説明

殺ウイルス材料

本発明は、ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止する際の使用のための、一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;nが1、2、または3に等しく、およびXが(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;yが0、1、2、3、または4に等しい、化合物のナノ粒子の使用を提供する。ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止する際の使用のために繊維が上記ナノ粒子でコーティングされている防護衣用品またはフィルターが提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染の防止における金属および/または金属化合物のナノ粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
空気で運ばれるウイルス感染は一般に、ウイルス粒子を含む水分の液滴の吸入によって引き起こされる。ウイルスを含むより大きい液滴が鼻の中に堆積する一方で、より小さい液滴またはナノ粒子はヒトの気道または肺胞に運ばれる。図1に示されたようなSARSウイルスは、咳およびくしゃみによって産生されるおよそ100〜500nmのサイズの液滴によって拡大されるが、顔面汚染などの、その他の感染の経路が関与する可能性もある(Donnelly et al. Lancet, 361, 1761-1777, (2003)(非特許文献1))。したがって、濾過の観点から、ナノスケールのウイルスおよび粒子は、普通の顔面マスクの間隙を理論的に貫通することができる。現在の世界の超微細な人工または天然繊維フィラメントの直径は、およそ7マイクロメートルである。図2に示されたような標準的な顔面マスクは、繊維マット全体におよそ>20〜10μmの間隙を有する。
【0003】
したがって、伝統的な濾過布材料を用いた顔面マスクは、ナノスケールのウイルスを止めるには不適当である。顔面マスクの繊維間の間隙は、平均で10〜30μm(10,000〜30,000nm)である。より小さい繊維間隙があるマスクは呼吸困難を引き起こすと考えられる。その他のナノスケールの空気で運ばれるウイルスならびに煙および超微細塵のような粒子は、ヒトの肺に侵入し、その後呼吸膜を通って血液系に侵入することができる。健康への影響は主に、粒子のサブミクロンサイズの画分(すなわち、空気動力学的直径、dp、1μm未満)に関する。煙粒子による危険はdp<100nm画分であり、およびそのような小さい粒子は燃焼過程で大量に生成される。
【0004】
100nmよりも小さい粒子は、トリインフルエンザおよびHIVなどのヒトウイルスのサイズを含めた様々なサイズに及ぶナノ材料である。インフルエンザ(すなわち、SARSおよびH5N1ウイルス感染の結果)ならびにAIDSに対する世界的な懸念は今日、現代世界における十分に確認された問題であるが、ウイルス疾患の拡大を防止するのに役立つ解決策は今までのところ欠如している。しかしながら、ナノ材料は、ヒトがこれらの疾患を制圧するための極めて重要な解決策を提供する可能性がある。これらの伝染病に対処するために、解決策が緊急に必要とされている。
【0005】
ナノ粒子は、電子顕微鏡、例えば、透過型または走査型電子顕微鏡(TEMまたはSEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、X線光電子分光法(XPS)、粉末X線回折法(XRD)、およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって特徴付けることができる。
【0006】
ナノ粒子は、薬物物質の溶解度および/または生物学的活性を改善するための薬学的製剤において使用を見出している。薬学的目的または学術研究目的に加えて、ナノ粒子は医療目的にも用いられている。例えば、銀ナノ粒子は、細菌を殺すのに用いられている(Furno et al J. Antimicrob Chemother, 54(6), 1019-24(2004)(非特許文献2))。
【0007】
その他の研究により、銀、二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属、および炭素で調製されたナノメートル触媒の使用が記載されている(Fang et al Virologica Sinica, 20, 70-74(2005)(非特許文献3))。そのような触媒は、ナノメートルサイズの触媒粒子の露出表面が、主として(111)型の結晶平面を含む、支持されたナノメートルサイズの金属の触媒性結晶粒子組成物である。そのような触媒は、水素の解離吸着、表面反応、および再結合/脱着、様々な水素化、ならびにメタン化、カルボニル化、ヒドロホルミル化、還元アルキル化、アミノ化、ヒドロシル化、アンモニア合成、油または脂肪硬化、およびそれらと同様のものなどの関連反応を促進するために用いられている。しかしながら、金属または金属酸化物のナノ粒子それ自体が任意の殺ウイルス特性を有することができるという示唆はない。
【0008】
ウイルス学の分野におけるその他の研究により、コロイド粘土材料である、ベントナイトなどの材料の使用が調査されている。ベントナイトのナノ粒子が調製され、および殺ウイルス活性を有することが報告されている。しかしながら、本材料の複雑な性質のために、作用の機構が粒子サイズに関係があるのかまたは材料の固有の特性に関係があるのかということが明確でない(http://www.eswiconference.org-2005)。
【0009】
最近、ナノ微粒子銀の使用がウイルス複製を防止する薬剤として効果的であるという報告(www.nanoscale.com)がある。しかしながら、データは、材料それ自体の物理化学的特徴に対する使用された粒子のいかなる殺ウイルス有効性も示唆していない(Elechiguerra et al J. Nanobiotechnology 3(6)(2005)(非特許文献4))。しかしながら、銀の使用は、100%完全に効果的であるわけではなく、ならびに関連する費用および毒性問題がある。
【0010】
SARS、トリインフルエンザ、およびヒトインフルエンザのウイルス突発の衝撃は、現在の防御のレパートリーがウイルス感染に対していかに限定されているかということを示している。したがって、ウイルス粒子の伝染を防止するための改善された手段に対する必要性がある。
【0011】
【非特許文献1】Donnelly et al. Lancet, 361, 1761-1777, (2003)
【非特許文献2】Furno et al J. Antimicrob Chemother, 54(6), 1019-24(2004)
【非特許文献3】Fang et al Virologica Sinica, 20, 70-74(2005)
【非特許文献4】Elechiguerra et al J. Nanobiotechnology 3(6)(2005)
【発明の開示】
【0012】
本発明の第一の局面によって、ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止するための、一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の使用が提供される。
【0013】
ナノ粒子とは、ナノメートルの次元を有する粒子を意味し、ナノ粒子は、例えば、およそ数ナノメートル〜数百ナノメートルの次元を有してもよい。ナノ粒子は、任意の所与の1つもしくは複数のウイルスと同様のサイズまたは任意の所与の1つもしくは複数のウイルスよりも小さいサイズであってもよい。
【0014】
本発明による使用のためのナノ粒子は、約100nmまでの、約200nmまでの、約300nmまでの、または約500nmまでの平均粒子サイズを有してもよい。好ましい平均粒子サイズは、約1nm〜約90nm、好適には約5nm〜約75nmまたは約20nm〜約50nmの範囲にあってもよい。特に好ましい 平均粒子サイズ範囲は約20nm〜約50nmである。
【0015】
粒子の好ましい比表面積は、150m2/g〜約1450m2/g、好ましくは、200m2/g〜約700m2/gの範囲にあってもよく、好適な値は、150m2/g、640m2/g、700m2/gを含んでもよい。粒子中の空隙は、およそ0.1〜約0.8ml/g、好適には0.2〜約0.7ml/g、好ましくは約0.6ml/gであってもよい。
【0016】
ナノ粒子は乾燥粉末の形状であることが通常好ましいが、液体、ゾル-ゲル、またはポリマーだけでなく、ナノチューブの形状でもあり得る。粒子は、塊になっていてもよく、または自由に会合していてもよい。
【0017】
ナノ粒子は、一般式MnXyにおいてyが0に等しく、およびしたがってXが存在しない場合については単一元素Mを含んでもよく、またはナノ粒子は、yが1、2、もしくは3という値を有し、かつxが式中に存在する元素MおよびXのそれぞれの価数と一致したyの値に関してそれに応じて変化する場合には、上で規定されたような化合物を含んでもよい。
【0018】
あるいは、yが0に等しい場合の単一元素のナノ粒子は、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)、硫黄(S)、またはガリウム(Ga)からなる群より選択される1つまたは複数の元素でドープ処理されてもよく;アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銀(Ag)、または鉄(Fe)からなる群より選択される1つまたは複数の元素で合金されてもよい。
【0019】
例えば、混合ナノ粒子は、以下のような異なる元素から構成されていてもよい:C-P-Ag-Zn、C-P-Cu-S、C-P-Cu-Ni-S、C-Si-Ag-Zn、C-Si-Cu-S、C-Si-Cu-Ni、C-Cu-Zn-W、C-Cu-Zn-Ag、C-Cu-Zn-W-Ag、C-W-Ti-B、C-W-Ti-N、C-Ti-N、Si-N、Ti-N、Al-N、B-N、Al-B。
【0020】
ナノ粒子はまた、以下の酸化物のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい:TiO2、Cu2O、CuO、ZnO、NiO、Al2O3、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、もしくはSi2O3、またはその組み合わせ。
【0021】
一般式MnXyの好ましい化合物は、酸化物、カルボネート、シリケート、炭化物、窒化物、および/またはホスフェートであってもよい。
【0022】
例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、リン酸アルミニウム(すなわち、リン酸アルミニウム(AlPO4)、リン酸水素アルミニウム(A12(HPO4)3)、リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3))、酸化カルシウム(CaO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ケイ酸カルシウム(CaSiO4)、リン酸カルシウム(すなわち、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン酸水素カルシウム(CaHPO4)、もしくはリン酸二水素カルシウム(Ca(H2PO4)))、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、または炭窒化チタン(TiC0.5N0.5)。
【0023】
ナノ粒子はまた、内部コアおよび外部シェルを含む層状に重ねられた(コア/シェル)粒子として調製されてもよい。
【0024】
本発明のその他の態様は、ナノ粒子の混合組成物の使用を含んでもよい。それゆえ、例えば、混合組成物は、上のような一般式MnXyの1つもしくは複数の化合物(すなわち、少なくとも2つのそのような化合物)を含んでもよく、またはホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、硫黄(S)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ジルコニウム(Zr)、イッテルビウム(Yb)、ジルコニウム(Zr)、もしくはその酸化物もしくはその組み合わせからなる群より選択される付加的な元素をさらに含んでもよい。好ましい酸化物には、例えば、二酸化チタン(TiO2)または酸化ジルコニウム(ZrO2)が含まれてもよい。
【0025】
ナノ粒子の混合組成物は、銅(Cu)、酸化銅(II)(CuO)、および/または酸化銅(I)(Cu2O)であってもよい。ナノ粒子は、第一の局面に従って規定されるような一般式MnXyの化合物およびアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、もしくはニッケル(Ni)、またはその組み合わせのうちの1つまたは複数の混合組成物を含んでもよい。そのような態様において、ナノ粒子は以下を含んでもよい:
(i)アルミニウム(Al)および酸化アルミニウム(Al2O3)、
(ii)ケイ素(Si)および二酸化ケイ素(SiO2)、
(iii)ケイ素(Si)および炭化ケイ素(SiC)、
(iv)亜鉛(Zn)および酸化亜鉛(ZnO)、もしくは
(v)ニッケル(Ni)および酸化ニッケル(II)(NiO)
またはその組み合わせ。
【0026】
ナノ粒子は、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、および二酸化チタン(TiO2)のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
【0027】
上記のうちの1つより多くのナノ粒子の混合物はまた、本発明に従って調製および使用されてもよい。混合ナノ材料組成物は、例えば、タンブル混合(tumble-mixing)、共堆積、機械的合金化などの、任意の好適な方法によって産生されてもよい。
【0028】
したがって、本発明に従う使用はまた、混合酸化物、非化学量論的粒子にまで及ぶ。
【0029】
ナノ粒子合成は、2つの主な領域:気相合成およびゾル-ゲル処理を含むと考えることができる。ナノ粒子は、大気中の値より低い不活性ガス環境下で蒸発および凝縮(核化および成長)によって生成されてもよい。ナノ粒子の産生収率を改善するために、様々なエアロゾル処理技術が用いられてもよい。これらには、燃焼炎、プラズマ、レーザーアブレーション、化学蒸気凝縮、噴霧熱分解、電気噴霧、およびプラズマ噴霧による合成が含まれる。
【0030】
ゾル-ゲル処理は、ゲル化、沈殿、および熱水処置によってナノ粒子を生成するために用いることができる湿式化学合成アプローチである。半導体、金属、および金属酸化物ナノ粒子のサイズ分布は、ドーパント導入または熱処置のいずれかによって操作することができる。量子閉じ込め半導体ナノ粒子のより良いサイズおよび安定性制御は、逆ミセル、ブロックコポリマーまたはポリマーブレンドに基づくポリマーマトリックス構造体、多孔性ガラス、およびエクスサイチュー粒子キャッピング技術の使用を通じて達成することができる。
【0031】
その他のナノ粒子合成技術には、音響化学処理、(例えば、ピストンギャップ式ホモジナイザーを用いた)キャビテーション処理、マイクロエマルジョン処理、および高エネルギーボールミリングが含まれる。音響化学において、音響キャビテーション過程は、極端に高い温度勾配および圧力を有する一過性の限局されたホットゾーンを生成させることができる。温度および圧力のそのような突然の変化は、音響化学的な前駆体(例えば、有機金属溶液)の破壊およびナノ粒子の形成を助ける。
【0032】
流体力学キャビテーションにおいて、ゾル-ゲル溶液内部での気泡の創出および放出を通じてナノ粒子を生成する。超臨界乾燥チャンバーで急速に加圧しかつキャビテーションによる撹乱および高温加熱に曝露させることによって、ゾル-ゲル溶液を混合する。噴出した流体力学的泡は、ナノ粒子の核化、成長、およびクエンチングを招く。キャビテーションチャンバーにおける圧力および溶液保持時間を調整することによって、粒子サイズを制御することができる。
【0033】
金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、シリカナノ粒子、硫酸バリウムナノ粒子、磁気ナノ粒子、および超伝導ナノ粒子の合成にマイクロエマルジョンを用いることができる。コサーファクタント(例えば、中間鎖長のアルコール)の添加を通じて非常に低い界面張力(約10-3mN/m)を制御することによって、著しい機械的撹拌を必要とせず自然にこれらのマイクロエマルジョンが生成される。本技術は、比較的単純でかつ安価なハードウェアを用いたナノ粒子の大規模産生に有用である。高エネルギーボールミリングは、磁気ナノ粒子、触媒ナノ粒子、および構造ナノ粒子の生成に用いられている。
【0034】
遠心分離沈殿または移動度分類によるサイズ選択が必要でないほどにサイズ変動が非常に小さい単分散ナノ粒子の制御された生成を達成することが多くの場合重要である。上で考察された全ての合成技術の中で、気相合成は、核化-凝縮成長の厳密な制御ならびに拡散および撹乱による凝固の回避の組み合わせを用いることによってだけでなく、ナノ粒子の効果的な回収およびその後のそれらの取扱いによっても典型的に達成される、サイズ単分散度に関して最良の技術のうちの1つである。液体分散中でナノ粒子を回収することによって、集塊化、焼結、および組成変化に対する回収されたナノ粒子粉末の安定性を確実にすることができる。サーファクタント分子は、金属ナノ粒子の液体分散を安定化させるために用いられている。あるいは、気相反応によるおよびコロイド溶液中での酸化によるナノ粒子の不活性シリカカプセル化が金属ナノ粒子に効果的であることが示されている。
【0035】
サイズ分類手順の使用を必要としない単分散ナノ粒子の生成のためのアプローチが開発されている。デンドリマーの存在下でのUV照射による金属塩の還元によって、約1nmの直径の単分散金コロイドナノ粒子を調製することができる。より高世代の表面アミノ基を持つポリ(アミドアミン)デンドリマーは、金ナノ粒子の形成のための効果的な保護作用を有し得る、球状の3D構造を有する。
【0036】
これらの材料の産生に好適である1つの産生法は、高温DCプラズマを用いて不活性ガスエンベロープ内にプラズマを発生させるTesima(登録商標)過程(国際公開公報第01/78471号および第01/58625号に記載)である。材料(事前に産生されたフィードストックもしくは混合フィードストックのいずれか)、または液体を、プラズマの中に置き、それらを非常に急速に蒸発させることができる。その後、結果として生じる蒸気は、後にそれが大量の冷却ガスで冷却されるプラズマから出る。これらのガスは不活性であることができる(アルゴンもしくはヘリウムなど)か、もしくは空気であることができるかのいずれかであり、または必要とされている化学的性質/形態/サイズを発達させるための微量成分を有することができる。その後、急速冷却(1秒につき100,000度を越える)が、固形または布フィルター、サイクロン、および液体系を含むことができる技術の組み合わせを用いたその後の冷却および回収のために粒子を凍結させる。材料を不活性ガス下で容器の中かまたは様々な液体の中かのいずれかに直接回収することもできる。
【0037】
本発明のある態様において、不活性ガスエンベロープ内でのプラズマの発生ならびに1つもしくは複数の元素または1つもしくは複数の元素の化合物、あるいはその混合物を含む物質および/または液体のプラズマへの挿入、それに続くプラズマから出る時の結果として生じる蒸気のガス冷却を含む過程によってナノ粒子を調製する。
【0038】
ウイルス伝染の減少および/または防止を、本明細書において規定されたようなナノ粒子の組成物のウイルスの調製物への投与後の少なくとも90%のウイルス力価の減少と規定してもよい。好ましくは、ウイルス力価の減少は、少なくとも93%、94%、または95%、最も好ましくは、98%、99%、または100%である。ウイルス伝染の減少および/または防止は、ナノ粒子との接触時のウイルスの不活化によって証明される。
【0039】
70%またはそれ未満のウイルス力価の減少は、感染を回避するのに十分な効果的な減少ではない。本発明は、著しい程度まで感染が防止または回避されるようにウイルス力価を減少させるための手段を提供する。
【0040】
ウイルス力価は、所与の試料中のウイルス粒子の数の定量である。それは赤血球凝集アッセイ(HA)を用いることによって行なわれてもよい。ウイルスファミリーは、動物赤血球(RBC)を凝集させおよびRBCの細胞表面上のN-アセチルノイラミン酸残基に結合することができる表面またはエンベロープタンパク質を有する。RBCは、ウイルス結合の後に、定量化することができる一種の格子を形成する。
【0041】
HA手順は、簡単で、単純で、かつ迅速な方法であり、および大量の試料に適用することができる。詳細な条件は、ウイルスの種類による。ウイルスの中には、あるpH値でのみRBCに結合するものもあれば、あるイオン強度で結合するものもある。しかしながら、これらは当業者に周知であり、および問題になっているウイルスに応じて容易に確認することができる。ウイルス希釈を、適当な条件下で好適な期間、RBC希釈に適用する。その後、格子の形成を計測しおよび力価を算出する。
【0042】
本発明は、ウイルスのウイルス力価を減少させるための手段を提供し、好ましくは、ウイルスは、インフルエンザ、麻疹、コロナウイルス、おたふく風邪、マールブルグ、エボラ、風疹、ライノウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎、天然痘、水痘、重症急性呼吸器症候群ウイルスまたはSARSウイルス(SARSコロナウイルスとも称される)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ならびに、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、およびアデノウイルスなどの関連する非ヒト動物免疫不全レトロウイルスからなる群より選択される。ノーウォークウイルスには、その代用のネコカリシウイルスが含まれる。インフルエンザウイルスには、ヒト型およびトリ型両方のウイルスが含まれる。
【0043】
したがって、本発明はまた、抗ウイルス剤としての使用のための上記のようなナノ粒子を含む組成物を提供する。ナノ粒子は、適当な担体、コーティング剤、または水、メタノール、エタノール、アセトンなどの溶媒、ポリビニル酢酸(PVA)などの、水溶性ポリマー接着剤、エポキシ樹脂、ポリエステルなどだけでなく、架橋剤、帯電防止剤の中にも好適に製剤化されてもよい。また、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または模擬生体液(SBF)などの生物学的材料の溶液が用いられてもよい。
【0044】
溶液中のナノ粒子の濃度は、0.001%(wt)〜約20%(wt)の範囲であってもよい。
【0045】
本発明のこの局面のある態様において、ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止するための、一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、または2に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3-)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、または3に等しい、
化合物の100nmまでの平均粒子サイズのナノ粒子の使用が提供される。
【0046】
ウイルス伝染の減少および/または防止には、第一の場所から第二の場所への、例えば、外部の空間から内部の内腔へのウイルス伝染の防止、または障壁材料を通したウイルス伝染の防止に加えて、対象のウイルスによるウイルス感染の防止が含まれる。対象は、ヒトまたは非ヒト動物であってもよく、好適には非ヒト哺乳動物である。したがって、本発明は、ウイルス伝染に対する予防薬などの、非医療の文脈における感染制御の分野だけでなく、ヒト医薬および動物獣医薬の分野での適用での適用も見出し得る。
【0047】
本発明の第二の局面によって、上で規定されたようなナノ粒子の組成物を防護衣用品に適用する工程を含む、ウイルス伝染の減少および/または防止のための方法が提供される。
【0048】
本発明のこの局面に従って使用されるナノ粒子は、上記のような組成物の中に製剤化されてもよい。
【0049】
コーティング過程は、例えば、噴霧コーティング、電気噴霧コーティング、ディッピング、プラズマコーティングなどの、任意の一般に好適な手段によるものであってもよい。
【0050】
そのような防護衣用品は、天然または人工繊維などの、任意の好適な繊維または布から調製されてもよい。天然繊維には、綿、羊毛、セルロース(紙材料を含む)、絹、毛、ジュート、麻、サイザル麻、亜麻、木材、竹が含まれる。人工繊維には、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ケブラー(登録商標)、リヨセル(テンセル(登録商標))、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリメチルメトアクリレート、ポリ(カルボキシラートフェノキシ)ホスファゼンPCPP、繊維ガラス(ガラス)、セラミック、金属、炭素が含まれる。衣用品は、顔面マスク(手術マスク、レスピレーターマスク)、帽子、フード、ズボン、シャツ、手袋、スカート、ボイラースーツ、手術衣(スクラブ)などからなる群より選択されてもよい。そのような衣類は、感染の制御が重要である病院での特定の使用を見出し得る。
【0051】
本発明の第三の局面によって、上で規定されたようなナノ粒子の組成物をフィルターに適用する工程を含む、ウイルス伝染の減少および/または防止のための方法が提供される。ナノ粒子の組成物の適用は、本発明の第二の局面に関連して記載されたようなものであってもよい。
【0052】
フィルターは、本発明の第二の局面に関連して上で記載されたような任意の好適な天然または人工材料から調製されてもよい。
【0053】
フィルターはエアフィルターであってもよい。エアフィルターは、空気から汚染物、多くの場合固形粒子を除去する装置である。エアフィルターは、潜水用エアコンプレッサー、換気システム、および空調設備の中などの、空気の質が重要である任意のその他の状況で多くの場合使用される。エアフィルターには、ウイルス材料を取扱うための器具またはチャンバーだけでなく、建物または部屋などの囲まれた空間の中の空気も濾過する装置が含まれる。したがって、カーテンまたはスクリーンなどの防護的機能を果たすその他の用品もエアフィルターと考えてもよい。したがって、本発明のこの局面によるエアフィルターも、本発明の第二の局面によって調製されてもよい。
【0054】
エアフィルターは、紙、フォーム、綿フィルター、または紡績した繊維ガラスフィルター要素から構成されていてもよい。あるいは、エアフィルターは、静電電荷を持つ繊維または要素を用いてもよい。4つの主な種類:紙、フォーム、化学合成物質、および綿の機械エアフィルターがある。
【0055】
家庭暖房、換気、および空調(HVAC)システムと共にダクトの中で使用するために設計されたプリーツ紙エアフィルターの例は、3M「フィルタレット」製品である。
【0056】
ポリエステル繊維を用いて、空気濾過に使用されるウェブ形成を行なうことができる。ポリエステルを綿またはその他の繊維とブレンドし、幅広い範囲の性能特徴を産生することができる。場合によって、ポリプロピレンを用いてもよい。ミクロ繊維として公知のとても小さい合成繊維を多くの種類のHEPA(高効率微粒子エアフィルター)フィルターで用いてもよい。高性能エアフィルターは、綿ガーゼの油脂加工した層を用いてもよい。
【0057】
あるいは、フィルターを用いて液体を濾過してもよい。そのようなフィルターは、上記のような任意の好適な繊維から構成されていてもよい。液体を濾過するのに用いられるフィルターを用いて、ヒトもしくは動物による消費用の飲用液体、通常の家庭使用のための水、血漿もしくは生理食塩水溶液などの、医療使用のための流動物、注射用の薬学的製剤、または患者と接触するようになり得るその他の生物学的液体を濾過してもよい。
【0058】
本発明の第四の局面によって、上記のようなナノ粒子の組成物でコーティングされている繊維で構成された防護衣用品が提供される。防護衣用品は好適には顔面マスクであってもよい。そのようなマスクは、使用者の顔全体またはその一部、好適には着用者の鼻および/または口の外部領域を覆ってもよい。
【0059】
本発明の第五の局面によって、上記のようなナノ粒子の組成物でコーティングされている繊維で構成されたフィルターが提供される。好適にはフィルターはエアフィルターであってもよい。
【0060】
防護衣用品またはフィルターに関する本発明の局面において、防護衣用品またはフィルターは、上記のような任意の供給源由来の混合繊維から作られ得るということが留意されるべきである。
【0061】
本発明の好ましい態様において、本明細書において規定されたようなナノ粒子組成物でコーティングされている繊維性材料から構成された顔面マスクまたはフィルターが提供される。
【0062】
本発明は、ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止するための酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO2)の混合ナノ粒子の使用も提供する。本発明のそのような混合ナノ粒子はまた、上記のような方法において、または上記のようなフィルター、もしくは上記のような防護衣用品において使用されてもよい。
【0063】
本発明の第二のおよびその後の局面についての好ましい特色は、必要な変更を加えた第一の局面についてのものと同様である。
【0064】
本発明はこれから、例証のみの目的のために提供されかつ本発明を限定するものとしてみなされるべきではない以下の実施例および図に関してさらに記載される。多くの図に対して実施例の中で参照する。
【0065】
実施例1:ナノ材料の抗ウイルス特性に関する予備的研究
試料中に存在するインフルエンザウイルス、ヘマグルチニン(HA)抗原の量を定量するために、HA手順を用いた生物学的評価を通じて、60を超える異なる材料をスクリーニングした。
【0066】
材料:
96UウェルまたはV底マイクロタイタープレート
七面鳥赤血球(TRBC)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
50mlピペット
使い捨てピペットチップ
【0067】
方法
1、マイクロタイタープレートの列2〜12の全てのウェルに50ml PBSを添加する。
2、最初のウェルにPBSを添加し、量は必要とされる試料の希釈剤による。
3、ウイルス試料処置:約0.1から1%のナノ粒子または試験材料を含む水溶液または懸濁を添加する。
4、適当な容量中の試料を最初の列のウェルに添加する(各試料および希釈範囲は2つ組で行なうべきである)。
5、列1〜11にプレートを横断して試料を希釈する。
6、PBS中で0.5% TRBC溶液を作る。
7、使用されている全てのウェルおよび列12(RBC対照)に50mlの0.5% TRBCを添加する。
8、TRBCの均一な分布を促進するためにプレートをミキサープラットフォームの上に30秒間置く。
9、定着させるためにプレートを室温で30分間放置する。
10、プレートを読み取る。
11、プレートを以下のように読み取りかつ等級分けするべきである。
【0068】
否定的な結果
ウェルの底でペレットが形成されるはずである。プレートを45°まで傾斜させた場合、TRBCがゆっくりと下に移動するにつれて、ペレットは縞を形成するはずである。これは、TRBCを架橋するのに十分な量のウイルスウイロン(viron)がないことを示す。
【0069】
肯定的な結果
TRBCが凝集しおよびウェル全体に拡散したマトリックスを形成する場合、肯定的な結果が見られる。これは、TRBCを架橋するのに十分な量でウイルスウイロンが存在することを示す(図4に示されたような2つの検査プレート)。
【0070】
ウイルスの力価がTRBCとの関連で比較的高い場合、崩壊した赤血球凝集が起こる可能性がある。これは、ウェルの底のペレット上に現れることができるが、傾斜プレートでは、それはその場に残る。仮にこれが起こるならば、より低い力価を用いてアッセイを繰り返すことが賢明である。
【0071】
アッセイの終点は、赤血球凝集を依然として引き起こすウイルスの最低の縮小(最高の希釈)として規定される。
【0072】
ウイルスの力価を赤血球凝集単位(HAV)として記録しおよびウェルの終点での希釈と直接関連付ける。
【0073】
実施例2:異なる天然および人造材料を用いた赤血球凝集アッセイ
これを検査するために、HAアッセイを用いて、天然および人造ナノ材料に対するウイルス反応のスクリーニングを開始した。目的は、インフルエンザおよびSARSを防御するためにウイルスを不活化するのに最も効果的なナノ材料を同定および分類することであった。標準的なA/B型インフルエンザウイルスを無力化または不活化する特別な特性を保有する幾つかの天然および人造ナノ材料を同定した。
【0074】
検査では、異なる材料を検査するために、ニートウイルスB/GD AL444、VCI/256、およびその他のインフルエンザウイルスを用いた。
【0075】
ニートHA(NHA):室温で1/512、37℃で1/256〜1/512;材料に対するウイルス反応はウイルス力価の減少%として示されている(ウイルス-材料滴定-VTMHA)。検査の間、ウイルス溶液を材料と混合した後、混合物を室温20℃でまたはインキュベーターにて30分間37℃で放置した。20よりも多くの元素のナノ粒子およびそれらの化合物がこれまで検査され、それらのうちの幾つかは、90%を越える殺ウイルス率を得ている。60を越える試料のうちの12がHA検査されたということが表1に示されている。
【0076】
予備的なB/GDウイルス反応検査の結果の1つは、少しの割合のナノ材料を添加することによるHAアッセイでのウイルス量の減少であった。これらの結果は、ウイルス活性の減少を示している。ナノ材料のうちの幾つかは、赤血球に結合するウイルスの能力を完全に無力化/不活化することができた。
【0077】
図5および図6は、表1および表2に関連した異なる金属、金属酸化物、およびそれらの化合物のナノ粒子を添加することによるウイルスレベル変化(%)の検査結果を示す。
【0078】
(表1)抗ウイルス剤としてナノ材料を用いたHA検査結果

ナノ材料によって産生されたウイルス力価の減少が70%未満である場合、ナノ材料は抗ウイルス効果を有さないと見なされた。
【0079】
A型:ナノAl、ナノAl2O3、および関連化合物。
B型:ナノSi、ナノSiO2、および関連化合物。
C型:ナノSiCおよび関連化合物。
D型:ナノZn、ZnO、および関連化合物。
E型:ナノCu、CuO、CuO2、および関連化合物。
F型:ナノAgおよびその関連化合物。
G型:ナノNi、およびNiO2、ならびに関連化合物。
H:ナノベントナイト粒子。
I:ナノTiO2関連材料。
【0080】
(表2)抗ウイルス剤(抗ウイルスナノ合成物)としてナノ材料を用いたHA検査結果

【0081】
HAアッセイ結果の解析
インフルエンザ/SARSウイルスと相互作用することができる顔面マスクおよびフィルター用の新規の材料を見出すために、生物学的アッセイを用いたナノ材料に対するウイルス反応のスクリーニングに着手した。標準的なインフルエンザウイルスを無力化または不活化する特別な特性を保有するナノ材料を同定した。短期の検査は、潜在的なナノ材料をスクリーニングしおよび顔面マスクおよびフィルターの用途でウイルスを不活化するのに使用されるべき最も効果的な材料を分類することに集中した。
【0082】
理論に束縛されないが、親水性かまたは疎水性か(または同時に両方か)のいずれかであり得る小さいサイズでかつ高度に活性化されたナノ粒子(SiO2など)、ウイルスと同じサイズであるナノTiO2粒子、金属粒子(Au、Cu)、およびセラミック粒子(SiC、Al2O3)がウイルスによって取り込まれる可能性があるということが、現在の仮定である。
【0083】
ナノ材料の強い表面機能性は動物細胞のウイルスとの相互作用を模倣する可能性がある。
【0084】
本研究は、殺ウイルス剤としての使用のためのナノ粒子の使用を探求し、および具体的にウイルスを吸収するためのコーティング材料を開発するための標的として最も効果的なナノ粒子を同定した。抗ウイルスナノ粒子でコーティングされた低価格の顔面マスクは、誘引または接触によってウイルスを止める可能性があるが、重大なことにその後ウイルスの不活化を提供すると考えられる。100nmよりも小さいナノ材料は抗ウイルス活性の点でより効果的であるということが観察されている。SEM観察された抗ウイルスナノ粒子でコーティングされた1本の繊維を図7に示す。粒子は異なるナノ材料および化合物の混合物である。本発明によるナノ材料を、公共の建物、病院、ならびに乗り物、車、列車、船、および飛行機などの輸送の様式のための囲まれた換気布に適用することができる。ナノ粒子はまた、材料を濾過する工程、すなわち、ウイルスを不活化するための、血漿、血液、乳、精液などのような生体液の濾過などの、医療適用での使用を見出すと考えられる。
【0085】
抗ウイルス特性を持った製品を産生するために、抗ウイルスナノ粒子を、布および備品、塗料/コーティング剤、ブックカバー、コンピューターのキーボードなどの異なる製品の表面にコーティングしてもよい。そのような製品は、病院、子供、患者、および高齢者に低価格でウイルスのない環境を提供するであろう。さらなる使用として、ナノ粒子ならびに空気で運ばれるインフルエンザウイルスおよびその他の感染性ウイルスの侵入および出口を防ぐための、旅客機、大型バス、および大型車などの囲まれた環境用の空気換気システムが含まれてもよい。
【0086】
ナノ材料に対する予備的なB/GDウイルス反応の1つは、少しの割合のナノ材料を添加することによるHAアッセイでのウイルス量の減少を示し、それによってウイルス伝染を防止するためにどのようにしてナノ材料を使用し得るかということが示されている。材料のうちの幾つかは、HAアッセイで赤血球に結合するウイルスの能力を完全に無力化/不活化することができる。
【0087】
B/GDウイルススクリーニングの予備的な結果により、少しの割合(<1%)のナノ材料または化合物を添加することによるHAアッセイでのウイルス量減少が立証された。
【0088】
金属および金属酸化物でコーティングされ得るリン酸カルシウムなどの無機ナノ化合物、ならびにSiCなどのセラミックス、アルミナ、ナノAg、Cu、Zn、Al、ナノスケールのCuO、Cu2O、Al2O3、TiO2、ナノZnOなどのような金属および金属酸化物などの異なるナノ粒子を添加したウイルスレベル変化(パーセンテージで)の検査結果。表3および表4に示されたようなC-P-Ag-Zn、C-P-Cu-S、C-P-Cu-Ni-S、C-Si-Ag-Zn、C-Si-Cu-S、C-Si-Cu-Niなどの混合元素群を含むナノ化合物などの、金属および金属酸化物でコーティングされた無機化合物およびミネラル化合物の組み合わせの複合ナノクラスターも本発明の一部である。
【0089】
現在の結果により、銀などのその他のナノ材料より優れた改善された抗ウイルス活性があるナノ材料の組が同定されている。本学術研究により、ナノスケールのクラスター(例えば、QinetiQ Nanomaterials Limitedなどの製造業者から入手可能なナノ粒子材料など)、無機化合物/有機化合物のナノ粒子の組み合わせ、ミネラル化合物を産生し、かつ金属および金属酸化物でコーティングされた、各々のナノ材料のうちの多数の材料の使用の利点も示されている。
【0090】
本結果は、多くの種類の化合物材料:ナノAg(不良)、TiO2(不良)、ZnO(良好)、アルミナ(良好)、ならびに全てが90%を超える殺ウイルス率を示す、リン酸AlなどのAl関連化合物、CuおよびCu関連酸化物および化合物、リン酸Ca、ケイ酸Ca、および炭酸CaなどのCa2+関連化合物、SiO2およびSiCなどのSi関連化合物、ならびにリン酸AlなどのP関連化合物、ならびに活性炭素に加えて、20のナノ粒子が検査されたということを示している。
【0091】
例えば、異なるインフルエンザウイルスおよびSARSウイルスに対処するための化合物のクラスターを用いて、多数のウイルスの伝染および潜在的なウイルス汚染に対処するために、本発明による多元素多酸化物の化合物および混合物を用いてもよい。
【0092】
(表3)抗ウイルス適用での使用のための材料

【0093】
(表4)抗ウイルス適用のための材料の組み合わせ

【0094】
実施例3:トリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスに対するナノ粒子の殺ウイルス効力に関する予備的研究
この実施例は、MDCK細胞を用いたトリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスに対する検査ナノ材料の殺ウイルス効力を検査するための研究の結果を示している。検査において、異なる材料を検査するために、トリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスを用いた。
【0095】
「反応混合物」中の検査されたウイルスの量は、106.5TCID50/ml(Tissue Culture Infective Unit、組織培養感染単位)であった。ウイルスに対するナノ材料の影響はウイルス力価の減少(%およびLog10 TCID50/ml)として示されている。蒸留水中でウイルスを希釈した(卵の中で増殖した107.5TCID50/mlウイルスのストックからの1:10希釈)。その後、ナノ材料にウイルス(200ul)を添加して「反応混合物」を形成させた。反応混合物(ナノ材料およびウイルス溶液)を室温(20℃)で軽くボルテックス(5秒間混合)し、その後ナノ材料のウイルス粒子との絶え間ない接触を確実にするためにプレートシェーカーの上で振盪しながら、室温でさらに30分間インキュベートした。
【0096】
HAアッセイで先に検査された最も見込みのある材料から殺ウイルス作用の解析用に8つの検査ナノ材料を選択した。30分のインキュベーションの終わりに、反応混合物を遠心分離してナノ材料をウイルスから分離し、その後MDCK細胞に感染させるための準備として細胞維持培地に添加(1:10の比で)した。その後、MDCK細胞に対する反応混合物の連続希釈を作ることによってウイルスを定量し、「感染」力価(Log10 TCID50/ml)を作成した。アッセイの性能について調べるために、「陰性対照」(ナノ材料をウイルスと混合しなかった)およびクエン酸の「陽性対照」(およそ3.5のpHの溶液)を使用した。
【0097】
結果
これらの結果は、殺ウイルス実験からのウイルス活性の減少を示している。検査ナノ材料のうちの幾つかは、良好な殺ウイルス効力およびアッセイの検出可能限界より下の減少したウイルス感染性を示した。ナノ材料の各々を含む反応混合物と陰性対照(ウイルスは含むがナノ材料は含まない)におけるウイルスの量を比較することにより、感染性ウイルスの量(Log10 TCID50/mlまたは%として示される)の減少が得られた。陽性対照(低pH)は、ウイルスが残っていることが観察されないほどに、アッセイの検出可能限界より下までウイルスの感染性を減少させた。
【0098】
図8は、反応時間の終わりに検査反応混合物中に存在する感染性ウイルスの量(Log10 TCID50/ml)を示している。図9および10は、検査ナノ材料の殺ウイルス効力をそれぞれ感染力価の減少パーセンテージ(%)としておよびウイルス力価の減少(Log10 TCID50/ml)として示している。検査反応の結果および検査ナノ材料を添加することによる感染性ウイルスの量の減少(力価、%、およびLog10 TCID50/ml)が表5に示され、それによって殺ウイルスアッセイで検査ナノ材料と反応させた後に定量されたトリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスの量が報告されている。
【0099】
(表5)

【0100】
検査されたナノ材料(結果は表5に示されている)は5nm〜100nmのサイズ変動を有する。炭化タングステン(R32)は99.5%の純度を有する。炭化タングステン(R36、R37、およびR38)は、異なるプラズマ条件および冷却速度/工程ならびに粒子サイズ分布で製造された。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】インフルエンザおよびSARSウイルスのナノスケールの電子顕微鏡像を示す。
【図2】空気で運ばれる粒子およびウイルスを防ぐためのマスクを示す。布の間の間隙は、当今の布マスクで10μmよりも大きい。
【図3】大学学術研究棟、ショッピングセンター、および病院などのような公共の建物に使用される濾過布のSEM像を示す。
【図4】ナノ材料を抗ウイルス剤として使用するHAアッセイ検査の2例のプレートを示す。
【図5】異なる金属、金属酸化物、および化合物のナノ粒子によって引き起こされたウイルス減少の抗ウイルス効果を示す検査結果(対照は左側にある)。
【図6】ナノ銀、ナノTiO2、ナノZnO、ナノCu、ナノNi、ナノTiO2(アニターゼ(Anitase)およびロータル(Rotal)結晶の両方)、ナノZnO、ナノSiO2、ならびに鋼鉄などのナノ粒子を含む、検査された異なる金属および金属酸化物のウイルス減少。
【図7】抗菌試験用のナノおよびマイクロスケールの粒子/化合物の混合物でコーティングされた1本の繊維を示す。
【図8】窒化ケイ素(IV)、炭化タングステン、炭化チタン、炭窒化チタンのナノ化合物についてのウイルス力価の減少パーセンテージを示す。殺ウイルスアッセイで検査ナノ材料と反応させた後に定量されたトリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスの量(Log10 TCID50/ml)。
【図9】窒化ケイ素(IV)、炭化タングステン、炭化チタン、炭窒化チタンのナノ化合物についてのウイルス力価(Log10 TCID50/ml)の抗ウイルスアッセイ後のウイルス力価を示す。殺ウイルスアッセイで検査ナノ材料と反応させた後のトリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスの減少パーセンテージ(%)。
【図10】窒化ケイ素(IV)、炭化タングステン、炭化チタン、炭窒化チタンのナノ化合物についてのH5N1ウイルスの対数減少(結果はナノ化合物に関しては対数力価減少として表されている)を示す。殺ウイルスアッセイで検査ナノ材料と反応させた後のトリH5N1インフルエンザNIBRG-14ウイルスのウイルス力価減少(Log10 TCID50/ml)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止するための、一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の使用。
【請求項2】
ナノ粒子が100nmまでの平均粒子サイズを有する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
ナノ粒子が約1nm〜約90nmの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項2記載の使用。
【請求項4】
一般式MnXyの化合物が、酸化物、カルボネート、シリケート、炭化物、窒化物、および/またはホスフェートである、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
一般式MnXyの化合物が、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、リン酸アルミニウム(AlPO4)、リン酸水素アルミニウム(A12(HPO4)3)、リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)、酸化カルシウム(CaO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ケイ酸カルシウム(CaSiO4)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン酸水素カルシウム(CaHPO4)、もしくはリン酸二水素カルシウム(Ca(H2PO4))、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、炭化タングステン(WC)、および炭窒化チタン(TiC0.5N0.5)からなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項6】
ナノ粒子が、請求項1で規定されたような一般式MnXyの少なくとも2つの化合物の混合組成物を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
ナノ粒子の混合組成物が、銅(Cu)、酸化銅(II)(CuO)、および/または酸化銅(I)(Cu2O)である、請求項5記載の使用。
【請求項8】
ナノ粒子が、請求項1で規定されたような一般式MnXyの化合物と、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、もしくはニッケル(Ni)、またはその組み合わせのうちの1つまたは複数との混合組成物を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
ナノ粒子が、
(i)アルミニウム(Al)および酸化アルミニウム(Al2O3)、
(ii)ケイ素(Si)および二酸化ケイ素(SiO2)、
(iii)ケイ素(Si)および炭化ケイ素(SiC)、
(iv)亜鉛(Zn)および酸化亜鉛(ZnO)、もしくは
(v)ニッケル(Ni)および酸化ニッケル(II)(NiO)
またはその組み合わせ
を含む、請求項8記載の使用。
【請求項10】
ナノ粒子が二酸化チタン(TiO2)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項11】
ナノ粒子が、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO2)をさらに含む、請求項10記載の使用。
【請求項12】
ナノ粒子が、ホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、硫黄(S)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ジルコニウム(Zr)、イッテルビウム(Yb)、ジルコニウム(Zr)もしくはその酸化物またはその組み合わせからなる群より選択される元素をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のナノ粒子の使用。
【請求項13】
ナノ粒子が、以下の元素の組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項12記載の使用:
C-P-Ag-Zn、C-P-Cu-S、C-P-Cu-Ni-S、C-Si-Ag-Zn、C-Si-Cu-S、C-Si-Cu-Ni、C-Cu-Zn-W、C-Cu-Zn-Ag、C-Cu-Zn-W-Ag、C-W-Ti-B、C-W-Ti-N、C-Ti-N、Si-N、Ti-N、Al-N、B-N、Al-B。
【請求項14】
ナノ粒子が、以下の酸化物のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用:
TiO2、Cu2O、CuO、ZnO、NiO、Al2O3、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、もしくはSi2O3、またはその組み合わせ。
【請求項15】
ウイルス伝染を減少させるおよび/または防止するための酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO2)の混合ナノ粒子の使用。
【請求項16】
ウイルスが、インフルエンザ、麻疹、コロナウイルス、おたふく風邪、マールブルグ、エボラ、風疹、ライノウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎、天然痘、水痘、SARS、HIV、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、およびアデノウイルスからなる群より選択される、請求項1〜15のいずれか一項記載の使用。
【請求項17】
一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の組成物を防護衣用品に適用する工程を含む、ウイルス伝染の減少および/または防止のための方法。
【請求項18】
一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の組成物をフィルターに適用する工程を含む、ウイルス伝染の減少および/または防止のための方法。
【請求項19】
一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の組成物でコーティングされた繊維から構成された防護衣用品。
【請求項20】
天然繊維から構成されている、請求項19記載の防護衣用品。
【請求項21】
人工繊維から構成されている、請求項19記載の防護衣用品。
【請求項22】
顔面マスクである、請求項19、20、または21のいずれか一項記載の防護衣用品。
【請求項23】
顔面マスク、手術マスク、レスピレーターマスク、帽子、フード、ズボン、シャツ、手袋、スカート、ボイラースーツ、手術衣からなる群より選択される、請求項19、20、または21のいずれか一項記載の衣用品。
【請求項24】
一般式MnXyの化合物であって、式中、Mが
(i)カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)もしくは銅(Cu)からなる群より選択される金属;
または(ii)ケイ素(Si)、ホウ素(B)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属であって;
nが1、2、または3に等しく、
およびXが
(iii)酸素(O)、窒素(N)、もしくは炭素(C)からなる群より選択される非金属;
または(iv)ホスフェート(PO43-)、リン酸水素(HPO42-)、リン酸二水素(H2PO4-)、カルボネート(CO3)、シリケート(SiO42-)、スルフェート(SO42-)、ニトレート(NO3-)、ニトライト(NO2-)からなる群より選択される陰イオンであって;
yが0、1、2、3、または4に等しい、
化合物のナノ粒子の組成物でコーティングされた繊維から構成されたフィルター。
【請求項25】
天然繊維から構成されている、請求項24記載のフィルター。
【請求項26】
人工繊維から構成されている、請求項24記載のフィルター。
【請求項27】
エアフィルターである、請求項24、25、または26のいずれか一項記載のフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−526828(P2009−526828A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554847(P2008−554847)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000542
【国際公開番号】WO2007/093808
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(501008923)クイーン メアリー アンド ウェストフィールド カレッジ (14)
【氏名又は名称原語表記】Queen Mary and Westfield College
【住所又は居所原語表記】Mile End Road,London,U.K.
【出願人】(508248988)イントリンシケ マテリアルズ リミテッド (2)
【出願人】(508248830)
【Fターム(参考)】