説明

段ボール機械の部品管理装置、コルゲートマシンおよび製函機

【課題】部品の交換時期である旨の報知に従って、点検作業者が部品を点検した結果、部品を継続して使用する場合であっても、再度、部品の点検時期を報知することが可能な段ボール機械の部品管理装置等を提供する。
【解決手段】段ボール機械を構成する部品の管理を行うことが可能な段ボール機械の部品管理端末装置57であって、部品の交換時期である旨を報知する第1報知処理部90と、第1報知処理部90による報知を基点とし、基点から予め設定された第1超過点検時間または第1超過点検判定値を超えたときに、交換時期を超えた部品の点検時期となる第1超過点検時期である旨を報知する第2報知処理部91と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール機械を構成する各部品の管理を行うことができる段ボール機械の部品管理装置、コルゲートマシンおよび製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような部品管理装置として、例えば、部品交換警告手段を備えた部品寿命監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この部品寿命監視システムの部品交換警告手段は、部品の累積稼働量と寿命稼働量とを比較して、寿命領域であると判断すると、警告表示を出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−107236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、警告表示に従って、部品交換を行うべく、点検作業者が部品の点検を行った結果、部品を継続して使用可能な場合がある。特に、段ボール機械において、そのコルゲートマシンに設けられた中芯を波状に形成するフルートは、多品種小ロット生産を目的とする場合、段幅、紙種や紙厚等に応じて、さまざまな種類のものが用いられる。このため、段ボール機械の稼働時間を同一とした場合であっても、使用するフルートによって、段ボール機械に設けられたベアリング等の部品への負荷は大きく異なる。これにより、段ボール機械を構成する部品の交換時期は、段ボール機械の使用態様に応じて大きく異なってくる場合があるため、段ボール機械の稼働時間に左右されない場合が多い。よって、点検作業者が警告表示に従って部品交換を行うと、部品の継続使用が可能な分、無駄となってしまう虞がある。
【0005】
そこで、点検作業者が、部品交換の警告表示に従って点検作業を行った結果、部品を継続して使用すると判断した場合、部品の交換時期の経過後であっても、段ボール機械の作動不良を防止すべく、部品の異常を適切に発見する必要がある。
【0006】
このため、本発明は、部品の交換時期である旨の報知に従って、点検作業者が部品を点検した結果、部品を継続して使用する場合であっても、再度、部品の点検時期を報知することが可能な段ボール機械の部品管理装置、コルゲートマシンおよび製函機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の段ボール機械の部品管理装置は、段ボール機械を構成する部品の管理を行うことが可能な段ボール機械の部品管理装置であって、部品の交換時期である旨を報知する第1報知手段と、第1報知手段による報知を基点とし、基点から予め設定された超過点検しきい値を超えたときに、交換時期を超えた部品の点検時期となる超過点検時期である旨を報知する第2報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第2報知手段により、超過点検時期である旨を、点検作業者に報知することができるため、交換時期を超えた部品の点検を、点検作業者に促すことができる。これにより、点検作業者は、第2報知手段による報知により、交換時期を超えた部品の点検作業を行うことで、交換時期を超えた部品の異常を好適に発見することが可能となる。なお、第1報知手段および第2報知手段は、画像や音等を用いて報知を行うことが好ましい。
【0009】
この場合、第1報知手段または第2報知手段による報知後、部品の使用を継続する旨の継続設定が為された場合、第2報知手段は、継続設定を基点とし、基点から超過点検しきい値を超えたときに、超過点検時期である旨を報知することが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1報知手段または第2報知手段による報知に従って、点検作業者が点検作業を行った結果、部品の使用を継続すると判断した場合、点検作業者により継続設定が行われることで、第2報知手段は、点検後の部品に対し、超過点検時期である旨を、点検作業者に報知することができる。
【0011】
この場合、超過点検時期は、第1報知手段による報知を基点としたときに設定される第1超過点検時期と、継続設定を基点としたときに設定される第2超過点検時期とがあり、第1超過点検時期は、第2超過点検時期に比して、短く設定されていることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1超過点検時期を第2超過点検時期よりも短く設定することで、第1報知手段による報知を基点としたときの、第2報知手段による報知のサイクルを短くすることができる。つまり、継続設定が為されることで、点検作業者が点検を行ったことがわかるが、第1報知手段による報知後は、点検作業者が点検を行ったか否かはわからない。このため、第1報知手段による報知後、点検作業者が点検を行わなかった場合であっても、早めに第2報知手段による報知を行うことが可能となる。
【0013】
この場合、第1報知手段または第2報知手段による報知後、部品の交換を行った旨の交換設定が為された場合、第1報知手段は、改めて部品の交換時期を設定することが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、点検作業者が点検作業を行った結果、部品の交換を行った場合、点検作業者により交換設定が行われることで、第1報知手段は、交換後の部品に対し、改めて部品の交換時期である旨を、点検作業者に報知することができる。
【0015】
この場合、部品の定期点検時期である旨を報知する第3報知手段を更に備えたことが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、第3報知手段により、点検作業者に対し、部品の定期点検を促すことができる。
【0017】
この場合、段ボール機械には、部品の使用状況を検出可能な計測センサが設けられ、第1報知手段は、計測センサによる計測結果が、予め設定された交換判定値を超えた場合に報知を行い、第2報知手段は、計測センサによる計測結果が、予め設定された超過点検しきい値となる超過点検判定値を超えた場合に報知を行うことが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1報知手段および第2報知手段は、部品の使用状況を計測する計測センサの計測結果に基づいて、部品の交換時期および部品の超過点検時期である旨を報知することができる。このため、第1報知手段および第2報知手段は、点検作業者に対し、部品の交換時期および部品の超過点検時期を精度良く報知することができる。なお、計測センサとしては、振動センサ、温度センサや電流センサ等の各種センサが用いられる。
【0019】
この場合、部品の使用時間を計測可能なタイマを更に備え、第1報知手段は、タイマにより計測した部品の使用時間が、予め設定された設定交換時間を超えた場合に報知を行い、第2報知手段は、タイマにより計測した部品の使用時間が、予め設定された超過点検しきい値となる超過点検時間を超えた場合に報知を行うことが、好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1報知手段および第2報知手段は、部品の使用時間に基づいて報知を行うことができる。このため、第1報知手段および第2報知手段は、計測センサ等を設ける必要がないため、構成を簡易なものとすることができる。
【0021】
この場合、部品の使用開始から交換に至るまでの交換時間を蓄積する交換時間データベースと、交換時間データベースに蓄積された交換時間から、設定交換時間を導出する設定交換時間導出手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0022】
この構成によれば、交換時間データベースに部品の交換時間を蓄積し、設定交換時間導出手段は、蓄積した部品の交換時間に基づいて、設定交換時間を導出することができる。このため、交換時間データベースに部品の交換時間が蓄積されればされるほど、設定交換時間導出手段によって導出される設定交換時間は、精度の高いものとなる。従って、第1報知手段は、精度の高い設定交換時間に基づいて、点検作業者に対し、部品の交換時期を報知することができる。
【0023】
この場合、部品の使用開始から交換に至るまでの間の、部品の消耗度を判定する部品消耗判定手段と、判定した部品の消耗度を報知可能な消耗度報知手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0024】
この構成によれば、消耗度報知手段により部品の消耗度を、点検作業者に報知することができる。このため、例えば、消耗度報知手段による報知によって、点検作業者が交換時期となった部品の交換を行う際に、交換時期が迫っている他の部品も合わせて交換点検することができ、点検作業者に対する操作性を向上させることができる。
【0025】
この場合、表示部を更に備え、消耗度報知手段は、部品消耗判定手段により判定した部品の消耗度を視認可能な消耗度表示画面を、表示部に表示することが、好ましい。
【0026】
この構成によれば、点検作業者が、消耗度表示画面を視認することで、各部品の消耗度を容易に認識することができる。
【0027】
この場合、表示部を更に備え、表示部には、その表示画面上に、各種報知を行うための報知表示領域が設けられており、第1報知手段は、報知表示領域を第1表示形態とすることで、部品の交換時期である旨を報知しており、第2報知手段は、報知表示領域を第1表示形態と異なる第2表示形態とすることで、部品の超過点検時期である旨を報知していることが、好ましい。
【0028】
この構成によれば、点検作業者が、表示部の報知表示領域を視認することで、部品の交換時期であるか、または、部品の超過点検時期であるかを、容易に認識することができる。
【0029】
この場合、表示部に表示される表示画面を、外部の表示装置へ転送可能な情報通信部を更に備えたことが、好ましい。
【0030】
この構成によれば、表示部に表示される表示画面を、情報通信部を介して、例えば、モバイルパソコン等の携帯端末装置の表示部や、段ボール機械の近傍に設けられた表示装置に、表示させることができる。このため、点検作業者は、段ボール機械の近傍において、表示部や表示装置に表示された表示画面を視認しながら、部品の交換や点検等を行うことが可能となる。
【0031】
本発明のコルゲートマシンは、上記の段ボール機械の部品管理装置によって部品が管理されていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、コルゲートマシンを構成する各部品を好適に管理することができるため、部品の故障による、コルゲートマシンの製造作業の停止を抑制することができる。
【0033】
本発明の製函機は、上記の段ボール機械の部品管理装置によって部品が管理されていることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、製函機を構成する各部品を好適に管理することができるため、部品の故障による、製函機の製造作業の停止を抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の段ボール機械の部品管理装置、コルゲートマシンおよび製函機によれば、第2報知手段により、超過点検時期である旨を、点検作業者に報知することができるため、交換時期を超えた部品の点検を、点検作業者に促すことができ、これにより、交換時期を超えた部品の異常を好適に発見することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本実施例に係る部品管理端末装置を備えた段ボール機械の部品管理システムを模式的に表した概略構成図である。
【図2】図2は、段ボール機械の部品管理システムのブロック図である。
【図3】図3は、部品管理端末装置に表示される初期画面の説明図である。
【図4】図4は、部品管理端末装置に表示される各余寿命管理操作画面の説明図である。
【図5】図5は、部品管理端末装置に表示される点検項目画面の説明図である。
【図6】図6は、部品管理端末装置に表示される保守管理画面の説明図である。
【図7】図7は、点検作業者による部品の交換作業に関する一方の例の説明図である。
【図8】図8は、点検作業者による部品の交換作業に関する他方の例の説明図である。
【図9】図9は、部品管理端末装置に表示される点検画面の説明図である。
【図10】図10は、部品管理端末装置に表示される交換画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る段ボール機械の部品管理装置、コルゲートマシンおよび製函機について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0038】
図1に示すように、本発明に係る段ボール機械5の部品管理装置は、段ボール機械5を構成する各部品の管理を行う部品管理システム50に、部品管理端末装置57として組み込まれている。そして、この部品管理システム50は、既設の段ボール機械5に対し、別途新たに組み込むことで、段ボール機械5を構成する各部品の管理を行うことができる。各部品の管理とは、例えば、各部品の使用状況を監視して、各部品の交換時期や点検時期等を報知したり、各部品の清掃および給油を報知したりすることである。
【0039】
ここで、段ボール機械5は、例えば、段ボールシートを製造するコルゲートマシン15や、段ボールシートを箱状に加工する製函機16で構成されている。なお、本実施例の部品管理システム50では、段ボール機械5として、コルゲートマシン15および製函機16を適用しており、以下、部品管理システム50の説明に先立ち、段ボール機械5について説明する。
【0040】
図1に示すように、段ボール機械5は、コルゲートマシン15と製函機16とで構成されており、コルゲートマシン15は、段ボールシートを製造し、製函機16は、段ボールシートを加工して、段ボール箱を製造する。
【0041】
コルゲートマシン15は、裏ライナ紙、芯紙および表ライナ紙を供給する複数のミルロールスタンド20と、裏ライナ紙に芯紙を貼合せて片面段ボールシートを形成するシングルフェーサ21と、片面段ボールシートに表ライナ紙を貼合せて両面段ボールシートを形成するダブルフェーサ22と、を備えている。また、コルゲートマシン15は、形成された両面段ボールシートを所定幅に裁断するスリッタスコアラ23と、所定幅に裁断された両面段ボールシートを幅方向に裁断して板状とするカットオフ装置24と、板状となった両面段ボールシートを積み上げるスタッカ25と、を備えている。さらに、コルゲートマシン15には、裏ライナ紙、芯紙および表ライナ紙を予熱するプレヒータ26が設けられている。
【0042】
従って、コルゲートマシン15において、シングルフェーサ21では、ミルロールスタンド20から供給された中芯(芯紙)を波形に加工し、別のミルロールスタンド20から供給される裏ライナを貼合せて片面段ボールシートが形成される。このシングルフェーサ21で形成された片面段ボールシートは、下流側に設けられたブリッジ部27へ送られ、ここで貯留されながら下流のダブルフェーサ22にその速度に合わせて送られる。ダブルフェーサ22では、ブリッジ部27から送られる片面段ボールシートに別途設けられているミルロールスタンド20から送られる表ライナが貼合わされて両面段ボールシートが形成される。このダブルフェーサ22を通過した両面段ボールシートは、スリッタスコアラ23により搬送方向に所定のスリットや罫線が入れられた後、カットオフ装置24により幅方向に切断されて段ボールシートとされ、スタッカ25に積上げられて順次排出される。
【0043】
なお、コルゲートマシン15には、シングルフェーサ21、ダブルフェーサ22、スリッタスコアラ23、カットオフ装置24およびスタッカ25等をそれぞれ制御する複数の制御盤28が設けられており、後述する中継機54を介して、部品管理制御盤55に接続されている(図2参照)。
【0044】
製函機16は、段ボールシートを供給する給紙部30と、段ボールシートに印刷を行う印刷部31と、印刷された段ボールシートに罫線加工および溝切加工を行うスロッタクリーザ部32と、段ボールシートの両端部を折り畳んで接合することで扁平状の段ボール箱を製造するフォルディング部33と、段ボール箱を積み重ね、所定数のバッチに仕分けして排出するカウンタエゼクタ部34と、を備えている。
【0045】
従って、製函機16において、給紙部30では、テーブル上に積み重ねられた段ボールシートを、一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部31に送り、印刷部31では、印刷ユニットを有し、段ボールシートに印刷を行う。印刷された段ボールシートには、スロッタクリーザ部32により、折り線となる罫線、およびフラップを成す溝、並びに端部接合用の糊代片の加工が施され、フォルディング部33により、罫線,溝,糊代片が加工された段ボールシートを移動させながら、糊代片に糊を塗布して罫線に沿って折り畳み、糊代片を接合することで扁平状の段ボール箱を製造する。そして、カウンタエゼクタ部34は、段ボールシートが折り畳まれて糊付けされた段ボール箱を積み重ね、所定数のバッチに仕分けして排出する。
【0046】
なお、製函機16にも、コルゲートマシン15と同様に、給紙部30、印刷部31、スロッタクリーザ部32、フォルディング部33およびカウンタエゼクタ部34等をそれぞれ制御する複数の制御盤40が設けられており、後述する中継機54を介して、部品管理制御盤55に接続されている(図2参照)。
【0047】
続いて、図1および図2を参照して、部品管理システム50について説明する。部品管理システム50は、上記したコルゲートマシン15および製函機16を構成する各部品を管理するものである。なお、本実施例の部品管理システム50では、コルゲートマシン15および製函機16に適用しているが、これに限らず、例えば、コルゲートマシン15のシングルフェーサ21等の一部のみに適用しても良い。
【0048】
この部品管理システム50は、上記した既設の段ボール機械5に取り付けられた複数の計測センサ53と、各中継機54を介して各計測センサ53に接続された部品管理制御盤55と、中継ハブ56を介して部品管理制御盤55に接続された部品管理端末装置(部品管理装置)57と、を備えている。また、中継ハブ56には、無線通信機58を介して携帯端末装置59が接続されている。
【0049】
複数の計測センサ53は、重要度の高い主要部品を管理可能なように配設されており、コルゲートマシン15のシングルフェーサ21やダブルフェーサ22等にそれぞれ配設され、また、製函機16のスロッタクリーザ部32やフォルディング部33等にそれぞれ配設されている。また、計測センサ53は、様々な種類のものが用意されており、例えば、電流値を測定可能な電流計、温度を測定可能な温度センサ、振動を検出可能な振動センサや音を検出可能な音センサ等が用意されている。そして、これらの計測センサ53は、主要部品周りに配設されている。なお、重要度の高い主要部品とは、故障によって段ボール機械5の製造作業が停止する虞の高い部品のことである。
【0050】
中継機54は、コルゲートマシン15および製函機16に設けられた複数の制御盤28,40に応じて、それぞれ配設されている。そして、各中継機54は、各制御盤28,40にそれぞれ接続されると共に、上記の計測センサ53に接続される。
【0051】
部品管理制御盤55は、段ボール機械5が配設された工場内に配設され、具体的には、コルゲートマシン15や製函機16などの近傍に設置される。部品管理制御盤55は、処理部60と、記憶部61と、情報通信部62とを備えており、これら各部は入出力部63によって接続されることにより、互いに信号の受け渡しが可能になっている。
【0052】
情報通信部62は、各中継機54を介して複数の計測センサ53から入力された各種測定データを取得し、取得した各種測定データを入出力部63を介して、記憶部61に保存したり、処理部60に出力したりする。また、情報通信部62は、部品管理端末装置57との間で各種データを通信可能に構成されている。記憶部61は、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性のメモリを組み合わせて構成され、取得した各種測定データや各種処理を実行可能なプログラムを保存可能に構成されている。処理部60は、各種プログラムを実行するための作業領域となるRAM等の揮発性のメモリや、各種プログラムを実行するための演算を行うCPU等で構成されている。
【0053】
従って、部品管理制御盤55において、処理部60は、記憶部61に記憶された各種プログラムをメモリ上に展開し、展開した各種プログラムに従って、各中継機54を介して各計測センサ53から入力された各種測定データを適宜処理することが可能である。また、部品管理制御盤55は、処理前および処理後の各種測定データを部品管理端末装置57に送信することができる。
【0054】
中継ハブ56は、部品管理制御盤55と、部品管理端末装置57と、無線通信機58とを相互に接続しており、情報通信の中継を行っている。
【0055】
部品管理制御盤55は、コルゲートマシン15や製函機16などの機械の近傍に設置されるが、部品管理端末装置57は、コルゲートマシン15や製函機16などの機械の近傍や、作業事務所の室内に設置されている。部品管理端末装置57は、段ボール機械5の点検作業者に対し、段ボール機械5を構成する各部品の管理に関する情報を提供可能に構成されている。この部品管理端末装置57は、いわゆるコンピュータであり、ディスプレイ(表示部)70と、操作部71と、処理部72と、記憶部73と、情報通信部74とを備え、これら各部は入出力部75によって接続されることにより、相互に信号の受け渡しが可能になっている。
【0056】
ディスプレイ70は、各種操作画面を表示可能に構成されており、点検作業者は、各種操作画面を視認しながら操作を行うことにより、部品の管理を行うことができる。操作部71は、例えば、マウスやキーボードで構成されており、ディスプレイ70の操作画面に従って、各種操作を行うことにより、部品の管理に関する各種操作画面を、ディスプレイ70上に表示することができる。
【0057】
情報通信部74は、各中継ハブ56を介して部品管理制御盤55および携帯端末装置59から入力された各種データを取得し、取得した各種データを入出力部75を介して、記憶部73に保存したり、処理部72に出力したりする。また、情報通信部74は、部品管理端末装置57との間、携帯端末装置59との間で各種データを通信可能に構成されている。
【0058】
記憶部73は、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性のメモリを組み合わせて構成され、取得した各種データや各種処理を実行可能なプログラムを保存可能に構成されている。また、記憶部73には、部品の使用開始から交換までの交換時間に関する交換時間データを蓄積する交換時間データベース80が設けられている。なお、詳細は後述するが、この交換時間データベース80に蓄積された交換時間データは、部品の交換時期を判定するためのしきい値となる設定交換時期を導出するために用いられる。
【0059】
処理部72は、各種プログラムを実行するための作業領域となるRAM等の揮発性のメモリや、各種プログラムを実行するための演算を行うCPU等で構成されている。従って、部品管理端末装置57において、処理部72は、各種プログラムをメモリ上に展開し、展開した各種プログラムに従って、入力された各種データを適宜処理することができる。また、処理部72は、入力された各種データに基づいて、ディスプレイ70上に表示される各種操作画面の表示を切り換えている。
【0060】
ここで、処理部72は、各種プログラムが実行されることで各種処理を行うことができる。具体的に、処理部72は、各種報知に関する処理を行う報知部83と、報知部83による各種報知の時期である旨の判定を行う報知判定部84と、部品の交換時期である設定交換時間を導出する設定交換時間導出部85と、部品の消耗度を判定する部品消耗判定部86と、を備えている。また、処理部72は、部品の交換が完了した旨の交換完了設定を行う交換完了設定部88と、部品の使用を継続する旨の継続設定を行う使用継続設定部87と、部品の使用時間を計測するタイマ89と、を備えている。
【0061】
報知部83は、第1報知処理部(第1報知手段)90と、第2報知処理部(第2報知手段)91と、第3報知処理部(第3報知手段)92と、消耗度報知処理部(消耗度報知手段)93と、を有している。第1報知処理部90は、段ボール機械5を構成する各部品の交換時期である旨を報知するものであり、第2報知処理部91は、交換時期を超えて継続使用されている部品の点検時期となる超過点検時期である旨を報知するものである。また、第3報知処理部92は、各部品の定期点検時期である旨を報知するものであり、消耗度報知処理部93は、各部品の消耗度を報知するものである。
【0062】
第1報知処理部90は、後述する報知判定部84によって部品が交換時期であると判定された場合に、部品の交換時期である旨をディスプレイ70の画面上で報知している。また、第2報知処理部91は、報知判定部84によって部品が超過点検時期であると判定された場合に、部品の超過点検時期である旨をディスプレイ70の画面上で報知している。なお、超過点検時期は、第1報知処理部90による報知を基点としたときに設定される第1超過点検時期T1と、使用継続設定部87により設定された継続設定を基点としたときに設定される第2超過点検時期T2とがある。さらに、第3報知処理部92は、報知判定部84によって部品が定期点検時期であると判定された場合に、部品の定期点検時期である旨をディスプレイ70の画面上で報知している。
【0063】
報知判定部84は、第1報知処理部90、第2報知処理部91および第3報知処理部92に応じて、第1報知判定部95、第2報知判定部96および第3報知判定部97がそれぞれ設けられ、各報知判定部95,96,97は、各報知処理部90,91,92による部品の交換時期、超過点検時期および定期点検時期である旨の判定を行っている。なお、報知の時期である旨の判定は、部品によってそれぞれ異なっており、例えば、タイマ89によって計測された部品の使用時間に基づいて判定する場合と、計測センサ53による計測結果に基づいて判定する場合とがある。
【0064】
先ず、第1報知判定部95について説明すると、第1報知判定部95は、タイマ89によって計測された部品の使用時間に基づいて報知を行う場合、部品の使用開始から現在までの部品の使用時間が、予め設定された設定交換時間を超えたときに、部品の交換時期である旨の判定を行う。また、第1報知判定部95は、計測センサ53による計測結果に基づいて報知を行う場合、部品の使用状況を計測する計測センサ53によって検出された計測値が、予め設定された交換判定値を超えたときに、部品の交換時期である旨の判定を行う。
【0065】
次に、第2報知判定部96について説明する。第2報知処理部91による報知を行う場合、第2報知判定部96は、第1報知処理部90による報知を基点にして判定を行う場合と、使用継続設定部87による継続設定を基点にして判定を行う場合とがある。つまり、第2報知判定部96は、部品の使用時間に基づいて報知を行う場合、第1報知処理部90による報知を基点にし、基点から予め設定された第1設定超過点検時間を超えたときに、部品の第1超過点検時期T1である旨の判定を行う。また、第2報知判定部96は、計測センサ53による計測結果に基づいて報知を行う場合、第1報知処理部90による報知を基点にし、部品の使用状況を計測する計測センサ53によって検出された計測値が、予め設定された第1超過点検判定値を超えたときに、部品の第1超過点検時期T1である旨の判定を行う。
【0066】
一方で、第2報知判定部96は、部品の使用時間に基づいて報知を行う場合、使用継続設定部87による継続設定を基点にし、基点から予め設定された第2設定超過点検時間を超えたときに、部品の第2超過点検時期T2である旨の判定を行う。また、第2報知判定部96は、計測センサ53による計測結果に基づいて報知を行う場合、使用継続設定部87による継続設定を基点にし、部品の使用状況を計測する計測センサ53によって検出された計測値が、予め設定された第2超過点検判定値を超えたときに、部品の第2超過点検時期T2である旨の判定を行う。
【0067】
ここで、第1超過点検時期T1は、第2超過点検時期T2に比して、短く設定されている。すなわち、第1報知処理部90による報知が基点となる場合、使用継続設定部87による継続設定が為されていないため、第1報知処理部90の報知後に、点検作業者による点検が行われたか否かはわからない。一方、使用継続設定部87による継続設定が基点となる場合、使用継続設定部87による継続設定が為されたため、第1報知処理部90の報知後に、点検作業者による点検が行われたことがわかる。このため、第2超過点検時期T2に比して第1超過点検時期T1を短く設定することにより、第1報知処理部90による報知後、点検作業者が点検を行わなかった場合であっても、早めに第2報知処理部91による報知を行うことが可能となる。
【0068】
続いて、第3報知判定部97について説明する。第3報知判定部97は、部品の使用時間に基づいて報知を行う場合、部品の点検完了から現在までの部品の使用時間、または部品の使用開始から現在までの部品の使用時間が、予め設定された設定定期点検時間を超えたときに、部品の定期点検時期である旨の判定を行う。また、第3報知判定部97は、計測センサ53による計測結果に基づいて報知を行う場合、部品の使用状況を計測する計測センサ53によって検出された計測値が、予め設定された定期点検判定値を超えたときに、部品の定期点検時期である旨の判定を行う。
【0069】
従って、報知判定部84が、設定交換時間、交換判定値、第1設定超過点検時間、第2設定超過点検時間、第1超過点検判定値、第2超過点検判定値、設定定期点検時間および定期点検判定値に基づいて各種報知の判定を行い、報知部83は、報知判定部84による判定の結果に基づいて、部品の交換時期、部品の超過点検時期および部品の定期点検時期である旨を報知することができる。
【0070】
なお、交換判定値、第1設定超過点検時間、第2設定超過点検時間、第1超過点検判定値、第2超過点検判定値、設定定期点検時間および定期点検判定値は、試験等により予め
定められた値である。しかしながら、これらの値は、手動設定により、適宜変更可能に構成されている。一方、設定交換時間は、後述する設定交換時間導出部85により、導出可能に構成されている。
【0071】
消耗度報知処理部93は、後述する部品消耗判定部86によって判定された各部品の消耗度を、ディスプレイ70の保守管理画面130(図8参照)上で報知している。なお、保守管理画面130については後述する。
【0072】
設定交換時間導出部85は、記憶部73の交換時間データベース80に蓄積された各部品の交換時間データに基づいて、各部品の設定交換時間を導出している。例えば、設定交換時間導出部85は、各部品の蓄積された複数の交換時間の平均をとって、各部品の設定交換時間を導出したり、あるいは、各部品の蓄積された交換時間の中で最も短い値を、各部品の設定交換時間として導出したりしている。なお、設定交換時間導出部85による設定交換時間の導出方法は、上記した方法に限らず、任意である。
【0073】
部品消耗判定部86は、各部品の設定交換時間と各部品の使用時間とに基づいて、各部品の消耗度を判定しており、その判定結果を、消耗度報知処理部93によってディスプレイ70上に表示している。すなわち、各部品の消耗度は、各部品の使用時間を各部品の設定交換時間で割ったものの百分率が、部品の使用率として、表示されている。ただし、部品の消耗度は、百分率による表示に限らず、絶対時間により表示してもよい。
【0074】
交換完了設定部88は、点検作業者がディスプレイ70の操作画面を視認しながら操作部71を操作し、操作部71によって入力された入力データに基づいて、部品の交換が完了した旨の交換完了設定を行うものである。なお、交換完了設定部88によって交換完了設定が為されると、第1報知処理部90は、改めて部品の交換時期を設定する。つまり、第1報知処理部90は、部品の使用時間に基づいて報知を行う場合において、部品の使用時間のカウントをリセットしている。
【0075】
使用継続設定部87は、点検作業者がディスプレイ70の操作画面を視認しながら操作部71を操作し、操作部71によって入力された入力データに基づいて、部品の使用を継続する旨の継続設定を行うものである。なお、使用継続設定部87によって継続設定が為されると、第2報知処理部91は、継続設定を基点にして、部品の第2超過点検時期T2を設定する。つまり、第2報知処理部91は、第2設定超過点検時間および第2超過点検判定値に基づく第2報知判定部96の判定により、部品の超過点検時期の報知を行う。
【0076】
ここで、上記した処理部72は、点検作業者が、ディスプレイ70上に表示される操作画面を視認して操作部71を操作することにより各種処理が行われ、また、処理部72は、処理の結果をディスプレイ70上に表示している。続いて、図3ないし図8を参照して、ディスプレイ70上に表示される各種操作画面について説明する。なお、以下の説明では、一例として、シングルフェーサ21に関する各種操作画面について説明するものである。また、下記する各種操作画面および各種操作画面の中で使用される名称は、説明を行うために任意に付したものであり、この名称に限定されるものではない。
【0077】
ディスプレイ70上に表示される各種操作画面は階層状(図4参照)に構成されている。図3に示す操作画面は、部品管理端末装置57を起動させたときの初期画面100となる最上位の階層の操作画面の一例である。初期画面100は、例えば、コルゲートマシン15のシングルフェーサ21における各部品を管理するためのものであり、その上部には、部品管理システムと表示されている。初期画面100の中央部には、シングルフェーサ21を模式的に表した画像140が配置され、初期画面100の両左右部には、それぞれ4つの表示操作ボタンが計8つ配置されている。そして、初期画面100の左上部には、警告表示の種別が表示され、初期画面100の左下部には、終了ボタン101が配置されている。
【0078】
警告表示の種別としては、超過警告、交換警告および点検警告があり、超過警告は、第2報知処理部91によって行われ、交換警告は、第1報知処理部90によって行われ、点検警告は、第3報知処理部92によって行われる。8つの表示操作ボタンのうち、その左側の4つの表示操作ボタンは、上から順に、各部品の余寿命に関する管理を行うための余寿命ボタン102と、各部品への給油に関する管理を行うための給油ボタン103と、各部品の清掃に関する管理を行うための清掃ボタン104と、各部品のメンテナンスに関する管理を行うためのメンテボタン105と、で構成されている。また、8つの表示操作ボタンの右側の4つの表示操作ボタンは、上から順に、各部品の状態を一括管理するための部品状態管理ボタン106と、各部品の保守管理を行うための保守管理ボタン107と、各部品の管理履歴を参照するための履歴ボタン108と、各部品の在庫管理を行うための部品在庫管理ボタン109と、で構成されている。
【0079】
図3では、警告表示を行う表示操作ボタンは、余寿命ボタン102、給油ボタン103および清掃ボタン104であり、これらの表示操作ボタンは、その色彩を変更することで、各種警告を行っている場合を示している。具体的に、交換警告は第1色彩としており、超過警告は第2色彩としており、点検警告は第3色彩としており、それぞれの色彩は異なっている。これにより、余寿命ボタン102、給油ボタン103および清掃ボタン104は、各種報知を行うための報知表示領域として機能している。なお、本実施例では、各表示操作ボタンの色彩を変更することで各種警告を行っているが、各表示操作ボタンの表示形態を変更することで各種警告を行えばよい。つまり、表示形態の変更としては、色彩の変更の他、形の変更や、表示操作ボタンに各種警告に応じて識別マークを付与することが考えられる。
【0080】
ここで、余寿命ボタン102が超過警告を行っており、給油ボタン103が交換警告を行っており、清掃ボタン104が点検警告を行っている。このとき、点検作業者が、例えば、超過警告となっている余寿命ボタン102を操作すると、下の階層の操作画面に移行し、図4に示す部品の余寿命に関する第1余寿命管理操作画面110が表示される。
【0081】
図4を参照するに、この第1余寿命管理操作画面110には、シングルフェーサ21における各装置の表示操作ボタン111が配置されている。また、第1余寿命管理操作画面110には、初期画面100と同様に、シングルフェーサ21を模式的に表した画像140が配置されている。さらに、第1余寿命管理操作画面110の下部には、ホームボタン112と、戻るボタン113とが配置されている。ホームボタン112は、初期画面100に移行するためのボタンであり、戻るボタン113は、前の画面に戻るボタンである。このとき、主駆動装置の表示操作ボタン111が超過警告となっており、点検作業者が、例えば、主駆動装置の表示操作ボタン111を操作すると、更に下の階層の操作画面に移行し、主駆動装置における部品の余寿命に関する第2余寿命管理操作画面115が表示される。
【0082】
この第2余寿命管理操作画面115には、シングルフェーサ21の主駆動装置における各メイン部品の表示操作ボタン116が配置されている。また、第2余寿命管理操作画面115には、シングルフェーサ21の主駆動装置を模式的に表した画像141が配置されている。さらに、第2余寿命管理操作画面115の下部には、第1余寿命管理操作画面110と同様の、ホームボタン112と、戻るボタン113とが配置されている。このとき、メインモータの表示操作ボタン116が超過警告となっており、点検作業者が、例えば、メインモータの表示操作ボタン116を操作すると、更に下の階層の操作画面に移行し、メインモータにおける部品の余寿命に関する第3余寿命管理操作画面118が表示される。
【0083】
この第3余寿命管理操作画面118には、シングルフェーサ21の主駆動装置のメインモータにおける各部品の表示操作ボタン119が配置されている。また、第3余寿命管理操作画面118には、シングルフェーサ21の主駆動装置のメインモータを模式的に表した画像142が配置されている。さらに、第3余寿命管理操作画面118の下部には、第1余寿命管理操作画面110と同様の、ホームボタン112と、戻るボタン113とが配置されている。このとき、カーボンブラシの表示操作ボタン119が超過警告となっており、点検作業者が、例えば、カーボンブラシの表示操作ボタン119を操作すると、更に下の階層の操作画面に移行し、図5に示すカーボンブラシの点検項目画面120が表示される。つまり、超過警告となっている各余寿命管理操作画面110,115,118の各表示操作ボタン111,116,119を操作することで、超過警告となっている部品の点検項目画面120へ到達することができる。
【0084】
点検項目画面120は、その上方に点検項目の対象となる部品名が表示されている。また、点検項目画面120には、部品の現在の状況におけるデータを表示する現在データ表示領域121が設けられている。さらに、点検項目画面120には、設定交換時間や交換判定値等の交換基準値と、設定定期点検時間や定期点検判定値等の定期点検基準値と、各設定超過点検時間や各超過点検判定値等の超過点検値と、各値を手動変更可能な設定値変更ボタン122とを表示する設定表示領域123が設けられると共に、点検項目の対象となる部品の写真300が表示されている。そして、点検項目画面120には、部品のメンテナンス履歴が表示されており、点検項目画面120の最下部には、ホームボタン112、交換ボタン124、点検ボタン125、データ保存ボタン126、戻るボタン113および説明書ボタン150が配置されている。交換ボタン124は、部品の交換を行うときに操作されるボタンであり、点検ボタン125は、部品の点検を行うときに操作されるボタンである。データ保存ボタン126は、部品のメンテナンス履歴を保存するときに操作されるボタンであり、説明書ボタン150は、部品の点検時および交換時に操作されるボタンである。
【0085】
点検項目画面120において、点検作業者が説明書ボタン150を操作すると、ディスプレイ70上には、部品の交換・作業手順が表示される。つまり、部品管理端末装置57の記憶部73には、各部品に関する説明書がデータ化されて複数格納されており、点検作業者が説明書ボタン150を操作することにより、処理部72が、記憶部73から所定の部品に関する説明書を読み出して、ディスプレイ70上に表示する。なお、説明書としては、例えば、段ボール機械5の取扱説明書、保守マニュアルや各部品のメーカーの取扱説明書等である。
【0086】
超過警告となったカーボンブラシを点検する場合において、点検作業者がカーボンブラシの点検を行った結果、カーボンブラシに異常がなく、継続して使用できると点検作業者が判断した場合、点検作業者は、点検ボタン125を操作して、図9に示す点検画面200を表示させる。点検画面200には、部品の点検を担当した作業者の担当者名を登録する登録ボタン201と、点検時における備考を登録する備考ボタン202と、点検が完了した旨を登録する点検ボタン203と、が設けられている。そして、点検作業者は、点検画面200において、登録ボタン201および備考ボタン202を適宜操作し、点検ボタン203を操作することで、点検完了となる。このとき、点検作業者が、点検ボタン203を操作したことで、使用継続設定部87による部品の使用を継続する旨の継続設定が為される。
【0087】
一方、点検した結果、カーボンブラシの交換が必要となった場合、点検作業者は、部品の交換を行った後、交換ボタン124を操作して、図10に示す交換画面205を表示させる。交換画面205には、部品の交換を担当した作業者の担当者名を登録する登録ボタン206と、交換時における備考を登録する備考ボタン207と、交換時において使用した部品の使用数を登録する使用数ボタン208と、交換が完了した旨を登録する交換ボタン209と、が設けられている。そして、点検作業者は、交換画面205において、登録ボタン206、備考ボタン207および使用数ボタン208を適宜操作し、交換ボタン209を操作することで、交換完了となる。このとき、点検作業者が、交換ボタン209を操作したことで、交換完了設定部88による部品の交換を行った旨の交換完了設定が為される。
【0088】
続いて、上記した図3および図4に示す各種操作画面における各種警告の報知に関する動作について説明する。部品管理端末装置57において、報知判定部84により部品の交換時期であると判定されると、報知部83は、ディスプレイ70の各種操作画面の所定の表示操作ボタン102,103,104,111,116,119の色彩を変更して、交換警告を行うことにより、部品の交換時期である旨を、点検作業者に報知する。同様に、報知判定部84により部品の超過点検時期であると判定されると、報知部83は、ディスプレイ70の各種操作画面の所定の表示操作ボタン102,103,104,111,116,119の色彩を変更して、超過警告を行うことにより、部品の超過点検時期である旨を、点検作業者に報知する。同様に、報知判定部84により部品の定期点検時期であると判定されると、報知部83は、ディスプレイ70の各種操作画面の所定の表示操作ボタン102,103,104,111,116,119の色彩を変更して、点検警告を行うことにより、部品の定期点検時期である旨を、点検作業者に報知する。
【0089】
ここで、各種警告には、優先順位が設けられており、上位から、超過警告、交換警告、点検警告となっている。このため、第1余寿命管理操作画面110において超過警告、交換警告および点検警告が為された場合、初期画面100の余寿命ボタン102では、超過警告が為される。同様に、第2余寿命管理操作画面115において超過警告、交換警告および点検警告が為された場合、優先順位に基づいて、第1余寿命管理操作画面110の各表示操作ボタン111が超過警告となり、第3余寿命管理操作画面118において超過警告、交換警告および点検警告が為された場合、優先順位に基づいて、第2余寿命管理操作画面115の各表示操作ボタン116が超過警告となる。
【0090】
なお、給油ボタン103および清掃ボタン104についても、余寿命ボタン102とほぼ同様に構成されている。すなわち、給油ボタン103では、色彩を異ならせることにより、各部品の給油における交換時期、超過点検時期および定期点検時期を、交換警告、超過警告および点検警告として報知している。また、清掃ボタン104では、色彩を異ならせることにより、各部品の清掃における定期清掃時期および超過清掃時期を、定期清掃警告および超過清掃警告として報知している。
【0091】
続いて、図8に示す操作画面は、各部品の消耗度を報知するための保守管理画面130であり、初期画面100の保守管理ボタン107を操作することで、ディスプレイ70上に表示させることができる。保守管理画面130には、部品消耗判定部86によって判定された各部品の使用率が一覧に表示されており、各部品の消耗度を表示する消耗度表示画面として機能している。つまり、保守管理画面130は、その下側に各部品名が左右に羅列され、各部品名の上側に各部品の使用率が棒グラフで表示されている。これにより、点検作業者は、保守管理画面130を視認することにより、各部品の消耗度を容易に認識することが可能となる。なお、本実施例では、棒グラフによって、各部品の使用率を視認可能に表示したが、棒グラフに限らず、他の表示形態で各部品の使用率を視認可能にしてもよい。
【0092】
なお、ディスプレイ70上に表示された上記の各種操作画面は、部品管理端末装置57の情報通信部74から、中継ハブ56および無線通信機58を介して、携帯端末装置59のディスプレイに操作可能に表示させてもよい。これにより、点検作業者は、携帯端末装置59を、段ボール機械5の点検箇所に携帯することができるため、携帯端末装置59のディスプレイを視認しながら、点検作業を行うことができる。また、ディスプレイ70上に表示された各種操作画面は、部品管理端末装置57の情報通信部74から、中継ハブ56を介して、段ボール機械5の制御盤28,40に設けられたディスプレイに操作可能に表示させてもよい。
【0093】
次に、図9および図10を参照して、点検作業者による部品の交換作業までの流れについて説明する。図9および図10は、部品管理端末装置57による報知と、点検作業者による点検作業と、部品の使用時間とを並べたものである。なお、図9と図10とでは、点検作業者の作業内容が異なっている。
【0094】
図9において、点検作業者の交換作業が完了し、交換後の部品の使用が開始される。すると、部品管理端末装置57は、部品の使用状況をタイマ89または計測センサ53によって監視し、報知判定部84によって、予め設定された定期点検時期に達したと判定されると、部品管理端末装置57は点検警告を行う。この点検警告によって、点検作業者が点検を行うと、第3報知処理部92は改めて定期点検時期を設定する。続いて、報知判定部84によって予め設定された交換時期に達したと判定されると、部品管理端末装置57は交換警告を行う。この交換警告によって、点検作業者が点検を行い、部品の使用の継続を設定すると、第2報知処理部91は、継続設定を基点にして第2超過点検時期T2を設定する。この後、報知判定部84によって第2超過点検時期T2に達したと判定されると、部品管理端末装置57は超過警告を行う。この超過警告によって、点検作業者が点検を行い、部品の使用の継続を設定すると、第2報知処理部91は、継続設定を基点にして改めて第2超過点検時期T2を設定する。そして、報知判定部84によって再び第2超過点検時期T2に達したと判定されると、部品管理端末装置57は超過警告を行う。この超過警告によって、点検作業者が点検を行い、部品の交換を設定すると、第1報知処理部90は、改めて交換時期を設定する。そして、部品管理端末装置57は、部品の使用開始から交換までの部品の交換時間を、交換時間データベース80に蓄積する。
【0095】
一方で、図10において、点検作業者の交換作業が完了し、交換後の部品の使用が開始されると、部品管理端末装置57は、部品の使用状況をタイマ89または計測センサ53によって監視する。報知判定部84によって予め設定された定期点検時期に達したと判定されると、部品管理端末装置57は点検警告を行う。この点検警告によって、点検作業者が点検を行うと、第3報知処理部92は改めて定期点検時期を設定する。続いて、報知判定部84によって予め設定された交換時期に達したと判定されると、部品管理端末装置57は交換警告を行う。この交換警告によって、点検作業者が点検を行わなかった場合、第2報知処理部91は、交換警告を基点にして第1超過点検時期T1を設定する。この後、報知判定部84によって第1超過点検時期T1に達したと判定されると、部品管理端末装置57は超過警告を行う。この超過警告によって、点検作業者が点検を行い、部品の使用の継続を設定すると、第2報知処理部91は、継続設定を基点にして第2超過点検時期T2を設定する。そして、報知判定部84によって第2超過点検時期T2に達したと判定されると、部品管理端末装置57は超過警告を行う。この超過警告によって、点検作業者が点検を行い、部品の交換を設定すると、第1報知処理部90は、改めて交換時期を設定する。そして、部品管理端末装置57は、部品の使用開始から交換までの部品の交換時間を、交換時間データベース80に蓄積する。
【0096】
以上の構成によれば、第2報知処理部91により、超過点検時期である旨を、所定の表示操作ボタン102,103,104,111,116,119の色彩によって、点検作業者に報知することができる。このため、第2報知処理部91は、交換時期を超えた部品の点検を、点検作業者に促すことができる。これにより、点検作業者は、第2報知処理部91による報知により、交換時期を超えた部品の点検作業を行うことで、交換時期を超えた部品の異常を好適に発見することが可能となる。
【0097】
また、第2報知処理部91は、その超過点検時期を、第1報知処理部90による報知を基点とした場合と、使用継続設定部87による継続設定を基点とした場合とで、第1超過点検時期T1と第2超過点検時期T2とすることができると共に、第1超過点検時期T1を第2超過点検時期T2よりも短くすることができる。これにより、点検作業者が、第1報知処理部90による報知によって点検を行わなかった場合、点検を行った場合よりも、部品の超過点検時期である旨の報知を早めることができる。
【0098】
さらに、部品の交換時間を交換時間データベース80に蓄積し、設定交換時間導出部85によって、蓄積した部品の交換時間から、設定交換時間を導出することができる。これにより、交換時間データベース80に部品の交換時間が蓄積されればされるほど、導出される設定交換時間の精度を向上させることができる。換言すれば、部品の交換時間を交換時間データベース80に蓄積することで、部品管理端末装置57は学習し、学習した結果に基づいて、設定交換時間を導出することができる。
【0099】
また、部品管理端末装置57は、ディスプレイ70上に保守管理画面130を表示することができるため、点検作業者は、保守管理画面130を視認することで、容易に各部品の使用率(消耗度)を認識することができる。
【0100】
さらに、各種操作画面100,110,115,118,120,130を、モバイルパソコン等の携帯端末装置59のディスプレイに操作可能に表示させることができるため、点検作業者は、段ボール機械5の点検箇所において、携帯端末装置59に表示された各種操作画面100,110,115,118,120,130を視認しながら、部品の点検や交換等を行うことができる。
【0101】
また、点検作業員が点検項目画面120の説明書ボタン150を操作することで、部品管理端末装置57のディスプレイ70に、例えば、段ボール機械5の取扱説明書、保守マニュアルや各部品のメーカーの取扱説明書等の説明書を表示することができるため、点検作業者は、必要なときに必要な情報を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明に係る段ボール機械の部品管理装置は、コルゲートマシン等の段ボール機械を構成する各部品の管理を行う場合において有用であり、特に、部品の交換時期を超えて、部品を継続使用する場合に適している。
【符号の説明】
【0103】
5 段ボール機械
15 コルゲートマシン
16 製函機
21 シングルフェーサ
22 ダブルフェーサ
23 スリッタスコアラ
24 カットオフ装置
25 スタッカ
28 コルゲートマシンの制御盤
30 給紙部
31 印刷部
32 スロッタクリーザ部
33 フォルディング部
34 カウンタエゼクタ部
40 製函機の制御盤
50 部品管理システム
53 計測センサ
54 中継機
55 部品管理制御盤
56 中継ハブ
57 部品管理端末装置
58 無線通信機
59 携帯端末装置
60 処理部(部品管理制御盤)
61 記憶部(部品管理制御盤)
62 情報通信部(部品管理制御盤)
63 入出力部(部品管理制御盤)
70 ディスプレイ(部品管理端末装置)
71 操作部(部品管理端末装置)
72 処理部(部品管理端末装置)
73 記憶部(部品管理端末装置)
74 情報通信部(部品管理端末装置)
75 入出力部(部品管理端末装置)
80 交換時間データベース
83 報知部
84 報知判定部
85 設定交換時間導出部
86 部品消耗判定部
87 使用継続設定部
88 交換完了設定部
89 タイマ
90 第1報知処理部
91 第2報知処理部
92 第3報知処理部
93 消耗度報知処理部
95 第1報知判定部
96 第2報知判定部
97 第3報知判定部
100 初期画面
102 余寿命ボタン
103 給油ボタン
104 清掃ボタン
107 保守管理ボタン
110 第1余寿命管理操作画面
111 表示操作ボタン(第1余寿命管理操作画面)
115 第2余寿命管理操作画面
116 表示操作ボタン(第2余寿命管理操作画面)
118 第3余寿命管理操作画面
119 表示操作ボタン(第3余寿命管理操作画面)
120 点検項目画面
121 現在データ表示領域
122 設定値変更ボタン
123 設定表示領域
124 交換ボタン
125 点検ボタン
126 データ保存ボタン
130 保守管理画面
150 説明書ボタン
200 点検画面
205 交換画面
300 写真
T1 第1超過点検時期
T2 第2超過点検時期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール機械を構成する部品の管理を行うことが可能な段ボール機械の部品管理装置であって、
前記部品の交換時期である旨を報知する第1報知手段と、
前記第1報知手段による報知を基点とし、前記基点から予め設定された超過点検しきい値を超えたときに、前記交換時期を超えた前記部品の点検時期となる超過点検時期である旨を報知する第2報知手段と、を備えたことを特徴とする段ボール機械の部品管理装置。
【請求項2】
前記第1報知手段または前記第2報知手段による報知後、前記部品の使用を継続する旨の継続設定が為された場合、前記第2報知手段は、前記継続設定を基点とし、前記基点から前記超過点検しきい値を超えたときに、前記超過点検時期である旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項3】
前記超過点検時期は、前記第1報知手段による報知を基点としたときに設定される第1超過点検時期と、前記継続設定を基点としたときに設定される第2超過点検時期とがあり、
前記第1超過点検時期は、前記第2超過点検時期に比して、短く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項4】
前記第1報知手段または前記第2報知手段による報知後、前記部品の交換を行った旨の交換設定が為された場合、前記第1報知手段は、改めて前記部品の前記交換時期を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項5】
前記部品の定期点検時期である旨を報知する第3報知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項6】
前記段ボール機械には、前記部品の使用状況を検出可能な計測センサが設けられ、
前記第1報知手段は、前記計測センサによる計測結果が、予め設定された交換判定値を超えた場合に報知を行い、
前記第2報知手段は、前記計測センサによる計測結果が、予め設定された超過点検しきい値となる超過点検判定値を超えた場合に報知を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項7】
前記部品の使用時間を計測可能なタイマを更に備え、
前記第1報知手段は、前記タイマにより計測した前記部品の使用時間が、予め設定された設定交換時間を超えた場合に報知を行い、
前記第2報知手段は、前記タイマにより計測した前記部品の使用時間が、予め設定された超過点検しきい値となる超過点検時間を超えた場合に報知を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項8】
前記部品の使用開始から交換に至るまでの交換時間を蓄積する交換時間データベースと、
前記交換時間データベースに蓄積された前記交換時間から、前記設定交換時間を導出する設定交換時間導出手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項9】
前記部品の使用開始から交換に至るまでの間の、前記部品の消耗度を判定する部品消耗判定手段と、
判定した前記部品の消耗度を報知可能な消耗度報知手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項10】
表示部を更に備え、
前記消耗度報知手段は、前記部品消耗判定手段により判定した前記部品の消耗度を視認可能な消耗度表示画面を、前記表示部に表示することを特徴とする請求項9に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項11】
表示部を更に備え、
前記表示部には、その表示画面上に、各種報知を行うための報知表示領域が設けられており、
前記第1報知手段は、前記報知表示領域を第1表示形態とすることで、前記部品の前記交換時期である旨を報知しており、
前記第2報知手段は、前記報知表示領域を前記第1表示形態と異なる第2表示形態とすることで、前記部品の前記超過点検時期である旨を報知していることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項12】
前記表示部に表示される表示画面を、外部の表示装置へ転送可能な情報通信部を更に備えたことを特徴とする請求項10または11に記載の段ボール機械の部品管理装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置によって部品が管理されていることを特徴とするコルゲートマシン。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の段ボール機械の部品管理装置によって部品が管理されていることを特徴とする製函機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−118763(P2011−118763A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276892(P2009−276892)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【出願人】(509334804)有限会社アムトシステムズ (1)
【Fターム(参考)】