説明

歯科診療情報処理システム

【課題】簡便に記入し得ると共に、患者に対する情報提供書類の発行を直ちに行うことができ、データの確認およびチェック並びに修正を可能とし、登録されたデータの検索、表示、プリントアウト等も簡便に行うことができ、総合的な訪問歯科診療等における各種情報のデータ管理を円滑に達成することが可能な歯科診療情報処理システムを提供する。
【解決手段】電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する歯科診療情報処理システムであって、前記データファイルをチェックリスト化した診療部位、病名、処置等に関するデータをそれぞれ項目別にチェック欄として作成し印刷表示した複数の電子ペーパとして構成し、この電子ペーパを使用して前記診療部位、病名、処置等に関するデータをホストコンピュータのサーバに蓄積するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訪問歯科等における歯科診療に伴う患者の診察および治療行為に基づく歯科カルテ、レセプトおよび患者に対する治療計画・指導・経過に関する情報提供書類の作成を簡便に行うことができる歯科診療情報処理システムであって、特にPC入力に代えて、電子ペンと電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを利用すると共に、基本的にチェックリスト化したデータファイルへのチェック入力手法を採用して、入力された歯科診療データに基づく歯科カルテおよびレセプトの作成、確認、保存、管理、検索等の作業を簡便に遂行することができる歯科診療情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護、訪問歯科等の管理業務においては、各種の記録用紙とこれに記入するペン等の筆記具を使用する手作業が多く、煩雑である。このような作業および管理形態を有する業務においては、記録用紙の保存および管理は膨大となり、その取り扱いについて問題となっている。
【0003】
また、前記記録用紙に記入された各種データのデータ管理においては、記録用紙への記入に基づいてコンピュータへデータ入力する必要がある。そこで多数の記録用紙についてまとめる作業を行う場合には、例えば紙媒体に手書きされた文字を転記する必要があり、その作業に膨大な手間と時間とを要するばかりでなく、転記ミスを生じる可能性もある等、種々の問題がある。
【0004】
例えば、訪問歯科等の歯科診療において、歯科医師が患者の診療をした場合、その診療内容について患者毎に歯科カルテ、レセプト(診療報酬の請求明細書)の作成が行われる。また、近年においては、レセプトの作成に伴い、患者に対する治療計画・指導・経過に関する情報提供書類を作成してこれを患者に対して交付すると共にレセプトと共に所要の保険機関に提出することが義務付けられている。
【0005】
このような歯科診療に関する各種書類の作成および記録が必要とされることから、従来において、コンピュータシステムを利用して、前述したような煩雑な記録処理を行う歯科カルテおよびレセプトの作成を簡便に行うことができるようにした歯科診療情報処理支援システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の歯科診療情報処理支援システムは、処理起点を治療種別・名称の特定を行い、次に歯または歯の口腔内組織の該当箇所を特定し、次に治療内容の指定が必要な場合にはこのために開示した画面から最寄りの項目を選定し、カルテ代書に必要なデータとしての「今、何を・どこに・どうしたか」が入力される。以後は、瞬時にこれらのデータに基づきカルテが一括代書されてこの内容が表示される。そして、治療術式単位にこれに該当する傷病名がデータベース化されているので、これに基づきカルテが代書表示された時点で、該当傷病名の選択画面が開示し、ここでの傷病名の選定によりレセプト作成のためのデータが全て揃うため、以後自動的にレセプト作成処理を行うものである。
【0007】
また、歯科医師が患者の診療をした場合に要求される、患者の治療計画・指導・経過に関する情報提供書類の作成については、所要の情報提供用紙に治療計画・指導・経過を、医師が簡便に書き込みをできるような記入例が書かれた分かりやすいツールとなると共に、患者が所持して簡便に利用することができる、歯科診療における患者への情報提供を確実に実行できる下敷きと手帳が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
すなわち、特許文献2に記載の歯科診療における患者への情報提供を確実に実行できる下敷きと手帳は、記入用紙の4倍大の下敷きを作成し、記載する情報提供用紙の下へ差し込むものであって、差し込み箇所を変えることにより、8種類の記入例を利用することができるように構成される。そして、複写用紙からなる情報提供用紙を備えた手帳を患者が保持し、歯科医師から受けた治療計画・指導・経過を随時確認することができるものとなる。
【0009】
しかるに、従来において、コンピュータシステムを利用した医療情報の入力手段として、手書きの文字等を電子データとして取得する電子ペンを利用して、医療情報の管理を効率的にかつ安全に行うようにした、医療情報入力システムが提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
すなわち、特許文献3に記載の電子ペンを利用した医療情報入力システムは、(1)記録用紙に手書きで記載された情報を電子データとして取得する電子ペンを用い、患者についての情報を電子データとして作成し、処理するシステムであって、(2)看護される患者を識別する実患者情報、前記患者を担当する職員が看護記録を記入する記録用紙に付されている患者の情報である記録患者情報、および看護記録を前記電子ペンから受信する手段と、(3)前記実患者情報と前記記録患者情報に基づいて、看護すべき患者を認証する認証手段と、(4)認証された患者についての看護記録を記録する看護記録データベースと、(5)認証結果を前記職員に通知する情報を送信する手段と、を有する構成からなる。
【0011】
このように構成される医療情報入力システムによれば、患者についての情報を電子データとして管理することが可能になり、医療現場における業務の効率化を図ることができると共に、前記電子データの取得を効率的にしかも操作性良く行うことが可能となる。
【0012】
前記特許文献3に記載の電子ペンを利用した医療情報入力システムにおいては、電子ペンと、それに対応した記録用紙、そして看護記録を電子データとして保存するデータベースが構築されたサーバを備える。すなわち、ドットパターンが印刷されることで電子処理用ペーパとして機能する記録用紙である看護記録入力用紙に記入された内容を、電子ペンで電子データとして取得し、取得した電子データをサーバに送信し、サーバにおいて所定のデータ処理を行う構成からなるものである。
【0013】
このような電子ペンと電子処理用ペーパとして機能する記録用紙とを組み合わせて、手書きの情報を電子記録する技術については、既に多くの文献において提案され、現在実用化されている(例えば、特許文献4参照)。すなわち、特許文献3においては、手書きの情報を記録する電子ペンとその記録方法について開示されている。
【0014】
また、前記特許文献4と同様に、電子ペン(例えば、アノトペン)と電子ペーパ(例えば、アノトペーパ)とを使用するものであって、それぞれ個別に識別可能な電子ペンを使用して電子ペーパに記入することにより、どの電子ペンで、どの電子ペーパのどの位置に、何を書いたかを認識することができるようにした、看護業務における知識提示システムが提案されている(特許文献5参照)。
【0015】
【特許文献1】特開2000−048092号公報
【特許文献2】特開2007−301961号公報
【特許文献3】特開2004−030257号公報
【特許文献4】特開2005−510791号公報
【特許文献5】特開2006−285565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述したように、今日の歯科診療においては、歯科医師としての歯科診療に伴い、歯科カルテ、レセプトおよび情報提供書類等の作業が必要であるばかりでなく、特に近年においては、訪問歯科診療の需要も増加する傾向にあることから、歯科医師の歯科診療に伴う診療データの作成作業は極めて煩雑となり、歯科医師の歯科診療にも支障を来す恐れがある。
特に、歯科診療に伴う診療データの作成に際しては、診療部位が多数存在することと、それらの病名および処置についても多大な種類と内容に亘ることから、従来においてはそれらの部位、病名、処置等についての診療データは、歯科医師が所定の項目に従って具体的に記入することが行われている。
【0017】
また、前述したような煩雑な歯科診療における診療データの作成に際して、電子ペンと電子ペーパを使用することによって、診療データの作成作業を容易化することも考えられるが、電子ペンによる文字等の認識については、簡単な数字記号と比べてその認識率が低いため、コンピュータによるデータ化に際して誤変換を生じる可能性が多くなり、信頼性に問題があるためその実用化は極めて困難であった。
【0018】
そこで、本発明者等は、訪問歯科診療等における診療データの作成に際して、簡便に利用することができ、歯科カルテ、レセプトおよび情報提供用紙を一括して簡便に処理することができる歯科診療情報処理システムを開発すべく鋭意検討並びに工夫を重ねた結果、前記のように、歯科診療データとして多大な種類と内容に亘る診療部位、病名、処置等について、使用頻度の高い主要な種類と内容を選択抽出し、それらをカルテ用語およびレセプト用語に対応するキーワードと共にチェックリスト化すると共に、このチェックリスト化したチェック欄を診療部位、病名、処置等の項目別に分類整理して電子ペーパに印刷表示することにより、基本的に大部分の書類をチェックマークないし数値記入することによって、信頼性の高い簡便な歯科診療情報の処理および作成をすることができることを突き止めた。
【0019】
そして、本発明者等は、現在実用化されている電子ペンと、この電子ペンに対応する電子処理用ペーパとして機能する記録用紙である電子ペーパとの組合せを利用し、前記チェックリスト化された複数枚の電子ペーパを作成することにより、訪問歯科等の歯科診療における診療部位、病名、処置等に関するデータを、電子ペンを使用して簡便な操作で適正にして迅速かつ円滑に作成することができると共に、これらのデータをホストコンピュータへ直ちに入力して、歯科診療における診療部位、病名、処置等に関するデータに基づく歯科カルテ、レセプトおよび情報提供書類の作成、確認、保存、管理、検索等の作業を簡便に遂行することができるデンタルペンと称する歯科診療情報処理システムの開発に成功した。
【0020】
すなわち、本発明に係る歯科診療情報処理システムは、個別に識別可能な電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する訪問歯科診療等における歯科診療情報処理システムであって、訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを蓄積するホストコンピュータのサーバと、前記電子ペンによるデータファイルへのデータの記入等により電子ペンに記憶保持された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを前記サーバへ転送するための前記ホストコンピュータと有線または無線接続するインタフェースと、前記データファイルの電子ペーパに印刷表示される所要の訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータのチェックリスト化した各項目についてのチェック欄と対応して前記ホストコンピュータのサーバに入力された各種情報に関するデータを画面表示するディスプレイ手段と、により構築することができる。
【0021】
そして、本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいては、複数の医師により保持され取り扱われるそれぞれ個別の電子ペンは、ホストコンピュータのUSB端子に接続されたクレイドルにセットすることにより、ホストコンピュータのサーバを起動させ、前記サーバにおいて電子ペンの識別に基づいてその医師を特定し、当該医師により取得された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを所要のデータ管理プログラムに従ってサーバに格納すると共に、ディスプレイ手段においてデータファイルの電子ペーパに印刷表示される訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータのチェックリスト化した各項目についてのチェック欄とそれぞれ対応して、データの記入された電子ペーパのイメージ画像と共に前記ホストコンピュータのサーバに入力されたデータを画面表示することにより、チェック欄にそれぞれ記入されたデータの確認とチェックとを行うように設定される。
【0022】
この場合、訪問歯科診療等において歯科医師が患者に対して作成する治療計画・指導・経過に関する情報提供書類については、それぞれ所定の複写式記入用紙として構成し、前記電子ペンによって診療部位、病名、処置等に関するデータを記入する電子ペーパからなるデータファイルと組合せて、電子ペンにより記載して複写した一方の前記情報提供書類を、その場で患者に手渡すように設定することができる。
【0023】
従って、本発明の目的は、電子ペンと電子ペーパとの組み合わせを利用して、訪問歯科診療等を行う複数の医師がそれぞれ取得する訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータの登録を、基本的にチェックリスト化した記録用紙を使用して簡便に記入し得ると共に、同時に患者に対する情報提供書類の発行を直ちに行うことができ、前記データの確認およびチェック並びに修正を可能とし、登録されたデータの検索、表示、プリントアウト等も簡便に行うことができ、総合的な訪問歯科診療等における各種情報のデータ管理を円滑に達成することが可能な歯科診療情報処理システムを提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、訪問歯科診療等において一人の患者に対して作成する診療部位、病名、処置等に関するデータをチェックリスト化して蓄積したデータファイルを、複数ページからなる電子ペーパにより構成し、患者の治療計画・指導・経過に関する情報を記載する情報提供書類を、複数ページの複写式用紙により構成し、これらデータファイルと複写式用紙を組合せて簡便に記入処理するように構成した歯科診療情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の歯科診療情報処理システムは、個別に識別可能な電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する歯科診療情報処理システムにおいて、
前記データファイルを訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、それぞれ項目別にチェックリスト化して作成し印刷表示した複数の電子ペーパにより構成することを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項2に記載の歯科診療情報処理システムは、個別に識別可能な電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する歯科診療情報処理システムであって、
訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、チェックリスト化してそれぞれ項目別のチェック欄として作成し印刷表示した複数の電子ペーパからなるデータファイルと、
前記診療部位、病名、処置等に関するデータを蓄積するデータベースを備えたホストコンピュータのサーバと、
前記電子ペンによるデータファイルへのデータの記入等により電子ペンに記憶保持された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを前記サーバへ転送するための前記ホストコンピュータと有線または無線接続するインタフェースと、
前記データファイルの電子ペーパに印刷表示される訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータのチェックリスト化した各項目についてのチェック欄とそれぞれ対応して、データの記入された電子ペーパのイメージ画像と共に前記ホストコンピュータのサーバに入力されたデータを画面表示するディスプレイ手段と、により構築することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項3に記載の歯科診療情報処理システムは、前記ホストコンピュータが、電子ペンに記憶保持されたデータファイルに記入した訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータをサーバに転送するために電子ペンと結合するためのクレイドルと、電子ペンに記憶保持された前記データを読込むためのデータ読込み手段と、前記データ読込み手段に転送されたデータに対して、数値、記号、文字として認識するOCR変換手段と、前記OCR変換手段によりOCR変換された数値・記号・文字データをチェックおよび格納して保存するデータベースと、前記データ読込み手段に転送された全てを画像データとして保存する画像フォルダと、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項4に記載の歯科診療情報処理システムは、前記ホストコンピュータが、前記サーバのデータベースおよび画像フォルダにそれぞれ保存された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータの数値・記号・文字データおよび画像データを、データファイルに印刷表示される画像データをそのまま表示する読込み画像表示部と、前記データファイルに設定された記入項目にそれぞれ対応する表示項目を設けた確認表示部とを、ディスプレイ手段によりそれぞれ同時に画面表示し、前記確認表示部において前記データの確認およびチェック並びに修正を行って前記データベースに登録するように構成されることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項5に記載の歯科診療情報処理システムは、歯科診療に関するデータファイルを、訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、電子ペンにより記入する複数ページの電子ペーパによりチェックリスト化して項目別に構成されるチェック欄とメモ欄とを設けた記録用紙として構成し、患者に対する治療計画・指導・経過に関し、電子ペンにより記入する複数ページの複写式用紙からなる情報提供書類と組み合わせて、一組の記録用紙セットとすることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項6に記載の歯科診療情報処理システムは、前記歯科診療に関する複数の電子ペーパからなる記録用紙として構成されるデータファイルにおいて、共通するチェック欄として、用紙取消チェックボックスと、追記チェックボックスと、修正チェックボックスと、メモ欄とをそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項7に記載の歯科診療情報処理システムは、前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、歯科診療の基本情報を記録する歯科診療録を設け、この記録用紙には、患者番号、患者氏名、診療日時についてのそれぞれ記入欄と、医師番号、医師指名についての記入欄と、「病名」についてそれぞれ複数グループに分類分けしてチェックリスト化した病名についてのチェック欄とを設定してなることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項8に記載の歯科診療情報処理システムは、前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、歯科診療の診療情報を記録する医学管理・検査・X線 編と、主処置・補綴物維持管理料 編と、手術・麻酔 編と、在宅・ブリッジ 編と、有床義歯 編と、歯冠修復 編とをそれぞれ設け、これらの記録用紙には、共通するチェック欄として、それぞれ窩洞面を表示した前歯と臼歯とを上顎側と下顎側に分けて対称的に整列配置しそれぞれの歯に対してチェック欄を設けた歯列図を設定すると共に、前記各診療情報に対応する項目ついてそれぞれ分類分けしてチェックリスト化したチェック欄を設定してなることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項9に記載の歯科診療情報処理システムは、前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、投薬・注射・薬品 編を設け、この記録用紙には、それぞれ分類分けしてチェックリスト化した投薬・注射群および薬品群についてのチェック欄を設定してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の請求項1に記載の歯科診療情報処理システムによれば、電子ペンと電子ペーパとの組み合わせを利用して、訪問歯科診療等を行う複数の医師がそれぞれ取得する訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータの登録を、基本的にチェックリスト化した記録用紙を使用して簡便に記入し得ると共に、同時に患者に対する情報提供書類の発行を直ちに行うことができ、前記データの確認およびチェック並びに修正を可能とし、登録されたデータの検索、表示、プリントアウト等も簡便に行うことができ、総合的な訪問歯科診療等における各種情報のデータ管理を円滑に達成すること。
【0035】
本発明の請求項2に記載の歯科診療情報処理システムによれば、電子ペンと電子ペーパからなるデータファイルとの組合せを利用することにより、歯科医師が行う複数の患者に対する訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、簡単な操作によりホストコンピュータのサーバへ転送入力して、チェックリスト化したデータファイルのチェック欄に記入した各種情報の項目とそのまま対応するように各種情報に関するデータを画面表示し、各種情報に関するデータの確認およびチェック並びに修正を行って適正な各種情報に関するデータの登録を行うと共に、登録された各種情報に関するデータの検索、表示、プリントアウト等も簡便に行うことができ、訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータおよびレセプト並びに歯科カルテの作成に関する総合的な管理を円滑に達成することができる。
【0036】
本発明の請求項3に記載の歯科診療情報処理システムによれば、データファイルの記録用紙にそれぞれ印刷表示される診療部位、病名、処置等に関するデータを、数値・記号・文字データをOCR変換手段して保存すると共に、数値、記号、文字等の筆跡データおよび図形等を画像データとして保存し、これらのデータをホストコンピュータのディスプレイ手段により表示させて、訪問歯科診療等における歯科診療情報処理を円滑に行うことができる。
【0037】
本発明の請求項4に記載の歯科診療情報処理システムによれば、データファイルの記録用紙にそれぞれ印刷表示される診療部位、病名、処置等に関するデータを、数値・記号・文字データをOCR変換し、数値、記号、文字等の筆跡データおよび図形等を画像としてホストコンピュータのディスプレイ手段により適正に振り分けて表示させて、前記数値・記号・文字データについての確認、チェックおよび修正を可能とすることにより、信頼性の高い訪問歯科診療等における歯科診療情報処理を容易に行うことができる。
【0038】
本発明の請求項5に記載の歯科診療情報処理システムによれば、歯科診療に関するデータファイルの構成を、電子ペンにより記入する複数ページの電子ペーパにより構成されるチェックリスト化した診療部位、病名、処置等に関するデータを記入する記録用紙と、電子ペンにより記入することができる複数ページの複写式用紙からなる情報提供書類とを組み合わせて、訪問歯科診療等における歯科診療情報処理を極めて簡便に行うことができる。また、チェックリスト化したチェック欄に該当しない内容については、メモ欄にその内容を記入して登録することができる。
【0039】
本発明の請求項6ないし9に記載の歯科診療情報処理システムによれば、歯科診療における診療部位、病名、処置等に関するデータの作成に際して、複数の電子ペーパからなる記録用紙として構成されるデータファイルの使用を容易にし、適正にして信頼性の高い歯科診療情報の作成を実現し、総合的な訪問歯科診療等における各種情報のデータ管理を円滑に達成することが可能な歯科診療情報処理システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明に係る歯科診療情報処理システムの実施の形態につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0041】
基本的なシステム構成
図1は、本発明に係る歯科診療情報処理システムのシステム構成を示す概略系統説明図である。すなわち、図1において、参照符号10は電子ペンを示し、また参照符号12は前記電子ペン10に対応する電子処理用ペーパとして機能する記録用紙である電子ペーパからなるデータファイルを示す。
【0042】
本実施例において使用する電子ペン10は、既に市販されているものであって、例えばペン型のハウジングの先端に、インクカートリッジからインクの供給を受けてインク文字を書くことができるペン先が設けられている。また、前記ハウジングの先端には、レンズ系が設けられ、このレンズ系の後方に画像データを得るためのカメラが設けられると共に、前記カメラによって前記ペン先の軌跡を認識してこれを画像データとして処理するイメージプロセッサと、その画像データからなるディジタルデータを保存するメモリとが設けられている。そして、前記メモリに保存されたディジタルデータを、外部へ転送するための出力インタフェースと、前記各コンポーネントに必要な電源を供給するためのバッテリとがそれぞれ設けられている。
【0043】
また、本実施例において使用するデータファイル12は、アノトパターンと呼ばれる格子状に配置されたドットパターンを印刷した電子ペーパから構成される記録用紙であり、前記電子ペン10により前記データファイル12の電子ペーパ上において、書き込みや記入等を行うことにより、その位置が全パターンのどこに相当するかを正確に特定でき、ドットパターン上のペンの軌跡は全て異なる位置情報として認識することができる。
【0044】
本発明においては、訪問歯科診療等に際して、一人の患者に対し作成する診療部位、病名、処置等に関するデータを蓄積するデータファイル12として、これを複数ページからなる電子ペーパにより構成する。また、患者の治療計画・指導・経過に関する情報を記載する情報提供書類として、複数ページの複写式用紙により構成する。そして、これらのデータファイル12と複写式用紙とを、一組の記録用紙セットと構成とし、それぞれ歯科医師が電子ペンを使用して記入することができるものとする。なお、この場合、前記電子ペーパについては、その両面に印刷表示をして記録用紙として使用することができる。
【0045】
このようなデータファイル12と複写式用紙との組合せは、例えば図2に示すように、データファイル12を構成する電子ペーパは、1枚目からn枚目をそれぞれ“基本情報”の記録用紙(Ep1)、“診療情報1”の記録用紙(Ep2)、“診療情報2”の記録用紙(Ep3)、・・・・・“その他の情報”の記録用紙(Epn)として設定することができる。そして、情報提供書類としての複写式用紙(Cp)を記録用紙(Ep1〜Epn)と組合せて、患者一人に対する一組の記録用紙セットとすることができる。なお、前記構成からなるデータファイル12については、診療結果により、複数の記録用紙(Ep1〜Epn)を選択的に使用することが可能である。このような複数の記録用紙(Ep1〜Epn)からなるデータファイルの詳細については後述する。また、前記情報提供書類としての複写式用紙(Cp)は、電子ペーパを使用することができる。
【0046】
そこで、前記電子ペン10により、前記データファイル12に所要の歯科カルテおよびレセプトに関するデータを記入することにより、これらのデータは電子ペン10に保存され、ホストコンピュータ30に転送される。すなわち、図1において、参照符号14はホストコンピュータ30と有線または無線接続するためのインタフェースであって、本実施例においてはUSB端子に接続されるクレイドル(ドッキングステーション)を示す。このクレイドル14には、前記電子ペン10をセットすることにより、電子ペン10の出力インタフェースとUSB端子との接続が行われて、電子ペン10のメモリに保存されているディジタルデータがホストコンピュータ30のサーバ20のデータ読込み手段15に転送されるように設定される。このように、電子ペン10に保存されたディジタルデータを自動的にサーバ20のデータ読込み手段15へ転送することによって、従来のシステムにおけるソフトウエア操作が必要とされるデータ読み取り作業の煩わしさを解消し、歯科カルテおよびレセプトを極めて簡便に作成することができるシステムを得ることができる。
【0047】
なお、本実施例においては、電子ペン10に保存されたディジタルデータを自動的に前記サーバ20のデータ読込み手段15へ転送するために、有線または無線接続するインタフェース14として、ホストコンピュータ30のUSB端子に接続するクレイドルを示したが、例えば公知のブルートゥース(Bluetooth)等の手段を採用することも可能である。
【0048】
前記ホストコンピュータ30のサーバ20においては、電子ペン10から転送されたディジタルデータに対し、数値、記号、文字等の筆跡データを対応する数値・記号・文字データとして認識するOCR変換手段16と、前記OCR変換された数値・記号・文字データを格納およびチェックして保存するデータベース17と、図形等の画像データを保存する画像フォルダ18とを備える。このように、数値、記号、文字や画像のデータを併用することにより、従来のシステムにおけるデータの認識率の制限による不便を解消し、管理者等にとって使用し易いことから、各種のサービス管理業務においてそれぞれ容易に導入しやすいシステムとなる。
【0049】
そして、本実施例においては、前記ホストコンピュータ30のサーバ20に転送され保存されたデータは、例えば前記データファイル12に印刷表示される所要の訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータのチェックリストの各項目についてのチェック欄とそれぞれ対応して、データファイル12において記入された記録用紙(電子ペーパ)のイメージ画像と共にそれぞれ記入されたデータが、データ管理手段19を介しディスプレイ手段22において画面表示される。このようにして、前記ディスプレイ手段22に画面表示されたデータは、誤変換等の確認およびチェック並びに修正を行った後、データ管理手段19を介してデータ管理アプリケーションソフトにより、データベース17に登録される。
【0050】
また、本実施例においては、前記ホストコンピュータ30のサーバ20にそれぞれ登録されたデータは、検索処理や統計処理等を行うことが可能に設定され、前記ディスプレイ手段22に画面表示させると共に、データ管理手段19を介してプリンタ24によりプリントアウトすることができる。
【0051】
前記サーバ20におけるデータベース17においては、データ管理アプリケーションソフトにより、管理者(歯科医師等)の登録および管理を行うことが可能に設定されている。なお、前記サーバ20においては、歯科カルテおよびレセプト管理プログラムによって、画像フォルダ18に保存されている画像データを常に管理し、画像フォルダ18に新たな画像データが取り込まれたことを確認すると、この画像データと対応してOCR変換手段16によりOCR変換された数値・記号・文字データと共に、前記ディスプレイ手段22に歯科カルテおよびレセプト管理データとして画面表示を行うこともできる。また、データベース17に保存されるデータは、全て自動バックアップ機能により、バックアップされる。
【0052】
〔データの登録処理操作プログラム〕
次に、前述した本発明に係る歯科診療情報処理システム(図1参照)における、診療部位、病名、処置等に関するデータの登録処理を行う操作並びに動作プログラムについて、前述した図1および図2に基づき、図3に示すフローチャートを併せ参照しながら説明する。
【0053】
まず、本発明システムの実施に際し、ホストコンピュータ30のサーバ20におけるデータベース17に対し、データ管理アプリケーションソフトにより電子ペン10とこれを所持する歯科医師の登録が行われる(STEP−1)。なお、この場合の登録(STEP−1)について、その後の同一の歯科医師の使用による訪問歯科診療等の実施においては、省略される。
【0054】
そこで、歯科医師は、訪問歯科診療等の実施に際し、電子ペン10を使用して、前記データファイル12の記録用紙の所定の記入欄に、それぞれ訪問歯科診療等の実施内容に基づいて診療部位、病名、処置等に関するデータの記入を行う(STEP−2)。従って、電子ペン10により記入された前記データは、全て前記電子ペン10のメモリにディジタルデータとして保存される(STEP−3)。
【0055】
次いで、前記ディジタルデータをメモリに保存した電子ペン10を、ホストコンピュータ30のUSB端子に接続されたクレイドル14にセットする(STEP−4)。これにより、ホストコンピュータ30のサーバ20に設けたデータ読込み手段15が起動し、電子ペン10のメモリに保存されたディジタルデータがサーバ20に転送される(STEP−5)。
【0056】
前記サーバ20に転送されたディジタルデータにおいて、数値、記号、文字等の筆跡データは、OCR変換手段16により数値・記号・文字データとして認識され、数値・記号・文字データに変換されてデータベース17に保存される(STEP−6)。また、前記ディジタルデータにおいて、図形等の画像データは、画像フォルダ18に保存される(STEP−7)。
【0057】
これらのデータベース17および画像フォルダ18にそれぞれ保存された数値・記号・文字データおよび画像データは、ホストコンピュータ30のディスプレイ手段22において、それぞれ画面表示される(STEP−8)。そして、前記ディスプレイ手段22に画面表示されたデータは、それぞれ確認およびチェックを行い、誤変換等による誤記は画面上において、キーボード等により適宜修正を行うことができる(STEP−9)。このようにして、確認およびチェック並びに修正を行ったデータの内容は、データベース20に登録される(STEP−10)。
【0058】
なお、電子ペン10を使用して、患者の診療データに基づくデータファイル12の作成と共に、患者の治療計画・指導・経過に関する情報について、複写式用紙からなる情報提供書類が作成される。この場合、前記情報提供書類の記載内容については、電子ペン10を介して、画像データとしてホストコンピュータ30の画像フォルダ18に保存するように構成することができる。
【0059】
データファイルの印刷見本
図4ないし図11は、本発明に係る歯科診療情報処理システムの実施に際し、訪問歯科診療等において使用するデータファイルとしての記録用紙(Ep1〜Ep8)の印刷見本のそれぞれ典型的な一実施例を示すものである。
本実施例において、これらの記録用紙(Ep1〜Ep8)は、基本情報、処置情報およびその他の情報を記入するデータファイルとして、8つのグループに分類し、それぞれグループごとに記録用紙を作成した。
【0060】
これらの記録用紙(Ep1〜Ep8)において、共通するチェック欄として、「用紙取消」チェックボックスCb1と、「追記」チェックボックスCb2と、「修正」チェックボックスCb3と、「メモ欄」Mmとが設定されている。これらのチェック欄の用途および機能は次の通りである。
【0061】
(1)「用紙取消」チェックボックスCb1:記録用紙の右上に設定され、電子ペンによりチェックすることにより、記録用紙に記入したデータを消去することができる。
(2)「追記」チェックボックスCb2:記録用紙の右上に設定され、電子ペンによりチェックすることにより、記録用紙に一度記入を完了した場合において、再度記入(追記)することができる。
(3)「修正」チェックボックスCb3:記録用紙のチェック欄の項目群ごとに設定され、電子ペンによりチェックすることにより、当該項目群のチェック欄に記入したデータを消去することができる。
(4)「メモ欄」Mm:記録用紙のチェック欄の項目群に対して適宜設定され、記録用紙に設定されたチェック欄以外の内容を、電子ペンにより自由に記入することができる。なお、メモ欄Mmに記入された内容は、文字認識は行われず、イメージデータとして保存される。
【0062】
図4に示す記録用紙(Ep1)の印刷見本は、歯科診療の基本情報として、電子ペンにより記入する「歯科診療録」からなるチェック欄を設定したものである。この「歯科診療録」のチェックリストには、図4に示すように、「患者番号」、「患者氏名」、「診療日時」についてのそれぞれ記入欄と、「医師番号」、「医師指名」についての記入欄と、「病名」についてそれぞれ複数グループに分類分けしたチェック欄とが設けられている。
前記「病名」のチェックリストについては、図示のように、「C・Pul・Per 群」、「P・G群」、「脱離・破損・不適・欠損・関節関係」、「手術群」、「咬合・骨・軟組織」、「外科病名」、「その他」からなる7つのグループに分類されている。さらに、「修飾群」を設けて、記録用紙に設定する病名数を削減している。例えば、「修飾群」の“右”をチェックして、「脱離・破損・不適・欠損・関節関係」の“顎間接症”をチェックすることにより、“右顎間接症”の病名として指定することができる。
【0063】
図5示す記録用紙(Ep2)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「医学管理・検査・X線 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「医学管理・検査・X線 編」のチェックリストには、図5に示すように、「歯列図(DG)」とチェック欄との組合せと、「医学管理群」としてのチェック欄と、「検査・X線群」としてのチェック欄とが設けられている。
前記「歯列図(DG)」は、それぞれ窩洞面(上顎面、下顎面、舌側面、口蓋面、頬側面,咬合面、近心面、遠心面等に設定される)を表示した前歯と臼歯とを上顎側と下顎側に分けて対称的に整列配置し、それぞれの歯に対してチェック欄を設けた構成に設定されている。さらに、前記「歯列図(DG)」に対しては、「初回」、「2回目以降」、「全顎」、「全顎(乳歯)」、「支台歯」、「部位修正」、「上顎」、「下顎」、「上顎(乳歯)」、「下顎(乳歯)」のチェック欄が設けられている。これらのチェック欄の用途および機能は次の通りである。
【0064】
(1)「初回」チェック欄:初診時または初めて処置する部位の選択に使用する。
(2)「2回目以降」チェック欄:再診時または以前処置した部位の選択に使用する。
(3)「全顎」チェック欄:1〜8(永久歯)の全部位の選択に使用する。
(4)「全顎(乳歯)」チェック欄:A〜E(乳歯)の全部位の選択に使用する。
(5)「支台歯」チェック欄:支台歯の選択に使用する(この場合、支台歯に挟まれた歯がブリッジとして登録される)。
(6)「部位修正」チェック欄:選択した部位を取り消し、部位の修正に使用する。
(7)「上顎」チェック欄:1〜8(永久歯)の上側の全部位の選択に使用する。
(8)「下顎」チェック欄:1〜8(永久歯)の下側の全部位の選択に使用する。
(9)「上顎(乳歯)」チェック欄:A〜E(乳歯)の上側の全部位の選択に使用する。
(10)「下顎(乳歯)」チェック欄:A〜E(乳歯)の下側の全部位の選択に使用する。
【0065】
図6示す記録用紙(Ep3)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「主処置・補綴物維持管理料 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「主処置・補綴物維持管理料 編」のチェックリストには、図6に示すように、前記と同様の歯列図DGとチェック欄との組合せと、「主処置群」としてのチェック欄と、「補綴物維持管理料群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0066】
図7示す記録用紙(Ep4)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「手術・麻酔 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「手術・麻酔 編」のチェックリストには、図7に示すように、前記と同様の歯列図DGとチェック欄との組合せと、「手術群」としてのチェック欄と、「麻酔群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0067】
図8示す記録用紙(Ep5)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「在宅・ブリッジ 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「在宅・ブリッジ 編」のチェックリストには、図8に示すように、前記と同様の歯列図DGとチェック欄との組合せと、「在宅群」としてのチェック欄と、「ブリッジ群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0068】
図9示す記録用紙(Ep6)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「有床義歯 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「有床義歯 編」のチェックリストには、図9に示すように、前記と同様の歯列図DGとチェック欄との組合せと、「有床義歯群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0069】
図10示す記録用紙(Ep7)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「歯冠修復 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「歯冠修復 編」のチェックリストには、図10に示すように、前記と同様の歯列図DGとチェック欄との組合せと、「歯冠修復群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0070】
図11示す記録用紙(Ep8)の印刷見本は、歯科診療の診療情報として、電子ペンにより記入する「投薬・注射・薬品 編」からなるチェック欄を設定したものである。この「投薬・注射・薬品 編」のチェックリストには、図11に示すように、「投薬・注射群」としてのチェック欄と、「薬品群」としてのチェック欄とが設けられている。
【0071】
ホストコンピュータのディスプレイ手段による画面表示例
図12および図13は、前述した図1に示す本発明のシステム構成において、ホストコンピュータ30のディスプレイ手段22において、表示される画面の実施例を示すものである。
【0072】
すなわち、図12においては、ホストコンピュータ30のクレイドル14に電子ペン10をセットすることにより、ホストコンピュータ30のサーバ20に設けたデータ読込み手段15が起動して、サーバ20のデータベース17および画像フォルダ18には、電子ペン10のメモリに保存されたデータがそれぞれ転送されて、保存される。そこで、本実施例においては、前記図4に示す「歯科診療録」として設定されたデータファイルの各項目のチェック欄にそれぞれ記入された記録用紙(Ep1)についての画像データを表示する読込み画像表示部GR1と、この読込み画像表示部GR1に対し、前記データファイルの「歯科診療録」に設定されたチェック欄にそれぞれ対応する表示項目を設けた確認表示部GR2とを、それぞれ同時に画面表示したものである。この場合、前記確認表示部GR2においては、読込み画像表示部GR1と比較対照させて、表示項目に表示されたデータの確認およびチェックを行い、誤変換等による誤記は画面上においてキーボード等により修正を行うことができる。そして、確認およびチェック並びに修正を行った前記表示部GR1、GR2に表示されたデータの内容は、データベース17に登録される。
【0073】
また、図13は、前記図6に示す「主処置・補綴物維持管理料 編」として設定されたデータファイルの各項目のチェック欄にそれぞれ記入された記録用紙(Ep3)についての画像データを表示する読込み画像表示部GR1と、この読込み画像表示部GR1に対し、前記データファイルの「主処置・補綴物維持管理料 編」に設定されたチェック欄にそれぞれ対応する表示項目を設けた確認表示部GR2とを、それぞれ同時に画面表示したものである。この場合、前記確認表示部GR2においては、前記と同様にして、読込み画像表示部GR1と比較対照させて、表示項目に表示されたデータの確認およびチェックを行い、誤変換等による誤記は画面上においてキーボード等により修正を行うことができる。そして、確認およびチェック並びに修正を行った前記表示部GR1、GR2に表示されたデータの内容は、データベース17に登録される。
【0074】
このようにして、前記図4ないし図11に示すデータファイルのそれぞれについては、前記と同様にして、各データファイルの各項目のチェック欄にそれぞれ記入された記録用紙(Ep1〜Ep8)についての画像データを表示する読込み画像表示部GR1と、この読込み画像表示部GR1に対し、前記データファイルに設定されたチェック欄にそれぞれ対応する表示項目を設けた確認表示部GR2とを、ホストコンピュータ30のディスプレイ手段22において、それぞれ同時に画面表示することができると共に、表示項目に表示されたデータの確認およびチェックを行い、誤変換等による誤記は画面上においてキーボード等により修正を行うことができる。そして、確認およびチェック並びに修正を行った前記表示部GR1、GR2に表示されたデータの内容は、データベース17に登録される。
【0075】
診療例に基づくデータファイルの作成例
次に、具体的な診療例に基づいて、前述したデータファイルを使用して本実施例に係る歯科診療情報処理システムによって、前記データファイルの記入および作成する手順について説明する。
【0076】
診療例1
診療例1として、「右側下顎第3大臼歯の病名P1 に対する歯周ポケット掻爬術、伝達麻酔1.2ml」に至る症例について説明する。この場合、前記データファイルとして、「歯科診療録」としての記録用紙(Ep1)と、「手術・麻酔 編」としての記録用紙(Ep4)とが使用される。
最初に、「歯科診療録」の記録用紙(Ep1)において、「患者番号」、「患者氏名」、「診療日時」と、「医師番号」、「医師指名」とがそれぞれ電子ペンにより記入される。次に、「病名」として、P・G群の「P1 」がチェックされる。
次いで、「手術・麻酔 編」の記録用紙(Ep4)において、部位選択部分より「右側下顎第3番」がチェックされる。次に、手術群の「歯周ポケット掻爬術」がチェックされる。そして、麻酔群の「伝達麻酔」がチェックされ、Ct 容量のチェック欄に「1.2」が記入される。
【0077】
診療例2
診療例2として、「右側下顎第3大臼歯の病名C1,SP、薬品H202」に至る症例について説明する。この場合、前記データファイルとして、「歯科診療録」としての記録用紙(Ep1)と、「主処置・補綴物維持管理料 編」としての記録用紙(Ep3)と、「投薬・注射・薬品 編」としての記録用紙(Ep8)とが使用される。
最初に、「歯科診療録」の記録用紙(Ep1)において、「患者番号」、「患者氏名」、「診療日時」と、「医師番号」、「医師指名」とがそれぞれ電子ペンにより記入される。次に、「病名」として、C・Pul・Per 群の「C1 」がチェックされる。
次いで、主処置・補綴物維持管理料 編」の記録用紙(Ep3)において、部位選択部分より「右側下顎第3番」がチェックされる。次に、主処置群の「SP」がチェックされる。
さらに、「投薬・注射・薬品 編」の記録用紙(Ep8)において、薬品群の「H202」がチェックされる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る歯科診療情報処理システムの一実施例を示すシステム構成を示す概略系統説明図である。
【図2】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて電子ペンを利用して記入するために使用するデータファイルと複写式用紙を組合せた記録用紙セットの構成例を示す説明図である。
【図3】図1に示す歯科診療情報処理システムの操作および動作プログラムを示すフローチャート図である。
【図4】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「歯科診療録」の印刷見本の説明図である。
【図5】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「医学管理・検査・X線 編」の印刷見本の説明図である。
【図6】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「主処置・補綴物維持管理料 編」の印刷見本の説明図である。
【図7】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「手術・麻酔 編」の印刷見本の説明図である。
【図8】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「在宅・ブリッジ 編」の印刷見本の説明図である。
【図9】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「有床義歯 編」の印刷見本の説明図である。
【図10】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「歯冠修復 編」の印刷見本の説明図である。
【図11】本発明に係る歯科診療情報処理システムにおいて使用するデータファイルを構成する記録用紙の実施例を示す電子ペーパで作成した「投薬・注射・薬品 編」の印刷見本の説明図である。
【図12】図4に示すデータファイルの記録用紙を使用して本発明に係る歯科診療情報処理システムを実行した場合のホストコンピュータのディスプレイ手段に表示する画面の表示例を示す説明図である。
【図13】図5に示すデータファイルの記録用紙を使用して本発明に係る歯科診療情報処理システムを実行した場合のホストコンピュータのディスプレイ手段に表示する画面の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10 電子ペン
12 データファイル(電子ペーパ)
14 インタフェース(クレイドル)
15 データ読込み手段
16 OCR変換手段
17 データベース
18 画像フォルダ
19 データ管理手段
20 サーバ
22 ディスプレイ手段
24 プリンタ
30 ホストコンピュータ
Ep1〜Ep8 記録用紙(電子ペーパ)
Cp 情報提供書類(複写式用紙)
GR1 読込み画像表示部
GR2 確認表示部
Cb1 用紙取消チェックボックス
Cb2 追記チェックボックス
Cb3 修正チェックボックス
Mm メモ欄
DG 歯列図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に識別可能な電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する歯科診療情報処理システムにおいて、
前記データファイルを訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、それぞれ項目別にチェックリスト化して作成し印刷表示した複数の電子ペーパにより構成することを特徴とする歯科診療情報処理システム。
【請求項2】
個別に識別可能な電子ペンと、この電子ペンにより記入することによりその内容をそれぞれ認識して電子データ処理することができる電子ペーパからなるデータファイルとの組み合わせを使用する歯科診療情報処理システムであって、
訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、チェックリスト化しそれぞれ項目別のチェック欄として作成し印刷表示した複数の電子ペーパからなるデータファイルと、
前記診療部位、病名、処置等に関するデータを蓄積するデータベースを備えたホストコンピュータのサーバと、
前記電子ペンによるデータファイルへのデータの記入等により電子ペンに記憶保持された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを前記サーバへ転送するための前記ホストコンピュータと有線または無線接続するインタフェースと、
前記データファイルの電子ペーパに印刷表示される訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータのチェックリスト化した各項目についてのチェック欄とそれぞれ対応して、データの記入された電子ペーパのイメージ画像と共に前記ホストコンピュータのサーバに入力されたデータを画面表示するディスプレイ手段と、により構築することを特徴とする歯科診療情報処理システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、電子ペンに記憶保持されたデータファイルに記入した訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータをサーバに転送するために電子ペンと結合するためのクレイドルと、電子ペンに記憶保持された前記データを読込むためのデータ読込み手段と、前記データ読込み手段に転送されたデータに対して、数値、記号、文字として認識するOCR変換手段と、前記OCR変換手段によりOCR変換された数値・記号・文字データをチェックおよび格納して保存するデータベースと、前記データ読込み手段に転送された全てを画像データとして保存する画像フォルダと、を備えることを特徴とする請求項2記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、前記サーバのデータベースおよび画像フォルダにそれぞれ保存された訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータの数値・記号・文字データおよび画像データを、データファイルに印刷表示される画像データをそのまま表示する読込み画像表示部と、前記データファイルに設定された記入項目にそれぞれ対応する表示項目を設けた確認表示部とを、ディスプレイ手段によりそれぞれ同時に画面表示し、前記確認表示部において前記データの確認およびチェック並びに修正を行って前記データベースに登録するように構成したことを特徴とする請求項2または3記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項5】
前記歯科診療に関するデータファイルは、訪問歯科診療等における診療部位、病名、処置等に関するデータを、電子ペンにより記入する複数ページの電子ペーパにチェックリスト化して項目別に構成されるチェック欄とメモ欄とを設けた記録用紙として構成し、患者に対する治療計画・指導・経過に関し、電子ペンにより記入する複数ページの複写式用紙からなる情報提供書類と組み合わせて、一組の記録用紙セットとすることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項6】
前記歯科診療に関する複数の電子ペーパからなる記録用紙として構成されるデータファイルは、共通するチェック欄として、用紙取消チェックボックスと、追記チェックボックスと、修正チェックボックスと、メモ欄とをそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項7】
前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、歯科診療の基本情報を記録する歯科診療録を設け、この記録用紙には、患者番号、患者氏名、診療日時についてのそれぞれ記入欄と、医師番号、医師指名についての記入欄と、「病名」についてそれぞれ複数グループに分類分けしてチェックリスト化した病名についてのチェック欄とを設定してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項8】
前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、歯科診療の診療情報を記録する医学管理・検査・X線 編と、主処置・補綴物維持管理料 編と、手術・麻酔 編と、在宅・ブリッジ 編と、有床義歯 編と、歯冠修復 編とをそれぞれ設け、これらの記録用紙には、共通するチェック欄として、それぞれ窩洞面を表示した前歯と臼歯とを上顎側と下顎側に分けて対称的に整列配置しそれぞれの歯に対してチェック欄を設けた歯列図を設定すると共に、前記各診療情報に対応する項目ついてそれぞれ分類分けしてチェックリスト化したチェック欄を設定してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科診療情報処理システム。
【請求項9】
前記歯科診療に関するデータファイルの記録用紙として、投薬・注射・薬品 編を設け、この記録用紙には、それぞれ分類分けしてチェックリスト化した投薬・注射群および薬品群についてのチェック欄を設定してなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歯科診療情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−113591(P2010−113591A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286616(P2008−286616)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507232179)有限会社 QRS (3)
【Fターム(参考)】