歯肉に安全なドライタイプのパッチ
上歯用パッチと下歯用パッチを有し、上歯用パッチは下歯用パッチと異なった形状を有し、そしてそれぞれのパッチが歯肉と接触する面積を最小にするように調節された幅と形状を有する、1対のドライタイプの歯牙美白パッチがここに開示されている。上歯用パッチでは上顎左右中切歯を覆う中央部が最も幅が広い。下歯用パッチでは下顎左右犬歯を覆う両端部が最も幅が広い。ドライタイプのパッチは歯の部分を全て覆うが、歯肉との接触は最小であるので、全く又は殆ど刺激を引き起こさず着用感も優れている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯肉へのの刺激を最小にできる接触面の形状を有し、そして自然な着用感を有する、トレイ(tray)を使用せず歯牙に付着することができるドライタイプ(dry type)の歯牙美白用パッチに関する。この歯牙美白用パッチは、歯牙に強力に付着するので、着用者の日常生活に支障をきたさず、そして例えば、咳及び/又は大声でしゃべるような、着用者の口の動きの間でも歯から容易に剥がれない。
【背景技術】
【0002】
人々の歯牙美白に対する関心が高まるに伴って、短期間に歯牙美白効果を奏するトレイ(tray)製品が多く販売され始めた。このようなトレイ製品は店頭で買える製品(OTC製品)と歯科医の処方が必要な製品とに大別される。OTC製品は市場で安価に購入することができるが、多くの問題点を有することが知られている。例えば、OTC製品は、1つのサイズで1つの形状のトレイを使用するので、多種の大きさと形状の使用者の歯牙に合わず、合っていないトレイ及びトレイに過剰に塗布してあるゲルによって歯に刺激が生じる。さらに、使用中にゲルの漏出起こるため、利便性及び安全性の問題がある。また、殆んどのOTC製品はよく目立つので、日常生活中に使用し難い。従って、OTC製品は、例えば終夜しか使用できない、のように使用が制限される。一方、歯科医の処方が必要な製品は患者の歯牙の形やサイズに従って精密に製造されるので、OTC製品の問題点をある程度解決するが、これらは高価であり、そして患者が定期的に歯科医を訪問する必要があるという不都合がある。
【0003】
ゲルを詰めたトレー製品の上記問題点を解決するために、トレイを使用しない歯牙美白用の付着剤(strip)が開発され、これに関する特許が数多く出願されている。例えば、アメリカ特許第5,310,563号(Curtis等)は、シリコンポリマーを使用したパテのような物質に過酸化物や色々の成分をカプセル化して得られるカプセルを含有してなる歯牙美白用の付着剤を示唆している。歯牙美白付付着剤の歯牙への付着はは、ゴムのようなパテ物質の弾力性にに起因している。しかしながら、付着剤の形状については有意義な注意が払われていない。この付着剤は、パテのような物質に過酸化物がカプセル化されていているので、付着剤を同一時間歯牙に付着していても美白効果は比較的低いという欠点をゆうしている。さらに、付着剤と歯牙の間の付着は弾性力に依存しているので、舌の動きが多い口内で、例えば咳又はどこかにぶつかるかなどのような歯牙に対する刺激は、付着剤を歯牙から剥がして付着剤が本来の形状に回復してしまう。
【0004】
一方、3Mはトレイを使用せずゲル保有インサート(gel retention insert)だけを使用する歯牙美白用付着剤を開発した。このゲル保有インサートは、ゲルと歯牙との付着を一層高めるために開発されたもので、微小構造を有する。この歯牙美白用付着剤として用いられるゲル保有インサートは、感圧接着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)を使用し歯牙美白成分を分散して作った微小構造を有する。しかしながら、ゲル保有インサートの歯牙美白効果は、水に不溶性の微小構造を有するゲル保有インサートを用いて製造されるトレイと同様に、立証されていない。PSAとして使われる殆んどのポリマーは水やアルコールの代わりに口腔製品に使用できない溶媒、例えば塩化メチレン、エチルアセテートなどを使用するため、口腔内で歯牙に直接に付着するのには不適当であると考えられている。さらに、過酸化物と相溶性が低いアクリルポリマーの(湿式PSA)を歯牙美白用付着剤として使用する場合は、商品化するのに不向きであると考えられる。
【0005】
コルゲート社(Colgate)に登録されたでアメリカ特許第6,419,906号は、熱可塑性のあるエチレンオキシドポリマーと歯牙標白剤としての固形の過炭酸塩(percarbonate)を含有してなる、歯牙美白用付着剤を開示している。しかし、エチレンオキシドポリマーは過酸化物との相溶性は優れるが、歯牙への接着力が低いので、この付着剤の着用感は低いと考えられる。
【0006】
特に、このような歯牙美白用の付着剤はP&Gによって商品化化されている。この歯牙美白用付着剤は、トレイを使用せず薄くて柔軟性に優れたポリエチレンストリップの上にに歯牙美白成分を薄く均一に塗布して製造されているので、従来のトレイ製品の問題点を解決することができる。この歯牙美白用付着剤は湿式タイプであるので、付着剤の歯牙に対する接着力がさほど強くない。従って、この調剤は容易に付着したり剥がしたりできるが、咳及び大声で笑うと、所望の時間所望の位置に付いておらず容易に歯牙剥がれてしまい、特に、上歯に比べて、下歯にさらに多発するという欠点を有する。これら製品と関連した特許製品として、丸い角を有する付着剤がアメリカ特許第5,879,691号に開示されている。その後、所望の時間中所望の部位に歯牙美白剤を付着させるためには歯牙美白付着剤の特別な形状が必須であるとの見解に基づいて、P&Gは各種形状の付着剤を開発して、PCT公開WO2001−014736を出願した。この歯牙美白用付着剤は4本の前歯と二本の犬歯の外面を覆い、そして二本の犬歯の先を覆わないという形状を有している。すなわち、この付着剤は犬歯の先を覆わない形状である。付着剤の形状の可能な例は、階段式側面や切込み(notch)を有したり有しない台形、そして1以上の切込み、階段式側面、又は凹部(recess)を有する四角形を含む。このような形状を有することにより、歯牙美白用付着剤と美白物質が歯牙によく付着され、滑りなしで着用者の歯牙に長時間維持される。P&Gによって製造された市販の歯牙美白付着剤製品からも見られるように、付着剤製品は、上歯用より比較的に歯牙のサイズが大きく歯牙屈曲が緩やかなものが下歯用に適用される。図1a及び図1bはそれぞれP&Gのクレストホワイトストリップ(Crest Whitestrip)の上歯用形状及び下歯用形状を示す平面図である。
【0007】
しかし、P&G製の歯牙美白用ストリップが2本の犬歯の先をストリップで覆わない台形であっても、湿式タイプなので付着剤の歯牙に対する接着力は弱い。従って、弱い接着力の改善が必要である。
【0008】
本発明者等によって出願されている、ドライタイプの歯牙美白用パッチの第一の長所は使用者が剥離層(release liner)からパッチを手で剥がして歯牙に付着する時、使用者が誤用しても、接着層に含有されている接着成分が手及び顔や唇など望まない部位に残留しないという点である。また、このパッチはドライタイプであるので、歯牙美白剤としての用いられている高濃度の過酸化物によって引き起される安全性の問題点を解決する。すなわち、ドライタイプのパッチが歯牙に付着された後に、ガラス質ポリマー(glassy polymer)が歯牙表面の水分によって水和しつつ歯牙に対する強い接着力発生し、美白剤が放出され始める。従って、ドライタイプのパッチは使用に際して問題がない安全な製剤である。
【0009】
しかし、上で述べたドライタイプの歯牙美白用パッチのこのような長所及び歯牙に対する優れた接着力にも関わらず、パッチが歯牙より高濃度の水分含有する歯肉と接触すると、水和される過程で誘発される強い接着力が歯肉に刺激をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は歯牙美白用パッチの上記問題点(例えば、そこに含有されている水分による歯肉への刺激)を考慮してなされたもので、パッチの形状及び/又は接触面を、歯肉との接触を最小にするように、歯牙と歯肉の間の歯肉の線に沿って形成した、上歯用と下歯用のドライタイプの歯牙美白用パッチを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するため、上歯用のパッチが下歯用のパッチと異なった形状を有し、そしてそれぞれのパッチ及び/又は接触部分が歯肉と接触する面積を最小にするように調節された幅(縦の幅、高さ)及び形状を有する、上歯用パッチ及び下歯用パッチを有する一対のドライタイプの歯牙美白用パッチが提供される。
【0012】
上歯用パッチにおいては上顎左右中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、そして下歯用においては下顎左右犬歯を覆う両端部の幅が最も広いことが好ましい。
【0013】
本発明の1態様によれば、薬物層を含む多層に親水性ガラス質ポリマー(glassy polymer)を使用したドライタイプのパッチが提供される。本発明のドライタイプのパッチは歯牙美白剤が歯牙表面の黄ばみ(stain)と十分に接触できるので、短期間で優れた美白効果を得ることができる。
【0014】
本発明の態様は、従来のドライタイプのパッチの問題点(例えば、口腔内歯牙に付着することによる歯肉への強い刺激)を解決する。よって、本発明の態様は、歯牙美白用パッチを歯牙に付着する際歯肉に当たる部位を最小化することによっ歯肉への刺激を少くし、ドライタイプの長所である強い接着力を用いて、歯の後部に折り込む面積を最小化する形状に関する。従って、本発明のある態様は、歯の輪郭によく合い、歯肉との接触を最小にした、過酸化物を含有してなるドライタイプの歯牙美白用パッチを提供する。
【0015】
本発明の態様は、歯牙に対する優れた接着力を示し、そして歯肉刺激を減少できる形状を有するドライタイプの歯牙美白用パッチに関する。本発明の好ましい態様である、ドライタイプのパッチは生来の長所を有し、同時に従来のドライタイプのパッチの短所を解決する。また、本発明によるパッチの接触部分の形状は、歯肉との接触面積を最小にしながら、歯の根部分まで白くするために、歯と歯肉の間の接触線(例えば、歯肉線)に沿って形成される。従って、上歯用パッチでは、上歯の中で上顎中切歯がもっとも大きくて高いので、上顎左右中切歯を覆う中央部分が最も幅が広く(凸状)なっており、下歯用パッチでは、犬歯が下歯の中で最も多くの部分が露出するので、下歯の左右犬歯を覆う両端部が最も幅が広く、他の部分が凹型になっていることが好ましい。
【0016】
人々が歯牙が白くなることを願う理由は、白い歯は会話中に自信を増し、さらに他人の心に明るい印象を与えるからである。笑ったり話す時に露出される歯牙の数は、一般に上歯及び下歯両方において4〜8本である。ある人々は全歯牙の目に見える前表面だけではなく、目に見えない歯の裏側まで白く見せたたいと思っている。しかしながら、大多数の人々においては、前歯の色が第一に重要である。犬歯が、他の前歯に比べて、より着色されるということが知られている。さらに、歯の根部(歯肉に隣接している)が歯の先端部(歯肉から離れている)よりも、より着色されることが知られている。また、過酸化物を含有している歯牙美白製品を歯牙を白くするために使用した時、下歯及び歯の根部に比べると、上歯及び歯の先端部(歯肉から離れている)が早く美白されることも知られている。
【0017】
ドライタイプのパッチの形状、又はドライタイプのパッチの少なくとも接触部は、過酸化物を含有し、そして歯肉との接触を最小にしつつ歯の根部を覆う線に沿うように形成されていることが好ましい。
【0018】
歯牙美白剤として一般にに使用される過酸化物は、歯牙表面に形成された着色だけではなく、歯牙のエナメル質及び象牙質も漂白するので、優れた美白効果を有していると知られている。しかしながら、この過酸化物は歯肉に浸透する可能性がある。過酸化物は毒性試験で安全なものであると証明されているが、過酸化物は歯肉に接触することにより、一時的に刺激を引き起こす恐れがある。過酸化物により引き起こされる一時的な刺激として、歯牙過敏性(tooth sensitivity)と歯肉刺激(gingival irritation)が一般に知られている。この刺激は歯磨きの直後に過酸化物を含有している製品を使用すると、強くなることが知られている。この刺激は過酸化物を含有している製品を連続的に使用すると、発生頻度が高くなることも知られている。これらの一時的な刺激を軽減させるためには、歯肉に接触する部位における過酸化物製品の使用を止めるか最小にすべきである。過酸化物製品によって殆ど又は全く刺激が引き起こされないことが好ましい。低濃度及び低含量の酸化物のを含有している製品が刺激を減少するのに有効であることが一般に知られている。しかしながら、歯牙美白用製品の歯牙美白効果は、過酸化物の濃度及び含量に比例するので、過酸化物の濃度を適当に調節することが好ましい。
【0019】
歯牙美白用パッチの望ましい形状は、具体的な歯牙美白用パッチの構成成分や特性及び/又は具体的なパッチの接触部により違ってくる。例えば、典型的な湿式タイプの歯牙美白用付着剤である、クレストホワイトストリップ(P&G)は、接着力が弱く、歯牙に容易に付着でき、所望の時間に剥がせる。また、このストリップの接着力は、ストリップに含有されている接着ポリマーである、Carbopol gelに起因するので、歯牙及び歯肉接触部位に対するストリップの接着力に差がない。しかしながら、このストリップの接着力は弱いので、色々の刺激によって歯牙から引き離すことができる。従って、犬歯の先は覆わず、歯の裏側に折り込む形状を有するストリップが望ましい。すなわち、歯から外れないような方法で歯の表側及び裏側の両方を覆うストリップが好ましい。
【0020】
一方、一般にドライタイプのパッチは水和されるので、強い接着力を有する。従って、歯牙より高い濃度の水分を含有している歯肉が最初に水和されてパッチに強力に付着する。さらに、歯牙に付着する条件を保持している間に、パッチに含有されている過酸化物が歯肉中に浸透してさらに刺激を引き起こす。このような理由により、パッチと歯肉の接触部分を最小化するのが望ましい。前述したように、歯肉に隣接している歯牙の根部分が強く着色されるが、歯牙の先端部に比べてゆっくり美白されるので、歯牙の根部分をストリップで覆うことが望ましい。パッチに歯の裏側を覆うために折り目をつけてもよい。しかしながら、下歯は舌がよく当たるので、歯の裏側に折り込む部分が少ないことが、着用感の点から好ましい。下歯用のパッチの付着部分が歯牙の表側を覆い、裏側は部分的に覆うか、又は全く覆わないようにするために、0.3〜2cm、好ましくは0.5〜1.5cmの幅を有することが好ましい。下歯用のパッチが2〜4cmの幅を有する場合は、下歯の表側及び裏側が完全に覆われる。下歯用のパッチと同様に、上歯用のパッチの折り込む部分が少ないことが着用感の点で好ましい。上歯用のパッチの付着部分は歯牙の表側を完全に覆い、裏側は部分的に覆うか、又は全く覆わないようにするために、0.5ないし2.5cm、好ましくは0.7ないし1.5cmの幅を有することが好ましい。
【0021】
歯牙美白用のパッチ及び/又は付着部分の大きさは、歯牙の本数及びサイズによって変わる。本発明のパッチは、歯牙の本数及びサイズに関わりなく、適用することができる。パッチを1本の歯牙だけに適用すると、その歯牙の色相が他の歯牙と異なってしまうので、好ましくない。パッチを全ての歯牙に適用するときは、使用者はパッチを付着するために口を大きく開けなくてはならず、非常に不便である。従って、笑う時や話す時に見える6本ないし8本の歯牙を覆うのに十分な大きさが好ましい。
【0022】
歯牙美白用パッチはの同じ幅を有する直方形であってもよい。しかしながら、幅を最も大きい歯牙に合わせると、パッチは他のサイズの小さい歯牙を完全に覆いそして歯肉部分にも接触する。同様に、幅を平均歯牙のサイズに合わせると、パッチは比較的大きい歯牙の歯の根部分完全に覆うことができない。
【0023】
上歯はそのサイズ、輪郭及びの屈曲点で下歯で異なるので、上歯用パッチは下歯用パッチと異なった形状を有することが好ましい。例えば、上顎中切歯が上歯の中で最も大きくて高いので、上歯用パッチは、上顎左右中切歯を覆う中央部を最も幅広く(凸面)するように製造するのが望ましく、犬歯は下歯の中では最も広い面積が露出するので、下歯用パッチは、左右の犬歯を覆う両端部分を最も幅広くするように製造するのが望ましい。多くの人々は平均的に約1cmサイズの上歯及び約0.9cmサイズの下歯を有している。従って、本発明パッチの付着部分が、上歯用に0.8〜1.5cmの幅及び下歯用に0.6〜1.5cmの幅を有することが望ましい。
【0024】
以上のような点を考慮すると、本発明のドライタイプのパッチは、着用者の歯牙に対する付着力が優れているので、外部から力を加えないと、歯牙から剥がれない。従って、本発明は、パッチの付着部分が、歯肉への刺激を最小にして最大の美白効果を得るために、歯牙と歯肉の間の接触線に沿うように形成されている、上歯と下歯の両方用の歯牙美白用パッチを提供する。
【0025】
本発明によるドライタイプの歯牙美白用パッチの最大の長所は、パッチは水和された後に強い接着力を有するため、歯の裏側に折り込む部分が全くなくても、十分に所望の時間中歯牙に付着できるという点である。また、このドライタイプのパッチは、自然な着用感を与え、そしてパッチと歯肉の接触部分を最小にすることにより、歯肉への刺激を殆ど又は全く引き起こさないという長所を有する。さらに、上歯用のパッチは下歯用のパッチと接触しないので優れた着用感を与える。しかし、下歯用のパッチは唾液によって稀釈されるので、付着してから短時間で下歯から剥がれることがある。下歯用パッチが下歯を取り囲むように裏側のほうに折り込んである、折り込むタイプのパッチにおいては、、唾液による稀釈が減少して、下歯用のパッチが所望の時間中下歯に付着できる。
【0026】
ドライタイプの歯牙美白用パッチの美白効果を最大にするためには、美白剤と歯牙上の汚れとの接触時間を延す、好ましくは1夜、ことが望ましい。調整されたトレーを用いる、歯科医が処方する自家用美白製品(Dentist-Prescribed at-Home Bleaching)は1夜使用するように意図されている。湿式タイプのパッチ製品は歯牙への付着が弱いので、1夜使用するのに適していない。一方、ドライタイプ製品は歯牙への強い接着力を有しているので、1夜使用するのに適している。折り込む部分を有するドライタイプのパッチは改善された接着力の点でより好ましい。
【0027】
歯牙美白効果は密閉された環境(sealed environment)下で増大されるため、折り込むドライタイプのパッチが優れた歯牙美白効果を示すことが期待される。
【0028】
歯牙に対する接着力を増強し、そして不自然な着用感を最小にするために、折り込むドライタイプのパッチに切れ目が形成される。より好ましくは、下歯の裏側の重畳部分を最小にするために、広い切れ目が形成される。下歯の裏側の折り込む部分を犬歯又はその前で比較的狭くしたり、下歯の裏側の折り込む部分を犬歯又はその次まで比較的広くすると、着用者は不自然かつ不快を感じる。従って、下歯用のパッチは犬歯又はその前の裏側までだけを覆うのが望ましい。
【0029】
さらに、上歯用及び下歯用パッチの中央部に切込みを入れることが好ましい。切込みの形成は、着用感の点で有利である。ドライタイプのパッチを着用する時、この切込みはパッチを歯牙の中央線に合わせることを可能にする。特に、上歯用パッチの中央部の中心にノッチを形成すると、パッチと歯肉の接触部分が最少になって歯肉への刺激が軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る望ましい態様のパッチの形状を図2aないし図6bに示す。
【0031】
図2a及び図2bはそれぞれ本発明の好ましい1態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図2aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広い上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図2bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広い下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0032】
図3a及び図3bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図3aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、そして上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成した上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図3bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、そして下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成した下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0033】
図4a及び図4bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図4aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、そして上歯の裏側部分を覆うように両側を広げた上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図4bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、そして下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、そして下歯の裏側部分を覆うように両側を広げた下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0034】
図5a及び図5bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図5aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、上歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして上歯の裏側に容易に折り込めるように折り込み部分に切り目及び/又は切込みを形成した上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図5bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、下歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして下歯の裏側に容易に折り込めるように折り込み部分に切り目及び/又は切込みを形成した下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0035】
図6a及び図6bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図6aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、上歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして上歯の裏側に容易に折り込めるように1本の側切歯のサイズの窪みが折り込み部に形成されている上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図6bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、下歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして下歯の裏側に容易に折り込めるように1本の側切歯のサイズの窪みが折り込み部に形成されている下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0036】
本発明の歯牙美白用パッチ及び/又は接触部位の形状は前述した図面に示されたものに限定されないということは理解されるであろう。上歯の輪郭を考慮すると、中央部が歯肉に最も接触している。このため、上歯用のパッチ中央部に形成される切込みを、下歯用パッチの中央部に形成される切込みの2倍にすると、パッチと歯肉との接触部分が限縮して、より便利な使用が可能となる。下歯用パッチの折り込み部分に切り目をあまりに細く形成すると、下歯の裏側部分に重畳部分が生じ、これが不自然な感じ及び使いにくさを引き起こす。従って、下歯用パッチの折り込み部分に2本以上の太い切り目を形成することが好ましい。
【0037】
本発明のドライタイプ歯牙美白用パッチを製造するためには、接着層、薬物含有層など裏打ち層を除いた層を形成するために親水性ガラス質ポリマー(glassy polymer)が用いられる。この親水性ガラス質ポリマーは湿っている口腔内で歯牙のエナメル層で水和される時強い接着力及び歯牙美白剤の放出を提供する。
【0038】
トレイを使わない美白用パッチ(例えば、非トレイタイプ)はパッチを歯牙に付着することだけで美白効果を奏する。しかしながら、パッチが湿潤性の接着層、特にゲルタイプ、を含有しているときは、剥離層からパッチを剥がす際に相当量(80%以上)の薬物又はや接着性物質が手の上に残ってしまう。また、使用者の過ちによって、パッチが顔又は唇と接触すると、接着層に含まれる接着性物質が顔又は唇に残ってしまう。さらに、美白剤の種類又は含量による希望しない結果が得られてしまう。特に、優れた漂白効果を有する高濃度の過酸化物を歯牙美白剤として使用するので、深刻な問題も生じてしまう。一方、本発明のドライタイプのパッチに含まれている薬物及び接着性物質は、水和前は固体(シート又はフィルム)の状態に保持されている。このパッチを皮膚に触れたり歯から剥がすときは、薬物及び接着性物質は0〜10%の少量が残留する。従って、本発明のドライタイのプパッチは、安全かつ使い易いということが分かる。
【0039】
歯牙美白用非トレイ方式のパッチ又はトレイは、口内炎の治療に使用されている、粘膜貼付剤(mucoadhesive)、例えばアフタッチ(AFTACH、販売会社:同和薬品(韓国)、製造会社:帝人(日本))及び口内炎パッチ大正A(販売会社:大正製薬(日本)、製造会社:帝国(日本))の物理的性質に匹敵する優れた接着力が必要である。すなわち、これらは、湿っている口腔内で必要な時間中、所望の効果を示すのに十分な接着力を有していなければならない。さらに、これらには、不意の事態、例えば突然の咳及び大声での叫び、においてでも剥がれないような接着力が必要である。しかも、歯牙美白用非トレイ方式のパッチ又はトレイは、歯牙に付着する前は弱い接着力を有していることが好ましい。最初の接着力が強すぎると、手で剥離層から剥がす際に問題を生じてしまう。
【0040】
本発明のドライタイプのパッチはこのような問題を容易に解決できる。本発明のドライタイプパッチは水和される前は非常に弱い接着力を有している。このドライタイプのパッチは水和後に強力な接着力を発生する。ドライタイプのパッチが完全に水和された時でさえも、手で容易に剥がせる。歯への付着が強すぎても、大量の水(うがい、歯磨き、水や飲料水を飲む)が歯からの剥離を促進する。従って、本発明のドライタイプパッチは使い易さという点で有利である。
【0041】
裏打ち層(backing layer)は水不溶性及び水不透過性のポリマーを、歯肉又は下に付着したり、変形したり又は唾液によって歯から剥がれたりすることを阻止するように形成されたフィルムとして、含有している。
【0042】
一方、ドライタイプ歯牙美白用パッチにおいて歯牙美白剤として使用される過酸化物が経時的に不安定になるという問題がある、本発明における過酸化物の不安定性を解決するために、過酸化物安定化剤を用いるか、過酸化物との相溶性が良いガラス質ポリマーの溶液を、過酸化物安定化剤を使用せずに溶媒の比率を調節して添加する。従って、本発明は歯牙美白剤として過酸化物を使用するドライタイプパッチの接着層のポリマーの基材として親水性ガラス質ポリマーを使用し、過酸化物安定化剤を加えるか又は、過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーの溶液を溶媒の比率を調節して、過酸化物安定化剤の代わりに加える、新しいタイプのパッチを提供する。この本発明の新しいタイプのパッチは過酸化物の安定性を保証できる。
【0043】
本発明に係る歯牙美白用パッチの美白効果を増進するために、歯牙美白剤として過酸化物と共にポリリン酸を使用することができる。
【0044】
本発明に係る歯牙美白用パッチの歯牙美白効果はパッチの厚さを調節するか又は薬物を変えることにより制御できる。パッチを着用するとすぐに、水和を始めて透明になる。さらに、裏打ち層には文様やポケット(pocket)がないので、着用者は着用による過酸化物が発生する酸素の泡を観察することができ、それによって視覚的に美白効果を認知できる。また、このパッチは透明で着用中目立たないので、使用者の日常生活に差し支えがない。
【0045】
本発明の歯牙美白用パッチはマトリックスタイプ(matrix type)のパッチであって、皮膚や粘膜に付着することなく、歯牙のエナメル層に付着して歯牙表面に美白剤を歯牙を美白するのに十分な時間中供給することを意図している。パッチが歯牙に付着され、マトリックス内の美白剤を歯牙の表面に放出できる原理は次の通りである。経皮薬物の経時送達システム分野において、皮膚から発生する水分を用いて、付着後一定時間経過して薬物が放出されるようにした経皮製剤が示唆されている。すなわち、経皮用製剤の中に皮膚付着面と薬物貯蔵庫との間に薬物不透過性バリヤーが設けてある。製剤を皮膚に付着すると、皮膚から発生する水分によりバリヤーが徐々に水和され、これによって薬物の透過性が増強される。この場合、親水性のガラス質ポリマーがバリヤー物質として使用される。本発明では、マトリックスタイプパッチの多層の材料としに親水性ガラス質ポリマーが使用される。このパッチの構造により、保管中や手で歯牙に付着するときは美白剤の放出が阻止される。パッチを付着した後、歯牙表面の水分によりパッチは水和され始め、接着力が得られて美白剤が放出される。親水性ガラス質ポリマーはドライタイプパッチの多層の材料として用いられる。従って、本発明の他の態様によると、親水性ガラス質ポリマーは裏打ち層を除いたマトリックスタイプのパッチの層の材料として使用される。
【0046】
このような目的のため、本発明に係るパッチの接着層に使用されるガラス質ポリマーの例は、Gantrez AN 119、AN 139及びS−97のようなポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体(PVM/MA copolymer);ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;Poloxamer 407(Pluronic);Luviskol VA及びPlasdone S PVP/VAのようなポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer));ポリビニルピロリドン(PVP、K−15〜K−120);Polyquaternium−11(Gafquat 755N);Polyquaternium−39(Merquat plus 3330);Carbomer(Carbopol);ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ゼラチン及びアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩を包含する。上記のポリマーは単独で又はこれらの混合物として使用できる。これらのポリマーの溶媒としては水、エタノール、又は多種の混合比のこれらの混合物が含まれる。
【0047】
歯牙に付着させるパッチは、歯牙の輪郭にぴったり合うように変形可能な程十分に柔軟でなければならない。ポリマーによっては柔軟性に劣るものもあるので、適当な可塑剤を添加することができる。可塑剤はガラス質ポリマーの種類やその処方によるが、ポリプロピレングリコール、グリセリン又はポリエチレングリコールが一般に可塑剤として使用される。
【0048】
歯牙エナメル接着層に含有される歯牙美白剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ピロリン酸ナトリウム又はこれらの混合物からなる群から選ばれる。ピロリン酸ナトリウムと過酸化水素の付加化合物である過酸化ピロリン酸ナトリウム(TSPP−H2O2)は水溶液や結晶状態で過酸化水素の性質を示しながらも、かつピロリン酸ナトリウムそれ自体の特性を示す。一般に、ピロリン酸ナトリウムは過酸化水素が元々有している性質を変化させずに、過酸化水素を安定化する。すなわち、これは過酸化水素を単独で使用するときに生じる問題点を防止する。過酸化水素は金属触媒、紫外線、酸化酵素、加熱処理などにより分解が促進されるが、過酸化ピロリン酸ナトリウムは上記の物質及び処理に対して安定で、過酸化水素の本来の性質と機能を発揮する。実際に、液、ゲル又はペースト中で過酸化ピロリン酸ナトリウムは、過酸化物だけ使用する時より40℃における優れた経時安定性を示す。しかしながら、過酸化ピロリン酸ナトリウムを使用しても、パッチ内における過酸化物の安定化は容易に達成されない。
【0049】
一般に、過酸化物はその優れた反応性により、パッチ製品内で安定化させるのが困難であることが知られている。さらに、これはポリマーとの相溶性が低い。この過酸化物の製品内安定性は製品のタイプや処方に関連している。製品中の過酸化物の安定性に関連して、一般のゲル、ペースト又は溶液層の過酸化物の安定化を取り扱う多くの特許があり、そして、それらのあるものは、高温である程度の安定性が確保できることを見出している。しかしながら、薄く塗布されたゲルやパッチ内における過酸化物の安定化に関する示唆はない。本発明者らは、研究した結果、一般に知られた過酸化物安定化剤によってはこのような問題は簡単に解決できないことを見出した。
【0050】
そこで、本発明者らはパッチ内過酸化物の安定化剤をスクリーニングする途中で、本発明に係わるパッチの基本物性に悪影響を及ぼさずに本発明の利用範囲内で使用でき、パッチ中の過酸化物の高温における経時安定性を相当に向上させることができる、安定化剤を見い出した。従って、本発明の他の態様によれば、過酸化物の安定化剤が歯牙美白剤である過酸化物と共に使用される。
【0051】
本発明の歯牙美白用パッチにおいて使用できる過酸化物と相溶性が良好な安定化剤は、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルジフェニルオキシドドジスルホン酸塩、Span 20(sorbitan monolaurate)、Span 40(sorbitan monopalmitate)、Span 60(sorbitan monostearate)、Span 80(sorbitan monooleate)及びSpan 85(sorbitan trioleate)のようなスパン系、TWEEN(POE sorbitan fatty acid ester)系よりなる群から選ばれる1以上である。これら過酸化物安定化剤についてさらに詳述すれば次の通りである。
【0052】
本発明に係る歯牙美白用パッチは主な歯牙美白剤として過酸化物を含有している。パッチを美白剤だけを用いて製造し、次いで40℃で保管すると、パッチ内過酸化物の含量が経時的に減少する。従って、in vitro美白効果も新しいパッチより低下することが観察された。ゲルタイプの製剤の場合は、フィルム形成剤としてポリマーを過量使用し、安定化剤を添加しないとでさえも、過酸化物の損失が少ない。製剤の過酸化物安定性が低いときでも、一般の過酸化物安定化剤として知られている、EDTAやクエン酸ナトリウムのようなキレート剤の小量を使用することにより所望の効果を得ることができる。ゲルの溶媒を蒸発させてシート状のパッチを形成した、歯牙美白用パッチでは、製剤中に安定化剤を使用しないときは、ゲルタイプの製剤に比べて過酸化物の安定性が減少する。キレート剤の添加は、キレート剤のないパッチに比べて、パッチの過酸化物の安定性の減少をもたらすことも観察された。さらに、過酸化物安定化効果に優れていると知られているDequestリン酸塩類を使用しても適当な過酸化物の安定化が得られなかった。
【0053】
上で述べたように、パッチ内の過酸化物の安定性がゲル、液状又はシート状のよう製剤のタイプによってが違う理由は色々考えられる。アメリカ特許第4,320,102号によれば、過酸化物は組成物中にごく微量含まれる金属による触媒反応によって容易に分解されると記載されている。過酸化物1リットル当たり0.1mgの鉄、0.2mgの銅、0.1mgのマグネシウム、0.02mgのクロムの存在が過酸化水素の分解を導くことを示すデータが報告されている。溶液型やゲル型パッチのの溶媒を蒸発して作られたシート型のパッチは、パッチの薄層上に高い含量の金属を含有しているであろう。また、シート型のパッチは大きな表面積が有しているので、表面上で高い比率で反応が起こり、そして過酸化物の安定性も低下する。
【0054】
本発明に係るパッチに含有される安定化剤は主に界面活性剤や乳化剤であり、これらはミセルを形成して製品の過酸化物の安定化に好ましい効果を生ずるものと考えられる。例えば、安定化剤はと過酸化物と過酸化物との相溶性がよくない物質との接触を防ぐか、展延性が低いガラス質ポリマーを使用した時に美白剤をパッチ全体に均一に分散させて、接着剤層を均一に塗布させる。実際に、ゲルを大きな表面上に薄く塗布させると、過酸化物の残量は経時的に減少する、一方、容器に入っている同じ組成のゲルが比較的高温においても安定であることを見出した。本発明者等は親水性ガラス質ポリマーのうち一部は過酸化物との相溶性に優れているので、過酸化物安定化剤を添加しなくても、溶媒の比率を適切に調節した親水性ガラス質ポリマーの溶液は、過酸化物を十分に安定化させられることを見い出した。従って、本発明は過酸化物と過酸化物安定化剤の併用に制限されない。以下、この点をさらに具体的に説明する。
【0055】
ポリビニルピロリドン(PVP、K−15〜K−120)、Polyquaternium−11、Polyquaternium−39、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer)のような親水性ガラス質ポリマーは過酸化物との相溶性に優れ、水、エタノール又はこれらの混合物によく溶ける。従って、過酸化物安定化剤を添加しなくても、9:1〜0:10の比の水とエタノールの混合物を使用することによってパッチ内過酸化物を安定化することができる。過酸化物安とポリビニルピロリドンの良好な相溶性は水素結合を介してポリビニルピロリドンと錯体を形成することによる過酸化物の安定化に起因するものと考えられる。ポリビニルピロリドンは、過酸化物を含有した薬物含有層に使用するのに最も望ましい親水性ガラス質ポリマーである。入手可能なPVPのうち、K−15〜K−120は使用可能であるが、K−90(PVP)は本発明のパッチで使用するのが好ましい。キャスティング(casting)方法で生産する場合ゲル含量が高いほど望ましいので、PVP(K−30)がさらに好ましい。PVPは望ましくは約500,000以上、さらに好ましくは約1,000,000以上の相対的に高い分子量を有するのが好ましい。好ましい態様においては、1,270,000の分子量を有するPVPが使われる。また、Polyquaterniumのように4級アンモニウム構造を有するポリマーと過酸化物が相溶性が良好であることを確認できた。本発明によれば、水とエタノールの混合物が接着物質の溶媒として使用される。過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーは一般に親水性が極めて大きくて剥離層や他のシートの表面に均一に塗布できない。水とエタノールの混合溶媒はこのような問題が解決して、均一なシート層が形成される。従って、本発明他の態様によれば、歯牙美白剤としての過酸化物及び過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーを含有してなり、過酸化物安定化剤の添加なしで、水とエタノール溶媒比を調節することによって高温おいてもパッチが安定している、歯牙美白用のパッチが提供される。また、本発明のパッチは、パッチに十分な柔軟性を与えるために可塑剤を含有してなる。適切な可塑剤は、ポリマーの種類とその処方により差があるが、ポリプロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコールを包含する。
【0056】
また、本発明は主な美白剤としての過酸化物の外に、美白効果の向上のためにポリリン酸塩を美白助剤として含有することができる。本発明で使用可能なポリリン酸塩は、ピロリン酸ナトリウム(tetrasodium pyrophosphate、TSPP)、酸性ピロリン酸ナトリウム(sodium acid pyrophosphate、SAPP)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(sodium hexametaphosphate、SHMP)、トリポリリン酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate、STP)、トリポリリン酸ナトリウムカリウム(sodium potassium tripolyphosphate、SKTP)、ピロリン酸カリウム(tetrapotassium pyrophosphate、TKPP)、酸性メタポリリン酸ナトリウム(acidic sodium meta-polyphosphate、Sporix)、酸性ポリリン酸ナトリウム(acidic sodium polyphosphate、Multiphos)よりなる群から選ばれる1以上を包含する。一般に、ポリリン酸塩は歯磨きに歯石生成抑制や歯石除去のための歯石調節剤として効果的に使用できること知られている。ポリリン酸塩は金属の良好なキレート剤であって歯牙の表面に形成されて着色(stain)、特に食物や作業環境中の鉄、カルシウム、マグネシウムなどの金属により生成された歯牙着色を効果的に除去できるのという点で歯牙の美白効果を増強することが知られている。本発明によるのパッチ中で過酸化物と共に使用されるポリリン酸塩は、歯牙とポリリン酸塩の接触時間を延ばして、歯石の形成を抑制し及び歯石を除去するであろう。実際に、本発明のパッチを歯牙に付着すると、歯牙の表面や歯牙の隙間が綺麗になることが見られる。
【0057】
本発明に係るマトリックス型パッチの裏打ち層に使用可能なポリマーは、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリル酸共重合体(Yukaformer:製造会社Mitsubishi、Metacryloyl Ethyl Betain/Metacylate Copolymer)、メタクリル酸共重合体(methacrylic acid copolymers;Eudragit L 100、Eudragit L 125、Eudragit L 100−55、Eudragit L 30D−55)、アミノアルキルメタクリル酸共重合体(aminoalkyl methacrylate copolymers;Eudragit E 100、Eudragit E 125、Eudragit RL 100、Eudragit RL 30D)、セルロースアセテートフタレート、シェラック(Shellac)又はこれらの混合物を包含する。さらに、口腔内pH6ないし8では溶解しない、腸溶コーティング物質として使用されているポリマーを使用できる。
【0058】
本発明に係る歯牙美白用パッチにの裏打ち層は十分な柔軟性のために色々の可塑剤を含有することができる。この場合は、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールのような、前述した可塑剤を含む多種の可塑剤が、用いる溶媒の種類に応じて、使用することができる。例えば、ひまし油又は硬化ひまし油も使用できる。
【0059】
また、本発明の歯牙美白用パッチを歯牙付着させた時、化学的及び物理的作用によって白く見えるように、裏打ち層に幾つかの白色顔料を用いてもよい。例えば、二酸化チタン、タルク、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛又はこれらの混合物を白色顔料として使用できる。これら顔料が接着剤層の美白剤と相溶性が不良な場合は表面処理された二酸化チタンを使用することもできる。さらに、白色顔料以外に個人の好みにより、パール剤や多様な色相の顔料を適用することも可能である。
【0060】
本発明によると、従来の歯磨きでは経時安定性の問題のため適用し難かった酵素のような物質、特にデキストラナーゼ又はグルコースオキシダーゼなどを単独又は混合して使用することができる。歯牙美白に効果があるというパパインも添加することもできる。口腔疾患を治療するために、トリクロサン(triclosan)、クロロヘキシジン、ビタミンE又はビタミンEアセテートのようなその誘導体、口臭除去に効果的な酸化剤、葉緑素又はその誘導体、香料なども使用できる。
【0061】
本発明に係る歯牙美白用パッチの使用法は、パッチを美白しようとする歯牙の表面に付着することよりなる。パッチは水に溶ける部分と水に溶けない部分(裏打ち層)とからなる。水に溶ける部分が歯牙の表面と直接接触し、裏打ち層は保護壁として作用する。ドライタイプの歯牙美白用パッチは水和されると、柔軟性及び接着力が増加する。歯牙表面が乾燥しすぎていると、初めはパッチが歯の表面に付着されない。パッチは少量の水分によって十分に水和されるので、歯牙の表面が完全にを乾燥していない限り問題とならない。また、過多な水分は急速に親水性ガラス質ポリマーを溶解するので、パッチの接着力は大きく減少する。従って、歯牙美白用パッチを付着した状態で大量の水や飲料水を摂取することは望ましくない。
【0062】
具体的には、最初に、使用者は指を用いて歯牙の中央部パッチを置き、歯の表面に密着させる。このとき、歯牙の隙間にも密着させるために指や舌を用いるのが望ましい。
【0063】
本発明の歯牙美白用パッチは、歯に付着して30分から1時間後に自然に剥がれる。たまには、かなり長時間が経過しても容易に剥がれない場合もある。しかしながら、自然には剥がれるためにはさらに時間が必要である。このような場合、安全性には問題がなく、むしろ美白効果が増強する。必要なら、水を用いて容易に剥がすことができる。
【0064】
本発明の歯牙美白用パッチは所望の時間中十分に過酸化物と歯の黄ばみとの接触を確保するので、美白効果を得るのには有効であるが、歯磨き剤が与えるような爽やか感さを着用者に十分に与えない。このため、着用者はパッチを剥がしてから歯を磨くこともできる。しかし、歯磨きは歯に刺激を引き起こすので、パッチ付着前の歯磨きは推奨できない。
【0065】
この発明の前記及び他の目的、特徴及び他の利点は、添付図面を参照する次の詳細な説明によって明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の望ましい実施例を詳述する。但し、これら実施例は本発明の理解のための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されることではない。
【0067】
実施例1ないし5、比較例1
下記の組成によって実施例1ないし5及び比較例1の歯牙美白用パッチを製造した。
【0068】
[実施例1]
薬物含有接着剤層製造用溶液
ポリビニルアルコール10%、ポリビニルピロリドン10%、過酸化ピロリン酸ナトリウム5%、アルキルアリールスルホン酸(SLS)2%及びグリセリン3%の混合物に水を加えて100%にした。
【0069】
裏打ち層製造用溶液
エチルセルロース8%、オイドラギット(Eudragit)5%及びひまし油4%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0070】
[実施例2]
接着剤層製造用溶液
ヒドロキシプロピルセルロース30%にエタノールを加えて100%にした。
【0071】
薬物含有層製造用溶液
ポリビニルピロリドン20%、過酸化水素5%、グリセリン10%及びエタノール30%の混合物に水を加えて100%にした。
【0072】
裏打ち層製造用溶液
ポリビニルアセテート5%、Yukaformer(Mitsubishi)5%及びグリセリン6%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0073】
[実施例3]
薬物含有接着剤層製造用溶液
Polyquaternium−39 10%、過酸化尿素10%及びエタノール50%の混合物に水を加えて100%にした。
【0074】
裏打ち層製造用溶液
セルロースアセテートフタレート30%、ひまし油4%の混合物にアセトン:エタノール=4:1混合溶液を加えて100%にした。
【0075】
[実施例4]
接着剤層製造用溶液
ポリビニルピロリドン20%にエタノールを加えて100%にした。
【0076】
薬物含有層製造用溶液
ポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体(Grantrez S97)12%、過酸化ピロリン酸ナトリウム6%及びオレイン酸ソルビタン(sorbitan oleate)0.5%の混合物に水を加えて100%にした。
【0077】
裏打ち層製造用溶液
エチルセルロース10%及びひまし油6%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0078】
[実施例5]
接着剤層製造用溶液
ポリビニルアルコール10%、ポリビニルピロリドン10%及びグリセリン3%に水を加えて100%にした。
【0079】
薬物含有層製造用溶液
Polyquaternium−11 20%、PC 4%、TKPP 4%及びモノラウリル酸ソルビタン(sorbitan monolaurate)2%の混合物に水を加えて100%にした。
【0080】
裏打ち層製造用溶液
オイドラギット(Eudragit)15%及びプロピレングリコール5%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0081】
[比較例1]
薬物含有接着剤層製造用ゲル
Carbopol 12%、過酸化水素4.5%、SAPP 0.48%及びグリセリン80%の混合物に水を加えて100%にした。
【0082】
裏打ち層
ポリエチレンストリップ。
【0083】
上で用いた略語は以下の意味を有する。TKPP;tetrapotassium pyrophosphate、SAPP;sodium acid pyrophosphate、TSPP;tetrasodium pyrophosphate。
【0084】
[実験例1]
歯肉への刺激の評価
図を参照すると、図1a、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aは上歯用パッチである。 実施例1で得られる処方をそれぞれ用いて、これらのパッチを製造した。図2aで示されるパッチはは折り込み部分を有さず、図4aは折り込み部分を有するが切り目がなく、そして図5a及び図6aは折り込み部分及び切り目を有する。図1aで示されるストリップはクレストホワイトストリップ(Crest Whitesptrip;P&G、アメリカ)の上歯用ストリップである。図1aで示されるストリップは比較例1で得られる処方それぞれ用いて製造された。図1に示されているよう、このストリップは折り込み部分を有し、そして線状の形状である。
【0085】
このようにして製造したパッチの歯肉への刺激の程度及び着用感を、1日2回2週間このパッチを30分着用した後に評価した。また、このパッチを1時間歯に付着した後に接着持続力を評価した。パッチの上記性質を以下に示す基準に基づいて記録した。5;極めて満足(刺激なし、歯牙に極めて強く付着、極めて優れた付着持続力)、4:満足(全く又はほとんど刺激なし、歯牙に強く付着、優れた付着持続力)、3;普通(弱い刺激、歯牙に普通に付着、普通の接着持続力)、2;不満足(初期に刺激、歯牙に弱く付着、弱い接着持続力)、及び1;極めて不満足(使用中継続する刺激、歯牙に極めて弱く付着、極めて弱い接着持続力)。
【0086】
図1a、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aで示されるパッチは6ないし8本の歯牙を覆うのに十分な長さを有している。パッチの歯肉への刺激の程度、着用感及び接着持続力は、それぞれ10名について評価した。結果は表1示されている。
【0087】
【表1】
【0088】
表1から分かるように、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aで示されるパッチは実施例1の処方を用いて製造しているにもかかわらず、図2aの折り込みのない型のパッチが歯肉への刺激の評価において最も優れており(例えば、最小の刺激)、図3a、図4a、図5a及び図6aの折り込み型のパッチは、図2aの折り込みのない型のパッチと比較すると、接着持続力の評価において優れていた。従って、30分以上着用するときは、折り込み型のパッチが好ましいと推測される。結局、パッチの歯肉への刺激の程度、着用感及び接着持続力は、パッチのタイプ(湿式又はドライ)によって異なる。ドライタイプノのパッチの物理学的性質は、ドライタイプパッチの形状(折り込み又は非折り込み)によって異なる。
【0089】
[実験例2]
歯牙美白用パッチの歯牙に対する接着力を下記の機械的な方法で測定した。
【0090】
(1)ヒドロキシアパタイト(HAP)タブレット試片の製造
ヒドロキシアパタイト粉末をIRプレス法でタブレットに成形した。得られたタブレットを1000℃の温度で焼結した。
【0091】
(2)歯牙への接着力の評価
小型張力試験機(Miniature tensile tester)を用いて人工歯牙物質であるヒドロキシアパタイトに対するパッチの接着力を測定したし、その結果を下の表2に示す。乾燥状態における接着力はこのように焼結させたヒドロキシアパタイト試片を完全に乾燥した後測定した。湿潤状態における接着力は、ヒドロキシアパタイト試片に、試片が完全に湿潤するまで、水を十分に加え、次いで試片の表面の水気を除去してから測定した。湿潤条件をこのように規定した理由は、口腔は湿っているが、歯牙表面は湿潤が分かるほど十分に湿潤していなからである。パッチの歯牙に対する接着力は、パッチを試片に一定な力で一定時間中加圧してから、付着したパッチを剥がすのに必要な力を測定した。この測定は数回繰り返した。結果を表2に示した。
【0092】
【表2】
【0093】
表2にから分かるように、実施例1ないし5のドライタイプパッチは湿潤状態よりもドライ状態で2〜260倍の強い接着力を示した。一方、ドライ状態及び湿潤状態における、比較例1のゲルをストリップに塗布した湿潤タイプパッチの接着力には有意の差がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
上の記載から明らかなように、本発明に関わる歯牙美白用パッチは、裏打ち層以外の層の材料として親水性ガラス質ポリマーを用いているドライタイプのパッチである。ドライタイプのパッチが歯牙に付着した後、このガラス質ポリマーは歯牙表面の水分によって水和されて強力な接着力を発し、美白剤が放出し始める。従って、ドライタイプのパッチは使用に際して問題点のない安全な製剤である。また、ドライタイプのパッチが手や他の部位に接触しても、残渣が残らず使用に便利である。さらに、ドライタイプのパッチは歯牙に対する強い接着力を有するので、着用中に剥がれなく優れた美白効果を示す。なおその上に、ドライタイプのパッチの接触表面は歯の部分を全て覆い、歯肉との接触は最小であるので、全く又は殆ど刺激を引き起こさず着用感も優れている。
【0095】
本発明の好ましい態様が説明の目的で開示されているが、添付の特許請求の範囲に開示されている発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多種の改変、追加及び置換が可能であることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1a】P&Gのクレストホワイトストリップの上歯用形状を示す平面図である。
【図1b】P&Gのクレストホワイトストリップの下歯用形状を示す平面図である。
【図2a】本発明の好ましい1態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図2b】本発明の好ましい1態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図3a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図3b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図4a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図4b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図5a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図5b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図6a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図6b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯肉へのの刺激を最小にできる接触面の形状を有し、そして自然な着用感を有する、トレイ(tray)を使用せず歯牙に付着することができるドライタイプ(dry type)の歯牙美白用パッチに関する。この歯牙美白用パッチは、歯牙に強力に付着するので、着用者の日常生活に支障をきたさず、そして例えば、咳及び/又は大声でしゃべるような、着用者の口の動きの間でも歯から容易に剥がれない。
【背景技術】
【0002】
人々の歯牙美白に対する関心が高まるに伴って、短期間に歯牙美白効果を奏するトレイ(tray)製品が多く販売され始めた。このようなトレイ製品は店頭で買える製品(OTC製品)と歯科医の処方が必要な製品とに大別される。OTC製品は市場で安価に購入することができるが、多くの問題点を有することが知られている。例えば、OTC製品は、1つのサイズで1つの形状のトレイを使用するので、多種の大きさと形状の使用者の歯牙に合わず、合っていないトレイ及びトレイに過剰に塗布してあるゲルによって歯に刺激が生じる。さらに、使用中にゲルの漏出起こるため、利便性及び安全性の問題がある。また、殆んどのOTC製品はよく目立つので、日常生活中に使用し難い。従って、OTC製品は、例えば終夜しか使用できない、のように使用が制限される。一方、歯科医の処方が必要な製品は患者の歯牙の形やサイズに従って精密に製造されるので、OTC製品の問題点をある程度解決するが、これらは高価であり、そして患者が定期的に歯科医を訪問する必要があるという不都合がある。
【0003】
ゲルを詰めたトレー製品の上記問題点を解決するために、トレイを使用しない歯牙美白用の付着剤(strip)が開発され、これに関する特許が数多く出願されている。例えば、アメリカ特許第5,310,563号(Curtis等)は、シリコンポリマーを使用したパテのような物質に過酸化物や色々の成分をカプセル化して得られるカプセルを含有してなる歯牙美白用の付着剤を示唆している。歯牙美白付付着剤の歯牙への付着はは、ゴムのようなパテ物質の弾力性にに起因している。しかしながら、付着剤の形状については有意義な注意が払われていない。この付着剤は、パテのような物質に過酸化物がカプセル化されていているので、付着剤を同一時間歯牙に付着していても美白効果は比較的低いという欠点をゆうしている。さらに、付着剤と歯牙の間の付着は弾性力に依存しているので、舌の動きが多い口内で、例えば咳又はどこかにぶつかるかなどのような歯牙に対する刺激は、付着剤を歯牙から剥がして付着剤が本来の形状に回復してしまう。
【0004】
一方、3Mはトレイを使用せずゲル保有インサート(gel retention insert)だけを使用する歯牙美白用付着剤を開発した。このゲル保有インサートは、ゲルと歯牙との付着を一層高めるために開発されたもので、微小構造を有する。この歯牙美白用付着剤として用いられるゲル保有インサートは、感圧接着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)を使用し歯牙美白成分を分散して作った微小構造を有する。しかしながら、ゲル保有インサートの歯牙美白効果は、水に不溶性の微小構造を有するゲル保有インサートを用いて製造されるトレイと同様に、立証されていない。PSAとして使われる殆んどのポリマーは水やアルコールの代わりに口腔製品に使用できない溶媒、例えば塩化メチレン、エチルアセテートなどを使用するため、口腔内で歯牙に直接に付着するのには不適当であると考えられている。さらに、過酸化物と相溶性が低いアクリルポリマーの(湿式PSA)を歯牙美白用付着剤として使用する場合は、商品化するのに不向きであると考えられる。
【0005】
コルゲート社(Colgate)に登録されたでアメリカ特許第6,419,906号は、熱可塑性のあるエチレンオキシドポリマーと歯牙標白剤としての固形の過炭酸塩(percarbonate)を含有してなる、歯牙美白用付着剤を開示している。しかし、エチレンオキシドポリマーは過酸化物との相溶性は優れるが、歯牙への接着力が低いので、この付着剤の着用感は低いと考えられる。
【0006】
特に、このような歯牙美白用の付着剤はP&Gによって商品化化されている。この歯牙美白用付着剤は、トレイを使用せず薄くて柔軟性に優れたポリエチレンストリップの上にに歯牙美白成分を薄く均一に塗布して製造されているので、従来のトレイ製品の問題点を解決することができる。この歯牙美白用付着剤は湿式タイプであるので、付着剤の歯牙に対する接着力がさほど強くない。従って、この調剤は容易に付着したり剥がしたりできるが、咳及び大声で笑うと、所望の時間所望の位置に付いておらず容易に歯牙剥がれてしまい、特に、上歯に比べて、下歯にさらに多発するという欠点を有する。これら製品と関連した特許製品として、丸い角を有する付着剤がアメリカ特許第5,879,691号に開示されている。その後、所望の時間中所望の部位に歯牙美白剤を付着させるためには歯牙美白付着剤の特別な形状が必須であるとの見解に基づいて、P&Gは各種形状の付着剤を開発して、PCT公開WO2001−014736を出願した。この歯牙美白用付着剤は4本の前歯と二本の犬歯の外面を覆い、そして二本の犬歯の先を覆わないという形状を有している。すなわち、この付着剤は犬歯の先を覆わない形状である。付着剤の形状の可能な例は、階段式側面や切込み(notch)を有したり有しない台形、そして1以上の切込み、階段式側面、又は凹部(recess)を有する四角形を含む。このような形状を有することにより、歯牙美白用付着剤と美白物質が歯牙によく付着され、滑りなしで着用者の歯牙に長時間維持される。P&Gによって製造された市販の歯牙美白付着剤製品からも見られるように、付着剤製品は、上歯用より比較的に歯牙のサイズが大きく歯牙屈曲が緩やかなものが下歯用に適用される。図1a及び図1bはそれぞれP&Gのクレストホワイトストリップ(Crest Whitestrip)の上歯用形状及び下歯用形状を示す平面図である。
【0007】
しかし、P&G製の歯牙美白用ストリップが2本の犬歯の先をストリップで覆わない台形であっても、湿式タイプなので付着剤の歯牙に対する接着力は弱い。従って、弱い接着力の改善が必要である。
【0008】
本発明者等によって出願されている、ドライタイプの歯牙美白用パッチの第一の長所は使用者が剥離層(release liner)からパッチを手で剥がして歯牙に付着する時、使用者が誤用しても、接着層に含有されている接着成分が手及び顔や唇など望まない部位に残留しないという点である。また、このパッチはドライタイプであるので、歯牙美白剤としての用いられている高濃度の過酸化物によって引き起される安全性の問題点を解決する。すなわち、ドライタイプのパッチが歯牙に付着された後に、ガラス質ポリマー(glassy polymer)が歯牙表面の水分によって水和しつつ歯牙に対する強い接着力発生し、美白剤が放出され始める。従って、ドライタイプのパッチは使用に際して問題がない安全な製剤である。
【0009】
しかし、上で述べたドライタイプの歯牙美白用パッチのこのような長所及び歯牙に対する優れた接着力にも関わらず、パッチが歯牙より高濃度の水分含有する歯肉と接触すると、水和される過程で誘発される強い接着力が歯肉に刺激をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は歯牙美白用パッチの上記問題点(例えば、そこに含有されている水分による歯肉への刺激)を考慮してなされたもので、パッチの形状及び/又は接触面を、歯肉との接触を最小にするように、歯牙と歯肉の間の歯肉の線に沿って形成した、上歯用と下歯用のドライタイプの歯牙美白用パッチを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するため、上歯用のパッチが下歯用のパッチと異なった形状を有し、そしてそれぞれのパッチ及び/又は接触部分が歯肉と接触する面積を最小にするように調節された幅(縦の幅、高さ)及び形状を有する、上歯用パッチ及び下歯用パッチを有する一対のドライタイプの歯牙美白用パッチが提供される。
【0012】
上歯用パッチにおいては上顎左右中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、そして下歯用においては下顎左右犬歯を覆う両端部の幅が最も広いことが好ましい。
【0013】
本発明の1態様によれば、薬物層を含む多層に親水性ガラス質ポリマー(glassy polymer)を使用したドライタイプのパッチが提供される。本発明のドライタイプのパッチは歯牙美白剤が歯牙表面の黄ばみ(stain)と十分に接触できるので、短期間で優れた美白効果を得ることができる。
【0014】
本発明の態様は、従来のドライタイプのパッチの問題点(例えば、口腔内歯牙に付着することによる歯肉への強い刺激)を解決する。よって、本発明の態様は、歯牙美白用パッチを歯牙に付着する際歯肉に当たる部位を最小化することによっ歯肉への刺激を少くし、ドライタイプの長所である強い接着力を用いて、歯の後部に折り込む面積を最小化する形状に関する。従って、本発明のある態様は、歯の輪郭によく合い、歯肉との接触を最小にした、過酸化物を含有してなるドライタイプの歯牙美白用パッチを提供する。
【0015】
本発明の態様は、歯牙に対する優れた接着力を示し、そして歯肉刺激を減少できる形状を有するドライタイプの歯牙美白用パッチに関する。本発明の好ましい態様である、ドライタイプのパッチは生来の長所を有し、同時に従来のドライタイプのパッチの短所を解決する。また、本発明によるパッチの接触部分の形状は、歯肉との接触面積を最小にしながら、歯の根部分まで白くするために、歯と歯肉の間の接触線(例えば、歯肉線)に沿って形成される。従って、上歯用パッチでは、上歯の中で上顎中切歯がもっとも大きくて高いので、上顎左右中切歯を覆う中央部分が最も幅が広く(凸状)なっており、下歯用パッチでは、犬歯が下歯の中で最も多くの部分が露出するので、下歯の左右犬歯を覆う両端部が最も幅が広く、他の部分が凹型になっていることが好ましい。
【0016】
人々が歯牙が白くなることを願う理由は、白い歯は会話中に自信を増し、さらに他人の心に明るい印象を与えるからである。笑ったり話す時に露出される歯牙の数は、一般に上歯及び下歯両方において4〜8本である。ある人々は全歯牙の目に見える前表面だけではなく、目に見えない歯の裏側まで白く見せたたいと思っている。しかしながら、大多数の人々においては、前歯の色が第一に重要である。犬歯が、他の前歯に比べて、より着色されるということが知られている。さらに、歯の根部(歯肉に隣接している)が歯の先端部(歯肉から離れている)よりも、より着色されることが知られている。また、過酸化物を含有している歯牙美白製品を歯牙を白くするために使用した時、下歯及び歯の根部に比べると、上歯及び歯の先端部(歯肉から離れている)が早く美白されることも知られている。
【0017】
ドライタイプのパッチの形状、又はドライタイプのパッチの少なくとも接触部は、過酸化物を含有し、そして歯肉との接触を最小にしつつ歯の根部を覆う線に沿うように形成されていることが好ましい。
【0018】
歯牙美白剤として一般にに使用される過酸化物は、歯牙表面に形成された着色だけではなく、歯牙のエナメル質及び象牙質も漂白するので、優れた美白効果を有していると知られている。しかしながら、この過酸化物は歯肉に浸透する可能性がある。過酸化物は毒性試験で安全なものであると証明されているが、過酸化物は歯肉に接触することにより、一時的に刺激を引き起こす恐れがある。過酸化物により引き起こされる一時的な刺激として、歯牙過敏性(tooth sensitivity)と歯肉刺激(gingival irritation)が一般に知られている。この刺激は歯磨きの直後に過酸化物を含有している製品を使用すると、強くなることが知られている。この刺激は過酸化物を含有している製品を連続的に使用すると、発生頻度が高くなることも知られている。これらの一時的な刺激を軽減させるためには、歯肉に接触する部位における過酸化物製品の使用を止めるか最小にすべきである。過酸化物製品によって殆ど又は全く刺激が引き起こされないことが好ましい。低濃度及び低含量の酸化物のを含有している製品が刺激を減少するのに有効であることが一般に知られている。しかしながら、歯牙美白用製品の歯牙美白効果は、過酸化物の濃度及び含量に比例するので、過酸化物の濃度を適当に調節することが好ましい。
【0019】
歯牙美白用パッチの望ましい形状は、具体的な歯牙美白用パッチの構成成分や特性及び/又は具体的なパッチの接触部により違ってくる。例えば、典型的な湿式タイプの歯牙美白用付着剤である、クレストホワイトストリップ(P&G)は、接着力が弱く、歯牙に容易に付着でき、所望の時間に剥がせる。また、このストリップの接着力は、ストリップに含有されている接着ポリマーである、Carbopol gelに起因するので、歯牙及び歯肉接触部位に対するストリップの接着力に差がない。しかしながら、このストリップの接着力は弱いので、色々の刺激によって歯牙から引き離すことができる。従って、犬歯の先は覆わず、歯の裏側に折り込む形状を有するストリップが望ましい。すなわち、歯から外れないような方法で歯の表側及び裏側の両方を覆うストリップが好ましい。
【0020】
一方、一般にドライタイプのパッチは水和されるので、強い接着力を有する。従って、歯牙より高い濃度の水分を含有している歯肉が最初に水和されてパッチに強力に付着する。さらに、歯牙に付着する条件を保持している間に、パッチに含有されている過酸化物が歯肉中に浸透してさらに刺激を引き起こす。このような理由により、パッチと歯肉の接触部分を最小化するのが望ましい。前述したように、歯肉に隣接している歯牙の根部分が強く着色されるが、歯牙の先端部に比べてゆっくり美白されるので、歯牙の根部分をストリップで覆うことが望ましい。パッチに歯の裏側を覆うために折り目をつけてもよい。しかしながら、下歯は舌がよく当たるので、歯の裏側に折り込む部分が少ないことが、着用感の点から好ましい。下歯用のパッチの付着部分が歯牙の表側を覆い、裏側は部分的に覆うか、又は全く覆わないようにするために、0.3〜2cm、好ましくは0.5〜1.5cmの幅を有することが好ましい。下歯用のパッチが2〜4cmの幅を有する場合は、下歯の表側及び裏側が完全に覆われる。下歯用のパッチと同様に、上歯用のパッチの折り込む部分が少ないことが着用感の点で好ましい。上歯用のパッチの付着部分は歯牙の表側を完全に覆い、裏側は部分的に覆うか、又は全く覆わないようにするために、0.5ないし2.5cm、好ましくは0.7ないし1.5cmの幅を有することが好ましい。
【0021】
歯牙美白用のパッチ及び/又は付着部分の大きさは、歯牙の本数及びサイズによって変わる。本発明のパッチは、歯牙の本数及びサイズに関わりなく、適用することができる。パッチを1本の歯牙だけに適用すると、その歯牙の色相が他の歯牙と異なってしまうので、好ましくない。パッチを全ての歯牙に適用するときは、使用者はパッチを付着するために口を大きく開けなくてはならず、非常に不便である。従って、笑う時や話す時に見える6本ないし8本の歯牙を覆うのに十分な大きさが好ましい。
【0022】
歯牙美白用パッチはの同じ幅を有する直方形であってもよい。しかしながら、幅を最も大きい歯牙に合わせると、パッチは他のサイズの小さい歯牙を完全に覆いそして歯肉部分にも接触する。同様に、幅を平均歯牙のサイズに合わせると、パッチは比較的大きい歯牙の歯の根部分完全に覆うことができない。
【0023】
上歯はそのサイズ、輪郭及びの屈曲点で下歯で異なるので、上歯用パッチは下歯用パッチと異なった形状を有することが好ましい。例えば、上顎中切歯が上歯の中で最も大きくて高いので、上歯用パッチは、上顎左右中切歯を覆う中央部を最も幅広く(凸面)するように製造するのが望ましく、犬歯は下歯の中では最も広い面積が露出するので、下歯用パッチは、左右の犬歯を覆う両端部分を最も幅広くするように製造するのが望ましい。多くの人々は平均的に約1cmサイズの上歯及び約0.9cmサイズの下歯を有している。従って、本発明パッチの付着部分が、上歯用に0.8〜1.5cmの幅及び下歯用に0.6〜1.5cmの幅を有することが望ましい。
【0024】
以上のような点を考慮すると、本発明のドライタイプのパッチは、着用者の歯牙に対する付着力が優れているので、外部から力を加えないと、歯牙から剥がれない。従って、本発明は、パッチの付着部分が、歯肉への刺激を最小にして最大の美白効果を得るために、歯牙と歯肉の間の接触線に沿うように形成されている、上歯と下歯の両方用の歯牙美白用パッチを提供する。
【0025】
本発明によるドライタイプの歯牙美白用パッチの最大の長所は、パッチは水和された後に強い接着力を有するため、歯の裏側に折り込む部分が全くなくても、十分に所望の時間中歯牙に付着できるという点である。また、このドライタイプのパッチは、自然な着用感を与え、そしてパッチと歯肉の接触部分を最小にすることにより、歯肉への刺激を殆ど又は全く引き起こさないという長所を有する。さらに、上歯用のパッチは下歯用のパッチと接触しないので優れた着用感を与える。しかし、下歯用のパッチは唾液によって稀釈されるので、付着してから短時間で下歯から剥がれることがある。下歯用パッチが下歯を取り囲むように裏側のほうに折り込んである、折り込むタイプのパッチにおいては、、唾液による稀釈が減少して、下歯用のパッチが所望の時間中下歯に付着できる。
【0026】
ドライタイプの歯牙美白用パッチの美白効果を最大にするためには、美白剤と歯牙上の汚れとの接触時間を延す、好ましくは1夜、ことが望ましい。調整されたトレーを用いる、歯科医が処方する自家用美白製品(Dentist-Prescribed at-Home Bleaching)は1夜使用するように意図されている。湿式タイプのパッチ製品は歯牙への付着が弱いので、1夜使用するのに適していない。一方、ドライタイプ製品は歯牙への強い接着力を有しているので、1夜使用するのに適している。折り込む部分を有するドライタイプのパッチは改善された接着力の点でより好ましい。
【0027】
歯牙美白効果は密閉された環境(sealed environment)下で増大されるため、折り込むドライタイプのパッチが優れた歯牙美白効果を示すことが期待される。
【0028】
歯牙に対する接着力を増強し、そして不自然な着用感を最小にするために、折り込むドライタイプのパッチに切れ目が形成される。より好ましくは、下歯の裏側の重畳部分を最小にするために、広い切れ目が形成される。下歯の裏側の折り込む部分を犬歯又はその前で比較的狭くしたり、下歯の裏側の折り込む部分を犬歯又はその次まで比較的広くすると、着用者は不自然かつ不快を感じる。従って、下歯用のパッチは犬歯又はその前の裏側までだけを覆うのが望ましい。
【0029】
さらに、上歯用及び下歯用パッチの中央部に切込みを入れることが好ましい。切込みの形成は、着用感の点で有利である。ドライタイプのパッチを着用する時、この切込みはパッチを歯牙の中央線に合わせることを可能にする。特に、上歯用パッチの中央部の中心にノッチを形成すると、パッチと歯肉の接触部分が最少になって歯肉への刺激が軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る望ましい態様のパッチの形状を図2aないし図6bに示す。
【0031】
図2a及び図2bはそれぞれ本発明の好ましい1態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図2aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広い上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図2bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広い下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0032】
図3a及び図3bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図3aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、そして上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成した上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図3bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、そして下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成した下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0033】
図4a及び図4bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図4aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、そして上歯の裏側部分を覆うように両側を広げた上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図4bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、そして下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、そして下歯の裏側部分を覆うように両側を広げた下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0034】
図5a及び図5bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図5aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、上歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして上歯の裏側に容易に折り込めるように折り込み部分に切り目及び/又は切込みを形成した上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図5bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、下歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして下歯の裏側に容易に折り込めるように折り込み部分に切り目及び/又は切込みを形成した下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0035】
図6a及び図6bはそれぞれ本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチ及び下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。特に、図6aは上歯の中で最も上に突出している中切歯を覆う中央部の幅が最も広く、上歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、上歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして上歯の裏側に容易に折り込めるように1本の側切歯のサイズの窪みが折り込み部に形成されている上歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示し;図6bは左右の下顎犬歯を覆う両端部分の幅が最も広く、下歯に容易に付着できるように中央部の中心に切込みを形成し、下歯の裏側部分を覆うように両側を広げ、そして下歯の裏側に容易に折り込めるように1本の側切歯のサイズの窪みが折り込み部に形成されている下歯用の歯牙美白用パッチの平面図を示す。
【0036】
本発明の歯牙美白用パッチ及び/又は接触部位の形状は前述した図面に示されたものに限定されないということは理解されるであろう。上歯の輪郭を考慮すると、中央部が歯肉に最も接触している。このため、上歯用のパッチ中央部に形成される切込みを、下歯用パッチの中央部に形成される切込みの2倍にすると、パッチと歯肉との接触部分が限縮して、より便利な使用が可能となる。下歯用パッチの折り込み部分に切り目をあまりに細く形成すると、下歯の裏側部分に重畳部分が生じ、これが不自然な感じ及び使いにくさを引き起こす。従って、下歯用パッチの折り込み部分に2本以上の太い切り目を形成することが好ましい。
【0037】
本発明のドライタイプ歯牙美白用パッチを製造するためには、接着層、薬物含有層など裏打ち層を除いた層を形成するために親水性ガラス質ポリマー(glassy polymer)が用いられる。この親水性ガラス質ポリマーは湿っている口腔内で歯牙のエナメル層で水和される時強い接着力及び歯牙美白剤の放出を提供する。
【0038】
トレイを使わない美白用パッチ(例えば、非トレイタイプ)はパッチを歯牙に付着することだけで美白効果を奏する。しかしながら、パッチが湿潤性の接着層、特にゲルタイプ、を含有しているときは、剥離層からパッチを剥がす際に相当量(80%以上)の薬物又はや接着性物質が手の上に残ってしまう。また、使用者の過ちによって、パッチが顔又は唇と接触すると、接着層に含まれる接着性物質が顔又は唇に残ってしまう。さらに、美白剤の種類又は含量による希望しない結果が得られてしまう。特に、優れた漂白効果を有する高濃度の過酸化物を歯牙美白剤として使用するので、深刻な問題も生じてしまう。一方、本発明のドライタイプのパッチに含まれている薬物及び接着性物質は、水和前は固体(シート又はフィルム)の状態に保持されている。このパッチを皮膚に触れたり歯から剥がすときは、薬物及び接着性物質は0〜10%の少量が残留する。従って、本発明のドライタイのプパッチは、安全かつ使い易いということが分かる。
【0039】
歯牙美白用非トレイ方式のパッチ又はトレイは、口内炎の治療に使用されている、粘膜貼付剤(mucoadhesive)、例えばアフタッチ(AFTACH、販売会社:同和薬品(韓国)、製造会社:帝人(日本))及び口内炎パッチ大正A(販売会社:大正製薬(日本)、製造会社:帝国(日本))の物理的性質に匹敵する優れた接着力が必要である。すなわち、これらは、湿っている口腔内で必要な時間中、所望の効果を示すのに十分な接着力を有していなければならない。さらに、これらには、不意の事態、例えば突然の咳及び大声での叫び、においてでも剥がれないような接着力が必要である。しかも、歯牙美白用非トレイ方式のパッチ又はトレイは、歯牙に付着する前は弱い接着力を有していることが好ましい。最初の接着力が強すぎると、手で剥離層から剥がす際に問題を生じてしまう。
【0040】
本発明のドライタイプのパッチはこのような問題を容易に解決できる。本発明のドライタイプパッチは水和される前は非常に弱い接着力を有している。このドライタイプのパッチは水和後に強力な接着力を発生する。ドライタイプのパッチが完全に水和された時でさえも、手で容易に剥がせる。歯への付着が強すぎても、大量の水(うがい、歯磨き、水や飲料水を飲む)が歯からの剥離を促進する。従って、本発明のドライタイプパッチは使い易さという点で有利である。
【0041】
裏打ち層(backing layer)は水不溶性及び水不透過性のポリマーを、歯肉又は下に付着したり、変形したり又は唾液によって歯から剥がれたりすることを阻止するように形成されたフィルムとして、含有している。
【0042】
一方、ドライタイプ歯牙美白用パッチにおいて歯牙美白剤として使用される過酸化物が経時的に不安定になるという問題がある、本発明における過酸化物の不安定性を解決するために、過酸化物安定化剤を用いるか、過酸化物との相溶性が良いガラス質ポリマーの溶液を、過酸化物安定化剤を使用せずに溶媒の比率を調節して添加する。従って、本発明は歯牙美白剤として過酸化物を使用するドライタイプパッチの接着層のポリマーの基材として親水性ガラス質ポリマーを使用し、過酸化物安定化剤を加えるか又は、過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーの溶液を溶媒の比率を調節して、過酸化物安定化剤の代わりに加える、新しいタイプのパッチを提供する。この本発明の新しいタイプのパッチは過酸化物の安定性を保証できる。
【0043】
本発明に係る歯牙美白用パッチの美白効果を増進するために、歯牙美白剤として過酸化物と共にポリリン酸を使用することができる。
【0044】
本発明に係る歯牙美白用パッチの歯牙美白効果はパッチの厚さを調節するか又は薬物を変えることにより制御できる。パッチを着用するとすぐに、水和を始めて透明になる。さらに、裏打ち層には文様やポケット(pocket)がないので、着用者は着用による過酸化物が発生する酸素の泡を観察することができ、それによって視覚的に美白効果を認知できる。また、このパッチは透明で着用中目立たないので、使用者の日常生活に差し支えがない。
【0045】
本発明の歯牙美白用パッチはマトリックスタイプ(matrix type)のパッチであって、皮膚や粘膜に付着することなく、歯牙のエナメル層に付着して歯牙表面に美白剤を歯牙を美白するのに十分な時間中供給することを意図している。パッチが歯牙に付着され、マトリックス内の美白剤を歯牙の表面に放出できる原理は次の通りである。経皮薬物の経時送達システム分野において、皮膚から発生する水分を用いて、付着後一定時間経過して薬物が放出されるようにした経皮製剤が示唆されている。すなわち、経皮用製剤の中に皮膚付着面と薬物貯蔵庫との間に薬物不透過性バリヤーが設けてある。製剤を皮膚に付着すると、皮膚から発生する水分によりバリヤーが徐々に水和され、これによって薬物の透過性が増強される。この場合、親水性のガラス質ポリマーがバリヤー物質として使用される。本発明では、マトリックスタイプパッチの多層の材料としに親水性ガラス質ポリマーが使用される。このパッチの構造により、保管中や手で歯牙に付着するときは美白剤の放出が阻止される。パッチを付着した後、歯牙表面の水分によりパッチは水和され始め、接着力が得られて美白剤が放出される。親水性ガラス質ポリマーはドライタイプパッチの多層の材料として用いられる。従って、本発明の他の態様によると、親水性ガラス質ポリマーは裏打ち層を除いたマトリックスタイプのパッチの層の材料として使用される。
【0046】
このような目的のため、本発明に係るパッチの接着層に使用されるガラス質ポリマーの例は、Gantrez AN 119、AN 139及びS−97のようなポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体(PVM/MA copolymer);ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;Poloxamer 407(Pluronic);Luviskol VA及びPlasdone S PVP/VAのようなポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer));ポリビニルピロリドン(PVP、K−15〜K−120);Polyquaternium−11(Gafquat 755N);Polyquaternium−39(Merquat plus 3330);Carbomer(Carbopol);ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ゼラチン及びアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩を包含する。上記のポリマーは単独で又はこれらの混合物として使用できる。これらのポリマーの溶媒としては水、エタノール、又は多種の混合比のこれらの混合物が含まれる。
【0047】
歯牙に付着させるパッチは、歯牙の輪郭にぴったり合うように変形可能な程十分に柔軟でなければならない。ポリマーによっては柔軟性に劣るものもあるので、適当な可塑剤を添加することができる。可塑剤はガラス質ポリマーの種類やその処方によるが、ポリプロピレングリコール、グリセリン又はポリエチレングリコールが一般に可塑剤として使用される。
【0048】
歯牙エナメル接着層に含有される歯牙美白剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ピロリン酸ナトリウム又はこれらの混合物からなる群から選ばれる。ピロリン酸ナトリウムと過酸化水素の付加化合物である過酸化ピロリン酸ナトリウム(TSPP−H2O2)は水溶液や結晶状態で過酸化水素の性質を示しながらも、かつピロリン酸ナトリウムそれ自体の特性を示す。一般に、ピロリン酸ナトリウムは過酸化水素が元々有している性質を変化させずに、過酸化水素を安定化する。すなわち、これは過酸化水素を単独で使用するときに生じる問題点を防止する。過酸化水素は金属触媒、紫外線、酸化酵素、加熱処理などにより分解が促進されるが、過酸化ピロリン酸ナトリウムは上記の物質及び処理に対して安定で、過酸化水素の本来の性質と機能を発揮する。実際に、液、ゲル又はペースト中で過酸化ピロリン酸ナトリウムは、過酸化物だけ使用する時より40℃における優れた経時安定性を示す。しかしながら、過酸化ピロリン酸ナトリウムを使用しても、パッチ内における過酸化物の安定化は容易に達成されない。
【0049】
一般に、過酸化物はその優れた反応性により、パッチ製品内で安定化させるのが困難であることが知られている。さらに、これはポリマーとの相溶性が低い。この過酸化物の製品内安定性は製品のタイプや処方に関連している。製品中の過酸化物の安定性に関連して、一般のゲル、ペースト又は溶液層の過酸化物の安定化を取り扱う多くの特許があり、そして、それらのあるものは、高温である程度の安定性が確保できることを見出している。しかしながら、薄く塗布されたゲルやパッチ内における過酸化物の安定化に関する示唆はない。本発明者らは、研究した結果、一般に知られた過酸化物安定化剤によってはこのような問題は簡単に解決できないことを見出した。
【0050】
そこで、本発明者らはパッチ内過酸化物の安定化剤をスクリーニングする途中で、本発明に係わるパッチの基本物性に悪影響を及ぼさずに本発明の利用範囲内で使用でき、パッチ中の過酸化物の高温における経時安定性を相当に向上させることができる、安定化剤を見い出した。従って、本発明の他の態様によれば、過酸化物の安定化剤が歯牙美白剤である過酸化物と共に使用される。
【0051】
本発明の歯牙美白用パッチにおいて使用できる過酸化物と相溶性が良好な安定化剤は、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルジフェニルオキシドドジスルホン酸塩、Span 20(sorbitan monolaurate)、Span 40(sorbitan monopalmitate)、Span 60(sorbitan monostearate)、Span 80(sorbitan monooleate)及びSpan 85(sorbitan trioleate)のようなスパン系、TWEEN(POE sorbitan fatty acid ester)系よりなる群から選ばれる1以上である。これら過酸化物安定化剤についてさらに詳述すれば次の通りである。
【0052】
本発明に係る歯牙美白用パッチは主な歯牙美白剤として過酸化物を含有している。パッチを美白剤だけを用いて製造し、次いで40℃で保管すると、パッチ内過酸化物の含量が経時的に減少する。従って、in vitro美白効果も新しいパッチより低下することが観察された。ゲルタイプの製剤の場合は、フィルム形成剤としてポリマーを過量使用し、安定化剤を添加しないとでさえも、過酸化物の損失が少ない。製剤の過酸化物安定性が低いときでも、一般の過酸化物安定化剤として知られている、EDTAやクエン酸ナトリウムのようなキレート剤の小量を使用することにより所望の効果を得ることができる。ゲルの溶媒を蒸発させてシート状のパッチを形成した、歯牙美白用パッチでは、製剤中に安定化剤を使用しないときは、ゲルタイプの製剤に比べて過酸化物の安定性が減少する。キレート剤の添加は、キレート剤のないパッチに比べて、パッチの過酸化物の安定性の減少をもたらすことも観察された。さらに、過酸化物安定化効果に優れていると知られているDequestリン酸塩類を使用しても適当な過酸化物の安定化が得られなかった。
【0053】
上で述べたように、パッチ内の過酸化物の安定性がゲル、液状又はシート状のよう製剤のタイプによってが違う理由は色々考えられる。アメリカ特許第4,320,102号によれば、過酸化物は組成物中にごく微量含まれる金属による触媒反応によって容易に分解されると記載されている。過酸化物1リットル当たり0.1mgの鉄、0.2mgの銅、0.1mgのマグネシウム、0.02mgのクロムの存在が過酸化水素の分解を導くことを示すデータが報告されている。溶液型やゲル型パッチのの溶媒を蒸発して作られたシート型のパッチは、パッチの薄層上に高い含量の金属を含有しているであろう。また、シート型のパッチは大きな表面積が有しているので、表面上で高い比率で反応が起こり、そして過酸化物の安定性も低下する。
【0054】
本発明に係るパッチに含有される安定化剤は主に界面活性剤や乳化剤であり、これらはミセルを形成して製品の過酸化物の安定化に好ましい効果を生ずるものと考えられる。例えば、安定化剤はと過酸化物と過酸化物との相溶性がよくない物質との接触を防ぐか、展延性が低いガラス質ポリマーを使用した時に美白剤をパッチ全体に均一に分散させて、接着剤層を均一に塗布させる。実際に、ゲルを大きな表面上に薄く塗布させると、過酸化物の残量は経時的に減少する、一方、容器に入っている同じ組成のゲルが比較的高温においても安定であることを見出した。本発明者等は親水性ガラス質ポリマーのうち一部は過酸化物との相溶性に優れているので、過酸化物安定化剤を添加しなくても、溶媒の比率を適切に調節した親水性ガラス質ポリマーの溶液は、過酸化物を十分に安定化させられることを見い出した。従って、本発明は過酸化物と過酸化物安定化剤の併用に制限されない。以下、この点をさらに具体的に説明する。
【0055】
ポリビニルピロリドン(PVP、K−15〜K−120)、Polyquaternium−11、Polyquaternium−39、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP/VA copolymer)のような親水性ガラス質ポリマーは過酸化物との相溶性に優れ、水、エタノール又はこれらの混合物によく溶ける。従って、過酸化物安定化剤を添加しなくても、9:1〜0:10の比の水とエタノールの混合物を使用することによってパッチ内過酸化物を安定化することができる。過酸化物安とポリビニルピロリドンの良好な相溶性は水素結合を介してポリビニルピロリドンと錯体を形成することによる過酸化物の安定化に起因するものと考えられる。ポリビニルピロリドンは、過酸化物を含有した薬物含有層に使用するのに最も望ましい親水性ガラス質ポリマーである。入手可能なPVPのうち、K−15〜K−120は使用可能であるが、K−90(PVP)は本発明のパッチで使用するのが好ましい。キャスティング(casting)方法で生産する場合ゲル含量が高いほど望ましいので、PVP(K−30)がさらに好ましい。PVPは望ましくは約500,000以上、さらに好ましくは約1,000,000以上の相対的に高い分子量を有するのが好ましい。好ましい態様においては、1,270,000の分子量を有するPVPが使われる。また、Polyquaterniumのように4級アンモニウム構造を有するポリマーと過酸化物が相溶性が良好であることを確認できた。本発明によれば、水とエタノールの混合物が接着物質の溶媒として使用される。過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーは一般に親水性が極めて大きくて剥離層や他のシートの表面に均一に塗布できない。水とエタノールの混合溶媒はこのような問題が解決して、均一なシート層が形成される。従って、本発明他の態様によれば、歯牙美白剤としての過酸化物及び過酸化物と相溶性が良好なガラス質ポリマーを含有してなり、過酸化物安定化剤の添加なしで、水とエタノール溶媒比を調節することによって高温おいてもパッチが安定している、歯牙美白用のパッチが提供される。また、本発明のパッチは、パッチに十分な柔軟性を与えるために可塑剤を含有してなる。適切な可塑剤は、ポリマーの種類とその処方により差があるが、ポリプロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレングリコールを包含する。
【0056】
また、本発明は主な美白剤としての過酸化物の外に、美白効果の向上のためにポリリン酸塩を美白助剤として含有することができる。本発明で使用可能なポリリン酸塩は、ピロリン酸ナトリウム(tetrasodium pyrophosphate、TSPP)、酸性ピロリン酸ナトリウム(sodium acid pyrophosphate、SAPP)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(sodium hexametaphosphate、SHMP)、トリポリリン酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate、STP)、トリポリリン酸ナトリウムカリウム(sodium potassium tripolyphosphate、SKTP)、ピロリン酸カリウム(tetrapotassium pyrophosphate、TKPP)、酸性メタポリリン酸ナトリウム(acidic sodium meta-polyphosphate、Sporix)、酸性ポリリン酸ナトリウム(acidic sodium polyphosphate、Multiphos)よりなる群から選ばれる1以上を包含する。一般に、ポリリン酸塩は歯磨きに歯石生成抑制や歯石除去のための歯石調節剤として効果的に使用できること知られている。ポリリン酸塩は金属の良好なキレート剤であって歯牙の表面に形成されて着色(stain)、特に食物や作業環境中の鉄、カルシウム、マグネシウムなどの金属により生成された歯牙着色を効果的に除去できるのという点で歯牙の美白効果を増強することが知られている。本発明によるのパッチ中で過酸化物と共に使用されるポリリン酸塩は、歯牙とポリリン酸塩の接触時間を延ばして、歯石の形成を抑制し及び歯石を除去するであろう。実際に、本発明のパッチを歯牙に付着すると、歯牙の表面や歯牙の隙間が綺麗になることが見られる。
【0057】
本発明に係るマトリックス型パッチの裏打ち層に使用可能なポリマーは、ポリビニルアセテート、エチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、メタクリロイルエチルベタイン/メタクリル酸共重合体(Yukaformer:製造会社Mitsubishi、Metacryloyl Ethyl Betain/Metacylate Copolymer)、メタクリル酸共重合体(methacrylic acid copolymers;Eudragit L 100、Eudragit L 125、Eudragit L 100−55、Eudragit L 30D−55)、アミノアルキルメタクリル酸共重合体(aminoalkyl methacrylate copolymers;Eudragit E 100、Eudragit E 125、Eudragit RL 100、Eudragit RL 30D)、セルロースアセテートフタレート、シェラック(Shellac)又はこれらの混合物を包含する。さらに、口腔内pH6ないし8では溶解しない、腸溶コーティング物質として使用されているポリマーを使用できる。
【0058】
本発明に係る歯牙美白用パッチにの裏打ち層は十分な柔軟性のために色々の可塑剤を含有することができる。この場合は、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールのような、前述した可塑剤を含む多種の可塑剤が、用いる溶媒の種類に応じて、使用することができる。例えば、ひまし油又は硬化ひまし油も使用できる。
【0059】
また、本発明の歯牙美白用パッチを歯牙付着させた時、化学的及び物理的作用によって白く見えるように、裏打ち層に幾つかの白色顔料を用いてもよい。例えば、二酸化チタン、タルク、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛又はこれらの混合物を白色顔料として使用できる。これら顔料が接着剤層の美白剤と相溶性が不良な場合は表面処理された二酸化チタンを使用することもできる。さらに、白色顔料以外に個人の好みにより、パール剤や多様な色相の顔料を適用することも可能である。
【0060】
本発明によると、従来の歯磨きでは経時安定性の問題のため適用し難かった酵素のような物質、特にデキストラナーゼ又はグルコースオキシダーゼなどを単独又は混合して使用することができる。歯牙美白に効果があるというパパインも添加することもできる。口腔疾患を治療するために、トリクロサン(triclosan)、クロロヘキシジン、ビタミンE又はビタミンEアセテートのようなその誘導体、口臭除去に効果的な酸化剤、葉緑素又はその誘導体、香料なども使用できる。
【0061】
本発明に係る歯牙美白用パッチの使用法は、パッチを美白しようとする歯牙の表面に付着することよりなる。パッチは水に溶ける部分と水に溶けない部分(裏打ち層)とからなる。水に溶ける部分が歯牙の表面と直接接触し、裏打ち層は保護壁として作用する。ドライタイプの歯牙美白用パッチは水和されると、柔軟性及び接着力が増加する。歯牙表面が乾燥しすぎていると、初めはパッチが歯の表面に付着されない。パッチは少量の水分によって十分に水和されるので、歯牙の表面が完全にを乾燥していない限り問題とならない。また、過多な水分は急速に親水性ガラス質ポリマーを溶解するので、パッチの接着力は大きく減少する。従って、歯牙美白用パッチを付着した状態で大量の水や飲料水を摂取することは望ましくない。
【0062】
具体的には、最初に、使用者は指を用いて歯牙の中央部パッチを置き、歯の表面に密着させる。このとき、歯牙の隙間にも密着させるために指や舌を用いるのが望ましい。
【0063】
本発明の歯牙美白用パッチは、歯に付着して30分から1時間後に自然に剥がれる。たまには、かなり長時間が経過しても容易に剥がれない場合もある。しかしながら、自然には剥がれるためにはさらに時間が必要である。このような場合、安全性には問題がなく、むしろ美白効果が増強する。必要なら、水を用いて容易に剥がすことができる。
【0064】
本発明の歯牙美白用パッチは所望の時間中十分に過酸化物と歯の黄ばみとの接触を確保するので、美白効果を得るのには有効であるが、歯磨き剤が与えるような爽やか感さを着用者に十分に与えない。このため、着用者はパッチを剥がしてから歯を磨くこともできる。しかし、歯磨きは歯に刺激を引き起こすので、パッチ付着前の歯磨きは推奨できない。
【0065】
この発明の前記及び他の目的、特徴及び他の利点は、添付図面を参照する次の詳細な説明によって明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の望ましい実施例を詳述する。但し、これら実施例は本発明の理解のための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されることではない。
【0067】
実施例1ないし5、比較例1
下記の組成によって実施例1ないし5及び比較例1の歯牙美白用パッチを製造した。
【0068】
[実施例1]
薬物含有接着剤層製造用溶液
ポリビニルアルコール10%、ポリビニルピロリドン10%、過酸化ピロリン酸ナトリウム5%、アルキルアリールスルホン酸(SLS)2%及びグリセリン3%の混合物に水を加えて100%にした。
【0069】
裏打ち層製造用溶液
エチルセルロース8%、オイドラギット(Eudragit)5%及びひまし油4%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0070】
[実施例2]
接着剤層製造用溶液
ヒドロキシプロピルセルロース30%にエタノールを加えて100%にした。
【0071】
薬物含有層製造用溶液
ポリビニルピロリドン20%、過酸化水素5%、グリセリン10%及びエタノール30%の混合物に水を加えて100%にした。
【0072】
裏打ち層製造用溶液
ポリビニルアセテート5%、Yukaformer(Mitsubishi)5%及びグリセリン6%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0073】
[実施例3]
薬物含有接着剤層製造用溶液
Polyquaternium−39 10%、過酸化尿素10%及びエタノール50%の混合物に水を加えて100%にした。
【0074】
裏打ち層製造用溶液
セルロースアセテートフタレート30%、ひまし油4%の混合物にアセトン:エタノール=4:1混合溶液を加えて100%にした。
【0075】
[実施例4]
接着剤層製造用溶液
ポリビニルピロリドン20%にエタノールを加えて100%にした。
【0076】
薬物含有層製造用溶液
ポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体(Grantrez S97)12%、過酸化ピロリン酸ナトリウム6%及びオレイン酸ソルビタン(sorbitan oleate)0.5%の混合物に水を加えて100%にした。
【0077】
裏打ち層製造用溶液
エチルセルロース10%及びひまし油6%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0078】
[実施例5]
接着剤層製造用溶液
ポリビニルアルコール10%、ポリビニルピロリドン10%及びグリセリン3%に水を加えて100%にした。
【0079】
薬物含有層製造用溶液
Polyquaternium−11 20%、PC 4%、TKPP 4%及びモノラウリル酸ソルビタン(sorbitan monolaurate)2%の混合物に水を加えて100%にした。
【0080】
裏打ち層製造用溶液
オイドラギット(Eudragit)15%及びプロピレングリコール5%の混合物にエタノールを加えて100%にした。
【0081】
[比較例1]
薬物含有接着剤層製造用ゲル
Carbopol 12%、過酸化水素4.5%、SAPP 0.48%及びグリセリン80%の混合物に水を加えて100%にした。
【0082】
裏打ち層
ポリエチレンストリップ。
【0083】
上で用いた略語は以下の意味を有する。TKPP;tetrapotassium pyrophosphate、SAPP;sodium acid pyrophosphate、TSPP;tetrasodium pyrophosphate。
【0084】
[実験例1]
歯肉への刺激の評価
図を参照すると、図1a、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aは上歯用パッチである。 実施例1で得られる処方をそれぞれ用いて、これらのパッチを製造した。図2aで示されるパッチはは折り込み部分を有さず、図4aは折り込み部分を有するが切り目がなく、そして図5a及び図6aは折り込み部分及び切り目を有する。図1aで示されるストリップはクレストホワイトストリップ(Crest Whitesptrip;P&G、アメリカ)の上歯用ストリップである。図1aで示されるストリップは比較例1で得られる処方それぞれ用いて製造された。図1に示されているよう、このストリップは折り込み部分を有し、そして線状の形状である。
【0085】
このようにして製造したパッチの歯肉への刺激の程度及び着用感を、1日2回2週間このパッチを30分着用した後に評価した。また、このパッチを1時間歯に付着した後に接着持続力を評価した。パッチの上記性質を以下に示す基準に基づいて記録した。5;極めて満足(刺激なし、歯牙に極めて強く付着、極めて優れた付着持続力)、4:満足(全く又はほとんど刺激なし、歯牙に強く付着、優れた付着持続力)、3;普通(弱い刺激、歯牙に普通に付着、普通の接着持続力)、2;不満足(初期に刺激、歯牙に弱く付着、弱い接着持続力)、及び1;極めて不満足(使用中継続する刺激、歯牙に極めて弱く付着、極めて弱い接着持続力)。
【0086】
図1a、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aで示されるパッチは6ないし8本の歯牙を覆うのに十分な長さを有している。パッチの歯肉への刺激の程度、着用感及び接着持続力は、それぞれ10名について評価した。結果は表1示されている。
【0087】
【表1】
【0088】
表1から分かるように、図2a、図3a、図4a、図5a及び図6aで示されるパッチは実施例1の処方を用いて製造しているにもかかわらず、図2aの折り込みのない型のパッチが歯肉への刺激の評価において最も優れており(例えば、最小の刺激)、図3a、図4a、図5a及び図6aの折り込み型のパッチは、図2aの折り込みのない型のパッチと比較すると、接着持続力の評価において優れていた。従って、30分以上着用するときは、折り込み型のパッチが好ましいと推測される。結局、パッチの歯肉への刺激の程度、着用感及び接着持続力は、パッチのタイプ(湿式又はドライ)によって異なる。ドライタイプノのパッチの物理学的性質は、ドライタイプパッチの形状(折り込み又は非折り込み)によって異なる。
【0089】
[実験例2]
歯牙美白用パッチの歯牙に対する接着力を下記の機械的な方法で測定した。
【0090】
(1)ヒドロキシアパタイト(HAP)タブレット試片の製造
ヒドロキシアパタイト粉末をIRプレス法でタブレットに成形した。得られたタブレットを1000℃の温度で焼結した。
【0091】
(2)歯牙への接着力の評価
小型張力試験機(Miniature tensile tester)を用いて人工歯牙物質であるヒドロキシアパタイトに対するパッチの接着力を測定したし、その結果を下の表2に示す。乾燥状態における接着力はこのように焼結させたヒドロキシアパタイト試片を完全に乾燥した後測定した。湿潤状態における接着力は、ヒドロキシアパタイト試片に、試片が完全に湿潤するまで、水を十分に加え、次いで試片の表面の水気を除去してから測定した。湿潤条件をこのように規定した理由は、口腔は湿っているが、歯牙表面は湿潤が分かるほど十分に湿潤していなからである。パッチの歯牙に対する接着力は、パッチを試片に一定な力で一定時間中加圧してから、付着したパッチを剥がすのに必要な力を測定した。この測定は数回繰り返した。結果を表2に示した。
【0092】
【表2】
【0093】
表2にから分かるように、実施例1ないし5のドライタイプパッチは湿潤状態よりもドライ状態で2〜260倍の強い接着力を示した。一方、ドライ状態及び湿潤状態における、比較例1のゲルをストリップに塗布した湿潤タイプパッチの接着力には有意の差がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
上の記載から明らかなように、本発明に関わる歯牙美白用パッチは、裏打ち層以外の層の材料として親水性ガラス質ポリマーを用いているドライタイプのパッチである。ドライタイプのパッチが歯牙に付着した後、このガラス質ポリマーは歯牙表面の水分によって水和されて強力な接着力を発し、美白剤が放出し始める。従って、ドライタイプのパッチは使用に際して問題点のない安全な製剤である。また、ドライタイプのパッチが手や他の部位に接触しても、残渣が残らず使用に便利である。さらに、ドライタイプのパッチは歯牙に対する強い接着力を有するので、着用中に剥がれなく優れた美白効果を示す。なおその上に、ドライタイプのパッチの接触表面は歯の部分を全て覆い、歯肉との接触は最小であるので、全く又は殆ど刺激を引き起こさず着用感も優れている。
【0095】
本発明の好ましい態様が説明の目的で開示されているが、添付の特許請求の範囲に開示されている発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多種の改変、追加及び置換が可能であることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1a】P&Gのクレストホワイトストリップの上歯用形状を示す平面図である。
【図1b】P&Gのクレストホワイトストリップの下歯用形状を示す平面図である。
【図2a】本発明の好ましい1態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図2b】本発明の好ましい1態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図3a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図3b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図4a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図4b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図5a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図5b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図6a】本発明の他の好ましい態様に係る上歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【図6b】本発明の他の好ましい態様に係る下歯用の歯牙美白用パッチの平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上歯用パッチが下歯用パッチと異なった形状を有し、そしてそれぞれのパッチが歯肉と接触する面積を最小にするように調節された幅と形状を有することを特徴とする、上歯用パッチ及び下歯用パッチを有する一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項2】
上歯用パッチが最も幅の広い上顎左右中切歯を覆う中央部を有し、そして下歯用パッチが最も幅の広い下顎左右犬歯を覆う両端部を有する、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項3】
パッチの歯牙に対する接着力が水和したときに2倍になる、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項4】
パッチが美白剤としての過酸化物、及び親水性ガラス質ポリマーを含有してなる、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項5】
パッチが過酸化物安定化剤を過酸化物共にさらに含有してなる、請求項4に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項6】
それぞれのパッチが歯牙の裏側に折り込まなくても済むように歯牙のサイズと同様な幅を有している、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項7】
それぞれのパッチが歯牙の裏側に折り込められ、そして奥の裏側に折り込みやすくするように、折り込み部分に切り目を有している、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項8】
上歯用パッチが0.5〜2.5cmの幅を有し、そして下歯用パッチが0.3〜2.0cmの幅を有する、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項9】
上歯用パッチが0.7〜1.5cmの幅を有し、そして0.8〜1.5cmの最大幅を有する、請求項8に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項10】
下歯用パッチが0.5〜1.5cmの幅を有し、そして0.6〜1、5cmの最大幅を有する、請求項8に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項11】
パッチが水に不溶性の最外層を含有してなる、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項12】
上歯用及び/又は下歯用のパッチが歯肉に当たる部位の中央に形成された切込み(notch)を含んでいる、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項1】
上歯用パッチが下歯用パッチと異なった形状を有し、そしてそれぞれのパッチが歯肉と接触する面積を最小にするように調節された幅と形状を有することを特徴とする、上歯用パッチ及び下歯用パッチを有する一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項2】
上歯用パッチが最も幅の広い上顎左右中切歯を覆う中央部を有し、そして下歯用パッチが最も幅の広い下顎左右犬歯を覆う両端部を有する、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項3】
パッチの歯牙に対する接着力が水和したときに2倍になる、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項4】
パッチが美白剤としての過酸化物、及び親水性ガラス質ポリマーを含有してなる、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項5】
パッチが過酸化物安定化剤を過酸化物共にさらに含有してなる、請求項4に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項6】
それぞれのパッチが歯牙の裏側に折り込まなくても済むように歯牙のサイズと同様な幅を有している、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項7】
それぞれのパッチが歯牙の裏側に折り込められ、そして奥の裏側に折り込みやすくするように、折り込み部分に切り目を有している、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項8】
上歯用パッチが0.5〜2.5cmの幅を有し、そして下歯用パッチが0.3〜2.0cmの幅を有する、請求項1又は2に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項9】
上歯用パッチが0.7〜1.5cmの幅を有し、そして0.8〜1.5cmの最大幅を有する、請求項8に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項10】
下歯用パッチが0.5〜1.5cmの幅を有し、そして0.6〜1、5cmの最大幅を有する、請求項8に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項11】
パッチが水に不溶性の最外層を含有してなる、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【請求項12】
上歯用及び/又は下歯用のパッチが歯肉に当たる部位の中央に形成された切込み(notch)を含んでいる、請求項1に記載の一対のドライタイプの歯牙美白用パッチ。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【公表番号】特表2006−509036(P2006−509036A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570345(P2004−570345)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002368
【国際公開番号】WO2004/045569
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502178883)エル・ジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミティッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002368
【国際公開番号】WO2004/045569
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502178883)エル・ジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミティッド (6)
【Fターム(参考)】
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