説明

歯科補綴物作成方法

【課題】歯科補綴物を作成する方法、および選択範囲内の圧粉体強度を有する酸化ジルコニウムセラミックスの予備焼結済ブランクを提供する。
【解決手段】a)ブランクを準備するステップと、b)フライス削り工程により前記ブランクを機械加工するステップと、c)1200〜1650℃の温度範囲で前記ブランクを高密度焼結するステップと、を含み、前記ブランクが予備焼結済材料を含み、31〜50MPaの圧粉体強度を有する歯科補綴物を作製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科補綴物を作成する方法に関する。本発明はまた、選択範囲内の圧粉体強度を有する酸化ジルコニウムセラミックスの予備焼結済ブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス歯科補綴物は通常、高密度焼結セラミックスの研削によって作製される。
【0003】
例えば、EP−B−0 160 797は、ブランクと、研削工具による歯型作製時のその使用法について記載している。更に、EP−A−0 630 622は、一定の組成のブランクを回転工具による研削にかける、セラミックス歯科補綴物の作製方法について開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高密度焼結ブランクの研削で発生する特殊な欠点は、これが極めて硬いため、研削時間が長くかかり、工具の磨耗も激しいことである。そのため、このようなブランクの加工コストは非常に高いものとなる。
【0005】
セラミックス歯科補綴物の機械加工または作製における研削工程の更なる欠点は、画定された切刃が存在せず、高精度の形状を有する研削ブランクを得ることができないことである。
【0006】
一定の硬度にまで予備焼結されたブランクの機械加工については、EP−A−0 630 622の第3頁第3列第13行目にその原理が記載されているが、これらのブランクはまだ研削工程によって機械加工されている。
【0007】
予備焼結したブランクの硬度は高密度焼結ブランクより低く、無焼結ブランクより高い。そのため、原則的には、機械加工を容易にするため、あるいは機械加工を可能にするために予備焼結済ブランクを使用することが望ましい。
【0008】
このようにすれば、加工工具の磨耗も軽減するため、各工具の寿命も伸び、コストが大きく低減する。高密度焼結時のセラミックスの収縮が予測可能であることから、製造される微細構造のサイズを更に小さくでき、きわめて細かい微細構造の製造がはじめて可能になる。予備焼結済ブランクを用いれば、機械加工時に頻繁に発生するセラミックスへの微細な損傷を高密度焼結工程の中で是正することができる。
【0009】
非高密度焼結状態における機械加工による歯科補綴物の製造は、セラミックスブランクのすべての空間方向において強度および硬度、そして密度が完全に均一分布されていることが必要であるが、このような分布は特にブランクの予備焼結後に確保される。線条細工構造またはマルチユニットブリッジを生産するときには、不均質が少しでもあると破断点が生じ、それが機械加工時のこうした複雑な構造体の耐久性を大きく損じたり、可変的な焼結挙動を起こしたりする結果、焼結時に被加工物のひずみとして顕れる場合があるので、セラミックスの密度および硬度分布の変動を回避することが有利である。このようなひずみができると、嵌め合い精度が悪化し、歯科補綴物が使用不能なものになってしまう。
【0010】
予備焼結済ブランクの加工はこれまでのところ、以下の理由により、技術規模では実用化されていない。
【0011】
加工後の予備焼結済ブランクの高密度焼結には寸法変化が伴う。この変化は算出が困難で、また複雑な手順によらないと真実のミリングパラメータに設定できない。そのため、嵌め合い精度を有しない歯科補綴物は、続いて高密度焼結後の矯正を行う必要がある。このような矯正は、高密度焼結済歯科補綴物の硬度が比較的高いことから腐食法を使用して実行する必要があり、高密度焼結工程で発生する表面構造への損傷の自己回復が反復不能であるため、非常に危険であると考える必要がある。
【0012】
そこで、予備焼結セラミックスブランクを使用して、嵌め合い精度を有する歯科補綴物を作成する方法に対する大きな必要性が存在する。
【0013】
本発明の目的は、したがって、嵌め合い精度を有する高精度の歯科補綴物を作成する改良法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、この目的は次のステップを含む歯科補綴物製造方法により実現可能である。
a)ブランクの作製
b)フライス削りによるブランクの加工
c)1200〜1650℃の温度範囲内でのブランクの高密度焼結
ここで、このブランクは予備焼結済材料を含み、また31〜50MPa、好ましくは31〜40MPaの圧粉体強度を有する。
【0015】
本発明におけるブランクは、材料または圧粉体から構成された非加工ブロックであり、後で機械加工による成形を受ける。このようなブランクは、極めて広い範囲の材料、とりわけセラミックスから構成できる。
【0016】
本発明における歯科補綴物は、特に歯冠、あるいはスリーユニットまたはマルチユニットブリッジであると理解する必要がある。本発明によるブランクは、スリーユニットおよびマルチユニットのブリッジの製造に特に適している。
【0017】
この発明における機械加工は、ブランクが自然の歯にできるだけ近い形状へ加工されるという結果を伴う、当該ブランクを成形するためのフライス削りを意味すると理解する。機械加工は、上述のように加工されたブランクのクリーニング、またはブランクホルダー内への当該ブランクの埋め込みに起因する支持または保持構造物の除去と理解すべきではない。これはたとえこのようなクリーニングがフライス削り工程により実行可能な場合であっても当てはまる。
【0018】
本発明の意味における「含む」という言葉は、構成要件を他に備えてもよい意味である。
【0019】
セラミックス製歯科用ブランクについて先行技術から周知されている通例の圧粉体強度は、例えば75〜110MPaの比較的高い強度範囲内にあり、このようなブランクは本発明の利用には適していない。
【0020】
本発明に基づく、上記範囲外の圧粉体強度を有する予備焼結済ブランクを機械加工しても有用な結果を生まないことが判明している。圧粉体強度がこれより低いとブランク硬度が低下してフライス削り工程で壊れる可能性があるのに対して、圧粉体強度がこれより高いとブランクの硬度が高くなりすぎて通常の加工工程での機械加工ができなくなる。
【0021】
本発明に従って予備焼結されたブランクの加工は、フライス削り工程により実行される。フライス削り工具の極めて鋭い切刃は、極めて細かい微細構造体の作製を可能にする。この予備焼結状態におけるブランクの硬度と強度は低いため工具の切刃は長期間使用しても鈍化しない。ブランクのフライス削りでは、この機械の工具は、粗加工の場合、例えば回転数5,000〜40,000回転/分、好ましくは15,000〜25,000回転/分で、前進速度20〜5,000mm/分、好ましくは500〜3,500mm/分で動作する。微細加工の場合、例えば、回転速度5,000〜50,000回転/分、好ましくは18,000〜35,000回転/分で、前進速度20〜5,000mm/分、好ましくは500〜3,500mm/分で実行される。いずれの加工ステップにおいても、例えば直径が0.8〜4mmのフライス削り工具が使用される。
【0022】
特に好ましくは、これらのブランクは、例えばEP−A2−0 824 897の実施例で説明されているように、支持構造物なしで加工される。加工作業は、歯の断端に接する仕上げ加工済み歯科補綴物の側からと、歯の断端に接しない側とから行われ、高密度焼結作業時に、ブランクを高温埋め込み構成で取り囲んだり支持したりする必要のないことが特に有利である。
【0023】
高密度焼結の過程で、被加工ブランクは、焼結工程でのひずみを避けるため、例えば特許出願DE−199 04 523から周知のように、焼成中に発生する寸法の収縮に自動的に適応する支持装置を使って保持することができる。
【0024】
これらのブランクは通例の歯科用セラミックスから構成可能である。歯科用セラミックスは、本発明においては、通例のセラミックス構成要素を含むことに加え、焼結助剤など、他の構成要素(添加物)も少量含む組成を意味すると理解すべきである。構成要素や重量%という形態での調合データは、それ以上の添加物を含まない製品に常に関連している。予備焼結または最終焼結セラミックスなどでは、運動的、熱力学的、または化学的理由から微量の添加物は含まれる可能性があり、本発明の範囲内に含まれると理解すべきである。
【0025】
特に、不純物の存在は、ガラス相またはガラス状部分の形成を促進する。従って、高密度焼結時にガラス相またはガラス状部分を形成しないブランクにも好ましい。
【0026】
本発明に係るブランクは、収縮時における直線性からの逸脱が、空間方向あたり0.05%未満、特に0.01%未満であるのが好ましい。
【0027】
本発明に係るブランクは、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムセラミックスから構成されるのが好ましく、特に酸化ジルコニウムセラミックスが好ましい。
【0028】
非金属無機系の強度は、一般的に限界応力拡大係数KICに依存することが知られている。この係数は純粋な結晶系よりも、例えばガラスなどのアモルファス材料の方が大幅に低い(D. Munz/T.Fett: Mechanisches Verhalten keramischer Werkstoffe, Springer−Verlag)。したがって、セラミックスの強度は、粒子境界にアモルファス相が形成されるときにも低減される。したがって、本発明に従う使用に特に適しているセラミックスは、例えば、EN 843に従って決定された5〜10、好ましくは8〜10のKIC値を有するものである。
【0029】
驚くべきことに、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウム各元素の酸化物のうちの少なくとも1つを焼結添加物として0.1〜0.50重量%有する酸化ジルコニウムセラミックスが、特に有利で均一配分された硬度と強度を呈示することが判明した。これらはしたがって、本発明による、複雑な歯科補綴物および線条細工構造体の生産に特に適している。これは、上記元素の酸化物が上に定義された量で添加され、均一に分散され、そして濃度を変化させることで不均一に分散されない(不純物などのように)場合に有利である。このような均一の分散は、本発明の実施例に記載する如く、例えば共沈などにより達成できる。
【0030】
さらに、予備焼結工程で粒子の均一な分散が形成されると有利である。これらの粒子の粒子形状は等軸で平均粒径が1ミクロン以下、特に0.7ミクロン以下であるのが好ましい。
【0031】
本発明での使用に適するブランクは、通常、50〜65%の細孔容積を有する。細孔の平均サイズは、通常、3ミクロン〜0.1ミクロンの範囲であり、2ミクロン〜0.2ミクロンの範囲が好ましい。
【0032】
このようなセラミックスの場合には、予備焼結工程は、本発明による圧粉体強度を達成するためには、850〜1000℃、好ましくは950〜995℃の好適な温度範囲内で実行される。この予備焼結工程は、例えば30〜55時間実行される。
【0033】
このようなセラミックスシステムは、周知のとおり、非等方性の収縮を生じる傾向性を有する。つまり、これらは、3つの空間方向に異なる収縮を呈するのである。それぞれの空間方向のこの収縮は、それ自体線形であるため、このようなセラミックスは極めて高い嵌め合い精度と複雑性を有する歯科補綴物の製造に非常に適している。
【0034】
医学の分野での酸化ジルコニウムセラミックスの使用は一般的に知られている。しかし、この酸化ジルコニウムは、モディフィケーションが変化することから、焼結後の冷却過程でその体積変化が激しいため、機械的用途には使用することができない。しかし、このプロセスは、酸化マグネシウム、酸化セリウム、または酸化イットリウムを添加することで抑制できる。Industrie Diamanten Rundschauの特別出版物「Aluminium−und Zirkonoxidkeramik in der Medizin」(IDR 2/1993)とEP−A−0 634 149の中に記載されている。
【0035】
このようなセラミックスに、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウムといった元素の酸化物の少なくとも1つの0.1〜0.50重量%、好ましくは0.15〜0.50重量%、更には0.20〜0.50、更に絞り込んで0.25〜0.50重量%添加すると、焼成温度が下がり、使用時状態での安定性と加水分解抵抗が高まる。このようなデータは、東ソーの「Zirconia Powder」09/97の製品情報の中に、アルミニウムの酸化物に関して記載されている。しかし、このセラミックスは、本発明に基づく嵌め合い精度を有する歯科補綴物の生産には適さない。それは、本発明による圧粉体強度を遵守しないかぎり、上述の効果によって、高精度歯科補綴物を形成するためのフライス削りが不可能であるからである。
【0036】
本発明は、また、組成物(1)の酸化ジルコニウムセラミックスの予備焼結済ブランクであって、
(A)酸化ジルコニウムを91〜98.45重量%、好ましくは91〜97.25重量%と、
(B)酸化ハフニウムを0〜3.5重量%、好ましくは0〜2.5重量%と、
(C)酸化イットリウムを1.5から6.0重量%、好ましくは2.5〜6.0重量%と、
(D)元素アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウムの酸化物のうち少なくとも1つを0.05〜0.50重量%、好ましくは0.15〜0.50重量%、更には0.20〜0.50重量%、更に絞り込んで0.25〜0.50重量%と、
(E)着色添加剤を0〜1.9重量%、好ましくは0.0005〜1.5重量%と、
を含み、
この重量%が100%まで増加することが必要であり、ブランクは31〜50MPa、好ましくは31〜40MPaの圧粉体強度を有する、
予備焼結済ブランクに関連する。
【0037】
組成物(1)の構成要素(E)は、Pr、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mnからなる群の要素の着色酸化物を含み、Fe、Er、またはMnOを使用することが好ましいものと理解すべきである。
【0038】
本発明は、また、セラミックス歯科補綴物を作製する方法であって、組成物(1)のブランクが適切な加工作業によって、収縮に対応した、最終歯科補綴物の特大モデルに変換され、次にその最終寸法にまで高密度焼結される方法に関する。収縮に対応したモデルとは、理論的に収縮が予想される部分にしたがって拡大された、所望の歯科補綴物のモデルであると理解されるべきである。
【0039】
組成物(1)の技術的作製は、市販のジルコニウムサンドに含まれる組成物(1)の構成要素(A)と(B)をHClに溶解することと、溶解性の乏しい不純物の機械的分離と、添加物(C)と(D)との組み合わせとによって実行される。これらの添加物はHClでの処理の後に、同様に酸塩化物または塩化物として、水性の強酸性の溶液という形で存在する。
【0040】
着色作用を有する構成要素(E)による添加物は次にHClへの溶解によって得られる塩化物の形で同様に添加される。
【0041】
次に、加水分解による溶解構成要素の共沈、沈殿生成物の仮焼、仮焼生成物を最終微細度までへの研削、そして仮潤滑剤とバインダーを使用した噴霧乾燥が続く。
【0042】
このようにして得られた粒子は、周知の圧縮技術を使用して所望の初期形状に成型可能である。その結果得られた圧粉体は、バインダー依存熱処理によってバインダーフリーになり、850〜1000℃の温度で、好ましくは950〜995℃の温度で、例えば滞留時間0.5〜4時間で予備焼結される。
【0043】
(A)〜(D)の構成要素を含むセラミックス粉は市販されている(日本国東京の東ソー)。
【0044】
CAD/CAMまたは倣いフライス削りなど、従来式の工程で機械加工されたブランクは、1200〜1650℃、特に1350〜1550℃で、滞留時間を例えば1〜3時間として高密度焼結される。
【0045】
高密度焼結を行う前に、個別着色など、審美的な処理を実行できることが好ましい。適正な方法としては、特許出願DE−199 04 522よる各方法、などが含まれ、希土類元素、ランタニド、あるいはFe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mnのグループからの元素の塩のうちの少なくとも1つのイオン溶液を使用することが優先される。
【0046】
高密度焼結の後、必要に応じて、歯科補綴物に加工されたセラミックスブランクがブランクホルダーから外される。例えば、実用新案DE−298 154 86に基づくホルダーを加工中に使用することができる。ブランクホルダーから取り外した後、必要に応じて、ブランクホルダーと加工済みブランクとの間の位置決めピンまたは接続点を取り外す目的で、当該ブランクの更なる加工を行うことができる。
【0047】
更に、このブランクは通常の操作によりベニヤ加工することができる。その目的のために、ブランクと同一の熱膨張係数を有するベニヤ組成をブランク上に焼成することができる。本発明に適切なブランクは、例えば、9.0〜10.5ppm/K、好ましくは9.4〜9.8ppm/Kの熱膨張率を有することができる。
【0048】
本発明は、実施例により更に詳細に説明されるが、本発明はそれによって限定されない。
【0049】
これらの陳述文との文脈における強度、特に破断強度に関するデータは、ISO6872に記載の「3ボール上パンチング試験(Punch on three ball test)」に関するものである。
【0050】
本発明によるブランクの製造は、加圧により得られるプリフォームの使用ではじまる。このようなプリフォームは、例えば、塩化物、酸塩化物、または硝酸塩などから生産される。実施例では塩化物が使用されている。
【実施例】
【0051】
製造実施例1と2
酸化アルミニウム含有物を有する酸化ジルコニウムセラミックス
【0052】
ドープし、圧縮した微粉を完成品として約200gを得るため、次の表に基づいた各構成要素が蒸留水に溶解された。
【0053】
【表1】

【0054】
ここで、32リットルの6MNHOH水溶液が上記溶液に添加され、加水分解により溶解構成要素の共沈が続いて行われる。化学量論的要件に対して少なくとも30倍過剰なOH濃度が望ましい。続いて、共沈生成物は、Clが除去されるよう洗浄されなければならない。共沈生成物の仮焼は、0.75時間、700℃で実行され、その後、焼成物を最終的な粉末度D50=0.6ミクロンにまで研削が行われ、そしてまた仮潤滑剤とバインダー(ここでは、酸化物バッチに基づいて、2.0重量%のPVA、0.15重量%のオレイン酸)を使用した噴霧乾燥プロセスが行われる。
【0055】
その結果得られる微粒は、1500〜2500バール、好ましくは1700〜2200バールの静水圧プレスにより、寸法d=31mmとl=150mmの寸法のプリフォームに成型される。
【0056】
これらのプリフォームは、熱処理(加熱速度:650℃まで4K/分、1時間の滞留時間)によってバインダーフリーにし、温度970℃、滞留時間0.5時間で予備焼結して、本発明による使用に適したブランクを形成する。
【0057】
方法例
嵌め合い精度を有するブリッジの作製では、製造実施例1および/または2に従って製造されるブランクが、CAD/CAMシステムを使用してフライス加工され、以下のパラメータで高密度焼結される。
【0058】
加熱速度:10K/分で最終温度1500℃に加熱
最終温度での滞留時間: 2時間
【0059】
いずれの場合においても、結果は、高強度(σ>1000MPa)と極めて高い嵌め合い精度を有する歯科補綴物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科補綴物を作製する方法であって、
a)ブランクを準備するステップと、
b)フライス削り工程により前記ブランクを機械加工するステップと、
c)1200〜1650℃の温度範囲で前記ブランクを高密度焼結するステップと、
を含み、前記ブランクが予備焼結済材料を含み、31〜50MPaの圧粉体強度を有する、方法。
【請求項2】
前記ブランクが31〜40MPaの圧粉体強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブランクのフライス加工時に、前記機械の工具が、粗加工時には回転数5,000〜40,000回転/分および前進速度20〜5,000mm/分で、微細加工時には回転数5,000〜50,000回転/分および前進速度20〜5,000mm/分で動作し、いずれの場合も、フライス工具が0.8〜4mmの直径を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブランクが歯の断端に接触している側、および歯の断端に接触していない側から加工される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予備焼結済ブランクが酸化ジルコニウムセラミックスまたは酸化アルミニウムセラミックスを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記予備焼結済材料が、酸化ジルコニウムセラミックスを含み、さらに、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウム各元素の酸化物の少なくとも1つを0.10〜0.50重量%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予備焼結済材料が、
(A)酸化ジルコニウムを91〜98.45重量%と、
(B)酸化ハフニウムを0〜3.5重量%と、
(C)酸化イットリウムを1.5〜6.0重量%と、
(D)アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウム各元素の酸化物の少なくとも1つを0.05〜0.50重量%と、
(E)着色剤を0〜1.9重量%(酸化物として計算)と、
を含み、前記重量%が合計で100%とされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
酸化ジルコニウムセラミックスの予備焼結済ブランクであって、
(A)酸化ジルコニウムを91〜98.45重量%と、
(B)酸化ハフニウムを0〜3.5重量%と、
(C)酸化イットリウムを1.5〜6.0重量%と、
(D)アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウム各元素の酸化物の少なくとも1つを0.05〜0.50重量%と、
(E)着色剤を0〜1.9重量%(酸化物として計算)と、
を含み、前記重量%が合計で100%とされ、前記ブランクが31〜50MPaの圧粉体強度を有する、予備焼結済ブランク。
【請求項9】
請求項8に記載の予備焼結済ブランクであって、
(A)酸化ジルコニウムを91〜98.35重量%と、
(B)酸化ハフニウムを0〜2.5重量%と、
(C)酸化イットリウムの1.5〜6.0重量%と、
(D)アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、およびインジウム各元素の酸化物の少なくとも1つの0.15〜0.50重量%と、
(E)着色剤を0〜1.9重量%と、
を含み、前記重量%が合計で100%とされる、予備焼結済ブランク。
【請求項10】
請求項8に記載された予備焼結済ブランクであって、
(A)酸化ジルコニウムを91〜98.45重量%と、
(B)酸化ハフニウムを0〜3.5重量%と、
(C)酸化イットリウムを1.5〜6.0重量%と、
(D)酸化アルミニウムを0.05〜0.50重量%と、
(E)着色剤を0〜1.9重量%と、
を含み、前記重量%が合計で100%とされることが必要な、予備焼結済ブランク。
【請求項11】
850〜1000℃の温度で焼結することによって取得される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の予備焼結済ブランク。
【請求項12】
空間方向ごとの収縮の直線性からの逸脱が0.05%未満である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の予備焼結済ブランク。
【請求項13】
31〜50MPaの圧粉体強度を有する予備焼結済材料のブランクであって、高密度焼結前に機械加工されるブランクの、歯科補綴物を作製する方法における使用。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか一項に記載のブランクが、フライス削りを行うことによって、収縮に対応した最終歯科補綴物の特大モデルに加工され、その最終寸法まで高密度焼結される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科補綴物を作製する方法。
【請求項15】
請求項8〜12のいずれか一項に記載のブランクがCAD/CAM方法によって、収縮に対応した最終歯科補綴物の特大モデルに加工され、その最終寸法まで高密度焼結される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科補綴物を作製する方法。
【請求項16】
前記予備焼結済ブランクが、機械加工後に、審美的目的のために更に機械加工され、その最終寸法まで高密度焼結される、請求項14または15に記載の方法。

【公開番号】特開2008−55183(P2008−55183A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253884(P2007−253884)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【分割の表示】特願2002−563896(P2002−563896)の分割
【原出願日】平成14年2月14日(2002.2.14)
【出願人】(500213199)スリーエム エスペ アーゲー (6)
【Fターム(参考)】