説明

殺微生物剤としてのピラゾール−4−カルボキサミド誘導体

置換基が請求項1に定義されている通りのものである式Iの化合物は、殺微生物剤として使用するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の殺微生物活性の、具体的には殺菌活性のカルボキサミド/チオアミドに関する。本発明はさらに、これらの化合物を含む組成物、及び植物病原性微生物、好ましくは菌類の、植物への蔓延を制御又は予防するための農業又は園芸におけるこれらの組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殺微生物活性を有するピラゾールカルボキサミド/チオアミドが、例えばEP-0-824-099及び国際公開第93/11117号パンフレットに記載されている。
【0003】
新規のジヒドロピラゾールカルボキサミド/チオアミドが、殺微生物活性を有することが判っている。
【0004】
本発明はこうして、
式I
【化1】

の化合物、及び該化合物の互変異性体/異性体/鏡像異性体であって、
上記式中、
R1は、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R3は、水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、ハロゲン、又はシアノであり;
R4は、水素、C1-4アルキル、CH2CH=CHR4a、CH2C≡CR4b、又はCOR4cであり;
R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、COOC1-C4アルキル、COOC3-C6アルケニル、COOC3-C6アルキニル、又はCNであり;
R4cは、C1-C6アルキル、ハロゲンによって置換されたC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、又はC1-C6ハロアルコキシであり;或いは、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ;C3-C6アルケニルオキシ、又はC3-C6ハロアルケニルオキシ;C3-C6アルキニルオキシ、又はC3-C6ハロアルキニルオキシであり;
Xは、酸素又は硫黄であり;そして
Aは、基
【化2】

【化3】

【化4】

であり、
上記式中、
R6は、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4チオアルキル、COO-C1-4アルキル、=N-OH、=N-O-(C1-4アルキル)、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、及び、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC4-8シクロアルケニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、C4-8シクロアルケニル、又はC5-8シクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC6-12ビシクロアルキル、C6-12ビシクロアルケニル、又はC6-12ビシクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいフェニルであり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択され;
或いはR6は、5-6員複素環であり、該複素環はそれぞれ独立して酸素、硫黄、及び窒素から選択された1-3つのヘテロ原子を含有し、該複素環は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C(H)=N-O-(C1-6アルキル)、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、CHO、COOC1-C6アルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルコキシ-C1-C4アルキル、 (Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよく、そして該5-6員複素環の隣接する炭素原子上の2つの置換基が結合して、基-CR6a-CR6a=CR6a-CR6a-を形成してよく、各R6aは独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択され;
或いはR6は、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよく;
或いはR6は、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり;
或いはR6は、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C2-6アルケニルオキシ、C2-6ハロアルケニルオキシ、C2-6アルキニルオキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C1-4アルキル-C3-7シクロアルキルオキシ、C5-7シクロアルケニルオキシ、又はC1-4アルキル-C5-7シクロアルケニルオキシであり;
Zは、C1-4アルキレンであり;
pは、0又は1であり;
R25は、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキル、又はSi(C1-4アルキル)3であり;
R26及びR27はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであり;
R28は、水素、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであり;
Ra、Rb、Rc、及びRdはそれぞれ独立して、水素、又は1-6つの置換基によって置換されてよいC1-4アルキルであり、それぞれの置換基は独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシ、エトキシ、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ及びトリフルオロチオメトキシから選択され;
Cyは、飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよく、そして環員としてケイ素原子を含有してよい炭素環式又は複素環式3-7員環であり、(CRaRb)m及び(CRcRd)nは、Cyの同じ炭素原子又はケイ素原子に結合されるか、又は1、2、3つの環員によって分離された異なる原子に結合されてよく、該炭素環式又は複素環式3-7員環は、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ及びハロ-C1-4アルコキシから選択された1-6つの置換基によって置換されてよく;
Y1は、Si(Op1Z1)(OqZ2)(OsZ3)であり、そしてCyが環員としてケイ素元素を含有するならば、Y1は水素であってもよく;
Z1及びZ2は、独立してメチル又はエチルであり;
Z3は、O、S、及びNから選択された1つのヘテロ原子によって中断されてよいC1-4アルキル又はC2-4アルケニル基であり、そして該C1-4アルキル又はC2-4アルケニル基は、独立して選択された1-3つのハロゲン原子によって置換されてよく;
m及びnは、それぞれ独立して0、1、2又は3であり;
p1、q、及びsは、それぞれ独立して0又は1であり;
R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR12aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、又はC1-4チオハロアルキルであり;
R13、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C(O)CH3、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、C1-4チオハロアルキル、ヒドロキシメチル、又はC1-4アルコキシメチルであり;
Qは、単結合又は二重結合であり;そして
Yは、O、N(R18)、S、又は(CR19R20)(CR21R22)m1(CR23R24)n1であり;
R18は、水素、C1-4アルキル、ホルミル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又は、ハロゲン又はC1-4アルコキシによって置換されてよいC(=O)C1-4アルキル、又は、ハロゲン、C1-4アルコキシ又はCNによって置換されてよいC(=O)0-C1-6アルキルであり;
R19、R20、R21、R22、R23、及びR24はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルキル、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルケニル、又は窒素及び酸素から選択された1つのヘテロ原子を含有してよい3-7員炭素環であり、そして該3-7員炭素環は、1-3つのメチル基によって置換されてよく;
又はR19R20は、これらが結合された炭素原子と一緒に、カルボニル基、1-3つのメチル基によって置換されてよい3-5員炭素環、1-3つのメチル基によって置換されてよいC1-6アルキリデン、又は1-3つのメチル基によって置換されてよいC3-6シクロアルキリデンを形成し;
m1は、0又は1であり;
n1は、0又は1であり;
R13aは、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-C4アルキル、C2-C4アルケニル、又はC2-C4アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-C4アルコキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、C1-C4アルキルチオ、C1-C4ハロアルキルチオ、HC(OR29)=N-、及びR30R31NN=C(H)-から選択され;
R29、R30、及びR31は互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであり;
R13bは、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-C6アルキル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-C4アルコキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、C1-C4アルキルチオ、C1-C4ハロアルキルチオ、HC(OR32)=N-、及びR33R34NN=C(H)-から選択され;
R32、R33、及びR34は互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであり;
R13cは水素又はハロゲンである、
化合物、及び該化合物の互変異性体/異性体/鏡像異性体を提供する。
【0005】
式Iの化合物において、基(A1)-(A38)内に示された矢印は、式Iの化合物のカルボキサミド/チオアミド基の窒素原子との結合を表す。
【0006】
置換基の定義において生じるアルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってよく、そして例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、又はtert-ブチルである。上記アルキル基から、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニル基が誘導される。アルケニル及びアルキニル基は、一飽和型又は二飽和型又は不飽和型であってよい。
【0007】
ハロゲンは一般に、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、臭素、又は塩素である。これは相応に、他の意味との組み合わせにおけるハロゲン、例えばハロアルキル又はハロアルコキシにも当てはまる。
【0008】
ハロアルキル基は好ましくは、炭素原子数1-4の鎖長を有する。ハロアルキルは例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロ-2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロエチル、及び2,2,2-トリクロロエチルであり、好ましくはトリクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、及びジクロロフルオロメチルである。
【0009】
好適なハロアルケニル基は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素であり、そして具体的にはフッ素、及び塩素である)によって一置換又は多置換されたアルケニル基であり、例えば2,2-ジフルオロ-1-メチルビニル、3-フルオロプロペニル、3-クロロプロペニル、3-ブロモプロペニル、2,3,3-トリフルオロプロペニル、2,3,3-トリクロロプロペニル、及び4,4,4-トリフルオロブト-2-エン-1-イルである。
【0010】
好適なハロアルキニル基は、ハロゲン(臭素、ヨウ素、及び具体的にはフッ素、及び塩素である)によって一置換又は多置換されたアルキニル基であり、例えば3-フルオロプロピニル、3-クロロプロピニル、3-ブロモプロピニル、3,3,3-トリフルオロプロピニル、及び4,4,4-トリフルオロブト-2-イン-1-イルである。
【0011】
アルコキシは、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、及びtert-ブトキシ;好ましくはメトキシ及びエトキシである。ハロアルコキシは、例えばフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、及び2,2,2-トリクロロエトキシ;好ましくはジフルオロメトキシ、2-クロロエトキシ、及びトリフルオロメトキシである。アルキルチオは、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、又はtert-ブチルチオ、好ましくはメチルチオ及びエチルチオである。
【0012】
アルコキシアルキルは、例えばメトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n-プロポキシメチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシメチル、又はイソプロポキシエチルである。
【0013】
本発明の文脈では、例えば置換基R6の定義において、1-6つの置換基によって置換されたC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基は、典型的には一置換型から5回置換型であり、より好ましくは一置換型、二重置換型、又は三重置換型である。
【0014】
式Iの化合物、例えばXが酸素であり、R4が水素である式Iの化合物は、種々異なる互変異性形態、例えばII及びIII
【化5】

で生じてよい。
【0015】
本発明は、全てのこれらの互変異性形態に範囲が及ぶ。
【0016】
式Iの化合物のうちのいくつかは鏡像異性体として生じる。式Iのこのような鏡像異性体化合物の場合には、このような鏡像体のラセミ混合物が好ましい。
【0017】
好ましい式Iの化合物群において、
R2は、C1-4ハロアルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;そして、
R6は、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4チオアルキル、COO-C1-4アルキル、=N-OH、=N-O-(C1-4アルキル)、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、及び、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC4-8シクロアルケニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、C4-8シクロアルケニル、又はC5-8シクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC6-12ビシクロアルキル、C6-12ビシクロアルケニル、又はC6-12ビシクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいフェニルであり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択され;
或いはR6は、5-6員複素環であり、該複素環はそれぞれ独立して酸素、硫黄、及び窒素から選択された1-3つのヘテロ原子を含有し、該複素環は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C(H)=N-O-(C1-6アルキル)、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、CHO、COOC1-C6アルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルコキシ-C1-C4アルキル、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよく、
或いはR6は、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよく;
或いはR6は、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり;
或いはR6は、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C2-6アルケニルオキシ、C2-6ハロアルケニルオキシ、C2-6アルキニルオキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C1-4アルキル-C3-7シクロアルキルオキシ、C5-7シクロアルケニルオキシ、又はC1-4アルキル-C5-7シクロアルケニルオキシである。
【0018】
本発明の1実施態様の場合、式Iの化合物において、Xは酸素である。
【0019】
本発明の別の実施態様の場合、式Iの化合物において、Xは硫黄である。
【0020】
好ましい化合物群において、
R1は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキルであり;
R3は、水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、ハロゲン、又はシアノであり;且つ/又は
R4は、水素、C1-4アルキル、CH2CH=CH2、又はCH2C≡CHである。
【0021】
別の好ましい化合物群において、
R1は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキルであり;
R3は、水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、ハロゲン、又はシアノであり;且つ/又は
R4は、水素である。
【0022】
別の好ましい化合物群において、
R1は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキルであり;
R3は、水素、C1-4アルキル、ハロゲン、又はシアノであり;且つ/又は
R4は、水素である。
【0023】
別の好ましい化合物群において、
R1は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキルであり;
R3は、水素であり;且つ/又は
R4は、水素である。
【0024】
別の好ましい化合物群において、
R1は、C1-4アルキル、又はC1-4アルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、CHF2又はCF3であり;
R3は、水素であり;且つ/又は
R4は、水素である。
本発明の1実施態様の場合、AはA1、A2、A3、A4、A37、又はA38である。
【0025】
本発明の別の実施態様の場合、AはA1、A2、A3、A4、又はA38である。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA1、又はA38である。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA1、A2、A3又はA4である。
【0028】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA1である。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA38である。
【0030】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA37である。
【0031】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、又はA9である。
【0032】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA2、A3又はA4である。
【0033】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA5、A6又はA7である。
【0034】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA8又はA9である。
【0035】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA10、A11、A12又はA13である。
【0036】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA10又はA11である。
【0037】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA12又はA13である。
【0038】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA14、A15、A16、A17、A18、又はA19である。
【0039】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA14、A15又はA16である。
【0040】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA17、A18又はA19である。
【0041】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA20又はA21である。
【0042】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA22、A23、A24又はA25である。
【0043】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA26、A27、A28、A29又はA30である。
【0044】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA26である。
【0045】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA27又はA28である。
【0046】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA29又はA30である。
【0047】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA31である。
【0048】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA32、A33、A34、A35又はA36である。
【0049】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA32である。
【0050】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA33、A34又はA35である。
【0051】
本発明のさらに別の実施態様の場合、AはA36である。
【0052】
R6が、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4チオアルキル、COO-C1-4アルキル、=N-OH、=N-O-(C1-4アルキル)、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、及び、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC4-8シクロアルケニルから選択される、式Iの化合物が優先される。
【0053】
さらに、R6が、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、C4-8シクロアルケニル、又はC5-8シクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択される、式Iの化合物が優先される。
【0054】
さらに、R6が、1-3つの置換基によって置換されてよいC6-12ビシクロアルキル、C6-12ビシクロアルケニル、又はC6-12ビシクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択される、式Iの化合物が優先される。
【0055】
さらに、R6が、1-3つの置換基によって置換されてよいフェニルであり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択される、式Iの化合物が優先される。
【0056】
さらに、R6が、5-6員複素環であり、該複素環はそれぞれ独立して酸素、硫黄、及び窒素から選択された1-3つのヘテロ原子を含有し、該複素環は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C(H)=N-O-(C1-6アルキル)、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、CHO、COOC1-C6アルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルコキシ-C1-C4アルキル、 (Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよく、そして該5-6員複素環の隣接する炭素原子上の2つの置換基が結合して、基-CR6a-CR6a=CR6a-CR6a-を形成してよく、各R6aは独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択される、式Iの化合物が優先される。
【0057】
さらに、R6が、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよい、式Iの化合物が優先される。
【0058】
さらに、R6が、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1である、式Iの化合物が優先される。
【0059】
R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR12aは好ましくは、それぞれ独立して水素、又はハロゲンであり、より好ましくは水素である。
【0060】
R13、R14、R15、R16、及びR17は好ましくは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、又はC1-4アルキルであり、より好ましくは、それぞれ独立して水素、又はC1-4アルキルである。
【0061】
さらにR6が、
【化6】

の形態の基(R7b及びR7cは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR8b及びR9bは互いに独立して、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルである)であるか、又は
【化7】

の形態の基(R7d及びR7eは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR10b及びR11bは互いに独立して、水素又はハロゲンであり、そしてn2は1又は2である)である、
式Iの化合物が優先される。
【0062】
さらに、R6が(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり、Cyが下記環:
【化8】

から選択される、式Iの化合物が優先される。
【0063】
Cy1、Cy2、Cy4、Cy5、Cy7、Cy8、Cy11、Cy12、Cy13、Cy16、Cy20、Cy21、及びCy22の対称性は、どの矢印が部分(CRaRb)mとの結合を示し、またどの矢印が部分(CRcRd)nとの結合を示すかは問題でないことを意味する。他方において、Cy3、Cy6、Cy9、Cy10、Cy14、Cy15、Cy17、Cy18、Cy19、Cy23、及びCy24は、対称でなく、従って、どの矢印が部分(CRaRb)mとの結合を表し、またどの矢印が部分(CRcRd)nとの結合を表すかは問題であり、これらのCy値に関して、符号「a」を有する矢印が部分(CRaRb)mとの結合を表すこと、[従って、符号「b」を有する矢印が部分(CRcRd)nとの結合を表すこと]が好ましい。この明細書においてCy3aは、矢印「a」が部分(CRaRb)mとの結合を表す基Cy3であり;これに対して、Cy3bは、矢印「b」が部分(CRaRb)mとの結合を表す基Cy3である。同じことが、Cy6、Cy9、Cy10、Cy14、Cy15、Cy17、Cy18、Cy19、Cy23、及びCy24に、必要な変更を伴って当てはまる。全ての事例において、「a」基は、対応する「b」基よりも好ましい。
【0064】
さらに、AがA37であり、そして
Qが単結合であり;そして
Yが(CR19R20)であり;
R19及びR20がそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルキル、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルケニル、又は窒素及び酸素から選択された1つのヘテロ原子を含有してよい3-7員炭素環であり、そして該3-7員炭素環は、1-3つのメチル基によって置換されてよく;
又はR19R20が、これらが結合された炭素原子と一緒に、カルボニル基、1-3つのメチル基によって置換されてよい3-5員炭素環、1-3つのメチル基によって置換されてよいC1-6アルキリデン、又は1-3つのメチル基によって置換されてよいC3-6シクロアルキリデンを形成する、
式Iの化合物が優先される。
【0065】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R19及びR20がそれぞれ独立して、水素、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであり、そしてR13、R14、R15、及びR16は、それぞれ水素である、化合物が優先される。
【0066】
さらに、AがA38であり、そして
R13aがC1-C4アルキル、C2-C4アルケニル、又はC2-C4アルキニル基であり;
R13bがC1-C6アルキル基であり;そして
R13cが水素又はハロゲン、好ましくは水素である、
式Iの化合物が優先される。
【0067】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、ハロゲン、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)又は(Z)pC≡CR25によってパラ位置で置換されたフェニルであり、前記フェニルはさらに、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルから選択された1つ又は2つの置換基によって置換されてよく、Zは、C1-4アルキレンであり、pは、0又は1であり、そしてR25は、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキル、又はSi(C1-4アルキル)3である、式Iの化合物が優先される。
【0068】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、ハロゲンによってパラ位置で置換されたフェニルであり、前記フェニルはさらに、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルから選択された1つ又は2つの置換基によって置換されてよく;好ましくは前記フェニルは、パラ位置で置換されているだけである、式Iの化合物が優先される。
【0069】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、又はC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)によってパラ位置で置換されたフェニルであり;好ましくは前記フェニルは、パラ位置で置換されているだけである、式Iの化合物が優先される。
【0070】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、(Z)pC≡CR25によってパラ位置で置換されたフェニルであり、前記フェニルはさらに、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルから選択された1つ又は2つの置換基によって置換されてよく、そしてZは、C1-4アルキレンであり、pは、0又は1であり、そしてR25は、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキル、又はSi(C1-4アルキル)3であり;好ましくは前記フェニルは、パラ位置で置換されているだけである、式Iの化合物が優先される。
【0071】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、(Z)pC≡CR25によってパラ位置で置換されたフェニルであり、前記フェニルはさらに、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4ハロアルキルから選択された1つ又は2つの置換基によって置換されてよく、そしてZは、C1-4アルキレンであり、pは0であり、そしてR25は、水素、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;好ましくは前記フェニルは、パラ位置で置換されているだけである、式Iの化合物が優先される。
【0072】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、
【化9】

の形態の基であり、R7b及びR7cは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR8b及びR9bは互いに独立して、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルである、式Iの化合物が優先される。
【0073】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R7bが水素又はC1-C3アルキルであり、R7cが水素であり、そしてR8b及びR9bが互いに独立して、C1-C3アルキルである、化合物が優先される。
【0074】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R7bがC1-C3アルキルであり、R7cが水素であり、そしてR8b及びR9bが互いに独立して、C1-C3アルキルである、化合物が優先される。
【0075】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択される、式Iの化合物が優先される。
【0076】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R6が、C1-4アルキル又はC3-6シクロアルキルよって置換されたC3-8シクロアルキル基であり、前記C3-6シクロアルキル自体は、それぞれ独立してC1-4アルキルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよい、化合物が優先される。
【0077】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R6が、C3-6シクロアルキルよって置換されたC3-8シクロアルキル基であり、C3-6シクロアルキル自体は、それぞれ独立してC1-4アルキルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよい、化合物が優先される。
【0078】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R6が、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択される、化合物が優先される。
【0079】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R6が、1-3つの置換基によって置換されたC3-8シクロアルキル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択される、化合物が優先される。
【0080】
さらに、AがA1であり、そしてR6が、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよい、式Iの化合物が優先される。
【0081】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R6が、
【化10】

の形態の基であり、上記式中、R7fは水素又はC1-C3アルキルであり、そして、R7g、R7h及びR7iは互いに独立してC1-C3アルキルである、化合物が優先される。
【0082】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R7fは水素又はC1-C3アルキルであり、そして、R7g、R7h及びR7iはそれぞれメチルである、化合物が優先される。
【0083】
さらに、AがA1であり、そして
R6が、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり、CyはCy17
【化11】

であり、
上記式中「a」は、部分(CRaRb)mとの結合を表す[従って、符号「b」を有する矢印は、部分(CRcRd)nとの結合を表す]、式Iの化合物が優先される。
【0084】
前記実施態様の範囲内で、さらに、Ra、Rb、Rc、及びRdがそれぞれ独立して、水素、又は、C1-4アルキルであり;Y1は水素であり;そしてm及びnは、それぞれ独立して0、1、2又は3である、化合物が優先される。
【0085】
前記実施態様の範囲内で、さらに、Y1は水素であり; mは0であり、そしてnは1である、化合物が優先される。
【0086】
さらに、AがA2であり、そしてR6が、
【化12】

の形態の基であり、
上記式中、R7b及びR7cは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR8b及びR9bは互いに独立して、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルである、式Iの化合物が優先される。
【0087】
前記実施態様の範囲内で、さらに、R7bが水素、又はC1-C3アルキルであり、R7cが水素であり、そしてR8b及びR9bは互いに独立して、C1-C3アルキルである、化合物が優先される。
【0088】
本発明による化合物は、以下の反応スキーム(スキーム1)に従って調製することができ、このスキームにおいて、特に断りがなければ、各変項の定義は、式(I)の化合物に関して上に定義した通りである。
【0089】
反応スキーム1:
【化13】

式II、IV、V及びVIの化合物において、基「Alk」は、アルキル基、好ましくはC1-6アルキルを意味する。
【0090】
式VIIのカルボン酸、又はこのカルボン酸VIIの活性化形態、例えば酸塩化物、対照的又は混合型酸無水物、又はその他の種類の活性化エステルと、式VIIIのアミンとを反応させることにより、式Ia化合物を得ることができる。式Iaの化合物を形成するための、式VIIの化合物と式VIIIの化合物との反応は、標準的なアミド化に相当し、そして好ましくは塩基の存在において実施される。
【0091】
式Iaの化合物から、好適な周知の標準的な方法を用いて、R3が水素とは異なる式Iの化合物を調製することができる。例えば、リチオ化によって式Ia化合物から、R3がC1-4アルキルである式Iの化合物を調製することができ;ハロゲン化によって式Ia化合物から、R3がハロゲンである式Iの化合物を調製することができ;そして、シアン化物置換によって式Ia化合物から、R3がシアノである式Iの化合物を調製することができる。
【0092】
式Vのカルボン酸エステルの加水分解によって、式VIIの化合物を得ることができる。式V化合物から化合物VIIへの反応は、標準的なエステル開裂に相当し、そして好ましくは、酸又は塩基の存在において実施される。
【0093】
式IIのβ-ケトエステル又はβ-ケトチオエステルと、式IIIのヒドラジンと、ホルムアルデヒドとの新規の三成分縮合によって、式VIの化合物と一緒に、式Vの化合物を得ることができる。式Vの化合物と式VIの化合物とを形成するための、式IIの化合物と式IIIの化合物及びホルムアルデヒドとの反応は有利には、プロトン酸、例えば塩酸又は硫酸の存在において、又はルイス酸、例えば三フッ化ホウ素エーテル、又は四塩化チタンの存在において行われる。反応は式IVの中間体を被る。式V及びVIの化合物間の比は、式IIIのヒドラジン中の置換基R1と、式IIのβ-ケトエステル又はβ-ケトチオエステル中の置換基R2とに依存する。
【0094】
式II及びIIIの化合物は周知であり、商業的に入手可能であり、或いは、一般に知られている方法に従って、商業的に入手可能な前駆体から容易に調製することができる。
【0095】
式VIIIのアミンは、例えばEP-0-824-099、国際公開第93/11117号パンフレット、国際出願PCT/EP2005/006688、及び欧州特許出願05006382.5号明細書から周知であるか、或いは、一般に知られている変換法に従って調製することができる。
【0096】
R1、R2、R3、R4、X及びAの定義に従って官能化された式Iの全ての更なる化合物を調製するために、数多くの好適な周知の標準的な方法、例えばアルキル化、ハロゲン化、アシル化、アミド化、オキシム化、及び酸化及び還元が存在する。好適な調製方法は、中間体における置換基の特性(反応性)に応じて選択される。
【0097】
式Iの化合物を提供するための反応は有利には、非プロトン性不活性有機溶剤中で実施される。このような溶剤は、炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、又はシクロヘキサン、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、又はクロロベンゼン、エーテル、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、ニトリル、例えばアセトニトリル又はプロピオニトリル、アミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、又はN-メチルピロリジノンである。反応温度は有利には、-20℃と+120℃との間である。一般に、反応は僅かに発熱性であり、そして通常、反応は室温で行うことができる。反応時間を短くするために、或いは反応を開始するために、混合物は反応混合物の沸点まで短時間加熱してよい。数滴の塩基を反応触媒として添加することにより、反応時間を短くすることもできる。好適な塩基は、具体的には、第三アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、キヌクリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、又は1,5-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エンである。しかし、無機塩基、例えば水素化物(例えば水素化ナトリウム又は水素化カルシウム、水酸化物(例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、又は炭酸水素塩、例えば炭酸水素カリウム及び炭酸水素ナトリウムを塩基として使用することもできる。塩基は、それ自体で、又は触媒的な量の相間移動触媒、例えばクラウンエーテル、具体的には18-クラウン-6、又はテトラアルキルアンモニウム塩と一緒に使用することができる。
【0098】
式Iの化合物は、溶剤を濃縮及び/又は蒸発させることにより通常通りの形式で単離し、そして化合物が易溶性でない溶剤、例えばエーテル、芳香族炭化水素、又は塩素化炭化水素中の固形残留物を再結晶化又は粉砕することにより精製することができる。
【0099】
化合物I、及び適切な場合にはこれらの互変異性体は、分子中に発生する非対称炭素原子の数、絶対配置及び相対配置に応じて、且つ/又は分子中に発生する非芳香族二重結合の配置に応じて、可能な異性体のうちの1つの形態を成して、又はこれらの混合物として、例えば対掌体及び/又はジアステレオマーのような純粋異性体の形態で、又は鏡像異性体混合物、例えばラセミ化合物、ジアステレオマー混合物、又はラセミ混合物のような異性体混合物として存在することができる。本発明は純粋異性体に関し、そしてまた、可能な全ての異性体混合物に関するものであり、そして立体化学的な詳細がそれぞれの事例において具体的に述べられなくても、上記及び下記において、それぞれの場合にこのような意味で理解されるべきである。
【0100】
どの出発材料及び手順を選択しているかに応じて得ることができる化合物Iのジアステレオマー混合物又はラセミ混合物は、例えば分別結晶化、蒸留及び/又はクロマトグラフィによって、成分の物理化学的な差異に基づいて、純粋なジアステレオマー又はラセミ化合物に周知の形式で分離することができる。
【0101】
同様の形式で得ることができるラセミ化合物のような鏡像異性体混合物は、周知の方法によって、例えば光学活性溶剤からの再結晶化によって、又はキラル吸着剤上のクロマトグラフィ、例えば好適な微生物を用いたアセチルセルロース上の高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、又は例えばキラルクラウンエーテルを使用して(この場合、ただ1つの鏡像異性体が複合される)包接化合物を形成することを介して、特定の固定化酵素で開裂することによって、又はジアステレオマー塩に変換することによって、例えば、塩基性最終ラセミ化合物と、光学活性酸、例えばカルボン酸(例えばショウノウ酸、酒石酸、リンゴ酸)、又はスルホン酸(例えばカンファスルホン酸)とを反応させ、そして、好適な物質、例えば塩基性物質の作用により所期鏡像異性体をそこから遊離させることができるジアステレオマーを提供するために、こうして得ることができるジアステレオマー混合物を、例えば異なる溶解度に基づく分別結晶化によって分離することによって、光学対掌体に分解することができる。
【0102】
純粋なジアステレオマー又は鏡像異性体は、好適な異性体混合物を分離することによるだけでなく、一般に知られたジアステレオ選択的合成法又はエナンチオ選択的合成法によっても、例えば好適な立体化学特性を有する出発材料を用いて、本発明による方法を実施することによっても得ることができる。
【0103】
個々の成分が異なる生物学的活性を有する場合、それぞれの事例において、生物学的により効果的な異性体、例えば光学異性体又はジアステレオマー、又は異性体混合物、例えば光学異性体混合物又はジアステレオマー混合物を単離又は合成することが有利である。
【0104】
化合物I、及び適切な場合にはこれらの互変異性体は、適切であるならば、水和物の形態で得ることができ、且つ/又は、他の溶剤、例えば固形物の形態で存在する化合物の結晶化のために使用できるものを含むことができる。
【0105】
本発明による式Iの化合物が、実用的な目的において、植物病原性微生物、例えば菌類、細菌又はウィルスによって引き起こされる疾病に対して有用植物を保護するための、極めて有利な活性範囲を有することが今や見いだされた。
【0106】
本発明は、植物病原性微生物の、有用植物への蔓延を制御又は予防する方法に関し、式Iの化合物は活性成分として、植物、植物の一部、又は植物の場所に投与される。式Iの化合物は、低い投与率における優れた活性、植物によって良好に許容されること、及び環境的に安全であることによって際だっている。これらは極めて有用な治療的、予防的、及び体系的特性を有しており、そして数多くの有用な植物を保護するために使用される。式Iの化合物は、有用植物の種々異なる作物の植物又は植物の一部(果実、花、葉、茎、塊茎、根)に発生する疾病を阻害又は破壊すると同時に、後から成長する植物部分を、例えば植物病原性微生物から保護するために使用することができる。
【0107】
植物繁殖体、具体的には種子(果実、塊茎、穀物)、及び植物切片(例えばイネ)の処理のための仕上げ剤として、菌感染並びに土壌中で発生する植物病原性微生物からの防御のために、式Iの化合物を使用することも可能である。
【0108】
さらに、本発明による式Iの化合物は、例えば木材及び木材関連工業製品を含む工業用材料の保護、食品貯蔵、又は衛生管理に際して、関連分野で菌類を制御するために使用することもできる。
【0109】
式Iの化合物は例えば、次のクラス:不完全菌類(例えばボトリティス、ピリクラリア、ヘルミントスポリウム、フサリウム、セプトリア、セルコスポラ、及びアルテルナリア)、及び担子菌(例えばリゾクトニア、ヘミレイア、プッチニア)、の植物病原性菌類に対して効果的である。加えてこれらはまた、子嚢菌クラス(例えばヴェントゥリア及びエリシフェ、ポドスファエラ、モニリニア、ウンシヌラ)、及び卵菌クラス(例えばフィトフトラ、フィチウム、プラスモパラ)に対して効果的である。アジア大豆さび菌(ファコプソラ・パキリジ)に対して、良好な活性が観察されている。うどん粉菌(エリシフェ種)に対して卓越した活性が観察されている。さらに、新規の式Iの化合物は、植物病原性菌類及びウィルスに対して(例えばキサントモナス種、シュードモナス種、エルウィニア・アミロヴォラ、並びにタバコ・モザイク・ウィルス)に対して効果的である。
【0110】
本発明の範囲の中に、保護されるべき有用植物は、典型的には次の植物種:穀類(小麦、大麦、ライ麦、カラス麦、イネ、トウモロコシ、ソルガム、及び関連種);ビート(甜菜及び試料用ビート);ナシ状果、石果、及び軟質果実(リンゴ、洋ナシ、プラム、桃、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、及びブラックベリー);豆科植物(マメ、レンズ豆、エンドウ豆、大豆);油脂植物(セイヨウアブラナ、カラシ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油植物、ココア豆、ラッカセイ);キュウリ植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、麻、ジュート);柑橘果実(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(アボガド、シナモン、ショウノウ)、又はタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、ツル植物、ホップ、バナナ、及び天然ゴム植物のような植物、並びに鑑賞植物を含む。
【0111】
「有用植物」という用語は、コンベンショナルな育種法又は遺伝子工学法の結果として、ブロモキシニルのような除草剤又は除草剤の類(例えばHPPD阻害剤、ALS阻害剤、例えばプリミスルフロン、プロスルフロン、及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5-エノール-ピロビル-シキメート-3-ホスフェート-シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンテターゼ)阻害剤)に対して耐性にさせられた有用植物をも含むものと理解されるべきである。コンベンショナルな育種法(突然変異生成)によってイミダゾリノン、例えばイミザモックスに対して耐性にさせられた作物例は、Clearfield(登録商標)サマーレイプ(キャノーラ)である。遺伝子工学法によって除草剤又は除草剤の類に対して耐性にさせられた作物例は、RoundupReady(登録商標)、Herculex I(登録商標)、及びLibertyLink(登録商標)の商品名で商業的に入手可能なグリホセート及びグルフォシネート抵抗性トウモロコシ変種を含む。
【0112】
「有用植物」という用語は、例えば毒素生成細菌から知られているような1種又は2種以上の選択的作用毒素、特にバチルス属の毒素を合成することができるように、組み換えDNA技術の利用によって形質転換されている有用植物をも含むものと理解されるべきである。
【0113】
このようなトランスジェニック植物によって発現させることができる毒素は、例えば殺虫タンパク質、例えばバチルス・セレウス又はバチルス・ポプリエに由来する殺虫タンパク質;又はバチルス・チューリンゲンシスに由来する殺虫タンパク質、例えばδ-内毒素、例えばCryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)、又はCry9c、又は植物性殺虫タンパク質(VIP)、例えばVIP1、VIP2、VIP3、又はVIP3A;又は細菌移植線虫、例えばフォトラムドゥス種又はキサノラムドゥス種、例えばフォトラムドゥス・ルミネセンス、キサノラムドゥス・ネマトフィルスの殺虫タンパク質;動物によって生成される毒素、例えばサソリ毒、クモ毒、ハチ毒、及びその他の昆虫特異的神経毒;菌類によって生成される毒素、例えば放線菌毒素、植物レクチン、例えばラッカセイ・レクチン、オオムギ・レクチン、又はユキノハナ・レクチン;凝集素;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤;リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、例えばリシン、トウモロコシRIP、アブリン、ルフィン、サポリン、又はブリョディン;ステロイド代謝酵素、例えば3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-UDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤、HMG-COA-レダクターゼ、イオンチャネル遮断薬、例えばナトリウム又はカルシウム・チャネルの遮断薬、幼若ホルモン・エステラーゼ、利尿ホルモン受容体、スチルベン・シンターゼ、ビベンジル・シンターゼ、キチナーゼ、及びグルカナーゼを含む。
【0114】
本発明の文脈において、δ-内毒素、例えばCryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)、又はCry9c、又は植物性殺虫タンパク質(VIP)、例えばVIP1、VIP2、VIP3、又はVIP3Aによって、ハイブリッド毒素、切断毒素、及び修飾毒素も明示的に含まれると理解されるべきである。ハイブリッド毒素は、これらのタンパク質の種々異なるドメインの新しい組み合わせによって、組み換え技術により生成される(例えば国際公開第02/15701号パンフレット参照)。切断毒素の一例は、下記のように、Syngenta Seed SASのBt11トウモロコシ中に発現される切断CryIA(b)である。修飾毒素の場合、天然発生毒素の1つ又は2つ以上のアミノ酸が置き換えられる。このようなアミノ酸置換において、自然の状態では存在しないプロテアーゼ認識配列が、毒素中に挿入され、例えばCryIIIA055の場合には、カテプシン-D-認識配列が、CryIIIA毒素中に挿入される(国際公開第03/018810号パンフレット参照)。
【0115】
このような毒素、又はこのような毒素を合成することができるトランスジェニック植物の例が、例えば欧州特許0 374 753号明細書、国際公開第93/07278号パンフレット、同第95/34656号パンフレット、欧州特許0 427 529号明細書、同第451 878号明細書、及び国際公開第03/052073号パンフレットに開示されている。
【0116】
このようなトランスジェニック植物の調製プロセスは、当業者に広く知られており、そして例えば上述の刊行物に記載されている。例えば、国際公開第95/34656号パンフレット、欧州特許0 367 474号明細書、同第0 401 979号明細書、及び国際公開第90/13651号パンフレットから、CryI型デオキシリボ核酸及びこれらの調製が知られている。
【0117】
トランスジェニック植物中に含有される毒素は、害虫に対する耐性を植物に与える。このような昆虫は、いかなる昆虫分類群においても発生することが可能であるが、しかし特に、甲虫(鞘翅類)、双翅昆虫(双翅類)、及び蝶(鱗翅目)において広く見いだされる。
【0118】
殺虫剤抵抗性をコードし、そして1種又は2種以上の毒素を発現させる1つ又は2つ以上の遺伝子を含有するトランスジェニック植物は、周知であり、これらのうちのいくつかは商業的に入手可能である。このような植物の例は:YieldGard(登録商標)(CryIA(b)毒素を発現させるトウモロコシ変種);YieldGard Rootworm(登録商標)(CryIIIB(b1)毒素を発現させるトウモロコシ変種);YieldGard Plus(登録商標)(CryIA(b)及びCryB(b1)毒素を発現させるトウモロコシ変種);Starlink(登録商標)(Cry9(c)毒素を発現させるトウモロコシ変種);Herculex I(登録商標)(CryIF(a2)毒素、及び除草剤グルフォシネートアンモニウムに対する耐性を達成するための酵素ホスフィノトリシンN-アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現させるトウモロコシ変種);NuCOTN 33B(登録商標)(CryIA(c)毒素を発現させる綿変種);Bollgard I (登録商標)(CryIA(c)毒素を発現させる綿変種);Bollgard II(登録商標)(CryIA(c)及びCryIIA(b)毒素を発現させる綿変種);VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現させる綿変種);NewLeaf(登録商標)(CryIIIA毒素を発現させる綿変種);Nature-Gard(登録商標)及びProtecta(登録商標)、である。
【0119】
このようなトランスジェニック作物の更なる例は:
1. Bt11 トウモロコシ(Syngenta Seeds SAS, Chemin de l'Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France)、登録番号C/FR/96/05/10。切断CryIA(b)毒素のトランスジェニック発現によって、アワノメイガ(Ostrinia nubilalis 及びSesamia nonagrioides)による攻撃に対して抵抗性にさせられた遺伝子修飾Zea mays。Bt11 トウモロコシはまた、除草剤グルフォシネートアンモニウムに対する耐性を達成するための酵素PATをトランスジェニック発現させる。
2. Bt176 トウモロコシ(Syngenta Seeds SAS, Chemin de l'Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France)、登録番号C/FR/96/05/10。切断CryIA(b)毒素のトランスジェニック発現によって、アワノメイガ(Ostrinia nubilalis 及びSesamia nonagrioides)による攻撃に対して抵抗性にさせられた遺伝子修飾Zea mays。Bt176 トウモロコシはまた、除草剤グルフォシネートアンモニウムに対する耐性を達成するための酵素PATをトランスジェニック発現させる。
3. MIR604 トウモロコシ(Syngenta Seeds SAS, Chemin de l'Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France)、登録番号C/FR/96/05/10。修飾CryIIIA毒素のトランスジェニック発現によって、昆虫抵抗性にさせられたトウモロコシ。この毒素は、カテプシン-D-プロテアーゼ認識配列の挿入により修飾されたCry3A055である。このようなトランスジェニック・トウモロコシ植物の調製は、国際公開第03/018810号パンフレットに記載されている。
4. MON 863 トウモロコシ(Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B-1150 Brussels, Belgium)、登録番号C/DE/02/9。MON 863は、CryIIIB(b1)毒素を出現させ、そして特定の鞘翅類昆虫に対する抵抗性を有する。
5. IPC 531綿 (Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B-1150 Brussels, Belgium)、登録番号C/ES/96/02。
6. 1507 トウモロコシ(Pioneer Overseas Corporation, Avenue Tedesco, 7 B-1160 Brussels, Belgium)、登録番号C/NL/00/10。特定の鞘翅類昆虫に対する抵抗性を達成するためのタンパク質Cry1F、及び除草剤グルフォシネートアンモニウムに対する耐性を達成するためのPATタンパク質を発現させるための遺伝子修飾トウモロコシ。
7. NK603 MON 810 トウモロコシ(Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B-1150 Brussels, Belgium)、登録番号C/GB/02/M3/03。遺伝子修飾変種NK603とMON 810とを交配することにより、コンベンショナルに育種されたハイブリッド・トウモロコシ変種から成る。NK603 x MON 810トウモロコシは、除草剤Roundup(登録商標)(グリホセートを含有)に対する耐性を付与するAgrobacterium種菌株CP4から得られたタンパク質CP4 EPSPSと、さらに、アワノメイガを含む特定の鞘翅類昆虫に対する耐性をもたらすBacillus thuringiensis亜種kurstakiから得られたCryIA(b)毒素とを発現させる。
【0120】
昆虫抵抗性植物のトランスジェニック作物は、BATS(Zentrum fuer Biosicherheit und Nachhaltigkeit, Zentrum BATS, Clarastrasse 13, 4058 Basel, Switzerland)Report 2003, (http://bats.ch)にも記載されている。
【0121】
「有用植物」という用語は、選択的作用を有する抗病原性物質、例えばいわゆる「病原性関連タンパク質」(PRP、例えば欧州特許第0 392 225号明細書)を合成することができるように、組み換えDNA技術の利用によって形質転換されている有用植物をも含むと理解されるべきである。このような抗病原性物質、及びこのような抗病原性物質を合成することができるトランスジェニック植物の例が、例えば欧州特許第0 392 225号明細書、国際公開第95/33818号パンフレット、及び欧州特許第0 353 191号明細書から公知である。このようなトランスジェニック植物の生成方法は、当業者に広く知られており、例えば上記刊行物に記載されている。
【0122】
このようなトランスジェニック植物によって発現させることができる抗病原性物質は、例えばイオンチャネル遮断薬、例えばナトリウム又はカルシウム・チャネルの遮断薬、例えばウィルス性KP1、KP4、又はKP6毒素;スチルベン・シンターゼ;ビベンジル・シンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRP、例えば欧州特許第0 392 225号明細書);微生物によって生成された抗病原性物質、例えばペプチド抗生物質又は複素環式抗生物質(例えば国際公開第95/33818号パンフレット)、又は植物病原菌防御に関与するタンパク質又はポリペプチド因子(国際公開第03/000906号パンフレットに記載されているようないわゆる「植物疾病抵抗遺伝子」)を含む。
【0123】
本明細書中に使用される有用な植物の「場所」という用語は、有用植物が成長している場所、有用植物の植物繁殖体が播種される場所、有用植物の植物繁殖体が土壌中に配置されるであろう場所を含む。このような場所の例は、作物植物が生長している畑である。
【0124】
「植物繁殖体」という用語は、植物の生殖部分、例えば、植物の増加のために使用することができる種子、及び発育物質、例えば切片又は塊茎、例えばジャガイモを意味するものと理解される。例えば種子(厳密な意味での)、根、果実、塊茎、球根、根茎、及び植物部分を挙げることができる。発芽後、又は土壌からの出現後に移植されるようになっている発芽植物及び若い植物を挙げることもできる。これらの若い植物は移植前に、浸漬による全体的又は部分的な処理によって保護することができる。好ましくは、「植物繁殖体」とは種子を意味するものと理解される。
【0125】
式Iの化合物は、改質されていない形態で、又は好ましくは、製剤当業者に好都合に採用される担体及びアジュバントと一緒に使用することができる。
【0126】
従って、本発明は、式Iの化合物と不活性担体とを含む、植物病原性微生物に対する制御及び防御のための組成物、並びに、植物病原性微生物の、有用植物への蔓延を制御又は予防する方法であって、活性成分としての式Iの化合物と不活性担体とを含む組成物が、植物、植物の一部又は植物の場所に投与される、方法に関する。
【0127】
これを目的として、式Iの化合物及び不活性担体は、乳化可能な濃縮物、塗布可能なペースト、直接にスプレー可能な、又は希釈可能な溶液、希薄エマルジョン、湿潤可能な粉末、可溶性粉末、ダスト、顆粒、及び例えば高分子物質内のカプセル封入物になるように、周知の形式で好都合に調製される。組成物のタイプと同様に、投与方法、例えばスプレー、噴霧、ダスティング、散布、塗布、又は注入が、所期の目的及び支配的な環境に従って選択される。組成物は更なるアジュバント、例えば安定剤、泡止め剤、粘度調整剤、バインダー又は粘着付与剤、並びに肥料、微量栄養素供与体、又は特殊効果を得るための他の製剤を含有してもよい。
【0128】
好適な担体及びアジュバントは固形又は液状であってよく、そして製剤技術において有用な物質、例えば天然又は再生鉱物物質、溶剤、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、バインダー、又は肥料である。このような担体は、例えば国際公開第97/33890号パンフレットに記載されている。
【0129】
式Iの化合物、又は、活性成分としての式Iの化合物と不活性担体とを含む組成物は、植物の場所、又は処理されるべき植物に、更なる化合物と同時に又は連続して投与することができる。これらの更なる化合物は、例えば肥料、微量栄養素供与体、又は植物の成長に影響を与えるその他の製剤であってよい。これらは、所望の場合には、製剤当業者に習慣的に採用される更なる担体、界面活性剤、又は投与促進アジュバントを伴った、選択的除草剤、並びに殺虫剤、防カビ剤、殺菌剤、線虫駆除薬、軟体動物駆除剤、又はこれらの製剤のうちのいくつかの混合物であってもよい。
【0130】
式Iの化合物、又は、活性成分としての式Iの化合物と不活性担体とを含む組成物の好ましい投与方法は、葉への投与である。投与頻度及び投与率は、対応病原体の蔓延リスクに依存することになる。しかし、式Iの化合物は、植物の場所を液状製剤で浸すことにより、又は土壌に化合物を固形の形態、例えば顆粒形態で投与(土壌投与)することにより、土壌を介して根を通って植物に浸透することもできる(浸透作用)。水稲作物の場合、このような顆粒を水田に投与することができる。式Iの化合物は、種子又は塊茎に防カビ剤の液状製剤を含浸させるか、又はこれらに固形製剤を塗布することによって、種子に投与(塗布)することもできる。
【0131】
製剤、すなわち式Iの化合物、及び所望の場合には固形又は液状アジュバントを含む組成物は、典型的には、化合物を増量剤、例えば溶剤、固形担体、及び任意には界面活性化合物(界面活性剤)と密に混合及び/又は粉砕することにより、周知の形式で調製される。
【0132】
農薬製剤は通常、0.1-99重量%、好ましくは0.1-95重量%の式Iの化合物、99.9-1重量%、好ましくは99.8-5重量%の固形又は液状アジュバント、及び0-25重量%、好ましくは0.1-25重量%の界面活性剤を含有することになる。
【0133】
商業的製品を濃縮物として調製することが好ましいが、末端使用者は通常、希薄製剤を使用することになる。
【0134】
有利な投与率は通常、1ヘクタール(ha)当たり5 g-2 kg、好ましくは10 g-1 kg a.i./ha、最も好ましくは20 g-600g a.i./haの活性成分(a.i.)である。種子浸漬剤として使用する場合には、好都合な投与率は、種子1 kg当たり10 mg-1 gの活性物質である。所期作用を可能にするための投与率は、試験によって決定することができる。投与率は、例えば作用のタイプ、有用植物の発育段階、及び用途(場所、時期、投与法)に依存し、そしてこれらのパラメータにより、広い限界内で変化することができる。
【0135】
驚くべきことに、上述の式Iの化合物、又はこれらの薬学的塩は、動物における微生物感染の治療及び/又は予防のための有利な活性範囲をも有することが、現在判っている。
【0136】
「動物」は、任意の動物、例えば昆虫、哺乳類、爬虫類、魚類、両生類、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトであってよい。「治療」は、感染の増大又は広がりを低減するか、又は遅らせるか、又は停止させるために、或いは感染症を軽減するか又は感染症を治すために、微生物感染症の動物において用いることを意味する。「予防」は、任意の未来の感染を予防するか、或いは、任意の未来の感染の増大又は広がりを低減するか又は遅らせるために、微生物感染の明らかな徴候のない動物において用いることを意味する。
【0137】
本発明によれば、動物における微生物感染の治療及び/又は予防に使用するための薬剤の製造において、式Iの化合物が使用される。また、医薬品として式Iの化合物が使用される。また、動物の治療において、抗微生物剤として式Iの化合物が使用される。活性成分としての式Iの化合物、又は薬学的に許容可能なその塩と、薬学的に許容可能な希釈剤又は担体とを含む薬剤組成物も提供される。この組成物は、動物における微生物感染の治療及び/又は予防のために使用することができる。薬剤組成物は、経口投与に適した形態、例えば錠剤、トローチ剤、硬質カプセル剤、水性懸濁液、油性懸濁液、エマルジョン、分散可能な粉末、分散可能な顆粒、シロップ剤、及びエレキシル剤の形態を成すことができる。或いは、この薬剤組成物は、局所投与に適した形態、例えばスプレー剤、クリーム剤、又はローション剤の形態を成すこともできる。或いは、この薬剤組成物は、非経口投与に適した形態、例えば注射液の形態を成すこともできる。或いは、この薬剤組成物は、吸入可能な形態、例えばエアロゾル・スプレー剤の形態を成すこともできる。
【0138】
式Iの化合物は、動物において微生物感染を引き起こし得る種々の微生物種に対して効果的である。このような微生物種の例は、アスペルギルス症を引き起こすもの、例えばAspergillus fumigatus, A. flavus, A. terrus, A.nidulans、及びA. niger、ブラストミセス症を引き起こすもの、例えばBlastomyces dermatitidis;カンジダ症を引き起こすもの、例えばCandida albicans, C. glabrata, C. tropicalis, C. parapsilosis, C. krusei及びC. lusitaniae;コクシジオイデス症を引き起こすもの、例えばCoccidioides immitis;クリプトコッカス症を引き起こすもの、例えばCryptococcus neoformans;ヒストプラスマ症を引き起こすもの、例えばHistoplasma capsulatum、及び接合菌症を引き起こすもの、例えばAbsidia corymbifera、Rhizomucor pusillus及びRhizopus arrhizusである。更なる例は、フサリウム種、例えばFusarium oxysporum及びFusarium solani、及びセドスポリウム種、例えばScedosporium apiospermum及びScedosporium prolificansである。更なる例は、ミクロスポルム種、トリコフィトン種、エピデルモフィトン種、ムコール種、スポロトリックス種、フィアロフォラ種、クラドスポリウム種、ペトリエリジウム種、パラコクシジオイデス種、及びヒストプラズマ種である。
【0139】
下記非限定的な例は、上記本発明を、これを限定することなしに、より詳細に説明する。
【実施例】
【0140】
調製例:
例P1:1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(1,3-ジメチル-ブチル)-チオフェン-3-イル]-アミド(化合物No.1.188)の調製
a) 1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステルの調製
エチル4,4,4-トリフルオロアセトアセテート(120 g, 0.65 mol)を、650 mlのエタノール中に溶解し、そして溶液を0℃まで冷却した。ホルムアルデヒド(53 g, 0.65 mol)の37 %水溶液を添加し、そして混合物を0℃で15分にわたって撹拌した。メチルヒドラジン(30g、0.65 mol)を添加し、その反応混合物を還流するように加熱した。還流温度に達した後、2.5 mlの濃塩酸を添加し、そして還流を16時間にわたって続けた。続いて、混合物を冷却し、そして溶剤を真空で除去した。残りを水中に取り込み、そして酢酸エチルで抽出した。合体された有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。溶離液として酢酸エチル及びヘキサンを使用したシリカゲル・クロマトグラフィによって、残留油を精製し、90 gの1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステルを産出した。
【0141】
b) 1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製
1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステル(20 g、90 mmol)を400 mlのジオキサン中に溶解した。400 mlの1N水酸化ナトリウム水溶液(0.4 mol)を添加し、そして反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。続いて、混合物を濃塩酸(pH 2)で酸性化した。ジオキサンを真空で除去し、残留物を酢酸エチルで抽出した。合体された有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させ、15 gの1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸を提供し、これは、更なる精製なしで次の工程に直接に使用することができた。
【0142】
c) 1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(2.5g、13 mmol)を、5滴のN,N-ジメチルホルムアミドを含有する20 mlのジクロロメタン中に溶解した。5 mlのジクロロメタン中の塩化オキサリル(1.8 g、14 mmol)の溶液を室温で液滴状に添加した。この混合物を同じ温度で2時間にわたって撹拌し、続いて、20 mlのジクロロメタン中の2-(1,3-ジメチル-ブチル)-3-イルアミン(2.3 g、13 mmol)とトリエチルアミン(2.0 g、20 mmol)との混合物にゆっくりと添加した。室温で16時間にわたって反応混合物を撹拌した後、これを氷上に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。合体された有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。溶離液として酢酸エチル及びヘキサンを使用したシリカゲル・クロマトグラフィによって、残留油を精製し、2.2 gの1-メチル-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸[2-(1,3-ジメチル-ブチル)-チオフェン-3-イル]-アミド(化合物No.1.188)を産出した。
【0143】
例P1:3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(4'-クロロ-ビフェニル-2-イル)-アミド(化合物No.1.006)の調製
a) 3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステルの調製
エチル4,4-ジフルオロアセトアセテート(5.0 g, 30 mmol)を、35 mlのエタノール中に溶解し、そして溶液を0℃まで冷却した。ホルムアルデヒド(2.5 g, 30 mmol)の37 %水溶液を添加し、そして混合物を0℃で15分にわたって撹拌した。メチルヒドラジン(1.4 g、30 mmol)を添加し、その反応混合物を還流するように加熱した。還流温度に達した後、0.5 mlの濃塩酸を添加し、そして還流を16時間にわたって続けた。続いて、混合物を冷却し、そして溶剤を真空で除去した。残りを水中に取り込み、そして酢酸エチルで抽出した。合体された有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。溶離液として酢酸エチル及びヘキサンを使用したシリカゲル・クロマトグラフィによって、残留油を精製し、1.5 gの3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステルを産出した。
【0144】
b) 3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸の調製
3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチルエステル(0.15 g、0.7 mmol)を2 mlのジオキサン中に溶解した。1.5 mlの1N水酸化ナトリウム水溶液(1.5 mmol)を添加し、そして反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。続いて、混合物を濃塩酸(pH 2)で酸性化した。ジオキサンを真空で除去し、残留物を酢酸エチルで抽出した。合体された有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させ、0.1 gの3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸を提供し、これは、更なる精製なしで次の工程に直接に使用することができた。
【0145】
c) 3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(0.1g、0.5 mmol)を、1滴のN,N-ジメチルホルムアミドを含有する2 mlのジクロロメタン中に溶解した。2 mlのジクロロメタン中の塩化オキサリル(78 mg、0.6 mmol)の溶液を室温で液滴状に添加した。この混合物を同じ温度で2時間にわたって撹拌し、続いて、2 mlのジクロロメタン中の4'-クロロ-ビフェニル-2-イルアミン(0.11 g、0.5 mmol)とトリエチルアミン(85 mg、0.8 mmol)との混合物にゆっくりと添加した。室温で16時間にわたって反応混合物を撹拌した後、これを氷上に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。合体された有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして蒸発させた。溶離液として酢酸エチル及びヘキサンを使用したシリカゲル・クロマトグラフィによって、残留油を精製し、40 mgの3-ジフルオロメチル-1-メチル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(4'-クロロ-ビフェニル-2-イル)-アミド(化合物No.1.006)を産出した。
【0146】
下記表1-7に示す化合物は、本発明の化合物を例示する。
【0147】
表Wは、表1を表し(Wが1のとき)、表2を表し(Wが2のとき)、表3を表し(Wが3のとき)、表4を表し(Wが4のとき)、表5を表し(Wが5のとき)、表6を表し(Wが6のとき)、そして表7を表す(Wが7のとき)。
【0148】
【表1】

【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
【表11】

【0159】
【表12】

【0160】
【表13】

【0161】
【表14】

【0162】
【表15】

【0163】
【表16】

【0164】
【表17】

【0165】
【表18】

【0166】
【表19】

【0167】
【表20】

【0168】
【表21】

【0169】
【表22】

【0170】
【表23】

【0171】
【表24】

【0172】
【表25】

【0173】
【表26】

【0174】
【表27】

【0175】
【表28】

【0176】
【表29】

【0177】
【表30】

【0178】
【表31】

【0179】
【表32】

【0180】
【表33】

【0181】
表1は、式(I.a):
【化14】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表1で定義された通りである。
【0182】
表2は、式(I.b):
【化15】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表2で定義された通りである。
【0183】
表3は、式(I.c):
【化16】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表3で定義された通りである。
【0184】
表4は、式(I.d):
【化17】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表4で定義された通りである。
【0185】
表5は、式(I.e):
【化18】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表5で定義された通りである。
【0186】
表6は、式(I.f):
【化19】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表6で定義された通りである。
【0187】
表7は、式(I.g):
【化20】

の200種の化合物を提供し、
上記式中、R4、A及びXは、表7で定義された通りである。
【0188】
物理的データ(融点(℃)):
この記述全体を通して、温度は摂氏で示され;「NMR」は核磁気共鳴スペクトルを意味し;MSは質量スペクトルであり;そして「%」は、対応する濃度が他の単位で示されているのでなければ、重量パーセントである。
【0189】
下記略語はこの記述全体を通して使用される:
m.p.=融点 b.p.=沸点
S=一重線 br=幅
d=二重線 dd=二重線の二重線
t=三重線 q=四重線
m=多重線 ppm=100万当たりの部
表8は、全て溶剤としてCDCl3を有する、表1-7の化合物に関する選択された融点及び選択されたNMRデータを示す(特に断りがなければ、全ての事例において全ての特徴データを挙げようとはしていない)。特に断りがなければ、データは、各化合物のシス/トランス混合物に関する。
【0190】
【表34】

【0191】
式Iの化合物の製剤例:
例F-1.1からF-1.3:乳化可能な濃縮物
【表35】

このような濃縮物を水で希釈することによって、任意の所期濃度のエマルジョンを調製することができる。
【0192】
例F-2:乳化可能な濃縮物
【表36】

このような濃縮物を水で希釈することによって、任意の所期濃度のエマルジョンを調製することができる。
【0193】
例F-3.1からF-3.4:溶液
【表37】

溶液は、ミクロ液滴の形態で使用するのに適している。
【0194】
例F-4.1からF-4.4:顆粒
【表38】

この新規化合物はジクロロメタン中に溶解され、この溶液は担体上に噴霧され、次いで溶剤は、真空下の蒸留によって除去される。
【0195】
例F-5.1及びF-5.2:ダスト
【表39】

全ての成分を密に混合することにより、使用の準備ができたダストが得られる。
【0196】
例F-6.1からF-6.3:湿潤可能な粉末
【表40】

水で希釈して任意の所期濃度の懸濁液にすることができる湿潤可能な粉末をもたらすように、全ての成分を混合し、そして混合物を好適なミル内で十分に粉砕する。
【0197】
例F7:種子処理のための流動可能な濃縮物
表1-6の化合物 40 %
プロピレングリコール 5 %
コポリマーブタノールPO/EO 2 %
10-20モルのEOを有するトリスチレンフェノール 2 %
1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(20 %水溶液の形態) 0.5 %
モノアゾ-顔料カルシウム塩 5 %
シリコーン油(水中75 %エマルジョンの形態) 0.2 %
水 45.3 %
【0198】
微粉砕された活性成分をアジュバントと密に混合し、水による希釈によって任意の所期希釈率の懸濁液をそこから得ることができる懸濁液濃縮物をもたらす。このような希釈物を使用して、生きている植物、並びに植物繁殖体を、微生物の蔓延に対して、スプレー、注入、又は含浸によって処理し防御することができる。
【0199】
生物学的例:殺菌作用
例B-1:プッチニア・レコンジタ(Pucchinia recondita)/小麦(小麦上の褐色のさび)に対する作用
齢1週の小麦植物の品種Arinaを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、試験植物上に胞子懸濁液(1 x 105個の夏胞子/ml)をスプレーすることにより、小麦植物に植菌を施す。20℃及び95 %相対湿度における2日間にわたるインキュベーション後、植物を20℃及び60 %相対湿度で温室内に8日間にわたって保持する。植菌から10日後に疾病発生を評価する。
【0200】
化合物1.006、1.010、1.097、1.117、1.124、1.128、1.133、1.177、及び1.188のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0201】
例B-2:ポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)/リンゴ(リンゴ上のうどん粉病)に対する作用
齢5週のリンゴ苗の品種McIntoshを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、試験植物の上方で、リンゴうどん粉菌を感染させられた植物を振ることにより、リンゴ植物に植菌を施す。14/10時間(明/暗)の光計画下で、22℃及び60 %相対湿度における12日間にわたるインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0202】
化合物1.002、1.006、1.010、1.097、1.124、1.134、及び1.145のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0203】
例B-3:ヴェントゥリア・インエクアリス(Venturia inaequalis)/リンゴ(リンゴ上の黒星病)に対する作用
齢4週のリンゴ苗の品種McIntoshを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、試験植物上に胞子懸濁液(4 x 105個の分生子/ml)をスプレーすることにより、リンゴ植物に植菌を施す。21℃及び95 %相対湿度における4日間にわたるインキュベーション後、植物を21℃及び60 %相対湿度で4日間にわたって温室内に入れる。21℃及び95 %相対湿度におけるさらに4日間のインキュベーション後、疾病発生を評価する。
【0204】
化合物1.002、1.006、1.097、1.117、及び1.145のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0205】
例B-4:エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)/大麦(大麦上のうどん粉病)に対する作用
齢1週の大麦植物の品種Reginaを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、試験植物の上方で、うどん粉菌を感染させられた植物を振ることにより、大麦植物に植菌を施す。20℃/18℃(昼/夜)及び60 %相対湿度で6日間にわたって温室内でインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0206】
化合物1.002、1.010、1.097、1.117、1.124、1.134、及び1.188のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0207】
例B-5:ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)/ブドウ(ブドウ上のボトリティス病)に対する作用
齢5週のブドウ苗の品種Gutedelを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から2日後、試験植物上に胞子懸濁液(1 x 106個の分生子/ml)をスプレーすることにより、ブドウ植物に植菌を施す。21℃及び95 %相対湿度で4日間にわたって温室内でインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0208】
化合物1.006、及び1.145のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0209】
例B-6:ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)/トマト(トマト上のボトリティス病)に対する作用
齢4週のトマト植物の品種Roter Gnomを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から2日後、試験植物上に胞子懸濁液(1 x 105個の分生子/ml)をスプレーすることにより、トマト植物に植菌を施す。20℃及び95 %相対湿度で4日間にわたって成長室内でインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0210】
化合物1.002、1.010、1.124、1.133、1.145、1.173、1.177及び1.188のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0211】
例B-7:セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)/小麦(小麦上のセプトリア斑点病)に対する作用
齢1週の小麦植物の品種Arinaを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、小麦植物上に胞子懸濁液(5 x 105個の分生子/ml)をスプレーすることにより、小麦植物に植菌を施す。20℃及び95 %相対湿度で1日間にわたってインキュベーションを行った後、植物を20℃及び60 %相対湿度で温室内に10日間保持する。植菌から11日後に疾病発生を評価する。
【0212】
化合物1.006を用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0213】
例B-8:ヘルミントスポリウム・テレス(Helminthosporium teres)/オオムギ(オオムギ上の網斑病)に対する作用
齢1週の大麦植物の品種Reginaを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から2日後、試験植物上に胞子懸濁液(3 x 104個の分生子/ml)をスプレーすることにより、大麦植物に植菌を施す。20℃及び95 %相対湿度で4日間にわたって温室内でインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0214】
化合物1.002、1.006、1.010、1.097、1.117、1.124、1.133、1.134、1.145、1.173、1.177及び1.188のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0215】
例B-9:アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)/トマト(トマト上の夏疫病)に対する作用
齢4週のトマト植物の品種Roter Gnomを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から2日後、試験植物上に胞子懸濁液(2 x 105個の分生子/ml)をスプレーすることにより、トマト植物に植菌を施す。20℃及び95 %相対湿度で3日間にわたって成長室内でインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0216】
化合物1.006、1.145及び2.006のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0217】
例B-10:ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)/ブドウ(ブドウ上のうどん粉病)に対する作用
齢5週のブドウ苗の品種Gutedelを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、試験植物の上方で、ブドウうどん粉菌を感染させられた植物を振ることにより、ブドウ植物に植菌を施す。14/10時間(明/暗)の光計画下で、26℃及び60 %相対湿度における7日間にわたるインキュベーションを行った後、疾病発生を評価する。
【0218】
化合物1.002、1.006、1.097、1.117、1.124、1.134、及び1.145のそれぞれを用いて、蔓延は事実上完全に予防される(蔓延率0-5 %)。
【0219】
例B-11:セプトリア・トリティチ(Septoria tritici)/小麦(小麦上のセプトリア斑点病)に対する作用
齢2週の小麦植物の品種Ribandを、製剤された試験化合物(0.02 %活性成分)を用いてスプレー室内で処理する。投与から1日後、小麦植物上に胞子懸濁液(5 x 105個の分生子/ml)をスプレーすることにより、小麦植物に植菌を施す。23℃及び95 %相対湿度で1日間にわたってインキュベーションを行った後、植物を23℃及び60 %相対湿度で温室内に16日間保持する。植菌から18日後に疾病発生を評価する。
【0220】
化合物1.006及び1.145が、この試験において良好な活性を示す(疾病発生率<20 %)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、
R1は、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R2は、C1-4ハロアルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;
R3は、水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、ハロゲン、又はシアノであり;
R4は、水素、C1-4アルキル、CH2CH=CHR4a、CH2C≡CR4b、又はCOR4cであり;
R4a及びR4bはそれぞれ独立して、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C7シクロアルキル、COOC1-C4アルキル、COOC3-C6アルケニル、COOC3-C6アルキニル、又はCNであり;
R4cは、C1-C6アルキル、ハロゲンによって置換されたC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、又はC1-C6ハロアルコキシであり;或いは、C1-C6アルキルチオ、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ;C3-C6アルケニルオキシ、又はC3-C6ハロアルケニルオキシ;C3-C6アルキニルオキシ、又はC3-C6ハロアルキニルオキシであり;
Xは、酸素又は硫黄であり;そして
Aは、以下の基
【化2】

【化3】

【化4】

であり、
式中、
R6は、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4チオアルキル、COO-C1-4アルキル、=N-OH、=N-O-(C1-4アルキル)、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、及び、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC4-8シクロアルケニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、C4-8シクロアルケニル、又はC5-8シクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC6-12ビシクロアルキル、C6-12ビシクロアルケニル、又はC6-12ビシクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいフェニルであり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択され;
或いはR6は、5-6員複素環であり、該複素環はそれぞれ独立して酸素、硫黄、及び窒素から選択された1-3つのヘテロ原子を含有し、該複素環は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルコキシ、C(H)=N-O-(C1-6アルキル)、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、CHO、COOC1-C6アルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルコキシ-C1-C4アルキル、 (Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよく、そして該5-6員複素環の隣接する炭素原子上の2つの置換基が結合して、基-CR6a-CR6a=CR6a-CR6a-を形成してよく、各R6aは独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択され;
或いはR6は、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよく;
或いはR6は、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり;
或いはR6は、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C2-6アルケニルオキシ、C2-6ハロアルケニルオキシ、C2-6アルキニルオキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C1-4アルキル-C3-7シクロアルキルオキシ、C5-7シクロアルケニルオキシ、又はC1-4アルキル-C5-7シクロアルケニルオキシであり;
Zは、C1-4アルキレンであり;
pは、0又は1であり;
R25は、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、C1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキル、又はSi(C1-4アルキル)3であり;
R26及びR27はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであり;
R28は、水素、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであり;
Ra、Rb、Rc、及びRdはそれぞれ独立して、水素、又は1-6つの置換基によって置換されてよいC1-4アルキルであり、それぞれの置換基は独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシ、エトキシ、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ及びトリフルオロチオメトキシから選択され;
Cyは、飽和型、不飽和型、又は芳香族であってよく、そして環員としてケイ素原子を含有してよい炭素環式又は複素環式3-7員環であり、(CRaRb)m及び(CRcRd)nは、Cyの同じ炭素原子又はケイ素原子に結合されるか、又は1、2、3つの環員によって分離された異なる原子に結合されてよく、該炭素環式又は複素環式3-7員環は、それぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ及びハロ-C1-4アルコキシから選択された1-6つの置換基によって置換されてよく;
Y1は、Si(Op1Z1)(OqZ2)(OsZ3)であり、そしてCyが環員としてケイ素元素を含有するならば、Y1は水素であってもよく;
Z1及びZ2は、独立してメチル又はエチルであり;
Z3は、O、S、及びNから選択された1つのヘテロ原子によって中断されてよいC1-4アルキル又はC2-4アルケニル基であり、そして該C1-4アルキル又はC2-4アルケニル基は、独立して選択された1-3つのハロゲン原子によって置換されてよく;
m及びnは、それぞれ独立して0、1、2又は3であり;
p1、q、及びsは、それぞれ独立して0又は1であり;
R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR12aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、又はC1-4チオハロアルキルであり;
R13、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C(O)CH3、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、C1-4チオハロアルキル、ヒドロキシメチル、又はC1-4アルコキシメチルであり;
Qは、単結合又は二重結合であり;そして
Yは、O、N(R18)、S、又は(CR19R20)(CR21R22)m1(CR23R24)n1であり;
R18は、水素、C1-4アルキル、ホルミル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又は、ハロゲン又はC1-4アルコキシによって置換されてよいC(=O)C1-4アルキル、又は、ハロゲン、C1-4アルコキシ又はCNによって置換されてよいC(=O)0-C1-6アルキルであり;
R19、R20、R21、R22、R23、及びR24はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルキル、又は、ハロゲン、ヒドロキシ、=O、C1-4アルコキシ、O-C(O)-C1-4アルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、フルオレニル、インダニル又は3-7員炭素環(それ自体は1-3つのメチル基によって置換されてよい)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC1-6アルケニル、又は窒素及び酸素から選択された1つのヘテロ原子を含有してよい3-7員炭素環であり、そして該3-7員炭素環は、1-3つのメチル基によって置換されてよく;
又はR19R20は、これらが結合された炭素原子と一緒に、カルボニル基、1-3つのメチル基によって置換されてよい3-5員炭素環、1-3つのメチル基によって置換されてよいC1-6アルキリデン、又は1-3つのメチル基によって置換されてよいC3-6シクロアルキリデンを形成し;
m1は、0又は1であり;
n1は、0又は1であり;
R13aは、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-C4アルキル、C2-C4アルケニル、又はC2-C4アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-C4アルコキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、C1-C4アルキルチオ、C1-C4ハロアルキルチオ、HC(OR29)=N-、及びR30R31NN=C(H)-から選択され;
R29、R30、及びR31は互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであり;
R13bは、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-C6アルキル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-C4アルコキシカルボニル、ホルミル、ニトロ、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ、C1-C4アルキルチオ、C1-C4ハロアルキルチオ、HC(OR32)=N-、及びR33R34NN=C(H)-から選択され;
R32、R33、及びR34は互いに独立して、水素又はC1-C4アルキルであり;
R13cは水素又はハロゲンである)、
化合物、及び該化合物の互変異性体/異性体/鏡像異性体。
【請求項2】
前記式中、
R2は、C1-4ハロアルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(C1-4)アルキル、又はC1-4ハロアルコキシ(C1-4)アルキルであり;そして、
R6は、1-6つの置換基によって置換されてよいC1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニル基であり、それぞれの置換基が独立してハロゲン、シアノ、C1-4アルコキシ、C1-4チオアルキル、COO-C1-4アルキル、=N-OH、=N-O-(C1-4アルキル)、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、及び、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC4-8シクロアルケニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル、C4-8シクロアルケニル、又はC5-8シクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC6-12ビシクロアルキル、C6-12ビシクロアルケニル、又はC6-12ビシクロアルカジエニル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、及びC1-4ハロアルキルから選択され;
或いはR6は、1-3つの置換基によって置換されてよいフェニルであり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH、C(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択され;
或いはR6は、5-6員複素環であり、該複素環はそれぞれ独立して酸素、硫黄、及び窒素から選択された1-3つのヘテロ原子を含有し、該複素環は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C(H)=N-O-(C1-6アルキル)、及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)、C2-5アルケニル、C2-5アルキニル、CHO、COOC1-C6アルキル、C1-C4アルコキシ-C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルコキシ-C1-C4アルキル、(Z)pC≡CR25、(Z)pCR28≡CR26CR27、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいフェニル、及び、それ自体がそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C(H)=N-OH、C(H)=N-O(C1-6アルキル)、C(C1-6アルキル)=N-OH及びC(C1-6アルキル)=N-O-(C1-6アルキル)から選択された1-3つの置換基によって置換されてよいチエニルから選択された1-3つの置換基によって置換されてよく、
或いはR6は、3-13個の炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子とを含有する脂肪族飽和型又は不飽和型基であり、該脂肪族基が、それぞれ独立して酸素、窒素及び硫黄から選択された1-3つのヘテロ原子を含有してよく、そして該脂肪族基は、独立して選択された1-4つのハロゲン原子によって置換されてよく;
或いはR6は、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Y1であり;
或いはR6は、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C2-6アルケニルオキシ、C2-6ハロアルケニルオキシ、C2-6アルキニルオキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、C1-4アルキル-C3-7シクロアルキルオキシ、C5-7シクロアルケニルオキシ、又はC1-4アルキル-C5-7シクロアルケニルオキシである、
請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
前記式中、AはA1である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
前記式中、R6は、
【化5】

の形態の基(ここでR7b及びR7cは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR8b及びR9bは互いに独立して、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルである)であるか、又は
【化6】

の形態の基(R7d及びR7eは互いに独立して、水素、C1-C3アルキル、又はC1-C3ハロアルキルであり、そしてR10b及びR11bは互いに独立して、水素又はハロゲンであり、そしてn2は1又は2である)である、
請求項3に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
前記式中、R4は水素である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記式中、R6は、1-3つの置換基によって置換されてよいC3-8シクロアルキル基であり、該置換基がそれぞれ独立してハロゲン、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-4チオアルキル、それ自体がそれぞれ独立してC1-4アルキル、ハロゲン、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択された1-3つの置換基によって置換されてよいC3-6シクロアルキル、及び、独立して選択された1-5つのハロゲン原子によって置換されてよいフェニルから選択される、請求項3に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
前記式中、R4は水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
植物病原性微生物の、有用植物への蔓延を制御又は予防する方法であって、請求項1に記載の式Iの化合物、又は該化合物を活性成分として含む組成物が、該植物、該植物の一部又は該植物の場所に投与される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の式Iの化合物と不活性担体とを含む、植物病原性微生物に対する制御及び防御のための組成物。

【公表番号】特表2009−501742(P2009−501742A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521863(P2008−521863)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007001
【国際公開番号】WO2007/009717
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】