説明

殺菌混合物

本発明は、活性成分として、1) 式(I)のジモキシストロビンおよび2) 式(II)の化合物を、相乗活性を有する量で含む殺菌混合物に関する。本発明はまた、化合物(I)および(II)の混合物を使用して有害な菌類を防除する方法、このタイプの混合物を製造するための化合物(I)および(II)の使用、および上記混合物を含む薬剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として、
1) 式I
【化1】

【0002】
のジモキシストロビン、および
2) 式II
【化2】

【0003】
の化合物を、相乗効果を有する量で含む殺菌混合物に関する。
【0004】
さらに、本発明は化合物Iと化合物IIの混合物を用いて有害な菌類を防除する方法、および上記混合物を調製するための化合物Iと化合物IIの使用、およびこれらの混合物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0005】
式Iの化合物は、活性なストロビルリン化合物のクラスに属する。それらの調製およびそれらの有害な菌類に対する作用は公知である(一般名:ジモキシストロビン;EP-A 477 631)。
【0006】
EP-A 645 087、EP-A 645 088、EP-A 645 089、EP-A 645-090、EP-A 645 091およびEP-A 648 417には、化合物Iと他の活性化合物との混合物が開示されている。
【0007】
化合物II、5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、その調製およびその有害な菌類に対する活性も同様に文献により公知である(WO 98/46607)。
【0008】
トリアゾロピリミジンとストロビルリン誘導体との混合物は、EP-A 988 790により一般に公知である。化合物IおよびIIは、この出願の一般的な開示に含まれるが、ストロビルリンIまたはトリアゾロピリミジンIIのどちらについてもEP-A 988 790には言及されていない。
【0009】
公知の混合物の殺菌作用は必ずしも満足のいくものではない。たとえば、上記の出願により公知の活性なトリアゾロピリミジン化合物は、卵菌類(Oomycetes)のクラスに属する有害な菌類の防除には適していない。また、ストロビルリン誘導体Iの卵菌類に対する作用は現在の要求を満たすものではない。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、施量を減少させ、公知の化合物の活性スペクトルをより広くすることを目的として、施用される活性化合物の総量を減少させながら、有害な菌類、特に卵菌類のクラスに属する菌類に対する改善された作用を有する混合物を提供することである。
【0011】
我々は、この目的が上に定義した混合物により達成されることを見出した。さらに、我々は、化合物Iおよび化合物IIを同時に施用すること(一緒にもしくは別々に)、または化合物Iおよび化合物IIを連続して施用することにより、個々の化合物により達成されるものよりも優れた有害な菌類の防除が可能になることを見出した。
【0012】
化合物Iおよび化合物IIの混合物、または、同時に(一緒にもしくは別々に)使用される化合物Iおよび化合物IIは、広いスペクトルの病原性菌類、特に子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、卵菌類および担子菌類(Basidiomycetes)のクラスに属する病原性菌類に対する際だった活性を特徴とする。特に有利なことに、これらは卵菌類を防除するために使用される。これらのいくつかは浸透的に作用し、葉および土壌に作用する殺菌剤として作物の保護に使用することができる。
【0013】
これらは、バナナ、ワタ、野菜種(たとえば、キュウリ、マメおよびヒョウタン)、オオムギ、牧草、オートムギ、コーヒー、ジャガイモ、トウモロコシ、果実種、イネ、ライムギ、ダイズ、トマト、ブドウ、コムギ、観賞用植物、サトウキビおよび多くの種子などのさまざまな作物における多くの菌類を防除するために特に重要である。
【0014】
さらに、本発明の化合物IおよびIIの組合せは、例えば、穀類におけるセプトリア(Septoria)およびプクキニア(Puccinia)sp.および野菜、果実およびブドウにおけるアルタナリア(Alternaria)およびボイトリティス(Boytritis)sp.などの他の病原体を防除するためにも適している。
【0015】
これらは、下記の植物病原性菌類を防除するために特に適している:すなわち、穀類のブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(うどん粉病)、ヒョウタンのエリシフェ・シコラセアラム(Erysiphe cichoracearum)およびスファエロセカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、リンゴのポドスフェラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)、ブドウのウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、穀類のプクキニア(Puccinia)sp.、ワタ、イネおよび牧草のリゾクトニア(Rhizoctonia)sp.、穀類およびサトウキビのウスチラゴ(Ustilago)sp.、リンゴの黒星病菌(Venturia inaequalis)、穀類、イネおよび牧草のビポラリス(Bipolaris)およびドレクスレラ(Drechslera)sp.、コムギのセプトリア(Septoria)sp.、イチゴ、野菜、観賞用植物およびブドウの灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)、バナナ、ラッカセイおよび穀類のマイコスファエレラ(Mycosphaerella)sp.、コムギおよびオオムギの眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)、イネのイモチ病菌(Pyricularia oryzae)、ジャガイモおよびトマトのフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、ヒョウタンおよびホップのシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)sp.、ブドウのべと病菌(Plasmopara viticola)、野菜および果実のアルタナリア(Alternaria)sp.、ならびにフサリウム(Fusarium)およびベルチシリウム(Verticillium)sp.である。これらはさまざまな野菜種のフィトフトラ・インフェスタンスを防除するために使用すると、特に有利である。
【0016】
さらに、これらは、たとえば、パエシロマイセス・バリオティー(Paecilomyces variotii)に対する素材の保護(たとえば、木材の保護)に使用することができる。
【0017】
混合物を調製する時に、純粋な活性化合物IおよびIIを使用するのが好ましく、必要に応じて、有害な菌類または昆虫、クモもしくは線虫などの他の害虫に対するさらなる活性化合物、あるいは除草剤または成長調節活性化合物または肥料を加えることができる。
【0018】
上記の意味での他の好適な活性化合物は、特に下記の群より選択される活性化合物である。
【0019】
・アシルアラニン、たとえば、ベナラキシル(benalaxyl)、メタラキシル(metalaxyl)、オフレース(ofurace)、またはオキサジキシル(oxadixyl)、
・アミン誘導体、たとえば、アルジモルフ(aldimorph)、ドジン(dodine)、ドデモルフ(dodemorph)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フェンプロピジン(fenpropidin)、グアザチン(guazatine)、イミノクタジン(iminoctadine)、スピロキサミン(spiroxamine)またはトリデモルフ(tridemorph)、
・アニリノピリミジン、たとえば、ピリメタニル(pyrimethanil)、メパニピリム(mepanipyrim)またはシプロジニル(cyprodinyl)、
・抗生物質、たとえば、シクロヘキシミド(cycloheximide)、グリセオフルビン(griseofulvin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ナタマイシン(natamycin)、ポリオキシン(polyoxin)またはストレプトマイシン(streptomycin)、
・アゾール、たとえば、ビテルタノール(bitertanol)、ブロモコナゾール(bromoconazole)、シプロコナゾール(cyproconazole)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジニトロコナゾール(dinitroconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルトリアホール(flutriafol)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、イマザリル(imazalil)、イプカナゾール(ipcanazole)、メトコナゾール(metconazole)、ミクロブタニル(myclobutanil)、ペンコナゾール(penconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、シメコナゾール(simeconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、トリアジメフォン(triadimefon)、トリアジメノール(triadimenol)、トリフルミゾール(triflumizole)またはトリチコナゾール(triticonazole)、
・ジカルボキシイミド、たとえば、イプロジオン(iprodione)、ミクロゾリン(myclozolin)、プロシミドン(procymidone)またはビンクロゾリン(vinclozolin)、
・ジチオカルバメート、たとえば、フェルバム(ferbam)、ナバム(nabam)、マネブ(maneb)、マンコゼブ(mancozeb)、メタム(metam)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、ポリカルバメート(polycarbamate)、チラム(thiram)、ジラム(ziram)またはジネブ(zineb)、
・複素環化合物、たとえば、アニラジン(anilazine)、ベノミル(benomyl)、ボスカリド(boscalid)、カルベンダジム(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、シアゾファミド(cyazofamid)、ダゾメット(dazomet)、ジチアノン(dithianon)、ファモキサドン(famoxadone)、フェナミドン(fenamidone)、フェナリモール(fenarimol)、フベリダゾール(fuberidazol)、フルトラニル(flutolanil)、フラメトピル(furametpyr)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、メプロニル(mepronil)、ヌアリモール(nuarimol)、ピコベンザミド(picobenzamide)、プロベナゾール(probenazole)、プロキナジド(proquinazid)、ピリフェノックス(pyrifenox)、ピロキロン(pyroquilon)、キノキシフェン(quinoxyfen)、シルチオファム(silthiofam)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チフルザミド(thifluzamide)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、チアジニル(tiadinil)、トリシクラゾール(tricyclazole)またはトリフォリン(triforine)、
・銅殺菌剤、たとえば、Bordeaux混合物、酢酸銅、オキシ塩化銅または塩基性硫酸銅、
・ニトロフェニル誘導体、たとえば、ビナパクリル(binapacryl)、ジノカップ(dinocap)、ジノブトン(dinobuton)またはニトロフタル-イソプロピル(nitrophthal-isopropyl)、
・フェニルピロール、たとえば、フェンピクロニル(fenpiclonil)またはフルジオキソニル(fludioxonil)、
・イオウ
・他の殺菌剤、たとえば、アシベンゾラル-S-メチル(acibenzolar-S-methyl)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)、カルプロパミド(carpropamid)、クロロタロニル(chlorothalonil)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、ダゾメット(dazomet)、ジクロメジン(diclomezine)、ジクロシメット(diclocymet)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、エジフェンホス(edifenphos)、エタボキサム(ethaboxam)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、酢酸フェンチン(fentin acetate)、フェノキサニル(fenoxanil)、フェリムゾン(ferimzone)、フルアジナム(fluazinam)、亜リン酸、フォセチル(fosetyl)、フォセチル-アルミナム(fosetyl-aluminum)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン(metrafenone)、ペンシクロン(pencycuron)、プロパモカルブ(propamocarb)、フタリド(phthalide)、トルクロフォス-メチル(tolclofos-methyl)、キントゼン(quintozene)またはゾキサミド(zoxamide)、
・ストロビルリン、たとえば、アトキシストロビン(atoxystrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)またはトリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、
・スルフェン酸誘導体、たとえば、キャプタホール(captafol)、キャプタン(captan)、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、フォルペット(folpet)またはトリルフルアニド(tolylfluanid)、
・シンナミド(cinnamides)および類似化合物、たとえば、ジメトモルフ(dimethomorph)、フルメトベル(flumetover)またはフルモルフ(flumorph)。
【0020】
本発明の混合物の一つの実施形態では、化合物IおよびIIは、もう1種の殺菌剤IIIまたは2種の殺菌剤IIIおよびIVと混合される。
【0021】
好適な成分IIIおよびIVは、特に上記のアゾールである。
【0022】
成分IIIを含む化合物IおよびIIの混合物が好ましい。特に好ましいのは化合物IおよびIIの混合物である。
【0023】
化合物Iおよび化合物IIは、活性化合物がそれらの殺菌活性を共に表すように、同時に(一緒にもしくは別々に)施用するか、または連続して施用することができる。別々の施用の場合、防除手段の結果は一般的に施用の順番に影響されない。
【0024】
一般に、化合物Iおよび化合物IIは、100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:50、特に5:1〜1:20の重量比で施用される。
【0025】
成分IIIおよびIVは、所望により、化合物Iに対して20:1〜1:20の比で添加される。
【0026】
化合物のタイプおよび要求される効果に応じて、本発明の混合物の施量は5g/ha〜2000g/ha、好ましくは50〜1500g/ha、特に50〜750g/haである。
【0027】
それに対応して、化合物Iの施量は、一般的に1〜750g/ha、好ましくは10〜500g/ha、特に5〜250g/haである。
【0028】
それに対応して、化合物IIの施量は、一般的に1〜1000g/ha、好ましくは10〜750g/ha、特に20〜500g/haである。
【0029】
種子の処理においては、混合物の施量は一般的に1〜1000g/種子100kg、好ましくは1〜200g/100kg、特に5〜100g/100kgである。
【0030】
植物病原性の有害な菌類の防除において、化合物IおよびII、または化合物IおよびIIの混合物の別々のまたは一緒の施用は、植物の種蒔きの前もしくは後、または植物の発芽の前もしくは後に、種子、植物または土壌に噴霧または散粉することにより実施される。
【0031】
本発明の混合物または化合物IおよびIIは、通常の製剤、たとえば、溶液、乳濁液、懸濁液、粉末、ダスト、ペーストおよび顆粒に変換することができる。施用剤形は個々の目的に依存するが、いずれの場合にも、それは本発明の化合物の微細で均一な分布を保証するものでなければならない。
【0032】
製剤は公知の方法、たとえば、活性化合物を溶媒および/または担体により、所望により乳化剤および分散剤を用いて希釈することにより調製される。好適な溶媒/添加剤は基本的に次の通りである。
【0033】
- 水、芳香族溶媒(たとえば、ソルベッソ(Solvesso)製品、キシレン)、パラフィン(たとえば、鉱油留分)、アルコール(たとえば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(たとえば、シクロヘキサノン、ガンマ-ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、酢酸エステル(二酢酸グリコール)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステル。原則として、溶媒混合物も用いることができる。
【0034】
- 粉砕した天然鉱物(たとえば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)および粉砕した合成鉱物(たとえば、高分散シリカ、ケイ酸塩)などの担体;非イオンおよび陰イオン乳化剤(たとえば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネートおよびアリールスルホネート)などの乳化剤;およびリグノ亜硫酸廃液およびメチルセルロースなどの分散剤。
【0035】
好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪酸および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩である。さらに、スルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液およびメチルセルロースである。
【0036】
直接噴霧可能な溶液、乳濁液、ペーストまたは油分散物の調製に適している物質は、ケロシンまたはジーゼル油などの中程度から高い沸点の鉱油留分、さらに、コールタール油および植物または動物由来の油、脂肪族、環式および芳香族炭化水素、たとえば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、極性の高い溶媒、たとえば、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、または水である。
【0037】
粉末、散布用材料および散粉用製品は、活性物質を固体の担体と混合または同時に粉砕することにより調製することができる。
【0038】
顆粒、たとえば、コートされた顆粒、含浸顆粒および均一な顆粒は、活性化合物を固体の担体に結合させることにより調製することができる。固体の担体の例は、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレー(attaclay)、石灰岩、石灰、チョーク、膠塊粘土、黄土、クレー、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの鉱物土類、粉砕した合成材料、たとえば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、および穀物粗挽き粉、樹皮粗挽き粉、木材粗挽き粉および木の実の殻の粗挽き粉などの植物由来の製品、セルロース粉末および他の固体の担体である。
【0039】
一般的に、製剤は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%の活性化合物を含む。活性化合物は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)のものを使用する。
【0040】
以下に製剤の例を示す。
【0041】
1. 水により希釈するための製品
A) 水溶性濃縮物(SL)
10重量部の活性化合物を水または水溶性溶媒に溶解する。あるいは、湿潤剤または他の添加剤を加える。活性化合物は水により希釈すると溶解する。
【0042】
B) 分散性濃縮物(DC)
20重量部の活性化合物を、分散剤、たとえばポリビニルピロリドンを加えてシクロヘキサノンに溶解する。水により希釈すると分散物が得られる。
【0043】
C) 乳化性濃縮物(EC)
15重量部の活性化合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ひまし油(それぞれ濃度5%)を加えてキシレンに溶解する。水により希釈すると乳濁液が得られる。
【0044】
D) 乳濁液(EW、EO)
40重量部の活性化合物をドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシル化ひまし油(それぞれ濃度5%)を加えてキシレンに溶解する。この混合物を乳化器(Ultraturax)を用いて水中に導入し、均一な乳濁液を調製する。水により希釈すると乳濁液が得られる。
【0045】
E) 懸濁液(SC、OD)
撹拌したボールミル中で、20重量部の活性化合物を、分散剤、湿潤剤および水または有機溶媒を加えて粉砕し、微細な活性化合物の懸濁液が得られる。水により希釈すると、活性化合物の安定な懸濁液が得られる。
【0046】
F) 水分散性顆粒および水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部の活性化合物を、分散剤および湿潤剤を加えて微細に粉砕し、技術機器(たとえば、射出機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性または水溶性顆粒を調製する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。
【0047】
G) 水分散性粉末および水溶性粉末(WP、SP)
75重量部の活性化合物を、分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを加えてローターステーターミル(rotor-stator mill)中で粉砕する。水により希釈すると活性化合物の安定な分散物または溶液が得られる。
【0048】
2. 希釈せずに施用する製品
H) 散粉用粉末(DP)
5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95%の微細に粉砕したカオリンと緊密に混合する。これにより散粉用製品が得られる。
【0049】
I) 顆粒(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の活性化合物を微細に粉砕し、95.5%の担体と結合させる。最新の方法は射出、噴霧乾燥または流動床である。これにより希釈せずに施用される顆粒が得られる。
【0050】
J) ULV溶液(UL)
10重量部の活性化合物を有機溶媒、たとえばキシレンに溶解する。これにより希釈せずに施用される製品が得られる。
【0051】
活性化合物は、そのままで、それらの製剤の形で、またはその製剤から調製された使用形態で、たとえば、直接噴霧できる溶液、粉末、懸濁液もしくは分散液、乳濁液、油分散物、ペースト、散粉用製品、散布用材料、または顆粒の形で、スプレー、噴霧、散粉、散布または注入により使用することができる。使用形態は意図される目的に完全に依存するが、いずれの場合にも、それらは本発明の活性化合物の可能な限り微細な分布を保証することを目的とするものである。
【0052】
水性の使用形態は、濃縮乳濁液、ペーストまたは湿潤性粉末(噴霧用粉末、油分散物)に水を加えることにより調製することができる。乳濁液、ペーストまたは油分散物を調製するために、物質を、そのままで、または油または溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤を用いて水中に均一化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤、および適切な場合には溶媒または油を含む濃縮物を調製することができ、このような濃縮物は水による希釈に適している。
【0053】
そのまま使える製剤における活性化合物濃度は比較的広い範囲内で変化し得る。一般的に、上記濃度は0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。
【0054】
活性化合物は、95重量%以上の活性化合物を含む製剤を施用することが可能な、または添加剤を含まない活性化合物を施用することさえも可能な微量散布法(ULV)にも効果的に使用することができる。
【0055】
さまざまなタイプの油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺菌剤(fungicides)、他の殺虫剤または殺菌剤(bactericides)を、適切な場合には使用の直前に、活性化合物に加えることができる(タンクミックス)。これらの薬剤は本発明の薬剤に、通常1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0056】
化合物IおよびIIまたは混合物または対応する製剤は、有害な菌類またはそれらから保護するべき植物、種子、土壌、領域、素材もしくは空間を、混合物、または別々の施用の場合には化合物IおよびIIの殺菌に有効な量により処理することにより施用される。施用は、有害な菌類の感染の前または後に実施することができる。
【0057】
化合物および混合物の殺菌作用は下記の実験により証明することができる。
【実施例】
【0058】
活性化合物を、別々にまたは一緒に、アセトンまたはDMSO中に0.25重量%の活性化合物を含む原液として調製した。1重量%の乳化剤UniperolR EL(エトキシル化アルキルフェノールをベースとする乳化および分散作用を有する湿潤剤)をこの溶液に加え、上記溶液を水により所望の濃度に希釈した。
【0059】
使用例 - フィトフトラ・インフェスタンスにより引き起こされるトマトの疫病に対する活性
品種“Grosse Fleischtomate St. Pierre”の鉢植えの植物の葉に、下に記載する活性化合物の濃度を有する水性懸濁液を流出点まで噴霧した。翌日、0.25×106個/mlの密度を有するフィトフトラ・インフェスタンスの冷却した水性遊走子懸濁液により葉を感染させた。次に、植物を水蒸気で飽和した18〜20℃の室に置いた。6日後、未処理の、感染させた対照の植物の疫病は、感染を視覚的に%で決定することができる程度まで発達していた。
【0060】
視覚的に決定された感染した葉の面積のパーセンテージを、未処理の対照に対する%で表した効果に変換した:
効果(E)は、下記のようにアボット(Abbot)の式を用いて計算する:
E = (1 - α/β)・100
αは、%で表した処理された植物の菌類感染に対応し、
βは、%で表した未処理(対照)の植物の菌類感染に対応する。
【0061】
効果0は、処理された植物の感染レベルが、未処理の対照植物のそれと一致することを意味し、効果100は処理された植物が感染しなかったことを意味する。
【0062】
活性化合物の混合物の予想される効果をコルビー(Colby)の式(S.R. Colby、Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations、Weeds 15, 20-22 (1967))を用いて決定し、観察された効果と比較した。
【0063】
コルビーの式:
E = x + y - x・y/100
E 濃度aおよびbの活性化合物AおよびBの混合物を用いた場合の、未処理の対照に対する%で表された予想される効果
x 濃度aの活性化合物Aを用いた場合の、未処理の対照に対する%で表された効果
y 濃度bの活性化合物Bを用いた場合の、未処理の対照に対する%で表された効果
使用された比較用化合物は、EP-A 988 790に記載された混合物により公知の化合物AおよびBである。
【化3】

【表1】

【0064】
試験結果は、比較化合物の混合物が相乗効果を示さないのに対して、本発明の混合物の観察された効果は、全ての混合比においてコルビーの式を用いて予測されたものよりもかなり高いことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1) 式I
【化1】

のジモキシストロビン、および
2) 式II
【化2】

の化合物を、相乗効果を有する量で含む殺菌混合物。
【請求項2】
式Iの化合物および式IIの化合物を100:1〜1:100の重量比で含む殺菌混合物。
【請求項3】
さらに、ビテルタノール、ブロモコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアデメホン(triademefon)、トリアジメノール、トリフルミゾールおよびトリチコナゾールからなる群より選択される活性化合物IIIを含む、請求項1または2に記載の殺菌混合物。
【請求項4】
液体または固体の担体および請求項1〜3のいずれか1項に記載の混合物を含む殺菌組成物。
【請求項5】
菌類、その生息環境または菌類の攻撃から保護すべき種子、土壌、植物もしくは素材を相乗効果を有する量の請求項1に記載の化合物Iおよび化合物IIにより処理することを含む、有害な菌類を防除する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物IおよびIIを、同時に、すなわち一緒にもしくは別々に、または連続して施用する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜3に記載の混合物を、5g/ha〜2000g/haの量で施用する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜3に記載の混合物を、1〜1000g/種子100kgの量で施用する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
防除される有害な菌類が、卵菌類のクラスに属するものである、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
1〜1000g/100kgの量の請求項1〜3に記載の混合物を含む種子。
【請求項11】
有害な菌類を防除するのに適した組成物を調製するための、請求項1に記載された化合物Iおよび化合物IIの使用。

【公表番号】特表2007−504275(P2007−504275A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529841(P2006−529841)
【出願日】平成16年5月15日(2004.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005250
【国際公開番号】WO2004/103075
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】