説明

残量通知装置

【課題】装置の振動する方向に対応付けて装置に対する指示を識別し、同振動の最大振幅のタイミングに合わせて、現実の事物を連想させる報知パターンでもって残量を通知できる残量通知装置を提供する。
【解決手段】振動パターン検出手段102と、第1部品103と、記憶手段104と、音声出力手段105と、制御部101を備え、操作者が筐体を振動させたとき、振動の方向に応じて装置に対する指示を識別し、第1部品103の状態に応じた報知パターンを記憶手段104から読み出し、続いて、振動の最大振幅のタイミングに合わせて放置パターンを音声出力手段105から出力させるように構成する。これにより、あたかも財布を振って中の硬貨の音を聞くように、残量の種類、および残量に関して操作者の了解度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー残量や電子マネー残金等の残量通知を行なう電子機器に用いる残量通知装置に関し、特に携帯電子機器に利用可能な残量通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA、電子辞書等の携帯型電子機器が広範囲に普及し、時間や場所の制限無く利用されるようになってきている。しかしながら、これら電子機器は小型であるため必然的にバッテリーも小型の小容量のものが使われており、適宜、充電あるいはバッテリー交換を行なう必要がある。そのため、一般的には画面上にバッテリー残量を表示し、操作者に対して通知している。また、電子マネーの機能を有する電子機器では、機器の盗難や紛失、故障による被害を少なくするために、同機器内に保持できる金額には限度額が設定されている場合がある。そのため、電子マネーの使用時には電子機器内に記憶されている残金が不足する場合もありうる。一般的には、支払い時に支払い装置上に電子機器内の残金を表示する、または、特定の操作により当該電子機器の画面上に残金を表示する方法により、操作者に対して通知している。これらの方法は、いずれも操作者がその表示された情報を目視にて確認する必要があり、また、操作者に対して特定の操作を行なわせるものである。
【0003】
従来、この種の残量通知装置として、ICカードリーダーに音量スイッチを有し、同スイッチを押下するとICカードリーダーに挿入している電子マネーカードの残高に応じて音声合成/ブザー音(音階、回数、発生パターン)を発生させて残高を通知するように構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
これによれば、ICカードリーダーの音量スイッチを操作者が押下する、あるいは折畳み型の装置では折畳み状態から開放状態にすると、あらかじめ電子マネーカードから読み込んでおいた残高の情報に応じて、出力する音量(或いは音階、音の発生回数、音の発生パターン、または、これらの組合せ)を適宜、変化させた情報を設定・保持する。その後、出力装置から前記の情報をもとにした音量等を出力することができ、操作者は出力された音量等によりICカードの残高の多寡を判別することができる。
【0004】
また、電子マネーカードリーダーに振動感知部を有し、同感知部が振動を感知すると電子マネーカードの残高情報を音声(強弱、周波数、これらの組合せ)を発生させて通知するように構成したものも知られている。(例えば、特許文献2参照)
これによれば、電子マネーカードリーダーを操作者が振ると、その振動を感知し、あらかじめ電子マネーカードから読み込んでおいた残高情報と、残高の多寡と音声パターン(音声の強弱、周波数、または、これらの組合せ)との対応付けを保持しているテーブルとを照合し、出力する音声パターンを適宜、決定する。その後、出力装置から前記の音声パターンを出力することができ、操作者は出力された音声パターンにより電子マネーカードの残高の多寡を判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−263612号公報(第7頁、図9)
【特許文献2】特開平11−259611号公報(第10頁、図9、11、12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、装置に設けられたスイッチを押下する操作か、あるいは折畳み型の装置において折畳み状態から開放状態への操作を契機として出力を行なうものであり、基本的に1種類の操作(装置に対する指示)のみ可能であり、多種類の操作(指示)を選択的に行なうことができないという問題があった。また、音声合成(「xxxx円です」など)あるいは、ブザー音の音階、発生回数、長短の差、またこれらの組合せにより出力を行なうものであり、音声による出力では操作者は出力された音声から残高値を聞き取らなければならず、単純なブザー音による出力でもその音階、発生回数、長短の差を意識して聞き分けなければならないという問題があった。また、本装置は電子マネーの残高を通知するものであり、その他の複数種類の残量(バッテリー残量、メモリ残量など)を通知することができないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたものでは、装置の単純な振動を感知するものであり、特許文献1の装置と同様の問題があった。さらに、振動感知部は、一旦、振動を感知した後、OFFにすることとなっており、装置に対する継続的な振動パターン(振動方向、振動の大きさ)を感知できないという問題があった。また、単純な音声の強弱、周波数、またこれらの組合せにより出力を行なうものであり、特許文献1の装置と同様の問題点があった。また、本装置も電子マネーの残高を通知するものであり特許文献1の装置と同様の問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、装置(筐体)の振動する方向を検出し、振動の方向ごとに装置に対する指示を対応付けて、複数の指示を識別できる残量通知装置を提供するものである。また装置(筐体)の振動の大きさを検出し、最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力し、かつ、当該報知パターンを現実の事物を連想させるものとし、当該残量の種類および残量の多寡を識別できる残量通知装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の残量通知装置は、少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、筐体内部に配置される第1部品と、前記第1部品の状態に対応する複数の報知パターンを記憶する記憶手段と、前記報知パターンを出力する音声出力手段と、前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の振動パターンと合致した場合、前記第1部品の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の残量通知装置は、少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、第1アプリケーションと、第2アプリケーションと、第1アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンと第2アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンとを記憶する記憶手段と、前記報知パターンを出力する音声出力手段と、前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の第1の振動パターンと合致した場合、前記第1アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力し、また、当該振動パターンが所定の第2の振動パターンと合致した場合、前記第2アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の残量通知装置によれば、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、第1部品(例えば、電子マネーカード)の状態(残高)に応じて、報知パターン(例えば、硬貨の音「チャリンチャリン」)を音声出力手段から出力するので、現実の事物(硬貨)との連想により、電子マネーカードの残高に関して操作者の了解度を向上させることができる。また、筐体の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力することにより、あたかも財布を振って中の硬貨の音を聞くように、残量の種類(電子マネーカード)、および残量(電子マネー残高)に関して操作者の了解度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の残量通知装置によれば、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、振動方向に応じて第1アプリケーション(例えば、電子マネーカード)、あるいは第2アプリケーション(例えば、バッテリー)の状態(残高、残量)に応じて、報知パターン(例えば、硬貨の音「チャリンチャリン」、あるいは瓶入りの液体の音「チャプチャプ」)を音声出力手段から出力するので、現実の事物(硬貨、瓶入りの液体)との連想により、電子マネーカードの残高あるいはバッテリー残量に関して操作者の了解度を向上させることができる。また、筐体の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力することにより、あたかも財布を振って中の硬貨の音を聞く、あるいは瓶を振って中の液体の音を聞くように、残量の種類(電子マネーカード、バッテリー)および残量(電子マネー残高、バッテリー残量)に関して操作者の了解度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における残量通知装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1における残量通知装置の動作を説明するフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における第1部品の状態と対応する報知パターンを記憶した記憶部の内容を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における残量通知装置の概略構成図
【図5】本発明の実施の形態2における残量通知装置の動作を説明するフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における第1アプリケーションの状態と対応する報知パターンを記憶した記憶部の内容を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における第2アプリケーションの状態と対応する報知パターンを記憶した記憶部の内容を示す図
【図8】本発明の実施の形態1および2における携帯電子機器の利用状況の例を示す図
【図9】本発明の実施の形態2における携帯電子機器の利用状況の例を示す図
【図10】本発明の実施の形態2における携帯電子機器の利用状況のその他の例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2における携帯電子機器の利用状況のその他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の残量通知装置は、少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、筐体内部に配置される第1部品と、前記第1部品の状態に対応する複数の報知パターンを記憶する記憶手段と、前記報知パターンを出力する音声出力手段と、前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の振動パターンと合致した場合、前記第1部品の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部とを備えた構成を有する。
【0015】
この構成により、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、振動パターン検出手段が当該振動の方向を検出するので、第1部品(例えば電子マネーカード)の状態(残高)を通知する旨の指示を受けたと判断することができる。続いて、第1部品の現在の状態を参照し、対応する報知パターン(例えば、硬貨の音「チャリンチャリン」)を記憶手段から読み出して音声出力手段から出力するので、現実の事物(硬貨)との連想により、電子マネーカードの残高に関して操作者の了解度を向上させることができる。また、筐体の振動の大きさを検出するので、筐体の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力することにより、あたかも財布を振って中の硬貨の音を聞くように、残量の種類(電子マネーカード)および残量(電子マネー残高)に関して操作者の了解度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の残量通知装置は、少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、第1アプリケーションと、第2アプリケーションと、第1アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンと第2アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンとを記憶する記憶手段と、前記報知パターンを出力する音声出力手段と、前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の第1の振動パターンと合致した場合、前記第1アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力し、また、当該振動パターンが所定の第2の振動パターンと合致した場合、前記第2アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部とを備えた構成を有する。
【0017】
この構成により、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、振動パターン検出手段が当該振動の方向を検出するので、その方向に応じて第1アプリケーション(例えば、電子マネーカード)の状態(残高)を通知する旨の指示、あるいは第2アプリケーション(例えば、バッテリー)の状態(残量)を通知する旨の指示のいずれかを判定することができる。続いて、第1アプリケーションあるいは第2アプリケーションの現在の状態(電子マネーカードの残高、バッテリー残量)を参照し、対応する報知パターン(例えば、硬貨の音「チャリンチャリン」、あるいは瓶入りの液体の音「チャプチャプ」)を記憶手段から読み出して音声出力手段から出力するので、現実の事物(硬貨、瓶入りの液体)との連想により、電子マネーカードの残高あるいはバッテリー残量に関して操作者の了解度を向上させることができる。また、筐体の振動の大きさを検出するので、筐体の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力することにより、あたかも財布を振って中の硬貨の音を聞く、あるいは瓶を振って中の液体の音を聞くように、残量の種類(電子マネーカード、バッテリー)および残量(電子マネー残高、バッテリー残量)に関して操作者の了解度を向上させることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における残量通知装置の概略構成図、図2は、同残量通知装置の動作を説明するフローチャート、図3は、図1に示す記憶手段104の一例を示すテーブル、図8は携帯型電子機器である携帯電話に対する操作者の操作の一例を示す模式図である。
【0020】
本発明の実施の形態1における残量通知装置は、図1に示すように、筐体の振動パターンを検出する振動パターン検出手段102と、筐体内部に配置される第1部品103と、前記第1部品103の状態に対応する複数の報知パターンを記憶する記憶手段104と、前記報知パターンを出力する音声出力手段105と、前記振動パターン検出手段102が検出した振動パターンが所定の振動パターンと合致した場合、前記第1部品103の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段104から読み出し、前記音声出力手段105から当該報知パターンを出力する制御部101を備えている。
【0021】
次に、本実施の形態1について、その動作を図2を用いて説明する。本実施の形態1では、携帯型電子機器を図8に示す携帯電話とし、その所定の振動方向をF8−1、一方の最大振幅の位置をF8−2、他方の最大振幅の位置をF8−3とし、また第1部品103を携帯電話に内蔵された電子マネーカードとし、また記憶手段104は電子マネーカードの残高に対応した報知パターンとして、図3に示すように財布の中の硬貨の多寡に応じた現実の音声データ「ザックザック」(301)、「ジャラジャラ」(302)、「チャリンチャリン」(303)を記憶しているものとして説明する。
【0022】
図8に示すように携帯電話を所定の方向(F8−1)に操作者が連続的に振ると、振動パターン検出手段102が振動パターンを検出し、制御部101に当該振動パターンを通知し、また振動パターンの検出および通知を継続する。制御部101は振動パターンを検出したと判定し(S201)、続いて振動方向が所定の方向(F8−1)と合致していると判定し(S202)、第1部品103(電子マネーカード)の状態(残高)を読み出す(S203)。さらに、制御部101は読み出した残高の値(ここでは、7,000円とする)と、図3に示す記憶手段104のテーブルとを照合し、5,000円を上回り、かつ10,000円を下回ることから報知パターン301の「ザックザック」を読み出す(S204)。続いて、制御部101は振動パターン検出手段102が継続的に通知する振動パターンから、最大振幅(F8−2、あるいはF8−3)のタイミングを検出すると(S205)、前記報知パターン301を音声出力手段105から出力する(S206)。操作者が携帯電話を振っている間、振動パターン検出手段102は当該振動パターンを継続的に制御部101へ通知するので、筐体の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターン301を繰り返し出力し、操作者が携帯電話を振るのをやめると、振動パターン検出手段102は振動パターンの通知を停止し、制御部101は音声出力手段105からの出力を停止する(S207)。
【0023】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における携帯電話端末においては、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、振動パターン検出手段102が振動パターン(方向、大きさ)を検出し、それに基づいて制御部101が第1部品103(電子マネーカード)の残高を読み取り、さらに残高に応じた報知パターン(財布の中の硬貨の現実の音)を記憶手段104から読み取り、同報知パターンを筐体の振動の最大振幅のタイミングに合わせて音声出力手段105から出力することにより、操作者に対して、残量の種類(電子マネーカード)および残量(残高)を高い了解度でもって通知することができる。
【0024】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図4は、本発明の実施の形態2における残量通知装置の概略構成図、図5は、同残量通知装置の動作を説明するフローチャート、図6および図7は、図4に示す記憶手段405の一例を示すテーブル、図8および図9は携帯型電子機器である携帯電話に対する操作者の操作の一例を示す模式図である。
【0025】
本発明の実施の形態2における残量通知装置は、図4に示すように、筐体の振動パターンを検出する振動パターン検出手段402と、第1アプリケーション403と、第2アプリケーション404と、第1アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンと第2アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンとを記憶する記憶手段405と、前記報知パターンを出力する音声出力手段406と、前記振動パターン検出手段402が検出した振動パターンが所定の第1の振動パターンと合致した場合、前記第1アプリケーション403の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段405から読み出し、前記音声出力手段406から当該報知パターンを出力し、また、当該振動パターンが所定の第2の振動パターンと合致した場合、前記第2アプリケーション404の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段405から読み出し、前記音声出力手段406から当該報知パターンを出力する制御部を備えている。
【0026】
次に、本実施の形態2について、その動作を図5を用いて説明する。本実施の形態2では、携帯型電子機器を図8および図9に示す携帯電話とし、その第1の振動方向をF8−1、および所定の第2の振動方向をF9−1とし、また各々の一方の最大振幅の位置をF8−2、F9−2、他方の最大振幅の位置をF8−3、F9−3とし、また第1アプリケーション403を携帯電話に内蔵された電子マネーカードとし、また第2アプリケーション404を携帯電話に内蔵されたバッテリーとし、また記憶手段405は電子マネーカードの残高に対応した報知パターンとして、図6に示すように財布の中の硬貨の多寡に応じた現実の音声データ「ザックザック」(601)、「ジャラジャラ」(602)、「チャリンチャリン」(603)、および図7に示すように、瓶の中の液体の多寡に応じた現実の音声データ「タプンタプン」(701)、「ジャブジャブ」(702)、「チャプンチャプン」(703)を記憶しているものとして説明する。
【0027】
図8に示すように携帯電話を第1の所定の方向(F8−1)に操作者が連続的に振ると、振動パターン検出手段402が振動パターンを検出し、制御部401に当該振動パターンを通知し、また振動パターンの検出および通知を継続する。制御部401は振動パターンを検出したと判定し(S501)、続いて振動方向が第1の所定の方向(F8−1)と合致していると判定し(S502)、第1アプリケーション403(電子マネーカード)の状態(残高)を読み出す(S503)。さらに制御部401は読み出した残高の値(ここでは、3,000円とする)と、図6に示す記憶手段405のテーブルとを照合し、1,000円を上回り、かつ5,000円を下回ることから報知パターン602の「ジャラジャラ」を読み出す(S504)。続いて、制御部401は振動パターン検出手段402が継続的に通知する振動パターンから、最大振幅のタイミングを検出すると(S508)、前記報知パターン602を音声出力手段406から出力する(S509)。操作者が携帯電話を振っている間、振動パターン検出手段402は当該振動パターンを継続的に制御部401へ通知するので、筐体の最大振幅(F8−2、あるいはF8−3)のタイミングに合わせて報知パターン602を繰り返し出力し、操作者が携帯電話を振るのをやめると、振動パターン検出手段402は振動パターンの通知を停止し、制御部401は音声出力手段406からの出力を停止する(S510)。
【0028】
また、図9に示すように携帯電話を第2の所定の方向(F9−1)に操作者が連続的に振ると、振動パターン検出手段が振動パターンを検出し、制御部401に当該振動パターンを通知し、また振動パターンの検出および通知を継続する。制御部401は振動パターンを検出したと判定し(S501)、続いて振動方向が第1の所定の方向(F8−1)とは合致しないと判定し(S502)、第2の所定の方向(F9−1)と合致していると判定し(S505)、第2アプリケーション404(バッテリー)の状態(残量)を読み出す(S506)。さらに制御部401は読み出した残量の値(ここでは、20%とする)と、図7に示す記憶手段405のテーブルとを照合し、10%を上回り、かつ50%を下回ることから報知パターン702「ジャブジャブ」を読み出す(S507)。以下の処理は、前述の振動方向が第1の所定の方向(F8−1)の場合と同一のため、省略する。
【0029】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における携帯電話端末においては、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、振動パターン検出手段402が振動パターン(方向、大きさ)を検出し、それに基づいて制御部401が電子マネーカードの残高、あるいはバッテリーの残量のいずれかを、各々、第1アプリケーション403(電子マネーカード)あるいは第2アプリケーション404(バッテリー)の残高、あるいは残量を読み取り、さらに残量・残高に応じた報知パターン(財布の中の硬貨の現実の音、瓶の中の液体の現実の音)を記憶手段405から読み取り、同報知パターンを筐体の振動の最大振幅のタイミングに合わせて音声出力手段406から出力することにより、操作者に対して、残量の種類(電子マネーカード、あるいはバッテリー)および残量(残高、あるいは残量)を高い了解度でもって通知することができる。
【0030】
なお、本発明の実施の形態では、図8、9に示すような上筐体と下筐体を有する折り畳み型の携帯電話としたが、ストレート型の携帯電話、あるいは上筐体と下筐体が回転型、あるいはスライド型の携帯電話でもよく、また、電話機能を持たないPDA、あるいは電子辞書、ノート型パソコンといった携帯型電子機器であってもよい。
【0031】
また、本発明の実施の形態では、折畳み型の携帯電話を折り畳んだ状態にて操作するものとしたが、開いた状態にて操作することとしても良い。
【0032】
なお、本発明の実施の形態では、携帯型電子機器を操作者が単純に振ることとしたが、操作者が意図しない場面で動作しないように、本発明の機能を有効化・無効化するためのスイッチを別途、設けて、当該スイッチと連動して本発明の機能が動作することとしてもよい。
【0033】
また、本発明の実施の形態では、携帯型電子機器の振動を検出することとしたが、ポケット内、あるいはバッグ内などに同機器を入れた状態で振動を検出することを防ぐために、携帯型電子機器にスイッチ、あるいはセンサーなどを設けて、操作者が手で保持していること、あるいは操作者の手が接触していることを判別し、その場合にのみ振動を検出することとしてもよい。
【0034】
なお、本発明の実施の形態では、図8のF8−1、および図9のF9−1に示すような所定の方向の振動を用いて第1アプリケーション、および第2アプリケーションに対応付けたが、図10のF10−1に示すように、振動方向検出手段の振動方向の分解能の性能に応じて、さらに所定の振動の方向を追加することとしてもよく、また、これに併せて第3アプリケーション以降を追加することも可能である。
【0035】
なお、本発明の実施の形態では、図9のF9−1に示すような所定の方向の振動を用いてアプリケーションに対応付けたが、図9に示すように装置の上端を保持して装置を振った場合、装置の下端での振幅が最も大きくなることから、装置の下端に配置したアプリケーション(例えば、バッテリー)に対応づけ、図11に示すように装置の下端を保持して装置を振った場合、装置の上端での振幅が最も大きくなることから、装置の上端に配置したアプリケーション(例えば、電子マネー装置)に対応付けるというように、装置を振動させた際の振動の支点と振幅が最も大きい位置に配置しているアプリケーションとの位置関係から、当該装置に対する指示を判別することとしてもよい。
【0036】
なお、本発明の実施の形態では、筐体の振動の最大振幅(例えば、F8−2、F8−3など)の双方のタイミングに合わせて報知パターンを出力することとしたが、いずれか一方の最大振幅のタイミングに合わせて報知パターンを出力することとしてもよい。
【0037】
なお、本発明の実施の形態では、図3、図6、図7に示すように、報知パターンとして財布の中の硬貨の音、および瓶の中の液体の音としたが、その他、容器入りの砂や鍵束など、現実の事物の発する音で、かつ量の多寡を示すことが可能なものを報知パターンとしてもよい。
【0038】
また、本発明の実施の形態では、報知パターンは現実に発生させた音の録音データとしたが、その他、電子的あるいは、機械的に発生させた擬似音のデータとしてもよい。
【0039】
また、残高、あるいは残量の値と対応する報知パターンをテーブルとして保持することとしたが、他のデータ型式で保持してもよい。
【0040】
また、残高、あるいは残量の区分を3段階としたが、残量の区分は2段階以上の任意の段階としてもよい。
【0041】
また、電子マネーカードの残高の単位を円としたが、その他、保持可能な最大金額に対する割合(%)、あるいは別途定義されたポイントなどとしてもよい。同様に、バッテリー残量の単位を%としたが、その他、バッテリーの電圧、あるいは電圧低下の度合、電流量、あるいは電力量、バッテリーの放電時間などとしてもよい。
【0042】
また、残高、あるいは残量の値を段階的にあらかじめ設定してあるものとしたが、これらの値について、編集手段を別途設けることにより操作者が編集可能なものとしてもよい。
【0043】
なお、本発明の実施の形態では、携帯型電子機器に内蔵された電子マネーカードおよび、バッテリーの残高、残量を通知することとしたが、その他、携帯電子機器の記憶装置(メモリ)の残量、外部記憶装置(着脱型メモリー装置)の残量、記憶可能な静止画の残り枚数、記憶可能な動画、あるいは音声データの残り時間、あらかじめ設定されたクレジットカード等の上限額までの残高、あらかじめ設定された通話料金、あるいは通話時間の上限までの残金、あるいは残時間、未読メールの件数、無料通話の通話料金、あるいは通話時間の上限までの残金、あるいは残時間などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、筐体内部に配置される第1部品と、前記第1部品の状態に対応する複数の報知パターンを記憶する記憶手段と、前記報知パターンを出力する音声出力手段と、前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の振動パターンと合致した場合、前記第1部品の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部とを備え、操作者が筐体を所定の一方向に振ったとき、第1部品(例えば、電子マネーカード)の状態(残高)に応じて、報知パターン(例えば、硬貨の音「チャリンチャリン」)を筐体の最大振幅のタイミングに合わせて音声出力手段から出力する構成を有し、したがって、操作者が筐体を振動させる方向に応じて、装置に対する複数種類の指示を判別し、また、現実の事物の発する音声(例えば、財布の中の硬貨の音)を模擬的に発生させ、操作者の了解度を向上させることができ、携帯型電子機器に内蔵している各種の部品あるいはアプリケーションの残量を通知させたいときに有用である。
【符号の説明】
【0045】
101 制御部
102 振動パターン検出手段
103 第1部品
104 記憶手段
105 音声出力手段
301、302、303 記憶手段104に記憶する第1部品の状態(残高)と、残高に対応する報知パターン
401 制御部
402 振動パターン検出手段
403 第1アプリケーション
404 第2アプリケーション
405 記憶手段
406 音声出力手段
601、602、603 記憶手段405に記憶する第1アプリケーションの状態(残高)と、残高に対応する報知パターン
701、702、703 記憶手段405に記憶する第2アプリケーションの状態(残量)と、残量に対応する報知パターン
F8−1、F9−1、F10−1、F11−1 操作者が筐体を振動させる所定の方向
F8−2、F8−3、F9−2、F9−3、F10−2,F10−3、F11−2、F11−3 操作者が筐体を振動させた際の最大振幅の位置の例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、
筐体内部に配置される第1部品と、
前記第1部品の状態に対応する複数の報知パターンを記憶する記憶手段と、
前記報知パターンを出力する音声出力手段と、
前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の振動パターンと合致した場合、前記第1部品の状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
少なくとも筐体の振動方向と振動の大きさを含む振動パターンを検出する振動パターン検出手段と、
第1アプリケーションと、
第2アプリケーションと、
第1アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンと第2アプリケーションの状態に対応する複数の報知パターンとを記憶する記憶手段と、
前記報知パターンを出力する音声出力手段と、
前記振動パターン検出手段が検出した振動パターンが所定の第1の振動パターンと合致した場合、前記第1アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力し、また、当該振動パターンが所定の第2の振動パターンと合致した場合、前記第2アプリケーションの状態を読み出し、当該状態に対応する報知パターンを前記記憶手段から読み出し、前記音声出力手段から当該報知パターンを出力する制御部と、
を備えたことを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−277125(P2010−277125A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126077(P2009−126077)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】