説明

殺微生物活性を有するケイ素化合物

本発明は、式(I):


(式中、XはO又はSであり;RINGはフェニル又はチエニルであり;Hetは、ヘテロ原子を1〜3個含む5員又は6員ヘテロ環であり、各々は独立して、酸素、窒素、イオウから選択され、当該環は、1〜4個の基R4により置換され;R1は、水素、任意に置換された(C1-4)アルキル、ホルミル、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)O、任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたプロパルギル又は任意に置換されたアレニルであり;各R2は、独立して、ハロゲン、任意に置換された(C1-4)アルキル、任意に置換された(C1-4)アルコキシ又は任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキル;R3は(CRaRb)m-Cy-(CRcRd) n-Yであり;各R4は、独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキル及びシアノから選択され;Ra、Rb、Rc及びRdは各々、独立して、水素又は任意に置換された(C1-4)アルキルであり;Cyは飽和、不飽和又は芳香族で有って良く且つ環の構成員として任意にケイ素原子を含む任意に置換された3〜7員の炭素環又は複素環であり; (CRaRb)m及び(CRcRd)nは、Cyの同じ炭素又はケイ素原子に対して又は1、2又は3個の環構成員によって分離された異なる原子に対してのいずれかで結合して良く;YはSi(OpZ1)(OqZ2)(OsZ)であり、そしてCyはケイ素原子を環の環構成員として含み、そしてYは水素であっても良く;ZはC1-4アルキル又は2〜4アルケニル(その各々は、O、S及びNから選択された1個のヘテロ原子によって任意に中断されており且つ1〜3個の独立して選択されたハロゲン原子によって任意に置換されている)であり;Z及びZ2は、独立して、メチル又はエチルであり; m及びnは、各々独立して、0、1、2又は3であり; p、q及びsは各々独立して、0又は1であり;そしてrは0、1又は2である;又はそのN-酸化物;但しYは、mとnがどちらも0であり且つRINGとCyがどちらもフェニルである場合、トリ(C1-4)アルキルシリルではない)の殺真菌化合物;又はそのN-酸化物;植物病原性微生物、好適には真菌による植物の感染症をコントロールもしくはするための農業もしくは農芸化学における活性成分もしくは組成物を少なくとも1種の新規化合物を含んで成る組成物に関連する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、殺微生物活性、特に殺真菌活性を有する新規ケイ素含有アミド誘導体に関連する。本発明は、これらの化合物の調製において使用される新規中間体に、活性成分として新規化合物を少なくとも1種含む農芸化学組成物に、そして植物病原性微生物、好適に真菌による植物の感染症をコントロールもしくは予防するための農業もしくは園芸学における活性成分もしくは組成物の使用に関連する。
【0002】
下に詳細を示したようにケイ素含有置換基によって置換された所定のフェニルアミド及びチオフェンアミドがW098/52944に開示されている。
【0003】
本発明は、式(I):
【化1】

(式中、
XはO又はSであり;
RINGはフェニル又はチエニルであり;
Hetは、各々が独立して、酸素、窒素、イオウから選択されるヘテロ原子を1〜3個含む5員又は6員ヘテロ環であり、当該環は、1〜4個の基R4により置換され;
R1は、水素、任意に置換された(C1-4)アルキル、ホルミル、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)O、任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたプロパルギル又は任意に置換されたアレニルであり;各R2は、独立して、ハロゲン、任意に置換された(C1-4)アルキル、任意に置換された(C1-4)アルコキシ又は任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキル;R3は(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Yであり;各R4は、独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキル及びシアノから選択され;Ra、Rb、Rc及びRdは各々、独立して、水素又は任意に置換された(C1-4)アルキルであり;Cyは飽和、不飽和又は芳香族で有って良く且つ環の構成員として任意にケイ素原子を含む任意に置換された3〜7員の炭素環又は複素環であり; (CRaRb)m及び(CRcRd)nは、Cyの同じ炭素又はケイ素原子に対して又は1、2又は3個の環構成員によって分離された異なる原子のいずれかに対して結合して良く;YはSi(OpZ1)(OqZ2)(OsZ)であり、そして但しCyはケイ素原子を環の環構成員として含み、そしてYは水素であっても良く;ZはC1-4アルキル又はC2-4アルケニル(その各々は、O、S及びNから選択された1個のヘテロ原子によって任意に中断されており且つ1〜3個の独立して選択されたハロゲン原子によって任意に置換されている)であり;Z1及びZ2は、独立して、メチル又はエチルであり; m及びnは、各々独立して、0、1、2又は3であり; p、q及びsは各々独立して、0又は1であり;そしてrは0、1又は2である;又はそのN-酸化物であり;但しYは、mとnがどちらも0であり且つRINGとCyがどちらもフェニルである場合、トリ(C1-4)アルキルシリルではない)
の化合物を提供する。
【0004】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好適にフッ素、塩素又は臭素である。
【0005】
各アルキル成分は、枝分かれした又は枝分かれしておらず、そして例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソ-プロピル、sec-ブチル、イソ-ブチル又はtert-ブチルである。
【0006】
各アルケニル成分は、枝分かれした又は枝分かれしていない。
【0007】
各アルケニル成分は、適宜、(E)-又は(Z)-配置のいずれかでありうる。
【0008】
アルキル成分、アリル、プロパルギル及びアレニル上の各任意の置換基は、存在する場合、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシ、エトキシ、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びトリフルオロメチルチオから選択され、本発明の代わりの観点において、アルキル成分、アリル、プロパルギル及びアレニル上の任意の置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシ、エトキシ、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びトリフルオロチオメトキシから選択される。
【0009】
Cy上の各任意の置換基は、存在する場合、独立して、ハロゲン、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C1-4)アルコキシ及びハロ(C1-4) アルコキシから選択される。
【0010】
好適にXは、酸素である。
【0011】
好適に、「RING」がチエニルである場合、N (R1) CXHet基は3位で結合されている。
【0012】
Hetがピラゾリル、ピロリル、チオフェニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、5.6-ジヒドロピラニル又は 5.6-ジヒドロ-1.4-オキサチイニル(一層好適に、ピラゾリル、ピロリル、チオフェニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、5.6-ジヒドロピラニル又は5.6-ジヒドロ-1.4-オキサチイニルであり;最も好適にピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、1,2,3-トリアゾリル又はピリジニル)であり、各々1〜3個の基R4により置換され且つ炭素原子を介して基C (=X)-N(R1)に連結していることが好適である。
【0013】
好適に、R1は水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、CH3C(=0)、C2H2C(=0)又はCH3OCH2C(=O)であり;一層好適に水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、CH3C(=O)又はC2H5C(=O)である。
【0014】
最も好適に、R1は水素である。
【0015】
好適に各R2は、独立して、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される。
【0016】
好適に、各R4は、独立して、ハロゲン、メチル、CF3、CF2H、CH2F、CF2Cl及びCH2OCH3である。
【0017】
好適に、二重結合により隣接する原子の1つに結合していないHet環中の窒素原子は、独立して、置換されていないかあるいはR4によって置換されており(一層好適に、それらは独立してR4によって置換されている); ここで各R4は独立して、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びメトキシメチレンから選択されており;一層好適に、C1-2アルキル、CF3、CF2C1、CHF2、CH2F及びメトキシメチレンから;更に一層好適に、メチル、CHF2及びメトキシメチレンから選択されており; そして最も好適にメチルである。
【0018】
好適に、基C (=X)-N(R1)により置換された原子に結合していないHet環中の炭素原子は、独立して、置換されていないかあるいはR4によって置換されており; ここでかかるR4は独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル及びメトキシメチレンから選択されており;一層好適に、クロロ、メトキシメチレン、CH3、CHF2及びCF3から;そして一層更に好適にCH3、CHF2及びCF3から選択される。
【0019】
基C(=X)-N(R1)によって置換された原子に結合したHet環中の1又は2個の炭素原子があって良く、好適に、これらの炭素原子の1つは、R4 によって置換され、R4は独立して、ハロゲン、C1-3アルキル及びC1-3ハロアルキルから選択されており;一層好適にクロロ、フルオロ、ブロモ、C1-2アルキル、CF3、CF2Cl、CHF2及びCH2Fから;そして一層好適に、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、CF3、CHF2及びCH2Fから選択される。好適にCXNR1によって置換された原始に結合する第2の炭素原子は、もし存在すれば、好適に、独立して、ハロゲンから選択されており;一層好適に、フッ素及び塩素から選択される。
【0020】
好適に、(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Yは「RING」へ、N(R1)C(=X)Het基を担持する炭素に隣接(オルト)する炭素において結合している。
【0021】
好適にRa、Rb、Rc及びRdは独立して、水素又はメチル、一層好適に、水素である。
【0022】
Cyがシラサイクル(silacycle)である場合[即ち、それがケイ素原子を環構成員として含む場合]、mが0又は1(一層好適に0)、nが1又は2(一層好適に1)であり且つYが水素であることが好適である。
【0023】
Cyがシラサイクルではない場合、mが好適に0又は1 (一層好適に0)であり且つnが好適に0、1又は2であることが好適である。
【0024】
好適にCyは、最大4個の置換基 (好適に、各置換基は、独立して、C1-4アルキル;一層好適に、各々はメチルである)により任意に置換された飽和3-7員炭素環、最大4個の置換基(好適に、各々の置換基は、独立して、C1-4アルキル;一層好適にメチルである)により任意に置換された二重結合を1個有する5-7員炭素環環 (好適に、これら各置換基は、独立して、C1-4アルキル、C2-4アルケニル及びC1-4アルコキシから選択され;一層好適に、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、アリル、ビニル、メトキシ及びエトキシから選択される)4-7員飽和又は不飽和シラサイクルであるかあるいはCyはフェニル、チオフェニル、フリル又はピリジニルであり、各々は、最大4個の置換基(各々は、好適に、ハロゲン、メチル、メトキシ又はトリフルオロメトキシである)により任意に置換される。
【0025】
一層好適に、Cyは、以下の環から選択される:
【化2】

【0026】
Cy1、Cy2、Cy4、Cy5、Cy7、Cy8、Cy11、Cy12、Cy13、Cy16、Cy20、Cy21及びCy22の対称性は、矢印が成分(CRaRb)mに対する結合を示さないことを意味し且つ矢印が成分 (CRcRd)nに対する結合を示さないことを意味する。しかし、Cy3、Cy6、Cy9、Cy10、Cy14、Cy15、Cy17、Cy18、Cy19、Cy23及びCy24は、対称性ではなく且つそれ故に、矢印が成分(CRaRb)mに対する結合を示すことを意味し且つ矢印が成分(CRcRd)nに対する結合を示すことを意味し;Cyのこれら値について、「a」と標識された矢印は成分(CRaRb)mに対する結合を示すことが好適であり[それ故、「b」と標識された矢印は成分(CRcRd)nに対する結合を示す]。本明細書中、Cy3aは、基Cy3aであり、ここで矢印「a」は、成分(CRaRb)mに対する結合を示し;一方でCy3bは、基Cy3であり、ここで矢印「b」は成分(CRaRb)mに対する結合を示す。同じことが、必要な変更を加えて、Cy6、Cy9、Cy10、Cy14、Cy15、Cy17、Cy18、Cy19、Cy23及びCy24にあてはまる。全ての場合、「a」集団は好適に「b」集団に対応する。
【0027】
好適、Z1はメチルである。
【0028】
好適に、Z2はメチルである。
【0029】
好適に、ZはC1-4アルキル;一層好適に、メチルである。
【0030】
好適に、pは0である。
【0031】
好適に、qは0である。
【0032】
好適に、rは0又は1であり;一層好適にrは0である。
【0033】
好適に、sは0である。
【0034】
式(1)の化合物がN-酸化物である場合、Hetが1〜3個の基R4によって置換されたピリジニルであることが好適である。
【0035】
本明細書中の記載全体に渡り、Meは、メチル基を示すために使用されている。同様に、Etはエチル基を示すために使用されている。
【0036】
式(II)の化合物
【化3】

(式中、RING、r、R2及びR3は、上で規定されたとおりであり、そしてAはNH2、NHCH(O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH、任意に置換された(C1-4)アルキルOC(=O)NH、ハロゲン、NO2、OSO2CF3又はN=C (C6H5)2である)
は、式(I)の化合物の調製において中間体として有用である。
【0037】
式(II)の化合物(式中、R3がAに対してオルトの位置において炭素原子へ結合している)は、式(I)の化合物を調製するための中間体として好適である。
【0038】
従って、他の観点において、本発明は、式(II)(式中、RING、r、R2及びR3は上に規定したとおりであり且つAはNH2、NHCH(O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH、任意に置換された(C1-4)アルキルOC (=O)NH、Br、I、NO2、OSO2CF3又はN=C(C6H5)2でありそしてR3は、Aに対してオルトの位置において炭素原子に結合している)の化合物を提供する。
【0039】
式(I)及び(II)の化合物は、様々な幾何異性体もしくは光学異性体としてもしくは様々な互変異性体として存在しうる。本発明は、全てかかる異性体及び互変異性体及びそれらの混合物を全ての割合において並びに重水素化化合物などの同位体形態を網羅する。
【0040】
下の表1〜29における化合物は、本発明の特に好適に化合物を示し、ここでR5、R6及びR7は、独立して、例えば、上に定義したとおりR4である。
【0041】
表Aaは、表1a(Aが1である場合)を示し、表2a(Aが2である場合)を示し、表3a (Aが3である場合)を示しそして表4a(Aが4である場合)を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
表Abは、表1b(Aが1である場合)を示し、表2b(Aが2である場合)を示し、表3b(Aが3である場合)を示し、そして表4b(Aが4である場合)を示す。
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
表1aは、式(Ia) (式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表1aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0050】
表1bは、式(Ia) (式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表1bに定義されたとおりである)の39化合物を提供する。
【0051】
【化4】

【0052】
表2aは、式(Iaa)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表2 aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0053】
表2bは、式(Iaa)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表2bに定義されたとおりである)の39化合物を提供する。
【0054】
【化5】

【0055】
表3aは、式(Ib)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表3aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0056】
表3bは、式(Ib)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表2bに定義されたとおりである)の39化合物を提供する。
【0057】
【化6】

【0058】
表4aは、式(Ibb)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表4aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0059】
表4bは、式(Ibb)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表4bに定義されたとおりである)の39化合物を提供する。
【0060】
【化7】

【0061】
表Baは、表5a(Bが5である場合)を示し、表6a(Bが6である場合)を示し、表7a(Bが7である場合)を示し、そして表8a(Bが8である場合)を示し、表9a(Bが9である場合)を示しそして表10a(Bが10である場合)示す。
【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

【0066】
表Baは表5b(Bが5である場合)を示し、表6b(Bが6である場合)を示し、表7b(Bが7である場合)を示し、表8b(Bが8である場合)を示し、表9b(Bが9である場合)を示しそして表10b(Bが10である場合)を示す。
【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
表5aは式(Ic)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、X及びYは表5aに規定されたとおりである)の99化合物を提供する。
【0070】
表5bは、式(Ic)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表5bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0071】
【化8】

【0072】
表6aは、式(Icc)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表6aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0073】
表6bは、式(Icc)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表2bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0074】
【化9】

【0075】
表7aは、式(Id)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表7aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0076】
表7bは、式(Id)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表7bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0077】
【化10】

【0078】
表8aは、式(Idd)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表8aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0079】
表8bは、式(Ib)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表8bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0080】
【化11】

【0081】
表9aは、式(Ie)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表9aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0082】
表9bは、式(Ie)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表9bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0083】
【化12】

【0084】
表10aは、式(Iee)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表8aに定義されたとおりである)の98化合物を提供する。
【0085】
表10bは、式(Iee)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7 Y及びXは表8bに定義されたとおりである)の40化合物を提供する。
【0086】
【化13】

【0087】
表Caは表11a(Cが11である場合)を示し、表12a(Cが12である場合)を示し、表13a(Cが13である場合)を示し、表14a(Cが14である場合)を示す。
【0088】
【表13】

【0089】
【表14】

【0090】
【表15】

【0091】
【表16】

【0092】
表Cbは表11b(Cが11である場合)を示し、表12b(Cが12である場合)を示し、表13b(Cが13である場合)を示し、表14b(Cが14である場合)を示す。
【0093】
【表17】

【0094】
【表18】

【0095】
表11aは、式(If)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表11aに定義されたとおりである)の80化合物を提供する。
【0096】
表11bは、式(Ib)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表11bに定義されたとおりである)の38化合物を提供する。
【0097】
【化14】

【0098】
表12aは、式(Iff)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表12aに定義されたとおりである)の80化合物を提供する。
【0099】
表12bは、式(Iff)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表12bに定義されたとおりである)の38化合物を提供する。
【0100】
【化15】

【0101】
表13aは、式(Ig)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表13aに定義されたとおりである)の80化合物を提供する。
【0102】
表13bは、式(Ig)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表13bに定義されたとおりである)の38化合物を提供する。
【0103】
【化16】

【0104】
表14aは、式(Igg)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表14aに定義されたとおりである)の80化合物を提供する。
【0105】
表14bは、式(Igg)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表8bに定義されたとおりである)の38化合物を提供する。
【0106】
【化17】

【0107】
表Daは表15a(Dが15である場合)を示し、表16a(Dが16である場合)を示し、表17a(Dが17である場合)を示し、表18a(Dが18である場合)を示し、表19a(Dが19である場合)を示しそして表20a(Dが20である場合)を示す。
【0108】
【表19】

【0109】
【表20】

【0110】
【表21】

【0111】
表Dbは表15b(Dが15である場合)を示し、表16b(Dが16である場合)を示し、表17b(Dが17である場合)を示し、表18b(Dが18である場合)を示し、表19b(Dが19である場合)を示しそして表20b(Dが20である場合)を示す。
【0112】
【表22】

【0113】
【表23】

【0114】
表15aは、式(Ih)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表15aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0115】
表15bは、式(Ih)(式中、R1、m、n、Cy、R5、YY及びXは表15bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0116】
【化18】

【0117】
表16aは、式(Ihh)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、R7、Y及びXは表16aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0118】
表16bは、式(Ib)(式中、R1、m、n、Cy、R5、R6、Y及びXは表16bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0119】
【化19】

【0120】
表17aは、式(Ij)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表17aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0121】
表17bは、式(Ij)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表17bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0122】
【化20】

【0123】
表18aは、式(Ijj)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表18aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0124】
表18bは、式(Ijj)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表18bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0125】
【化21】

【0126】
表19aは、式(Ik)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表19aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0127】
表19bは、式(Ik)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表19bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0128】
【化22】

【0129】
表20aは、式(Ikk)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表20aに定義されたとおりである)の81化合物を提供する。
【0130】
表20bは、式(Ijj)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表20bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0131】
【化23】

【0132】
表Eaは表21a(Eが21である場合)を示し、表22a(Eが22である場合)を示し、表23a(Eが23である場合)を示し、表24a(Eが24である場合)を示し、表25a(Eが25である場合)を示しそして表26a(Dが26である場合)を示す。
【0133】
【表24】

【0134】
【表25】

【0135】
【表26】

【0136】
表Ebは表21b(Eが21である場合)を示し、表22b(Eが22である場合)を示し、表23b(Eが23である場合)を示し、表24b(Eが24である場合)を示し、表25b(Eが25である場合)を示しそして表26b(Eが26である場合)を示す。
【0137】
【表27】

【0138】
【表28】

【0139】
表21aは、式(Im)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表21aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0140】
表21bは、式(Im)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表12bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0141】
【化24】

【0142】
表22aは、式(Imm)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表22aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0143】
表22bは、式(Ig)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表22bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0144】
【化25】

【0145】
表23aは、式(In)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表23aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0146】
表23bは、式(In)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表23bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0147】
【化26】

【0148】
表24aは、式(Inn)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表24aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0149】
表24bは、式(Inn)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表24bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0150】
【化27】

【0151】
表25aは、式(Io)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表25aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0152】
表25bは、式(Io)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表25bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0153】
【化28】

【0154】
表26aは、式(Ioo)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表26aに定義されたとおりである)の83化合物を提供する。
【0155】
表26bは、式(Ioo)(式中、R1、m、n、Cy、R5、Y及びXは表26bに定義されたとおりである)の36化合物を提供する。
【0156】
【化29】

【0157】
表27aは、式(Ip)(式中、m、n、Cy、R2、R7及びYは表27aに定義されたとおりである)の72化合物を提供する。
【0158】
表27bは、式(Ip)(式中、m、n、Cy、R2、R7及びYは表27bに定義されたとおりである)の24化合物を提供する。
【0159】
【化30】

【0160】
【表29】

【0161】
【表30】

【0162】
【表31】

【0163】
【表32】

【0164】
表Faは表28a(Fが28である場合)を示し、表29a(Fが29である場合)を示す。
【0165】
【表33】

【0166】
【表34】

【0167】
【表35】

【0168】
【表36】

【0169】
表Fbは表28b(Fが28である場合)を示し、表29b(Fが29である場合)を示す。
【0170】
【表37】

【0171】
表28aは、式(IIa)(式中、A、m、n、Cy及びYは表28aに定義されたとおりである)の90化合物を提供する。
【0172】
表28bは、式(IIa)(式中、A、m、n、Cy及びYは表28bに定義されたとおりである)の34化合物を提供する。
【0173】
【化31】

【0174】
表29aは、式(IIb)(式中、A、m、n、Cy及びYは表29aに定義されたとおりである)の90化合物を提供する。
【0175】
表29bは、式(IIb)(式中、A、m、n、Cy及びYは表29bに定義されたとおりである)の34化合物を提供する。
【0176】
【化32】

【0177】
本明細書中全体に渡り、温度は℃で与えられており;「NMR」とは核磁気共鳴を意味し;MSはマススペクトルを表し;「%」は対応する濃度が他の単位で表されていない限り重量%であり;特異的な回転がナトリウムラインの波長における程度で与えられており且つ特異的な濃度、cで引用されており、溶媒は特に断らない限りテトラヒドロフランである。
【0178】
以下の略語は本明細書全体に渡り使用されている:
m. p. =融点 b. p. =沸点
s =シングレット br =ブロード
d =ダブレット dd=ダブレットのダブレット
t =トリプレット q =クオタレット
m=マルチプレット ppm=百万分率
qd=ダブルクオタレット sext=セクステット
【0179】
表30は、表1〜29の化合物について、溶媒としてCDCl3(特に断りない限り;もし溶媒の混合物が存在すれば、これは例えば、(CDCl3/d6-DMSO)として示される)及び特徴的なマススペクトルシグナル(全ての場合に全ての特徴的なデータを列挙する試みはなされていない)を伴う選定の融点及び選定のNMRデータを示す。
【0180】
【表38】

【0181】
【表39】

【0182】
【表40】

【0183】
本発明の化合物は、以下の反応スキームにより調製されて良く、ここで特に断りがない限り、各可変物の定義は、式(I)の化合物について規定したとおりである。
【0184】
式(I)の化合物を調製するための多くの代替法がある。
【0185】
方法A
式(I)の化合物は、式(II)[AはNH2、NHCH(O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH又は任意に置換された(C1-4)アルキルOC(=O)NHである]の化合物を式Het-C(=O)OR'[式中R'はC1-5アルキルである]の化合物と、強塩基[例えばNaH又はナトリウムヘキサメチルジシラザン]の存在下、無水極性溶媒[好適にTHF]中且つ-10℃〜当該溶媒の沸点[好適に周囲温度で]反応させることによって調製されて良い。J.Wangらによる記事[Synlett 2001,1485]は類似物調製の詳細を提供する。AがNHCH(O)である場合、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH又は任意に置換された(C1-4)アルキルOC(=O)NH;及び式(1)(式中、R1はHである)が所望され、下記方法Eの加水分解が続かなければならない。
【0186】
方法B
式(I)の化合物は、式(II)の化合物[式中Aは方法Aで規定したとおりである]を式Het-C(=O)R"[式中、R"はOH又は脱離基の例えば、Cl、Br、F又はOC(=O)C1-4アルキルである]の化合物と不活性有機溶媒[例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジオキサン、THF又はDMF]中で且つ-10℃〜当該溶媒の沸点[好適に周囲温度]で反応させることにより調製されて良い。もしR"がOHであれば、この反応は活性剤[例えば、BOP-Cl]及び2当量の塩基[例えば、第三アミン、無糖炭酸塩又は炭酸水素である]である。代替的に、もしR"が脱離基であれば、この反応は、少なくとも1当量の塩基[例えば、ピリジン、第三アミン、無機炭酸塩又は炭酸水素;より強力な塩基、例えば、NaH又はナトリウムヘキサメチルジシラザンが、AがNHCH(O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH又は任意に置換された(Cl)アルキルOC(=O)NHである場合に使用される]の存在下で行われる。もし、式(1)の化合物(式中、R1はHである)が所望されるなら、方法Eによる加水分解が続かなければならない。
【0187】
方法C
式(I)[式中R1は上に規定したとおりであるが水素ではない]の化合物は、式(I) [式中R1は水素である]と式R1-L1[式中Rlは上記のとおりであるが水素ではない;及びL1は脱離基の例えば、Cl、Br、I、スルホネート(例えば、メシレート又はトリシレート)又はOC(O)C1-4アルキルである]の化合物を、溶媒[例えば、ハロゲン化溶媒(例えばジクロロメタン)、エーテル、酢酸エチル、DMF又は更に水(例えば、二相性混合物、任意に相転移触媒の例えば、テトラブチルアンモニウム硫酸水素)]中且つ塩基[例えば、第三アミン、炭酸アルカリ、アルカリ重炭酸塩又はNaH;しかしL1がO(CO)C1-4アルキルである場合、塩基を伴うことなく単に加熱可能である]の存在下で反応させることにより調製されて良い。
【0188】
方法D
式(I)の化合物は、式(II)[Aはハロゲン、好適にブロモ又はヨード]の化合物と式Het-C(=O)NH2の化合物をCu(I)化合物及び非プロトン性溶媒[例えば、環状エーテル、例えばジオキサン]の存在下、高温で且つ好適に還流温度で反応させることによって調製されて良い。CuIを2%〜100%mol/molで、式(II)の化合物に対して、リガンド形成物質としての1,2-ジアミン(例えば、1,2-ジアミノシクロヘキサン又はエチレンジアミン)及び少なくとも1当量の塩基(例えば、炭酸アルカリ又はリン酸アルカリ)の存在下で反応させることによって調製されて良い。A. Klaparsらによる記事J. Am. Chem. Soc. 123,7727 (2001)は類似物調製の詳細を提供する。
【0189】
方法E
式(I)[式中R1はHである]の化合物は、式(1)[式中R1は上記のとおりであるが、Hではない]の化合物から酸性又はアルカリ性加水分解によって調製されて良い。この目的のために、化合物は、周囲温度又は高温において、水と混合可能である適切な溶媒[例えば THF、ジオキサン、低級アルコール又は水自体]中の水性酸又は塩基の、例えばHCl、HBr又は有機水酸化物[例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムである]で処理されて良い。
【0190】
方法F
式(I)[式中、R1はHである]の化合物は、式(II)[AはN=C(C6H5)2]の化合物から、AをNH2へと、例えばJ. Ahman et al. Tetrahedron Letters 38, 6363(1997)により記載された方法及び先の方法A又は方法Bにより、好適に中間体の単離又は精製を伴わずに転換することによって調製されて良い。
【0191】
ベンゼン環又はチオフェン環上での更なる置換基を有さない式(III)又は(IV)(R3は上記のとおり)の多くの化合物が文献に記載されている。
【0192】
【化33】

【0193】
式(II)の化合物は、適切な官能基を式(III)又は(IV)の化合物へと導入すること及びもし必要ならそれを所望の官能基Aに転換することのいずれかによって調製されて良い。代替的に、及び好適に、式(II)の化合物は、化合物 (III)及び(IV)を調製するための刊行物の方法に類似する方法によって調製されて良く、この方法において、出発物質は適切な置換基A'を適当な位置に有し;これらの化合物は、(IIIa)及び(IVa)に言及される。往々にして、試薬の反応条件及び化学量論は、更なる置換基A'が適合するように修飾されなければならない。
【0194】
以後、A'(もし所望されれば)は、公知の方法によりAへと転換されて式(II)の化合物を生じる。好適な合成戦略は以下のスキームに描かれておりそして更に以下に記載されている。
【0195】
【化34】

【0196】
段階1:
式(II'a)の化合物を調製するための適切な出発物質を伴い修飾された条件下で使用されて良い式(III)の化合物を調製するためのいくつかの適切な方法が以下の刊行物に記載されている: J. Org. Chem. 65,8919 (2000); Tetrahedron 49,8487 (1993); J. Org. Chem. 51,2206 (1986), J. Org. Chem. 56,3109 (1991); Acta chem. Scand. 53,493 (1999); J. Am. Chem. Soc. 123,10899 (2001); Org. Lett. 4,2225 (2002); Tetrahedron 57,2847 (2001) ; Tetrahedron Letters 42,6137 (2001); Tetrahedron Letters 36,3119 (1995); EP 696592 ; EP 713878; FR 2689893; Bull. Chem. Soc. Jpn. 64,1461 (1991); W09214692 ; J. Org. Chem. 67,6869 (2002); Pesticide Science 52, 138 (1998) ; Izv. Akad. Nauk, Ser. Khim. 1996,955 ; 1995,2475 ; ); Tetrahedron Letters 33,2295 (1992); Organometallics 11, 1428 (1992) ; 10,528 (1991) ; Ann. Chem. 1979,1915 ; J. Orgmet. Chem. 341,133 (1988); Zeitschrift f. Anorg. Allg. Chem. 459,37 (1979); Tetrahedron Letters 22,4449 (1981); US3125637 ; J. Org. Chem. 65,3135 (2000).
【0197】
A'は、上記のとおり基Aである、又はAの前駆体基であり、それは段階1の反応条件と適合し且つ公知の化学方法によってAへと転換されて良い。特に有価な前駆体基は、遊離及び保護されたOH及び保護されたアミノ基である。フェノール及びアニリンのための有用な保護基についての参照は、例えばT. W. Green and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd edition p. 503-614 (Wiley 1999)に与えられている。
【0198】
段階2:
A'の性質によれば、式(IIa')の化合物は、式(IIa) (式中A=NH2)の化合物へと[例えば、触媒性水素化もしくは化学還元(A'はニトロである)もしくは脱保護(A'は保護基である)によって]転換されて良い。式(IIa)(A=OSO2CF3)の化合物は、保護OHの脱保護(もしA'が保護されたOHなら)及び生じる式(IIa') (A=OH)の化合物を、トリフレート無水物(triflic anhydride)及び適切な塩基によりトリフレートへと転換することによって調製されて良い。式(IIa) (AはOSO2CF3又はハロゲンである)の化合物は、更なる段階において、J. Ahman et al. Tetrahedron Letters 38,6363 (1997)及びX. Huang et al. , Org. Lett. 3, 3417 (2001)及びその中で引用された方法を使用することによって式(IIa)(A=NH2)の化合物へと転換されて良い。
【0199】
意外にも、式(I)の新規化合物は、実際上の目的について、植物を、真菌並びに細菌及びウィルスによって生じる疾患に対して保護するための非常に有利な広い活性を有する。
【0200】
式(I)の化合物は、農業分野及び植物病害虫をコントロールするための活性成分として使用する関連分野において使用されて良い。新規化合物は、適用の割合が低いことにおける優れた活性によって、植物によって十分許容され且つ環境上安全であることにより、差別化される。それらは非常に有用な治癒、予防及全身特性を有し且つ多くの栽培植物を保護するために使用される。式Iの化合物は、植物又は有用植物の様々な集団の植物の部分(果実、花、葉、茎、塊茎、根)上で生ずる害虫を阻害又は死滅させ、しかも後に成長する植物の部分をも同時に、例えば植物病原性微生物から保護するために使用されて良い。
【0201】
式(I)の化合物を植物繁殖物質、特に苗木(果実、塊茎、穀粒)及び切断植物(plant cuttings)(例えば、ライス)のためのドレッシング剤として、土壌において生じる真菌感染症に対して並びに植物病原性真菌に対して保護するために使用することも可能である。
【0202】
更に、本発明の化合物は、関連領域において真菌をコントロールするために、例えば、技術材料の、例えば材木及び材木関連製品、食物保存、衛生管理などにおいて使用されて良い。式(I)の化合物は、例えば、以下の種類の植物病原性真菌に対して有効である:不完全真菌類 (例えばボトチリス (Botrytis)、 ピリクリア(Pyricularia)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、フサリウム(Fusarium)、セプトリア(Septoria)、セルコスポーラ(Cercospora) 及びアルテルナリア(Alternaria))及び担子菌類(例えばリゾクトニア(Rhizoctonia)、ヘミレイア(Hemileia)、プッシニア(Puccinia))。更に、それらは、子のう菌クラス(例えば、ベンツリア(Venturia)及びエリシフィ(Erysiphe)、ポドスファエラ(Podosphaera)、モニリニア(Monilinia)、アンシニュラ(Uncinula)) 並びに卵菌綱クラス(例えばフィトフトーラ(Phytophthora)、ピチウム(Pythium)、プラズモパラ(Plasmopara))に対して有効である。顕著な活性がウドンコ病(Erysiphe spp.)に対して確認されている。更に、式Iの新規化合物は、植物病原性細菌及びウィルス(例えば、キサントモナス(Xanthomonas) spp、シュードモナス(Pseudomonas) spp、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora) 並びにタバコモザイクウィルスに対して)有効である。
【0203】
本発明の範囲内において、保護される標的作物は、典型的に以下の種の植物である:穀草類(コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ライス、ダイズ、ソラマメ及び類縁種);ビート(サトウキビ及び飼料用ビート);ナシ状果、石果及び柔果(リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー及びブラックベリー);マメ科植物(マメ、レンズマメ、エンドウ豆、ダイズ);油植物(ナタネ、マスタード、ポピー、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油植物、ココア豆、ラッカセイ);キュウリ植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿、亜麻、ジュート);かんきつ植物(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン); 野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(アボガド、シナモン、カンファー)又は植物の例えば、タバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、コショウ、ワイン、ホップ、バナナ及び天然のゴム植物、並びに観葉植物。
【0204】
式(I)の化合物は、修飾形態において又は好適に、製剤の当業界で使用されるアジュバントと一緒に使用される。この目的を達成するために、それらは公知の方法において都合良く、エマルション化可能濃縮物、塗布可能ペースト、直接スプレー可能又は希釈可能溶液、希釈エマルション、可湿粉末、ダスト、顆粒、及びカプセル化材の例えば、ポリマー性物質とともに精製されて良い。組成物の型、適用の方法、例えばスプレー、アトマイジング、ダスティング、散布、コーティング又は分注については、意図された対象及び支配環境(prevailing circumstances)に従って選択されている。組成物は更なるアジュバントの例えば、安定化剤、消泡剤、粘度調整剤、結合剤又はタッキファイヤー並びに肥料、微量栄養素供与体又は特別な効果を獲得するための他の製剤をも含んで良い。
【0205】
適切な担体及びアジュバントは、固体及び液体であって良く且つ処方技術において有用な物質の例えば、天然又は再生鉱物、溶媒、分散剤、加湿剤、タッキファイヤー、溶媒、増粘剤又は肥料である。かかる担体は、例えば、W097/33890に記載されている。
【0206】
式(I)の化合物は通常、組成物の形態において使用され且つ処理される穀物領域又は植物へ、同時に又は更なる化合物との連続において適用されて良い。これら更なる化合物は、例えば、肥料もしくは微量栄養素供与体もしくは植物の栄養に影響を与える他の製剤であって良い。それらは、選択的除草剤並びに殺昆虫剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺原核生物剤、軟体動物駆除剤又はこれらの調製物のいくつかの混合物、もし所望されれば、製剤の業界において通常使用される更なる担体、界面活性剤又は適用促進アジュバントと一緒であって良い。
【0207】
式(I)の化合物は、他の殺真菌剤と組み合わされて良く、いくつかの場合、予想外の相乗的な活性をもたらす。特に好適である混合成分は、アゾールの例えば、アザコナゾール、BAY14120、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェンコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホル、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベリコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ベフラゾエート、ペンコナゾール、ピリフェノクス、プロクロラズ、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリコナゾール; ピリミジニルカルビノールの例えば、アンシミドール、フェナリモル、ヌアリモル; 2-アミノ-ピリミジンの例えば、ブピリメート、ジメチリモル、エチリモル; モルホリンの例えば、ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキサミン、トリデモルフ; アニリノピリミジンの例えば、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル; ピロールの例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル; フェニルアミドの例えば、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R-メタラキシル、オフレース、オキサジキシル; ベンゾイミダゾールの例えば、ベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール、チアベンダゾール; ジカルボキシイミドの例えばクロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン; カルボキサミドの例えば、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン、チフルザミド; グアニジンの例えば、グアザチン、ドジン、イミノクタジン; ストロビルリンの例えば、アゾキシストロビン、クレゾキシム-メチル、メトミノストロビン、SSF-129、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、BAS500F(提案名ピラクロストロビン)、BAS520; ジチオカルバメートの例えば、フェルバム、マンコゼブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム ; N-ハロメチルチオテトラヒドロ-フタルイミドの例えば、カプタホール、カプタン、ジクロフラニド、フルオロミド、ホルペット、トリフラニド ; Cu-化合物、例えばボルドー混合物、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、亜酸化銅、マンコッパー、オキシン-銅 ; ニトロフェノール-誘導体の例えば、ジノカップ、ニトロタール-イソプロピル ; 有機-p-誘導体の例えば、エジフェンフォス、イプロベンフォス、イソプロチオラン、フォスジフェン、ピラゾフォス、トルクロフォス-メチル ; 他の様々な、例えばアシベンゾラル-S-メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラスチシジン-S、チノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シクロフェナミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンキシブ、ジメトモルフ、SYP-LI90(提案名: フルモルフ)、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェノキサニル、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルスルファミド、フェンヘキサミド、フォセチル-アルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、IKF-916(シアゾファミド)、カスガマイシン、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシキュロン、フタリド、ポリオキシン、プロベナゾール、プロバモカルブ、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、イオウ、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリフォリン、バリダマイシン、ゾキサミド(RH7281)。
【0208】
式(I)の化合物、又は当該化合物を少なくとも1種類含む農芸化学組成物を適用する好適な方法は、葉面適用である。適用の頻度及び割合は、対応する病原体による感染の危険性に依存するだろう。しかし、式Iの化合物は、液体製剤により植物の位置を濡らすことによって土壌を介して根を通じ植物に浸透することができる(全体作用)、又は固体形態における化合物を土壌に、例えば、顆粒形態において適用することによって(土壌適用)浸透させることができる。水稲の作物において、かかる顆粒は洪水にあった田んぼに適用されて良い。式Iの化合物は、殺真菌剤の液体製剤を種子又は塊茎に含浸させることによって又は固体製剤でそれらを覆うことによって(コーティング)も適用されて良い。
【0209】
製剤[即ち、式(I)の化合物を含む組成物(I)]及びもし所望されれば、固体又は液体アジュバントは、公知の方法、典型的には、密な混合をすること及び/又は当該化合物を賦形剤の例えば、溶媒、固体担体、任意に界面活性化合物(界面活性剤)と混合することにより調製されて良い。
【0210】
農芸化学製剤は通常0.1〜99重量%、好適に0.1〜95重量%の式Iの化合物、99.9〜1重量%、好適に、99.8〜5重量%の固体又は液体アジュバント、及び0〜25重量%、好適に0.1〜25重量%の界面活性剤を含む。
【0211】
適用の有利な割合は、通常、5g〜2kgの活性成分(a.i.)/へクタール(ha)、好適には10g〜1kg a.i./ha、最も好適には、20g〜600g a.i./haである。種子含浸剤として使用した場合、都合良い投与量は10mg〜1g活性物質/kg種子である。
【0212】
濃縮物としての製剤市販製品が好適である一方で、エンドユーザーは、通常希釈製剤を使用するだろう。
【0213】
以下の限定的ではない例は、一層詳細に上記発明を説明するだろう。
【実施例】
【0214】
実施例1
この例は、化合物No.28.83a、28.63a及び1.61aの調製を説明する。
段階A: 1,1-ジメチル-3-(2'-ニトロ)フェニル-シラシクロヘキサン-2[化合物28.83a]
2-ニトロ-フェニルアセチレン(Synthesis 1980,627に基づいて調製した)(25g)、1,1-ジメチル-シラシクロブタン(21.9ml)及びPdCl2((Ph3P)2(9.5g)を450mlの無水トルエン中、窒素の雰囲気下で3時間に渡り還流させた。この溶媒を、室温に冷却した後、蒸発させて残留物(51.8g)を1.3kgのシリカゲル(溶離液:へキサン:酢酸エチル::39:1)上でクロマトグラフィーに委ねた。オリーブグリーン油(19.9g)を単離し、それは(nmrによれば)60%の化合物28.83aを含んだ。この物質を直接次の段階で使用した。
【0215】
段階B:1,1-ジメチル-3-(2'-アミノ)フェニル-シラシクロヘキサン[化合物 28.63a]
段階Aの産物をTHF中、大気圧及び室温で、Pd(炭素に対して10%)上で水素化した。触媒のろ過、溶媒の蒸発及びシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::19:1)により化合物28.63a(5.75g)を獲得した。
【0216】
段階C:化合物No.1.61a
化合物No.28.63a(0.17g)をTHF(5ml)中に溶かした。N-メチル-3-ジフルオロメチル-4-クロロカルボニル-ピラゾール(0.15g)を加えてピリジン(0.062ml)を氷で冷却する間に加えた。生じる白色懸濁を一晩撹拌し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出して硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させて残留物(0.3g)をシリカゲル上でクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::2:1)に委ね、117〜119℃で融解する化合物1.61a(0.26g)を獲得した。
【0217】
類似の反応シークエンス[1,1-ジメチル-1-シラシクロブタンに代わり1-メチル-l-エチル-シラシクロブタン又は1-メチル-1-エテニル-シリシクロブタンから出発する]を使用して化合物No.28.87a、28.86a及び1.96aを調製した。
【0218】
実施例2
この例は、化合物No. 28.82a及び1.94aの調製を説明する。
段階A:1,l-ジメチル-3-(2'-アミノ)フェニル-シラシクロヘキセン-2[化合物28.82a]
実施例1段階Aに由来する産物(1.5g)をエタノール(50ml;50重量%)に溶かし、そこへ粉末状鉄(1.5g)を加えた。生じる懸濁を加熱して還流させた。この温度で、エタノールに溶かした(3.5ml, 50体積%)HCl(0.35ml;2N)を10分に渡り加えて生ずる混合物を一晩還流させた。室温へと冷却した後、懸濁をろ過し、重炭酸塩で中性化し、酢酸エチルで抽出して硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の蒸発及びシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン:酢酸エチル::9:1)により化合物28.82a(0.14g)を獲得した。
【0219】
2-アミノ-スチレン(0.06g)及び1-アリル-ジメチルシリル-2-(2'アミノフェニル)-エテン(0.12g)をも副産物として単離した。
段階 B:化合物 1.94a.
この化合物を、実施例1段階Cに記載の1,1-ジメチル-3-(2'-アミノ)フェニル-シラシクロヘキセン-2[化合物28.83a](0.12g)及びN-メチル-3-トリフルオロメチル-4-クロロカルボニル-ピラゾール(0.12g)から調製した。この産物は、74〜77℃で融解する0.17gのオフホワイトの結晶であった。
【0220】
実施例3
この例は、化合物 No.28.4、28.5、28.2及び5.3の調製を説明する。
段階A:トランス-1-(2'トリフルオロメチルスルホニルオキシ-フェニル)-2-トリメチルシリル-シクロプロパン[化合物 28. 4]
ピリジン(15ml)中トランス-1-(ヒドロキシ-フェニル)-2-トリメチルシリル-シクロプロパン(2.9g)[Org. Letters 4,2225 (2002)に従って調製した](15ml)を0〜5℃で無水トリフレート(2.55ml)により処理した。この混合物を最初に90分に渡りこの温度で撹拌し、次いで更に90分室温で撹拌した。水によるワークアップ、酢酸エチルでの抽出、硫酸ナトリウム上での乾燥、溶媒の除去及びシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::19:1)により、化合物28.4(4.4g)を獲得し、それを次の段階で使用した。
【0221】
段階B:トランス-1-(2'-ジフェニルメチレンイミノ-フェニル)-2-トリメチルシリル-シクロプロパン[化合物28.5]
無水THF(40ml)を15分に渡り窒素中でバブリングすることによって慎重に脱気した。窒素雰囲気下、パラジウムジアセテート(0.15g)、rac.BWA-P(0.65g)及びベンゾフェノンイミン(2.3ml)を連続して加えた。室温で30分に渡り炭酸セシウム(5.1g)を加え、そしてこの混合物を一晩還流した。冷却後、懸濁を水(80ml)に注ぎ、酢酸エチルで2度抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を除去した。残留物(6.05gの暗緑色油)をシリカゲル上でクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::19:1)に委ね、化合物28.5(3.55g)を獲得し、それを次の段階で使用した。
【0222】
段階C:トランス-1-(2'-アミノ-フェニル)-2-トリメチルシリル-シクロプロパン化合物28.2
化合物28.5(3.5g)をメタノール(95ml)に溶かし、次いで酢酸ナトリウム(1.9g)及び塩酸ヒドロキシルアミン(1.2g)を連続して加えた。室温で75分に渡り撹拌した後、混合物を水酸化ナトリウム(500ml、水中0.1N)に注いで加えて酢酸エチルで2度抽出した。段階Bに記載のようにワークアップし、そしてシリカゲル上での半固体残留物(3.8g)のクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル:9:1)により化合物28.2(1.9g)を油として獲得した。
【0223】
段階D:化合物 5.3
この化合物を、例1段階Cに記載のようにトランス-1-(2'-アミノ-フェニル)-2-トリメチルシリルシクロプロパン[化合物 28.2](0.25g)及び2-メチル-4-トリフルオロメチル-4-クロロカルボニル-チアゾール(0.28g)から調製した。収量は、61〜64℃で融解するオフホワイトの結晶0.45gであった。
【0224】
実施例4
この例は、化合物No.3.3の調製を示す。
N-メチル-4-トリフルオロメチル-3-ピロールカルボン酸(0.24g)、化合物28.2(0.25g)及びトリエチルアミン(0.34ml)を無水ジロロメタン(25ml)中に溶かし、氷で冷却してビス-(2-オキソ-3オキサゾリジニル-フォスフィン酸塩化物(0.31g)で処理した。生じる懸濁を1時間に渡り氷浴中で撹拌して室温で15時間に渡り撹拌した。次いで、この混合物を酢酸エチル(250ml)で希釈して飽和ナトリウム重炭酸塩溶液(125ml)を加えた。有機層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去及びシリカゲル上での残留物(0.45gの黄色油)のクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::2:1)により油として化合物2.3(0.2g)を獲得した。
【0225】
実施例5
この例は化合物 No.1.84の調製を説明する
2-アミノ-(4'トリメチルシリルエチニル)ビフェニルをSonagashira(Synthesis 1980,627)により記載された方法と類似する方法で2-アミノ-4'-ブロモビフェニルから調製した。この化合物をN-メチル-3-トリフルオロメチル-4-クロロカルボニル-ピラゾールと実施例1段階Cに記載した方法に類似する方法において反応させてアミド(m.p.151〜153℃)を獲得した。次いで、このアミド(0.5g)をTHF(10ml)中に溶かして、室温及び大気圧においてPd (0.1g ;炭素に対して10%)上で水素化した。次いで、この反応混合物をろ過して触媒を除去して溶媒を蒸発させた。残留物(0.52gのオフホワイトの結晶)をシリカゲル上でクロマトグラフィー(溶離液:へキサン:酢酸エチル::2:1)により化合物1.84(0.43g)(m.p.119〜121℃)を獲得した。
【0226】
実施例6
この例は、化合物No.1.12及び1.13の調製を説明する。
化合物No.1.4(1g)[化合物No.28.2のカップリングパートナーとしてN-メチル-3-ジフルオロメチル-4-クロロカルボニルピラゾールを使用することによって実施例3段階Dに類似する方法で調製した]を無水THF(50ml)に溶かして水素化ナトリウム(0.13g、鉱物油中55%懸濁として)を連続的に加えた。この反応混合物を周囲温度で2.5時間に渡り撹拌した。次いで、臭化プロパルギル (0.23g)を加えてこの反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌した。生じる懸濁を酢酸エチル(200ml)で希釈して水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を蒸発させた。残留物(1.25g、黄色油として)をシリカゲル上でクロマトグラフィー(溶媒:へキサン:酢酸エチル 2:1)に委ね、化合物No.1.12(0.47g)及び化合物No.1.13(0.52g)を、どちらも明黄色油として獲得した。
【0227】
実施例7
この例は化合物No.1.4の純粋なエナンチオマーの調製を説明する。
ラセミ化合物No.1.4[調製について、実施例6を参照のこと](0.1g/注入)を以下の条件下で予備キラルHPLCカラム上で分離した:カラム:Chiracel(登録商標) OD (Daicel(登録商標)) 5×50;溶離液: n-ヘキサン/2-プロパノール70:30;流速:30ml/min。2つのピークの手動分離後、溶媒を蒸発させた。残留物をジイソプロピルエーテル中で溶かしてろ過した。溶媒の蒸発により純粋なエナンチオマー;化合物No.1.4A[比旋光:-89.1(c=12.4g/1)]及び化合物No.1.4B[比旋光:+87.7(c=11.1g/l)]を、各々無色油として獲得した。
【0228】
式(I)の化合物の処方例
式Iの化合物の製剤、例えば、エマルション化可能濃縮物、溶液、顆粒、粉塵及び可湿粉末を調製するための実施手順はW097/33890に記載されている。
【0229】
生物学的実施例:殺真菌作用
実施例B-1:プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)/コムギ(コムギに対するアカサビ病)に対する作用
1週齢コムギ植物cv.アリナ(Arina)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の1日後、コムギ植物に、胞子懸濁(1×105夏胞子/ml)を試験植物に対してスプレーすることによって接種した。20℃且つ95%r.h.において2日のインキュベーション時間後、植物を温室で20℃且つ60% r.h.において8日に渡り維持した。疾患の発生率を接種の10日後に評価した。
【0230】
感染症は、各化合物1.3、1.4、1.60a、1. 61a、1.84、5.3及び21.3により実質的に完全に予防された(感染率0〜5%)。
【0231】
実施例B-2:フォドスファエラ・ルーコトリキア(Podosphaera leucotricha)/リンゴ(リンゴに対するウドンコ病)に対する作用
5週齢リンゴ苗木cv.マッキントッシュ(McIntosh)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の1日後、リンゴ植物に、当該試験植物上、リンゴウドンコ病に感染した植物を振ることによって接種した。14/10時間(明/暗)光計画の後、疾患発生率を、植物を温室で22℃且つ60% r.h.において12日のインキュベーション期間後に評価した。
【0232】
化合物1.3、1.4、1.60a、1.61a、1.84、5.3及び21.3は各々強力な効果(感染率<20%)を示した。
【0233】
実施例B-3:エリシフィ・グラミニス(Erysiphe graminis)/オオムギ(オオムギに対するウドンコ病)に対する作用
1週齢オオムギ植物cv.レジナ(Regina)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の1日後、オオムギ植物を、当該試験植物上、ウドンコ病感染植物を振ることによって接種した。温室中20℃/18℃(明/暗)及び60%r.h.における6日のインキュベーション期間後、疾患の発生率を評価した。
【0234】
化合物1.3、1.4、1.60a、1.61a、1.84、5.3及び21.3は各々強力な効果(感染率<20%)を示した。
【0235】
実施例B-4:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)/トマト(トマトに対するボトリチス)
4週齢トマト植物cv.ローターグノム(Roter Gnom)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の2日後、トマト植物に、胞子懸濁(1×105分生子/ml)を試験植物をスプレーすることによって接種した。成長チャンバー中、20℃且つ95% r.h.で4日の期間のインキュベーション後、疾患の発生率を評価した。
【0236】
化合物1.3、1.4、1.60a、1. 61a及び1.84は各々良好な効果(感染率<50%)を示した。
【0237】
実施例B-5:アルトネラ・ソラニ(Alternaria solani)/トマト(トマトに対する夏疫病)に対する効果
4週齢トマト植物cv.ローター・グノムを、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の2日後、トマト植物を、試験植物に対して胞子懸濁(2×105分生子/ml)をスプレーすることによって接種した。成長チャンバー中20℃且つ95%r.h.で3日のインキュベーション期間後、疾患の発生率を評価した。
【0238】
化合物1.3、1.4、1.60a及び1.61aはこの試験において各々良好な活性(疾患発生率<20%)を示した。
【0239】
実施例B-6:スポドプテラ・トリキ(Septoria tritici)/コムギ(コムギに対するスポドプテラ葉斑点)に対する作用
2週齢コムギ植物cv.リバンド(Riband)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02% 活性成分)で処理した。適用の1日後、コムギ植物に、当該試験植物に対して胞子懸濁(10×105分生子/ml)をスプレーすることによって接種した。23℃且つ95%r.h.で1日のインキュベーション時間後、植物を16日に渡り温室で23℃且つ60%r.h.で維持した。疾患の発生率を、接種後18日評価した。
【0240】
化合物1.3、1.4、1.60a及び1.61aは各々この試験において良好な活性を(発生率<20%)を示した。
【0241】
実施例B-7:アンシニュラ・ネクター(Uncinula necator)/ブドウ(ブドウに対するウドンコ病)に対する作用
5週齢ブドウ苗木cv.グテデル(Gutedel)を、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の1日後、このブドウ植物を、ブドウウドンコ病に感染した植物を当該試験植物上で振ることによって接種した。26℃且つ60%r.h.において14/10時間(明/暗)の光計画の下で7日に渡るインキュベーション期間の後、疾患の発生率を評価した。
【0242】
化合物1.3、1.4、1.60a及び1.61aは各々この試験において良好な活性を示した(発生率<20%)。
【0243】
実施例B-8:ベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)/リンゴ(リンゴに対するコブ)に対する作用
4週齢リンゴ苗木cv.マッキントッシュを、スプレーチャンバー中、処方した試験化合物(0.02%活性成分)で処理した。適用の1日後、リンゴ植物に、当該試験植物に胞子懸濁(4×105分生子/ml)をスプレーすることによって接種した。21℃且つ95%r.h.で4日のインキュベーション期間後、植物を4日に渡り21℃且つ60%r.h.に置いた。更なる21℃且つ95%r.h.で4日のインキュベーション期間後、疾患の発生率を評価した。
【0244】
化合物1.3、1.4、1.60a及び1.61aは各々強力な効果(感染症<20%)を示した。
【0245】
実施例B-9:プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)/コムギリンゴ(wheat apple)(コムギに対するアカサビ病)に対する作用
適用の2日前、1週齢コムギ植物cv.アリナ(Arina)に、試験植物上に胞子懸濁を、スプレーすることによって接種した(1×105夏胞子/ml)。温室中20℃且つ95%r.h.において1日及び20℃且つ60%r.h.で1日のインキュベーション期間の後、スプレーチャンバー中、接種した植物を処方した試験化合物で処理した。温室中、20℃/18℃(明/暗)且つ60%r.h.で8日の更なるインキュベーション期間の後、疾患の発生率を評価した。
【0246】
化合物1.3、1.4、1.60a、1. 61a、1.84、5.3及び21.3は各々強力な効率(感染率<20%)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
XはO又はSであり;
RINGはフェニル又はチエニルであり;
Hetは、ヘテロ原子を1〜3個含む5員又は6員ヘテロ環であり、各々は独立して、酸素、窒素及びイオウから選択され、当該環は、1〜4個の基R4により置換され;
R1は、水素、任意に置換された(C1-4)アルキル、ホルミル、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)O、任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキル、任意に置換されたアリル、任意に置換されたプロパルギル又は任意に置換されたアレニルであり;各R2は、独立して、ハロゲン、任意に置換された(C1-4)アルキル、任意に置換された(C1-4)アルコキシ又は任意に置換された(C1-4)アルコキシ(C1-4)アルキルであり;R3は(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Yであり;各R4は、独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ(C1-3)アルキル及びシアノから選択され;Ra、Rb、Rc及びRdは各々、独立して、水素又は任意に置換された(C1-4)アルキルであり;Cyは飽和、不飽和又は芳香族で有って良く且つ環の構成員として任意にケイ素原子を含む任意に置換された3〜7員の炭素環又は複素環であり; (CRaRb)m及び(CRcRd)nは、Cyの同じ炭素又はケイ素原子に対して又は1、2又は3個の環構成員によって分離された異なる原子のいずれかに対して結合して良く;YはSi(OpZ1)(OqZ2)(OsZ)であり、そして但しCyはケイ素原子を環の環構成員として含み、そしてYは水素であっても良く;ZはC1-4アルキル又はC2〜4アルケニル(その各々は、O、S及びNから選択された1個のヘテロ原子によって任意に中断されており且つ1〜3個の独立して選択されたハロゲン原子によって任意に置換されている)であり;Z1及びZ2は、独立して、メチル又はエチルであり; m及びnは、各々独立して、0、1、2又は3であり; p、q及びsは各々独立して、0又は1であり;そしてrは0、1又は2である;又はそのN-酸化物であり;但しYは、mとnがどちらも0であり且つRINGとCyがどちらもフェニルである場合、トリ(C1-4)アルキルシリルではない)
の化合物。
【請求項2】
Xが酸素である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Hetがピラゾリル、ピロリル、チオフェニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、5.6-ジヒドロピラニル又は5.6-ジヒドロ-1.4-オキサチイニルであり、各々は、1〜3個の基R4によって置換されており且つ炭素原子により基C(=X)-N(R1)に連結している、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1が水素、プロパルギル、アレニル、ホルミル、CH3C(=O)、C2H5C(=O)又はCH3OCH2C (=O)である、式(I)に記載の化合物。
【請求項5】
各R2は、独立して、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される、請求項1、2、3又は4に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
(CRaRb)m-Cy-(CRcRd)n-Yが「RING」にN(R1)C(=X)Het基を担持する炭素に対するオルト炭素において結合している、請求項1、2、3、4又は5のいずれか1項に記載の式(I)に記載の化合物。
【請求項7】
rが0又は1である、請求項1、2、3、4、5又は6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
式(II):
【化2】

(式中、RING、r、R2及びR3は請求項1に記載の通りであり;Aは、NH2、NHCH(O)、任意に置換された(C1-4)アルキルC(=O)NH、任意に置換された(C1-4)アルキルOC(=O)NH、Br、I、NO2、OSO2CF3又はN=C(C6H5)2であり;そしてR3はAに対してオルトの位置における炭素原子へ結合している)
化合物。
【請求項9】
微生物をコントロールし且つそれとともに植物への攻撃及び感染を予防するための組成物であって、活性成分が適切な担体と一緒にある式(I)の化合物である組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物又は請求項9に記載の組成物を植物、その部分又はその場所に適用することによって、植物病原性微生物による栽培植物の感染症をコントロール又は予防する方法。

【公表番号】特表2007−505845(P2007−505845A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526555(P2006−526555)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010009
【国際公開番号】WO2005/028485
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】