説明

殺菌剤を有する繊維質絶縁材

繊維(104)に付着した分散された添加剤内の殺菌剤を有する断熱繊維(104)を持った繊維質絶縁材。繊維(104)上に分散された添加剤と殺菌剤を散布し、その後、該分散された添加剤を前記繊維(104)に付着させて、繊維質絶縁材を製造する方法。本方法で、低密度の絶縁材又は絶縁材マットとして、熱絶縁材、音響絶縁材、ダクトライナー又は板状絶縁材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には繊維質絶縁材の分野に関わり、特に、低密度の繊維質絶縁材又は繊維質絶縁材のマットに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維質絶縁材は、溶けた鉱物性の溶液から繊維を形成することで製造され、高速回転するスピンナを介して引き出される。細かな繊維はこうして製造される。低密度の絶縁材又は毛織物タイプの絶縁材を製造する場合には、複数の繊維が緩やかに集められ、低密度の絶縁材を形成する。また、マット状の絶縁材を作るには、複数の繊維が、典型的には、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、ビニル−アクリル樹脂又は可溶性重合体などの、流体バインダ混合物又は粉状バインダと共に噴霧される。繊維はコンベア上に集められ、厚いマットを形成する。バインダは、そして養生オーブン内で硬化される。未硬化のマットは、硬化前にダクトのライナ、ダクトの板材、又はパイプの絶縁材に更に適用することができる。また、該マットはスライスされ、及び/又は細片化されて、個々の絶縁材となる。ある場合には、仕上げ材が該マットの少なくとも一面を、防湿層と共にカバーする形で用いられる。
【0003】
繊維質絶縁材は、細菌に曝されることからカビの生長に対して脆弱であり、特に、絶縁材が、例えば、地下室や屋根の下の換気が不十分な空間のような、湿気の多い環境に配置される時には、顕著である。
【0004】
米国特許第6,399,694には、バインダにより共に結合された繊維の製造に引き続いて、コンベア上の絶縁材に殺菌剤を添加することが開示されている。米国特許第6,399,694は、更に、絶縁材が設置される場所である現場で、絶縁材に殺菌剤を添加することも開示している。これらの開示された行為において、殺菌剤はバインダに対して外部的に供給され、該バインダそれ自身は、カビに対する抵抗は持っていない。これらの開示された行為においては、絶縁材を介した散布においてさえも、殺菌剤の濃度を制御したり、殺菌剤の分布を制御したりすることは行われていない。WO02/092578A1は、赤外線の吸収及び散乱のための商品について開示しているが、殺菌剤に関しては開示されていない。
【0005】
こうして、従来の完成された絶縁材に殺菌剤を添加する方法は、制御された濃度で殺菌剤を適用するという製造上の制御に欠けている。例えば、製造上の制御は、殺菌剤の濃度が潜在的に毒となるようなレベルで扱われ、適用されることを防止する必要がある。更に、製造上の制御は、繊維質絶縁材が防カビであることを宣伝し、ラベルで表示する正当性を確立する必要がある。更に、将来、殺菌剤の製造者がカビの生育を阻害するに適した推奨濃度を発見したような場合、製造上の制御においては、該製造者が推奨する濃度で殺菌剤を使用するようにしなければならない。
【0006】
絶縁材へ殺菌剤を添加する間の製造上の制御の欠落は、該絶縁材の測定された物理的な特性の不安定さを引き起こすかもしれない。こうして、殺菌剤の量を制御することで、絶縁材を試験することで発見される物理的な不安定性が生じることを防止し、厚さの回復やその他の物理的な特性に関する産業基準に適合させることができる。
【0007】
従って、現在、制御された殺菌剤濃度を有する繊維質絶縁材に対する必要性が生じている。また、現在、制御された殺菌剤濃度を有する繊維質絶縁材を製造する方法に対する必要性が生じている。
【0008】
更に、現在、繊維質絶縁材内で有効な機能を発揮する、分散された添加剤を有する繊維質絶縁材の必要性が有り、更に、殺菌剤は該分散された添加剤と組み合わされる。更に、現在、防カビ性を有する分散された添加剤を持った繊維質絶縁材の必要性がある。更に、現在、絶縁材のマットを製造するために互いに繊維を結合する、分散された添加剤としてのバインダにより、殺菌剤を散布する製造方法の必要がある。
【0009】
更に、現在、散布された殺菌剤を有するマット状の、低密度の繊維質絶縁材の必要性がある。更に、繊維質絶縁材の全てにわたり殺菌剤を散布することのできる製造行程の必要性がある。
[発明の要約]
【0010】
本発明は、殺菌剤と分散された添加剤を複数の絶縁繊維中に散布し、その後、該分散された添加剤を繊維上の適宜な場所に付着させることで繊維質絶縁材を作る方法を提供するものである。本発明の利点は、殺菌剤が制御された濃度で散布される点である。更に、繊維質絶縁材の抗カビ性が強化される。また、繊維は、繊維質絶縁材を製造する形成段階の間に、殺菌剤により処理される。ここで殺菌剤は、菌の成長を抑止したり、禁止したりする抗菌剤ばかりか菌を破壊する物質に関連するものである。本発明の実施例によれば、殺菌剤は分散された添加剤と組み合わされ、例えは、分散された添加剤内に溶解され、又は吸収されることで、又は、例えば、化学的な結合により、又は乳化により、分散された添加剤と混合されて、組み合わされる。
【0011】
本発明による方法では、更に、低密度絶縁繊維を作ることが出来、そこでは分散された添加剤は絶縁材の繊維上に付着される。分散された添加剤は、繊維との物理的、化学的、電気的相互作用により付着する。また、低密度絶縁材は、梱包された殺菌剤処理され繊維からなるマットを、切ったり又は砕いたりして小片化することで作られる。
【0012】
本発明の方法は、また、熱絶縁材又は音響用絶縁材として、バット、ロール、ダクトライナー、板のような絶縁マットを製造するものであり、分散された添加剤は繊維を互いに結びつけるバインダである。
【0013】
本発明の別の実施例では、方法は、繊維の測定単位及び分散された添加剤の測定単位に対して殺菌剤の濃度を制御するステップを有する。
【0014】
本発明の別の実施例によれば、本発明は、複数の繊維上に殺菌剤及びバインダを散布し、その後、該繊維及び散布された殺菌剤とバインダを集め、該バインダを固化させて繊維質絶縁材を製造する方法を提供するものである。本発明の利点は、該バインダは抗カビ性を有するようになる点である。本発明の他の利点は、繊維を互いに結合するバインダの中に殺菌剤がある点である。
【0015】
本発明の方法の別の実施例によれば、本方法は、更に流体バインダ混合物内で殺菌剤とバインダを組み合わせるステップを有する。この利点は、流体で生まれたバインダは分散された添加剤として作用し、更に殺菌剤を散布するための散布材として使用される。
【0016】
本発明の別の実施例によれば、該方法は、更に殺菌剤を水と組み合わせるステップを有し、その後、該バインダと殺菌剤を流体バインダ混合物内で混合するステップを有する。
【0017】
本発明の別の実施例によれば、該方法は、更に殺菌剤の分布を乳化剤で安定化するステップを含む。
【0018】
本発明の別の実施例によれば、該方法は、更に、複数の繊維の上に殺菌剤を散布し、その後該複数の繊維中にバインダを散布し、繊維及び散布された殺菌剤と散布されたバインダを集め、該バインダを固化させるステップを含む。
【0019】
本発明の別の実施例によれば、該方法は、更に、殺菌剤の濃度を制御し、繊維質絶縁材の一つ以上の物理特性の不安定性を制限するステップを有するものである。
【0020】
更に、本発明はバインダ内に殺菌剤を有する繊維質絶縁材を提供するものであり、バインダは複数の繊維中に散布され、該バインダは該繊維を互いに結合する。
【0021】
本発明の実施例によれば、殺菌剤の濃度は、繊維の単位測定量上に散布されたバインダの単位測定量に対して制御される。
【0022】
本発明の更なる実施例によれば、殺菌剤の濃度は、毒のレベル以下に制御される。
【0023】
本発明の更なる実施例によれば、殺菌剤の濃度は、絶縁材の物理特性の不安定性を制限するように制御される。
【0024】
本発明の別の実施例によれば、防湿層が、マットの少なくとも主要な表面をカバーする。
【0025】
本発明の別の実施例によれば、殺菌剤を有する防湿層が、マットの少なくとも主要な表面をカバーする。
【0026】
本発明の他の実施例は、添付した図面と関連して後述する、詳細な記述の例を通して明らかである。
[図面の簡単な要約]
【0027】
図1は、殺菌剤を散布する装置及び絶縁繊維の周囲に散布された添加剤を示す概略図である。
【0028】
図2Aは、繊維質絶縁材の斜視図である。
【0029】
図2Bは、図2Aに似ているが、防湿層にカバーされた繊維質絶縁材を示す図である。
【0030】
図3は、殺菌剤を散布する方法及び、分散された添加剤と組み合わされた殺菌剤を持った繊維を集めることが後で行われる、分散された添加剤の、多様な実施例の流れ図。
【0031】
図4は、低密度の繊維質絶縁材を製造するために絶縁繊維の周囲に殺菌剤と分散された添加剤を散布する散布装置を示すブロック図である。
[発明の詳細な記述]
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図2Aに、バインダで相互に結合された断熱繊維のマット(200)を有する繊維質絶縁材を示す。絶縁材のR値は熱移動を妨害する断熱効率に関するものである。マット(200)の厚さは、該R値にだいたい比例している。マット(200)は、次いで小片化され、バットと言われる絶縁材になる。ここで言うバットとは、ロール状のもの、又は、(200b)で示すように単片構成の、より短い非ロール状のものも含む。更に、それらは切り目(200c)に沿って部分的にカットされ、該切り目(200c)に沿って裂き、又は切断することでバットから分離することのできる多数のセグメント(200a)を形成する。バットは、建物の中空壁や屋根裏内のそれぞれの空洞へ配置するに適した幅及び長さを有している。
【0033】
図2Bに示すように、バットは防湿フィルムの形の水防湿層(500)が被覆又は貼り付けられるか、図2Aで示すように、被覆又は貼り付けられていない状態となっている。水防湿層が貼り付けられたバットは、貼り付けられていないバットが使用される同じ場所に使用することができる。防湿層が貼り付けられていないバットは、別に設置された防湿層の後ろに設置するのに適している。防湿層が貼り付けられていないバットは、既存の屋根裏の絶縁材を該屋根裏の断熱R値を増大させために設置する場合に、特に適している。
【0034】
被覆されたバットは、防湿フィルムの形の水防湿層(500)が被覆又は貼り付けられた断熱バットであるが、該防湿フィルムは、アスファルト材料又は他の防湿材料がコーティングされたクラフト紙であるが、それらに限定されない。これらの防湿材料には、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリエチレン テレフタレート(PET)、ポリビニリデン クロライド(PVDC)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマ、ポリビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせを含み、更に、二つ以上のこれらポリマーの共押し出し品なども含むが、これらに限定されない。防湿フィルムは、水蒸気の伝達に対するバリアを形成するものや、周囲の空気の相対湿度に応じた水蒸気を選択的に伝達する蒸気伝達性を持つものがある。水防湿層(500)は各バットの少なくとも第1の主要な面をカバーする。または、水防湿層(500)は、各バットの側部を含むバットの一つ以上の表面をカバーするものである。水防湿層(500)は、殺菌剤又は殺虫剤の濃度を処理することができる。
【0035】
バットは、典型的には建物構造のフレーム部材間の空洞を埋める形で設置される。水防湿層(500)は、フレーム部材に装着するためのサイドタブ又はフラップ(500a)を持っていてもよく、それはバットを所定位置に固定する。また、水防湿層(500)は、フレーム部材をカバーするためにサイドタブ又はフラップ(500a)を任意的に延長させることもできる。バットがセグメント(200a)に部分的に分割されると、水防湿層(500)は更に切り取り線(502)からセグメントに部分的に分割される。
【0036】
形成段階では、マット(202)は、典型的には、最初に繊維(104)を製造することで形成され、次いで繊維(104)を落下させ、繊維のヴェール又は繊維の毛の流れを作る。バインダが繊維(104)の流れに供給され、次いで繊維(104)をコンベア上に集め、繊維(104)の厚いマットを形成する。ここで、コンベアはコンベアベルト又は成形チェーンを含む。繊維(104)は多様な方法で集められる。公知の集める方法は、繊維(104)をランダムに配分し、多様な密度を有するマットを形成する方法である。また、エアレイド(乾式)方法は、繊維(104)を平行に配分して均一な密度を有するマットを形成するものである。そして、バインダが硬化され、硬化されたバインダにより互いに接続された繊維(104)によるマットが形成される。例えば、米国特許第4,090,241には、フレーム減衰処理によりグラスファイバの流れを作り、成形チェーン上に繊維質絶縁材の厚いマットを形成する装置が開示されている。また、WO02/070417には、例えば、回転スピン処理により製造されるグラスファイバが述べられている。
【0037】
図1に、繊維質絶縁材を形成するための形成段階装置(100)を示す。装置(100)は繊維の流れ(104)を取り囲むバインダ供給リング(102)を有している。バインダ供給リング(102)は、該リング(102)の内側に向き、繊維の流れ(104)の方向に向いた多数のノズル(100a)を有する中空パイプである。バインダ供給リング(102)は、流体バインダ混合タンク(108)から供給される流体バインダ混合物が所定圧でポンプ供給されるインレット(106)を有している。ノズル(100a)はバインダを繊維(104)中に、それらがリング(102)を通過する時に散布する。本発明の実施例によると、バインダ樹脂は、液体(水を含むがこれに限定されない)と組み合わされて混合され、溶液中又は、エマルジョンとしての浮遊物中に又は懸濁液中の粒子として、バインダを有する液体バインダ混合物を生成する。本発明の実施例では、液体バインダ混合物は、繊維質絶縁材の有用性を向上させる分散された添加剤として扱う。典型的には、バインダは、更に、結合材、防塵油、触媒と共に液体と組み合わされて混合される。更に、液体バインダ混合物は、火炎防止剤、赤外線反射又は吸収剤、他のイオンドナー剤、絶縁材の有用性を増す何らかの材料を含んでもよい。
【0038】
図1から分かるように、装置(100)は、バインダ供給リング(102)から、繊維の流れ(104)の上流側に該繊維の流れ(104)を囲む、水オーバースプレーリング(110)を有している。水オーバースプレーリング(110)は、バインダ供給リング(102)と同様な構造を有しており、内側の繊維の流れ(104)に向いた多数のノズル(100b)を有している。水オーバースプレーリング(110)は、水オーバースプレータンク(114)からポンプ圧送される水、自治体が供給する飲料水でも洗浄水として知られる処理水でもよい、が供給されるインレット(112)を有している。水は、ノズル(100b)を介して散布され、繊維(104)がリング(110)を通過する時に、水で繊維(104)を冷却する。本発明の実施例によると、リング(100)とノズル(100b)は絶縁繊維(104)内に殺菌剤を散布し、次いで、ノズル(100a)により、繊維がリング(102)を通過する際に該繊維(104)に中にバインダを散布する。
【0039】
本発明の実施例によると、繊維(104)にバインダを適用する装置(100)は更に、濃度の制御された殺菌剤を適用して、繊維(104)の隅から隅まで散布する。バインダは、繊維(104)中に散布される、分散された添加剤である。本発明の典型的な実施例では、分散された添加材は、殺菌剤を散布するための分散剤としての役割をする。濃度は、繊維質絶縁材の質量又は測定された容積に対して散布されたバインダのそれぞれ質量又は測定された容積に対する、殺菌剤の濃度を測定することで制御される。殺菌剤は、バインダ供給装置ばかりか、殺菌剤供給装置としてのバインダ供給リング(102)を使用することで繊維(104)中に、バインダと共に散布される。製造装置(100)は、繊維(104)の多数の流れ、及び多数のリング(102)及び(110)を持っていてもよい。この後、散布されたバインダと散布された殺菌剤を有する繊維(104)は、集められ、繊維(104)の厚いマットを形成する。バインダが硬化すると、殺菌剤は硬化したバインダの中にあり、繊維(104)同士を接合するバインダにより各所に配置される。また、装置(100)は、装置(100)内に区画を形成する形で一つ以上のリング(110)を使用して、新たに形成された繊維(104)の対応する流れの上にバインダ無しで散布するようにすることもできる。殺菌剤処理された繊維(104)は、実質的にバインダを含まない低密度の絶縁材として製造することができる。
【0040】
過去において、米国特許第6,399,694号には、コンベア上の完成したマットに殺菌剤を添加し、バインダが硬化した後のバインダ上に殺菌剤を配置するようにしたものが開示されている。また、殺菌剤をバットが設置される場所でバットに対して殺菌剤を添加する、殺菌剤の現場処理も行われた。
【0041】
更に、本発明以前には、殺菌剤は個々の繊維に対して不均一な形で散布されていた。これは、厚く、しばしば稠密なマットに殺菌剤が添加され、これにより個々の繊維間に不均一な分布が生じるからである。更に、繊維は既にバインダを介して互いに接続されており、それが更にマット内の密度の変化を生じさせて繊維から殺菌剤が移動することをブロックする。殺菌剤がマットの製造後に添加されるので、マットの隅から隅まで殺菌剤を分配することを確実にする製造上の制御は当を得た形は行われない。更に、殺菌剤は、潜在的に毒性を有するレベルの濃度で取り扱われ、適用されていた。更に、殺菌剤が絶縁材の物理特性を変えたかどうかを決定する製造上の試験も何ら行われていない。製造上の試験は、物理的な特性の不安定性、特に、殺菌剤処理された絶縁材が、厚さの確保や物理特性に関する産業規格に合致するか否かについての不安定性の存在を示している。
【0042】
本発明の実施例によると、殺菌剤は絶縁繊維の間に散布され、また散布された添加剤は絶縁繊維内に分散される。分散された添加剤は、流体、好ましくは水に混ぜられたバインダであり、流体バインダ混合タンク(108)により供給される流体バインダを提供する。
【0043】
本発明の別の実施例によると、殺菌剤は、流体、好ましくは水に混ぜられたバインダを含む、流体バインダ混合物と組み合わされる。殺菌剤は、流体バインダ混合物に、溶解により、またエマルジョンとして又は懸濁液中の沈殿物として懸濁液の形で混ぜられ、バインダとは化学的に融和性がある。バインダは流体中に溶液又は懸濁液の形で混合される。バインダと流体はエマルジョンを形成することが好ましい。例えば、バインダは典型的には、硬化アクリル又はフェノール(フェーノルホルムアルデヒド)樹脂、又は、尿素、リグニン、シラン、除塵オイル及び/又はアンモニアの他に、エポキシ及びポリエステルなどの他の熱硬化樹脂を含む。更にエマルジョンは、断熱繊維(104)を所望のイオンと共に取り扱うイオン化溶液及び/又は防火剤などの更なる成分のエマルジョン混合物と共に混合することも可能である。この液体バインダ混合物は液体バインダ混合物タンク(108)により供給される。更に、液体バインダ混合物のエマルジョンは殺菌剤と容易に混合することができる。
【0044】
殺菌剤は液体バインダ混合物と組み合わせることができ攪拌により混ぜることができる。例えば、タンク(108)内で掻き回したり、殺菌剤をタンク(108)内の液体バインダ混合物に注入したり、又はインレット(106)内に注入したりすることにより可能である。攪拌機による均一な掻き回し及び/又は乳化剤が、殺菌剤が混ざらない場合に適用され、又は、殺菌剤は懸濁液内で沈殿する。例えば、乳化剤は、エクソンモービルコーポレーションの商標である、Mulrex 90 のオイルエマルジョンを含むが、これに限らない。
【0045】
繊維(104)を集める時、バインダは硬化し、殺菌剤はバインダと共に乳化し、繊維(104)の周りに散布されることが望ましい。顕微鏡写真では、散布されたバインダは小さな節または繊維を接着する微粒子として見える。従って、散布されたバインダは繊維(104)内に殺菌剤を制御された濃度で分配又は散布させることとなる。
【0046】
本発明の別の実施例では、殺菌剤はオーバースプレー水に加えられ、及びオーバースプレー水タンク(114)内で攪拌され、又は、タンク(114)又はインレット(112)内に注入される。この実施例では、殺菌剤は流体バインダ混合物とは分かれているが、これは殺菌剤がバインダと化学的な融和性に欠ける場合及び/又は殺菌剤が低い溶解性を有し、例えば、溶液及び懸濁液状態を保持するために攪拌機による水の継続的な掻き回しが必要な場合、及び/又は、混ざらない殺菌剤を維持するため及び/又は懸濁液中に殺菌剤の沈殿を維持するために乳化剤を加えたりする場合、特に有効である。更に、本発明の実施例は化学的に融和性を有さない乳化剤及び/又は沈殿物を流体バインダ混合物タンク(108)から分離している。殺菌剤は、水オーバースプレーリング又は水供給リング(110)により繊維に供給される。ノズル(100b)のオリフィズは殺菌剤の沈殿微粒子を通過させるに十分な大きさである。更に、実施例の装置(100)は、空気噴霧ノズル(100b)を有しており、沈殿微粒子のノズル(100b)のオリフィズを清掃することができる。水オーバースプレーリング(100)は、流体バインダ混合物を繊維中に散布するバインダ供給リング(102)の上流側に有る。殺菌剤は、水供給器及び殺菌剤供給器である水供給リング(100)を使用して繊維中に水により散布される。その後、流体バインダ混合物はリング(102)により繊維(104)内に散布され、散布された殺菌剤と結合する。繊維(104)が集められるとバインダは硬化し、殺菌剤はバインダと、好ましくはエマルジョンの形で結合する。バインダは繊維(104)の隅から隅まで散布され、殺菌剤を繊維(104)の隅々に分配する。更に、バインダは繊維(104)の表面に付着する。付着のステップの間、バインダは硬化し、バインダが繊維(104)に付着する。繊維(104)は、バインダにより相互に結合される。なお、リング(110)を、バインダを用いず、殺菌剤単独で、新たに形成された繊維(104)中に散布するために使用しても良い。この場合、繊維(104)は集められ、細片となり、殺菌剤処理された低密度絶縁材としてパッケージされる。
【0047】
図3に示すように、繊維質絶縁材を製造する方法の一実施例を示す。方法ステップ(300)で、バインダを流体に混ぜて、例えば、エマルジョンや微粒子からなる懸濁液として、又は溶液として、流体バインダ混合物を形成する。更に本方法は、ステップ(302)でバインダに殺菌剤を加える。例えば、最初に殺菌剤を水に溶かして、流体バインダ混合物に簡単に添加することのできる液体を作る。方法ステップ(300)と(302)は、例えば、殺菌剤とバインダの組み合わせとすることもできる。例えば、流体バインダ混合物内で組み合わされるように、組み合わされた殺菌剤とバインダは、バインダ流体タンク(108)によりリング(102)に供給され、ステップ(304)で、絶縁繊維(104)中に殺菌剤とバインダを散布する。バインダ供給リング(102)はステップ(304)を実行するために使用される。ステップ(304)に次いで、方法ステップ(306)が行われ、繊維を集めて、複数の繊維(104)及び散布された殺菌剤とバインダからなる断熱マット(200)を形成する。次いでステップ(308)が行われ、バインダをその中の殺菌剤と共に断熱繊維(104)に付着させる。例えば、方法ステップ(308)は、熱を加えてバインダを固化させ、内部に殺菌剤を有する安定した濃縮エマルジョンとする。マット(200)は、断熱又は防音又は管路ライナ用のむき出しの繊維質絶縁材からなり、及び/又はそれはスライスすることができ、及び/又はバット(200b)に切断することもでき、更に、スライスして及び/又はセグメント(200a)に小片化することもできる。また、マット(200)は、小片化されて、散布された殺菌剤を有する低密度の断熱繊維(104)を形成する。次いで、低密度絶縁繊維(104)は圧縮された低密度絶縁繊維として詰められる。また、低密度絶縁繊維(104)は、図4に示す装置によっても、バックに詰められる圧縮された低密度絶縁繊維(104)に形成することが出来る。
【0048】
図3は、更に、繊維質絶縁材を製造する方法の別の実施例を示している。方法ステップ(300a)で、水に殺菌剤を添加するが、それは水オーバースプレータンク(114)に供給することが出来る。それとは別に、ステップ(302a)では、バインダを流体と混合し、流体バインダ混合物を形成する。流体バインダ混合物が製造されると、それは例えば、バインダ流体タンク(108)に供給される。これにより、バインダと化学変化を生じさせる可能性のある殺菌剤をバインダから分離することが出来る。
【0049】
方法ステップ(304a)では、例えば水オーバースプレーリング(110)により繊維(104)内に殺菌剤を散布し、次いで、方法ステップ(304b)を行って、例えば流体バインダ混合物を散布するバインダ供給リング(102)により繊維(104)内にバインダを散布する。ステップ(300a)、(302a),(304a)及び(304b)による別の方法は、繊維(104)内に殺菌剤を、繊維(104)内へのバインダの散布とは別に散布する方法であり、その後、殺菌剤とバインダを組み合わせる。散布された流体バインダ混合物は散布された殺菌剤とある時間の間に組み合わされ、その間に方法ステップ(306)及び(308)が素早く行われバインダが固化し、固化したバインダ内に、繊維(104)に散布され付着した殺菌剤を持った繊維質絶縁材が生まれる。更に、繊維(104)は互いにバインダにより結合されている。
【0050】
また、ステップ(302)又は(302a)で、流体内にバインダを混ぜる代りに、バインダは粉体バインダの形でもよく、粉体のバインダ−殺菌剤混合物は粉体のバインダと殺菌剤を組み合わせることで作られる。粉体のバインダ−殺菌剤混合物は、例えは、ステップ(304)で使用される水の代りに、繊維(104)中にエアーにより強制的に散布されるか、繊維(104)への静電気による誘因作用で散布される。強制的な空気は、空気と粉体のバインダ−殺菌剤混合物の混合物を伴った空気である。例えば、繊維(104)の量に対する粉体のバインダ−殺菌剤混合物の散布濃度は、必要に応じて変わりうる。例えば、10%の粉体バインダ−殺菌剤混合物、又は20%の粉体バインダ−殺菌剤混合物、又は30%の粉体バインダ−殺菌剤混合物である。その後、繊維を集めて、繊維(104)、散布された殺菌剤及びバインダを有する絶縁材マット(200)を形成する方法ステップ(306)のあと、方法ステップ(308)で殺菌剤をその中に有するバインダを付着させる。方法ステップ(308)の間に、粉体のバインダは溶けて殺菌剤と組み合わさる。そして、溶けたバインダは固化し、該バインダは繊維(104)に付着する。更に、繊維(104)はバインダにより相互に結合される。
【0051】
例えば、低密度絶縁材は、製造段階の装置(100)で、新たに形成された繊維を細片に細切れ及び/又はすりつぶすことで、及び/又は絶縁材マットのロール又はバット、及び/又は破片、単部の切れ端、及び他のタイプの断片を細切れにすることで製造される。これらは、その繊維のバインダが固化していてもしていなくても良い。図4に、低密度絶縁材をダクト又はミキサ中で形成するための形成段階の装置(100)の他の実施例を示す。低密度の絶縁材が新たに形成された繊維として、細切れにされた細片から生成された繊維として、又は、固化したバインダを有する繊維として選択されようとも、低密度の絶縁材は、低密度移送ダクト(400)を介してミキサ(402)に供給され、低密度の絶縁材は分散された添加剤と混ぜ合わされる。添加剤は低密度の絶縁材の絶縁繊維(104)内に散布される。分散された添加剤は、帯電防止混合物、例えば、シリコンと水のエマルジョン、及び/又は防塵用の石油等であるが、これらに限定されない。例えば、分散された添加剤は、好ましくは、例えば、防炎剤、及び/又は所望のイオンで処理された絶縁繊維(104)に対するイオン化溶液など、更なる成分が乳化された混合物と結合し、及び/又は混合したエマルジョンの形である。繊維(104)はこうしてコンプレッサ/包装機(404)に送られ、そこで、圧縮されて空気を抜かれ、、密度を高められて、図4のL.F.として示すように、低密度の絶縁材として梱包される。
【0052】
例えば、製造部門において、リング(102)を用いて先述した方法で殺菌剤及び分散された添加剤を低密度の絶縁材の繊維(104)中に散布することが出来る。また、例えば、ミキサ(402)又は低密度移送ダクト(400)はリング(102)及び(110)のノズルに似たノズル(100a)及び(100b)を使用することが出来る。また、別の実施例では、バインダ無しで殺菌剤のみが、ここで述べた方法でリング(110)だけを使用して低密度絶縁材に適用され、散布された殺菌剤で処理された低密度の絶縁材を製造し、販売のためにコンパクト化され梱包される。ノズル(100b)はミキサ(402)又はダクト(400)の側部に設けられ、ミキサ(402)又はダクト(400)の内側で低密度の絶縁材の繊維(104)中に殺菌剤を散布する。ノズル(100a)はミキサ(402)又はダクト(400)の側部に設けられ、ミキサ(402)又はダクト(400)の内側で低密度の絶縁材の繊維(104)中に分散された添加剤を散布する。分散された添加剤は、好ましくは、帯電防止混合物及び/又は防塵用石油のエマルジョンである。分散された添加剤は繊維(104)中に散布され、散布された殺菌剤と組み合わされる。更に、ミキサ(402)内で散布された添加剤は繊維(104)の表面に付着し、加熱行程により乾燥され、余分な水分が除去される。
【0053】
繊維(104)はコンプレッサ/包装機(404)に送られ、そこで、圧縮されて空気を抜かれ、密度を高められて、図4のL.F.として示すように、低密度の絶縁材として梱包される。また、リング(100)のノズル(100b)のみを使用して殺菌剤だけを散布し、新たに形成された繊維(104)をバインダの無い散布された殺菌剤で処理されたものとする。その後、バインダ不使用の、散布された殺菌剤で処理された低密度の絶縁材として梱包される。
【0054】
製造現場で殺菌剤で絶縁材を処理する利点は、殺菌剤の適用がノズル(100b)及び/又は(100a)を介したその流動速度の程度により測定し制御されることである。これにより、殺菌剤の濃度が散布された添加剤の単位量及び繊維(104)の単位量に対して制御される。更に、殺菌剤の濃度は、人や犬及び猫などの小動物にとって毒レベル以下となるように制御される。
【0055】
以下に、その物理特性、繊維質絶縁材上の殺菌剤としての濃度及び有効性、及び流体バインダ混合物との適合性に基づいた、潜在的な生物破壊に関するテストについて述べる。
【0056】
アメリカ材料検査協会(ASTM)が、ASTM C1338 産業材料及び表面材のカビに対する抵抗を決定する標準テスト方法を提供している。絶縁材及び表面材は、カビを生長させた場合、白樺(white birch)又はサウザンイエロパイン(southern yellow pine)の細片を30℃、95%の相対湿度で、28日以上テストした際に生じるカビの生育以下の時に、該テストに合格することが出来る。テストの菌は、アスペルギルス ニガー(Aspergillus
Niger)、アスペルギルス バーシカラ(Aspergillus Versicolor)、ペニシリウム ファニキュロザム(Penicillium
Funiculosum)、ケトミウム グラボサム(Chaetomium Globosum)及び、アスペルギルス フラバス(Aspergillus Flavus)である。
【0057】
カビ抵抗についてのASTM C1338標準テストが行われた。3%のバインダ固体を溶解して800グラムのフェノール樹脂バインダ(溶液)のバッチが準備され、10%のバインダ含有量をもつ固化したテストシートを得る。バッチは、5個の150グラムのポーションに分けられた。バインダの一つのポーションには抗カビ剤は加えられず、制御バインダとして使用した。4つの150グラムのポーションのそれぞれには、1%の抗カビ剤の固体が添加された。抗カビ剤のこの濃度は、固化したテストシート上で0.10%に相当した。固化したテストシートは、製造者が推奨したカビの生長を阻止するのに適した濃度に調整された殺菌剤濃度を有している。製造者の推奨する殺菌剤の濃度は、バインダにより溶液中に散布された殺菌剤を用いて、繊維質絶縁材のマットの繊維上に散布し、その後バインダを固化させることで、再現することが出来る。
【0058】
テストシートは、GF/Cフィルターシート(グラスフィルター紙)を6インチ×8インチの小片にカットすることで得られる。シートはバインダ(溶液)に浸漬され、余分なバインダは真空テーブルで除去された。シートは180℃で5分間、マチス研究所(Mathis
laboratory)級ドライヤで固化させた。行程制御用素材片は一つのシートをバインダの代りに脱イオン水に浸漬させて準備した。個々のテストシートはポリエチレンバックにそれぞれ梱包してASTM C1338によるテストを行う研究所に送られた。テスト結果の研究所のレポートを、表1に示す。
【表1】

【0059】
ASTM C1338のテスト結果では、制御バインダ(抗カビ剤無し)を持ったサンプルにカビの生長が見られ、抗カビを有する材料で処理されたサンプルにはカビの生長は見られなかった。このことは、ASTM C1338により規定された白樺(white birch)又はイエロパイン(yellow pine)の制御サンプル上に見られるカビの許容成長量と十分に、好意的に比較することが出来る。
【0060】
熱安定性テストが、四つの殺菌性を有する材料、又は抗カビ剤、ホウ砂、酸化亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムのそれぞれのサンプルについて行われた。15ミリグラムのサンプルが、毎分20℃の速度で300℃にまで加熱された。温度上昇に対する喪失重量パーセントの熱重量分析(TGA)は、室温から250度までを示した。ホウ砂は、その水和水を含む体積の21%を失い、プロピオン酸カルシウムは3%を失い、プロピオン酸ナトリウムは0.1%を失い、酸化亜鉛は0.1%を失った。
【0061】
バインダ(溶液)の安定性テストも行った。6%のバインダ固体及びバインダを作る水である洗浄水を有する流体バインダ混合物のマスターバッチを作った。洗浄水は、本発明の多様な絶縁材の実施例を作る装置を継続的に洗浄する処理水として使用された水道水からなる。処理水は、固体を濾過されて、継続的にリサイクルされる。オイルエマルジョンである、ムルレックス(Mulrex)90は、10.3%の固体バインダを有する。五つの100mlのバインダのアリコートはそれぞれガラスジャーに移動される。バインダの内、四つには対応する抗カビ剤である、ホウ砂、酸化亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムが、バインダ固体の2%の濃度で入れられる。残ったバインダサンプルには、何も入れず、対照サンプルとする。バインダが添加されたサンプルは、約24時間、蒸発防止のカバーが掛けられた状態で攪拌される。24時間のエイジングの後、バインダは攪拌器から除去され、不安定性が観察される。24時間の安定性の結果は、表2に示される。
【表2】

【0062】
従って、表2のテスト結果は、製造工程内で使用される殺菌剤又は、抗カビ剤の沈殿を防止するために、継続的な攪拌及び/又は流体バインダ混合物内の乳化剤の必要性を示している。もし、あるならば、ホウ砂殺菌剤が最小の不安定度を示し、好ましい実施例として示される。
【0063】
洗浄水の安定性テストは、150グラムの洗浄水に0.75グラム(0.5%)の、四つの抗カビ剤、ホウ砂、酸化亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムのいずれかを加えた物で行った。オイルエマルジョンは加えなかった。洗浄水は、本発明の多様な絶縁材の実施例を作る装置を継続的に洗浄する処理水として使用された水道水である。処理水は、固体を濾過されて、継続的にリサイクルされる。安定性テストは、四つの潜在的抗カビ剤のそれぞれを1.0%加えて繰り返された。シールされた容器内で2時間エージングした後、対照水(抗カビ剤なし)と0.5%ホウ砂のサンプルは、ホウ砂の固体のわずかな沈殿を示した。1%ホウ砂サンプルを含む他のサンプルは、大きな固体の沈殿を示した。従って、テスト結果は、製造工程内で使用される水内での抗カビ剤の沈殿を防止するための、継続的な攪拌及び/又は乳化剤の必要性を示している。
【0064】
引っ張り試験を、基板としてワットマン(Whatman)GF/Cフィルターを用いて行った。流体バインダ混合物の500グラムのバッチが6%の個体バインダを洗浄水中に入れる形で準備された。乳化剤を含まない脱イオン(DI)水をバインダを作る水として使用した。五つの100mlの流体バインダ混合物のアリコートが150mlのビーカーに移された。一つのアリコートが対照として使用され、残りの四つのアリコートに、四つの潜在的な殺菌剤又は抗カビ剤、ホウ砂、酸化亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムの一つが、0.12グラム加えられた。この添加は、全部のバインダ溶液に対する2.0%の固形殺菌剤又は固形抗カビ剤に等しいものである。それぞれのバインダは引っ張り試験用試料を準備するのに用いられた。テスト試料(ワットマン(Whatman)GF/Cフィルターで被覆された)は、マチス研究所(Mathis
laboratory)ドライヤで180℃で5分間、固化され、サートンティードテスト方法(Certain Teed Test Method)のT496 Iに基づいてテストされた。
テスト試料の張力は測定され、その結果を表3に示す。
【表3】

【0065】
更に、繊維質絶縁材の30日保存寿命及び60日保存寿命のリカバリテストが、R19及びR30のR値厚さに対応するマットから切り分けられたグラスファイバ断熱バットにおいて行われた。R19バット及びR30バットがバインダ中に2%のホウ砂を有するバインダとグラスファイバで作られた。ホウ砂は。バインダ内で殺菌剤又は抗カビ剤を構成し、繊維上に流体バインダ混合物により散布された。表4は、30日保存寿命テストの結果を示す。表5は、60日保存寿命テストの結果を示す。
【表4】

【表5】

【0066】
表4及び表5の五つの異なる特性に関してテストされた四つの製品のテスト結果は、表4の16テスト結果の内、10が、表5の16テスト結果の内、12が、殺菌剤又は抗カビ剤を含まない散布バインダの繊維を有する標準製品がバインダに2%のホウ砂を有する製品よりも良い物理的特性を持つことを示している。テストされた特性は、デッドピン及びドロップ毛羽厚さ、剛性、引っ張り強さである。例えば、特性が測定された60日保存寿命テストにおいて、標準製品の測定された平均特性は、バインダ内に2%のホウ砂を有する製品よりも、0.73%その物理特性が優れていた。表4及び表5に示された比較した百分率は、百分率の和及び百分率の平均の両方が計算された。従って、バインダに殺菌剤又は抗カビ剤を含んだ繊維質絶縁材用バインダは、このテストに示されたように、繊維質絶縁材の物理的な特性において不安定性を引き起こす。
【0067】
テストは繰り返され、R−19及びR−30絶縁材に関する100日保存寿命テストが行われた。バインダに2%ホウ砂を持つ製品の物理特性を、標準製品の物理特性に相対する形で得た。全体的に利益が得られたにもかかわらず、物理特性のテストは、2%ホウ砂で処理された絶縁材の物理特性は未処理の絶縁材に比して不安定性を示していた。表5に100日保存寿命に関するテスト結果を示す。
【表6】

【0068】
従って、本発明は、繊維の一つの単位量において散布されたバインダの一つの単位量に対する殺菌剤の濃度を制御する製造方法を提供するものである。後で散布された殺菌剤を有する繊維は、繊維質絶縁材の物理特性に過度の変化又は不安定性を与えない制御された殺菌剤濃度を有する繊維質絶縁材に形成される。バインダ強さ及び他の物理的な特性の喪失の補償は、殺菌剤濃度の測定単位に対するバインダ含有量の測定単位を増加させることで達成することが出来る。
【0069】
また、本発明は、バインダ含有量の測定単位に対して殺菌剤の測定単位を制御することで殺菌剤の濃度を制御する製造方法を提供するものである。殺菌剤の測定単位を制御することは、殺菌剤の濃度を毒レベル以下に制御する上で重要である。殺菌剤が確立された製造者推奨濃度をもっていないかもしれないが、本発明は、殺菌剤濃度を制御する製造方法を提供して、将来設定される製造者推奨濃度を満たすようにする。
【0070】
R−13バットは、バインダ内に0%、1.5%及び3%のホウ砂を有する物理特性が試験された。全てのバインダの変種は、水蒸気吸着、ASTM E136非燃焼性及び、危険な放射磁束に関するASTM E970に関するASTM要求に適合した。全ては、鋼、銅、アルミニウムの腐食に関するSTM C665と同様な結果となった。バインダに3%のホウ砂を有するバットだけがASTM C1304の臭気放出テストが不合格であった。R−13バットの90日保存寿命テストでは、デッドピン及びドロップ毛羽厚さ、剛性、引っ張り強さテスト値が全ての三つの変種で許容できるレベルであった。テスト結果を表7に示す。
【表7】

【0071】
本発明によると、抗カビ剤又は殺菌剤には、ホウ砂、酸化亜鉛、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム及びその誘導体およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。また、それらは本発明に基づいてバインダ中に使用される。ホウ砂については、好ましい殺菌剤である。更に、本発明によれば、バインダ成分の好ましい実施例は、5モルのホウ砂である。
【0072】
本発明を特定の実施例に基づいて開示してきたが、他の実施例や本発明の変形例が本発明の範囲及び真の精神から離れることなく他の当業者により案出されうることは明白である。添付したクレームは、こうした全ての実施例及び均等な変形を含むものである。

【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、殺菌剤を散布する装置及び絶縁繊維の周囲に散布された添加剤を示す概略図である。
【図2】図2Aは、繊維質絶縁材の斜視図である。図2Bは、図2Aに似ているが、防湿層にカバーされた繊維質絶縁材を示す図である。
【図3】図3は、殺菌剤を散布する方法及び、分散された添加剤と組み合わされた殺菌剤を持った繊維を集めることが後で行われる、分散された添加剤の、多様な実施例の流れ図。
【図4】図4は、低密度の繊維質絶縁材を製造するために、絶縁繊維の周囲に殺菌剤と分散された添加剤を散布する散布装置を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の断熱繊維(104)の中に、殺菌剤及び分散された添加剤を散布すること、
該分散された添加剤と前記殺菌剤を組み合わせること、及び、
前記分散された添加剤を前記繊維(104)上に固定すること、
からなる、繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項2】
前記殺菌剤と前記分散された添加剤を、前記繊維(104)の中に前記殺菌剤と前記分散された添加剤を散布する前に、組み合わせる、請求項1記載の繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項3】
前記殺菌剤を、前記分散された添加剤としての流体バインダ混合物内に分散させ、
前記繊維(104)の中に前記殺菌剤及び流体バインダ混合物を散布する前に、乳化剤で前記殺菌剤の前記流体バインダ混合物内での分散を安定化させる、
請求項1記載の繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項4】
前記繊維(104)の中に前記殺菌剤と前記分散された添加剤としての流体バインダ混合物を散布する前に、前記流体バインダ混合物内で前記殺菌剤を組み合わせる、
請求項1記載の繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項5】
前記繊維(104)の上に前記殺菌剤と前記分散された添加剤としてのバインダを散布する前に、前記殺菌剤と前記バインダを組み合わせる、
請求項1記載の繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項6】
前記殺菌剤と前記分散された添加剤を前記繊維(104)上に散布する前に、前記殺菌剤と、石油、防炎剤又はイオン化溶液の内の一つ以上を含む、分散された添加剤とを組み合わせる、
請求項1記載の繊維質絶縁材の製造方法。
【請求項7】
絶縁繊維(104)の集積物、
前記繊維(104)内に配置された分散された添加剤、該分散された添加剤は前記繊維(104)の表面に付着されており、
前記分散された添加剤と組み合わされた殺菌剤、
からなる繊維質絶縁材。
【請求項8】
前記分散された添加剤はバインダであり、前記繊維(104)の集積物は、該バインダにより互いに結合されている、
請求項7記載の繊維質絶縁材。
【請求項9】
前記分散された添加剤は、石油、防炎剤、イオン化溶液、又はそれらの組み合わせである、
請求項7記載の繊維質絶縁材。
【請求項10】
前記絶縁繊維(104)の集積物により形成されたマットの少なくとも一つの表面を覆う、水防湿層を更に有する、
請求項7記載の繊維質絶縁材。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−516103(P2008−516103A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535899(P2007−535899)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036475
【国際公開番号】WO2006/044351
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(506207358)サートゥンティード コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】