歯科用吸引装置
【課題】従来の歯科用吸引装置の吸引機構においては、吸引量が多い用途では器具が大きく重くなり、口腔内液体の吸引及び操作には問題があった。従来の吸引装置に比し、格段に小型・軽量で操作が容易な歯科用吸引装置を提供する。
【解決手段】歯科用吸引装置本体のバルブ収納部に、ボールバルブが配設されてなり、ボールバルブ収納部の表面に、手指で前後にスライドしてボールバルブの流体通路を開閉できるスライドスイッチと、収納部の前方端部に各種の吸引管の挿着部及び、後端に偏角が設定できる吸引チューブの挿着部が配設される。
【解決手段】歯科用吸引装置本体のバルブ収納部に、ボールバルブが配設されてなり、ボールバルブ収納部の表面に、手指で前後にスライドしてボールバルブの流体通路を開閉できるスライドスイッチと、収納部の前方端部に各種の吸引管の挿着部及び、後端に偏角が設定できる吸引チューブの挿着部が配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療における口腔内の吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来 、歯科用吸引装置は流体通路の開閉手段を有しているが、その開閉機構に定型はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−102486号公報
【特許文献2】特開平05−095997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の歯科用吸引装置の吸引機構においては、流体の吸引量と器具の大きさとは比例しており、吸引量が多い用途では器具は大きく重くなり、特に口腔内における吸引及び操作には問題があった。
本発明では、従来と同様な吸引量の場合、従来の吸引装置に比し格段に小型・軽量で操作が容易な歯科用吸引装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み本発明者等は鋭意実験研究の結果、下記の手段により課題を解決した。
(1)口腔内の流体を吸引する手持ち型歯科用吸引装置 において、吸引装置本体内部の流体開閉弁としてボールバルブを採用してなることを特徴とする歯科用吸引装置。
(2)歯科用吸引装置本体の手持ち部表面に、ボールバルブ開閉用の手指で前後にスライドさせるボールバルブ開閉用のスライドスイッチが配設されてなることを特徴とする前項(1)に記載の歯科用吸引装置。
(3)歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の歯科用吸引装置。
(4)球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
(5)回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば次のような優れた効果を発揮することができる。
1、請求項1の発明によれば、
口腔内の流体を吸引する歯科用吸引装置において、歯科用吸引装置本体のバルブ収納部内の弁体にボールバルブを採用したため、
構造が単純であり、弁体の軸を90度回動することにより、開閉を行なうことができ操作性がよい。
そして、ボールバルブは、同様な性能の他のバルブに対し体積が最も小さく、また流体通路孔の口径を大きくすることができるので、流量を極めて大きくすることができ、
さらに、流体通路孔内の流れに対する障害物がないため、渦流や脈流が生じにくく、吸引特性に優れている。
特に歯科用吸引装置、例えば、吸引量の少ない排唾器(サライバエジェクタ)等においては、小型軽量にすることができるため操作性に優れ、患者への負担が少ない。
【0007】
2、請求項2の発明によれば、
歯科用吸引装置本体のボールバルブを回動させて流体通路を開閉するスライドスイッチを、ボールバルブ収納部の表面に設けたため、
把持した手指の先でスライドスイッチを前後にスライドして開閉でき、簡単で操作性がよく、また外観も優美である。
3、請求項3の発明によれば、
歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなるため、
吸引チューブとバルブ収納部とを所望の角度に設定することができ、口腔内の所要箇所への設定が容易であり、治療時の作業効率を向上することができる。また、吸引チューブが垂れ下がる角度がより鉛直に近くなるため、施術者は吸引チューブの重さを感じにくく、疲労が少ない。
【0008】
4、請求項4の発明によれば、
球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなるため、
スライドスイッチを前後にスライドすることにより、弁体を回動させることができ、小型軽量な吸引装置を作成でき、また操作も容易である。
【0009】
5、請求項5の発明によれば、
回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなるため、
回転直線運動変換を、スライダーと連動して吸引装置本体の内部において変換効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】歯科用吸引装置の外観斜視図。
【図2】歯科用吸引装置本体の外観図。
【図3】ボール状弁体収納部の外観斜視図。
【図4】スライドスイッチの外観斜視図。
【図5】ボール状弁体の外観斜視図。
【図6】本体内部を示す組図でボール状弁体開のときの一部破断図。
【図7】本体内部を示す組図でボール状弁体閉のときの一部破断図。
【図8】ボール状弁体開閉作動の原理図。
【図9】図8の補足説明図。
【図10】ボール状弁体保持具の模式図。
【図11】ボール状弁体のスライド溝とスライドスイッチスライド用突起との嵌合部分を示す模式断面図。
【図12】本体後端の偏角設定・ジョイント部に吸引チューブを挿着したときの外観図。
【図13】図12の外観斜視図。
【図14】従来のボール状弁体収納部の縦断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための最良の形態を以下順次説明する。
従来、他の技術分野において、主として大型流体開閉制御の弁体としてボール状弁体が利用されている。
一例を図に示す。図14は従来のボールバルブ収納部の縦断面図を示す。
図において、30はボールバルブの収納部、31はボデー、32はボデーキャップ、33はボールバルブ、34はボールシート、35は流体通路、36は回転軸、37は開口部を示す。
図のように、ボール状弁体33は、左右からボデーキャップ32及びボールシート34によって保持され、また、回転軸36は外部に突出され、その回転軸を90度回動することによって、開口部37が開閉される。したがって小型化するのは困難であった。
【0012】
しかし、本発明は小口径の歯科用吸引装置に適するように工夫されている。
即ち、本発明においては、前記のようにボール状弁体の短い回転軸の端面の円形の軸の中心から外周端に向けて刻設されたスライド溝に、前後に移動する短いロッドを嵌合させ、溝内をスライドさせることにより直線運動を回転運動に変え、ボール状弁体を90度回動させているため、収納容器の上方に一体化されたスライドスイッチを含めて保持する容器は極めて小型化されている。
【0013】
図1は、本発明の歯科用吸引装置の外観斜視図である。
図において、1は歯科用吸引装置、2はボール状弁体収納部、3はスライドスイッチ、4は吸引管挿着部、5は吸引管、7は吸引チューブ挿着部、8は吸引チューブ、25は歯科用吸引装置本体を示す。
図示したように、歯科用吸引装置1は、歯科用吸引装置本体25のボール状弁体収納部2の前後に吸引管5及び吸引チューブ8を挿着し構成されている。
施術者はボール状弁体収納部2付近を把持し、手指の先でスライドスイッチ3を前後にスライドさせて開閉操作する。
なお、歯科用吸引装置の吸引対象は、歯や補綴物の切削、除去等の際に生ずる粉塵や、冷却スプレ−水、その他、唾液、血液等であり、
また、吸引管5は、歯科用吸引装置、排唾器等の吸引管である。
【0014】
図2は、歯科用吸引装置本体の外観図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図,(e)は下面図、(f)は背面図、(g)は縦断面図である。
図において、9はボール状弁体を示す。
図2は、スライドスイッチ3は前方にスライドされ、流体通路は開の状態である。
そして、(g)の縦断面図に示すように、ボール状弁体9はボール状弁体収納部2の内部に収納されている。
詳細については、構成部品図及び組図等において後述する。
【0015】
図3は、ボール状弁体収納部の外観斜視図である。
図において、10は段差を有する円筒部、11は収納部の吸引チューブ挿着部、12a、12bはスライドスイッチ用スリット、13は収納部の吸引管挿着部、14はボール状弁体回動用スリットを示す。
図示したように、前記歯科用吸引装置本体25のボール状弁体収納部2は円筒状で、両側部には、スライドスイッチ用ロッド(21a、21b)が嵌合するスライドスイッチのスリット12a、12b及び、ボール状弁体回動用ロッド(20a、20b)が嵌合するボール状弁体回動用スリット14が設けられている。
【0016】
図4は、スライドスイッチの外観斜視図である。
図において、19は手指懸け、20a,20bはボール状弁体回動用ロッド,21a、21bはスライドスイッチ用ロッドを示す。
スライドスイッチ3は、半円筒形をしており、その両下端には、4ケのスライドスイッチ用ロッド21a、21b及び、下端中央には2ケのボール状弁体回動用ロッド20a、20bが設けられている。
そして、スライドスイッチ3の前記半円筒形状の上部には、手指にてスライドスイッチ3をスライドさせる手指懸け19が設けられている。
そして、手指懸け19によってスライドスイッチ3を前後にスライドさせると、
スライド溝(18)に嵌入しているロッド20a、20bは、スライド溝(18)内をスライドし、ボール状弁体(9)はボール状弁体短軸(16)を中心に90度回動する。
本スライドスイッチ3の半円筒の部分は、前記図3の、段差を有する円筒部10の上に重ねられ、前記図3のボール状弁体のスライドスイッチ用スリット12a、12b及びボール状弁体回動用ロッド(20a、20b)が嵌合するボール状弁体回動用スリット14に、スライドスイッチ用ロッド21a、21b及び、下端中央のボール状弁体回動用ロッド20a、20bをはめ込んで配設されている。
【0017】
図5はボール状弁体の外観斜視図である。
図において、15は流体通路孔、16はボール状弁体短軸、17は回動軸面、18はスライド溝を示す。
図示したように、ボール状弁体9には、口径が前記ボール状弁体収納部2の内径に等しい大口径の流体通路孔15が貫通して設けられており、
また、前記流体通路孔15と90度位置が異なる回動軸には、ボール状弁体短軸16と回動軸面17が設けられ、同回動軸面17には、スライドスイッチ3のボール状弁体回動用ロッド20a,20bによって前記流体通路孔15を90度回動させて開閉を行なうためのスライド溝18が、前記ボール状弁体短軸16のセンターを中心にして外周に向けて刻設されている。
本ボール状弁体9はボール状弁体収納部2の中央に配設される。
【0018】
図6は、本体内部を示す組図でボール状弁体開のときの一部破断図である。
図において、19は手指懸け、23はボール状弁体収納部の外壁を示す。
図示したように、ボール状弁体9は、ボール状弁体収納部の外壁23内に保持されており、また前記スライドスイッチ3は、手指懸け19によって吸引管5側にスライドされている。
そして、ボール状弁体回動用ロッド20a,20b(図4)は、スライド溝18内を前方の吸引管5側にスライドされており、ボール状弁体短軸16は、流体通路孔15が前記ボール状弁体収納部2の内径と平行した開の状態の角度になっている。
また、回動軸面17は図のように前記ボール状弁体収納部の外壁23内にあり外部からは見えない。
そして、前記ボール状弁体収納部2前方の内側に装着されている吸引管装着部4(図2のg図)の先端部が破断図の中に図示されている。
【0019】
図7は、本体内部を示す組図でボール状弁体閉の時の一部破断図である。
図において22はボール状弁体の閉塞面を示す。
スライドスイッチ3は、手指懸け19によって吸引チューブ8側にスライドされており、前記ボール状弁体回動用ロッド20a、20bは、スライド溝18内を後方の吸引チューブ8側にスライドして、ボール状弁体短軸16は前記開の状態から時計方向に90度回動する。
連動して流体通路15も90度回動し、ボール状弁体の閉塞面22が流体通路15を閉塞して、流体通路孔15は閉の状態になっている。
また、回動軸面17は図のように前記ボール状弁体収納部の外壁23内にあり外部からは見えない。
そして前記ボール状弁体収納部2前方の内側に装着されている吸引管装着部4(図2のg図)の先端部が破断図の中に図示されている。
【0020】
前記図6及び図7における作用について、説明図によって以下に詳述する。
図8はボール状弁体開閉作動の原理図である。
図において、26はボール状弁体の回転角度、27は回動用ロッドの直線移動距離を示す。
図示したように、ボール状弁体回動用ロッド20b、(20a)は、ボール状弁体短軸16上面のスライド溝18の左端にありこの時の状態をボール状弁体9の開とする。
次にボール状弁体回動用ロッド20bを右に直線的にスライドがさせると、ボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18の右側面を押しながらスライドするので、スライドボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18の中央付近となり(破線)、
さらに、ボール状弁体回動用ロッド20bを右に直線的にスライドがさせると、ボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18右端となるため(破線)、連動してスライド溝18は時計方向へ90度回転する。この時の状態をボール状弁体9の閉とすれば、ボール状弁体回動用ロッド20bの直線運動を、ボール状弁体9の回転運動に変えることができる。
閉から開への動作は、前記と逆方向にボール状弁体回動用突起20bを移動させればよい。
また、前記ボール状弁体の回転角度26の、90度は、前記回動用突起の直線移動距離27を、回転角度が90度となるように設定すればよい。
【0021】
図9は、図7の補足説明図で、
図7の本体内部を示す組図でボール状弁体閉の時の一部破断図では表わされていない前記ボール状弁体回動用ロッド20bと、スライド溝18との位置関係の、前記図8の原理に基づく説明図である。
図において、ボール状弁体回動用ロッド20bとスライドスイッチスライド用ロッド21a、21b(図4)、及び、ボール状弁体回動用スリット14及びスライドスイッチ用のスリット12a、12b(図3)は、説明するための仮想図で、本体は省略されている。
【0022】
(a)図は、ボール状弁体9が開の時の説明図で、
前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリット14を貫通して
先端はスライド溝18に嵌合している。
(b)図は、ボール状弁体9が中間の半開きの時の説明図で、
位置関係は、前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリット14の中間にあり、またスライド溝18は前記開より45度の角度にある。
(c)図は、ボール状弁体9が閉の時の説明図で
位置関係は、前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリットの右端にあり、またスライド溝18は前記開より90度の角度にある。
【0023】
そして、ボール状弁体9を、ボール状弁体収納部23内に保持する事例を模式図によって説明する。
図10はボール状弁体保持具の模式図である。
図において、41はボール状弁体収納部に嵌装される後半部の保持筒、42はボールバ
ルブ収納部に刻設された軸周の前半分に当接する半円形の切り込み、43はボール状弁体収納部に刻設された半球状前半分の面に当接する曲面の切り込み、42’はボール状弁体後半部の保持筒に刻設された軸周の後半分に当接する半円形の切り込み、43’は保持筒に刻設された半球状後半分の面に当接する曲面の切り込みを示す。
【0024】
ボール状弁体収納部2の中央に配設されボール状弁体9は、その前半部を保持するボール状弁体収納部2と、その後半部を支持する保持筒41とが、中央で突合わされ保持される。
以下に、図10に基づいて、事例を説明する。
図において、29は流体通路を示す。
保持筒41の外径は、ボール状弁体収納部2の内径より小さい。
まず、ボール状弁体9の前半分をボール状弁体収納部2に→のように挿着する。
次に、保持筒41をボール状弁体収納部2の中を→のように移動させ、ボール状弁体9の後ろ半分を保持するように挿着すればよい。
また、スライド溝18には前記スライドスイッチ用ロッド21aが、→印の方向に嵌合されるが、この部分は(別図11)にて説明する。
【0025】
図11は、ボール状弁体のスライド溝とスライドスイッチ用ロッドとの嵌合部分を示す模式断面図である。
図において29は流体通路を示す。
前記保持筒41はボール状弁体収納部2の筒の中に嵌装されており、ボール状弁体短軸16とスライド溝18の部分は図3のスリット14の中にあるが、そのスライド溝18にはスライドスイッチ用ロッド21aが嵌合されている。(図9参照)
【0026】
前記図6、図7に示したように、ボール状弁体9の体積は小さくかつ、流体通路孔15の口径は、ボール状弁体収納部2と同口径で大きいため、開の時は吸引効率が良く、また、閉の時は、ボール状弁体の閉塞面22で流体通路をぴったりと塞ぐことができる。
そして、スライドスイッチ3のスライドによるボール状弁体短軸16の回動機構も簡明であり、全体として軽量小型化されており、操作も容易である。
【0027】
図12は、本体後端の偏角設定・ジョイント部に吸引チューブを挿着したときの外観図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図を示す。
図において、6は偏角設定・ジョイント部、24は偏角を示す。
本図は、歯科用吸引装置の他の事例である。
施術者は、偏角設定・ジョイント部6を回して偏角24を所望角度に設定し、ボール状弁体収納部2付近を把持して、吸引管5の先端を口腔内の所望部位に容易に近づけることができる。
図13は図12の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1:歯科用吸引装置
2:ボール状弁体収納部
3:スライドスイッチ
4:吸引管挿着部
5:吸引管
6:偏角設定・ジョイント部
7:吸引チューブ挿着部
8:吸引チューブ
9:ボール状弁体
10:段差を有する円筒部
11:収納部の吸引チューブ挿着部
12a、12b:スライドスイッチ用スリット
13:収納部の吸引管挿着部
14:ボール状弁体回動用スリット
15:流体通路孔
16:ボール状弁体短軸
17:回動軸面
18:スライド溝
19:手指懸け
20a、20b:ボール状弁体回動用ロッド
21a、21b:スライドスイッチ用ロッド
22:ボール状弁体の閉塞面
23:ボール状弁体収納部の外壁
24:偏角
25:歯科用吸引装置本体
26:ボール状弁体の回転角度
27:回動用ロッドの直線移動距離
28:ボール状弁体保持具
29:流体通路
30;ボールバルブの収納部
31:ボデー
32:ボデーキャップ
33:ボールバルブ
34:ボールシート
35:流体通路
36:回転軸
37:開口部
41:ボール状弁体収納部に嵌装される後半部の保持筒
42:ボール状弁体収納部に刻設された軸周の前半分に当接する半円形の切り込み
42’:保持筒に刻設された軸周の後半分に当接する半円形の切り込み
43:ボール状弁体収納部に刻設された半球状前半分の面に当接する曲面の切り込み
43’:保持筒に刻設された半球状後半分の面に当接する曲面の切り込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療における口腔内の吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来 、歯科用吸引装置は流体通路の開閉手段を有しているが、その開閉機構に定型はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−102486号公報
【特許文献2】特開平05−095997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の歯科用吸引装置の吸引機構においては、流体の吸引量と器具の大きさとは比例しており、吸引量が多い用途では器具は大きく重くなり、特に口腔内における吸引及び操作には問題があった。
本発明では、従来と同様な吸引量の場合、従来の吸引装置に比し格段に小型・軽量で操作が容易な歯科用吸引装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み本発明者等は鋭意実験研究の結果、下記の手段により課題を解決した。
(1)口腔内の流体を吸引する手持ち型歯科用吸引装置 において、吸引装置本体内部の流体開閉弁としてボールバルブを採用してなることを特徴とする歯科用吸引装置。
(2)歯科用吸引装置本体の手持ち部表面に、ボールバルブ開閉用の手指で前後にスライドさせるボールバルブ開閉用のスライドスイッチが配設されてなることを特徴とする前項(1)に記載の歯科用吸引装置。
(3)歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の歯科用吸引装置。
(4)球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
(5)回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなることを特徴とする前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば次のような優れた効果を発揮することができる。
1、請求項1の発明によれば、
口腔内の流体を吸引する歯科用吸引装置において、歯科用吸引装置本体のバルブ収納部内の弁体にボールバルブを採用したため、
構造が単純であり、弁体の軸を90度回動することにより、開閉を行なうことができ操作性がよい。
そして、ボールバルブは、同様な性能の他のバルブに対し体積が最も小さく、また流体通路孔の口径を大きくすることができるので、流量を極めて大きくすることができ、
さらに、流体通路孔内の流れに対する障害物がないため、渦流や脈流が生じにくく、吸引特性に優れている。
特に歯科用吸引装置、例えば、吸引量の少ない排唾器(サライバエジェクタ)等においては、小型軽量にすることができるため操作性に優れ、患者への負担が少ない。
【0007】
2、請求項2の発明によれば、
歯科用吸引装置本体のボールバルブを回動させて流体通路を開閉するスライドスイッチを、ボールバルブ収納部の表面に設けたため、
把持した手指の先でスライドスイッチを前後にスライドして開閉でき、簡単で操作性がよく、また外観も優美である。
3、請求項3の発明によれば、
歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなるため、
吸引チューブとバルブ収納部とを所望の角度に設定することができ、口腔内の所要箇所への設定が容易であり、治療時の作業効率を向上することができる。また、吸引チューブが垂れ下がる角度がより鉛直に近くなるため、施術者は吸引チューブの重さを感じにくく、疲労が少ない。
【0008】
4、請求項4の発明によれば、
球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなるため、
スライドスイッチを前後にスライドすることにより、弁体を回動させることができ、小型軽量な吸引装置を作成でき、また操作も容易である。
【0009】
5、請求項5の発明によれば、
回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなるため、
回転直線運動変換を、スライダーと連動して吸引装置本体の内部において変換効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】歯科用吸引装置の外観斜視図。
【図2】歯科用吸引装置本体の外観図。
【図3】ボール状弁体収納部の外観斜視図。
【図4】スライドスイッチの外観斜視図。
【図5】ボール状弁体の外観斜視図。
【図6】本体内部を示す組図でボール状弁体開のときの一部破断図。
【図7】本体内部を示す組図でボール状弁体閉のときの一部破断図。
【図8】ボール状弁体開閉作動の原理図。
【図9】図8の補足説明図。
【図10】ボール状弁体保持具の模式図。
【図11】ボール状弁体のスライド溝とスライドスイッチスライド用突起との嵌合部分を示す模式断面図。
【図12】本体後端の偏角設定・ジョイント部に吸引チューブを挿着したときの外観図。
【図13】図12の外観斜視図。
【図14】従来のボール状弁体収納部の縦断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための最良の形態を以下順次説明する。
従来、他の技術分野において、主として大型流体開閉制御の弁体としてボール状弁体が利用されている。
一例を図に示す。図14は従来のボールバルブ収納部の縦断面図を示す。
図において、30はボールバルブの収納部、31はボデー、32はボデーキャップ、33はボールバルブ、34はボールシート、35は流体通路、36は回転軸、37は開口部を示す。
図のように、ボール状弁体33は、左右からボデーキャップ32及びボールシート34によって保持され、また、回転軸36は外部に突出され、その回転軸を90度回動することによって、開口部37が開閉される。したがって小型化するのは困難であった。
【0012】
しかし、本発明は小口径の歯科用吸引装置に適するように工夫されている。
即ち、本発明においては、前記のようにボール状弁体の短い回転軸の端面の円形の軸の中心から外周端に向けて刻設されたスライド溝に、前後に移動する短いロッドを嵌合させ、溝内をスライドさせることにより直線運動を回転運動に変え、ボール状弁体を90度回動させているため、収納容器の上方に一体化されたスライドスイッチを含めて保持する容器は極めて小型化されている。
【0013】
図1は、本発明の歯科用吸引装置の外観斜視図である。
図において、1は歯科用吸引装置、2はボール状弁体収納部、3はスライドスイッチ、4は吸引管挿着部、5は吸引管、7は吸引チューブ挿着部、8は吸引チューブ、25は歯科用吸引装置本体を示す。
図示したように、歯科用吸引装置1は、歯科用吸引装置本体25のボール状弁体収納部2の前後に吸引管5及び吸引チューブ8を挿着し構成されている。
施術者はボール状弁体収納部2付近を把持し、手指の先でスライドスイッチ3を前後にスライドさせて開閉操作する。
なお、歯科用吸引装置の吸引対象は、歯や補綴物の切削、除去等の際に生ずる粉塵や、冷却スプレ−水、その他、唾液、血液等であり、
また、吸引管5は、歯科用吸引装置、排唾器等の吸引管である。
【0014】
図2は、歯科用吸引装置本体の外観図で、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図,(e)は下面図、(f)は背面図、(g)は縦断面図である。
図において、9はボール状弁体を示す。
図2は、スライドスイッチ3は前方にスライドされ、流体通路は開の状態である。
そして、(g)の縦断面図に示すように、ボール状弁体9はボール状弁体収納部2の内部に収納されている。
詳細については、構成部品図及び組図等において後述する。
【0015】
図3は、ボール状弁体収納部の外観斜視図である。
図において、10は段差を有する円筒部、11は収納部の吸引チューブ挿着部、12a、12bはスライドスイッチ用スリット、13は収納部の吸引管挿着部、14はボール状弁体回動用スリットを示す。
図示したように、前記歯科用吸引装置本体25のボール状弁体収納部2は円筒状で、両側部には、スライドスイッチ用ロッド(21a、21b)が嵌合するスライドスイッチのスリット12a、12b及び、ボール状弁体回動用ロッド(20a、20b)が嵌合するボール状弁体回動用スリット14が設けられている。
【0016】
図4は、スライドスイッチの外観斜視図である。
図において、19は手指懸け、20a,20bはボール状弁体回動用ロッド,21a、21bはスライドスイッチ用ロッドを示す。
スライドスイッチ3は、半円筒形をしており、その両下端には、4ケのスライドスイッチ用ロッド21a、21b及び、下端中央には2ケのボール状弁体回動用ロッド20a、20bが設けられている。
そして、スライドスイッチ3の前記半円筒形状の上部には、手指にてスライドスイッチ3をスライドさせる手指懸け19が設けられている。
そして、手指懸け19によってスライドスイッチ3を前後にスライドさせると、
スライド溝(18)に嵌入しているロッド20a、20bは、スライド溝(18)内をスライドし、ボール状弁体(9)はボール状弁体短軸(16)を中心に90度回動する。
本スライドスイッチ3の半円筒の部分は、前記図3の、段差を有する円筒部10の上に重ねられ、前記図3のボール状弁体のスライドスイッチ用スリット12a、12b及びボール状弁体回動用ロッド(20a、20b)が嵌合するボール状弁体回動用スリット14に、スライドスイッチ用ロッド21a、21b及び、下端中央のボール状弁体回動用ロッド20a、20bをはめ込んで配設されている。
【0017】
図5はボール状弁体の外観斜視図である。
図において、15は流体通路孔、16はボール状弁体短軸、17は回動軸面、18はスライド溝を示す。
図示したように、ボール状弁体9には、口径が前記ボール状弁体収納部2の内径に等しい大口径の流体通路孔15が貫通して設けられており、
また、前記流体通路孔15と90度位置が異なる回動軸には、ボール状弁体短軸16と回動軸面17が設けられ、同回動軸面17には、スライドスイッチ3のボール状弁体回動用ロッド20a,20bによって前記流体通路孔15を90度回動させて開閉を行なうためのスライド溝18が、前記ボール状弁体短軸16のセンターを中心にして外周に向けて刻設されている。
本ボール状弁体9はボール状弁体収納部2の中央に配設される。
【0018】
図6は、本体内部を示す組図でボール状弁体開のときの一部破断図である。
図において、19は手指懸け、23はボール状弁体収納部の外壁を示す。
図示したように、ボール状弁体9は、ボール状弁体収納部の外壁23内に保持されており、また前記スライドスイッチ3は、手指懸け19によって吸引管5側にスライドされている。
そして、ボール状弁体回動用ロッド20a,20b(図4)は、スライド溝18内を前方の吸引管5側にスライドされており、ボール状弁体短軸16は、流体通路孔15が前記ボール状弁体収納部2の内径と平行した開の状態の角度になっている。
また、回動軸面17は図のように前記ボール状弁体収納部の外壁23内にあり外部からは見えない。
そして、前記ボール状弁体収納部2前方の内側に装着されている吸引管装着部4(図2のg図)の先端部が破断図の中に図示されている。
【0019】
図7は、本体内部を示す組図でボール状弁体閉の時の一部破断図である。
図において22はボール状弁体の閉塞面を示す。
スライドスイッチ3は、手指懸け19によって吸引チューブ8側にスライドされており、前記ボール状弁体回動用ロッド20a、20bは、スライド溝18内を後方の吸引チューブ8側にスライドして、ボール状弁体短軸16は前記開の状態から時計方向に90度回動する。
連動して流体通路15も90度回動し、ボール状弁体の閉塞面22が流体通路15を閉塞して、流体通路孔15は閉の状態になっている。
また、回動軸面17は図のように前記ボール状弁体収納部の外壁23内にあり外部からは見えない。
そして前記ボール状弁体収納部2前方の内側に装着されている吸引管装着部4(図2のg図)の先端部が破断図の中に図示されている。
【0020】
前記図6及び図7における作用について、説明図によって以下に詳述する。
図8はボール状弁体開閉作動の原理図である。
図において、26はボール状弁体の回転角度、27は回動用ロッドの直線移動距離を示す。
図示したように、ボール状弁体回動用ロッド20b、(20a)は、ボール状弁体短軸16上面のスライド溝18の左端にありこの時の状態をボール状弁体9の開とする。
次にボール状弁体回動用ロッド20bを右に直線的にスライドがさせると、ボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18の右側面を押しながらスライドするので、スライドボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18の中央付近となり(破線)、
さらに、ボール状弁体回動用ロッド20bを右に直線的にスライドがさせると、ボール状弁体回動用ロッド20bはスライド溝18右端となるため(破線)、連動してスライド溝18は時計方向へ90度回転する。この時の状態をボール状弁体9の閉とすれば、ボール状弁体回動用ロッド20bの直線運動を、ボール状弁体9の回転運動に変えることができる。
閉から開への動作は、前記と逆方向にボール状弁体回動用突起20bを移動させればよい。
また、前記ボール状弁体の回転角度26の、90度は、前記回動用突起の直線移動距離27を、回転角度が90度となるように設定すればよい。
【0021】
図9は、図7の補足説明図で、
図7の本体内部を示す組図でボール状弁体閉の時の一部破断図では表わされていない前記ボール状弁体回動用ロッド20bと、スライド溝18との位置関係の、前記図8の原理に基づく説明図である。
図において、ボール状弁体回動用ロッド20bとスライドスイッチスライド用ロッド21a、21b(図4)、及び、ボール状弁体回動用スリット14及びスライドスイッチ用のスリット12a、12b(図3)は、説明するための仮想図で、本体は省略されている。
【0022】
(a)図は、ボール状弁体9が開の時の説明図で、
前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリット14を貫通して
先端はスライド溝18に嵌合している。
(b)図は、ボール状弁体9が中間の半開きの時の説明図で、
位置関係は、前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリット14の中間にあり、またスライド溝18は前記開より45度の角度にある。
(c)図は、ボール状弁体9が閉の時の説明図で
位置関係は、前記ボール状弁体回動用ロッド20bは、ボール状弁体回動用スリットの右端にあり、またスライド溝18は前記開より90度の角度にある。
【0023】
そして、ボール状弁体9を、ボール状弁体収納部23内に保持する事例を模式図によって説明する。
図10はボール状弁体保持具の模式図である。
図において、41はボール状弁体収納部に嵌装される後半部の保持筒、42はボールバ
ルブ収納部に刻設された軸周の前半分に当接する半円形の切り込み、43はボール状弁体収納部に刻設された半球状前半分の面に当接する曲面の切り込み、42’はボール状弁体後半部の保持筒に刻設された軸周の後半分に当接する半円形の切り込み、43’は保持筒に刻設された半球状後半分の面に当接する曲面の切り込みを示す。
【0024】
ボール状弁体収納部2の中央に配設されボール状弁体9は、その前半部を保持するボール状弁体収納部2と、その後半部を支持する保持筒41とが、中央で突合わされ保持される。
以下に、図10に基づいて、事例を説明する。
図において、29は流体通路を示す。
保持筒41の外径は、ボール状弁体収納部2の内径より小さい。
まず、ボール状弁体9の前半分をボール状弁体収納部2に→のように挿着する。
次に、保持筒41をボール状弁体収納部2の中を→のように移動させ、ボール状弁体9の後ろ半分を保持するように挿着すればよい。
また、スライド溝18には前記スライドスイッチ用ロッド21aが、→印の方向に嵌合されるが、この部分は(別図11)にて説明する。
【0025】
図11は、ボール状弁体のスライド溝とスライドスイッチ用ロッドとの嵌合部分を示す模式断面図である。
図において29は流体通路を示す。
前記保持筒41はボール状弁体収納部2の筒の中に嵌装されており、ボール状弁体短軸16とスライド溝18の部分は図3のスリット14の中にあるが、そのスライド溝18にはスライドスイッチ用ロッド21aが嵌合されている。(図9参照)
【0026】
前記図6、図7に示したように、ボール状弁体9の体積は小さくかつ、流体通路孔15の口径は、ボール状弁体収納部2と同口径で大きいため、開の時は吸引効率が良く、また、閉の時は、ボール状弁体の閉塞面22で流体通路をぴったりと塞ぐことができる。
そして、スライドスイッチ3のスライドによるボール状弁体短軸16の回動機構も簡明であり、全体として軽量小型化されており、操作も容易である。
【0027】
図12は、本体後端の偏角設定・ジョイント部に吸引チューブを挿着したときの外観図で、(a)は正面図、(b)は縦断面図を示す。
図において、6は偏角設定・ジョイント部、24は偏角を示す。
本図は、歯科用吸引装置の他の事例である。
施術者は、偏角設定・ジョイント部6を回して偏角24を所望角度に設定し、ボール状弁体収納部2付近を把持して、吸引管5の先端を口腔内の所望部位に容易に近づけることができる。
図13は図12の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1:歯科用吸引装置
2:ボール状弁体収納部
3:スライドスイッチ
4:吸引管挿着部
5:吸引管
6:偏角設定・ジョイント部
7:吸引チューブ挿着部
8:吸引チューブ
9:ボール状弁体
10:段差を有する円筒部
11:収納部の吸引チューブ挿着部
12a、12b:スライドスイッチ用スリット
13:収納部の吸引管挿着部
14:ボール状弁体回動用スリット
15:流体通路孔
16:ボール状弁体短軸
17:回動軸面
18:スライド溝
19:手指懸け
20a、20b:ボール状弁体回動用ロッド
21a、21b:スライドスイッチ用ロッド
22:ボール状弁体の閉塞面
23:ボール状弁体収納部の外壁
24:偏角
25:歯科用吸引装置本体
26:ボール状弁体の回転角度
27:回動用ロッドの直線移動距離
28:ボール状弁体保持具
29:流体通路
30;ボールバルブの収納部
31:ボデー
32:ボデーキャップ
33:ボールバルブ
34:ボールシート
35:流体通路
36:回転軸
37:開口部
41:ボール状弁体収納部に嵌装される後半部の保持筒
42:ボール状弁体収納部に刻設された軸周の前半分に当接する半円形の切り込み
42’:保持筒に刻設された軸周の後半分に当接する半円形の切り込み
43:ボール状弁体収納部に刻設された半球状前半分の面に当接する曲面の切り込み
43’:保持筒に刻設された半球状後半分の面に当接する曲面の切り込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の流体を吸引する歯科用吸引装置 において、
吸引装置本体内部の流体開閉弁としてボールバルブを採用してなることを特徴とする歯科用吸引装置。
【請求項2】
歯科用吸引装置本体の手持ち部表面に、ボールバルブ開閉用の手指で前後にスライドさせるボールバルブ開閉用のスライドスイッチが配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用吸引装置。
【請求項3】
歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用吸引装置。
【請求項4】
球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【請求項5】
回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体の壁に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【請求項1】
口腔内の流体を吸引する歯科用吸引装置 において、
吸引装置本体内部の流体開閉弁としてボールバルブを採用してなることを特徴とする歯科用吸引装置。
【請求項2】
歯科用吸引装置本体の手持ち部表面に、ボールバルブ開閉用の手指で前後にスライドさせるボールバルブ開閉用のスライドスイッチが配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の歯科用吸引装置。
【請求項3】
歯科用吸引装置本体の後部とそれに着脱自在に連結される吸引チューブとの連結部に、回転自在な偏角を設けた連結機構を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用吸引装置。
【請求項4】
球体の表面の一部に突設された短軸と同短軸の軸心に直交して貫設された大きな貫通孔を備えたボール状弁体と、管壁に前記短軸が回動自在に挿嵌できる貫通孔を有し、前記ボール状弁体を収容できる管体と、前記短軸の回動運動方向を、管体の軸線に沿った直線運動方向に変換する回転直線運動変換機構とを備えてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【請求項5】
回転直線運動変換機構が、ボール状弁体の短軸の上端面にその中心から半径方向へ削成された長溝と、同長溝に垂直に遊嵌されるロッドと、同長溝上部の管体の壁に設けられた、ロッドの胴部を貫挿して直線方向にスライドするためのスリットと、同スリットの上面に位置し、前記ロッドの基部が固定され背部に手指懸け部を有する直線方向に滑動可能なスライダーとからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用吸引装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−80974(P2012−80974A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227983(P2010−227983)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390011121)株式会社モリタ東京製作所 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390011121)株式会社モリタ東京製作所 (28)
【Fターム(参考)】
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