説明

殺藻剤

【課題】海藻類を腐敗させることなく漁網に付着した海藻類を効果的に除去することができる殺藻剤を実現する。
【解決手段】テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成る殺藻剤であって、水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を、3000〜10000mg/Lとした。尚、上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と共に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を添加しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水産業で使用されている地引き網、定置網、海苔網等の漁網に付着した海苔等の海藻類を除去するために使用する殺藻剤に関する。
【背景技術】
【0002】
漁業や養殖業等で使用された地引き網、定置網、海苔網等の漁網には海苔等の海藻類が付着するため、漁網を再利用する際には海藻類を除去することが必要である。
従来は、漁網に付着した海藻類を腐敗させた後、漁網を洗浄することにより海藻類の除去を行っていた。これは、海水中に長期間浸漬されていた漁網には、海藻類の根が網繊維に深く入り込むため、海藻類を腐敗させずに除去することが困難なためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の除去方法では、
(1)海藻類を腐敗させるため悪臭が発生する、
(2)海藻類の腐敗によって発生するアンモニアが漁網の構成材料である樹脂を傷め、破網の原因となる、
(3)海藻類の腐敗には長い時間が必要なため、作業効率が悪い、
といった問題点があった。
【0004】
この発明は、従来の上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、海藻類を腐敗させることなく漁網に付着した海藻類を効果的に除去することができる殺藻剤を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩(テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート)が、漁網に付着した海藻類を腐敗させることなく除去できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明に係る請求項1に記載の殺藻剤は、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成ることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の殺藻剤において、水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率は、請求項2に記載の如く、3000〜10000mg/Lであることが望ましい。
【0007】
請求項3に記載の如く、請求項1に記載の殺藻剤において、更に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を添加させても良い。
この場合、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が1000〜3000mg/Lであり、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が2000mg/Lであることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の殺藻剤にあっては、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系をテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩が阻害し、海藻類の細胞組織の崩壊を促進して死滅させる。このため、漁網に付着した海藻類を腐敗させることなく除去することができる。
【0009】
請求項1に記載の殺藻剤において、請求項2に記載の如く、水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を3000〜10000mg/Lとした場合には、海藻類の殺藻効果が高い。
【0010】
アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートや、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩も、上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と同様に、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を阻害し、海藻類の細胞組織の崩壊を促進して死滅させる効果を発揮する。
従って、本発明の請求項3に記載の殺藻剤にあっては、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、或いは、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩が阻害し、海藻類の細胞組織の崩壊を促進して死滅させる。このため、漁網に付着した海藻類を腐敗させることなく除去することができる。
【0011】
請求項3に記載の殺藻剤において、請求項4に記載の如く、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を1000〜3000mg/Lとし、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を2000mg/Lとした場合には、海藻類の殺藻効果が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る殺藻剤は、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成るものである。
テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩は、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を阻害して、海藻類の細胞組織の崩壊を促進するため、海藻類を腐敗させることなく死滅させることができる。海藻類が死滅することにより、漁網表面からの剥離が容易となり、漁網を洗浄するだけで海藻類を簡単に除去することができる。
また、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩は、人間、魚類、動植物に対する安全性が高く、且つ、分解性に優れているため、環境毒性も低いものである。
【0013】
尚、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を3000〜10000mg/Lとした場合に、高い殺藻効果を得ることができる(後述の実施例1、表1参照)。
【0014】
また、上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と共に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を、水に添加しても良い。
すなわち、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートや、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩も、上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と同様に、海藻類が特異的に持っているアミノ酸代謝系を阻害して、海藻類の細胞組織の崩壊を促進するため、海藻類を腐敗させることなく死滅させることができる効果を奏するものである(後述の実施例2及び表2、実施例3及び表3参照)。また、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と同様に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートや、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩も、人間、魚類、動植物に対する安全性が高く、且つ、分解性に優れているため、環境毒性が低い。
【0015】
テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを水に添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を1000〜3000mg/L、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率を2000mg/Lとした場合に、高い殺藻効果を得ることができる(後述の実施例4、表4参照)。
【0016】
また、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩及びL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を水に添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を1000〜3000mg/L、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を2000mg/Lとした場合に、高い殺藻効果を得ることができる(後述の実施例5、表5参照)。
【実施例】
【0017】
以下に本発明を、実施例を挙げて更に詳細に説明する。
【0018】
[実施例1:テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の殺藻効果の試験]
定法によって育成し、収穫した後の海苔養殖網を50cm×50cmに切り取り、切り取った養殖網に付着した海苔の除去効果についての試験を行った。
試験方法:脱イオン水1Lに、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を10000mg/L、5000mg/L、3000mg/L、1000mg/L、800mg/L、500mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
尚、試験区には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を添加しない脱イオン水1Lを2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の脱イオン水中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬したコントロール区を設けた。コントロール区の海苔養殖網についても24時間20℃で静置した後、流水にて洗浄後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。コントロール区の海苔残渣の乾物重量に対する各試験区の海苔残渣の乾物重量の比率を除去率とした。
試験結果を表1に示す。
【表1】

【0019】
表1の結果より、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が10000〜500mg/Lの何れの試験区においても、海苔の除去効果が見られるが、特に、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が3000mg/L、5000mg/L、10000mg/Lである試験区の除去率がそれぞれ86.3%、89.3%、94.3%と非常に高くなっている。
従って、高い殺藻効果を得るため、水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率を3000〜10000mg/Lとするのが適当である。
【0020】
[実施例2:アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの殺藻効果の試験]
試験方法:脱イオン水1Lに、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを10000mg/L、5000mg/L、3000mg/L、1000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表2に示す。
【表2】

【0021】
表2の結果より、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率が10000〜1000mg/Lの何れの試験区においても、海苔の除去効果が見られるが、特に、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率が5000mg/L、10000mg/Lである試験区の除去率がそれぞれ77.2%、84.8%と高くなっている。
従って、水にアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率を5000〜10000mg/Lとするのが適当である。
もっとも、表1及び表2の比較から明らかな通り、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートよりテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の方が殺藻効果は高いので、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート単独で殺藻剤を構成するのではなく、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と併用するのが好ましい(後述の実施例4、表4参照)。
【0022】
[実施例3:L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の殺藻効果の試験]
試験方法:脱イオン水1Lに、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を10000mg/L、5000mg/L、3000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表3に示す。
【表3】

【0023】
表3の結果より、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が10000〜3000mg/Lの何れの試験区においても、海苔の除去効果が見られるが、特に、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が10000mg/Lである試験区の除去率が68.2%と比較的高くなっている。
従って、水にL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を添加して殺藻剤と成す場合には、水に対するL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を10000mg/Lとするのが適当である。
もっとも、表1及び表3の比較から明らかな通り、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩よりテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の方が殺藻効果が非常に高いので、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩単独で殺藻剤を構成するのではなく、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩と併用するのが好ましい(後述の実施例5、表5参照)。
【0024】
[実施例4:テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートとを併用した場合の殺藻効果の試験]
試験方法:第1の薬剤としてテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩、第2の薬剤としてアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートを用い、脱イオン水1Lに、第1の薬剤を3000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を1000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を800mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を500mg/L及び第2の薬剤を2000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表4に示す。
【表4】

【0025】
表4の結果より、第1の薬剤の添加率が500〜3000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/Lの何れの試験区においても、海苔の除去効果が見られるが、特に、第1の薬剤の添加率が3000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/L、第1の薬剤の添加率が1000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/Lである試験区の除去率がそれぞれ94.2%、92.3%と高くなっている。
従って、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とアンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートとを併用した殺藻剤の場合には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を1000〜3000mg/L、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナートの添加率を2000mg/Lとするのが適当である。
【0026】
[実施例5:テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩とを併用した場合の殺藻効果の試験]
試験方法:第1の薬剤としてテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩、第2の薬剤としてL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を用い、脱イオン水1Lに、第1の薬剤を3000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を1000mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を800mg/L及び第2の薬剤を2000mg/L、第1の薬剤を500mg/L及び第2の薬剤を2000mg/Lの割合で添加して成る殺藻剤を、それぞれ2L容量のビーカーに入れた後、ビーカー内の殺藻剤中に上記海苔養殖網(50cm×50cm)を浸漬した試験区を設け、各試験区の海苔養殖網を24時間20℃で静置した。静置後、流水にて海苔養殖網を洗浄した後、海苔養殖網に付着した海苔残渣の乾物重量を求めた。
試験結果を表5に示す。
【表5】

【0027】
表5の結果より、第1の薬剤の添加率が500〜3000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/Lの何れの試験区においても、海苔の除去効果が見られるが、特に、第1の薬剤の添加率が3000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/L、第1の薬剤の添加率が1000mg/L及び第2の薬剤の添加率が2000mg/Lである試験区の除去率がそれぞれ86.4%、74.2%と高くなっている。
従って、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩とL-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩とを併用した殺藻剤の場合には、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を1000〜3000mg/L、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率を2000mg/Lとするのが適当である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩を水に添加して成る殺藻剤。
【請求項2】
水に対する上記テトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が、3000〜10000mg/Lであることを特徴とする請求項1に記載の殺藻剤。
【請求項3】
アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩を添加することを特徴とする請求項1に記載の殺藻剤。
【請求項4】
水に対するテトラキスヒドロキシメチルホスホニウム塩の添加率が1000〜3000mg/Lであり、アンモニウムDL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート、又は、L-2-アミノ-4-[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル].ブチリル-L-アラニル-L-アラニル塩の添加率が2000mg/Lであることを特徴とする請求項3に記載の殺藻剤。

【公開番号】特開2009−114126(P2009−114126A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289141(P2007−289141)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(593065545)株式会社工生研 (3)
【Fターム(参考)】