説明

殺真菌剤として有用であるN−メチルベンズアミド誘導体

一般式(I)の化合物。この化合物を調製する方法。一般式(I)の化合物を含む殺真菌組成物。一般式(I)の化合物又は該化合物を含む組成物を適用することによって植物を処理する方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−メチルベンズアミド誘導体、その調製方法、殺真菌剤としての特に殺真菌組成物の形におけるその使用、及びこれらの化合物又はその組成物を用いた植物病原性真菌の駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第01/11965号は、本発明の化合物を包含する一般式の殺真菌化合物の広範なファミリーを記述する。しかし、本発明の化合物は、国際公開第01/11965号には記載されておらず、殺真菌剤としてのその活性は試験されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/11965号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当業者に公知である化合物よりも活性な殺虫性化合物を使用し、それによって等価な効力を維持しつつより少量の化合物を使用できることが、農薬分野において、常に大きな関心を集める。
【0005】
また、より高い効力を有する新しい殺虫性化合物を提供することによって、処理すべき真菌における耐性株の出現リスクが大きく低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる化合物の公知の一般的ファミリーよりも高い殺真菌活性を示す新しい化合物ファミリーを今回見いだした。
【0007】
したがって、本発明は、一般式(I)のN−メチルベンズアミド誘導体並びにその塩、金属複合体、メタロイド複合体及び光学活性異性体に関する。
【0008】
【化1】

式中、
− nは1、2、3又は4であり、
− pは1、2、3、4又は5であり、
− Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバマート基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキル、C−Cアルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−Cアルキルオキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルバモイル、N−C−Cアルキル−C−Cアルコキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、C−Cアルキルオキシカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、C−Cアルコキシイミノ、(C−Cアルコキシイミノ)−C−Cアルキル、(C−Cアルケニルオキシイミノ)−C−Cアルキル、(C−Cアルキニルオキシイミノ)−C−Cアルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−Cアルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり、
− Aは、酸素原子、NR基、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基又はSiR基であり、
− R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバマート基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキル、C−Cアルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−Cアルキルオキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルバモイル、N−C−Cアルキル−C−Cアルコキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、C−Cアルキルオキシカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ又はフェニル基として互いに独立に選択されるとして、R及びRは、互いに独立に選択され、
ただし、RとRは、両方がヒドロキシ基であることはなく、
− Rは、水素原子、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルであり、
− R及びRは、水素原子又はC−Cアルキルとして互いに独立に選択され、
− Yは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−Cアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルケニル、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、又はC−Cアルキルスルホンアミドである。
【0009】
本発明の状況において、
− ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味し、
− カルボキシは、−C(=O)OHを意味し、
− カルボニルは、−C(=O)−を意味し、
− カルバモイルは、−C(=O)NHを意味し、
− N−ヒドロキシカルバモイルは、−C(=O)NHOHを意味し、
− アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びにこれらの用語を含む部分は、線状でも分枝していてもよく、
− ヘテロ原子は、硫黄、窒素又は酸素を意味する。
【0010】
本発明の状況において、二置換アミノ基及び二置換カルバモイル基の場合、2個の置換基は、該置換基を有する窒素原子と一緒に、3から7個の原子を含む飽和複素環を形成し得ることも理解されたい。
【0011】
本発明の化合物のいずれも、化合物中の不斉中心の数に応じて、1種類以上の光学異性体又は鏡像異性体の形で存在し得る。したがって、本発明は、全光学異性体及びそのラセミ混合物又は鏡像異性体不均一(scalemic)混合物に等しく関係し(「鏡像異性体不均一」という用語は、異なる比率の鏡像異性体の混合物を表す。)、あらゆる比率の可能な全立体異性体の混合物に関係する。ジアステレオ異性体及び/又は光学異性体は、当業者にそれ自体公知である方法によって分離することができる。
【0012】
本発明の化合物のいずれも、化合物中の二重結合の数に応じて、1種類以上の幾何異性体の形でも存在し得る。したがって、本発明は、全幾何異性体、及びあらゆる比率の可能な全混合物に等しく関係する。幾何異性体は、当業者にそれ自体公知である一般的方法によって分離することができる。
【0013】
Xがヒドロキシ、スルファニル基又はアミノ基である一般式(I)の化合物のいずれも、該ヒドロキシ、スルファニル又はアミノ基のプロトンの移動によって生成するその互変異性体として存在し得る。かかる化合物のかかる互変異性体も本発明の一部である。より一般的に、Xがヒドロキシ、スルファニル基又はアミノ基である一般式(I)の化合物の全ての互変異性体、加えてこれら化合物の調製方法において中間体として使用され得る、これらの調製方法の記述において定義される化合物の互変異性体も本発明の一部である。
【0014】
本発明によれば、一般式(I)の化合物の2−ピリジル部分は、任意の位置において(X)で置換されていてよい。X及びnは、上で定義したとおりである。好ましくは、本発明は、異なる特性が、単独にて又は組み合わせて、以下のように選択され得る、すなわち、
− nに関して、nが1又は2であり、
− Xに関して、Xが、ハロゲン原子、シアノ基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして選択される、
一般式(I)のN−メチルベンズアミド誘導体に関する。
【0015】
本発明によれば、式(I)の化合物のメチレン部分の炭素原子は、R及びRで置換される。R及びRは、上で定義したとおりである。好ましくは、本発明はまた、R及びRが、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして互いに独立に選択される、一般式(I)のN−メチルベンズアミド誘導体にも関する。
【0016】
本発明によれば、式(I)の化合物の「A」原子は、酸素原子、NR基、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基又はSiR基として選択される。R及びRは、上で定義したとおりである。好ましくは、本発明は、異なる特性が、単独にて又は組み合わせて、以下のように選択され得る、すなわち、
− Aが、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子として選択され、
− R及びRが、水素原子、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして互いに独立に選択される、
一般式(I)のピリジン−2−イルメチル誘導体にも関する。
【0017】
本発明によれば、式(I)の化合物のN−メチルベンズアミド部分の窒素原子は、Rで置換される。Rは、水素原子、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルである。好ましくは、C−Cシクロアルキルはシクロプロピルである。
【0018】
本発明によれば、一般式(I)の化合物のフェニル部分は、任意の位置において(Y)で置換されていてよい。Y及びpは、上で定義したとおりである。好ましくは、本発明は、異なる特性が、単独にて又は組み合わせて、以下のように選択され得る、すなわち、
− pに関して、pが1又は2であり、
− Yに関して、Yが、ハロゲン原子、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシとして選択される、
一般式(I)のN−メチルベンズアミド誘導体に関する。
【0019】
本発明は、一般式(I)の化合物の調製方法にも関する。したがって、本発明の別の態様によれば、一般式(II)のN−メチルベンズアミド誘導体又はその塩の1つを、塩基の存在下で一般式(III)の2−ピリジニル誘導体と反応させることを含む、上記一般式(I)の化合物の調製方法が提供される。
【0020】
【化2】

(式中、
− Y、p、R、R及びRは、上で定義したとおりであり、
− Uは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR、−OCORとして選択される脱離基であり、RはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニル基である。)
【0021】
【化3】

(式中、X、n及びAは、上で定義したとおりである。)
【0022】
本発明の方法は、塩基の存在下で実施される。適切な塩基は、アルカリ土類金属塩基、アルカリ金属水素化物塩基、水酸化物塩基、アミド塩基、アルコラート塩基、アセタート塩基、カルボナート塩基、炭酸水素塩基又は第三級アミン塩基として選択され得る。より好ましくは、塩基は、炭酸水素、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、メタン酸ナトリウム、エタン酸ナトリウム、tert−ブタン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)として選択される。更に好ましくは、塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム又は水素化ナトリウムとして選択され、
− 塩基/式(III)の化合物のモル比は、1から2.5である。
【0023】
、R、R、Y、U及びpの定義に応じて、一般式(II)のN−メチルベンズアミド誘導体は、異なる方法で調製され得る。かかる方法の一例(A)は、
− R、R、R、Y及びpが、上で定義したとおりであり、
− Uがアセトキシである
ときであり得、一般式(II)のN−メチルベンズアミド誘導体は、
(A)− 段階1において得られる式(IV)のベンズアミド誘導体と式(V)のアシル誘導体とを、アシル/ベンズアミド誘導体モル比1から10で、極性溶媒中にて、触媒作用量の無機質塩基の存在下で、20℃から還流温度で反応させて、式(VI)のN−ヒドロキシメチルベンズアミド誘導体を得ることを含む、反応スキーム1による第1段階と、
【0024】
【化4】

(式中、R、R、R、Y及びpは、上で定義したとおりである。)
(B)− 段階2において得られる式(VI)のN−ヒドロキシメチルベンズアミド誘導体と無水酢酸(AcO)又は塩化アセチル(AcCl)とを、AcO又はAcCl/N−ヒドロキシメチルベンズアミド誘導体モル比1から10で、有機溶媒中にて、無機質塩基又は有機塩基の存在下で反応させて、式(IIa)のN−アセトキシメチルベンズアミド誘導体を得ることを含む、反応スキーム2による第2段階と、
【0025】
【化5】

(式中、R、R、R、Y及びpは、上で定義したとおりである。)
を含む方法によって調製することができる。
【0026】
本発明の化合物は、上記一般的調製方法によって調製することができる。それでも、一般的知識及び利用可能な刊行物に基づいて、当業者は、合成しようとする化合物の各々の詳細に応じてこの方法を適合させることができることを理解されたい。
【0027】
一般的知識及び利用可能な刊行物に基づいて、当業者は、本発明の式(II)の中間体化合物を調製することもできる。
【0028】
本発明は、一般式(I)の活性材料の有効量を含む殺真菌組成物にも関する。したがって、本発明によれば、活性成分として、上記一般式(I)の化合物の有効量とおよび農学的に許容される支持体、担体又は充填剤とを含む、殺真菌組成物が提供される。
【0029】
本明細書では「支持体」という用語は、活性材料と組み合わせて、特に植物の部分に、活性材料をより容易に適用できるようにする、天然又は合成の有機又は無機材料を指す。したがって、この支持体は、一般に不活性であり、農業的に許容されるものとすべきである。この支持体は、固体でも液体でもよい。適切な支持体の例としては、クレイ、天然又は合成シリカート、シリカ、樹脂、ワックス、固体肥料、水、アルコール、特にブタノール、有機溶媒、鉱油及び植物油並びにこれらの誘導体が挙げられる。かかる支持体の混合物を使用することもできる。
【0030】
この組成物は、追加の成分を含むこともできる。特に、この組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。この界面活性剤は、イオン型若しくは非イオン型の乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤又はかかる界面活性剤の混合物であり得る。例えば、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩又はナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコール、脂肪酸又は脂肪アミンとの重縮合物、置換フェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウラート)、ポリオキシエチル化されたアルコール又はフェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに硫酸、スルホン酸及びリン酸官能基を含む上記化合物の誘導体を挙げることができる。少なくとも1種類の界面活性剤の存在は、活性材料及び/又は不活性支持体が水不溶性であるとき、及び適用する媒介物(vector agent)が水であるときは、一般に不可欠である。好ましくは、界面活性剤含量は、組成物の5重量%から40重量%であり得る。
【0031】
追加の成分、例えば、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロピー剤、浸透(penetration)剤、安定剤、金属イオン封鎖剤を含んでよい。より一般的に、活性材料は、通常の処方技術に適合した任意の固体又は液体添加剤と組み合わせることができる。
【0032】
一般に、本発明の組成物は、活性材料0.05から99%(重量)、好ましくは10から70重量%を含み得る。
【0033】
本発明の組成物は、エアロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、低温霧化濃縮物、散布用散剤、乳化濃縮物、水中油型乳濁液剤、油中水型乳濁液剤、封入顆粒剤、細粒剤、種子処理用流動性濃縮物、(加圧された)ガス剤、ガス発生物、顆粒剤、高温霧化濃縮物、粗粒剤、微粒剤、油分散性散剤、油混和性流動性濃縮物、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒剤(、乾燥種子処理用散剤、殺虫剤被覆種子、可溶性濃縮物、可溶性散剤、種子処理用溶液剤、懸濁濃縮物(流動性濃縮物)、微量(ultra low volume)(ulv)液剤、微量(ulv)懸濁液剤、水分散性顆粒剤又は錠剤、スラリー処理用水分散性散剤、水溶性顆粒剤又は錠剤、種子処理用水溶性散剤、水和剤などの種々の形態で使用することができる。
【0034】
これらの組成物として、適切な装置(噴霧装置、散布装置など)によって、処理すべき植物又は種子にすぐに適用することができる組成物だけでなく、作物に適用する前に希釈しなければならない市販濃縮組成物も挙げられる。
【0035】
本発明の化合物は、1種類以上の殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、誘引ダニ駆除剤若しくはフェロモン又は生物活性を有する他の化合物と混合することもできる。こうして得られる混合物は、広範な活性スペクトルを有する。他の殺真菌剤との混合物は、特に有利である。適切な殺真菌剤混合相手の例は、以下のリストから選択することができる。
【0036】
1) 核酸合成阻害能力のある化合物(ベナラキシル、ベナラキシルM、ブピリメート、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メフェノキサム、メタラキシル、メタラキシルM、オフレース、オキサジキシル、オキソリン酸など)、
2) 有糸分裂及び細胞分裂阻害能力のある化合物(ベノミル、カルベンダジム、ジエトフェンカルブ、エタボキサム、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファナートメチル、ゾキサミドなど)、
3) 呼吸阻害能力のある化合物、例えば、
CI呼吸阻害剤(ジフルメトリムなど)、
CII呼吸阻害剤(ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フラメトピル、フルメシクロックス、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミドなど)、
CIII呼吸阻害剤(アミスルブロム、アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロビン(enestrobin)、ファモキサドン、フェナミドン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビンなど)、
4) 脱共役剤として作用する能力のある化合物(ジノカップ、フルアジナム、メプチルジノカップ(meptyldinocap)など)、
5) ATP産生阻害能力のある化合物(酢酸フェンチン、塩化フェンチン、水酸化フェンチン、シルチオファムなど)、
6) AA及びタンパク質生合成阻害能力のある化合物(アンドプリム(andoprim)、ブラスチシジンS、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩一水和物、メパニピリム、ピリメタニルなど)、
7) シグナル伝達阻害能力のある化合物(フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェンなど)、
8) 脂質及び膜合成阻害能力のある化合物(ビフェニル、クロゾリナート、エジフェンホス、エトリジアゾール、ヨードカルブ(iodocarb)、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ピラゾホス、トルクロホスメチル、ビンクロゾリンなど)、
9) エルゴステロール生合成阻害能力のある化合物(アルジモルフ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−cis、ヘキサコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ヌアリモル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾアート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テルビナフィン、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリデモルフ、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビニコナゾール(viniconazole)、ボリコナゾールなど)、
10) 細胞壁合成阻害能力のある化合物(ベンチアバリカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、ポリオキシン、ポリオキソリム、バリダマイシンAなど)、
11) メラニン生合成阻害能力のある化合物(カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタリド、ピロキロン、トリシクラゾールなど)、
12) 宿主防御誘導能力のある化合物(アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾール、チアジニルなど)、
13) マルチサイト作用を有する能力のある化合物(ボルドー液、カプタホール、キャプタン、クロロタロニル、ナフテン酸銅、酸化銅、オキシ塩化銅、銅調製物(水酸化銅、硫酸銅など)、ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、フェルバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、メチラム亜鉛、オキシン銅、プロピネブ、硫黄、(多硫化カルシウム、チラム、トリルフルアニド、ジネブ、ジラムを含めた)硫黄調製物など)、
14) 以下のリストから選択される化合物:(2E)−2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド、(2E)−2−{2−[({[(1E)−1−(3−{[(E)−1−フルオロ−2−フェニルビニル]オキシ}フェニル)エチリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド、1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)シクロヘプタノール、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル−1H−イミダゾール−1−カルボキシラート、1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−クロメン−4−オン、2−クロロ−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミド、2−フェニルフェノール及び塩、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[(9R)−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[(9S)−9−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[4’−(3,3−ジメチルブタ−1−イン−1−イル)ビフェニル−2−イル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3,4,5−トリクロロピリジン−2,6−ジカルボニトリル、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、3−クロロ−5−(4−クロロフェニル)−4−(2,6−ジフルオロフェニル)−6−メチルピリダジン、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,6−ジフルオロフェニル)−3,6−ジメチルピリダジン、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、8−ヒドロキシキノリンスルファート、ベンチアゾール、ベトキサジン(bethoxazin)、カプシマイシン、カルボン、キノメチオナート、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチル硫酸、ジフェニルアミン、エコメイト(ecomate)、フェリムゾン、フルメトバー(flumetover)、フルオピコリド、フルオロイミド、フルスルファミド、ホセチルアルミニウム、ホセチルカルシウム、ホセチルナトリウム、ヘキサクロロベンゼン、イルママイシン、イソチアニル、メタスルホカルブ、メチル(2E)−2−{2−[({シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル}チオ)メチル]フェニル}−3−メトキシアクリラート、メチル1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボキシラート、イソチオシアン酸メチル、メトラフェノン、ミルディオマイシン、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)−3−(ホルミルアミノ)−2−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド、N−(4−クロロベンジル)−3−[3−メトキシ−4−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(4−クロロフェニル)(シアノ)メチル]−3−[3−メトキシ−4−(プロパ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2−フルオロ−4−ヨードニコチンアミド、N−[2−(1,3−ジメチルブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、N−{2−[1,1’−ビ(シクロプロピル)−2−イル]フェニル}−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、ナタマイシン、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(ジフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、ニッケルジメチルジチオカルバマート、ニトロタールイソプロピル、O−{1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル}−1H−イミダゾール−1−カルボチオアート、オクチリノン、オキサモカルブ(oxamocarb)、オキシフェンチイン、ペンタクロロフェノール及び塩、亜リン酸及びその塩、ピペラリン、プロパモカルブホセチラート(fosetylate)、プロパノシン(propanosine)ナトリウム、プロキナジド、ピリベンカルブ、ピロールニトリン、キントゼン、S−アリル−5−アミノ−2−イソプロピル−4−(2−メチルフェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボチオアート、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、バリフェナール(valiphenal)、ザリラミド(zarilamid)。
【0037】
式(I)の化合物と殺菌剤化合物との混合物を含む本発明の組成物も特に有利であり得る。適切な殺菌剤混合相手の例は、以下のリストから選択することができる:ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ニッケルジメチルジチオカルバマート、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及び他の銅調製物。
【0038】
本発明の殺真菌組成物を使用して、作物の植物病原性真菌を治癒的又は予防的に駆除することができる。したがって、本発明の別の態様によれば、上で定義した殺真菌組成物が、種子に、植物に及び/又は植物の果実に、又は植物が成長する土壌に、若しくは植物を成長させるのに望ましい土壌に、適用されることを特徴とする、作物の植物病原性真菌を治癒的又は予防的に駆除する方法が提供される。
【0039】
作物の植物病原性真菌に対して使用される組成物は、一般式(I)の活性材料の有効で植物に無毒な量を含む。
【0040】
「有効で植物に無毒な量」という表現は、作物に存在する又は作物に出現しやすい、真菌を駆除又は破壊するのに十分であり、および、認められるほどの植物毒性の症候を該作物に引き起こさない、本発明の組成物の量を意味する。かかる量は、駆除すべき真菌、作物の種類、気候条件及び本発明の殺真菌組成物に含まれる化合物に応じて、広範に変わり得る。
【0041】
この量は、当業者の能力の範囲内である系統的な野外試験によって求めることができる。
【0042】
本発明による処理方法は、塊茎、根茎などの増殖材料の処理に有用であり、種子、実生又は実生移植及び植物又は植物移植の処理にも有用である。この処理方法は、根の処理にも有用であり得る。本発明の処理方法は、植物の地上部分(対象植物の幹、茎又は柄、葉、花、果実など)の処理にも有用であり得る。
【0043】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実又は野菜作物、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、ピップフルーツ(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及びプランタン)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ)、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、イチゴ);主要作物、例えば、イネ科各種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、又は、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)(例えば、ナタネ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、ビートの根);園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝子組み換えが行われたホモログ。
【0044】
本発明の方法によって抑制することができる植物又は作物の病気としては、以下のものが挙げられる。
【0045】
ウドンコ病、例えば、
例えばブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)によって引き起こされる、ブルメリア病、
例えばポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)によって引き起こされる、ポドスファエラ病、
例えばスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)によって引き起こされる、スファエロテカ病、
例えばウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)によって引き起こされる、ウンキヌラ病、
さび病、例えば、
例えばギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)によって引き起こされる、ギムノスポランギウム病、
例えばヘミレイア・バスタトリックス(Hemileia vastatrix)によって引き起こされる、ヘミレイア病、
例えばファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)又はファコプソラ・メイボミエ(Phakopsora meibomiae)によって引き起こされる、ファコプソラ病、
例えばプクキニア・レコンディタ(Puccinia recondita)によって引き起こされる、プクキニア病、
例えばウロミケス・アペンディクラツス(Uromyces appendiculatus)によって引き起こされる、ウロミケス病、
卵菌病、例えば、
例えばブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)によって引き起こされる、ブレミア病、
例えばペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(brassicae)によって引き起こされる、ペロノスポラ病、
例えばフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)によって引き起こされる、フィトフトラ病、
例えばプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)によって引き起こされる、プラスモパラ病、
例えばシュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はシュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)によって引き起こされる、シュードペロノスポラ病、
例えばピシウム・ウルチマム(Pythium ultimum)によって引き起こされる、ピシウム病、
斑点病、葉枯病及び黒葉枯病、例えば、
例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)によって引き起こされる、アルテルナリア病、
例えばセルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)によって引き起こされる、セルコスポラ病、
例えばクラドスポリウム・ククメリナム(Cladiosporium cucumerinum)によって引き起こされる、クラドスポリウム病、
例えばコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)によって引き起こされる、コクリオボルス病、
例えばコレトトリクム・リンデムチアヌム(Colletotrichum lindemuthanium)によって引き起こされる、コレトトリクム病、
例えばシクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)によって引き起こされる、シクロコニウム病、
例えばディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)によって引き起こされる、ディアポルテ病、
例えばエルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)によって引き起こされる、エルシノエ病、
例えばグロエオスポリウム・レチコロル(Gloeosporium laeticolor)によって引き起こされる、グロエオスポリウム病、
例えばグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)によって引き起こされる、グロメレラ病、
例えばギグナルデア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)によって引き起こされる、ギグナルデア病、
例えばレプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)によって引き起こされる、レプトスファエリア病、
例えばマグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)によって引き起こされる、マグナポルテ病、
例えばミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ミコスファエレラ・アラキドコラ(Mycosphaerella arachidicola)、ミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)によって引き起こされる、ミコスファエレラ病、
例えばファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)によって引き起こされる、ファエオスファエリア病、
例えばピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)によって引き起こされる、ピレノホラ病、
例えばラムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo-cygni)によって引き起こされる、ラムラリア病、
例えばリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)によって引き起こされる、リンコスポリウム病、
例えばセプトリア・アピイ(Septoria apii)又はセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopercisi)によって引き起こされる、セプトリア病、
例えばティフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)によって引き起こされる、ティフラ病、
例えばベンツリア・イナエカリス(Venturia inaequalis)によって引き起こされる、ベンツリア病、
根及び茎の病気、例えば、
例えばコルテイシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)によって引き起こされる、コルテイシウム病、
例えばフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)によって引き起こされる、フザリウム病、
例えばゲウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)によって引き起こされる、ゲウマノミセス病
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされる、リゾクトニア病、
例えばタペシア・アクフォルミス(Tapesia acuformis)によって引き起こされる、タペシア病、
例えばティエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)によって引き起こされる、ティエラビオプシス病、
穂及び円錐花序の病気、例えば、
例えばアルテルナリア属種(Alternaria spp.)によって引き起こされる、アルテルナリア病、
例えばアスペルギルス/フラーブス(Aspergillus flavus)によって引き起こされる、アスペルギルス病、
例えばクラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)によって引き起こされる、クラドスポリウム病、
例えばクラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)によって引き起こされる、クラビセプス病、
例えばフザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)によって引き起こされる、フザリウム病、
例えばジベレラ・ゼア(Gibberella zeae)によって引き起こされる、ジベレラ病、
例えばモノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)によって引き起こされる、モノグラフェラ病、
黒穂病及びなまぐさ黒穂病、例えば、
例えばスファケロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)によって引き起こされる、スファケロテカ病、
例えばチレチア・カリエス(Tilletia caries)によって引き起こされる、チレチア病、
例えばウロチスティス・オクルタ(Urocystis occulta)によって引き起こされる、ウロチスティス病、
例えばウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)によって引き起こされる、ウスチラゴ病、
果実腐敗病及び果実カビ病、例えば、
例えばアスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)によって引き起こされる、アスペルギルス病、
例えばボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)によって引き起こされる、ボトリチス病、
例えばペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)によって引き起こされる、ペニシリウム病、
例えばスクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)によって引き起こされる、スクレロチニア病、
例えばウェルチキリウム・アルボアトムル(Verticilium alboatrum)によって引き起こされる、ウェルチキリウム病、
種子及び土壌伝播性腐食、カビ、萎凋、腐敗並びに立枯病:
例えばアルテルナリア・ブラシキコラ(Alternaria brassicicola)によって引き起こされる、アルテルナリア病、
例えばアファノミケス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)によって引き起こされる、アファノミケス病、
例えばアスコキータ・レンチス(Ascochyta lentis)によって引き起こされる、アスコキータ病、
例えばアスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)によって引き起こされる、アスペルギルス病、
例えばクラドスポリウム ヘルバルム(Cladosporium herbarum)によって引き起こされる、クラドスポリウム病、
例えばコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、ビポラーリス(Bipolaris)異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))によって引き起こされる、コクリオボルス病、
例えばコレトトリクム・ココデス(Colletotrichum coccodes)によって引き起こされる、コレトトリクム病、
例えばフザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)によって引き起こされる、フザリウム病、
例えばジベレラ・ゼア(Gibberella zeae)によって引き起こされる、ジベレラ病、
例えばマクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)によって引き起こされる、マクロフォミナ病、
例えばモノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)によって引き起こされる、モノグラフェラ病、
例えばペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)によって引き起こされる、ペニシリウム病、
例えばホーマ・リンガム(Phoma lingam)によって引き起こされる、ホーマ病、
例えばポモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae)によって引き起こされる、ポモプシス病、
例えばフィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)によって引き起こされる、フィトフトラ病、
例えばピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)によって引き起こされる、ピレノホラ病、
例えばピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)によって引き起こされる、ピリクラリア病、
例えばピシウム・ウルチマム(Pythium ultimum)によって引き起こされる、ピシウム病、
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされる、リゾクトニア病、
例えばリゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)によって引き起こされる、リゾープス病、
例えばスクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)によって引き起こされる、スクレロチウム病、
例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)によって引き起こされる、セプトリア病、
例えばティフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)によって引き起こされる、ティフラ病、
例えばウェルチキリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)によって引き起こされる、ウェルチキリウム病、
がん腫病、叢生(broom)及び枝枯病、例えば、
例えばネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)によって引き起こされる、ネクトリア病、
胴枯病、例えば、
例えばモニリニア・ラクサ(Monilinia laxa)によって引き起こされる、モニリニア病、
葉ぶくれ又は縮葉病、例えば、
例えばタフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans)によって引き起こされる、タフリナ病、
木本(wooden plant)の衰弱病、例えば、
例えばファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)によって引き起こされる、エスカ(Esca)病、
花及び種子の病気、例えば、
例えばボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)によって引き起こされる、ボトリチス病、
塊茎の病気、例えば、
例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされる、リゾクトニア病、
例えばヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)によって引き起こされる、ヘルミントスポリウム病。
【0046】
本発明の殺真菌剤組成物は、材木上又は材木内部で発生しやすい真菌病に対しても使用することができる。「材木」という用語は、木材種の全タイプ、及び建設用のこの木材の加工(working)の全タイプ、例えば、硬質木材、高密度木材、積層木材及びベニヤ板を意味する。本発明によって材木を処理する方法は、本発明の1種類以上の化合物、又は本発明の組成物を接触させることから主になる。これは、例えば、直接塗布、噴霧、浸漬、注入又は任意の他の適切な手段を含む。
【0047】
本発明による処理に通常適用される活性材料の用量は、葉面処理の場合、一般におよび有利に、10から800g/ha、好ましくは50から300g/haである。適用される活性物質の用量は、種子処理の場合、一般におよび有利に、種子100kg当たり2から200g、好ましくは3から150gである。上記用量が本発明の説明のための例として挙げられたものであることは明確に理解されよう。当業者は、処理すべき作物の性質に応じて、適用量を合わせる方法を知っているはずである。
【0048】
本発明の殺真菌組成物は、本発明の化合物又は本発明の農薬組成を用いた遺伝子改変生物体の処理にも使用することができる。遺伝子改変植物は、目的タンパク質をコードする異種遺伝子がそのゲノムに安定に組み込まれた植物である。「目的タンパク質をコードする異種遺伝子」という表現は、形質転換植物に新しい農学的性質を付与する遺伝子、又は形質転換植物の農学的品質を改善する遺伝子を本質的に意味する。
【0049】
本発明の組成物は、ヒト及び動物の真菌疾患(例えば、真菌症、皮膚疾患、白癬菌疾患、カンジダ症など)、又はアスペルギルス属(例えば、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus))によって引き起こされる疾患の治癒的又は予防的処置に有用である組成物の調製にも使用することができる。
【0050】
本発明の態様を、以下の化合物の表及び実施例に関連して以下に説明する。以下の表は、本発明の殺真菌化合物の例を非限定的に説明するものである。以下の実施例において、M+1(又はM−1)は、質量分析において観察された、それぞれ、分子イオンピーク+1a.m.u.(原子質量単位)又は分子イオンピーク−1a.m.u.を意味し、M(ApcI+)は、質量分析において正の大気圧化学イオン化によって認められた分子イオンピークを意味する。
【0051】
【表1】

【0052】
一般式(I)の化合物の調製方法の実施例
N−({[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(化合物1)の調製
テトラヒドロフラン/NaOH 1M(4/1)混合物5ml中の3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール0.200g(1.01mmol)の溶液に{[2−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}メチルアセタート0.263g(1.01mmol)を添加した。混合物を室温で14時間撹拌した。
【0053】
反応混合物をジエチルエーテル10mlに注いだ。相分離後、有機相を水5mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。
【0054】
ろ過後、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:ヘプタン/酢酸エチル:6/4)によって精製して、N−({[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド298mg(74%)を得た。
質量スペクトル:399(M+1)。
【0055】
一般式(I)の化合物の生物活性の実施例
(実施例A)
レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)(コムギ包穎の病斑)に関するインビボ試験
試験活性成分を、アセトン/Tween/水混合物中でポッターホモジナイザーで均質化して調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性材料濃縮物を得る。
【0056】
スターターカップ中の50/50泥炭土−ポゾラン基体上に蒔かれ、12℃で栽培されたコムギ植物(Scipion変種)を、1葉期(高さ10cm)に上記水性懸濁液を噴霧して処理する。対照として用いる植物を、活性材料を含まない水溶液で処理する。
【0057】
24時間後、レプトスファエリア・ノドルム芽胞の水性懸濁液(250 000芽胞/ml)を噴霧して、植物を汚染させる。芽胞は、12日齢培養物から収集する。汚染されたコムギ植物を18℃、相対湿度100%で72時間温置し、次いで15℃(夜)及び18℃(日中)、相対湿度90%で15から17日温置する。
【0058】
汚染後15から17日に対照植物と比較して格付する(効力%)。
【0059】
これらの条件下で、化合物2を用いて330ppmの用量で(少なくとも60%の)良好な保護作用が認められる。
【0060】
(実施例B)
ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)(オオムギ網斑病)に関するインビボ試験
アセトン/Tween/DMSO混合物中で均質化し、次いで水で希釈して、所望の活性材料濃縮物を得ることによって、試験活性成分を調製する。
【0061】
スターターカップ中の50/50泥炭土−ポゾラン基体上に蒔かれ、12℃で栽培されたオオムギ植物(Express変種)を、1葉期(高さ10cm)に、上述したように調製した活性成分を噴霧して処理する。対照として用いる植物を、活性材料を含まないアセトン/Tween/DMSO/水混合物で処理する。
【0062】
24時間後、ピレノホラ・テレス芽胞の水性懸濁液(12,000芽胞/ml)を噴霧して、植物を汚染させる。芽胞は、12日齢培養物から収集する。汚染されたオオムギ植物を約20℃、相対湿度100%で24時間温置し、次いで相対湿度80%で12日間温置する。
【0063】
汚染後12日に対照植物と比較して格付する。
【0064】
これらの条件下で、化合物1を用いて330ppmの用量で(少なくとも60%の)良好な保護作用が認められる。
【0065】
(実施例C)
アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)に関する細胞試験
アルテルナリア・アルテルナタをPDA培地上で、ブラックライトの下で20℃で14日間増殖させる。PDA培地は、PDA(Merck)39グラムを脱塩水1リットルと混合して調製する。PDA培地は、オートクレーブによって121℃で15分間滅菌する。
【0066】
増殖14日後、アルテルナリア・アルテルナタの芽胞を滅菌水中に回収し、芽胞濃縮物を10芽胞/mlに調節する。化合物をDMSOに溶解させ、10ppmの濃度で無菌液体グルコース/mycopeptone培地(Dグルコース14.6g/1、菌用ペプトン(mycological peptone)(Oxoid)7.1g/1及び酵母エキス(Merck)1.4g/1)に添加する。培地に芽胞懸濁液を10芽胞/mlの濃度で接種する。
【0067】
化合物の効力を5日後に20℃で620nmのOD測定によって対照と比較して評価する。
【0068】
これらの条件下で、化合物2の場合、10ppmの用量で(少なくとも60%の)良好な保護作用が認められる。
【0069】
類似した条件下で、2,6−ジクロロ−N−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メトキシ}ベンズアミド及びN−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メトキシ}−2,6−ジフルオロベンズアミド(国際公開第01/11965号に開示された、それぞれ化合物501及び502)は、全く活性を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)一般式(I)の化合物、並びにその塩、金属複合体、メタロイド複合体及び光学活性異性体。
【化6】

(式中、
− nは1、2、3又は4であり、
− pは1、2、3、4又は5であり、
− Xは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバマート基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキル、C−Cアルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−Cアルキルオキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルバモイル、N−C−Cアルキル−C−Cアルコキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、C−Cアルキルオキシカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、C−Cアルコキシイミノ、(C−Cアルコキシイミノ)−C−Cアルキル、(C−Cアルケニルオキシイミノ)−C−Cアルキル、(C−Cアルキニルオキシイミノ)−C−Cアルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−Cアルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり、
− Aは、酸素原子、NR基、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基又はSiR基であり、
− R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバマート基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキル、C−Cアルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−Cアルキルオキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルバモイル、N−C−Cアルキル−C−Cアルコキシカルバモイル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−Cアルキルアミノカルボニルオキシ、C−Cアルキルオキシカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルスルフィニル、ベンジルスルホニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ又はフェニル基として互いに独立に選択されるとして、R及びRは、互いに独立に選択され、
ただし、RとRは、両方がヒドロキシ基であることはなく、
− Rは、水素原子、C−Cアルキル又はC−Cシクロアルキルであり、
− R及びRは、水素原子又はC−Cアルキルとして互いに独立に選択され、
− Yは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、C−Cアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−C−Cアルキルアミノ、C−Cアルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cアルコキシ−C−Cアルケニル、C−Cアルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルファニル、C−Cアルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシカルボニル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフェニル、C−Cアルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルキルスルホニル、又はC−Cアルキルスルホンアミドである。)
【請求項2】
nが1又は2であることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、ハロゲン原子、シアノ基、(ヒドロキシイミノ)−C−Cアルキル基、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、水素原子、ハロゲン原子、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、トリ(C−Cアルキル)シリル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして互いに独立に選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Aが、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子として選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、水素原子、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシ、C−Cシクロアルキル、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノシクロアルキルとして互いに独立に選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
pが1又は2であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
Yが、ハロゲン原子、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル基、又は、1から5個のハロゲン原子を有するC−Cハロゲノアルコキシとして選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
一般式(II)のN−メチルベンズアミド誘導体又はその塩の1つを、塩基の存在下で一般式(III)の2−ピリジニル誘導体と反応させることを含む、請求項1に記載の一般式(I)の化合物の調製方法。
【化7】

(式中、
− Y、p、R、R及びRは、請求項1に定義されたとおりであり、
− Uは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR、−OCORとして選択される脱離基であり、RはC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニル基である。)
【化8】

(式中、X、n及びAは、請求項1に定義されたとおりである。)
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物の有効量とおよび農学的に許容される支持体とを含む、殺真菌剤組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物の有効で植物に無毒な量が、植物の種子に、又は植物の葉に及び/又は植物の果実に又は植物が成長する土壌に若しくは植物を成長させるのに望ましい土壌に適用されることを特徴とする、作物の植物病原性真菌を予防的又は治癒的に駆除する方法。

【公表番号】特表2009−542600(P2009−542600A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517273(P2009−517273)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056803
【国際公開番号】WO2008/003744
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】