説明

歯科用色調適合確認材料

【課題】従来技術よりも高い審美性を得ることができる歯科用色調適合確認材料を提供する。
【解決手段】本発明は、歯科用色調適合確認材料であって、前記材料の屈折率nと前記材料の確認対象となる歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認材料に係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な歯科用色調適合確認材料に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用色調適合確認材料は、歯科用セメントの色調適合性の確認に用いられ(厚生労働省告示第471号 参照)、トライインペーストと呼ばれることもある。
【0003】
歯科医療において、クラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ベニア等の歯科用補綴修復物を支台歯に合着する際に歯科用セメントを用いるが、合着した後の仕上がりの色調が所望の色調と異なるという事態を回避するため、歯科用色調適合確認材料が使用される。すなわち、どの色調をもつ歯科用セメントを用いるべきかを決定するため、その歯科用セメントが硬化した時の色調に合わせて調製された歯科用色調適合確認材料を先に歯科用セメントの代わりに用いて、歯科用補綴修復物又はその仮修復物(プロビジョナルレストレーション)を支台歯に仮装着し、その状態(外観)を観察することにより、使用が予定されている特定色調の歯科用セメントの適否を確認することができる。その観察の結果、所望の色調が得られた場合は、前記修復物に付着した歯科用色調適合確認材料を水洗した後、対応する歯科用セメント(その歯科用色調適合確認材料に対応する色調を有する歯科用セメント)を用いて最終的な合着を行う。一方、所望の色調が得られなかった場合は、別の色調をもつ歯科用セメントに対応する歯科用色調適合確認材料を用いて同様の確認作業を行う。
【0004】
一般的に、歯科用セメントは、数種類の色調の中から選択して用いられるが、合着後の審美性は補綴修復物自体のもつ色調と、重合硬化した歯科用セメントとの組み合わせに依存しているため、審美性に優れた仕上がりを得るためには合着後に適切な色調を呈する歯科用セメントを選択する必要がある。そのためには、使用予定の歯科用セメントの硬化体の色調をシュミレートすべく、重合硬化後の歯科用セメントの色調にできる限り近い色調に調整された歯科用色調適合確認材料を用いることが望まれる。
【0005】
近年の審美歯科分野においては、金属を用いずに、セラミックス、硬質レジン等の透明性を有する材料が汎用されつつある。そのため、歯科用補綴修復物を合着する際に使用される歯科用セメントも透明性の高いいわゆるクリア系のものがよく使用される。実際に歯科用セメント及び歯科用色調適合確認材料が使用される膜厚は一般に20〜100μm程度であることから、クリア系の歯科用セメント及び歯科用色調適合確認材料を用いると限りなく透明に近くなる。このため、所望の色調(審美性)を得ようとする場合、単に両者の色調を近づけるという方法だけでは限界がある。
【0006】
歯科用色調適合確認材料として、これまで様々な材料が提案されている。例えば、グリセリン(a)を59〜95重量部、1次粒子の平均粒子径が0.001μm〜0.1μmの第1のフィラー(b)を1〜30重量部、1次粒子の平均粒子径が1μm〜20μmの第2のフィラー(c)を2〜40重量部含有する組成物からなる歯科用色調適合確認材料がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−137851
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまで提案されている歯科用色調適合確認材料は、対応する歯科用セメントと色調を近づけて調製されてはいるものの、最終的に得られる歯科用セメントの硬化体の色調との間で微妙な違いが生じ、必ずしも満足できる色調(審美性)は得られないという問題がある。
【0008】
従って、本発明の主な目的は、従来技術よりも高い審美性を得ることができる歯科用色調適合確認材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、歯科用セメントとその歯科用色調適合確認材料との間での屈折率を制御することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の歯科用色調適合確認材料に係る。
1. 歯科用色調適合確認材料であって、前記材料の屈折率nと前記材料の確認対象となる歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認材料。
2. (1)グリセリン(a)及びポリエチレングリコール(b)の少なくとも1種の親水性成分、並びに(2)少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(c)を含有する、前記項1に記載の歯科用色調適合確認材料。
3. 前記親水性成分40〜95重量部及び前記化合物5〜60重量部の合計100重量部からなる、前記項2に記載の歯科用色調適合確認材料。
4. 少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(c)が、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸のエステル及び芳香族カルボン酸の塩の少なくとも1種である、前記項2又は3に記載の歯科用色調適合確認材料。
5. 前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体(d)1〜50重量部をさらに含む、前記項2〜4のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
6. 少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体(d)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである、前記項5に記載の歯科用色調適合確認材料。
7. 前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、平均粒径0.1μm以下の微粒子フィラー(e)1〜30重量部をさらに含む、前記項2〜6のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料
8. 前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、平均粒径0.5〜20μmの粗粒子フィラー(f)40〜240重量部をさらに含む、前記項2〜7のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
9. 顔料(但し、前記微粒子フィラー及び粗粒子フィラーを除く。)をさらに含む、前記項2〜8のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
10. 前記項1〜9のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料とその確認対象となる歯科用セメントとの一対のセットを1又は2以上含む、歯科用補綴修復キット。
11. 歯科用セメントにより歯科用補綴修復物を支台歯に合着する前に、歯科用色調適合確認材料を用いて歯科用補綴修復物又はその仮修復物を支台歯に仮装着した状態を観察することによって、その確認対象となる歯科用セメントの硬化体の色調の適否を確認する方法であって、歯科用色調適合確認材料の屈折率nと前記歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明材料によれば、歯科用セメントの硬化体との屈折率の差を特定の範囲内に制御されているので、最終的に仕上がった歯科用セメント硬化体の色調によりいっそう近い状態で確認することができる。逆に言えば、本発明材料で確認された色調とほぼ同じ状態で補綴修復物の合着仕上げを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.歯科用色調適合確認材料
本発明の歯科用色調適合確認材料(本発明材料)は、前記材料の屈折率nと前記材料の確認対象となる歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にあることを特徴とする。
【0013】
本発明では、従来技術よりも高い審美性を達成するために、単に歯科用色調適合確認材料の色調を歯科用セメントのそれに近づけるというだけでなく、材料のもつ屈折率に着目し、屈折率の差を特定の範囲内に制御することによって、所望の色調をより確実に得ることができる。
【0014】
一般に「色を見る」ということは、物質に当たり反射した光を見ていることであり、物質の屈折率も色の見え方に影響を与える。このため、たとえ歯科用セメントの硬化体に近い色調に設定された色調適合確認材料を用いても、両者の屈折率に大きな違いがあれば、合着後の補綴修復物の色調と、色調適合確認材料を用いて一時的に補綴修復物を支台歯に試適した際の色調に差が出てしまう。本発明では、歯科用色調適合確認材料の屈折率nとそれに対応する歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020(好ましくは−0.020〜+0.010)の範囲内に制御することによって、前記の色調の差を低減ないしは解消することが可能となる。これまでは屈折率に着目した従来技術は存在せず、また屈折率の差が上記範囲内に制御された従来技術も存在しない。例えば、特許文献1に対応する製品においてもその屈折率差は−0.060である。この値と本発明材料における屈折率差の下限値−0.040との差は0.020であるが、この差が実際の仕上がり状態の外観(審美性)に大きな影響を及ぼす。
【0015】
一般に、歯科用色調適合確認材料は、その確認対象となる歯科用セメントの硬化体の色調に合わせたものであり、その対応する歯科用セメントと一対のセットとして提供される。従って、歯科用色調適合確認材料と言えば、それに対応する歯科用セメントが一義的に定まる。歯科用セメントの硬化体の屈折率nは限定的ではないが、一般的には1.4600〜1.5800である。
【0016】
本発明の歯科用色調適合確認材料は、上記の通り屈折率の差が−0.040〜+0.020に制御されていれば良く、その組成は従来品で採用されている成分を組み合わせて構成することもできる。特に、本発明では、(1)グリセリン(a)及びポリエチレングリコール(b)の少なくとも1種の親水性成分、並びに(2)少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(c)を含有する、請求項1に記載の歯科用色調適合確認材料を用いることによって、歯科用色調適合確認材料としての特性を維持しつつ、より確実に所望の屈折率に制御することができる。以下、これらの成分及び任意成分について説明する。
【0017】
(a)グリセリン
グリセリンは、本発明の歯科用色調適合確認材料における親水性成分である。すなわち、高い親水性物質であることから、特に本発明材料の水洗性等をより高めるために用いられる。グリセリンは、市販品又は公知の製造方法で得られるものを使用することができる。
【0018】
(b)ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコールは、グリセリンと同様、本発明の歯科用色調適合確認材料における親水性成分である。前記成分(a)と同様に、高い親水性物質であることから、特に本発明材料の操作性、水洗性等をより高めるために用いられる。また、前記成分(a)と成分(b)とは互いに親和性に優れており、両者を併用する場合にも、高い操作性、水洗性等を得ることができる。その種類は特に限定されず、市販品を用いることもできる。ポリエチレングリコールの分子量も限定的ではないが、本発明材料の操作性等の見地より、分子量600以下、特に400以下のものを使用することが好ましい。なお、分子量の下限値は限定的でないが、通常は200程度である。
【0019】
これら親水性成分の使用量は、特に制限されないが、その成分の役割からみて、親水性成分と後記芳香族化合物との合計100重量部中40〜100重量部、特に50〜90重量部さらに55〜85重量部とすることがより好ましい。
【0020】
(c)少なくとも1つの芳香族基を含む化合物
少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(芳香族化合物)は、特に本発明材料の屈折率を調節する(特に屈折率を高める)ために用いられる。前記化合物としては、芳香族基を1又は2以上有する化合物であれば限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、サリチル酸、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、フタル酸、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸イソブチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、没食子酸、没食子酸エチル、没食子酸ノルマルプロピル、ケイ皮酸エチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0021】
本発明では、この中でも、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸の塩及び芳香族カルボン酸エステルの少なくとも1種を用いることが望ましい。例えば、本発明では、(1)安息香酸、(2)安息香酸の塩(特に安息香酸とアルカリの塩)及び(3)安息香酸と炭素数10以下のアルコールとのエステルの少なくとも1種をより好ましく用いることができる。より具体的には、安息香酸、安息香酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ナトリウム及び安息香酸カルシウムの少なくとも1種(最も好ましくは安息香酸ナトリウム及び安息香酸ベンジルの少なくとも1種)を好適に用いることができる。
【0022】
本発明材料中における芳香族化合物の含有量は特に制限されないが、その成分の役割からみて、前記親水性成分と上記芳香族化合物との合計100重量部中、通常0〜60重量部、特に10〜50重量部とすることが好ましい。さらに15〜45重量部とすることがより好ましい。
【0023】
本発明の歯科用色調適合確認材料は、前記親水性成分及び前記化合物からなる組成であっても良いが、必要に応じて任意成分として下記の(d)〜(g)成分を適宜配合することができる。なお、本発明の歯科用色調適合確認材料は、実質的に前記親水性成分及び前記芳香族化合物のみからなる組成の場合は、通常その性状は液状であるため、本発明では「液体歯科用色調適合確認材料」ともいう。
【0024】
(d)少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体
少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体は、前記親水性成分及び芳香族化合物との親和性を調整し、歯科用材料として操作性を高めるために用いられる。
【0025】
前記の重合性単量体は、少なくとも1つの水酸基を有していれば限定されるものではないが、特にアクリル酸及びメタクリル酸ならびにこれらのエステルの少なくとも1種を好適に用いることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0026】
本発明材料中に少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体を添加する場合の含有量は特に制限されないが、その成分の役割からみて、前記親水性成分及び芳香族化合物からなる液体歯科用色調適合確認材料100重量部に対して、通常1〜50重量部、特に15〜35重量部とすることが好ましい。
【0027】
(e)平均粒径0.1μm以下の微粒子フィラー
平均粒径0.1μm以下の微粒子フィラーは、本発明材料を増粘させ、適度な付形性をもたせ、操作性に優れた材料とするために用いられる。また、本発明材料の屈折率を調節するために用いられることもある。
【0028】
微粒子フィラーは市販品を使用することができる。微粒子フィラーがシリカの場合は、コロイダルシリカを好適に用いることができる。これら微粒子フィラーは、上記役割の見地より、その平均粒径は通常0.1μm以下であれば良いが、特に0.0001〜0.1μm程度、さらに0.001〜0.08μmとすることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径は、レーザー粒径解析装置(大塚電子製「レーザー粒径解析システムPAR−III」)によって測定した値を示す。
【0029】
微粒子フィラーの本発明材料中における含有量は特に制限されないが、その成分の役割からみて、前記親水性成分及び芳香族化合物からなる液体歯科用色調適合確認材料100重量部に対して、通常1〜30重量部、特に5〜15重量部とすることが好ましい。
【0030】
(f)平均粒径0.5〜20μmの粗粒子フィラー
粗粒子フィラーは、歯科用セメントの被膜厚さと同様の厚さを与えるために用いられる。このため、粗粒子フィラーの平均粒子径は0.5〜20μmとし、好ましくは0.5〜5μmとする。また、粗粒子フィラーの粒子形状は限定的でなく、例えば球状、針状、板状、鱗片状、破砕状、不定形状等のいずれであっても良い。粗粒子フィラーの平均粒子径が0.5μmより小さくなると、歯科用色調適合確認材料としての良好な操作性が得られなくなるおそれがある。粗粒子フィラーの平均粒子径が20μmより大きくなると、歯科用色調適合確認材料としての良好な被膜厚さが得られないことがある。
【0031】
粗粒子フィラーの種類は限定されず、公知又は市販の無機系フィラー、有機系フィラー及び有機−無機複合フィラーの少なくとも1種を用いることができる。
【0032】
無機系フィラーとしては、例えば1)シリカ、2)シリカを基材とする鉱物類(カオリン、クレー、雲母、マイカ等)、3)シリカ系セラミックス類又はシリカ系ガラス類(シリカを基材とし、Al、B、ZrO、BaO、La、TiO、SrO、CaO、P等を含有するもの)、4)結晶石英、5)金属酸化物、金属水酸化物、金属塩又は金属フッ化物(ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウム等)が挙げられる。なお、上記ガラス類としては、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラス等が例示される。
【0033】
有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0034】
有機−無機複合フィラーとしては、例えば有機重合体中に無機系フィラーを含有した材料が挙げられる。無機フィラーとしては限定的でなく、前記で例示したものを用いることができる。有機−無機フィラーの製造方法においても特に制限されず、いずれの公知の方法も採用することができる。例えば、無機系フィラーの表面を有機物でマイクロカプセル化又はグラフト化する方法、予め生成した無機系フィラーを含む重合体バルクを粉砕する方法等が挙げられる。
【0035】
なお、無機系フィラー、有機系フィラー又は有機−無機複合フィラーは、本発明材料の操作性を向上させるため、表面処理を施すこともできる。表面処理の方法は公知の方法を採用でき、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ポリシロキサン、界面活性剤、有機酸(脂肪酸)、無機酸等の公知の表面処理剤を1種又は2種以上を用い、これら表面処理剤でフィラー表面を被覆する方法を採用できる。上記の表面処理剤の中でも、歯科分野で汎用されているシランカップリング剤を好適に用いることができる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニル(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。この中でも特にγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0036】
また、本発明では、粗粒子フィラーは、表面処理したフィラー単独使用、表面処理していないフィラー単独使用、表面処理したフィラーと表面処理していないフィラーとの併用のいずれであっても良い。
【0037】
本発明材料中における粗粒子フィラーの含有量は特に制限されないが、その成分の役割からみて、前記親水性成分及び芳香族化合物からなる液体歯科用色調適合確認材料100重量部に対して、通常40〜240重量部、特に60〜185重量部とすることが好ましい。粗粒子フィラーの沈降を防ぐ目的で、さらに微粒子フィラー(e)を添加してもよい。このときの微粒子フィラー含有量は特に制限されないが、その成分の役割からみて、前記親水性成分及び芳香族化合物からなる液体歯科用色調適合確認材料100重量部に対して、通常1〜30重量部、特に2〜12重量部とすることが好ましい。
【0038】
(g)その他の添加剤
本発明材料中には、必要に応じて他の添加剤が含まれていても良い。例えば、着色剤(顔料又は染料)、溶媒(水、水溶性有機溶媒等)、重合禁止剤、蛍光剤、紫外線吸収材等が本発明の効果を妨げない範囲内で含有されていても良い。
【0039】
本発明材料は、これらの(a)〜(g)の成分を公知の方法により均一に混合することによって得ることができる。例えば、ミキサー、ニーダー等の混合機を用いて混合攪拌すれば良い。
【0040】
この場合、本発明材料の確認対象となる歯科用セメントが存在するわけであるが、その歯科用セメントの硬化体の屈折率を測定した上で、本発明材料の屈折率を制御すべく、前記の各成分の含有量を適宜調節すれば良い。各成分の単独での屈折率はそれぞれ既知であるところ、一般的には本発明材料の屈折率を高める場合は屈折率の高い成分を多く配合すれば良いし、反対に屈折率を下げる場合は屈折率の低い成分を多く配合すれば良い。例えば、ポリエチレングリコール(屈折率n1=1.465)に安息香酸ベンジル(屈折率n1=1.568)を混合する場合は、安息香酸ベンジルの含有量が増加するに従って屈折率は上昇する。このようにして本発明材料の屈折率を容易に制御することができる。
【0041】
本発明材料は、通常は液状又はペースト状の形態で提供される。すなわち、液状又はペースト状の歯科用色調適合確認材料であることが好ましい。
【0042】
2.歯科用補綴修復キット
【0043】
本発明は、前記1.に記載の歯科用色調適合確認材料とその確認対象となる歯科用セメントとの一対のセットを1又は2以上含む、歯科用補綴修復キットを包含する。
【0044】
歯科用セメント自体は、公知又は市販品と同様のものを用いることができる。例えば、レジンセメント等を好適に用いることができる。
【0045】
本発明キットでは、歯科用色調適合確認材料とその確認対象となる歯科用セメントとの一対のセットを1つのみでも良いが、それに加えて、異なる色調の歯科用色調適合確認材料と歯科用セメントとの一対のセットを1以上有していても良い。例えば、5種類の異なる色調の歯科用色調適合確認材料と、それに対応する5種類の歯科用セメントとのセット(合計10品)をキットとして提供することができる。
【0046】
3.歯科用色調適合確認方法
本発明は、歯科用セメントにより歯科用補綴修復物を支台歯に合着する前に、歯科用色調適合確認材料を用いて歯科用補綴修復物又はその仮修復物を支台歯に仮装着した状態を観察することによって、その確認対象となる歯科用セメントの硬化体の色調の適否を確認する方法であって、歯科用色調適合確認材料の屈折率nと前記歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認方法も包含する。
【0047】
本発明の確認方法は、上記の屈折率の差を有する歯科用色調適合確認材料と歯科用セメントとの一対を用いるほかは、公知の確認方法と同様に実施することができる。
【0048】
歯科用色調適合確認材料としては、前記1.の歯科用色調適合確認材料を好適に用いることができる。また、歯科用セメントとのセットとしては、前記2.のキットを好適に用いることができる。
【0049】
また、歯科用補綴修復物としては限定的ではなく、例えばクラウン、ブリッジ、インレー、オンレー、ベニア等のいずれにも適用することができる。本発明では、これら歯科用補綴修復物の仮修復物(プロビジョナルレストレーション)も用いることができる。
【0050】
確認方法としては、歯科用補綴修復物等の種類に応じて公知の手順に従えば良い。例えばラミネートベニアによる審美修復治療の場合は、治療対象となる歯を削って支台歯を形成する。次いで、支台歯に合着するためのラミネートベニアを支台歯の形状に合うように加工しながら作製する。歯科用セメントの代わりに、まず歯科用色調適合確認材料を用いて支台歯にラミネートベニアを仮装着する。仮装着した状態(外観)を観察し、隣接する歯との色調のバランス等を見る。その結果、所望の色調が得られた場合は、支台歯からラミネートベニアを取り外し、支台歯及びラミネートベニアに付着している歯科用色調適合確認材料を水洗する。その後、最終仕上げとして、その確認対象となる歯科用セメントを用いて支台歯にラミネートベニアを合着させて審美修復治療を完了させる。この場合、合着に先立って、予めラミネートベニアの接着面(支台歯との接触面)に対してエッチング処理、プライマー処理等の公知の処理を施しても良い。
【0051】
なお、仮装着した状態を観察した結果、所望の色調が得られなかった場合は、所望の色調が得られるまで、別の色調の歯科用色調適合確認材料を用いて同様の仮装着及び外観観察を行えば良い。
【実施例】
【0052】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0053】
(1)使用成分
実施例及び比較例で使用した化合物の略称を以下に示す。
・G:グリセリン
・PG:プロピレングリコール(溶媒)
・SB:安息香酸ナトリウム
・BB:安息香酸ベンジル
・2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・PEG400:ポリエチレングリコール(分子量400)
・シリカフィラー:シリカマイクロビーズ(平均粒径3.0μm)100重量部に対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18重量部を用いて表面処理したものを用いた。
・ガラスフィラー1:フルオロアルミノシリケートガラスをビーズミルで粉砕することによって平均粒径1.0μmのガラスフィラーを得た後、そのガラスフィラー100重量部に対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18重量部を用いて表面処理したものを用いた。
・ガラスフィラー2:フルオロボロアルミノシリケートガラスをビーズミルで粉砕することによって平均粒径1.0μmのガラスフィラーを得た後、そのガラスフィラー100重量部に対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18重量部を用いて表面処理したものを用いた。
・微粒子シリカ:デグサ製「アエロジルR972」平均粒径0.016μm
【0054】
(2)評価方法
各実施例及び比較例における歯科用色調適合確認材料の評価方法を以下に示す。
【0055】
(歯科用色調適合確認材料の色調適合試験)
歯科用樹脂系模型材(松風製「松風ダイカラーチェッカー」色調:7)を15mm×20mm×2.6mmの金型に充填し、充填した歯科用樹脂系模型材の表面にマイクロカバーガラスを圧接し、歯科用光重合器(松風製「ツイン重合器」)にて表裏各3分間光照射して重合硬化させる。この硬化体を15mm×20mm×2.4mmに整え、表面に深さ0.1mmの溝を作製し、下部試験体とする。
【0056】
光重合型歯冠用硬質レジン(松風製「セラマージュ」色調:T、T−Glass)を15mm×20mm×2.6mmの金型に充填し、充填した歯科用樹脂系模型材の表面にマイクロカバーガラスを圧接し、歯科用光重合器(松風製「ツイン重合器」)にて表裏各3分間光照射して重合硬化させる。この硬化体を15mm×20mm×1.0mmに整え、片面をバフ研磨することにより光沢な面に仕上げ上部試験体とする。
【0057】
次に、下部試験体の溝部に調整した歯科用色調適合確認材料を適量塗布し、その上に上部試験体を載せる。このとき、上部試験体の光沢な面を上にする。歯科用色調適合確認材料が下部試験体の溝部全体に拡がるよう圧接する(色調適合確認試験体−1)。その状態で、色調適合確認試験体−1の背後に標準白色板を置いて、C光源、測色視野角2°の条件で色度(L1、a1、b1)を測定する。上部試験体と下部試験体を分離し、付着している歯科用色調適合確認材料を取り除く。
【0058】
下部試験体の溝部に歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)を適量塗布し、その上に上部試験体を載せる。このとき、上部試験体の光沢な面を上にする。歯科接着用レジンセメントが下部試験体の溝部全体に拡がるよう圧接し、歯科用光重合器(松風製「ツイン重合器」)にて上部から3分間光照射して歯科接着用レジンセメントを重合硬化させる(色調適合確認試験体−2)。その色調適合確認試験体−2を背後に標準白色板を置いて、C光源、測色視野角2°の条件で色度(L2、a2、b2)を測定する。歯科用色調適合確認材料圧接状態(色調適合確認試験体−1)と歯科接着用レジンセメント圧接硬化状態(色調適合確認試験体−2)との色差ΔEを下記式に基づき算出する。なお、測色器としては、ミノルタ製分光測色計(CM−2002)を使用した。
【0059】
ΔE={(L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)1/2

【0060】
ΔEから歯科用色調適合確認材料が歯科接着用レジンセメントの試適材料として優れているか評価した。ΔE*の値が小さいほど歯科用色調適合確認材料圧接状態と歯科接着用レジンセメント圧接硬化状態での色差が少なく、試適材料としてより優れていることを示す。
【0061】
更に、歯科医師及び歯科技工士10人が、上記色調適合確認試験体−1と色調適合確認試験体−2の色調を目視にて確認を行った。確認方法は、色調適合確認試験体−1と色調適合確認試験体−2を白紙及び色調確認用グレー板の上に並べて置き、目視にて色調の差があるか無いかを確認した。
【0062】
(屈折率の測定)
歯科用色調適合確認材料の屈折率は23℃にてアッベ屈折計(アタゴ製「アッベ屈折計2T」)により測定した。測定は「アッベ屈折計2T」の使用説明書に従って行った。 同一試料について2回測定を行い、その平均値から屈折率を算出した。
【0063】
<実施例1>
Gを85重量部、SBを15重量部、ポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することにより液体歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0064】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、ΔEが0.340と小さな色差を示した。また、目視にて10人中10人が色の差が無いと判断した。
【0065】
屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出したところ、−0.016であった。
【0066】
<実施例2>
Gを85.0重量部、SBを15.0重量部、微粒子シリカを10.0重量部、ポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することにより微粒子フィラー含有ペースト状歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0067】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、ΔEが0.336と小さな色差を示した。また、目視にて10人中10人が色の差が無いと判断した。
【0068】
屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出したところ、−0.019であった。
【0069】
<実施例3>
Gを85.0重量部、SBを15.0重量部、ガラスフィラー1を66.7重量部、微粒子シリカを3.4重量部、ポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することによりフィラー含有ペースト状歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0070】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、ΔEが0.368と小さな色差を示した。また、目視にて10人中10人が色の差が無いと判断した。
【0071】
屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出したところ、−0.016であった。
【0072】
<実施例4>
PEG400を44.0重量部、BBを56.0重量部、2−HEMAを25.0重量部、ポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することにより液体歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0073】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、ΔEが0.385と小さな色差を示した。また、目視にて10人中10人が色の差が無いと判断した。
【0074】
屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出したところ、−0.002であった。
【0075】
<比較例1〜4>
水、PG、2−HEMA、PEG400をそれぞれ単独で用いて歯科用色調適合確認材料とした。
【0076】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、水、PG、2−HEMA、PEG400を用いた際のΔEがそれぞれ1.907、0.959、0.769、0.653であり、実施例1に比較して大きな色差を示した。また、目視による確認においても、色の差が無いと判断した人数は0人であった。
【0077】
さらに、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出したところ、それぞれ−0.176、−0.075、−0.055、−0.041と実施例1に比較して屈折率との差(n−n)は大きかった。
【0078】
<実施例5〜10>
表1に示す成分組成を用い、これらをポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することにより液体歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0079】
得られた液体歯科用色調適合確認材料について、実施例1と同様に各種特性を評価した。その結果、ΔEは小さな色差を示し、目視にて10人中9〜10人が色の差が無いと判断した。また、屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出した。これらの評価結果を表1に示す。
【0080】
<比較例5〜7>
表1に示すように実施例2〜7と同じ成分を用い、配合割合を変えたほかは、実施例2〜7と同様に液体歯科用色調適合確認材料を調製し、各種特性を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
【0081】
比較例5〜7は、それぞれ、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲外になる組成であり、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いた際のΔEが0.471、0.461、0.474と実施例2〜7に比較して大きな色差を示した。また、目視による確認においても、色の差が無いと判断した人数は1人、2人、1人と少なかった。
【0082】
<実施例11〜19>
表2に示す成分組成を用い、これらをポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することによりフィラー含有ペースト状歯科用色調適合確認材料を調製した。
【0083】
歯科用色調適合確認材料の色調適合試験に従い、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T及びT−Glassを用いてΔEを測定した。その結果、ΔEは小さな色差を示し、目視にて10人中9〜10人が色の差が無いと判断した。
【0084】
また、屈折率の測定に従い屈折率を測定し、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)を算出した。これらの評価結果を表2に示す。
【0085】
<比較例8〜12>
表2に示す成分組成を用い、これらをポリプロピレン製容器に投入し、ターブラーミキサーにて混合することによりフィラー含有ペースト状歯科用色調適合確認材料を調製した。実施例8〜16と同様に各種特性を評価した。これらの評価結果を表3に示す。
【0086】
比較例8〜12は、それぞれ、用いた歯科接着用レジンセメント(松風製「レジセム」色調:C)硬化体の屈折率との差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲外になる組成であり、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:Tを用いた際のΔEが0.606、0.519、1.297、1.915、3.174と実施例8〜16に比較して大きな色差を示した。また、目視による確認においても、色の差が無いと判断した人数は2人、1人、0人、0人、0人と少なかった。さらに、上部試験体に松風製「セラマージュ」色調:T−Glassを用いた際のΔEが1.737、0.833、0.525、0.937、1.981と実施例8〜16に比較して大きな色差を示した。また、目視による確認においても、色の差が無いと判断した人数は0人、0人、1人、0人、0人と少なかった。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用色調適合確認材料であって、前記材料の屈折率nと前記材料の確認対象となる歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認材料。
【請求項2】
(1)グリセリン(a)及びポリエチレングリコール(b)の少なくとも1種の親水性成分、並びに(2)少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(c)を含有する、請求項1に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項3】
前記親水性成分40〜95重量部及び前記化合物5〜60重量部の合計100重量部からなる、請求項2に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項4】
少なくとも1つの芳香族基を含む化合物(c)が、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸のエステル及び芳香族カルボン酸の塩の少なくとも1種である、請求項2又は3に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項5】
前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体(d)1〜50重量部をさらに含む、請求項2〜4のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項6】
少なくとも1つの水酸基を含む重合性単量体(d)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである、請求項5に記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項7】
前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、平均粒径0.1μm以下の微粒子フィラー(e)1〜30重量部をさらに含む、請求項2〜6のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料
【請求項8】
前記親水性成分及び前記化合物の合計100重量部に対し、平均粒径0.5〜20μmの粗粒子フィラー(f)40〜240重量部をさらに含む、請求項2〜7のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項9】
顔料(但し、前記微粒子フィラー及び粗粒子フィラーを除く。)をさらに含む、請求項2〜8のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の歯科用色調適合確認材料とその確認対象となる歯科用セメントとの一対のセットを1又は2以上含む、歯科用補綴修復キット。
【請求項11】
歯科用セメントにより歯科用補綴修復物を支台歯に合着する前に、歯科用色調適合確認材料を用いて歯科用補綴修復物又はその仮修復物を支台歯に仮装着した状態を観察することによって、その確認対象となる歯科用セメントの硬化体の色調の適否を確認する方法であって、歯科用色調適合確認材料の屈折率nと前記歯科用セメントの硬化体の屈折率nとの差(n−n)が−0.040〜+0.020の範囲内にある、歯科用色調適合確認方法。

【公開番号】特開2010−143851(P2010−143851A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321984(P2008−321984)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】