説明

段階連結および切断によるDNA配列決定

【課題】ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法の提供。
【解決手段】ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、(a)ポリ
ヌクレオチドおよびヌクレアーゼ認識部位を有するプローブを提供する工程;(b)該ポリ
ヌクレオチド上の該ヌクレアーゼの該認識部位をブロックする工程;(c)該ポリヌクレオ
チドの末端に該プローブを連結する工程;(d)該ポリヌクレオチドの末端で1つまたはそ
れより多くのヌクレオチドを同定する工程;(e)該プローブの該ヌクレアーゼ認識部位を
認識するヌクレアーゼを用いて該ポリヌクレオチドを切断する工程であって、ここで、該ポリヌクレオチドが1つまたはそれより多いヌクレオチド短くされる工程;および(f)該
ポリヌクレオチドの該ヌクレオチド配列が決定されるまで、該工程(c)から(e)までを繰り返す工程、を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法に関し、そしてより詳細には、ポリヌクレオチドの末端ヌクレオチドを段階的に除去しそして同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ポリヌクレオチドを、現在利用可能な技術を用いて分析することは、テストポリヌクレオチドが標準配列または単離されたフラグメントと同じかまたは異なることの確認から、テストポリヌクレオチドの各ヌクレオチドの明確な同定および順序決めに至る情報の範囲を提供する。このような技術は遺伝子の機能および制御の理解、および分子生物学における多くの基礎的な技術の応用のために重要であるだけでなく、それらの技術がゲノム分析、および非常に多くの非研究的適用(例えば、遺伝的同定、法廷分析(forensic analysis)、遺伝的カウンセリング、医学的診断など)における手段としてますます重要となってきている。これら後者の適用において、フィンガープリンティングおよび配列比較のような部分配列情報を提供する技術、および全配列決定を提供する技術の両方の技術が用いられてきた。例えば、Gibbsら、Proc.Natl. Acad. Sci.,86:1919-1923(1989);Gyllenstenら、Proc. Natl. Acad. Sci.,85:7652-7656(1988);Carranoら、Genomics,4:129-136(1989);Caetano-Anollesら、Mol.Gen.Genet.,235:157-165(1992);BrennerおよびLivak、Proc.Natl. Acad. Sci.,86:8902-8906(1989);Greenら、PCR Methods and Applications,1:77-90(1991);およびVersalovicら、Nucleic Acids Research,19:6823-6831(1991)。
【0003】
ネイティブなDNAは、2本の直鎖状ポリマーまたはヌクレオチド鎖からなる。各鎖は、
ホスホジエステル結合で連結されたヌクレオシドの鎖である。この2本の鎖は、この2本の鎖のヌクレオチドの相補的な塩基間の水素結合により逆平行の方向に保持されている:デオキシアデノシン(A)は、チミジン(T)と対をなし、そしてデオキシグアノシン(G)は、
デオキシシチジン(C)と対をなす。
【0004】
現在では、DNA配列を決定する2つの基本的なアプローチがある:ジデオキシ鎖終結法
(例えばSangerら、Proc. Natl. Acad.Sci.,74:5463-5467(1977));および化学的分解法
(例えば、Maxamら、Proc. Natl. Acad.Sci.,74:560-564(1977)。鎖終結法は、いくつか
の方法において改良されそして現在利用可能な全ての自動化されたDNAシークエンシング
機の基礎として提供される(例えばSangerら、J.Mol.Biol.,143:161-178(1980);Schreierら、J.Mol.Biol.,129:169-172(1979);Smithら、Nucleic Acids Research,13:2399-2412(1985);Smithら、Nature,321:674-679(1987);Proberら、Science,238:336-341(1987);Section II,Meth.Enzymol.,155:51-334(1987);Churchら、Science,240:185-188(1988);Hunkapillerら、Science,254:59-67(1991);Bevanら、PCR Methods and Applications,1:222-228(1992)。
【0005】
鎖終結法も化学分解法もどちらも1セット以上の標識されたDNAフラグメントの生成を
必要とし、それぞれのフラグメントは共通の複製起点を有し、既知の塩基によって終結する。次いで、1セットまたは複数のセットのフラグメントが配列情報を得るためにサイズによって分離される。どちらの方法においても、DNAフラグメントは、高分解性ゲル電気
泳動によって分離され、それは、サイズにわずか1ヌクレオチドしか差がない非常に大きなフラグメントも区別する能力がある。残念ながら、この工程は、一度に配列決定されるDNA鎖のサイズを厳格に制限する。これらの技術を用いる配列決定は、約400〜450ヌクレ
オチドまでのDNA鎖には信頼して適応され得る(Bankierら、Meth.Enzymol.、155:51-93(19
87);およびHawkinsら、Electrophoresis、13:552-559(1992)。
【0006】
いくつかの重大な技術的問題が、そのような技術を長い標的ポリヌクレオチド(例えば、500〜600ヌクレオチドを超える長さ)の配列決定、または大量の多数の標的ポリヌクレオチドの配列決定へ適用することの深刻な障害となってきた。そのような問題には、以下が含まれる:i)集約的労働力を要するゲル電気泳動分離工程は、自動化することが困難であり、データの分析に余計な変動性を導入する(例えば、温度の影響によるバンドの広がり、DNA配列決定フラグメントの二次構造による圧縮、分離ゲルの不均一性など);ii)プロセッシビティー、忠実度、重合速度、鎖ターミネーターの組み込み速度などのような核酸ポリメラーゼの性質は、しばしば配列依存性である;iii)ゲル中で空間的に重なり合っているバンドにfmolの量で典型的に存在するDNA配列決定フラグメントの検出および分析;iv)標識部分は単一の均質な相に濃縮されるのではなく、数百の空間的に分離したバンドじゅうに分布されるのでシグナルが低い、およびv)単一レーンの蛍光物質検出の場合、適切な発光性および吸収性、量子収量、およびスペクトル分離性を有する色素の利用可能性(例えば、Trainor、Anal.Biochem.、62:418-426(1990);Connelら、Biotechniques、5:342-348(1987);Kargerら、Nucleic Acids Research、19:4955-4962(1991);Fungら、米国特許第4,855,225号;およびNishikawaら、Electrophoresis、12:623-631(1991)。
【0007】
診断的配列決定の分野では、現在の技術に別の問題が存在する。疾患の絶えず続く進行(ever widening array of disorder)、疾患の罹病性、疾患状態の予後などは、一つまた
はそれより多くの遺伝子座での特定のDNA配列の存在、またはDNA配列中の変化(または変異)の程度と相関関係にある。そのような現象の例は、ヒト白血球抗原(HLA)型決定、嚢
胞性線維症、腫瘍の進行および不均質性、p53原始癌遺伝子変異、ras原始癌遺伝子変異などを含む(例えば、Gyllenstenら、PCR Methods and Applications、1:91-98(1991);Santamariaら、国際出願PCT/US92/01675;Tsuiら、国際出願PCT/CA90/00267;など)。そのような条件に関連したDNA配列の決定において、診断または予後情報を得る困難さは、多くの亜集団のDNA(例えば、対立遺伝子的変異体、複変異形態など)が頻繁に存在することである。現在の配列決定技術によって多数の配列の存在および正体(identity)を区別することは、別の種のDNAを単離し、そしておそらくはクローン化するさらなる作業なしには、事実上不可能である。
【0008】
高分解性の分離を必要とせず、分析により敏感に反応するシグナルを提供し、そしてヘテロ接合性の遺伝子座由来のDNAを容易に分析する手段を提供する別のアプローチがDNA配列決定に利用可能である場合に、配列決定技術の主な利点が得られ得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(項目1)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)ポリヌクレオチドおよびヌクレアーゼ認識部位を有するプローブを提供する工程;
(b)該ポリヌクレオチド上の該ヌクレアーゼの該認識部位をブロックする工程;
(c)該ポリヌクレオチドの末端に該プローブを連結する工程;
(d)該ポリヌクレオチドの末端で1つまたはそれより多くのヌクレオチドを同定する工
程;
(e)該プローブの該ヌクレアーゼ認識部位を認識するヌクレアーゼを用いて該ポリヌク
レオチドを切断する工程であって、ここで、該ポリヌクレオチドが1つまたはそれより多いヌクレオチド短くされる工程;および
(f)該ポリヌクレオチドの該ヌクレオチド配列が決定されるまで、該工程(c)から(e)ま
でを繰り返す工程、
を包含する、方法。
(項目2)前記ヌクレアーゼがタイプIIs制限エンドヌクレアーゼである、項目1に記載
の方法。
(項目3)前記連結工程が、前記ポリヌクレオチドおよび前記プローブをリガーゼで処理することを包含する、項目2に記載の方法。
(項目4)前記ポリヌクレオチドが、少なくとも1つの末端に突出鎖を有し、そして前記プローブが1つの末端に突出鎖を有し、ここで該プローブの該突出鎖が該ポリヌクレオチドの1つの末端の該突出鎖に対して相補的である、項目3に記載の方法。
(項目5)前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖が、5'−ホスホリル基を有し、そして前
記プローブの前記相補的な突出鎖が5'−ホスホリル基を有さない、項目4に記載の方法

(項目6)前記連結工程が、前記ポリヌクレオチドおよび前記プローブを、連続的に、(i)リガーゼで処理して、前記5'−ホスホリル基を有する前記突出鎖を前記プローブに連結し、(ii)キナーゼで処理して、該プローブの前記相補的な突出鎖をリン酸化し、そしてリガーゼで処理して該プローブの該相補的な突出鎖を該ポリヌクレオチドに連結することを包含する、項目5に記載の方法。
(項目7)前記連結工程が、前記プローブを混合物として提供することを包含し、ここで、該プローブの前記相補的な突出鎖が、該突出鎖の長さのヌクレオチドの全ての可能な配列を含む、項目4に記載の方法。
(項目8)前記連結工程の後に、前記ポリヌクレオチドから連結されなかったプローブを除く工程をさらに包含する、項目7に記載の方法。
(項目9)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中のヌクレオチドを、それに連結された前記プローブの正体によって同定することを包含する、項目4に記載の方法。
(項目10)前記プローブに連結しない前記ポリヌクレオチドをキャップする工程をさらに包含する、項目9に記載の方法。
(項目11)前記キャップ化工程が、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で、DNAポリメ
ラーゼによって前記ポリヌクレオチドを伸長させることを包含する、項目10に記載の方法。
(項目12)前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸がジデオキシヌクレオシド三リン酸である、項目11に記載の方法。
(項目13)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中のヌクレオチドを、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼによって該ポリヌクレオチドまたは前記プローブの鎖を伸長させることにより、同定することを包含する、項目4に記載の方法。
(項目14)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの鎖を伸長させることをさらに包含する、項目13に記載の方法。
(項目15)前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸が標識されている、項目14に記載の方法。
(項目16)前記同定工程が、前記プローブの鎖を伸長させることをさらに包含し、そして前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸が標識されている、項目13に記載の方法。
(項目17)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)プローブを、少なくとも1つの末端に突出鎖を有するポリヌクレオチドの末端に連
結する工程であって、該プローブは、ヌクレアーゼ認識部位および1つの末端に突出鎖を有し、該プローブの該突出鎖は、該ポリヌクレオチドの1つの末端の該突出鎖に対して相補的である;
(b)該プローブに連結されない該ポリヌクレオチドをキャップする工程;
(c)該ポリヌクレオチドの末端に1つまたはそれより多くのヌクレオチドを同定する工
程;および
(d)該プローブのヌクレアーゼ認識部位を認識するヌクレアーゼを用いて該ポリヌクレ
オチドを切断する工程であって、ここで、該ポリヌクレオチドが1つまたはそれより多くのヌクレオチド短くされる、
を包含する、方法。
(項目18)前記ポリヌクレオチドの前記ヌクレオチド配列が決定されるまで、前記工程(a)から(c)を繰り返す工程をさらに包含する、項目17に記載の方法。
(項目19)前記連結工程が、前記ポリヌクレオチドおよび前記プローブをリガーゼで処理することを包含する、項目18に記載の方法。
(項目20)前記ヌクレアーゼがタイプIIs制限エンドヌクレアーゼであり、そして前記
方法が、前記ポリヌクレオチド上の該ヌクレアーゼの認識部位をブロックする工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
(項目21)前記ブロック工程が前記ポリヌクレオチドをメチラーゼで処理することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)前記連結工程が、前記プローブを混合物として提供することを包含し、ここで該プローブの前記相補的な突出鎖が、該突出鎖の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を含む、項目20に記載の方法。
(項目23)前記連結工程の後に、前記ポリヌクレオチドから連結されなかったプローブを除く工程をさらに包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)前記ポリヌクレオチドが固相支持体に結合されている、項目23に記載の方法。
(項目25)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中のヌクレオチドを、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼによって該ポリヌクレオチドの鎖を伸長させることにより、同定することを包含する、項目24に記載の方法。
(項目26)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)ポリヌクレオチドの末端にプローブを連結する工程、ここで、該プローブは、ヌク
レアーゼ認識部位を有する;
(b)該ポリヌクレオチド中のヌクレオチドを、核酸ポリメラーゼを用いて該ポリヌクレ
オチドの鎖または該プローブの鎖を伸長することにより同定する工程;および
(c)該プローブのヌクレアーゼ認識部位を認識するヌクレアーゼによって該ポリヌクレ
オチドを切断する工程であって、ここで、該ポリヌクレオチドが1つまたはそれより多くのヌクレオチド短くされる、
を包含する、方法。
(項目27)前記ポリヌクレオチドの前記ヌクレオチド配列が決定されるまで、前記工程(a)から(c)を繰り返す工程をさらに包含する、項目26に記載の方法。
(項目28)前記ポリヌクレオチドが陥凹鎖と突出鎖とを有しそして前記プローブが陥凹鎖と突出鎖とを有し、そして、前記同定工程が、前記核酸ポリメラーゼによって該ポリヌクレオチドの陥凹鎖または該プローブの陥凹鎖を伸長させることを包含する、項目27に記載の方法。
(項目29)前記プローブの前記突出鎖が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖に対して相補的である、項目28に記載の方法。
(項目30)前記ヌクレアーゼがタイプIIs制限エンドヌクレアーゼであり、そして前記
同定工程が、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で前記ポリヌクレオチドの前記陥凹鎖を伸長させることをさらに包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸が標識されている、項目30に記載の方法。
(項目32)前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸が蛍光色素で標識されている、項目31に記載の方法。
(項目33)前記蛍光色素がスペクトル分離性蛍光発光バンドを有する、項目32に記載の方法。
(項目34)前記連結工程が、前記プローブを混合物として提供することを包含し、ここで、該混合物が、突出鎖の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を有する該突出鎖を有するプローブを含む、項目28に記載の方法。
(項目35)前記連結工程の後に、前記ポリヌクレオチドから連結されなかったプローブ
を除く工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)前記ポリヌクレオチド上の前記ヌクレアーゼ認識部位をブロックする工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(項目37)前記ブロック工程が、前記ポリヌクレオチドをメチラーゼで処理することを包含する、項目36に記載の方法。
(項目38)前記プローブに連結しなかった前記ポリヌクレオチドをキャップする工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(項目39)前記同定工程が、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で前記ポリヌクレオチドの前記陥凹鎖を伸長させることをさらに包含し、そして組み込まれた鎖終結ヌクレオシドが核酸ポリメラーゼによって切り出される、項目34に記載の方法。
(項目40)前記組み込まれた鎖終結ヌクレオシドが、デオキシリボヌクレオシド三リン酸存在下でT4 DNAポリメラーゼによって切り出される、項目39に記載の方法。
(項目41)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)5'−ホスホリル基を有する突出鎖を有するポリヌクレオチドおよびヌクレアーゼ認識部位を有するプローブを提供する工程であって、該プローブは5'−ホスホリル基のな
い突出鎖を有する;
(b)該プローブを該ポリヌクレオチドの該突出鎖に連結して、ニックを有する連結複合
体を形成する工程;
(c)前記ニックをキナーゼ処理して、5'−ホスホリル基を該連結されたプローブに結合させる工程;
(d)該連結複合体を連結して、ニックを閉じる工程;
(e)切断部位から離れた認識部位を有する該連結複合体をヌクレアーゼを用いて切断す
る工程であって、該ヌクレアーゼは該ヌクレアーゼ認識部位を認識し、そして該連結複合体を切断し、ここで拡大プローブが該ポリヌクレオチド上に突出鎖を残して解離される;
(f)該ポリヌクレオチドの該突出鎖中の1つまたはそれより多くのヌクレオチドを同定
する工程、
を包含する、方法。
(項目42)前記ポリヌクレオチドの前記ヌクレオチド配列が決定されるまで工程(b)か
ら(f)までを繰り返す工程を包含する、項目41に記載の方法。
(項目43)前記ポリヌクレオチド上の前記ヌクレアーゼの前記認識部位をブロックする工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)前記ブロック工程が、前記ポリヌクレオチドをメチラーゼで処理することを包含する、項目43に記載の方法。
(項目45)前記連結工程が、前記ポリヌクレオチドをリガーゼで処理することを包含する、項目43に記載の方法。
(項目46)前記ポリヌクレオチドが固相支持体に結合している、項目45に記載の方法。
(項目47)前記連結工程が、前記プローブを混合物として提供することを包含し、ここで、該プローブの前記突出鎖が、該突出鎖の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を含む、項目46に記載の方法。
(項目48)前記連結工程の後に、前記ポリヌクレオチドから連結されなかったプローブを除く工程をさらに包含する、項目47に記載の方法。
(項目49)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中のヌクレオチドを、それに連結された前記プローブの正体によって同定することを包含する、項目48に記載の方法。
(項目50)前記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中のヌクレオチドを、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼを用いて該ポリヌクレオチドまたは前記プローブの鎖を伸長させることにより、同定することを包含する、項目48に記載の方法。
(項目51)前記固相支持体が微粒子である、項目49または50に記載の方法。
(項目52)前記タイプIIs制限エンドヌクレアーゼが、Alw XI、Bsm Al、Bbv I、Bsm FI、Sts I、Hga I、Bsc AI、Bbv II、Bce fI、Bce 85I、Bcc I、Bcg I、Bsa I、Bsg I、Bsp MI、Bst 71I、Ear I、Eco 57I、Esp 3l、Fau I、Fok I、Gsu I、Hph I、Mbo II、Mme I、Rle AI、Sap I、Sfa NI、Taq II、Tth 111II、Bco 5I、Bpu AI、Fin I、Bsr DI、およびこれらのアイソシゾマーからなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目53)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)ポリヌクレオチドを二本鎖形態で提供する工程であって、ここで、該ポリヌクレオ
チドが固相支持体に結合され、そして一方の末端に突出鎖を有する;
(b)プローブを該ポリヌクレオチドの該突出鎖に連結して連結複合体を形成する工程で
あって、該プローブは該ポリヌクレオチドの該突出鎖に対して相補的な突出鎖を有する末端を有し、そして該プローブはタイプIIsエンドヌクレアーゼ認識部位を有する;
(c)該ポリヌクレオチドの該突出鎖中のヌクレオチドを、連結されたプローブの正体に
よって同定する工程;
(d)該タイプIIsエンドヌクレアーゼ認識部位を認識し、該連結複合体を切断するタイプIIsエンドヌクレアーゼを用いて、該連結複合体を切断する工程であって、ここで、拡大
プローブが該ポリヌクレオチド上に新規な突出鎖を残して解離される;
(e)該ポリヌクレオチドの該ヌクレオチド配列が決定されるまで工程(a)から(d)を繰り
返す工程、を包含し、
ここで、該プローブは第1の一本鎖オリゴヌクレオチドおよび第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを含み、該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドの該突出鎖中のヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチドを有する末端を有し、そして該第2の一本鎖オリゴヌクレオチドは該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドの一部に対して相補的であり、ここで、該第1および該第2の一本鎖オリゴヌクレオチドがタイプIIsエンドヌクレ
アーゼ認識部位を含む二重鎖を形成し得る、そしてここで、該連結工程は、(i)鎖間が完
全に適合した二重鎖の形成を促進する条件下で、該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドの該突出鎖にアニールさせる工程、(ii)該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドに連結する工程、(iii)該第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを
該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドにアニールさせる工程、および(iv)該第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを該ポリヌクレオチドに連結する工程を包含する、方法。
(項目54)前記連結工程が、前記第1の一本鎖オリゴヌクレオチドを混合物として提供することを包含し、ここで、該第1の一本鎖オリゴヌクレオチドの前記末端中の前記相補的なヌクレオチドが、該末端の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を含む、項目53に記載の方法。
(項目55)前記連結工程の後、前記ポリヌクレオチドから連結されなかった前記第1および第2の一本鎖オリゴヌクレオチドを除く工程をさらに包含する、項目54に記載の方法。
(項目56)前記プローブが4つの成分を含み、各成分が、連結によって生じた前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖中の異なるヌクレオチドの存在を示し得る、項目55に記載の方法。
(項目57)前記プローブの前記各成分が、異なる蛍光色素によって標識されており、そして該異なる蛍光色素がスペクトル分離性である、項目56に記載の方法。
(項目58)予め決定された遺伝子座で複数の対立遺伝子形態のDNAを有する個体の接合
体の特徴を決定する方法であって、
(a)予め決定された遺伝子座由来のDNAサンプルを提供する工程であって、ここで、該DNAサンプルがポリヌクレオチドを含み、該サンプルの各ポリヌクレオチドは突出鎖および陥凹鎖を有する;
(b)各ポリヌクレオチドの1つの末端にプローブを連結し、1つまたはそれより多くの
連結複合体を形成する工程であって、該プローブはヌクレアーゼ認識部位を有する;
(c)該ポリヌクレオチドの該突出鎖中のヌクレオチドの種類および相対的な量を同定す
る工程;
(d)該連結複合体をヌクレアーゼで切断する工程;および
(e)該遺伝子座の該ポリヌクレオチド配列の該ヌクレオチド配列が決定されるまで工程(b)から(d)を繰り返す工程、
を包含する、方法。
(項目59)前記ポリヌクレオチドのそれぞれが、別の固相支持体または同じ固相支持体の別の領域に結合している、項目58に記載の方法。
(項目60)前記ヌクレアーゼがタイプIIs制限エンドヌクレアーゼであり、そして、前
記同定工程が、前記ポリヌクレオチドの前記突出鎖のそれぞれにあるヌクレオチドを、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼを用いて該ポリヌクレオチドのそれぞれの鎖を伸長させることにより、同定することを包含する、項目59に記載の方法。
(項目61)前記連結工程の後、前記ポリヌクレオチドから連結されなかったプローブを除く工程をさらに包含する、項目60に記載の方法。
(項目62)前記鎖終結ヌクレオシド三リン酸が標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸であり、そして、前記同定工程が、前記ヌクレオチドを、前記ポリヌクレオチドの前記陥凹鎖に組み込まれた該標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸上の標識によって、同定することを包含する、項目61に記載の方法。
(項目63)前記標識ジデオキシヌクレオチドを切り出す工程および核酸ポリメラーゼを用いて前記陥凹鎖を伸長させる工程をさらに包含する、項目62に記載の方法。
(項目64)前記切り出し工程が、デオキシリボヌクレオシド三リン酸存在下でT4 DNAポリメラーゼを用いて行われる、項目63に記載の方法。
(項目65)ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するためのキットであって、
ポリヌクレオチドの1つの末端に連結されて、連結複合体を形成し得るプローブであって、該プローブはタイプIIs制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有する;
該ポリヌクレオチド内の該タイプIIs制限エンドヌクレアーゼの認識部位をブロックす
るメチラーゼ、
を含む、キット。
(項目66)前記プローブを前記ポリヌクレオチドの前記末端に連結させるためのリガーゼ、および前記プローブの前記タイプIIs制限エンドヌクレアーゼ認識部位を認識し得る
タイプIIs制限エンドヌクレアーゼをさらに含む、項目65に記載のキット。
(項目67)前記リガーゼのための第1の反応緩衝液、および前記タイプIIs制限エンド
ヌクレアーゼのための第2の反応緩衝液をさらに含む、項目66に記載のキット。
(項目68)核酸ポリメラーゼ;
標識鎖終結ヌクレオシド三リン酸;および
該核酸ポリメラーゼのための第3の反応緩衝液、
をさらに含む、項目67に記載のキット。
(項目69)同一のポリヌクレオチドの集団のヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)第1のヌクレアーゼのための第1のヌクレアーゼ認識部位を有する第1のプローブ
を提供する工程であって、該第1のヌクレアーゼがリーチを有する;
(b)第2のヌクレアーゼのための第2のヌクレアーゼ認識部位を有する第2のプローブ
を提供する工程であって、該第2のヌクレアーゼがリーチを有する;
(c)第1のヌクレアーゼによって切断され得るポリヌクレオチドから第2のヌクレアー
ゼによって切断され得るポリヌクレオチドにポリヌクレオチドを転化するための転化プローブを提供する工程;
(d)該第1のプローブと該転化プローブとの混合物を該集団の該ポリヌクレオチドと連
結させて、転化プローブ-ポリヌクレオチド複合体の亜集団を形成する工程;
(e)該転化プローブ-ポリヌクレオチド複合体を該第2のヌクレアーゼを用いて切断し、そして該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の部分を以下によって決定する工程;
i)該第2のプローブを該亜集団の該ポリヌクレオチドの1つの末端に連結する工程;
ii)該亜集団の該ポリヌクレオチドの該1つの末端で1つまたはそれより多くのヌ
クレオチドを同定する工程;
iii)該亜集団の該ポリヌクレオチドを該第2のヌクレアーゼを用いて切断する工程であって、ここで、該亜集団の該ポリヌクレオチドが1つまたはそれ以上のヌクレオチド短くされる;
iv)該亜集団の該ポリヌクレオチドから切断されたヌクレオチドの数が第1のヌク
レアーゼのリーチと同じか、またはそれより多くなるまで工程i)〜iii)を繰り返す工程;
v)該亜集団の該ポリヌクレオチドの末端をキャップする工程;
(f)該第1のヌクレアーゼを用いて該ポリヌクレオチドを切断する工程;
(g)該ポリヌクレオチド集団のヌクレオチド配列が決定されるまで、工程(d)〜(f)を繰
り返す工程、
を包含する、方法。
(項目70)前記集団の前記ポリヌクレオチドが1つの末端に突出鎖を有し、そしてもう一方の末端によって固相支持体に結合され、そして、前記第1のプローブ、前記第2のプローブ、および前記転化プローブがそれぞれの一方の末端に突出鎖を有し、ここで該第1のプローブ、該第2のプローブ、および該転化プローブの該突出鎖が、それらが連結される該ポリヌクレオチドの突出鎖と相補的である、項目69に記載の方法。
(項目71)前記第1および第2のヌクレアーゼがタイプIIs制限エンドヌクレアーゼで
あり、そして前記ポリヌクレオチドをメチラーゼを用いて処理することにより、該ポリヌクレオチド上の該第1および該第2のヌクレアーゼの認識部位をブロックする工程をさらに包含する、項目70に記載の方法。
(項目72)前記連結工程が、前記第1プローブ、前記第2プローブ、または前記転化プローブを混合物として提供することを包含し、ここで、それらのそれぞれの相補的な突出鎖が、それらのそれぞれの突出鎖の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を含む、項目71に記載の方法。
(項目73)前記連結工程が、前記ポリヌクレオチドと、前記第1のプローブ、前記第2のプローブ、または前記転化プローブとをリガーゼで処理することを包含する、項目72に記載の方法。
(項目74)同一のポリヌクレオチドの集団のヌクレオチド配列を決定する方法であって、
(a)転化プローブ-ポリヌクレオチド複合体の亜集団が形成されるように、第1のプローブと転化プローブとの混合物をポリヌクレオチドの集団の末端に連結する工程であって、該第1のプローブがリーチを有する第1のヌクレアーゼのヌクレアーゼ認識部位を含み、そして該転化プローブがリーチを有する第2のヌクレアーゼのヌクレアーゼ認識部位を含む;
(b)該転化プローブ-ポリヌクレオチド複合体を該第2のヌクレアーゼを用いて切断し、そして該亜集団のポリヌクレオチドが該第1のヌクレアーゼのリーチと同じかまたはそれより多いヌクレオチドの数短くされるまで項目1〜57のいずれかに記載の方法を適用することにより、該ポリヌクレオチドの該ヌクレオチド配列の一部を決定する工程;
(c)該亜集団の該ポリヌクレオチドをキャップする工程;
(d)該第1のヌクレアーゼを用いて該ポリヌクレオチドを切断する工程;
(e)該ポリヌクレオチド集団のヌクレオチド配列が決定されるまで、工程(a)〜(d)を繰
り返す工程。
【0010】
発明の要旨
本発明は、標的ポリヌクレオチドの末端でプローブを連結および切断することに基づく核酸配列分析の方法を提供する。好ましくは、そのような連結および切断の反復サイクルが本方法において行われ、そしてこのような各サイクルにおいて、標的ポリヌクレオチドの末端で1ヌクレオチドが同定され、そして標的ポリヌクレオチドが短くされ、その結果、連結、切断および同定のさらなるサイクルが起こる。すなわち、好ましくは、各サイクルにおいて、標的配列は、1ヌクレオチドずつ短くされ、そしてそのサイクルは、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されるまで繰り返される。
【0011】
本発明の重要な特徴は、連結および切断事象に用いられるプローブである。本発明のプローブは、二本鎖ポリヌクレオチドであり、(i)ヌクレアーゼの認識部位を含み、そして(ii)好ましくは、標的ポリヌクレオチドの相補的な突出鎖と二重鎖を形成し得る突出鎖を
有する。後者の態様において、各サイクルでは、突出鎖が標的ポリヌクレオチドの突出鎖と完全に適合した(matched)二重鎖を形成するプローブのみが標的ポリヌクレオチドの末
端に連結されて、連結複合体を形成する。連結されなかったプローブを除いた後、プローブを認識するヌクレアーゼが、連結複合体を、連結および切断の次のサイクルに参加し得る末端(通常、突出鎖)を残した標的ポリヌクレオチド上の連結部位から1ヌクレオチド以上離れた部位で切断する。このヌクレアーゼの重要な特徴は、その認識部位は切断部位から離れているということである。以下により十分に記載されるように、そのようなサイクルの連結および切断の過程において、標的ポリヌクレオチドの末端ヌクレオチドが同定される。
【0012】
本発明の1つの局面において、標的ポリヌクレオチドの末端の1つ以上のヌクレオチドが本方法の各サイクルの間に同定および/または切断され得る。
【0013】
一般に、本発明の方法は、以下の工程を含む:(a)プローブをポリヌクレオチドの末端
に連結する工程であって、上記プローブはヌクレアーゼ認識部位を有する;(b)ポリヌク
レオチドの末端で1つ以上のヌクレオチドを同定する工程;(c)プローブのヌクレアーゼ
認識部位を認識するヌクレアーゼによってポリヌクレオチドを切断する工程、その結果、ポリヌクレオチドは1つ以上のヌクレオチドにまで短くされる;および(d)ポリヌクレオ
チドのヌクレオチド配列が決定されるまで、工程(a)から(c)を繰り返す工程。以下により十分に記載されるように、工程(a)から(c)の順序は、本発明の異なる実施態様によって変化し得る。例えば、1つ以上のヌクレオチドの同定は、標的ポリヌクレオチドから連結複合体を切断する前または後のいずれでも行い得る。同様に、ポリヌクレオチドの末端にプローブを連結する工程は、本発明のいくつかの好ましい実施態様では同定工程の後でも可能である。好ましくは、本方法は、連結工程の後に連結されなかったプローブを除く工程をさらに包含する。
【0014】
好ましくは、天然のタンパク質エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼとして用いられるときは必ず、標的ポリヌクレオチド内に偶然存在する内部認識部位での擬似的切断を防ぐために、本方法は、配列決定の操作の開始時に標的ポリヌクレオチドをメチル化する工程を含む。
【0015】
本発明は、現行のDNA配列決定方法に備わる多くの欠点を克服する:大きさの近いDNAフラグメントを電気泳動的に分離する必要がない;自動化が困難なゲルをベースにした分離を必要としない;DNA配列決定フラグメントのネスト状セットを生成するためにポリメラ
ーゼを必要としない;シグナル−ノイズ比が1ヌクレオチド塩基ずつに関してかなり好ましくなり、より少量のサンプルサイズを用い得るようになったので、検出および分析が非常に簡便になる;および、蛍光物質をベースにした検出スキームに関しては、異なるヌクレオチドを標識している発蛍光団が、空間的に重なっているバンドにおいてよりも均質な溶液中で別々に検出され得るので、分析がさらに簡便になる。
【0016】
本発明は小規模な連続操作に対しても大規模な平行操作に対しても容易に自動化され、ここで、多くの標的ポリヌクレオチドまたは単一標的ポリヌクレオチドの多くのセグメントが同時に配列決定される。現在の配列決定アプローチとは異なり、本方法の漸次的性質、すなわち、1ヌクレオチドずつ配列を決定することにより配列決定の操作の進行状況をリアルタイムでモニターでき、それは、問題が起きたときには、操作を短縮または再スタートすることを可能にし、それによって、時間および試薬の使用を著しく節約することになる。さらに現在のアプローチと異なるのは、本方法は、標的ポリヌクレオチドの対立遺伝子形態の同時決定を可能にする:以下にさらに十分に記載されるように、標的ポリヌクレオチドの集団が異なる配列のいくつかの亜集団からなる場合(例えば、ヘテロ接合体遺伝子座由来のポリヌクレオチド)、本方法は、その配列の各位置での各ヌクレオチドの割合を同定し得る。
【0017】
一般に、本発明の方法は、DNA配列決定が用いられる全ての仕事(医学的診断、遺伝子
マッピング、遺伝子同定、法廷分析、分子生物学研究などを含む)に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
定義
ポリヌクレオチドに関して本明細書中で用いられる「配列決定」または「ヌクレオチド配列の決定」は、ポリヌクレオチドの部分的および完全な配列情報の決定を包含する。すなわち、この用語は、配列の比較、フィンガープリンティング、および同様のレベルの標的ポリヌクレオチドについての情報、ならびに、標的ポリヌクレオチドにおけるヌクレオシド(通常、各ヌクレオシド)の明確な同定および順序決めを包含する。
【0019】
プローブおよび標的ポリヌクレオチドの突出鎖に関する「完全に適合した二重鎖」は、一方に由来する突出鎖がもう一方と二本鎖構造を形成し、その結果、二本鎖構造内の各ヌクレオチドが反対側の鎖上のヌクレオチドとワトソン−クリック塩基対合を行う。この用語はまた、ヌクレオシドアナログ(例えば、デオキシイノシン、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシドなど)の対合を包含する。このアナログは、プローブの縮重を低減するために用いられ得る。
【0020】
本明細書中で用いられる用語「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオシドまたはそれらのアナログ(デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシドなどを含む)の直鎖状オリゴマーを含む。通常、オリゴヌクレオチドは、少数のモノマー単位(例えば、3−4)から数百のモノマー単位までのサイズの範囲である。オリゴヌクレオチドが、「ATGCCTG」のような文字の配列によって表されるときはいかなる場合でも、これらのヌクレオチドは5’→3’の方向に左から右へ並んでいること、および、他に示さない限り「A」はデオキシアデノシン、「C」はデオキシシチジン、「G」はデオキシグアノシン、および「T」はチミジンを示すことが理解されるであろう。
【0021】
本明細書中で用いられる「ヌクレオシド」は、例えば、KornbergおよびBaker、DNA Replication、第2版(Freeman、San Francisco、1992)に記載されるように、天然のヌクレオシド(2'-デオキシ型、および2'-ヒドロキシル型を含む)を含む。ヌクレオシドに関連した「アナログ」は、改変された塩基部分および/または改変された糖部分を有する合成ヌクレオシド(例えば、一般にScheit、Nucleotide Analogs(John Wiley、New York、1980)に記載される)を含む。そのようなアナログは、結合特性を高め、縮重を低減し、特異性を増大させることなどを行うように設計された合成ヌクレオシドを含む。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、核酸配列決定法を提供する。この方法は、同じようなサイズのDNAフラグメ
ントを電気泳動的に分離することを不必要とし、そしてゲルまたは同様の媒体中で空間的に重なっているDNAフラグメントのバンドの検出および分析に関連した問題を排除する。
さらに、本発明は、DNAポリメラーゼを用いて長い一本鎖鋳型からDNAフラグメントを生成する必要性を除く。
【0023】
上記で言及したように、本発明の重要な特徴は、標的ポリヌクレオチドに連結されたプローブである。一般に、本発明のプローブは、「プラットホーム(platform)」を提供し、そこからヌクレアーゼが、プローブが連結されている標的ポリヌクレオチドを切断する。本発明のプローブはまた、標的ポリヌクレオチドの末端でヌクレオチドを同定または標識する手段を提供し得る。プローブは、全ての実施態様において必ずしも両方の機能を提供するわけではない。
【0024】
本発明の一つの局面において、プローブは、図1aに示した形態を有する。この実施態
様においては、プローブは二本鎖セグメントのDNAであり、一方の末端10に突出鎖、少な
くとも1つのヌクレアーゼ認識部位12、および上記認識部位と上記突出末端10との間にスペーサー領域14を有している。好ましくは、プローブはまた標識16を含み、それは、この特定の実施態様において、上記突出鎖の反対側の末端に示されている。このプローブは、種々の手段によって、種々の位置で標識され得るが、唯一の制限は、選択された標識手段が、連結工程またはヌクレアーゼによるプローブの認識を妨害しないことである。
【0025】
上記の実施態様において、ヌクレアーゼが標的ポリヌクレオチドの末端上に5’リン酸を残すときはいかなる場合でも、連結の前に、例えば、標準ホスファターゼでの処理によって、それを除去することが時折望ましい。このことは、プローブおよび標的配列の突出鎖が完全に適合した二重鎖を形成し損なった場合に、鎖の一方に望ましくない連結が生じることを防止する。このことは、同定が望まれるヌクレオチドのまさにその位置で起こるミスマッチに特に問題である。そのようなホスファターゼ処理が行われる場合、最初の連結後に連結複合体に残っている「ニック」は、キナーゼ処理およびそれに続く2度目の連結工程によって修復され得る。
【0026】
好ましくは、上記のタイプのプローブを用いる本発明の実施態様は、以下の工程を含む:(a)プローブを、突出鎖を有するポリヌクレオチドの末端に連結して連結複合体を形成する工程であって、上記プローブは上記ポリヌクレオチドの突出鎖に対して相補的な突出鎖を有し、そして上記プローブは、ヌクレアーゼ認識部位を有する;(b)上記ポリヌクレオチドの突出鎖において1以上のヌクレオチドを、例えば連結されるプローブの正体によって、同定する工程;(c)上記連結複合体をヌクレアーゼによって切断する工程;および(d)上記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されるまで工程(a)から(c)を繰り返す工程。同定工程は、切断工程の前または後のいずれでも行われ得る。好ましくは、上記ポリヌクレオチドの突出鎖内の1以上のヌクレオチドは、切断の前に同定される。さらに好ましくは、本方法はまた、連結複合体から連結されなかったプローブを除去する工程を含む。
【0027】
プローブの突出鎖10が5’末端または3’末端のいずれに存在するかは重要ではない。しかし、この実施態様では、標的ポリヌクレオチドおよびプローブの突出鎖が、特異的な連結を可能にするために、完全に適合した二重鎖を形成し得ることが重要である。標的ポリヌクレオチドおよびプローブの突出鎖の長さが異なる場合、その結果生じるギャップは、連結の前にポリメラーゼによって充填され得る(例えば、Backmanらのヨーロッパ特許出願第91100959.5号に開示された「gap LCR])。そのようなギャップの充填は、標的ポリヌクレオチドの突出鎖内で1以上のヌクレオチドを同定する手段として用いられ得る。好ましくは、プローブと標的ポリヌクレオチドの双方の鎖が充填工程なしで連結され得るように、各突出鎖内のヌクレオチド数は同じである。好ましくは、プローブの突出鎖は、2から6ヌクレオチドの長さである。以下に示すように、突出鎖が長くなるほど、各連結および切断のサイクルの間に標的ポリヌクレオチドに適用されるプローブ混合物の複雑度は大きくなる。
【0028】
本発明の別の局面においては、プローブの主な機能は、ヌクレアーゼが連結複合体に結
合する部位を提供することであり、その結果、その複合体が切断され得、標的ポリヌクレオチドが短くされる。本発明のこの局面では、ヌクレオチドの同定は、プローブの連結および切断とは別々に起こり得る。この実施態様は、いくつかの利点を提供する:第1に、配列決定は、連結されるプローブの突出鎖が標的ポリヌクレオチドの突出鎖と完全に相補的である必要がなく、それによりハイブリダイゼーションの緊縮性の制御により一層の柔軟性をもたせる。第2に、天然の4ヌクレオチドを元にした、完全縮重プローブのセットを提供する必要がない。この実施態様ではヌクレオチドの同定に特異的な結合は重要ではないので、いわゆる「ワイルドカード」ヌクレオチドまたは「縮重低減アナログ」が、連結工程に用いられるプローブ混合物の複雑度を著しく低減するかまたは除去さえするように提供され得る。第3に、同定がプローブ上の標識手段を介して行われない場合には、平滑末端連結用に設計されたプローブが縮重混合物の使用を必要とせずに用いられ得る。
【0029】
好ましくは、本発明のこの実施態様は、以下の工程を包含する:(a)突出鎖を有するポ
リヌクレオチドを提供する工程;(b)核酸ポリメラーゼを用いて鎖の3’末端を伸長させ
ることにより突出鎖内の1以上のヌクレオチドを同定する工程;(c)プローブをポリヌク
レオチド末端に連結して連結複合体を形成する工程;(d)ヌクレアーゼを用いて連結複合
体を切断する工程;および(e)上記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されるま
で工程(a)から(d)を繰り返す工程。好ましくは、標的ポリヌクレオチドは、3’陥凹鎖を有し、この陥凹鎖は、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼによって伸長され、そして用いられるヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドの末端で3’陥凹鎖および5’突出鎖を生成する。
【0030】
この実施態様の1例を、図1bに示す:ポリヌクレオチド(15)の3’陥凹鎖は、4つの
ジデオキシヌクレオシド三リン酸(各々が分別可能な蛍光ラベルを有している)存在下で核酸ポリメラーゼによって伸長され、その結果、上記3’陥凹鎖は、1ヌクレオチド(11)だけ伸長され、それにより、ポリヌクレオチド(15)の5’突出鎖中のその相補的なヌクレオチドが同定される。次いで、認識部位(12)、スペーサー領域(14)、および相補的な突出鎖(10)を有するプローブ(9)がポリヌクレオチド(15)に連結され、連結複合体(17)を形成
する。次いで、連結複合体(17)が、切断部位(19)で切断され、標識フラグメント(21)および拡大プローブ(augmented probe)(23)を解離する。次いで、再生成3’陥凹鎖を有する短縮ポリヌクレオチド(15)は、次いで、次のサイクルの同定、連結、および切断に備える。
【0031】
このような実施態様においては、標的ポリヌクレオチドの二本鎖部分に近接した5’突出鎖の最初のヌクレオチドは、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で核酸ポリメラーゼを用いて3’鎖を伸長させることにより容易に同定される。好ましくは、3’鎖は、4つの鎖終結ヌクレオシド三リン酸(各々が分別可能な蛍光色素によって標識されている)存在下で核酸ポリメラーゼによって伸長され、その結果、付加されたヌクレオチドは、付着色素の呈色によって容易に同定される。このような鎖終結ヌクレオシド三リン酸は、商業的に入手可能であり、例えば、標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸は、Hobbs,Jrら、米国特許第5,047,519号、Cruickshankら、米国特許第5,091,519号などに記載されている。そ
のような伸長反応の手順は、Syvanenら、Genomics、8:684-692(1990);Goeletら、国際出願番号PCT/US92/01905;LivakおよびBrenner、米国特許第5,102,785号などを含む種々の
刊行物に記載されている。
【0032】
プローブは、以下により十分に記載されるように、従来の手順を用いて標的ポリヌクレオチドに連結され得る。好ましくは、このプローブは、標的ポリヌクレオチドの3’鎖の1ヌクレオチドの伸長の後に連結される。より好ましくは、このプローブの突出鎖中のヌクレオチド数は、伸長工程の後の標的ポリヌクレオチドの突出鎖中のヌクレオチド数と同じである。すなわち、ヌクレアーゼが4ヌクレオチドを有する突出鎖を提供する場合、伸長工程の後には突出鎖は3ヌクレオチドを有し、そして好ましいプローブの突出鎖も3ヌ
クレオチドを有する。
【0033】
この実施態様における切断工程は、用いられるヌクレアーゼおよび/またはリガーゼの
効率において添加された鎖終結ヌクレオチドが有する効果に応じて、種々の技術によって達成される。好ましくは、連結複合体は、標識鎖終結ヌクレオチドの存在によって形成され、それは続いて適切なヌクレアーゼ(例えば、FokIなどのようなクラスIIs制限エンド
ヌクレアーゼ(class IIs restriction endonuclease))を用いて切断される。
【0034】
好ましい実施態様においては、伸長および連結の後、鎖終結ヌクレオチドは切り出され得る。好ましくは、これは、適切なヌクレオシド三リン酸存在下で作用するDNAポリメラ
ーゼ(例えば、T4DNAポリメラーゼ)の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性(すなわち校
正活性)によって行われる。この酵素の作用により、鎖終結ヌクレオシド(11)は天然の相対物と交換され、そして鎖が伸長され、連結されなかったプローブの鎖(25)が外される。便利なことに、突出鎖を有するプローブが用いられる場合には、この工程は、前の連結工程においてプローブに連結しなかった標的ポリヌクレオチドを、それらの末端を「充填すること」により同時にキャップし、それによって続いて起こる連結を防止する。
【0035】
このような切り出しはまた、標識鎖終結ヌクレオシドが酸不安定なホスホルアミデート結合のような不安定な結合によって付着されている場合には、化学的に行われ得る。そのようなヌクレオシドホスホルアミデートの合成およびDNAポリメラーゼと共にそれらを用
いることは、Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.、94:292-293(1972)およびLetsingerら、Biochem.、15:2810-2816(1976)に記載されている。同定後、ホスホルアミデート結合が切断され、そしてヌクレオシドが穏和な酸によって切り出されて、次のサイクルの前に3’ホスファターゼを用いて除去されるべき末端リン酸基を残す。
【0036】
別の実施態様においては、鎖終結ヌクレオチドは切り出され、そして陥凹3’鎖は連結の前に伸長されて、平滑末端標的ポリヌクレオチドとする。次いで、次のサイクルは、平滑末端プローブを標的ポリヌクレオチドの末端に連結することにより開始される。平滑末端を有するプローブの使用は、多くのプローブを用いる必要性を排除する。なぜなら、連結を起こすためにハイブリダイズされなければならない突出鎖がないからである。
【0037】
この実施態様の別の変型においては、消化後1ヌクレオチドの5’突出鎖とするヌクレアーゼ(例えば、AlwI)が選択される。従って、鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下で鎖
の伸長が行われる必要がない;通常のデオキシヌクレオシド三リン酸が、末端が揃っているポリヌクレオチドを生じさせるために用いられ得る。次いで、平滑末端プローブが次のサイクルを開始させるために用いられる。好ましくは、用いられるヌクレオシド三リン酸は、上記の実施態様に記載された鎖終結アナログがそうであったように、標識されている。さらに好ましくは、この標識は、選択的に切断可能な結合によって付着され、その結果、この標識は、次のサイクルでヌクレアーゼの効率を高めるために除去され得る。いくつかのそのような切断可能な結合部分が入手可能である(例えば、Hermanら、Anal.Biochem.、156:48-55(1986)(ジスルフィドリンカー);Urdea米国特許第4,775,619号および第5,118,605号)。
【0038】
この実施態様のさらに別の局面においては、図1dにおいて示されるように、連結後、
プローブの鎖の3’末端が、標識鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下でDNAポリメラーゼ
を用いて伸長される。3’突出末端を有する標的ポリヌクレオチド(15)は、1ヌクレオチド長少ない相補的3’突出末端(134) を有するプローブ(130) に連結される。すなわち、プローブ(130)の3’突出鎖(134) が3ヌクレオチドを有する場合、標的ポリヌクレオチ
ド(15)の3’突出鎖は少なくとも4ヌクレオチドを有する。連結によりギャップ(132)を
有する連結複合体(17)が形成される。次いで、ギャップ(132)は、鎖終結ヌクレオシド三
リン酸存在下で核酸ポリメラーゼを用いる3’突出鎖(134)の伸長によって充填される。
切断後、このサイクルが繰り返され得る。
【0039】
この実施態様はまた、図1eに示されるように、標識されていない鎖終結ヌクレオシド
三リン酸によっても行われ得る。標的ポリヌクレオチド(15)は、核酸ポリメラーゼ(150)
存在下で異なる3’アミノヌクレオシド三リン酸に連続的に曝される。この3’アミノヌクレオシド三リン酸は、取り込まれると鎖ターミネーターとして作用する。例えば、図1eに組み込まれて示されている3’アミノヌクレオシド三リン酸(152)は、さらなる鎖伸長を停止し、そして突出鎖の長さを1ヌクレオチド(4個から3個に)減少させる。そのように曝した後、アデノシン鎖ターミネーターに対応する標識(155)を有するプローブ(154)を、連結(156)のために標的配列と混合する。標識プローブが3ヌクレオチドの突出鎖を有するので、伸長があった場合には連結のみ行う。連結が起こらない場合、および洗浄後に付着したプローブが残らない場合には、次の3’アミノヌクレオシド三リン酸および対応するプローブが試される。このプロセスは、標的ポリヌクレオチドがうまく伸長されて、対応するプローブが連結されて連結複合体(17)を形成するまで続く。3’アミノヌクレオシド三リン酸の合成は、Kutateldzeら、FEBS Letters、153:420-426(1983)、Krayevskyら、Biochemica et Biophysica Acta、783:216-220(1984)、およびHerrleinら、Helvetica Chimica Acta、77:586-598(1994)に記載されている。末端3’アミノヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドの連結特性は、FungおよびGryaznov、国際特許出願第PCT/US94/03087号に記載されている。3’アミノヌクレオチドの鎖終結特性は、Herrleinら(上記)に記載されている。
【0040】
本発明のさらに別の実施態様においては、プローブは、図1fの例によって示されるよ
うに、2工程で標的ポリヌクレオチドの末端に集結される。5’一リン酸を有する第1の一本鎖オリゴヌクレオチド(100)を5’一リン酸をその突出鎖上に有する標的ポリヌクレ
オチド(15)にアニールおよび連結させて、連結複合体(17)の前駆体(104)を形成する。前
駆体(104)の突出鎖に相補的な第2の一本鎖オリゴヌクレオチド(102)を前駆体(104)とア
ニールおよび連結させて、連結複合体(17)を形成する。以下にさらに十分に記載されるように二本鎖プローブを用いる場合と同様に、第1のオリゴヌクレオチド(100)は、混合物
として標的ポリヌクレオチドに送達され得、そして連結は、好ましくは、緊縮性の高い条件で起こり、その結果、完全に適合したハイブリッド(標的ポリヌクレオチドの突出鎖と第1のオリゴヌクレオチドの5’末端との間)が優先的に連結される。明らかに、第2のオリゴヌクレオチド(102)は、前駆体(104)の突出部に相補的な配列を持つことのみが必要とされ、その結果、第2の連結が起きて連結複合体(17)を形成し得る。
【0041】
この実施態様の別の形態においては(図1gに示される)、第1の一本鎖オリゴヌクレ
オチド(120)が、5’一リン酸をその陥凹鎖上に有する標的ポリヌクレオチド(15)にアニ
ールおよび連結され、連結複合体(17)の前駆体(124)を形成する。前駆体(124)の突出鎖に相補的であり、そして5’一リン酸を有する第2の一本鎖オリゴヌクレオチド(122)が、
前駆体(124)とアニールおよび連結されて、連結複合体(17)を形成する。以下にさらに十
分に記載されるように二本鎖プローブを用いる場合と同様に、第1のオリゴヌクレオチド(120)は、混合物として標的ポリヌクレオチドに送達され得、そして連結は、好ましくは
、緊縮性の高い条件で起こり、その結果、完全に適合したハイブリッド(標的ポリヌクレオチドの突出鎖と第1のオリゴヌクレオチドの3’末端との間)が優先的に連結される。上記のように、第2のオリゴヌクレオチド(122)は、前駆体(124)の突出部に相補的な配列を有することのみが必要とされ、その結果、第2の連結が起きて連結複合体(17)が形成され得る。
【0042】
プローブの相補的な鎖は、ホスホルアミダイト化学のような標準的な化学現象(例えば、以下の参考文献に開示される:BeaucageおよびIyer、Tetrahedron、48:2223-2311(1992);Molkoら、米国特許第4,980,460号;Kosterら、米国特許第4,725,677号;Caruthersら、米国特許第4,415,732号;第4,458,066号;および第4,973,679号など)を用いて、DNA自動合成機(例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,California)モデル392または394DNA/RNA Synthesizer)において、簡便に合成される。別の化学現象(例えば、ホスホロチオエート、ホスホルアミデートなどのような非天然の骨格基を生じる)もまた、得られるオリゴヌクレオチドが連結試薬および切断試薬と適合性があれば用いられ得る。合成後、相補的な鎖は組み合わされて二本鎖プローブを形成する。一般に、プローブの突出鎖は、混合物として合成され、その結果、突出部には全ての可能な配列が示される。例えば、突出鎖が4ヌクレオチドからなる場合、一つの実施態様においては、以下のような4つの混合物が調製される:
...XNNNA、
...XNNNC、
...XNNNG、および
...XNNNT
ここで、「NNN」は、全ての可能な3マーを示し、そして「X」は、鎖の二重鎖形成部を示す。従って、上に挙げられる4つのプローブの各々は、4すなわち64の異なる配列を含み;または別の言葉でいえば、4つのプローブの各々は、64の縮重を有する。例えば、X...XNNNAは、以下の配列を含む:
...XAAAA
...XAACA
...XAAGA
...XAATA
...XACAA



...XTGTA
...XTTAA
...XTTCA
...XTTGA
...XTTTA
このような混合物は、周知の技術(例えば、Taleniusら、Genomics、13:718-725(1992);Welshら、Nucleic Acids Research、19:5275-5279(1991);Grothuesら、Nucleic Acids Research、21:1321-1322(1993);Hartley、ヨーロッパ特許出願第90304496.4号などに開示されている)を用いて容易に合成される。一般に、これらの技術は、縮重の導入を所望する場合、カップリング工程の間に、活性化モノマーの混合物を伸長中のオリゴヌクレオチドに付与することが単に必要なだけである。上で議論したように、いくつかの実施態様においては、プローブの縮重を低減することが所望され得る。このことは、デオキシイノシン、2-アミノプリンなどのような縮重低減アナログを用いることにより達成され得る(例えば、Kong Thoo Linら、Nucleic Acids Research、20:5149-5152、[または]米国特許第5,002,867号;Nicholsら、Nature、369:492-493(1994)などに教示される)。
【0043】
好ましくは、ホスホジエステル結合を有するオリゴヌクレオチドに関しては、プローブの二重鎖形成領域は、約12塩基対から約30塩基対の間の長さである;より好ましくは、その長さは、約15塩基対から約25塩基対の間である。
【0044】
上記より、プローブが、幅広い種類の形態を有し得ることは明らかである。例えば、プローブは、X...XANNN、X...XNANN、X...XNNANなどの形態を有し得る。あるいは、プローブセットの数は増加し得、そして以下の形態を有する16倍の16セットのプローブを構築することにより縮重が低減され得る
:X...XNNAA、X...XNNAC、X...XNNAGなど。
【0045】
それぞれのそのようなセットのプローブの二重鎖形成領域が同じ長さを有することは重要ではない。プローブ間のサイズの違いは、それらを同定するための手段として用いられ得る(例えば、Skolnickら、Genomics、2:273-279(1988))。また、いくつかの実施態様
においては、自己相補的領域を含む単一のポリヌクレオチドとしてプローブを合成することが望ましいとされ得る。合成後、自己相補的領域は、アニールして一方の末端に突出鎖を有し、他方の末端に一本鎖ループを有するプローブを形成させる。好ましくは、そのような実施態様においては、このループ領域は、約3〜10ヌクレオチド、または、他の匹敵する結合部分(例えば、米国特許第4,914,210号に開示されるようなアルキルエーテル基
)を含み得る。下記で議論するように、多くの技術が標識のために反応基を塩基またはヌクレオシド間結合に付着させるのに利用可能である。
【0046】
以下により十分に記載するように、本発明において従来のリガーゼが用いられる場合、プローブの5’末端は、いくつかの実施態様においてはリン酸化され得る。5’一リン酸は、キナーゼによって化学的あるいは酵素的のいずれかで第2のオリゴヌクレオチドに付着され得る(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1989)。化学的なリン酸化は、HornおよびUrdea、Tetrahedron Lett.、27:4705(1986)によって記載されており、そして開示されたプロトコルを実施するための試薬は市販されている(例えば、Clontech Laboratories(Palo Alto,California)からの5'Phosphate-ONTM)。従って、いくつかの実施態様では、プローブは以下の形態:
5'−X...XTTGA
...Y
以下の形態:
5'−pAGTTX...X
...Y
などを有し得、ここで、Yは、Xの相補的なヌクレオチドであり、そして「p」は、一リン酸基である。
【0047】
本発明のプローブは、放射性部分、蛍光部分、比色部分などの直接または間接の付着を含む種々の方法で標識され得る。DNAの標識およびDNAプローブの構築に関する方法の多くの総合的な概説は、本発明のプローブを構築するのに適用し得る指針を提供する。そのような概説は、Matthewsら、Anal.Biochem.、Vol.169、1-25頁(1988);Haugland、Handbookof Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes,Inc.,Eugene,1992)
;KellerおよびManak、DNA Probes、第2版(Stockton Press,New York,1993);およびEckstein編、Origonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991);Wetmur、Critical Reviewsin Biochemistry and Molecular Biology、26:227-259(1991)などを含む。本発明に適用し得る多くのより特別な方法は、以下の参考文献に開示されている:Connolly、Nucleic Acids Research、Vol.15,3131-3139頁(1987);Gibsonら、Nucleic Acids Research、Vol.15,6455-6467頁(1987);Spoatら、Nucleic Acids Research、Vol.15,4837-4848頁(1987);Fungら、米国特許第4,757,141号;Hobbs,Jr.ら、米国特許第5,151,507号;Cruickshank、米国特許第5,091,519号(レポーター基の付着のための官能基付加オリゴヌクレオチド(functionalized oligonucleotide)の合成);Jablonskiら、Nucleic Acids Research、14:6115-6128(1986)(酵素−オリゴヌクレオチド結合体);およびUrdeaら、米国特許第5,124,246号(分枝DNA)。標識部分の付着部位は、そのような標識が連結および切断工程を妨害しない限り、標的ポリヌクレオチド内でヌクレオチドを同定するためのプローブ標識による実施態様においては重要ではない。特に、色素は、プローブを形成している鎖の3’または5’末端上で標的ポリヌクレオチドに遠位のプローブの末端に便利に付着され得る(例えば、Eckstein(上記)、Fung(上記)など)。いくつかの実施態様においては、標識部分を内部塩基またはヌクレオシド間結合に付着させることが好ましいとされ得る。
【0048】
好ましくは、プローブは、1以上の蛍光色素を用いて標識される(例えば、Menchenら
、米国特許第5,188,934号;Begotら、PCT出願PCT/US90/05565に開示)。
【0049】
本発明によれば、本発明のプローブは、連結および切断の各サイクルにおいて、標的ポリヌクレオチドの末端に連結されて、連結複合体を形成する。連結複合体は、プローブと標的とが連結された後(通常は、標的ポリヌクレオチドの突出鎖とプローブとがアニールし、そして少なくとも1対の同じ方向の鎖が互いに共有結合により結合させられた後)に形成される二本鎖構造である。連結は、酵素的または化学的のいずれかで達成され得る。化学的連結方法は、当該分野で周知である(例えば、Ferrisら、Nucleosides & Nucleotides、8:407-414(1989);Shabarovaら、Nucleic Acids Research、19:4247-4251(1991)など)。しかし、好ましくは、連結は、標準的なプロトコルでリガーゼを用いて酵素的に行われる。多くのリガーゼが公知であり、そして本発明における使用に適切である(例えば、Lehman、Science、186:790-797(1974);Englerら、DNA Ligases、3-30頁、Boyer編、The Enzymes、Vol15B(Academic Press,New York,1982)など)。好ましいリガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Taqリガーゼ、Pfuリガーゼ、およびTthリガーゼを含む。それらの使用のプロトコルは周知である(例えば、Sambrookら(上記);Barany、PCR Methods and Applications、1:5-16(1991);Marshら、Strategies、5:73-76(1992)など)。一般に、リガーゼは、接触する鎖の3’ヒドロキシル基への連結のために5’リン酸基が存在することが必要である。これは、例えばFokIのように5’リン酸を残すヌクレアーゼを選択することにより、標的ポリヌクレオチドの少なくとも1つの鎖に対して便利に提供される。
【0050】
リン酸化されていないプローブを用いる本発明の好ましい実施態様においては、連結工程は(i)リガーゼを用いて上記プローブを標的ポリヌクレオチドに連結し、その結果、一
方の鎖にニックを有する連結複合体が形成される工程、(ii)従来のプロトコルを用いてニックの位置の5’ヒドロキシル基をキナーゼによりリン酸化する工程(例えば、Sambrookら(上記))、および(iii)再び連結させてニックの位置で鎖を共有結合的に結合させる工程、すなわち、ニックの除去、を包含する。
【0051】
好ましくは、本発明において使用するための標的ポリヌクレオチドは二本鎖であり、そして少なくとも一方の末端に突出鎖を有するように調製される。この突出鎖は5’末端または3’末端のいずれかであり得、そして好ましくは、その鎖の突出部のヌクレオチド数は、2〜6の範囲である。標的ポリヌクレオチドは、5’鎖が突出している場合にはいかなる場合でも「−k」で表され、ここで、kはある整数で、例えば、通常は2〜6の間である。逆に、3’鎖が突出している場合にはいかなる場合でも、標的ポリヌクレオチドは「+k」で表される。例えば、以下はこの命名に従えば−4標的ポリヌクレオチドである:
5’−AACGTTTAC...
AAATG...
本発明の1つの好ましい実施態様においては、標的ポリヌクレオチドは、磁気粒子、ポリマー微粒子、フィルター物質などのような固相支持体に固定されており、それは、複雑で時間のかかる精製工程なしに試薬の連続的な適用を可能にする。標的ポリヌクレオチドの長さは、幅広く変化し得る;しかし、調製の便宜性のため、従来の配列決定に用いられる長さが好ましい。例えば、数百塩基対、すなわち200〜300、から1000〜2000塩基対までの範囲の長さが好ましい。
【0052】
標的ポリヌクレオチドは、種々の従来法により調製され得る。例えば、標的ポリヌクレオチドは、従来のDNA配列決定に用いられる挿入物を含む、任意の従来のクローニングベ
クターの挿入物として調製され得る。適切なクローニングベクターの選択および使用に関する詳細な指針は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989)などの参考文献に見出される。Sambrookら、
およびInnisら編、PCR Protocols(Academic Press,New York,1990)もまた、標的ポリヌク
レオチドを調製するためのポリメラーゼ連鎖反応の使用に関する指針を提供する。好ましくは、クローン化されたまたはPCR増幅された標的ポリヌクレオチドが、その方法に用い
られる他の試薬からその標的ポリヌクレオチドを分離することを容易にするために、磁気ビーズまたは他の固体支持体に付着させて調製される。そのような調製技術に関するプロトコルは、Wahlbergら、Electrophoresis、13:547-551(1992);Tongら、Anal.Chem.、64;2672-2677(1992);Hultmanら、Nucleic Acids Research、17:4937-4946(1989);Hultmanら、Biotechniques、10:84-93(1991);Syvanenら、Nucleic Acids Research、16:11327-11338(1988);Dattaguptaら、米国特許第4,734,363号;Uhlen、PCT出願PCT/GB89/00304などの文献に十分に記載されている。そのような方法を実施するためのキットもまた市販されている(例えば、Dynal AS(Oslo,Norway)のDynabeadsTM鋳型調製キット)。
【0053】
標的ポリヌクレオチドの集団は、例えば、磁気ビーズ、制御孔ガラス粒子(controlled pore glass particle)などの微粒子の使用により並行して調製され得る。これら微粒子はそれぞれが、付着したアダプターの均一な集団を有する。このアダプターは、約30と100
ヌクレオチドとの間の長さのオリゴヌクレオチドであり、それはPCRのプライマー結合の
ための領域を有し、その領域は、二重鎖が確立された場合に制限エンドヌクレアーゼの切断部位を形成し、そして約12〜15ヌクレオチドのアドレス領域は、ハイブリダイゼーションによる独特の標的ポリヌクレオチドの捕捉を可能にする。そのようなアダプターはまた、当該分野で公知の他の連結部分(例えば、ポリエチレングリコールアームなど)も含み得る。特定の微粒子上のアダプター集団は、各オリゴヌクレオチドが同じ配列を有するという意味において均一であり、その結果、同じ標的ポリヌクレオチドは、同じ微粒子上の種々のアダプターに捕捉される。オリゴヌクレオチドの均一な集団を有する微粒子の調製は、PCT公開WO92/00091、WO92/03461などの文献に開示されている。並行する配列決定のために、標的ポリヌクレオチドはライブラリー内で調製され、そのベクターは、標的ポリヌクレオチド挿入物に近接した相補的なアドレス領域を含む。切り出しおよび変性の後、標的ポリヌクレオチドの集団(それらは今や各々がその末端に相補的なアドレス領域を有する)は、捕捉を可能にする条件下で、微粒子集団と混合される。捕捉した標的ポリヌクレオチドを有する個々の粒子は、単離され得、そして顕微鏡スライド上で操作され得る(例えば、Lamら、PCT公開WO92/00091およびLamら、Science、354:82-84(1991)によって教示される)。
【0054】
本発明に従って用いられる用語「ヌクレアーゼ」は、連結複合体に適用された場合に、以下に十分に議論するように、連結複合体を切断して拡大プローブおよび短縮標的ポリヌクレオチドを生成する、任意の酵素、酵素の組み合わせ、または他の化学試薬、あるいは化学試薬と酵素との組み合わせを意味する。本発明のヌクレアーゼは、単一のタンパク質であるか、または、タンパク質の組み合わせのみからなるような必要はない。このヌクレアーゼまたはヌクレアーゼとして用いられる試薬の組み合わせの鍵となる特徴は、その(それらの)切断部位がその(それらの)認識部位から離れていることである。ヌクレアーゼの認識部位とその切断部位との間の距離を、本明細書中では「リーチ」という。慣例によると、「リーチ」は、認識部位と各鎖の加水分解されたホスホジエステル結合との間のヌクレオチド数を与える2つの整数によって定義される。例えば、FokIの認識および切断特性は、典型的には、「GGATG(9/13)」として表される。なぜなら、それは以下のように二本鎖DNAを認識して切断するからである:
【0055】
【数1−1】

【0056】
ここで、太字のヌクレオチドは、Fok Iの認識部位であり、Nは、任意のヌクレオチドお
よびそれらの相補物である。
【0057】
ヌクレアーゼは、その認識部位を有する複合体を形成した後に、標的ポリヌクレオチドの切断のみを行うということが重要である;そして好ましくは、このヌクレアーゼは、切断後に標的ポリヌクレオチド上に突出鎖を残す。
【0058】
ヌクレアーゼによる切断は、化学的ヌクレアーゼを用いて達成され得る(例えば、Sigmanら、Ann.Rev.Biochem.、59:207-236(1990);Le Doanら、Nucleic Acids Research、15:7749-7760(1987);米国特許第4,795,700号;Francoisら、Proc.Natl. Acad. Sci.、86:9702-9706(1989)などの文献によって開示される)。好ましくは、そのような実施態様は、切断部分に連結したオリゴヌクレオチド部分を含み、ここで、このオリゴヌクレオチド部分は、三重らせん形成によって連結複合体を認識する。特定の実施態様において所望されるように三重鎖の安定性を最大にするか、そうでなければ調節するために、適切な配列、方向、条件、ヌクレオシドタイプ(例えば、リボースまたはデオキシリボースヌクレオシドのどちらを用いるか)、塩基改変(例えば、メチル化シトシンなど)を選択するための詳細な指針が文献中にある(例えば、Robertら、Proc.Natl. Acad. Sci.、88:9397-9401(1991);Robertら、Science、258:1463-1466(1992);Distefanoら、Proc.Natl. Acad. Sci.、90:1179-1183(1993);Mergnyら、Biochemistry、30:9791-9798(1991);Chengら、J.Am.Chem.Soc.、114:4465-4474(1992);BealおよびDervan、Nucleic Acids Research、20:2773-2776(1992);BealおよびDervan、J.Am.Chem.Soc.、114:4976-4982(1992);Giovannangeliら、Proc.Natl. Acad. Sci.、89:8631-8635(1992);MoserおよびDervan、Science、238:645-650(1987);McShanら、J.Biol.Chem.、267:5712-5721(1992);Yoonら、Proc.Natl. Acad. Sci.、89:3840-3844(1992);Blumeら、Nucleic Acids Research、20:1777-1784(1992)など)。好ましくは、そのような化学的ヌクレアーゼは、切断後に突出鎖を生成し得るエキソヌクレアーゼとともに用いられる。現在の化学的ヌクレアーゼは、それらの切断部位が予想部位の周囲で変化することにおいて制限されるが、それらは、フィンガープリンティング、配列比較、および部分的な配列情報のみを必要とする他の使用においては用いられ得る。
【0059】
好ましくは、本発明に用いられるヌクレアーゼは天然のタンパク質エンドヌクレアーゼであり、(i)その認識部位はその切断部位から離れており、そして(ii)その切断は標的ポ
リヌクレオチド上の突出鎖になる。最も好ましくは、クラスIIs制限エンドヌクレアーゼ
が本発明においてヌクレアーゼとして用いられる(例えば、Szybalskiら、Gene、100:13-26(1991);Robertsら、Nucleic Acids Research、21:3125-3137(1993);およびLivakおよ
びBrenner、米国特許第5,093,245号に記載される)。本発明に使用する例示的なクラスIIsヌクレアーゼは、Alw XI、Bsm AI、Bbv I、Bsm FI、Sts I、Hga I、Bsc AI、Bbv II、Bce fI、Bce 85I、Bcc I、Bcg I、Bsa I、Bsg I、Bsp MI、Bst 71I、Ear I、Eco 57I、Esp 3I、Fau I、Fok I、Gsu I、Hph I、Mbo II、Mme I、Rle AI、Sap I、Sfa NI、Taq II、Tth 111II、Bco 5I、Bpu AI、Fin I、Bsr DI、およびそれらのアイソシゾマーを含む。好ましいヌクレアーゼは、Fok I、Hga I、Ear I、およびSfa NIを含む。
【0060】
好ましくは、ヌクレアーゼ切断工程の前に、通常は配列決定操作の開始時に、標的ポリヌクレオチドは、用いられるヌクレアーゼの認識部位および/または切断部位をブロックするように処理される。このことは、標的ポリヌクレオチド中の内部の位置にヌクレアーゼ認識部位が偶然に存在することによる標的ポリヌクレオチドの所望でない切断を防止する。ブロッキングは種々の方法(メチル化、および配列特異的アプタマー(aptamer)、DNA結合タンパク質、または三重鎖を形成するオリゴヌクレオチドによる処理を含む)で行われ得る。天然のタンパク質エンドヌクレアーゼが用いられるときはいかなる場合でも、用
いられるヌクレアーゼの同族(cognate)メチラーゼを用いて標的ポリヌクレオチドをメチ
ル化することにより、認識部位は便利にブロックされ得る。すなわち、全てではないがほとんどのタイプIIs細菌性制限エンドヌクレアーゼでは、その認識部位をメチル化する、
いわゆる「同族」メチラーゼが存在する。多くのそのようなメチラーゼが、Robertsら(
上記)、およびNelsonら、Nucleic Acids Research、21:3139-3154(1993)に開示され、そ
してそれらは種々の入手源、特にNew England Biolabs(Beverly,MA)から商業的に入手可能である。
【0061】
本発明に従うと、プローブが標的ポリヌクレオチドに連結されて連結複合体を形成した後、連結複合体はヌクレアーゼによって切断されて、拡大プローブと短縮標的ポリヌクレオチドとが得られる。このことは、プローブが、プローブの認識部位からプローブの末端までの距離がヌクレアーゼの認識部位から切断部位までの長さより短くなるように設計されているために起こる。すなわち、ヌクレアーゼは必然的に標的ポリヌクレオチドの領域内で切断し、それによって、図2に示すように、各サイクルにおいて1以上のヌクレオチドずつそれを短くする。逆に、各サイクルにおいて、プローブは、切断後に1以上のヌクレオチドがそれに付加されて、拡大プローブを形成する。図2では、連結複合体20は、Fok Iヌクレアーゼの認識部位22を有することが示されている。プローブの末端24は、Fok I切断部位26の1ヌクレオチド左隣である。従って、示された実施態様においては、連結は、標的ポリヌクレオチド上の末端チミジンの同定につながり、そして切断の結果、標的ポリヌクレオチドの各鎖は1ヌクレオチドずつ短くなる。切断によってプローブと一緒に除去されるヌクレオチド(プローブに付着したままになっている)は、拡大プローブを形成する。
【0062】
上述のように、本発明の方法は、好ましくは、以下の工程において行われる:(a)プロ
ーブを突出鎖を有するポリヌクレオチドの末端に連結して連結複合体を形成する工程であって、上記プローブは、上記ポリヌクレオチドの突出鎖に対して相補的な突出鎖を有し、そして上記プローブはヌクレアーゼ認識部位を有する、工程;(b)上記連結複合体から連結されなかったプローブを除去する工程;(c)上記ポリヌクレオチドの突出鎖中の1以上のヌクレオチドを同定する工程;(d)上記連結複合体をヌクレアーゼを用いて切断する工程;および(e)上記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されるまで工程(a)から(d)を繰り返す工程。標的ポリヌクレオチドの突出鎖中の1以上のヌクレオチドの同定は、行われる本発明の実施態様に応じて切断工程の前あるいは後のいずれかに行われる。切断前の検出は、複数の配列(単一の標的ポリヌクレオチドのセグメントまたは複数の異なる全ての標的ポリヌクレオチドのいずれか)(例えば、別々の磁気ビーズに付着しているか、または他のタイプの固相支持体に付着している)に関して配列決定が並行して行われる実施態様において、好ましい。切断の前または後のいずれかの検出は、標的ポリヌクレオチドの均質な集団(例えば、磁気ビーズのような固相支持体の集団で、全てに同一の標的ポリヌクレオチドが付着されている)が分析される実施態様において行われ得る。そのような場合には、他の因子が検出および切断の工程の順序を指示し得、この因子は、例えば、用いられる検出スキーム(配列決定反応が別々の反応混合物中で行われるかどうか、またはそれらが共通の混合物中で起こるかどうかなど)である。
【0063】
さらに好ましくは、この方法は、連結しなかったプローブが標的ポリヌクレオチドから洗浄された後にキャップ化工程を含む。キャップ化工程においては、ポリヌクレオチド合成との類似性によって(例えば、Andrusら、米国特許第4,816,571号)、プローブへの連
結を受けなかった標的ポリヌクレオチドは、次のサイクルのさらなる連結工程に対して不活性にされる。このようにして「段階外の(out of phase)」切断からの擬似シグナルは防
止される。ヌクレアーゼが標的ポリヌクレオチド上に5’ 突出鎖を残す場合には、キャ
ップ化は好ましくは、反応しなかった標的ポリヌクレオチドを4つのジデオキシヌクレオシド三リン酸、または他の鎖終結ヌクレオシド三リン酸の混合物、およびDNAポリメラー
ゼに曝すことにより行われる。DNAポリメラーゼは、1つの鎖終結ヌクレオチド(例えば
、ジデオキシヌクレオチド)により反応しなかった標的ポリヌクレオチドの3’鎖を伸長させ、それによって次のサイクルでそれが連結することが不可能になる。
【0064】
明らかに、当業者は、上述に示された実施態様の特徴を組み合わせて、本発明に従うが上述ではっきりとは示されていない、さらに別の態様を設計し得る。
【0065】
本発明の重要な局面は、「多重段階(multiple stepping)」、すなわち、標的ポリヌク
レオチドの配列を決定するために、連結部位から種々の距離で切断する複数のヌクレアーゼを同時に使用することである。種々のリーチを有する多くのヌクレアーゼの使用は、連結および切断の前または現サイクルに関与している配列をキャップすることによって、ならびに長いリーチのヌクレアーゼを用いる切断によりその突出鎖が露出されている標的ポリヌクレオチドの「新鮮な」セットに関して連結および切断の新しいサイクルを開始させることによって、配列決定プロセスを周期的に「再スタート」させることを可能にする。このようにして多くのヌクレアーゼを用いることにより、標的ポリヌクレオチドのセット上で決定され得るヌクレオチド数は、単一のヌクレアーゼによって行われ得る数より多くなり得る。
【0066】
多数のヌクレアーゼを用いることにおいては、標的ポリヌクレオチドの突出鎖を1つの形から別の形に転化し得るということが重要である。例えば、Fok I(−4標的ポリヌク
レオチドを残す)およびEarI(−3標的ポリヌクレオチドを残す)の両方を標的配列に適用する、すなわち、「2重段階」を希望し得る。以下により充分に記載されるように、これを行うためには、−4標的ポリヌクレオチドから−3標的ポリヌクレオチドへ、情報を失わずに転化することができなければならない。これは、以下の性質を有する転化プローブを提供することにより達成され得る:i)現行の標的ポリヌクレオチドの突出鎖と適合可能な、すなわち、逆並行の方向に同数のヌクレオチドを有する、突出鎖、ii)転化される
べきヌクレアーゼのヌクレアーゼ認識部位、およびiii)新しいヌクレアーゼの切断部位が2つの鎖の少なくとも1つの連結部位に対応するように選択されるスペーサー領域。好ましくは、転化プローブは、1つの鎖のみを連結させ、そして連結されていない部位、すなわちニック、の1つが、転化されるべきヌクレアーゼの切断部位に位置する。
【0067】
図3aから3hは、2つのヌクレアーゼが用いられる場合の本発明のこの局面を図式的に示している。ここで、第1のヌクレアーゼにより連結部位から10ヌクレオチドが切断され、そして第2のヌクレアーゼにより、連結部位から1ヌクレオチドが切断される。図に示されるプロセスは、2ヌクレアーゼより多い場合にも容易に一般化される。図3aにお
いて、プローブ34および36の混合物は、固相支持体32に付着している標的ポリヌクレオチド30に連結される。プローブ34は、長いリーチ(例えば、10ヌクレオチド)および短いスペーサー領域を有する第1のヌクレアーゼのヌクレアーゼ認識部位を含み、その結果、それが関連するヌクレアーゼは、標的ポリヌクレオチドを深く切断する。プローブ36は、標的ポリヌクレオチドの突出鎖(最初に第1のヌクレアーゼのために調製された)を、標的ポリヌクレオチドを1度に1ヌクレオチドずつ切断するために用いられる第2のヌクレアーゼに対応する突出鎖に転化する(必要ならば)。利用可能な適切な突出鎖とともに、第2のヌクレアーゼが、9サイクルの連結および切断、それに続くキャップ化工程に用いられて、標的ポリヌクレオチドの最初の9ヌクレオチドの正体を得る。図3bに示されるように、キャップ化配列38は、もはや連結および切断のサイクルには参加しない。この工程で生成されたキャップ化配列の数は、用いられる2つのプローブの混合物に依存し、順次、標的ポリヌクレオチドの長さ、プローブ上の標識の性質、用いられる酵素の連結および切断の効率などを含むいくつかの因子に依存する。次いで、標的ポリヌクレオチド41は、第1のヌクレアーゼによって40で切断され(図3cに示す)、標的ポリヌクレオチドの末端に適切な突出鎖を生成し、そして10番目のヌクレオチドの正体を得る。切断および洗浄の後、プローブ34および36の混合物は、非キャップ化標的ポリヌクレオチド42に連結され(図3d)、連結複合体を形成する。プローブ36を含む連結複合体は切断されて、それらが関与した標的ポリヌクレオチドの突出鎖を第2のヌクレアーゼに対応する突出鎖に転化し、その後、別の9サイクルの連結および切断が起こり、その後にキャップ化工程が続き、第2のセットのキャップ化配列44を形成する(図3e)。この一連のサイクルにおいて、ヌクレオチド11から19の正体が決定される。
【0068】
次に、標的ポリヌクレオチドは第1のヌクレアーゼによって46で切断され(図3f)、
標的ポリヌクレオチド48上に突出鎖を生成する。その後、プローブ34および36の混合物を標的ポリヌクレオチドに連結させて、連結混合物50を形成する(図3g)。プローブ36を
含む連結混合物は再び切断されて、それらが関与する標的ポリヌクレオチドの突出鎖を第2のヌクレアーゼに対応する突出鎖に転化し、その後、9サイクルの連結および切断が起こり、その後にキャップ化工程が続き、第3のセットのキャップ化配列52を形成する(図3h)。このセットのサイクルにより、ヌクレオチド21から29の正体が得られる。
【0069】
このプロセスは、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されるまで、あるいは、標的ポリヌクレオチドの残りの集団が小さすぎて検出可能なシグナルを生成しなくなるまで続く。
【0070】
本発明は、配列決定を自動的に行うためのシステムおよび装置を含む。そのようなシステムおよび装置は、いくつかの設計上の制約(i)標的ポリヌクレオチドを固定するために用いられる固相支持体の性質、ii)所望の並行操作の程度、iii)用いられる検出スキーム
、iv)試薬類は再利用するのかそれとも捨てるのか、などを含む)に依存して、種々の形
態をとり得る。一般に、この装置は、一連の試薬リザーバー、標的ポリヌクレオチド(好ましくは、固相支持体(例えば、磁気ビーズ)に付着している)を含有する1以上の反応容器、1以上の検出ステーション、および予め決められた方式で試薬を試薬リザーバーから反応容器および反応容器から検出ステーションに移すためのコンピューター制御手段を包含する。試薬を移し、温度を制御するためのコンピューター制御手段は、種々の一般用途用の実験室用自動装置によって行われ得る(Harrisonら、Biotechniques、14:88-97(1993);Fujitaら、Biotechniques、9:584-591(1990);Wadaら、Rev.Sci.Instrum.、54:1569-1572(1983)など、によって開示されている)。このような実験室用自動装置はまた市販されている(例えば、Applied Biosystems model 8000 Catalyst(foster City, CA))。
【0071】
本発明の異なる実施態様を実施するために種々のキットが提供される。一般に、本発明のキットは、ヌクレアーゼのために調整したプローブおよび特定の実施態様の検出スキームを含む。キットはさらに、ヌクレアーゼ試薬、連結試薬、および本発明の特定の実施態様を実施するための指針を含む。天然のタンパク質エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いる実施態様では、リガーゼ緩衝液およびヌクレアーゼ緩衝液が含まれ得る。いくつかの場合には、これらの緩衝液は同じであり得る。そのようなキットはまた、メチラーゼおよびその反応緩衝液、ならびにキナーゼおよびその反応緩衝液も含み得る。好ましくは、キットはまた、標的ポリヌクレオチドを固定するための固相支持体(例えば、磁気ビーズ)を含む。1つの好ましいキットにおいては、標的ポリヌクレオチドの異なる末端ヌクレオチドに対応するプローブが別個のスペクトル分離性蛍光色素を有するような、蛍光標識プローブが提供される。本明細書中で用いられるように、「スペクトル分離性」とは、色素がそれらのスペクトル特性(特に蛍光発光波長)を基にして操作条件下で識別され得ることを意味する。従って、1以上の末端ヌクレオチドの正体は、別個の呈色またはおそらく異なる波長での強度の比と相関する。より好ましくは、そのような4つのプローブは、4つのスペクトル分離性蛍光色素のそれぞれと標的ポリヌクレオチド上の4つの可能な末端ヌクレオチドとの間で1対1の対応をするように提供される。スペクトル分離性色素のセットは、米国特許第4,855,225号および5,188,934号;国際出願PCT/US90/05565;およびLeeら、Nucleic Acids Research、20:2471-2483(1992)に開示されている。
【実施例】
【0072】
実施例1
pUC19から増幅された
標的ポリヌクレオチドの配列決定
pUC19の368塩基対フラグメントを、テスト標的ポリヌクレオチドとして使用するために、PCRによって増幅する。コーディング鎖の5’末端ヌクレオチドは393位にあり、そしてコーディング鎖の3’末端ヌクレオチドは、740位にあり(Yanisch--Perronら、Gene、33:103-119(1985))、その結果、ポリリンカー領域がかかっている。5'-AGTGAATTCGAGCTCGGTおよび5'-xCCTTTGAGTGAGCTGATAの配列を有する2つの18マーのプライマーを用い、ここで、「x」は、アミノ結合基(amino linking group)、Aminolinker II(Applied Biosystems, Inc.、Foster City、California)であり、それに対してビオチン部分を、製造者のプロトコル、5'Biotin NIO-Label Kit(Clontech Laboratories、Palo Alto、California)を用いて結合させる。増幅された標的ポリヌクレオチドを単離し、そして製造者のプロトコル、Dynabeads Template Preparation Kit, with M280-streptavidin(Dynal, Inc.、Great Neck、NewYork)を用いて、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズ(Dynabeads)に付着させる。約300μgのDynabeads M280-Streptavidinに加えるために、十分な量のビオチン化された393塩基対のフラグメントを提供する。Dynabeadsに加えた後、標的ポリヌクレオチドをEcoRIで消化し、そして洗浄し、以下に示される4ヌクレオチドが突出している5’一リン酸化突出鎖、すなわち、−4標的ポリヌクレオチドを得る。
【0073】
【数1−2】

【0074】
下記の反応および洗浄は、他に指示がない限り、一般に、50μL容量の製造者(New England Biolabs')の推薦する用いられる酵素用の緩衝液中で行う。標準緩衝液もまた、Sambrookら、Molecular Cloning、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載されている。このテスト例においては、メチル化は必要ではないことを銘記されたい。なぜなら、標的ポリヌクレオチド中にはFokI認識配列が存在しないためである。
【0075】
以下の4セットの混合プローブを、標的ポリヌクレオチドへの添加のために提供する:
【0076】
【数2】

【0077】
ここで、TAMRA、FAM、ROX、およびJOEは、Aminolinker IIによって付着したスペクトル分
離性蛍光標識(全てApplied Biosystems, Inc.、Foster City、California、から入手可
能)であり;太字で示したヌクレオチドは、FokIエンドヌクレアーゼの認識部位であり、そして「N」は、4ヌクレオチドA、C、G、Tのうちの任意の1つである。TAMRA(テ
トラメチルローダミン、(tetramethyl rhodamine))、FAM(フルオレセイン)、ROX(ローダミンX)、およびJOE(2'7'-ジメトキシ-4'5'-ジクロロフルオレセイン)、ならびにそれらのオリゴヌクレオチドへの付着はまた、Fungらの米国特許第4,855,225号に記載されている。
【0078】
上記のプローブのそれぞれを、以下のように約5モル過剰の標的ポリヌクレオチド末端中で、順番に別々にインキュベートする:プローブを200単位のT4 DNAリガーゼおよび固
定された標的ポリヌクレオチドとともに50μLのT4DNAリガーゼ緩衝液中で60分間16℃でインキュベートする;洗浄後、次いで、標的ポリヌクレオチドを、製造者推奨緩衝液中で100単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼと共に30分間37℃でインキュベートし、洗浄し、そして200単位のT4DNAリガーゼおよび固定された標的ポリヌクレオチドとともに50μLのT4 DNAリガーゼ緩衝液中で30分間16℃で再度インキュベートする。洗浄を、磁気ビーズ支持体を磁石で固定して50μLの容量の洗浄緩衝液(例えばTE)を連続的に添加して除去することにより達成する(Sambrookら(上記)により開示されている)。連結−リン酸化−連結のサイクルおよび最終洗浄の後、ビーズを蛍光標識の存在に関して問い正す(interrogate)。そのようなインキュベーションの第4セット目に、JOEの特徴的な蛍光を検出し、そのことは、末端ヌクレオチドがAであることを示す。標識された標的ポリヌクレオチド、すなわち連結複合体を、次に、50μLの製造者推奨緩衝液中で10単位のFokIと共に30分間37℃でインキュベートし、続いてTEで洗浄する。結果として、標的ポリヌクレオチドは各鎖に関して1ヌクレオチド短くなり、そして次のサイクルの連結および切断に臨む。このプロセスを、所望の数のヌクレオチドが同定されるまで続ける。
【0079】
実施例2
−4突出鎖の−3突出鎖への転化
下記に示すEar I認識部位(太字で示す)および末端ヌクレオチドがリン酸化されてい
ない突出鎖(下側に示す)を有する転化プローブを用いて、−4突出鎖を−3突出鎖に転化する。この転化プローブを、実施例1に記載の条件を用いて標的ポリヌクレオチドの末
端に連結する:
【0080】
【数3】

【0081】
連結後、製造者の勧めるプロトコルを用いて複合体をEar Iで消化し、−3突出鎖を有す
る標的ポリヌクレオチドを得る:
【0082】
【数4】

【0083】
実施例3
−4突出鎖の−5突出鎖への転化
下記に示すHgaI認識部位(太字で示す)および末端ヌクレオチドがリン酸化されていない突出鎖(下側に示す)を有する転化プローブを用いて、−4突出鎖を−5突出鎖に転化する。この転化プローブを、実施例1に記載の条件を用いて標的ポリヌクレオチドの末端に連結する:
【0084】
【数5】

【0085】
連結後、製造者の勧めるプロトコルを用いて複合体をHgaIで消化し、−5突出鎖を有する標的ポリヌクレオチドを得る:
【0086】
【数6】

【0087】
実施例4
+2突出鎖の−5突出鎖への転化
下記に示すEar I認識部位(太字で示す)および末端ヌクレオチドがリン酸化されてい
ない突出鎖(下側に示す)を有する転化プローブを用いて、+2突出鎖を−3突出鎖に転化する。この転化プローブを、実施例1に記載の条件を用いて標的ポリヌクレオチドの末端に連結する:
【0088】
【数7】

【0089】
連結後、製造者の勧めるプロトコルを用いて複合体をEar Iで消化し、−3突出鎖を有す
る標的ポリヌクレオチドを得る:
【0090】
【数8−1】

【0091】
実施例5
二重段階:2つの制限エンドヌクレアーゼを用いる連結
による配列決定
異なるリーチを有する2つのヌクレアーゼ、Ear IおよびFok Iを同じ配列決定操作に用いる。手順を図3に示す。−4突出鎖を有するpUC19の368塩基対フラグメントを実施例1
に記載したように調製する。このフラグメントはEarI部位を含む(が、Fok I部位は含ま
ない)ので、標的ポリヌクレオチドを最初にEar Iメチラーゼで処理する(例えば、Nelsonら、Nucleic Acids Research、17:r398-r415(1989)の記載に従う)。その後、以下の2つのプローブ(プローブA:プローブB)の9:1の混合物を、約5モル過剰で標的ポリヌクレオチドと混合し、実施例1に記載のように連結、キナーゼ処理、および連結を行って、連結混合物の2つの集団を形成する:約10%が末端にプローブBを有し、そして約90%が末端にプローブAを有する。
【0092】
【数8−2】

【0093】
次いで、標的ポリヌクレオチドをEar Iで消化して、約10%の連結複合体を−3突出鎖を
有する標的ポリヌクレオチドに転化する。次いで、以下のプローブを、実施例1に記載のように、9サイクルの連結−リン酸化−連結/同定/切断に用い、最初の9ヌクレオチドの正体を得る。
【0094】
【数8−3】

【0095】
9回目の切断および洗浄の後、9サイクルの切断を受けた標的ポリヌクレオチドの亜集団を、4つのジデオキシヌクレオシド三リン酸存在下でDNAポリメラーゼを用いる処理によ
りキャップする。再度洗浄した後、標的ポリヌクレオチドをFokIで消化して、−4突出鎖を有する標的ポリヌクレオチドを得る。従って、この時点で、標的ポリヌクレオチドの元の集団の10%が9ヌクレオチド(平均して)短くかつキャップ化されており、そして90%が正確に9ヌクレオチド短く、そして続くサイクルの切断および連結に臨む。
【0096】
Fok Iで消化された標的ポリヌクレオチドに、上記のように、リガーゼ緩衝液中のプロ
ーブA:プローブBの8:1の混合物を添加する。これにより、ほぼ同じ量の標的ポリヌクレオチドが上記のようなEarI消化のために調製されることになる。あるいは、一定比のプローブA:プローブBを配列決定操作の間中用い得、それにより各連続したFok I消化
工程においてシグナルの強度が低くなるが、また、より長い配列を決定し得る。EarIを、製造者の推奨するプロトコルに従って得られた連結複合体の混合集団に添加し、亜集団を−3突出鎖を有する標的ポリヌクレオチドに転化する。Ear Iプローブを再び上記のよう
に9回適用して、ヌクレオチド10から18の正体を得る。このプロセスを、標的ポリヌクレオチドの90末端ヌクレオチドの正体が得られるまで、上記のように続ける。
【0097】
実施例6
pGEM7Zから増幅された標的ポリヌクレオチドの配列決定:
連結反応によるヌクレオチドの同定
この実施例では、プラスミドpGEM7Z(Promega、Madison、WI)のセグメントを増幅して、二本鎖DNAリンカー(このうち1方の鎖は、ビーズ上で直接合成される(従ってビーズに
共有結合的に結合している))を介してガラスビーズに付着させた。連結後の各配列決定サイクルでは、ビーズのアリコートを反応混合物から取り出し、連結複合体の非共有結合鎖を分析するためにゲル電気泳動カラムにのせた。非共有結合鎖が分析用の蛍光標識を常
に有するようにプローブを設計した。
【0098】
47マーのオリゴヌクレオチドを、標準的なDNA自動合成機のプロトコルを用いて、KF169
Ballotiniビーズ上で直接合成した。この47マーに対する相補鎖を別に合成し、HPLCによって精製した。ハイブリダイズした場合、得られた二重鎖はビーズとは遠位の末端にBstXI制限部位を有する。この相補鎖を以下の混合物中で付着47マーとハイブリダイズさせた
:200pmol/μlの25μlの相補鎖;この47マーを有する20mgのKF169 Ballotiniビーズ;6μlのNew England Biolabs #3制限緩衝液;および25μlの蒸留水。この混合物を93℃に加熱し、次いで、ゆっくりと55℃に冷却する。その後、40単位のBstXI(10単位/μl)を添加して反応容量を60μlにした。この混合物を55℃で2時間インキュベートし、その後ビーズをTE(pH8.0)で3回洗浄した。
【0099】
ビーズに付着されるべきpGEM7Zのセグメントを以下のように調製した:標準プロトコルを用いて2つのPCRプライマーを調製した:
プライマー1:5'-CTAAACCATTGGTATGGGCCAGTGAATTGTAATA
プライマー2:5'-CGCGCAGCCCGCATCGTTTATGCTACAGACTGTC-
AGTGCAGCTCTCCGATCCAAA
このPCR反応混合物は、以下からなった:1μlのpGEM7Z(1ng/μl);10μlのプライマー1(10pmol/μl);10μlのプライマー2(10pmol/μl);10μlのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(2.5mM);10μlの10×PCR緩衝液(Perkin-Elmer);0.5μlのTaqDNAポリメラーゼ(5単位/μl);および58μlの蒸留水で最終容量を100μlにした。この反応混合物を、93℃で30秒間;60℃で15秒間;および72℃で60秒間というサイクルを25回行って172塩基対の産
物を得、それを引き続きBbvI(100μlのPCR反応混合物、12μlの10×#1New England Biolabs緩衝液、8μlのBbv I(1単位/μl)を37℃で6時間インキュベートした)およびBst XI(Bbv I反応混合物に次のものを添加した:5μlの1M NaCl、67μlの蒸留水、および8μlのBst XI(10単位/μl)。得られた混合物を55℃で2時間インキュベートした)で消化した。
【0100】
上記反応混合物を、製造業者のプロトコルに従って、Centricon 30(Amicon, Inc.)スピンカラムに通した後、Bbv I/Bst XI制限フラグメントを、以下の混合物中でBallotiniビ
ーズに付着している二本鎖リンカーに連結した:17μlのBbvI/Bst XI制限フラグメント(10μg)、10μlのビーズ(20mg)、6mlの10×連結緩衝液(New England Biolabs、以下NEBという)、5μlのT4DNAリガーゼ(2000単位/μl)、および22μlの蒸留水。混合物を25℃で4時間インキュベートし、その後、TE(pH8.0)でビーズを3回洗浄して以下のポリヌクレオチドを配列決定のために得る:
...TCTGTAGCT
[BEAD]-- ...AGACATCGAATTT-5'
以下のプローブの鎖(標識された鎖には24ヌクレオチド、標識されていない鎖には18ヌクレオチド)を別々に標準的な方法を用いてDNA自動合成機(モデル392 Applied Biosystems、Foster City)で合成した:
【0101】
【数9】

【0102】
ここで、pは、一リン酸であり、NはA、C、G、またはTを示し、Qは、標識の付着のために保護アミノ基を有する分枝リンカー(例えば、Uni-Link Amino Modifier、Clontech Laboratories,Palo Alto,CAより入手可能)であり、そしてFAM、TAMRA、ROX、およびJOEを上記のように定義する。5.0×10pmolの各プローブをTE中で混合し、1000pmol/μlの濃度の混合物を作製した。
【0103】
連結を、5μlのビーズ(20mg)、3μlのNEB 10×リガーゼ緩衝液、5μlのプローブ混
合物、2.5μlのNEB T4 DNAリガーゼ(2000単位/μl)、および14.5μlの蒸留水からなる混
合物中で行った。この混合物を16℃で30分間インキュベートした後、ビーズをTE(pH8.0)
で3回洗浄した。切断を、5μlのビーズ(20mg)、3μlの10×NEB緩衝液#3、3μlのNEBFok I(4単位/μl)、および19μlの蒸留水からなる混合物中で行った。この混合物を37℃で30分間インキュベートし、その後TE(pH8.0)で3回洗浄した。
【0104】
各連結の後、連結複合体を有するサンプルのビーズを、672 GeneScanソフトウエア(Applied Biosystems)を用いるモデル373DNAシーケンサー上でのサイズ分析のために取り出した。システムからの読み出しは、4つの異なる色素で標識されたフラグメントについて異なる色の曲線を提供する(TAMRAには黒、FAMには青、JOEには緑、およびROXには赤)。6%変性(8M尿素)ポリアクリルアミドゲルを製造者のプロトコルに従って用いた。配列決定するフラグメントの分析のための製造者のプロトコルに従って、約0.5mgのビーズを4μlのホルムアミド添加緩衝液に入れた。サンプルを2分間で95℃まで加熱し、次いで、氷上で冷却し、その後全サンプルを1つのレーンにのせた。
【0105】
4サイクルの連結の結果を図4aから図4dに示す。図4aの曲線aは、標的配列の1番
目のヌクレオチドが正しくAと同定されたことを示す。1番目のヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの二本鎖部分に最も近い突出鎖中のヌクレオチドである。曲線sおよびsは、172および186ヌクレオチドサイズの標準である。図中の「b」によって示される非常に低い曲線は、リガーゼの忠実度が非常に高く、そこでは正しいヌクレオチド以外のプローブはほとんどあるいは全く連結されない、ということを示す。図4bの曲線cは、標的ポリヌクレオチドの2番目のヌクレオチドが正しくAと同定されたことを示す。図4aにおいてのように、ごく僅かの数のプローブのみが間違って連結された(「d」によっ
て示される)ことに注目されたい。図4cは、図4bの曲線cを図4aの曲線に重ね合わせたものである。これは、FokI消化後に予想されるように、曲線cが曲線aのそれより1ヌクレオチド短いフラグメントに相当することを示す。図4dは、サイクル2、3、および4で生成されたフラグメントに関するデータ(それぞれ曲線e、f、およびgで表される)を重ね合わせたものである。再度、連結の忠実度は非常に高く、そして各FokI消化後に起こる1ヌクレオチドのサイズの減少から予想されるように、曲線のピークは正しい順序にある。
【0106】
実施例7
pGEM7Zから増幅された標的ポリヌクレオチドの配列決定:
ポリメラーゼ伸長反応によるヌクレオチドの同定
この実施例では、プラスミドpGEM7Zのセグメントをビオチン化プライマーを用いてPCR
により増幅し、ビオチンによってストレプトアビジン化磁気ビーズに付着させる。各切断工程の後、得られた標的ポリヌクレオチドの突出鎖を鋳型として用いて、標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸の混合物の存在下でDNAポリメラーゼを用いて、陥凹鎖を1ヌクレ
オチドずつ伸長させた。次いで、伸長させた鎖を上記のようにゲル電気泳動によって分析した。
【0107】
PCR反応物を以下を混合することによって調製した:1μlのpGEM7Zプラスミド(1pg/μl)、1μlのB002ビオチン化プライマー(100pmol/μl)、1μlの-337プライマー(100pmol/μl)、20μlの10ヌクレオシド三リン酸(各三リン酸の2.5mMストック)、20μlの10×Taq緩衝液(Perkin-Elmer)、156μlの蒸留水、および1μlのTaq(2単位/ml)。このプライマーは以下の配列を有した:
B002: 5'-ビオチン-CCCGACGTCGCATGCTCCTCTA
-337: 5'-GCGCGTTGGCCGATTCATTA
上記のPCR混合物をPerkin-Elmer 9600サーマルサイクラー中で、以下の温度で25回サイクルした:94℃で1分間、52℃で1分間、および72℃で2分間。サイクルの後、反応混合物に10μgのグリコーゲンおよび100μlのクロロホルムを添加し、その後、水層を取り出し
て20μlの3MNaOAcおよび500μlのエタノールと混合した。得られた混合物を30分間微量
遠心機中で回転させ、沈澱を回収し、乾燥させ、50μlのHOに再懸濁した。ビオチン化DNAと混合する前に、ストレプトアビジン化磁気ビーズ(20μl)を100μlの2×ビーズ洗浄
液(1.0M NaCl、Tris、triton X-100)で3回洗浄し、次いで、10μlの2×ビーズ洗浄液に
再懸濁した。10mlのビオチン化DNA溶液をそのビーズに添加し、そして5分間撹拌してな
じませ、その後、ビーズを磁気でチューブの側面に引き寄せ、上清を除去して、ビーズを2×ビーズ洗浄液で2回および水で3回洗浄した。
【0108】
以下のようにしてFok Iを用いて切断することにより、付着標的ポリヌクレオチドの末
端に最初の突出鎖を生成した:ビーズに、44μlのHO、5μlの10×FokI緩衝液(New England Biolabs)、および1μlのFok I(New England Biolabs、4単位/μl)を添加した。この混合物を30分間インキュベートし、その後、上清を磁気ビーズから除いた。この最初の切断の後、3サイクルの伸長、連結、切り出し、および切断を以下のプロトコルに従って行った。各伸長の後、サンプルのビーズを反応混合物から取り出し、そして標的ポリヌクレオチドの標識された鎖を実施例6に記載のように分析した。
【0109】
ビーズを以下の混合物に添加することにより、標識ジデオキシヌクレオシド存在下でSequenase DNAポリメラーゼを用いて伸長反応を行った:17.0μlのHO、5.0μlの5×Sequenase緩衝液、2.5μlの10×Taq蛍光色素標識ターミネーター(Perkin-Elmer)、および1.0μlのSequenase 2.0(13単位/μl)。37℃で15分間インキュベートした後、タンパク質性の物質を50μlのフェノール/クロロホルムによって抽出し、その後、25μlのHOで戻し抽出(back extracted)した。混合された水性層を再度50μlのクロロホルムで抽出し、その後、水性層を取り出して5μlの3M NaOAcおよび125μlのエタノールと混合した。沈澱物を回収し、15分間微量遠心し、70%のエタノールで洗浄し、そして乾燥した。
【0110】
混合されたプローブを以下の違いを伴って実施例6に記載のように調製した:(i)プロ
ーブを標識しない。従って、1つの混合物のみの調製が必要である;そして(ii)3ヌクレオチドからなる突出鎖は、突出鎖中の3つの位置のそれぞれがA、C、G、またはT(すなわち、上記のように、それぞれが「N」)であり得る。連結を以下のように行った:乾燥DNAを含む0.5mlのチューブに、20.5μlのプローブ(100pmol/μl)、2.5μlの10×リガーゼ緩衝液(New England Biolabs)、2.0μlのリガーゼ(New England Biolabs、0.4単位/μl)を加えた。この混合物を1時間16℃でインキュベートし、その後、DNAを以下のように調製したスピンカラムで精製した:樹脂を800μlのHOで45分間膨潤させ、排出し、そして800rpmで2分間スピンした。
【0111】
標識ターミネーターを、Deep Vent DNAポリメラーゼの3'→5'エキソヌクレアーゼ活性
を用いて連結複合体から切り出した。同時に、ポリメラーゼがプローブの鎖の長さを伸長し、それによってジデオキシターミネーターの存在によって引き起こされたニックを修復する。この反応を以下を含むMicroAmpチューブ(Perkin-Elmer)中で行った:25.0μlのDNA、3.5μlの10×ヌクレオシド三リン酸(各1.25mM)、3.5μlの10×Vent緩衝液(New England Biolabs)、および2.0μlのDeep Vent DNAポリメラーゼ(2単位/μl)。この混合物を60分間80℃で油下でインキュベートし、その後、15mlのHOを添加し、混合された混合物を100μlのクロロホルムで抽出した。水性層を取り出して5μlの3M NaOAcおよび125μlのエタノールと混合し、その後、沈澱物を回収して15分間微量遠心し、70%エタノールで洗浄してそして乾燥した。
【0112】
Fok I切断を、DNAを21.5μlのHOに再懸濁し、そして2.5μlの10×Fok I緩衝液(New England Biolabs)および1.0μlのFokI(4単位/ml)を添加することにより行った。この混合物を15分間37℃でインキュベートし、その後、DNAを上記のように調製したスピンカラムにかけて精製した。
【0113】
結果を図5aから5cに示す。曲線の色はGeneScanソフトウエアによって着けられ、図中の顕著なピークは標的ポリヌクレオチド中の正しいヌクレオチドに対応した。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1a】図1aは、本発明の標識されたプローブの好ましい構造を示す。
【図1b】図1bは、プローブおよび標的ポリヌクレオチドの末端を示し、ここで、別個の標識工程が、標的ポリヌクレオチドの突出鎖において1以上のヌクレオチドを同定するために用いられる。
【図1c】図1cは、実施態様の工程を示し、ここで、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチドは、標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸存在下でポリメラーゼを用いて伸長させ、次いで、それらを切り出し、鎖を伸長させ、そして鎖を置換することにより同定される。
【図1d】図1dは、実施態様を図式的に示し、ここで、ヌクレオチドの同定は、標識された鎖終結ヌクレオシド三リン酸存在下でプローブ鎖をポリメラーゼ伸長させることにより行われる。
【図1e】図1eは、実施態様を図式的に示し、ここで、ヌクレオチドの同定は、標識されていない鎖終結3’アミノヌクレオシド三リン酸存在下でのポリメラーゼ伸長と、それに続く標識されたプローブの連結によって行われる。
【図1f】図1fは、5’突出鎖を有する標的ポリヌクレオチドの末端でのプローブの集結を示す。
【図1g】図1gは、3’突出鎖を有する標的ポリヌクレオチドの末端でのプローブの集結を示す。
【図2】図2は、連結複合体におけるヌクレアーゼ認識部位、連結部位、および切断部位の相対的な位置を示す。
【図3a】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3b】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3c】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3d】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3e】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3f】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3g】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図3h】図3aから3hは、本明細書中で「二重段階(double stepping)」という実施態様、または本発明に従って、2つの異なるヌクレアーゼを同時に用いることを図式的に示す。
【図4a】図4aから4dは、リガーゼを用いた連結を介したヌクレオチド同定の忠実度を示すデータを示す。
【図4b】図4aから4dは、リガーゼを用いた連結を介したヌクレオチド同定の忠実度を示すデータを示す。
【図4c】図4aから4dは、リガーゼを用いた連結を介したヌクレオチド同定の忠実度を示すデータを示す。
【図4d】図4aから4dは、リガーゼを用いた連結を介したヌクレオチド同定の忠実度を示すデータを示す。
【図5a】図5aから5cは、ポリメラーゼ伸長を介したヌクレオチド同定を示すデータを示す。
【図5b】図5aから5cは、ポリメラーゼ伸長を介したヌクレオチド同定を示すデータを示す。
【図5c】図5aから5cは、ポリメラーゼ伸長を介したヌクレオチド同定を示すデータを示す。(配列表)
【0115】
【数9−1】

【0116】
【数9−2】

【0117】
【数9−3】

【0118】
【数9−4】

【0119】
【数9−5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)プローブを、ポリヌクレオチドの末端に連結する工程であって、該プローブは、タイプIIs制限エドヌクレアーゼのヌクレアーゼ認識部位を有する、工程;
(b)標識されている、該ヌクレオチドに連結したプローブの同一性によって、または
標識された鎖末端化ヌクレオシドトリホスフェートの存在下で、核酸ポリメラーゼを用いて該ポリヌクレオチドまたは該プローブの鎖を伸長することによって、
該ポリヌクレオチドの末端で1以上のヌクレオチドを同定する工程;
(c)該プローブのヌクレアーゼ認識部位を認識するヌクレアーゼで該ポリヌクレオチドを切断して、その結果、該ポリヌクレオチドが、1以上のヌクレオチドの分だけ短くなる、工程:
(d)該ポリヌクレオチドのヌクレオチドが決定されるまで、工程(a)〜(c)を反復する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
二本鎖の核酸プローブであって、
第1のオリゴヌクレオチド鎖;
第2のオリゴヌクレオチド鎖であって、ここで、該第1のオリゴヌクレオチド鎖と第2のオリゴヌクレオチド鎖が、二重鎖形成領域において完全に適合した二重鎖を形成し、該第2のオリゴヌクレオチドが、該二重鎖形成領域に関して突出鎖を形成し、該突出鎖が、該突出鎖の長さの全ての可能なヌクレオチド配列を含む、第2のオリゴヌクレオチド鎖;および
該二重鎖形成領域内のタイプIIs型ヌクレアーゼの認識部位であって、該ヌクレアーゼ認識部位が、該二重鎖形成領域の外側に位置する切断部位を有する、
二本鎖の核酸プローブ。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1f】
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【図1g】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図1e】
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【公開番号】特開2006−197944(P2006−197944A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102592(P2006−102592)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【分割の表示】特願平7−525765の分割
【原出願日】平成7年3月24日(1995.3.24)
【出願人】(598114930)ソレクサ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Solexa,Inc.
【住所又は居所原語表記】3832 Bay Center Place, Hayward, California 94545 U.S.A.
【Fターム(参考)】