説明

毛包単位を分類するシステム及び方法

関心のある毛包単位の毛髪の数に基づいて毛包単位を分類するシステム及び方法が、関心のある毛包単位を有する体表面の画像を取得するステップと、毛包単位の輪郭線及び輪郭線における凹部無視した外略輪郭線を計算するために画像を処理するステップと、毛包単位における毛髪の数を決定するために、外略輪郭線における欠如の数を決定するステップとを具える。システム及び方法は、また、皮膚より下に集まっている毛髪及び、実際に多数の髪である単一幅の毛髪として見える画像を調節してもよい。別の態様において、毛包単位の端点を決定するシステム及び方法は、セグメント化される画像の骨格を作成するステップと、骨格化された画像から端点を同定するステップとを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に毛髪移植手段に関し、特に、毛髪移植手段において用いるディジタル画像及び処理技術を使用する毛包単位を分類するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植手段がよく知られており、一般的に、(男性型禿頭症の患者において)患者の頭皮の側部及び後部の外辺領域(ドナー領域)からドナーのグラフトを採集すること及び禿頭領域にこれらを移植することを伴う。歴史的に、採集されたグラフトは比較的大きかったが(3乃至5mm)、より最近には、グラフトは単一の毛包単位にされている。特に、「毛包単位」(本書では、FU又はFUsとも呼ばれる)には、普通、1乃至3(あまり一般的ではない場合に4乃至5)の密集した、頭皮表面にわたり分散されている毛包の集合体が存在する。
【0003】
毛包単位は、単位あたりの毛髪の数に基づいて、分類されるか「種類に分けられ」、単1本の毛包単位を「F1」、2本の毛包単位を「F2」、及び3乃至5本の毛髪の毛包単位等として省略表現で同定されても良い。多数の毛包単位のいくつかの事例では、毛髪は、単一の毛包単位や皮膚の局部から広がるように現れてもよい。他の事例では、毛髪は、わずかに間隔をあけた位置で皮膚の表面から出るが、皮膚の下で単一の毛包単位に集まるようにしてもよい。図1を参照すると、様々な種類の毛包単位を有するヒトの頭皮11の標本部分のディジタル画像写真が示されている。例えば、毛包単位13は2本の毛髪を有しており、すなわちF2であるが、毛包単位15は、単一の毛髪のみであるのでF1である。同じく、毛包単位17は、3本の毛髪であるF3である。
【0004】
毛包単位における毛髪の数に基づいて、毛包単位を同定して分類することが重要であり所望されるのには、いくつかの理由がある。一つには、毛包単位の特定の類を頭皮の特定の領域へ移植することが好ましい。例えば、単一の毛包単位(F1)は、一般的に、顔を縁取る生え際に沿って移植される。1本より多い毛髪(F2、F3など)を有する毛包単位は、一般的に、中央頭皮部分及び冠部分に移植される。毛包単位の分布のこの配列は、より自然で外観の美しい結果を作ると考えられている。さらに、移植される毛髪の外観に所望の特性を提供するために、毛包単位の様々な類(また、「種類」と呼ばれる)を利用することが所望されてもよい。このような特性には、毛髪の密度、毛髪の方向や位置、毛包単位の種類の特定の混合、および/または分散した外観、他の可能な特性などが含まれる。
【0005】
毛包単位が有する毛髪の数に基づいて毛包単位を分類することに加え、毛髪移植手段の計画及び実行の際に、毛包単位における毛髪のそれぞれの端点を位置決め及び同定することが所望されても良い。一般的に、皮膚の表面に位置し、「テール部」と呼ばれる一の端点は、毛包単位の一又はそれ以上の毛髪が皮膚から出る地点である。別の端点は、「ヘッド部」と呼ばれ、皮膚表面より上にある毛包単位の各毛髪の先端に対応する。従って、単一の毛髪の毛包単位は1のヘッド部を有するが、2本の毛髪の毛包単位は2つのヘッド部を有する。皮膚の表面より下に位置する毛包単位の別の端点が「球」と呼ばれ、毛包単位の1又はそれ以上の毛髪が皮下に由来する位置決め/端部の点に対応する。様々な関係する端点の位置を知ることが所望される一つの理由は、毛包単位やその部分を損傷させることなく毛包単位を採集してそれを移植できることである。例えば、F2の毛包単位が、一方より長い他方の毛髪を有して、ヘッド部1がヘッド部2より皮膚から離れて位置する場合、しばしば、それは、皮膚下において、毛包単位の主な方向がヘッド部1を有する毛髪の軸方向に延在している徴候である。従って、毛包単位の各ヘッド部の位置を知ることは、皮膚表面下の毛包単位の角度及び位置の決定を補助しうるものであり、これは、順に、採集器具をより良い位置に配置するために使用でき、これによって、採集中の毛髪の切断の機会を減らして、さらに毛髪移植手段の効能を改良することができる。
【0006】
毛髪移植の様々な手段がこれまでに開示されており、手動と一定程度機械化された自動操作の両方を具える。ある公知の手動プロセスにおいて、解剖刀を用いた解剖によって、頭皮の直線部分をドナー領域から脂肪性の皮下組織へ取り去る。ストリップを(顕微鏡下で)構成要素の毛包単位へ解剖し、これらを、針によって作られたそれぞれの穿刺孔内のレシピエント領域へ移植する。一般的に鉗子を使用して、毛包単位グラフトを把持し、針の穿刺位置へ配置するが、他の器具及び方法がこれをするために知られている。
【0007】
「Androgenetic Alopecia」(Springer 1996)において、M. Inaba & Y. Inabaは、切断エッジと、毛包単位の重要な解剖部分の直径にほぼ等しい直径1mmの内部管腔とを具える中空の穿孔針を配置することによって単一の毛包単位を採集する手動の方法を開示している。針の穿孔を毛包単位の軸上に整列させ、引き出して、頭皮内へ進め、選択した毛包単位の周縁周りで頭皮をカットする。その後、毛包単位を鉗子などを用いて簡単に取り去り、続いて、特別に考案された挿入針を用いてレシピエント部位へ移植する。
【0008】
米国特許第6,585,746号は、ロボティックアームと、ロボティックアームに付随する毛包導入具とを具えるロボットを使用する自動毛髪移植システムを開示している。ビデオシステムを使用して患者の頭皮の3次元虚像を作り出し、これを用いて、ロボティックアームの制御下で毛包導入具によって移植されるグラフトを受けるべき頭皮位置を計画する。米国特許第6,585,746号の全体の記述は、本書に参照によって組み込む。
【0009】
また、移植をするための自動システム及び方法が、2005年9月30日に出願された米国仮特許出願シリアルナンバ60/722,521、2005年12月22日に出願された60/753,602、及び2006年1月31日に出願された60/764,173、2006年4月28日に出願された米国特許出願シリアルナンバ11/380,903(現在、US2007/0078466として発行されている)、及び2006年4月28日に出願された11/380,907(現在、US2007/0106306として発行されている)に開示されている。上記出願は全て、これらの全体を本出願に参照によって組み込まれている。
【0010】
例えば、上記で参照した米国特許出願シリアルナンバ11/380,907は、アームに取り付けられた採集および/または移植器具を有するロボティックアームを具えるシステムを開示している。また、一又はそれ以上のカメラがアームに取り付けられており、体表面などの動作スペースを撮像するために使用される。プロセッサが、カメラによって得られた画像を受信して処理するように構成されている。コントローラが、プロセッサ及びロボティックアームに機能的に連結されている。コントローラは、少なくとも一部は、カメラ及びプロセッサによって得られた処理済みの画像に基づいて、ロボティックアームの動きを制御する。アームは、毛髪の移植を行うために頭皮に対し所望の方向及び位置に器具を配置するために制御可能に可動である。
【0011】
毛髪移植のこれらの様々なシステム及び方法を使用において、採集されて移植される毛包単位を選択するように移植を最初に計画し、毛髪が移植されるべき正確な位置を決定することが望まれる。従って、毛髪の移植手段を計画する際に、体表面の特定の位置から特定の毛包単位が選択され、採集されて体表面の異なる部分へ移植されてもよい。移植されるべき毛包単位は、例えば、毛包単位の種類(すなわち、F1、F2など)、毛包単位の毛髪の位置、毛髪の密度など、特定の基準に基づいて選択されてもよい。しかしながら、各毛髪単位を数えて特徴付けるプロセスは長く、時間を消費してしまう。従って、自動システムを使用して毛包単位の各毛髪の端点を同定することを含む、毛包単位を分類するシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本書に開示されている本発明の一般的な態様に従って、自動システムを使用して毛包単位を分類するシステム及び方法が提供される。本発明のシステム及び方法は、体表面の毛髪毛包単位の移植のためのシステム及び方法と共に利用されうる。本発明のシステム及び方法は、毛髪移植の自動化システムに実装されるか、又は一体型にされるとき特に有用である。
【0013】
本発明の一態様において、毛包単位を分類する方法は、毛包単位(FU)がある体表面の画像を取得するステップと、この画像をFUのセグメント化された画像を作成するように処理するステップとを具える。一の例示的な実施例において、セグメント化された画像は二値画像である。FUのセグメント化された画像から、FUの毛髪の外側周辺部周りの輪郭線が決定されても良い。例えば、F1では、輪郭線は、一般的に、単一毛髪の外側面に沿った一本の線又は面である。比較的真っ直ぐな毛髪では、輪郭線は矩形のように見える。F2では、輪郭線がブロック体「V」のように見えるように、毛髪は、通常、「V」の形を形成している。
【0014】
セグメント化された画像は、また、FUの外略輪郭線の計算を可能にする。外略輪郭線は、画像の輪郭線の凹部を無視している。例えば、輪郭線にF2では、「V」の上部の一方の辺から「V」の頂点へ、そして「V」の上部の他方の辺へ戻る輪郭線の下降によって形成された一の凹部又は「内側に湾曲した」部分がある。計算される輪郭は、得られる外略輪郭線が、一般的に、FUの輪郭線の「V」の頂点を辿っている三角形の頂点のうちの一つを有する三角形に見えるようにこの凹部を無視している。
【0015】
外略輪郭線は、外略輪郭線の「欠如」の数を決定するために、輪郭線と比較される。外略輪郭線の欠如は、例えば、輪郭線から逸れる外略輪郭線の各凹部として規定されても良い。例えば、F2において、「V」の形状によって形成される凹部によって表される外略輪郭線における1の欠如がある。F3において、輪郭線は、一般的に、共通の頂部で別れ、一の線が両方のVの一側部を形成している2つのVのような形状をしうる。F3の外略輪郭線は、また、ほぼ三角形上でありうる(しかし、F2より幅広な三角形でもよい)。すなわち、F3は、2つの欠如を有しうる。従って、欠如の数は、毛包単位の種類と直線関係を有することが分かる。この場合に、FUの毛髪の数は、欠如の数に1つ足した数である。
【0016】
毛包単位を分類する方法の一実施例において、外略輪郭線は、公知の画像処理技術に従って、凸状外殻輪郭線を計算することによって決定されてもよい。外略輪郭線を決定するための他の適切な技術も本発明の範囲内である。
【0017】
本発明の方法の別の態様において、ある手段が、画像取得装置とFUとの間の相対的な動きを調節するよう、関心のあるFUを追跡するために提供される。一の例示的な実施例において、2つのカメラが、体表面の動きおよび/またはカメラの動きを調節するよう、第1及び第2のカメラの画像内の関心のあるFUを追跡するために使用されても良い。さらに、第1及び第2のカメラは、FUの毛髪の全体の方向に整列されている。この方法では、FUを分類する方法の残りのステップを行うために品質の良いデータを提供する画像が取得される。しかしながら、追跡手段は、複数のカメラなどの複数の画像取得装置や、パノラマ画像を含む様々な角度から複数の画像を得ることによって単一のカメラを用いて行うことができる。カメラの移動は、手動か、使用するシステムがロボティックシステムである場合、ロボットの補助を受けるかのいずれかによって達成することができる。
【0018】
また、本発明のさらに別の態様において、毛包ユニットを分類する方法は、皮膚の表面より下で集まっている毛髪を有する毛包単位を調節するようにしてもよい。このような事例では、画像は、関心のあるFUの輪郭線の接触部分のない一本の毛髪の画像を含みうる。この状況を説明するために、別の毛髪が、関心のあるFUの接触している輪郭線を規定する毛髪からの最大距離内であるかどうかが決定される。最大距離は、別のFUからの毛髪であるように見えるものが、関心のあるFUと同じFUの一部である可能性が最も高い距離であるように設定される。関心のあるFUの分類は、関心のあるFUの毛髪から最大距離内にある様々な付加的な毛髪を考慮している。
【0019】
本発明のさらに別の態様において、毛包単位を分類する方法は、単一の毛髪であるように見えるが実際には複数の毛髪である毛髪の画像を調節してもよい。ディジタル画像が、FUの毛髪に対して一定の角度で得られる場合、複数の毛髪の画像は、結合して一本の毛髪であるようにみえる。従って、欠如の数を決定する事では、結合した毛髪は、関心のあるFUにおいて実際に存在するよりも外略輪郭線において少ない欠如(従って、より少ない毛髪)になりうるので、正確な分類を提供しないであろう。この状況を説明するために、方法は、関心のあるFUにおいて毛髪を表す各対象物の幅(又は径)を決定し、単一の毛髪の幅と比較する。また、FUを分類するステップは、毛髪を表す対象物の幅が最大期待幅を超えるものであるかどうかの決定の結果に基づいてもよい。例えば、幅が、期待幅の1乃至1/2から2倍の間の場合、分類するステップは、2本の毛髪であるような対象物と近似しうる。同様の近似を3、4、又は5本の毛髪に行うことができる。
【0020】
本発明のさらなる態様において、毛包単位(FU)の端点を決定する方法が提供される。この方法は、皮膚の表面又は上、と皮下の両方の端点のFUの端点の決定を可能にする。この方法は、FUを有する体表面の画像を取得するステップと、FUのセグメント化された画像を作るように画像を処理するステップと、FUのセグメント化された画像の骨格を作成するステップと、骨格からFUの少なくとも1の端点を決定するステップとを具える。骨格を作成すること又は「骨格化」とは、セグメント化された画像の前景領域を残存骨格へ縮小させるプロセスである。本発明の方法は、関心のある画像の骨格を作成するための特定の技術や方法に限定されず、むしろ、全ての適切な方法をカバーするものであり、例示として、さらに、限定ではなく、細線化アプローチ、エッジ検出に基づく技術、Hilditchアルゴリズム、距離変換における特異性を使用する骨格の近似、及びその他を含む。いくつかの実施例において、端点を決定する方法は、複数の画像(立体画像を含む)を使用することによって、又は骨格を作成するための追加的なデータの検証として画像の輪郭線を決定することによってさらに改良される。
【0021】
自動化システムを使用して、毛包単位を分類するシステムは、画像取得装置と、画像プロセッサとを具える。画像取得装置の一の実施例は、様々な商業的に入手可能なカメラなどの1又はそれ以上のカメラである。カメラの代わりに、ビデオ記録装置(カムコーダ)もしくは任意の他の画像取得装置にすることができる。立体画像装置が、本発明においてとても有用であるが、立体イメージングを用いる必要はない。同様に、画像取得装置は、ディジタル装置であることが好ましいが、必要なわけではない。例えば、本発明の方法においてさらに使用するためのディジタル画像へディジタル化される初期画像を取得するアナログTVカメラにすることができる。画像プロセッサは、本発明に従ってFUを分類する方法を行うようにプログラム及び構成された任意の装置を具えても良い。好適な画像プロセッサのある非限定的な実施例は、任意の種類のパーソナルコンピュータ(「PC」)である。代替的に、画像プロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を具えても良い。画像プロセッサは、本発明の方法を行うように構成されたソフトウェアでプログラムされてもよい。
【0022】
FUを分類するシステムと同様に、また、システムが、FUの端点を決定するために提供される。端点を決定するシステムは、FUを分類するためのシステムを参照して前述したものと同じ又は異なる画像取得装置を具えても良く、さらに、毛包単位の端点を決定する方法を行うように、プログラムされ構成される端点の画像プロセッサを具えてもよい。端点の画像プロセッサは、使用されるシステムに依存して、FUを分類するための画像プロセッサと別々、又は組み合わせていずれかで提供されてもよい。
【0023】
本発明の更に別の態様において、FUを分類する画像プロセッサが提供される。画像プロセッサは、PC又は他のプロセッサなど任意の好適なコンピュータ装置を具え、FUの画像を受信し、FUのセグメント化された画像を作るように画像を処理し、FUのセグメント化された画像の輪郭線を計算し、FUのセグメント化された画像の輪郭線における凹部を無視するセグメント化された画像の外略輪郭線を計算し、FUの外略輪郭線における欠如の数を決定し、及び少なくとも部分的に決定された欠如の数に基づいてFUを分類するように構成されている。
【0024】
本発明の更に別の態様において、FUの少なくとも1の端点を決定する画像プロセッサが提供される。FUの少なくとも1の端点を決定する画像プロセッサは、PC又は他のプロセッサなど任意の好適なコンピュータ装置を具え、FUの画像を受信し、FUのセグメント化された画像を作るように画像を処理し、FUのセグメント化された画像の骨格を作成し、及びFUの少なくとも1の端点を骨格から決定するように構成されている。
【0025】
本発明の別の態様において、FUを分類すると共に、FUの少なくとも1の端点を決定するプロセスの両方を行う画像プロセッサが提供される。画像プロセッサは、上記のように任意の画像プロセッサであってもよく、これは、FUの分類及び端点の決定のステップを行うように構成されている。毛包単位を分類するための画像プロセッサ、又は端点の画像プロセッサ、あるいは、両方の機能を果たす組み合わせた画像プロセッサは、限定ではなく、毛髪の採集又は毛髪の移植のためのシステム、あるいは毛髪の分類又は毛髪の治療計画システムを具える様々な毛髪移植及び治療システム及び装置と連結して使用することができる。
【0026】
自動化システムを使用する毛包単位を分類するシステム(及び毛包単位の端点を決定するシステム)は、上記背景に記載した任意の移植システムを具えても良い。例えば、米国特許出願シリアルナンバ11/380,907に記載されたシステムが、本発明による毛包単位を分類する方法を行うようにプログラムされ、構成されても良い。システムのカメラは、立体ディジタル画像を提供することができ、ロボティックアームは、カメラを正確に位置付けし方向付けることができる。関心のある領域の選択は、システムのユーザインターフェース(モニタ及び入力装置を具えるコンピュータなど)でオペレータによって行われても良く、あるいは、コンピュータおよび/またはコントローラのプログラミングを介して自動化することができる。
【0027】
従って、毛包単位を分類するおよび/または毛包単位の端点を決定するシステム及び方法が提供されている。本発明の他の及びさらなる実施例、対象、及び利点は、添付図面を見て読むとき以下の詳細な記述から明らかになりうる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、例示によって説明されており、添付した図面に限定されるものではなく、同じ参照符号は同様の部材を示している。
【図1】図1は、ヒトの頭皮の例示的な部分のディジタル画像写真であり、様々な種類の毛包単位及び関心のある選択領域を示している。
【図2】図2は、単一の毛包単位のディジタル画像写真である。
【図3】図3は、画像がセグメント化された後の図2のディジタル画像写真である。
【図4】図4は、図3のディジタル画像写真であり、毛包単位の毛髪の例示的な輪郭線が点線で示されている。
【図5】図5は、図3のディジタル画像写真であり、毛包単位の毛髪の例示的な外略輪郭線が点線で示されている。
【図6】図6は、図3のディジタル画像写真であり、毛包単位の毛髪の輪郭線と比較するように外略輪郭線における欠如を示している。
【図7】図7は、分離しているように見えるが実際には同じ毛包単位の一部である毛髪を示すセグメント化されたディジタル画像写真である。
【図8】図8は、幅広の単一の毛髪であるように見えるが実際には同じ毛包単位の2本の毛髪を示すセグメント化されたディジタル画像写真である。
【図9】図9は、本発明に従って毛包単位を分類する方法の例示的な実施例のフローチャートである。
【図10】図10は、本発明に従って毛包単位の端点を位置決めする方法の例示的な実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
はじめに、図1を参照すると、本発明による毛包単位を分類するシステム及び方法の一の例示的な実施例は、一般的に、画像収集装置、例えば1又はそれ以上のカメラ又は任意の他の好適なイメージング装置を使用して体表面11の画像10を得ることから始まる。画像収集装置は、ディジタルカメラによって作られるようなディジタル画像を作りだすか、アナログ画像(プロセスの任意の時点でディジタル画像へ転換されてもよいし、又はされなくてもよい)を作り出してもよい。図1の写真は、ヒトの頭皮11の一部の画像であるが、体表面は、毛髪を有する任意の身体領域にできると理解される。例示的な実施例の記述において、画像10は、ディジタルカメラによって得られるディジタル画像であるが、本発明は、ディジタルカメラによって得られるディジタル画像に限定されず、様々な種類の画像収集装置によって得られる任意の画像の使用を包含している。ディジタル画像10は、頭皮11の様々な種類の毛包単位(FU)を示しており、単一の毛髪(F1)毛包単位15、2本の毛髪(F2)毛包単位13、3本の毛髪(F3)毛包単位17を有する。
【0030】
ディジタル画像10は、本書に全体を参照によって組み込んでいる米国特許出願シリアルナンバ11/380,907の毛髪移植システムに記載されているカメラなど、自動化毛髪移植システムの1又はそれ以上のディジタルカメラを使用して得られても良い。ディジタル画像10を作り出すために、複数のカメラのうちの一つのみから画像を使用することができる。代替的に、ディジタル画像10を得るプロセスは、関心のある毛包単位を分類するために使用する画像を改良するように、カメラの位置を調整するより複雑なプロセスによって得られても良い。本プロセスにおいて、例えば、第1のカメラ及び第2のカメラが使用されてもよい。カメラは、カメラが向けられている体表面の立体像を得るように配置され、構成されても良い。初めに、カメラ、は毛髪を有することが既知の領域で体表面に方向付けられて位置付けられる。第1のディジタル画像が第1のカメラから得られ、関心のある毛包単位(FU)が第1のディジタル画像内から選択される。第1のカメラと同じ体表面の領域周りの第2のディジタル画像(立体カメラによって提供されるようにわずかに異なる角度であることを除いて)が第2のカメラから得られ、関心のある同じFUが第2のディジタル画像内から選択される。関心のあるFUは、システムの操作者によって又は選択アルゴリズムを使用するシステムによって自動的に、ディジタル画像内で選択可能である。ここで、移植システムは、第1及び第2のカメラからの第1及び第2のディジタル画像内の関心のあるFUを追跡することができる。カメラが、FUを分類するために使用されるディジタル画像を得るように整列されているとき、追跡手段は、体表面の動きとカメラの動きを調節するために使用可能である。次に、第1及び第2のカメラが動かされ、FUの毛髪の全体的な方向に整列するように方向付けられる。カメラが動かされると、追加的な画像が得られて、関心のあるFUを追跡するためにシステムによって処理されるようにしてもよい。カメラをFUの毛髪に整列させることによって、FUを分類するためのよい良い画像を得ることができる。所望の位置にあるカメラによって、カメラは、毛包単位を分類する方法の次のステップに使用される画像を得る。しかしながら、上記の例示的な実施例に記載したように、2のカメラ又は立体イメージングを用いる必要はない。追跡手段は、複数のカメラなどの多数の画像収集装置や、パノラマ画像を含む様々な角度から多数の画像を得ることによって、単一のカメラを用いてを行うことができる。カメラは、手動か、使用するシステムがロボティックシステムである場合、ロボットの補助を受けるかのいずれかによって動かされてもよい。
【0031】
ディジタル画像10が得られた後、関心のあるFU13(分類されたFU)を有することが分かっている関心のある領域19が選択されても良い。関心のある領域を選択するこのステップは任意であり、本発明のFUを分類する方法によると必要とされないことが理解されるべきである。その代わりに、画像10がそのまま処理されても良く、例示的な実施例の本記述において、関心のある領域19への言及は、画像10と置き換え可能であると理解される。関心のある領域19はオペレータによって選択されるか、この選択はシステムによって自動でもよい。
【0032】
図2に戻ると、関心のある領域19が、FU13の毛髪31及び33のグレースケールのサブ画像として示されている。関心のある領域19及びFU13のこのグレースケールディジタル画像は、FU13のセグメント化された画像を作成するために公知のディジタル画像処理技術を使用して処理される。図3は、図2のディジタル画像がセグメント化された後の、例示的な二値画像を示している。画像のセグメント化における目的のうちの一つが、前景(例えば毛髪)を背景(例えば、他の全て)から分離することであるとき、図3に示されるような二値画像を得ることは一つの簡単で便利な選択である。しかしながら、例えば、皮膚、ほくろ、血などを分離するいくつかの部分へ背景をセグメント化することが望ましいとき、二値画像の代わりに、セグメント化された画像は様々な様式の画像であってもよい。
【0033】
二値画像の毛髪31及び33の外側周辺部は、FU13の輪郭線35を規定する。輪郭線35を指示する表示が、図4において点線35として示されている。本発明の方法において、輪郭線35は、毛髪31及び33の二値画像の周辺部周りに計算されるか、二値画像の外側周辺部を構成しているピクセルが使用されても良い。図4に明瞭に示すように、2本の毛髪を有するFUの輪郭線35は、ブロック体「V」のように見える。
【0034】
図15の二値画像の外略輪郭線37が計算される。外略輪郭線37は、凹部が取り去られた状態の画像の幾何学的な外形である。図3乃至5に示すように、FU15の二値画像を使用する本発明の実施例において、取り去られうる凹部は、V字形の2辺の間の空間である。従って、FU15の二値画像の計算された外略輪郭線37は、図5において点線37によって指示的に表示されるように、ほぼ三角形の形状周囲の線になりうる。外略輪郭線は、当業者によって既知の任意の好適なアルゴリズムを使用して計算されてもよい。例えば、外略輪郭線37は、既知の画像処理技術を使用して、凸状の外殻を計算することによって決定されても良い。
【0035】
輪郭線35を決定するステップ及び外略輪郭線37を決定するステップは、任意の順番で(初めに輪郭線、次いで外略輪郭線、又は逆に)、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。
【0036】
外略輪郭線37は、取り去る凹部の数を決定するために、輪郭線35と比較される。外略輪郭線を作成する際に取り去られる凹部は、一般的に、外略輪郭線において「欠如」と呼ばれる。外略輪郭線37と輪郭線35を比較するステップの概略図が、図6に示されている。図6から分かるように、FU15の画像において、斜線領域として示されている単一の欠如39がある。
【0037】
欠如の数は、毛包単位の毛髪の数を計算するために使用し、これによって毛包単位を分類することができる。単一点から出ている1又はそれ以上の毛髪の幾何学形状によって、毛髪の数は欠如の数より1つ多くなりうることが分かる。従って、単一の毛髪FUでは、欠如がなく、FUはF1になりうる。2本の毛髪を有するFUでは、2本の毛髪の間に1の欠如があるので、FUはF2になりうる。3本の毛髪を有するFUでは、2つの欠如があり、一方は第1と第2の毛髪の間、他方は第2と第3の毛髪の間にあり、従って、FUはF3になりうる。その他、4本又はそれ以上の毛髪を有する毛包単位などである。
【0038】
毛包単位を分類する上記の例示的な方法の基本的なステップが、図9のフローチャートに要約されている。図9は、上記の方法の簡単なフローチャート図である。ステップ100において、画像10が得られる。ステップ110で、画像10がセグメント化された画像11を作成するためにセグメント化される。ステップ120で輪郭線35が決定され、ステップ130で、外略輪郭線が決定される。上記で説明したように、ステップ120及び130は、任意の順番で、又は同時に行われても良い。ステップ140で、欠如の数が決定され、ステップ150で、毛包単位の分類が少なくとも部分的に欠如の数に基づいて決定される。
【0039】
いくつかの事例において、図7の実施例に示されるように、二値画像は2本の別々の毛髪を有して見えるように、単一の毛包単位の毛髪は皮膚の表面下で集まっている。単一の毛包単位の毛髪は、わずかに離れた又は同じ状態の3本の毛髪を有する単一点から出ている2本の毛髪を有するF2として見ることができることも可能である。しかしながら、分離している毛髪であるように見えるものが別の毛髪に非常に近い場合、毛髪は同じ毛包単位に属することが起こりうることが知られている。この知識を利用して、毛包単位の分類を調節してこの状態を調節しても良い。従って、この調節を行うために、毛髪間の距離が、例えばディジタル画像を用いて決定される。関心のあるFU15の毛髪である図7の毛髪33がほつれ毛であると仮定して、方法は、これらの毛髪が同じ毛包単位の一部であるかどうかを決定する。本実施例において、毛髪33と31の間の距離は、ディジタル画像を使用して計算される。ほつれ毛31が、関心のあるFU15の毛髪33から設定された上限距離内にある場合、ほつれ毛31は、FU15の一部であると推測される。実際は同じ毛包単位であるが分離しているようにみえる毛髪間の最大距離は、約0.5mm、0.7mm、0.3mm、又は患者の身体特性又は患者の標本に基づいて決定される距離にしうる。したがって、FU15は、毛髪31を加えた単一の毛髪33を有するとして分類され、F2として分類される。
【0040】
非常に近接している分離している毛髪を調整する方法(「近接方法」)は、上述した「欠如」方法と合わせて用いることができる。例えば、欠如方法をはじめに行って、近接方法を行うことができるか、逆も可能である。
【0041】
関心のある領域19のディジタル画像を得るために使用するカメラの方向によって、単一の毛髪のように見える画像は、カメラの角度によって画像が重なっている2又はそれ以上の毛髪である可能性がある。この状態の実施例を図8に示す。図8は、単一の幅広の毛包単位である対象物を示すディジタル画像プリントであるが、実際には、同じ毛包単位15の2本の毛嚢である。FU15の分類の際にこの状態を計上するために、例えば、ディジタル画像を使用して、FU15において毛嚢を表す各対象物33の幅が決定される。毛髪を表す各例示的な対象物33が、対象物の長さにほぼ平行な長軸と、長軸に垂直な短軸とを有するとき、例示的な対象物33の幅はその短軸に沿って計算される。
【0042】
一の例示的な実施例において、幅は、画像において同定される各毛髪にわたる距離を単に測定することによって決定されても良い。幅を決定するために、幅は各毛髪の長さに沿って数カ所でサンプリングされてもよい。平均幅又はそれぞれの測定幅は、幅が、単一の毛髪の最大期待幅を超えるかどうかを決定するために使用されてもよい。次いで、一般的に毛髪の「径」と呼ばれる、毛嚢を表す各対象物33の幅が、単一の毛髪の最大期待幅を超えるかどうかを決定する。単一の毛嚢は、約50ミクロン(「um」)乃至100umの間、平均約75umを有することが知られている。対象物33の幅と単一の毛髪の最大幅とを比較することによって、対象物33が表す実際の種類を決定することができる。
【0043】
毛包単位を分類するステップは、FUにおける毛髪を表す各対象物の幅と単一の毛髪の最大期待幅とを比較した結果に基づくこともできる。例えば、幅が、期待幅の1乃至1/2から2倍の間の場合、分類するステップは、2本の毛髪であるような対象物と近似しうる。同様の近似を3、4、又は5本の毛髪に行うことができる。この「幅調節方法」は、上述した欠如方法、及び近接方法のどちらか、又は両方と合わせて、任意の順番で行うことができる。
【0044】
本発明の別の態様において、毛包単位(FU)の端点を決定する方法が提供される。端点を決定することを用いて、採集器具をより良く配置するために使用できる皮膚表面下(すなわち皮下)の毛包単位の角度及び方向の決定に有用であるとともに、毛髪移植手段のロバスト性及び正確性を改良しうる。毛包単位の角度及び方向に基づく採集器具の位置決めを改良することによって、採集処置における毛髪の相互作用(transaction)の機会を減らし、毛髪移植手段の効果を改良する。
【0045】
FUの端点の決定方法は、皮膚の表面又は上、と皮下の両方の端点のFUの端点の決定を可能にする。本発明の方法の例示的な実施例は、FUのセグメント化された画像の骨格を作成するステップを具える。セグメント化された画像は、上記のように関心のある画像を得て、セグメント化された画像を得るためにそれを処理することによって作られる。骨格を作成すること又は「骨格化」とは、セグメント化された画像の前景領域を、元の前景ピクセルの大部分を破棄しつつ、画像の元の領域の広がりと結合性をかなり保持している残存骨格へと縮小させるプロセスである。この前景領域の縮小は、画像化される対象物の全体的な形状に影響を与えずに、できるだけ多くのピクセルパターンを剥離することにより行われる。セグメント化された画像の骨格を計算するためには様々な方法がある。一の例示的なアプローチは細線化アプローチであり、これによって、人は、線分の端点を保ちつつこれ以上細線化できなくなるまで(この時点で残されるものが骨格である)、境界からピクセルを連続的に侵食して取り除く。骨格に基づいて、端点(図10の例示的な画像の参照におけるヘッド部1、ヘッド部2、及びテール部)が同定される。図10に戻って、毛包単位の端点を決定する上記の例示的な方法の基本的なステップが、フローチャート形式で要約されている。図10の例示的な毛包単位は、2本の毛髪の毛包単位である。ステップ200では、画像10が得られる。ステップ210で、画像10は、セグメント化された画像11を作成するためにセグメント化される。ステップ230で、画像の骨格231が作られる。ステップ240で、端点が決定される。この非限定的な実施例において、ヘッド部1(241)、ヘッド部2(242)、及び、テール部(243)が決定され、ラベルを付けられる。
【0046】
ロバスト性及び正確性を改良し、さらに画像のノイズを調節するために、骨格231などの骨格は、セグメント化された画像のみに基づいて本発明の方法に従って、作成可能であるが、一定の場合に、骨格を作成する際に使用される追加的な検証としてFUの輪郭線を決定することが所望されうる。図10のフローチャートは、FUの輪郭線35を決定するこの追加的な任意のステップ220を示しており、骨格の作成は、セグメント化された画像と、またFUの輪郭線からの情報に基づく。
【0047】
「細線化」プロセスは、骨格を作成する一実施例であるが、本発明の範囲内で、骨格を作成するための様々な代替的なプロセス及び技術がある。例示として、さらに、限定ではなく、このような代替的な技術は、骨格を近似するために距離変換における特異性を使用すること、エッジ検出に基づく技術、又はHilditchアルゴリズムを含む。
【0048】
画像の骨格を作成する際に、ノイズは重要な問題になりうる。従って、画像の品質及び正確な骨格を作成する有効性を改良するために、複数の画像(立体画像を含む)を作成し用いることが有用である。その関連で、本発明のいくつかの実施例において、端点を決定する方法は、複数の画像(立体画像を含む)を使用することによって、又は骨格を作成するための追加的なデータの検証として画像の輪郭線を決定することによってさらに改良される。
【0049】
本発明のさらに別の態様において、毛包単位を分類するシステムが提供される。例示的な実施例として、システムは、画像取得装置及び画像プロセッサを具えても良い。画像取得装置のいくつかの非限定的な実施例は、様々な商業的に入手可能なカメラなどの1又はそれ以上のカメラを具える。画像取得装置は、静止画像を取得しても良く、又はビデオ記録装置(カムコーダ)もしくは任意の他の画像取得装置にすることができる。立体画像装置が、現在好ましいが、立体イメージングを有する必要はなく、本発明はそのように限定されるものではない。同様に、画像取得装置は、ディジタル装置であることが好ましいが、必要なわけではない。例えば、画像取得装置は、本発明の方法においてさらに使用するためのディジタル画像へ処理される初期画像を取得するアナログTVカメラにすることができる。画像プロセッサは、本発明に従ってFUを分類する方法を行うようにプログラム及び構成された任意の好適な装置を具えても良い。一の例示的な実施例において、FUを分類するための画像プロセッサは、FUの画像を受信し、セグメント化された画像を作るように画像を処理し、FUのセグメント化された画像の輪郭線及び外略輪郭線を計算し、外略輪郭線における欠如の数を決定し、さらに、欠如の数に基づいてFUを分類するように構成されており、さらに、分類は、必要に応じて一定の追加的な調節に基づいてもよい。限定としてではなく、好適な画像プロセッサは、任意の種類のパーソナルコンピュータ(「PC」)にしてもよい。代替的に、画像プロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を具えても良い。
【0050】
本発明のさらなる態様にしたがって、FUの端点を決定するためのシステムが提供されている。このシステムは、毛包単位を分類するための前述のシステムと組み合わせて一部にするか、別々の独立システムにすることができる。端点を決定するためのこのシステムは、画像取得装置及び端点画像プロセッサを具えてもよい。このシステムの画像取得装置は、FUを分類するためのシステムを参照して記述されたものと同じか異なってもよい。2つのシステムが組み合わされる場合、単一の画像取得装置が、すべての画像取得を目的として使用されても良い。端点の画像プロセッサは、本発明に従うFUの端点を決定する方法を行うように、プログラムされ構成されうる。一実施例において、端点画像プロセッサは、画像を受信し、FUのセグメント化された画像を作るように画像を処理し、FUの骨格を作成し、FUの少なくとも1の端点を決定するようにプログラムされ、構成される。FUを分類するためのシステムにおいて有用な様々な適切な画像プロセッサの例示及び記述は、端点を決定するためのシステムの画像プロセッサに等しく利用可能である。2つのシステムが組み合わされる場合、これらは、両方の方法をすべて組み合わせて必要なステップを行うようにプログラムされ構成されている同じ画像プロセッサを使用しても良く、又はこれらは異なる画像プロセッサを使用することができる。
【0051】
FU分類システム、又は端点決定システム、あるいはこの組合せのシステムの画像取得装置は、固定位置に取り付けられるか、ロボティックアーム又は他の制御可能な可動装置に取り付けられてもよい。ロボティックアーム又は可動装置は、ロボティックアーム又は可動装置の運動を制御するように構成されたコントローラに機能的に連結されても良い。コントローラは、画像取得装置によって取得される画像又はデータに基づいてロボティックアーム又は可動装置運動を制御するように構成されたコントローラを具える画像プロセッサからの画像又はデータを受信し処理してもよい。さらに、システムは、FUの採集および/移植、あるいは毛髪治療計画に有用な他の道具、装置、及び構成部材を具えても良い。
【0052】
本書に記述したように毛包単位を分類する、および/または毛包単位の端点を決定するための任意のまたは全てのシステム及び方法は、米国特許出願シリアルナンバ11/380,903及び米国特許出願シリアルナンバ11/380,907の毛髪を採集し移植するシステム及び方法と合わせて使用されても良い。
【0053】
本発明の前述の実施例は、様々な修正及び代替的な形式を受け入れ可能であり、本発明は、一般的に、本書に記載された特定の実施例と同様に、開示された特定の形式又は方法に限定されるものではなく、逆に、添付した請求の範囲内の全ての修正、均等物、及び代替物をカバーすると理解されるべきである。非制限的な例示として、本発明はロボティックアームを具えるロボティックシステムの使用に制限されず、他の自動化、半自動化システムが利用されてもよいことが当業者に理解されるであろう。さらに、本発明の毛包単位の端点の分類および/または決定するシステム及び方法は、個別の自動化移植システムと共に、又は手動移植手段とともに使用される個別のシステムにすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包単位(FU)を当該FUから出ている毛髪の数に基づいて分類する方法において:
FUを有する体表面の画像を取得するステップと;
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像を処理するステップと;
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線を計算するステップと;
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線における凹部を無視した、前記セグメント化された画像の外略輪郭線を計算するステップと;
前記外略輪郭線において欠如の数を決定するステップと;
前記決定された欠如の数に少なくとも部分的に基づいて前記FUを分類するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、外略輪郭線を計算するステップが、凸状外殻の輪郭線を計算するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記FUを分類するステップが、単一の毛髪のFUか、複数の毛髪のFUのいずれかとして前記FUを分類するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記FUを分類するステップにおいて、前記FUから出ている毛髪の数が、前記外略輪郭線において前記決定された欠如の数に1を足した数に等しいことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記取得された画像がディジタル画像であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記画像を取得するステップが:
立体画像を提供するように構成されている第1のカメラ及び第2のカメラを前記体表面に向けるように位置決めするステップと;
第1の画像を前記第1のカメラから取得し、前記第1の画像内のFUを選択するステップと;
第2の画像を前記第2のカメラから取得し、前記第2の画像内の同じFUを選択するステップと;
前記第1及び第2の画像内の前記FUを追跡するステップと;
前記第1及び第2のカメラを前記FUの毛髪の方向に整列させるステップと;
前記FUの画像を前記毛髪の方向に整列された前記第1及び第2のカメラによって取得するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法がさらに:
前記FUに近い関心のある領域を選択するステップと;
前記関心のある領域が、前記FUの輪郭線の接触部分のない分離している毛髪の画像を含むかどうかを決定するステップと;
前記分離している毛髪が、前記FUの輪郭線を規定している1又はそれ以上の毛髪から最大距離内であるかどうかを決定するステップと;
を具え、前記FUを分類するステップがさらに、前記分離している毛髪が、前記FUの輪郭線を規定している前記毛髪から最大距離内であるかどうかに基づくことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記FUが、前記FUの輪郭線を規定している前記毛髪から前記最大距離内に位置するそれぞれ分離している毛髪を含んでいるとして分類されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法がさらに、前記FUにおける毛髪を表す各対象物の幅を決定するステップを具え、前記FUを分類するステップがさらに、前記FUにおける毛髪を表す各対象物の前記幅と単一の毛髪の最大期待幅との比較に基づくことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記幅を決定するステップが、前記FUにおける毛髪を表す各対象物の長軸及び短軸を決定するステップを具え、前記長軸が、毛髪を表す対象物の長さに沿っており、前記短軸が前記長軸に対して垂直であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記画像を取得するステップが、同じFUの画像を1より多く取得するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法がさらに、画像取得装置と前記FUの間の相対移動を調節するために前記FUを追跡するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法がさらに、
前記FUの第1の画像を画像取得装置から取得し;
前記FUの位置を前記第1の画像から決定し;
前記FUの第2の画像を前記画像取得装置から取得し;
前記FUの位置を前記第2の画像から決定することによって、前記FUを追跡するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記画像取得装置が少なくとも1のカメラを具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法がさらに、前記セグメント化された画像の骨格を作成することによって、前記FUの少なくとも1の端点を決定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記少なくとも1の端点が、
前記FUの毛髪のヘッド部、
前記FUの毛髪のテール部、
及び前記FUの球から成るグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項17】
毛包単位(FU)の少なくとも1の端点を決定する方法において:
FUを有する体表面の画像を取得するステップと;
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像を処理するステップと;
前記FUのセグメント化された画像の骨格を作成するステップと;
前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記少なくとも1の端点が、
前記FUの毛髪のヘッド部、
前記FUの毛髪のテール部、
及び前記FUの球から成るグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法がさらに、前記セグメント化された画像の輪郭線を計算するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記骨格を作成するステップが、細線化技術を用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記骨格を作成するステップが、エッジ検出に基づく技術を用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、前記骨格を作成するステップが、Hilditchアルゴリズムを用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項23】
毛包単位(FU)の少なくとも1の端点を分類するとともに決定する方法において:
FUを有する体表面の画像を取得するステップと;
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像を処理するステップと;
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線を計算するステップと;
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線における凹部を無視した、前記セグメント化された画像の外略輪郭線を計算するステップと;
前記外略輪郭線において欠如の数を決定するステップと;
前記決定された欠如の数に少なくとも部分的に基づいて前記FUを分類するステップと;
前記FUの画像の骨格を作成するステップと;
前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
毛包単位(FU)を当該FUから出ている毛髪の数に基づいて分類するシステムにおいて:
画像取得装置と;
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像取得装置によって取得される画像を処理し、
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線を計算し、
前記FUのセグメント化された画像の前記計算された輪郭線における凹部を無視した、前記セグメント化された画像の外略輪郭線を計算し、
前記外略輪郭線において欠如の数を決定し、
前記決定された欠如の数に少なくとも部分的に基づいて前記FUを分類するように構成された画像プロセッサと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記画像取得装置が少なくとも1のカメラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記画像取得装置が立体イメージング装置であることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記画像プロセッサがパーソナルコンピュータであることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記システムがロボティックシステムであることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムがさらに、前記画像取得装置が取り付けられているロボティックアームを具えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムがさらに、前記ロボティックアーム及び前記画像プロセッサに機能的に連結されているコントローラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記画像取得装置がディジタル画像を取得することを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項24に記載のシステムがさらに、前記FUのセグメント化された画像の骨格を作成し、次に前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するよう構成された端点の画像プロセッサを具えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項24に記載のシステムにおいて、前記画像プロセッサが、前記FUのセグメント化された画像の骨格を作成し、次に前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項34】
毛包単位(FU)の少なくとも1の端点を決定するシステムにおいて:
画像取得装置と;
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像取得装置によって取得される画像を処理し、
前記FUのセグメント化された画像の骨格を作成し、
前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するように構成された画像プロセッサと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムにおいて、前記システムがロボティックシステムであることを特徴とするシステム。
【請求項36】
毛包単位(FU)を分類する画像プロセッサにおいて、当該画像プロセッサが:
前記FUの画像を受信し、
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像を処理し、
前記FUのセグメント化された画像の輪郭線を計算し、
前記FUのセグメント化された画像の前記輪郭線における凹部を無視した、前記セグメント化された画像の外略輪郭線を計算し、
前記外略輪郭線において欠如の数を決定し、
前記決定された欠如の数に少なくとも部分的に基づいて前記FUを分類するように構成されていることを特徴とする画像プロセッサ。
【請求項37】
毛包単位(FU)の少なくとも1の端点を決定する画像プロセッサにおいて、当該画像プロセッサが:
前記FUの画像を受信し、
前記FUのセグメント化された画像を作成するように前記画像を処理し、
前記FUのセグメント化された画像の骨格を作成し、
前記骨格から前記FUの少なくとも1の端点を決定するように構成されていることを特徴とする画像プロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−504568(P2010−504568A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525789(P2009−525789)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/076726
【国際公開番号】WO2008/024954
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(507007418)レストレーション ロボティクス,インク. (13)
【Fターム(参考)】