストッパ本体1がチタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので、フィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを使用せずにインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する場合において、ストッパ本体1が歯肉等の生体に直接接触した際に、生体に与える影響を緩和させることができて好ましいばかりでなく、その耐久性も向上させることができて好ましい。
【0030】
2はストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具であり、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されることにより、ストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させると共に、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bから抜き取られることにより、ストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体1を歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌されて位置固定された状態へと移行させる役目を果たす。
【0031】
この拡径具2としては、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめるように、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの形状に対応した形状を成しているものであれば何でもよく、例えば図1,図2及び図11に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその外周面側から見た際にその断面が円形状を成している場合には、図示しないが拡径具2としてはその横断面が同じく円形状を成すように形成されているものであればよく、また図7に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその外周面側から見た際にその断面が矩形状を成している場合には、図示しないが拡径具2としてはその横断面が同じく矩形状を成すように形成されているものであればよい。
【0032】
また、この拡径具2としては、例えば図1,図2,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有するものである場合には、拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、図7,図9及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bが外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されている場合には、拡径具2の先端側が、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましい。
【0033】
即ち、図1,図2,図5及び図6に示す如き態様の場合には、その先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されている拡径具2の先端側を、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有するストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、外周側から内周側へ向けて挿入すると、図6に示す如く拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baと当接しながら徐々にスリット1aを押し広げて行くので、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径するために要する力を軽減させることができて好ましい。
【0034】
一方、図7,図9及び図10に示す如き態様の場合には、その先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されている拡径具2の先端側を、その外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されているストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、外周側から内周側へ向けて挿入すると、図10に示す如く拡径具2の先端側の部位(図10において先細り状を成す部位)がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの外周側と当接しながら徐々にスリット1aを押し広げて行くので、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径するために要する力を軽減させることができて好ましい。
【0035】
また、これらの態様のストッパ本体1の拡径具挿入部1b及び拡径具2において、図1,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ1bbが形成されていると共に、拡径具2にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに螺入される雄ねじ2aが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入するだけで容易にストッパ本体1の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具2をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体1を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0036】
更に、図示しないが拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いてもよく、このような態様では、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入する操作を行うと同時にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの内面に雌ねじ1bbが形成されるので、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbを予め形成する手間が省けて好ましい。
【0037】
次に、このような構成の本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパの使用方法について説明する。
初めに、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるように、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を挿入する操作を行う。
【0038】
この操作は、具体的には例えば図7〜図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2に雄ねじ2aやセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されていない態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2の先端側を挿入することにより行われ、また図1〜図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていると共に拡径具2に雄ねじ2aが形成されている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2の雄ねじ2aを螺入させることにより行われ、更に図示しないがストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2のセルフタッピング機能を有するねじ部で雄ねじを形成しながら螺入させることにより行われる。
【0039】
この操作により、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるので、ストッパ本体1は歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行されるのである。尚、この操作は、本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパを歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌させる直前に行ってもよく、また予め行っておいてもよい。
【0040】
次に、前記操作により拡径具2が挿入されてその内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた状態のストッパ本体1を、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめる操作を行う。
【0041】
この際、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となっているので、ストッパ本体1を簡単に歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめることができる。
【0042】
最後に、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめられたストッパ本体1から拡径具2を抜き取ることにより、図11に示す如く歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置にストッパ本体1を外嵌せしめて位置固定させる操作を行う。
【0043】
この操作は、具体的には例えば図7〜図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2に雄ねじ2aやセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されていない態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入された拡径具2を抜き取ることにより行われ、また図1〜図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていると共に拡径具2に雄ねじ2aが形成されている態様の場合や、図示しないがストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入された拡径具2をその軸芯を中心として螺入する方向と反対の方向に回転させることにより行われる。
【0044】
この際、ストッパ本体1から拡径具2を抜き取ると、その弾性変形力によってその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態へと戻ろうとするので、このようなストッパ本体1の弾性変形力により歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌した状態を維持することができる。
【0045】
かくして、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパを外嵌させて位置固定させた後に、インプラント治療における欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する手術を行えば、インプラントフィクスチャー埋入用孔を正確な深さで形成することができる。
【0046】
そして、インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する手術を行った後に、ストッパ本体1を歯科用ドリルDから取り外したい場合や、歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌されているストッパ本体1の位置を変更したい場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を挿入するだけで、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるので、簡単にストッパ本体1の取り外しや位置の変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の1例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の正面説明図である。
【図3】図1の背面説明図である。
【図4】図1の平面説明図である。
【図5】図2のA−A線断面説明図である。
【図6】図5に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の1例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の他の例を示す正面説明図である。
【図8】図7の平面説明図である。
【図9】図7のB−B線断面説明図である。
【図10】図9に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の他の例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図である。
【図11】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の更に他の例を歯科用ドリルの軸部に外嵌し位置固定させた状態を示す正面説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ストッパ本体
1a スリット部
1b 拡径具挿入部
1ba 縮小部位
1bb 雌ねじ
1c 拡径補助部位
2 拡径具
2a 雄ねじ
D 歯科用ドリル
D1 抜け止め用装着部
D2 縮径部
D3 軸部
D4 刃部
【技術分野】
【0001】
本発明は、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラント治療におけるインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの軸部に、歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌されて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、欠如歯部の顎骨に形成したインプラントフィクスチャー埋入用孔内に歯科用補綴物の維持安定装置となるインプラントフィクスチャーを埋入して天然歯における歯根の機能を代行させ、このインプラントフィクスチャーの口腔内側に歯科用補綴物の固定装置を連結固定して歯科用補綴物維持装置とし、この歯科用補綴物維持装置に歯科用補綴物を固定する歯科用インプラント治療技術が開発され実施されている。
【0003】
このようなインプラント治療において、欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する際には、通常その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成された歯科用ドリルを装着されたハンドピース等の歯科用駆動装置を用いて、欠如歯部の顎骨に歯科用ドリルの刃部で穿孔することにより行われる。
【0004】
しかしながら、このような作業によって形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さが所望の深さでなかった場合には、インプラントフィクスチャー埋入用孔内に埋入されたインプラントフィクスチャーに歯科用補綴物を固定することができなかったり、インプラントフィクスチャー埋入用孔内にインプラントフィクスチャーを安定して埋入することができなかったりするという事態が発生してしまうばかりでなく、最悪の場合には顎骨を損傷してしまうおそれがあるので、このようなインプラント治療では、欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を正確な位置に且つ正確な深さで形成することが最も重要なのである。
【0005】
そこで、患者の顎骨の断層写真をコンピュータに取り込み、事前にフィクスチャーの埋入方向を決めてフィクスチャーを含む補綴装置の完成状態を正確にシミュレートしたデータに基づきフィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを作製すると共に、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制するためのフランジがその軸部と一体に形成されているフランジ付歯科用ドリルを用いた歯科インプラントを配置するための方法(例えば、特許文献1参照。)が開発された。
【0006】
このようなテンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法は、インプラントフィクスチャー埋入用孔の位置や方向がテンプレートで規定されると共に、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さはフランジ付歯科用ドリルのフランジで位置規制されるため、インプラントフィクスチャー埋入用孔の位置がズレてしまったり、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さが所望の深さでなかったりする事態を防止することができる。
【0007】
しかしながら、前記フランジ付歯科用ドリルは、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制するためのフランジがその軸部と一体に形成されている構成となっているため、前記テンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法を採用した場合には、その刃部の形状が全く同一形状であるフランジ付歯科用ドリルであっても、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さに合わせてそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった数種類のフランジ付歯科用ドリルも用意しなければならないという欠点があるばかりでなく、通常はそれぞれ異なった形状の刃部を有する複数種類の歯科用ドリルを用意しなければならないから、これらの複数種類の刃部毎にそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった膨大な種類のフランジ付歯科用ドリルを用意しなければならないという欠点があるので、その経済的負担が非常に大きいという欠点もあった。
【0008】
更には、前記テンプレート及びフランジ付歯科用ドリルを用いた方法を採用した場合には、従来より多用されている一般的なフランジのない歯科用ドリルを用いることができないため、歯科医は前記の如く複数種類の刃部毎にそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった膨大な種類のフランジ付歯科用ドリルを新たに用意しなければならないという欠点があるばかりでなく、従来より使用している多数の一般的なフランジのない歯科用ドリルが無駄になってしまうという欠点もあった。
【0009】
【特許文献1】特表2005−518834号公報(請求項1,請求項11等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消し、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラント治療におけるインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの軸部に、歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、特に歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌した状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできる歯科用ドリル用着脱式ストッパを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、定常状態でその内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部がその軸方向全長に形成されてスリット部が開口された円筒状を成し、スリット部の軸方向の中央部に拡径具挿入部が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体と、このストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体の拡径具挿入部に挿入されるとストッパ本体の内径を歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具とで歯科用ドリル用着脱式ストッパを構成すれば、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿入すると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させ、一方拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部がら抜き取ると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの軸部に外嵌されて位置固定された状態へと移行させることができるため、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜するという簡単な操作だけで、ストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌した状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできることを究明して本発明を完成したのである。
【0012】
即ち本発明は、その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部を形成する縮径部を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部の先端側に刃部が形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリルの該軸部に、該歯科用ドリルの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、
定常状態でその内径が前記歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部がその軸方向全長に形成されて該スリット部が開口された円筒状を成し、該スリット部の軸方向の中央部に拡径具挿入部が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体と、
該ストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜自在な形状を成し、該ストッパ本体の拡径具挿入部に挿入されると該ストッパ本体の内径を前記歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具と、
から構成されていることを特徴とする歯科用ドリル用着脱式ストッパである。
【0013】
そして、このような歯科用ドリル用着脱式ストッパにおいて、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位を有すると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の縮小部位の内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、ストッパ本体の拡径具挿入部が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体の内径を確実に拡径することができて好ましく、そしてこれらの態様において、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじが形成されていると共に、拡径具に、ストッパ本体の拡径具挿入部の雌ねじに螺入される雄ねじが形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を螺入するだけで容易にストッパ本体の内径を拡径することができて好ましいことも究明したのである。
【0014】
また、ストッパ本体の中心軸を挟んでスリット部と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位が形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を挿入した際にストッパ本体の内径が拡径し易くなるので好ましく、更にストッパ本体が、チタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので好ましいとも究明したのである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパは、前記した構成より成るものであるから、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿入すると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させることができ、一方拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部から抜き取ると、ストッパ本体の内径が歯科用ドリルの軸部の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体を歯科用ドリルの軸部に外嵌されて位置固定された状態へと移行させることができるため、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜するという簡単な操作だけで、ストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、歯科用ドリルの軸部に確実に外嵌して位置固定された状態を維持することができると共にその脱着を容易に行うことできるばかりでなく、従来より存在する一般的なフランジのない歯科用ドリルであっても、その軸部に先端側又は後端側から外嵌して位置固定することにより、従来のフランジ付歯科用ドリルと同様に、インプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制することができる歯科用ドリルとして流用することができるので、従来より使用している多数の一般的なフランジのない歯科用ドリルを無駄にすることがないので、経済的負担を大幅に軽減させることができるのである。
【0016】
そして、歯科用ドリルの軸部に外嵌する際にその軸方向の位置を変えて固定するだけで、所望の深さを有するインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設することができるから、従来のフランジ付歯科用ドリルの如く穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さに合わせてそれぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった複数種類のフランジ付歯科用ドリルも用意する必要が一切ないのである。
【0017】
更には、本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパでは、それぞれフランジの軸方向の位置のみが異なった複数種類のもの用意したとしても結果的には段階的なインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さにしか対応できない従来のフランジ付歯科用ドリルとは全く異なり、歯科用ドリルの軸部に外嵌する際にその軸方向の位置を自由に変えて固定することができるので、1つの歯科用ドリルであっても、穿設されるインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを連続的に自由に対応することができる。
【0018】
そして、このような歯科用ドリル用着脱式ストッパにおいて、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位を有すると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の縮小部位の内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、ストッパ本体の拡径具挿入部が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具の先端側が、ストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体の拡径具挿入部の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体の内径を確実に拡径することができて好ましく、そしてこれらの態様において、ストッパ本体の拡径具挿入部が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじが形成されていると共に、拡径具に、ストッパ本体の拡径具挿入部の雌ねじに螺入される雄ねじが形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を螺入するだけで容易にストッパ本体の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0019】
また、ストッパ本体の中心軸を挟んでスリット部と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位が形成されていれば、ストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具を挿入した際にストッパ本体の内径が拡径し易くなるので好ましいばかりでなく、ストッパ本体の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましく、更にはその拡径具挿入部が上方に向いた状態で且つその拡径補助部位が机上等の平坦な面上に当接させた状態でストッパ本体を安定して机上等の平坦な面上に載置することができるから、拡径具をストッパ本体の拡径具挿入部に挿抜する際にこのように机上等の平坦な面上に載置した状態にすれば、容易に挿抜する操作を行えるので好ましく、またストッパ本体が、チタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので、フィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを使用せずにインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する場合において、ストッパ本体が歯肉等の生体に直接接触した際に、生体に与える影響を緩和させることができて好ましいばかりでなく、その耐久性も向上させることができて好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面により本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパについて詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の1例を示す斜視説明図、図2は図1の正面説明図、図3は図1の背面説明図、図4は図1の平面説明図、図5は図2のA−A線断面説明図、図6は図5に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の1例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図、図7は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の他の例を示す正面説明図、図8は図7の平面説明図、図9は図7のB−B線断面説明図、図10は図9に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の他の例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図、図11は本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の更に他の例を歯科用ドリルの軸部に外嵌し位置固定させた状態を示す正面説明図である。
【0021】
図面中、1は定常状態でその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部1aがその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成し、スリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体であり、歯科用ドリルDの軸部D3に歯科用ドリルDの先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設するインプラントフィクスチャー埋入用孔の深さを規制する役目を果たす。
【0022】
このストッパ本体1は、図1,図2及び図4〜図11に示す如くその外周面から内周面に至るスリット部1aがその軸方向全長に形成されてスリット部1aが開口された円筒状を成していると共に、このスリット部1aの軸方向の中央部に拡径具挿入部1bが穿設されている形状を成しており、そして図11に示す如くこのストッパ本体1を歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌させて位置固定する際には、図5及び図9に示す如く定常状態ではその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さいため、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入することにより、ストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめて、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通可能な拡径状態とし、拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置まで移行させることができるのである。
【0023】
そして、このストッパ本体1は、弾性変形可能な金属材料から成るものであるので、後述する拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置まで移行させた後に、拡径具2をストッパ本体1の拡径具挿入部1bから抜き取ると、その弾性変形力によってその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態へと戻ろうとするので、このようなストッパ本体1の弾性変形力により歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌されて固定された状態を維持することができるのであり、一方歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌されて固定された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDから取り外す際には、再び図6及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入することにより、ストッパ本体1の内径を前記歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめて、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通可能な拡径状態とした後に、拡径具2が挿入された状態のストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から抜き取ればよいのである。
【0024】
このストッパ本体1には、図1,図2及び図4〜図11に示す如くその外周面から内周面に至り且つその軸方向全長に形成されたスリット部1aを有しており、このような構成のスリット部1aが存在することにより、ストッパ本体1は、図5及び図9に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態と、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きい拡径状態、即ちスリット部1aの幅が定常状態よりも広がって変形した状態とに相互に移行することができるのである。
【0025】
このストッパ本体1のスリット部1aの軸方向の中央部には、図1,図2,図5〜図7及び図9〜図11に示す如く拡径具挿入部1bが穿設されており、この拡径具挿入部1bは、後述する拡径具2が挿入されることによりストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめることができるように、拡径具2の形状に対応した形状を成しているものであれば何でもよく、例えば図1,図2及び図11に示す如くその外周面側から見た際にその断面が円形状を成していたり、図7に示す如くその外周面側から見た際にその断面が矩形状を成していたりしてもよい。
【0026】
そして、このストッパ本体1の拡径具挿入部1bとしては、図1,図2,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有すると共に、後述する拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、図7,図9及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bが外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、後述する拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましい。
【0027】
また、これらの態様のストッパ本体1の拡径具挿入部1b及び後述する拡径具2において、図1,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ1bbが形成されていると共に、拡径具2にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに螺入される雄ねじ2aが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入するだけで容易にストッパ本体1の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具2をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体1を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0028】
そして、このストッパ本体1の中心軸を挟んでスリット部1aと反対側の部位の外周面側に、図1及び図3〜図6に示す如く軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位1cが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに後述する拡径具2を挿入した際にストッパ本体1の内径が拡径し易くなるので好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましく、更にはその拡径具挿入部1bが上方に向いた状態で且つその拡径補助部位1cが机上等の平坦な面上に当接させた状態でストッパ本体1を安定して机上等の平坦な面上に載置することができるから、拡径具2をストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜する際にこのように机上等の平坦な面上に載置した状態にすれば、容易に挿抜する操作を行えるので好ましい。
【0029】
このストッパ本体1の材質としては、弾性変形可能な金属材料から成るもの、即ち一般的なステンレスやアルミニウム等の金属材料から成るものであれば特に限定されないが、ストッパ本体1がチタン合金から成るものであれば、インプラント治療において要求される生体親和性を有する素材で構成されていることになるので、フィクスチャーの埋入方向が規定された穴が形成されたテンプレートを使用せずにインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する場合において、ストッパ本体1が歯肉等の生体に直接接触した際に、生体に与える影響を緩和させることができて好ましいばかりでなく、その耐久性も向上させることができて好ましい。
【0030】
2はストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具であり、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されることにより、ストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きい拡径状態、即ちストッパ本体1を歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行させると共に、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bから抜き取られることにより、ストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態、即ちストッパ本体1を歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌されて位置固定された状態へと移行させる役目を果たす。
【0031】
この拡径具2としては、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿抜自在な形状を成し、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入されるとストッパ本体1の内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめるように、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの形状に対応した形状を成しているものであれば何でもよく、例えば図1,図2及び図11に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその外周面側から見た際にその断面が円形状を成している場合には、図示しないが拡径具2としてはその横断面が同じく円形状を成すように形成されているものであればよく、また図7に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその外周面側から見た際にその断面が矩形状を成している場合には、図示しないが拡径具2としてはその横断面が同じく矩形状を成すように形成されているものであればよい。
【0032】
また、この拡径具2としては、例えば図1,図2,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有するものである場合には、拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されていたり、図7,図9及び図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bが外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されている場合には、拡径具2の先端側が、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されていたりすれば、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましい。
【0033】
即ち、図1,図2,図5及び図6に示す如き態様の場合には、その先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baの内周側の横断面よりも僅かに大きい横断面を成すように形成されている拡径具2の先端側を、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位1baを有するストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、外周側から内周側へ向けて挿入すると、図6に示す如く拡径具2の先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの縮小部位1baと当接しながら徐々にスリット1aを押し広げて行くので、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径するために要する力を軽減させることができて好ましい。
【0034】
一方、図7,図9及び図10に示す如き態様の場合には、その先端側がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従ってストッパ本体1の拡径具挿入部1bの横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されている拡径具2の先端側を、その外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されているストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、外周側から内周側へ向けて挿入すると、図10に示す如く拡径具2の先端側の部位(図10において先細り状を成す部位)がストッパ本体1の拡径具挿入部1bの外周側と当接しながら徐々にスリット1aを押し広げて行くので、ストッパ本体1の内径を確実に拡径することができて好ましいばかりでなく、ストッパ本体1の内径を拡径するために要する力を軽減させることができて好ましい。
【0035】
また、これらの態様のストッパ本体1の拡径具挿入部1b及び拡径具2において、図1,図5及び図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bがその横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ1bbが形成されていると共に、拡径具2にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに螺入される雄ねじ2aが形成されていれば、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入するだけで容易にストッパ本体1の内径を拡径することができて好ましいばかりでなく、拡径具2をその軸芯を中心として回転させる操作によりストッパ本体1を拡径状態と定常状態とに相互に移行させることができるので、ストッパ本体1の内径を拡径させる操作の際に必要な力を軽減することができて好ましい。
【0036】
更に、図示しないが拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いてもよく、このような態様では、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を螺入する操作を行うと同時にストッパ本体1の拡径具挿入部1bの内面に雌ねじ1bbが形成されるので、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbを予め形成する手間が省けて好ましい。
【0037】
次に、このような構成の本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパの使用方法について説明する。
初めに、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるように、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を挿入する操作を行う。
【0038】
この操作は、具体的には例えば図7〜図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2に雄ねじ2aやセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されていない態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2の先端側を挿入することにより行われ、また図1〜図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていると共に拡径具2に雄ねじ2aが形成されている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bの雌ねじ1bbに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2の雄ねじ2aを螺入させることにより行われ、更に図示しないがストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに、その外周側から内周側へ向けて拡径具2のセルフタッピング機能を有するねじ部で雄ねじを形成しながら螺入させることにより行われる。
【0039】
この操作により、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるので、ストッパ本体1は歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させることができる状態へと移行されるのである。尚、この操作は、本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパを歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌させる直前に行ってもよく、また予め行っておいてもよい。
【0040】
次に、前記操作により拡径具2が挿入されてその内径を歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた状態のストッパ本体1を、歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめる操作を行う。
【0041】
この際、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となっているので、ストッパ本体1を簡単に歯科用ドリルDの先端側又は後端側から挿通させて歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめることができる。
【0042】
最後に、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に移行せしめられたストッパ本体1から拡径具2を抜き取ることにより、図11に示す如く歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置にストッパ本体1を外嵌せしめて位置固定させる操作を行う。
【0043】
この操作は、具体的には例えば図7〜図10に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2に雄ねじ2aやセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されていない態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入された拡径具2を抜き取ることにより行われ、また図1〜図6に示す如くストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていると共に拡径具2に雄ねじ2aが形成されている態様の場合や、図示しないがストッパ本体1の拡径具挿入部1bに雌ねじ1bbが形成されていないと共に拡径具2としてその先端側にセルフタッピング機能を有するねじ部が形成されたものを用いている態様の場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに挿入された拡径具2をその軸芯を中心として螺入する方向と反対の方向に回転させることにより行われる。
【0044】
この際、ストッパ本体1から拡径具2を抜き取ると、その弾性変形力によってその内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも僅かに小さい定常状態へと戻ろうとするので、このようなストッパ本体1の弾性変形力により歯科用ドリルDの軸部D3に確実に外嵌した状態を維持することができる。
【0045】
かくして、歯科用ドリルDの軸部D3の所望の位置に本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパを外嵌させて位置固定させた後に、インプラント治療における欠如歯部の顎骨にインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する手術を行えば、インプラントフィクスチャー埋入用孔を正確な深さで形成することができる。
【0046】
そして、インプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設する手術を行った後に、ストッパ本体1を歯科用ドリルDから取り外したい場合や、歯科用ドリルDの軸部D3に外嵌されているストッパ本体1の位置を変更したい場合には、ストッパ本体1の拡径具挿入部1bに拡径具2を挿入するだけで、図6及び図10に示す如くストッパ本体1の内径が歯科用ドリルDの軸部D3の外径よりも大きく拡径せしめられた拡径状態となるので、簡単にストッパ本体1の取り外しや位置の変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の1例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の正面説明図である。
【図3】図1の背面説明図である。
【図4】図1の平面説明図である。
【図5】図2のA−A線断面説明図である。
【図6】図5に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の1例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の他の例を示す正面説明図である。
【図8】図7の平面説明図である。
【図9】図7のB−B線断面説明図である。
【図10】図9に示すストッパ本体の拡径具挿入部に拡径具の他の例を挿入してストッパ本体の内径を拡径せしめた状態を示す断面説明図である。
【図11】本発明に係る歯科用ドリル用着脱式ストッパにおけるストッパ本体の更に他の例を歯科用ドリルの軸部に外嵌し位置固定させた状態を示す正面説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ストッパ本体
1a スリット部
1b 拡径具挿入部
1ba 縮小部位
1bb 雌ねじ
1c 拡径補助部位
2 拡径具
2a 雄ねじ
D 歯科用ドリル
D1 抜け止め用装着部
D2 縮径部
D3 軸部
D4 刃部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部(D1)を形成する縮径部(D2)を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部(D3)の先端側に刃部(D4)が形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリル(D)の該軸部(D3)に、該歯科用ドリル(D)の先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、
定常状態でその内径が前記歯科用ドリル(D)の軸部(D3)の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部(1a)がその軸方向全長に形成されて該スリット部(1a)が開口された円筒状を成し、該スリット部(1a)の軸方向の中央部に拡径具挿入部(1b)が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体(1)と、
該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)に挿抜自在な形状を成し、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)に挿入されると該ストッパ本体(1)の内径を前記歯科用ドリル(D)の軸部(D3)の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具(2)と、
から構成されていることを特徴とする歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項2】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位(1ba)を有すると共に、拡径具(2)の先端側が、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の縮小部位(1ba)の内周側の横断面よりも僅かに大きいの横断面を成すように形成されている請求項1に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項3】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具(2)の先端側が、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従って該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されている請求項1に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項4】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ(1bb)が形成されていると共に、拡径具(2)に、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の雌ねじ(1bb)に螺入される雄ねじ(2a)が形成されている請求項1又は2に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項5】
ストッパ本体(1)の中心軸を挟んでスリット部(1a)と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位(1c)が形成されている請求項1から4までの何れか1項に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項6】
ストッパ本体(1)が、チタン合金から成る請求項1から5までの何れか1項に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項1】
その後端に歯科用ハンドピースへの抜け止め用装着部(D1)を形成する縮径部(D2)を有するか又は有さない同一直径の円柱状の軸部(D3)の先端側に刃部(D4)が形成されたインプラントフィクスチャー埋入用孔を穿設するための歯科用ドリル(D)の該軸部(D3)に、該歯科用ドリル(D)の先端側又は後端側から外嵌させて位置固定されることにより、穿設する孔の深さを規制するための歯科用ドリル用着脱式ストッパであって、
定常状態でその内径が前記歯科用ドリル(D)の軸部(D3)の外径よりも僅かに小さく、その外周面から内周面に至るスリット部(1a)がその軸方向全長に形成されて該スリット部(1a)が開口された円筒状を成し、該スリット部(1a)の軸方向の中央部に拡径具挿入部(1b)が穿設されている弾性変形可能な金属材料から成るストッパ本体(1)と、
該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)に挿抜自在な形状を成し、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)に挿入されると該ストッパ本体(1)の内径を前記歯科用ドリル(D)の軸部(D3)の外径よりも大きく拡径せしめる拡径具(2)と、
から構成されていることを特徴とする歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項2】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、その横断面の面積が外周側から内周側に行くに従って小さくなるように且つその横断面の形状が外周側から内周側に亘って相似形を成すように形成されている縮小部位(1ba)を有すると共に、拡径具(2)の先端側が、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の縮小部位(1ba)の内周側の横断面よりも僅かに大きいの横断面を成すように形成されている請求項1に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項3】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、外周側から内周側に亘って略同一の横断面を成すように形成されていると共に、拡径具(2)の先端側が、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の横断面より大きな面積の横断面を有する部位から先端に行くに従って該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の横断面より小さな面積の横断面を有するように形成されている請求項1に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項4】
ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)が、その横断面が円形状を成し且つその外周側の内面に雌ねじ(1bb)が形成されていると共に、拡径具(2)に、該ストッパ本体(1)の拡径具挿入部(1b)の雌ねじ(1bb)に螺入される雄ねじ(2a)が形成されている請求項1又は2に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項5】
ストッパ本体(1)の中心軸を挟んでスリット部(1a)と反対側の部位の外周面側に、軸方向全長に亘って内周面側へ凹状を成す拡径補助部位(1c)が形成されている請求項1から4までの何れか1項に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【請求項6】
ストッパ本体(1)が、チタン合金から成る請求項1から5までの何れか1項に記載の歯科用ドリル用着脱式ストッパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−279147(P2009−279147A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133464(P2008−133464)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】
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