毛管現象による移送シートを有する刺傷形成式一体型試験片
一体型体液採取装置は、ランセット、ランセットに連結された試験片および試験片より突出している柔軟なシートを有する。ランセットと柔軟なシートは、体液を毛管現象によって試験片の上に導入する大きさの間隙を形成する。また、柔軟なシートの採取端部は、採取手段に沿った体液の横方向拡散を最小限に抑制する形状を有する。一形態において、ランセットを覆う取外し可能なフィルムが、柔軟なシートと協働してランセットの突起を囲繞するシールを形成する。別の形態において、ランセットの一部を絶縁層により覆い、ランセットと試験片上の電気的検査部のあいだの電気的干渉を防止することによって、体液の分析が正確に実施できるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としては刺傷形成式一体型試験片に関し、限定するものではないがより具体的には、流体を試験片により容易に送給できるようにするとともに、試験片を無菌状態に維持可能な形状と構造を有する親水性シートつまりフラッグ部が設けられた刺傷形成式一体型試験片に係わる。
【背景技術】
【0002】
体液採取装置は、血液または間質液のような体液をヒトまたは動物から採取し、採取した体液を糖尿病患者にとっての血中グルコース濃度のような種々の特性を分析するために発展してきた。これらの中の多くの装置は、自分の一日の状態を個々人が監視できるよう、家庭で使用することを前提にして設計されている。従来の方法においては、検査を行う本人つまり個人は、まずランセットを皮膚に刺して切開部を形成する。切開部を通しての感染および/または採取液の汚染を防止するために、ランセットは、使用時まで無菌状態を維持するため滅菌後に包装される。ランセットを包装する一般的な方法は、ランセットの先端に防護用キャップをかぶせることを含み、防護用キャップは、ランセットを無菌状態に保持するとともに、誤ってランセットにより使用者が怪我をするまたは他人に怪我を負わせることを防止する。ランセットを無菌状態に保持するとともに、防護用キャップを容易に取り外すことができるようにすることは、とりわけ検査を患者自身が行わなければならない状況にある場合には無理なことである。検査を行う本人は、通常は老齢であるか、さもなければ患っているために、手の機能が低下しており、キャップを取り外すことが困難である。解決策の一つは、キャップとランセットの連結部を弱くすることであるが、そのようにした場合、今度は防護用キャップが輸送中に脱落する可能性が高くなる。キャップを自動的に取り外すための複雑な装置が開発されてもいるが、キャップは、実際には嵩張るものであり、取り外したキャップの自動装置内での保管と処分の方法が問題になる。自動装置の場合にも、キャップの取り外しを確実に行えるようにするためには困難が伴う。また、キャップは嵩張るために、ランセットのテープまたはカセットにキャップを取り付けた場合、ランセットの包装密度が低下する。
【0003】
皮膚に刺傷を形成後、個人は、試験片または毛細管を小滴状の体液の内部に通常は手作業で配置しなければならないが、上述のように、この作業は、老齢者のような多くの個人にとっては困難である。特に家庭で使用する試験装置の場合、試験片の上に充分な量の体液を配置できるか否かが、いつも問題になる。体液量が不十分な場合、個人は、試験を繰返し行うことにより多数の試験片を無駄にすることによって、ストレスを感じるようになる。たとえば試験片を確実に保持しておくことができない場合、信頼できる試験結果が得られるほどの量の体液を試験片に採取することができない。また、使用者が試験片または採取装置を皮膚に余りにも強く押圧した場合には、切開部が閉じることによって体液の供給が中断される。灯心構造が、体液を試験片上にまたは毛細管の中に容易に導入するために開発された。しかし、灯心構造には、多くの重大な欠点があることが判明した。たとえば、灯心構造は、体液が試験片の試験領域に移送される前に灯心構造自体によって相当量の体液が吸収されるために、体液の無駄が生ずる。また、一般的な灯心構造は、血液または他の体液を皮膚上に塗抹する形状を有しているために、体液が無駄になる。
【0004】
体液の採取後、試料は、種々の特性を明らかにするために、光学的および/または電気化学的並びに他の方法によって分析される。刺傷形成式一体型試験片は、近年になって開発された技術であり、ランセットは試験片または別の種類の試験メディアに取り付けられていて、単一の一体化されたユニットによって体液の採取と分析の両方が実施できるようになっている。一般に、ランセットは、手術用ステンレス・スチールのような金属で形成されている。電気化学的試験片を用いる最新の体液採取装置は、ランセットと電気化学的試験片が別体であって比較的大きく離間して配置されているために、金属製のランセットが、電気化学的試験片による検出結果に大きい影響を与えないようになっている。しかし、最近開発された刺傷形成式一体型試験片の場合には、ランセットと試験片の電極との間隔が小さいために、試験片による検出結果に影響を与える大きい電気的干渉が生じていることが判明した。この電気的干渉は、業界がカセット、カートリッジおよび他の収容ユニットに格納できるよう刺傷形成式一体型試験片を小型化するにしたがって顕著になってきた。
【0005】
上述の通り、この分野にはさらなる改良を行う必要性が残されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取する装置に関する。装置は、ランセット、試験片、および試験片より突出していて、体液を試験片に誘導する体液採取フラッグを有する。体液採取フラッグは、可撓性を有していて刺傷形成時に屈曲し、また、体液の横方向拡散を最小限に抑えるための構造を有する。
【0007】
別の態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取する一体型体液採取装置に関する。装置は、突起が設けられたランセット、ランセットに連結された試験片、体液採取フラッグおよび防護フィルムを有する。体液採取フラッグは、試験片より突出していて、体液を試験片の上へと誘導する。また、防護フィルムは体液採取フラッグに取外し可能に接着されており、ランセットの突起を体液採取フラッグと防護フィルムのあいだに挟むことによって少なくともランセットの突起を防護する。
【0008】
別の態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取して検査する一体型体液採取装置に関する。装置は、突起が設けられたランセット、ランセットに連結された試験片、絶縁層および体液採取フラッグを有する。試験片は電極を有する。また、絶縁層は、ランセットの一部を覆うことによって、ランセットと電極間の電気的干渉を防止する。体液採取フラッグは、体液を試験片の上に誘導するように構成されている。
【0009】
さらに別の態様は、体液を導入する方法に関する。この方法は、採取装置に体液採取フラッグを設けることを含む。体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑える構造に形成されている。この方法は、また、小滴状の体液を体液採取フラッグと接触させ、そして体液採取フラッグを利用して体液を体液採取フラッグの長さ方向に導入することを含む。
【0010】
別の態様は、切開部を形成するための突起を有するランセットと、切開部から採取された体液を分析するための検査手段を採取装置に設ける方法に関する。この方法は、また、ランセットの突起の無菌状態を維持するために、少なくともランセットの突起を防護フィルムと体液採取フラッグのあいだに挟むことを含む。体液採取フラッグは、体液を検査手段に誘導するように構成されている。
【0011】
本発明のさらに別の形状、目的、特徴、態様、便益、利点および実施形態は、ここに記載された詳細な説明と添付図面を参照することによって明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理をより良く理解してもらうために、図示した実施形態について説明するが、説明には具体的な表現を用いる。しかし、この説明によって、本発明の範囲を限定しようという意図はないと一般に理解される。説明した実施形態の変更と修正並びにここに説明した本発明の原理のさらなる適用形態は、全て本発明の関連分野の当業者には通常想起できるものであると考察する。詳細な説明は、本発明の一実施形態について行われているが、当業者には、理解を容易にするために、本発明に直接関係しないいくつかの特徴についての説明は省略されていることが明白に理解できるであろう。
【0013】
本発明は、全体としては皮膚のような組織の切開部から採取する必要がある体液の量を低減する刺傷形成式一体型試験片に関する。この装置は、皮膚に切開部を形成するためのランセット、ランセットに連結された試験片または他の検査装置、および試験片より突出している柔軟な体液採取シートつまりフラッグを有する。ランセットによる切開部の形成後、体液採取シートは、分析用体液を切開部から試験片の中へと導入するために用いられる。体液採取シートは、皮膚に接触したとき切開部を閉じることがないよう可撓性を有する材料を用いて形成されており、また、体液採取シートの先端部は、体液の横方向拡散量と塗抹量を低減させることによって、試験片の検査領域に直接移送される体液量が増大する構造を有する。一形態において、刺傷形成式一体型試験片は、金属製ランセットと、体液分析用の試薬が塗布された電極を有する。ランセットの一部は、ランセットと試験片の電極間の電気的干渉を防止する薄い矩形フィルムによって覆われているまたはコーティングされている。一実施形態において、ランセットを無菌状態に保持するために、剥離可能な防護フィルムが、ランセットの少なくとも突起を覆っている。剥離可能な防護フィルムは、接着剤を用いて体液採取シートに接着されていて、あいだにはランセットの突起が挟まれている。
【0014】
本発明の種々の実施形態の中から選ばれた特徴について、図示した刺傷形成式一体型試験片を参照しつつ説明するが、それらの特徴は、異なる種類の形態にも採用可能であると一般に理解される。刺傷形成式一体型試験片は、非限定の例として、試験片の他の部分に対して固定されたランセットを有するように図示されているが、ランセットまたは試験片の他の部分は、試験片の他の部分に対して移動可能であると一般に理解される。さらに、多数の刺傷形成式一体型試験片をカートリッジおよび/またはカセットに格納するまたはカートリッジおよび/またはカセットに配置して互いに連結することが可能であることは想定されている。刺傷形成式一体型試験片の異なる形態の例については、その全記載内容を本明細書の記載として援用するが、Roe他が共有する米国特許申請第10/767522号、2002年12月27日出願の米国特許申請第10/330724号(現、2004年7月1日公開の米国公開特許第2004/0127818A1号)、および2002年12月3日出願の米国特許申請第10/308463号(現、2004年6月3日公開の米国公開特許第2004/0106941A1号)を参照されたい。
【0015】
図1と図2を参照しつつ、本発明の一実施形態による刺傷形成式一体型試験片または使い捨てユニット30について説明する。図1と図2に示したように、ユニット30は、組織に切開部を形成するための刺傷形成部材つまりランセット32と、ランセット32とユニット30のその他の部分のあいだを電気的に絶縁するためにランセット32の少なくとも一部を覆う絶縁層34を有する。通気部材36がランセット32から離間して配置されており、ランセット32と通気部材36は、第一の接着剤層または粘着テープ38によってスペーサ40に固着される。スペーサ40は、第二の接着剤層42によって体液の試料を分析するときに用いられる電極45が設けられた試験片44に固着される。試験片44の反対側に位置する第三の接着剤層46によって、体液採取シートつまりフラッグ48が試験片44に固着される。体液採取シートは、体液の試料をユニット30の内部に導入するために用いられる。ユニット30は、手動によりまたは自動的に組織に切開部を形成して、切開部から採取された体液を分析することが可能であると理解されているものとする。説明を明瞭簡潔にするために、ユニット30に付随して用いられるランセット・ドライバのような業界内において周知の他の要素については、本発明を理解する上で重要ではないために、以下、詳細な説明は行わない。
【0016】
図示した実施形態において、ランセット32は、ほぼ平坦な形状を有する。一般に理解されているように、ランセット32は、種々の物理的形状を採ることができる。たとえば、ランセット32は円形であってもよい。図示した実施形態において、ランセット32は、金属製であるが、プラスチック、セラミック、または金属とプラスチックの複合材のような他の材料を用いて形成可能であることは想定されている。
【0017】
図2に示したように、ランセット32は、ランセット32の一方の端部である制御端52から突出した突起または刃50を有する。突起50はほぼ三角形の形状であるように示されているが、ランセットの突起50は、種々の物理的形状を採ることができる、と一般に理解される。突起50は、皮膚または他の種類の組織に切開部を形成するように構成されており、制御端52は、皮膚に対する突起50の進入深さを制限するために用いられる。
【0018】
上述の通り、図1と図2に示したような刺傷形成式一体型試験片の開発中に、とりわけ金属のような導電体を用いて形成されたランセット32は、電気化学的な試験片44に近接して配置されているために、その動作に障害を与えることが発見された。ランセット32がプラスチックのような絶縁体を用いて形成されている場合にも、静電荷がランセット32に発生して、しばしば電極の動作が干渉を受ける。体液を分析するための電気化学的技術は、一般に体液の電荷転送特性つまり電荷移動特性(たとえば、電流、界面電圧、インピーダンス、コンダクタンスなど)と分析物の濃度のあいだの相関関係を利用しており、このために一般に試薬が用いられており、試薬は、分析物と結合したとき電荷キャリヤを生成するまたは変成することにより試験片の電極によって測定可能な反応を発生させる。一般に、試験装置は、検査対象の体液と試験装置に供給された試薬のあいだの反応を利用する。ランセット32が生じさせる電気的干渉は、電極のインピーダンスを変化させることによって試験片44の検査結果に影響を与えることが理論的に判っている。図示した実施形態において、ランセット32が生じさせる不都合な電気的干渉から試験片44を防護するために、絶縁層34が、ランセット32の少なくとも一部を覆うために用いられている。図示した実施形態の絶縁層34は、ランセット32の形状にほぼ合致するように形成されているが、絶縁層34は、異なる形状に形成することも可能であると一般に理解される。絶縁層34は、ランセット32と試験片44のあいだの別の位置に配置することによっても、ランセット32が生じさせる不都合な電気的干渉から試験片44を防護可能であることは想定されている。絶縁層34は、ランセット32と試験片44の電極45のあいだの電気的干渉を防止する、たとえば、酸化アルミニウム、パラフィン、あるいは他のポリマーまたは材料のような、種々の材料を用いて形成することができる。刺傷形成式一体型試験片30において、絶縁層34、ランセット32および試験片44は、上述した副作用を発生させることなく、従来以上に近接して配置することが可能であり、これにより、電気化学応用の試験片を備えた刺傷形成式一体型試験片30をさらに小型化することができる。
【0019】
さらに一般に理解されているように、絶縁層34とユニット30の他の構成要素は、多数の積層ユニット30を連続して組み立てることができるよう層状に形成されている。絶縁層34のような、これら構成要素の連続した薄片体つまり層は、横並びの形態に配置された積層ユニット30の連続した薄片体を形成することができるよう、連続した形状で重ね合わされる(または射出成形される)。組み立てられた薄片体から、個々のユニット30が切り出される、またはユニット30の組立薄片体は、その形状のままでカセットおよび/またはカートリッジに装填される。
【0020】
図示した実施形態においては、積層ユニット30の構成要素を互いに固着するために種々の接着剤層38,42,46が用いられている。しかし、これらの構成要素を別の方法によって互いに結合することも可能であると理解されている。積層ユニット30の構成要素は、非限定の例を挙げると、接着テープを用いて、あるいは、溶着または機械的固着によって互いに結合させることができる。
【0021】
図1と図2を参照して説明すると、スペーサ40が、体液を収集するための毛細管路つまり溝54を画成する。スペーサ40は、例示すると、プラスチック、セラミックおよび/または一片の接着テープのような、種々の材料を用いて形成することができる。毛細管路54は、ランセットの突起50に近い方の端部に体液を取り込む開口56を有する。毛細管路54の他端は、終端部58によって閉じられる。別の実施形態において、終端部58は、空気または他のガスを溝54から通気つまり排気するための開口を有するように形成されている。図示したように、毛細管路54は、終端部58と、通気部材36とランセット32に沿って終端部58から突出した一対の腕部60によって画成される。スペーサ40と毛細管路54は、ランセット32と通気部材36、および試験片44のあいだに挟まれている。毛細管路54は、体液を毛管現象によって装置30の内部に吸引できる寸法にされている。通気部材36は、スペーサ40の一部を覆うために用いられるが、空気または他のガスを毛細管路54から排気する通気口62を形成するためにランセット32から離間して配置されている。通気部材36は、例示すると、プラスチック、セラミックおよび/または金属のような、種々の材料を用いて形成される。
【0022】
試験片44は、毛細管路54に導入された体液を試験片44に送給できるよう毛細管路54に沿って配置されている。図2に示したように、試験片44は、電極45と試薬を用いて、体液を電気化学的手段により分析することができる。この実施形態において、試験片44は、ポジティブ、ネガティブおよび基準の電極45を有する電気化学的試験片である。試験片44は、別の方法によっても体液を分析できると一般に理解される。試験片44は、例示すると、光学的手段(たとえば、反射率、吸光率、蛍光発光、ラマン効果など)および/または磁気的手段を用いて体液を分析することができる。
【0023】
上述したように、体液採取フラッグ48は、開口56を介して体液の試料を毛細管路54に導入するために用いられる。図1と図2を参照して説明すると、体液採取フラッグ48は、小滴状の体液に接触して、体液をユニット30の内部に誘導する採取端部64を有する。一実施例において、表面活性剤または親水性ポリマーのような親水性材料を用いて、採取フラッグ48を形成するまたはコーティングすることによって体液の流れが促進されるようになっている。体液採取フラッグ48は、ポリアミド被覆、酸化(たとえば、コロナ/プラズマ加工)、プラズマCVD、金属、金属酸化物または非金属酸化物の真空蒸着、または水によって酸化される元素を堆積させる手法を用いて処理することが可能である。しかし、体液採取フラッグは、異なる方法を用いて親水性を備えるように加工することが可能であると一般に理解される。図示したように、体液採取フラッグ48は、柔軟なシート状であることが好ましい。体液採取フラッグ48は、柔軟であるために、図11に示したように刺傷形成時に変形つまり屈曲して、切開部に近接した皮膚または体液の小滴に接触することができる。親水性フィルムは、柔軟であるために皮膚に接触したとき皮膚を大きく変形させることがなく、そのために、皮膚の切開部は、体液の試料を採取中は開いたままになっている。逆に、体液採取フラッグ48が硬い場合には、皮膚の変形により切開部が閉じられるために、体液の供給が中断される。さらに、体液採取フラッグ48は、屈曲可能であるために、ユニット30を皮膚に対して傾斜させた状態で体液を採取することを可能にし、また、ランセット32も、傾斜させた状態で皮膚に切開部を形成することができる。傾斜させて切開部を形成した場合、特定深さの刺傷によって切断される毛細血管の数が増大するために、体液量も増加する。一般に理解されているように、切開後に毛細管を切開部の位置に合わせるための苦労が低減される。これにより、体液の試料採取が容易になり、また、試料の無駄または採取が遅延する可能性が低減される。図示した実施形態において、体液採取フラッグ48は、使用者が試料採取中に切開部と体液の小滴を見ることができるよう透明である。しかし、別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、不透明および/または半透明である。
【0024】
図11を参照して説明すると、装置30の構成要素を組み立てたとき、開口56の位置に採取端部が形成され、この採取端部の位置からランセット32の突起50と体液採取フラッグ48の採取端部64が突出する。図示したように、体液採取フラッグ48の採取端部64とランセットの突起50は、互いにほぼ平行して突出する。一般に理解されているように、柔軟であることが好ましい体液採取フラッグ48は、装置30の向きに依って、ランセットの突起50に近づく向きまたは離れる向きに屈曲することができる。図11に示すように、切開部I形成後に毛管現象によって体液Fを導入するため、体液採取フラッグ48とランセットの突起50のあいだに間隙66が形成される。図示した実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、ランセットの突起50より大きく突出することによって、ランセットの突起50が切開部Iから抜き出された後にも皮膚Sとの接触を維持することができる。別の実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、ランセットの突起50の位置まで突出しているまたはランセットの突起50より短い。
【0025】
図11を続けて参照して説明すると、体液採取フラッグ48は、ランセットの突起50が切開部形成のために皮膚Sに向けて押進されたとき、皮膚Sに接触して屈曲する。ランセットの突起50が皮膚Sに切開部Iを形成した後切開部Iから後退させられるために、体液の試料Fが、切開部Iから流出を開始する。ランセットは、使用者が自分でまたはランセット32に連結された後退機構を用いて後退させることができる。切開部を一旦形成した後には、体液の試料Fを採取するために装置30を改めて配置するまたは位置決めを行う必要はない。図示したように、採取端部64は、体液採取中は皮膚Sに接触している。柔軟性を有することが好ましい体液採取フラッグ48は、皮膚Sを強く押圧することはなく、そのために、切開部Iから得られる体液の試料Fの量に制限が加えられることはない。別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、体液の試料Fの採取中に皮膚Sに接触しないよう、皮膚Sから離間して配置される。この実施形態においては、体液採取フラッグ48は、体液の試料Fを毛管現象によって開口56に導入することができるよう皮膚Sに近接して配置される。上述したように、体液採取フラッグ48は、体液が体液採取フラッグ48に沿って開口56の中へと容易に流れるようにするために、随意親水性材料によってコーティングするまたは形成することもできる。間隙66にある体液の試料Fは、毛管現象によって毛管サイズの溝54へと誘導されて、試験片44の上に蔵置される。流体の試料Fは、次に試験片44で分析され、所望の特性が判定される。
【0026】
叙上のとおり、刺傷形成式一体型試験片30は、体液の試料の量を最小にするように形成されている。検査に必要な体液量を小さくすることによって、ランセット32による刺傷の深さも浅くすることが可能になり、使用者にとっての痛みが大きく低減される。また、試料の量が小さくて済む場合には、体液を前腕のような血管が少ない部位から採取することができる。一般の採取装置を用いて採取する場合、切開部から得られた体液の全量が試験片の試験領域に達するわけではないために、体液の無駄が生ずる。体液は、しばしば皮膚に塗抹されるまたは体液の一部が採取装置の、たとえば毛細管に残留する。図3から図10に示すとともに以下に説明する実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、体液の無駄を最小にする形状を有する。体液採取フラッグ48の採取端部64が矩形の場合、体液は、毛細管路54に導入される前に小滴に対向したフラッグ48の端部に沿って横方向に拡散することが発見された。横方向拡散が生ずる状況の場合、導入すべき体液が体液採取フラッグ48の前面に沿って一般には拡散するために、体液が毛細管路54に導入された後にも、その一部は体液採取フラッグ48の面に塗布されて残留する。以下に説明する実施形態において、体液採取フラッグ48は種々の形状を有するが、それらは、体液の横方向拡散と体液の皮膚への塗抹を最低限に抑制する。一般に理解されているように、図3から図10に示した、種々の形状を有する体液採取フラッグ48は、図1の刺傷形成式一体型試験片30に用いることができるように形成されている。
【0027】
図3に示した実施形態において、採取端部64aは、採取を行うとき体液採取フラッグ48を補強するとともに体液の横方向拡散を最小限に抑えるように作用する、一連の山または谷66が形成されたひだを有する。体液採取フラッグ48は、一般には、刺傷形成時にしばしば塑性曲りまたは変形を生じがちな薄い材料を用いて形成される。塑性曲りを生じた場合、体液採取フラッグ48は、小滴状の体液に接触不可能になる。山66は、体液採取フラッグ48を、刺傷形成時には屈曲可能にするとともに、刺傷形成後には付与された剛性によって元の位置に弾性的に復帰できるようにする。図示したように、採取端部64aの先端部68は、ジグザグ形に傾斜している。ジグザグ形の先端部68は、体液の横方向拡散を最小限に抑制することによって、より多くの体液を毛細管路に導入させ、よって、体液採取フラッグ48に付着して無駄になる体液量を低減する。
【0028】
別の実施形態によると、図4に示した採取端部64aは、先端部72から入れられた一連の切込70によって形成された一列の突片73を有する窓付きの形状である。先端部72から入れられた切込70は、先端部72に沿う横の経路を寸断することによって、先端部72に沿った体液の横方向拡散を最小限に抑制する。突片73は矩形に図示されているが、別の実施形態において、切込70は、例示すると、円形、楕円形および/または台形の突片を形成するように入れられていてもよい。図示したように、突片73は、隣接した突片73と同一の長さを有して、互いに平行に配置されている。別の実施形態において、特定の突片73が異なる長さを有し、また、特定の突片73を採取端部64b内で互いに異なる角度を有するように配置させることが可能であることは想定されている。
【0029】
図5を参照して説明すると、採取端部64cは、その一部分から突出した、小滴接触端76を備えた突出部74を有する。図示した実施形態において、突出部74は矩形であるが、突出部74は別の実施形態においては異なる形状であってもよいと一般に理解される。その場合の突出部74は、例示すると、円形、台形または三角形である。突出部74は、体液の横方向拡散を最小限に抑制することによって、毛細管路54に移送される体液量を間違いなく最大にすることができる。体液を採取する時、体液が突出部74だけによって誘導されるよう、突出部74が小滴の体液に最初に接触する。
【0030】
図6を参照して説明すると、採取端部64dは、二等辺三角形の先端部78を有する。先端部78は、別の実施形態においては異なる角度を有していてもよい。その場合の先端部78は、例示すると、直角三角形または不等辺三角形である。採取端部64dを三角形にした場合、体液採取フラッグ48と小滴状の体液が点接触をすることになり、先端部78に沿った体液の横方向拡散が低減される。さらに、体液採取フラッグ48と小滴状の体液が点接触をすることによって、塗抹される体液量も低減されることが判った。上述したように、皮膚または他の組織に塗抹することによって、体液の無駄が生ずる。
【0031】
図7は、さらに別の実施形態による採取端部64eを示す。図示したように、体液採取フラッグ48の採取端部64eは、丸い先端部80を有する半円形である。丸い先端部80は、体液の横方向拡散量と塗抹量を低減することが判った。丸い先端部80は、別の実施形態においては、たとえば、楕円形、放物線形または長円形である。
【0032】
図8を参照して説明すると、採取端部64fは、体液を体液採取フラッグ48の中央に向かわせる案内部として作用する切欠き82を有する。種々の理由により、体液採取フラッグ48は、しばしば小滴状の体液の中心に配置されないことがある。体液を採取するとき、体液は採取端部64fの縁に沿って横方向に移動するが、一旦切欠き82に到達すると、体液は、それ以上の横移動が阻止されて体液採取フラッグ48の中央へと誘導される。図示した実施形態において、切欠き82は三角形であるが、切欠き82は、別の実施形態においては異なる形状にすることが可能であることは想定されている。その場合の切欠き82は、たとえば、矩形、円形または台形である。また、採取端部64fは、複数の切欠き82を備えていて、切欠き82は、互いに異なる大きさと形状を有することが可能であることは想定されている。
【0033】
図9を参照して説明すると、別の実施形態による採取端部64gは、接触点86を含む直角三角形の形状である傾斜した先端部84を有する。体液を採取するとき、接触点86が小滴状の体液に接触して体液を導入するが、塗抹と横方向拡散は最小限に抑制される。図示したように、傾斜した先端部84は直線であるが、別の形態においては、先端部84は円形であってもよい。
【0034】
図10に示した実施形態における採取端部64hには孔88が形成されており、孔88は、体液採取フラッグ48が体液を横方向に拡散させることを阻止し、これにより、試験片44に移送される体液量が増大する。孔88は、例示すると、円形、三角形または台形のような種々の形状であってよい。
【0035】
図12は、本発明の別の実施形態による刺傷形成式一体型試験片30を示す。装置30は、図1と図2に示した装置30と同様に多数の構成要素を有するが、大きく異なる点については以下に説明する。先の実施形態の場合と同様に、装置30は、皮膚に刺傷による切開部を形成し、切開部からの体液を、体液採取フラッグ48を介して毛細管路の中に導入するように構成されている。
【0036】
別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、疎水性および/または親水性の材料を用いて処理するまたは形成して、上述した体液採取フラッグ48の形状に相当する形状に形成可能であることは想定されている。たとえば、体液の横方向拡散を低減するために、親水性材料を用いた三角形部を体液採取フラッグ48に形成することができる。また、親水性/疎水性部分を特定形状の体液採取フラッグ48に設けることによって、横方向拡散を低減するとともに、体液の流路を確実に確保することができることは想定されている。
【0037】
刺傷形成式一体型試験片30、特にランセット32を如何にして無菌状態に維持するかは、いつも課題となる。ランセット32が汚染されていた場合には、感染やその他の重大な疾病を引き起こす。図12に示したように、刺傷形成式一体型試験片30は、体液採取フラッグ48と協働してランセット32の突起50を覆うことによって、それを無菌状態に維持する防護フィルム132を有する。防護フィルム132は、フィルム132をランセット32に固着させるためのランセット係合面134を有する。ランセット係合面134には、金属に対して小さい粘着力を示す低粘着力剤のような接着剤が塗布されている。接着剤が塗布されたランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置される。ランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置されたとき、体液採取フラッグ48にも接着される。
【0038】
ランセットの突起50の滅菌後には、フィルム132が、ランセット32に貼付されるとともに、体液採取フラッグ48にも接着される。図12に示した一実施形態において、フィルム132は、ランセット32を覆うとともに、体液採取フラッグ48と協働してランセットの突起50を囲繞するシール136を形成する。この形態において、接着剤は、ランセット係合面134の全面に塗布されている。図13に示した別の実施形態において、接着剤はランセット係合面134の一部だけに塗布されているため、体液採取フラッグ48と協働してランセットの突起50を囲繞するシール136を形成するフィルム132をランセット32の上に配置したとき、接着剤がランセットの突起50を覆うことはない。いずれの実施形態においても、フィルム132は、ランセット32を覆うとともに、体液採取フラッグ48と協働してシール136を形成するとともに、ランセットの突起50の周囲に低湿度環境またはポケットを形成する。フィルム132と体液採取フラッグ48は、ランセット32とランセットの突起50が使用前に損傷しないよう協働して防護する。また、フィルム132と体液採取フラッグ48が協働することによって形成されたシール136は、使用者以外の人がランセットの突起50により誤って刺傷を被ることがないように防護する。
【0039】
図示した実施形態の両方において、フィルム132は、接着剤が塗布されていない端部領域138を有する。端部領域138は、ランセット32を露出させるために、使用者がまたは機械装置を用いて、より容易にフィルム132を把持して取り外すことができるようにするための接着剤が塗布されていない部分である。フィルム132は、端部領域138を把持してランセット32から剥離することによって取り外されるが、体液採取フラッグ48は、試験片44に取り付けられたままである。一般に理解されているように、フィルム132が柔軟であり、また、フィルム132に塗布された接着剤が特殊な種類であるために、フィルム132は、ランセット32と体液採取フラッグ48から容易に取り外される。
【0040】
別の実施形態において、刺傷形成式一体型試験片30は一対のフィルム132を有し、フィルム132の各々のランセット係合面134に接着剤を塗布することが可能であることは想定されている。さらに、この実施形態において、フィルム132の一方は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置されている。フィルム132の他方は、そこから突出するよう試験片44の上に配置されていて、ランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50を覆う。双方のランセット係合面134は、互いに接着されて、ランセットの突起50を囲繞するとともに、シール136を形成する。一形態において、体液採取フラッグ48は、一対のフィルム132を有する実施形態には含まれない。しかし、別の実施形態においては、一対の防護フィルム132は、一体型試験片30に取り付けられた状態を維持する一対の体液採取フラッグ48の形態である。使用前に、一対の体液採取フラッグ48は、手動によりまたは自動的に互いに引き剥がされて、ランセットの突起50が露出される。切開部形成後に、体液を試験片44の上に導入するために両方の体液採取フラッグ48が用いされる。
【0041】
以上、図面を参照しつつ、本発明について詳細に説明してきたが、図面と説明は、例示であって、限定することを意図していないものと考慮され、また、選好実施形態についてだけ図示をして説明したが、本発明の精神の範囲内において想起される全ての変更と修正は、保護されるものであると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【図2】図1の試験片の組立分解図である。
【図3】図1の試験片に使用できるひだ付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図4】図1の試験片に使用できる窓付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図5】図1の試験片に使用できる突出部付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図6】図1の試験片に使用できる三角形の体液採取フラッグの平面図である。
【図7】図1の試験片に使用できる半円形の体液採取フラッグの平面図である。
【図8】図1の試験片に使用できる切欠き付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図9】図1の試験片に使用できる偏倚形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図10】図1の試験片に使用できる円形開口付き矩形の体液採取フラッグの平面図である。
【図11】図1の試験片の体液採取時の断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としては刺傷形成式一体型試験片に関し、限定するものではないがより具体的には、流体を試験片により容易に送給できるようにするとともに、試験片を無菌状態に維持可能な形状と構造を有する親水性シートつまりフラッグ部が設けられた刺傷形成式一体型試験片に係わる。
【背景技術】
【0002】
体液採取装置は、血液または間質液のような体液をヒトまたは動物から採取し、採取した体液を糖尿病患者にとっての血中グルコース濃度のような種々の特性を分析するために発展してきた。これらの中の多くの装置は、自分の一日の状態を個々人が監視できるよう、家庭で使用することを前提にして設計されている。従来の方法においては、検査を行う本人つまり個人は、まずランセットを皮膚に刺して切開部を形成する。切開部を通しての感染および/または採取液の汚染を防止するために、ランセットは、使用時まで無菌状態を維持するため滅菌後に包装される。ランセットを包装する一般的な方法は、ランセットの先端に防護用キャップをかぶせることを含み、防護用キャップは、ランセットを無菌状態に保持するとともに、誤ってランセットにより使用者が怪我をするまたは他人に怪我を負わせることを防止する。ランセットを無菌状態に保持するとともに、防護用キャップを容易に取り外すことができるようにすることは、とりわけ検査を患者自身が行わなければならない状況にある場合には無理なことである。検査を行う本人は、通常は老齢であるか、さもなければ患っているために、手の機能が低下しており、キャップを取り外すことが困難である。解決策の一つは、キャップとランセットの連結部を弱くすることであるが、そのようにした場合、今度は防護用キャップが輸送中に脱落する可能性が高くなる。キャップを自動的に取り外すための複雑な装置が開発されてもいるが、キャップは、実際には嵩張るものであり、取り外したキャップの自動装置内での保管と処分の方法が問題になる。自動装置の場合にも、キャップの取り外しを確実に行えるようにするためには困難が伴う。また、キャップは嵩張るために、ランセットのテープまたはカセットにキャップを取り付けた場合、ランセットの包装密度が低下する。
【0003】
皮膚に刺傷を形成後、個人は、試験片または毛細管を小滴状の体液の内部に通常は手作業で配置しなければならないが、上述のように、この作業は、老齢者のような多くの個人にとっては困難である。特に家庭で使用する試験装置の場合、試験片の上に充分な量の体液を配置できるか否かが、いつも問題になる。体液量が不十分な場合、個人は、試験を繰返し行うことにより多数の試験片を無駄にすることによって、ストレスを感じるようになる。たとえば試験片を確実に保持しておくことができない場合、信頼できる試験結果が得られるほどの量の体液を試験片に採取することができない。また、使用者が試験片または採取装置を皮膚に余りにも強く押圧した場合には、切開部が閉じることによって体液の供給が中断される。灯心構造が、体液を試験片上にまたは毛細管の中に容易に導入するために開発された。しかし、灯心構造には、多くの重大な欠点があることが判明した。たとえば、灯心構造は、体液が試験片の試験領域に移送される前に灯心構造自体によって相当量の体液が吸収されるために、体液の無駄が生ずる。また、一般的な灯心構造は、血液または他の体液を皮膚上に塗抹する形状を有しているために、体液が無駄になる。
【0004】
体液の採取後、試料は、種々の特性を明らかにするために、光学的および/または電気化学的並びに他の方法によって分析される。刺傷形成式一体型試験片は、近年になって開発された技術であり、ランセットは試験片または別の種類の試験メディアに取り付けられていて、単一の一体化されたユニットによって体液の採取と分析の両方が実施できるようになっている。一般に、ランセットは、手術用ステンレス・スチールのような金属で形成されている。電気化学的試験片を用いる最新の体液採取装置は、ランセットと電気化学的試験片が別体であって比較的大きく離間して配置されているために、金属製のランセットが、電気化学的試験片による検出結果に大きい影響を与えないようになっている。しかし、最近開発された刺傷形成式一体型試験片の場合には、ランセットと試験片の電極との間隔が小さいために、試験片による検出結果に影響を与える大きい電気的干渉が生じていることが判明した。この電気的干渉は、業界がカセット、カートリッジおよび他の収容ユニットに格納できるよう刺傷形成式一体型試験片を小型化するにしたがって顕著になってきた。
【0005】
上述の通り、この分野にはさらなる改良を行う必要性が残されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取する装置に関する。装置は、ランセット、試験片、および試験片より突出していて、体液を試験片に誘導する体液採取フラッグを有する。体液採取フラッグは、可撓性を有していて刺傷形成時に屈曲し、また、体液の横方向拡散を最小限に抑えるための構造を有する。
【0007】
別の態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取する一体型体液採取装置に関する。装置は、突起が設けられたランセット、ランセットに連結された試験片、体液採取フラッグおよび防護フィルムを有する。体液採取フラッグは、試験片より突出していて、体液を試験片の上へと誘導する。また、防護フィルムは体液採取フラッグに取外し可能に接着されており、ランセットの突起を体液採取フラッグと防護フィルムのあいだに挟むことによって少なくともランセットの突起を防護する。
【0008】
別の態様は、皮膚の切開部から体液の試料を採取して検査する一体型体液採取装置に関する。装置は、突起が設けられたランセット、ランセットに連結された試験片、絶縁層および体液採取フラッグを有する。試験片は電極を有する。また、絶縁層は、ランセットの一部を覆うことによって、ランセットと電極間の電気的干渉を防止する。体液採取フラッグは、体液を試験片の上に誘導するように構成されている。
【0009】
さらに別の態様は、体液を導入する方法に関する。この方法は、採取装置に体液採取フラッグを設けることを含む。体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑える構造に形成されている。この方法は、また、小滴状の体液を体液採取フラッグと接触させ、そして体液採取フラッグを利用して体液を体液採取フラッグの長さ方向に導入することを含む。
【0010】
別の態様は、切開部を形成するための突起を有するランセットと、切開部から採取された体液を分析するための検査手段を採取装置に設ける方法に関する。この方法は、また、ランセットの突起の無菌状態を維持するために、少なくともランセットの突起を防護フィルムと体液採取フラッグのあいだに挟むことを含む。体液採取フラッグは、体液を検査手段に誘導するように構成されている。
【0011】
本発明のさらに別の形状、目的、特徴、態様、便益、利点および実施形態は、ここに記載された詳細な説明と添付図面を参照することによって明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理をより良く理解してもらうために、図示した実施形態について説明するが、説明には具体的な表現を用いる。しかし、この説明によって、本発明の範囲を限定しようという意図はないと一般に理解される。説明した実施形態の変更と修正並びにここに説明した本発明の原理のさらなる適用形態は、全て本発明の関連分野の当業者には通常想起できるものであると考察する。詳細な説明は、本発明の一実施形態について行われているが、当業者には、理解を容易にするために、本発明に直接関係しないいくつかの特徴についての説明は省略されていることが明白に理解できるであろう。
【0013】
本発明は、全体としては皮膚のような組織の切開部から採取する必要がある体液の量を低減する刺傷形成式一体型試験片に関する。この装置は、皮膚に切開部を形成するためのランセット、ランセットに連結された試験片または他の検査装置、および試験片より突出している柔軟な体液採取シートつまりフラッグを有する。ランセットによる切開部の形成後、体液採取シートは、分析用体液を切開部から試験片の中へと導入するために用いられる。体液採取シートは、皮膚に接触したとき切開部を閉じることがないよう可撓性を有する材料を用いて形成されており、また、体液採取シートの先端部は、体液の横方向拡散量と塗抹量を低減させることによって、試験片の検査領域に直接移送される体液量が増大する構造を有する。一形態において、刺傷形成式一体型試験片は、金属製ランセットと、体液分析用の試薬が塗布された電極を有する。ランセットの一部は、ランセットと試験片の電極間の電気的干渉を防止する薄い矩形フィルムによって覆われているまたはコーティングされている。一実施形態において、ランセットを無菌状態に保持するために、剥離可能な防護フィルムが、ランセットの少なくとも突起を覆っている。剥離可能な防護フィルムは、接着剤を用いて体液採取シートに接着されていて、あいだにはランセットの突起が挟まれている。
【0014】
本発明の種々の実施形態の中から選ばれた特徴について、図示した刺傷形成式一体型試験片を参照しつつ説明するが、それらの特徴は、異なる種類の形態にも採用可能であると一般に理解される。刺傷形成式一体型試験片は、非限定の例として、試験片の他の部分に対して固定されたランセットを有するように図示されているが、ランセットまたは試験片の他の部分は、試験片の他の部分に対して移動可能であると一般に理解される。さらに、多数の刺傷形成式一体型試験片をカートリッジおよび/またはカセットに格納するまたはカートリッジおよび/またはカセットに配置して互いに連結することが可能であることは想定されている。刺傷形成式一体型試験片の異なる形態の例については、その全記載内容を本明細書の記載として援用するが、Roe他が共有する米国特許申請第10/767522号、2002年12月27日出願の米国特許申請第10/330724号(現、2004年7月1日公開の米国公開特許第2004/0127818A1号)、および2002年12月3日出願の米国特許申請第10/308463号(現、2004年6月3日公開の米国公開特許第2004/0106941A1号)を参照されたい。
【0015】
図1と図2を参照しつつ、本発明の一実施形態による刺傷形成式一体型試験片または使い捨てユニット30について説明する。図1と図2に示したように、ユニット30は、組織に切開部を形成するための刺傷形成部材つまりランセット32と、ランセット32とユニット30のその他の部分のあいだを電気的に絶縁するためにランセット32の少なくとも一部を覆う絶縁層34を有する。通気部材36がランセット32から離間して配置されており、ランセット32と通気部材36は、第一の接着剤層または粘着テープ38によってスペーサ40に固着される。スペーサ40は、第二の接着剤層42によって体液の試料を分析するときに用いられる電極45が設けられた試験片44に固着される。試験片44の反対側に位置する第三の接着剤層46によって、体液採取シートつまりフラッグ48が試験片44に固着される。体液採取シートは、体液の試料をユニット30の内部に導入するために用いられる。ユニット30は、手動によりまたは自動的に組織に切開部を形成して、切開部から採取された体液を分析することが可能であると理解されているものとする。説明を明瞭簡潔にするために、ユニット30に付随して用いられるランセット・ドライバのような業界内において周知の他の要素については、本発明を理解する上で重要ではないために、以下、詳細な説明は行わない。
【0016】
図示した実施形態において、ランセット32は、ほぼ平坦な形状を有する。一般に理解されているように、ランセット32は、種々の物理的形状を採ることができる。たとえば、ランセット32は円形であってもよい。図示した実施形態において、ランセット32は、金属製であるが、プラスチック、セラミック、または金属とプラスチックの複合材のような他の材料を用いて形成可能であることは想定されている。
【0017】
図2に示したように、ランセット32は、ランセット32の一方の端部である制御端52から突出した突起または刃50を有する。突起50はほぼ三角形の形状であるように示されているが、ランセットの突起50は、種々の物理的形状を採ることができる、と一般に理解される。突起50は、皮膚または他の種類の組織に切開部を形成するように構成されており、制御端52は、皮膚に対する突起50の進入深さを制限するために用いられる。
【0018】
上述の通り、図1と図2に示したような刺傷形成式一体型試験片の開発中に、とりわけ金属のような導電体を用いて形成されたランセット32は、電気化学的な試験片44に近接して配置されているために、その動作に障害を与えることが発見された。ランセット32がプラスチックのような絶縁体を用いて形成されている場合にも、静電荷がランセット32に発生して、しばしば電極の動作が干渉を受ける。体液を分析するための電気化学的技術は、一般に体液の電荷転送特性つまり電荷移動特性(たとえば、電流、界面電圧、インピーダンス、コンダクタンスなど)と分析物の濃度のあいだの相関関係を利用しており、このために一般に試薬が用いられており、試薬は、分析物と結合したとき電荷キャリヤを生成するまたは変成することにより試験片の電極によって測定可能な反応を発生させる。一般に、試験装置は、検査対象の体液と試験装置に供給された試薬のあいだの反応を利用する。ランセット32が生じさせる電気的干渉は、電極のインピーダンスを変化させることによって試験片44の検査結果に影響を与えることが理論的に判っている。図示した実施形態において、ランセット32が生じさせる不都合な電気的干渉から試験片44を防護するために、絶縁層34が、ランセット32の少なくとも一部を覆うために用いられている。図示した実施形態の絶縁層34は、ランセット32の形状にほぼ合致するように形成されているが、絶縁層34は、異なる形状に形成することも可能であると一般に理解される。絶縁層34は、ランセット32と試験片44のあいだの別の位置に配置することによっても、ランセット32が生じさせる不都合な電気的干渉から試験片44を防護可能であることは想定されている。絶縁層34は、ランセット32と試験片44の電極45のあいだの電気的干渉を防止する、たとえば、酸化アルミニウム、パラフィン、あるいは他のポリマーまたは材料のような、種々の材料を用いて形成することができる。刺傷形成式一体型試験片30において、絶縁層34、ランセット32および試験片44は、上述した副作用を発生させることなく、従来以上に近接して配置することが可能であり、これにより、電気化学応用の試験片を備えた刺傷形成式一体型試験片30をさらに小型化することができる。
【0019】
さらに一般に理解されているように、絶縁層34とユニット30の他の構成要素は、多数の積層ユニット30を連続して組み立てることができるよう層状に形成されている。絶縁層34のような、これら構成要素の連続した薄片体つまり層は、横並びの形態に配置された積層ユニット30の連続した薄片体を形成することができるよう、連続した形状で重ね合わされる(または射出成形される)。組み立てられた薄片体から、個々のユニット30が切り出される、またはユニット30の組立薄片体は、その形状のままでカセットおよび/またはカートリッジに装填される。
【0020】
図示した実施形態においては、積層ユニット30の構成要素を互いに固着するために種々の接着剤層38,42,46が用いられている。しかし、これらの構成要素を別の方法によって互いに結合することも可能であると理解されている。積層ユニット30の構成要素は、非限定の例を挙げると、接着テープを用いて、あるいは、溶着または機械的固着によって互いに結合させることができる。
【0021】
図1と図2を参照して説明すると、スペーサ40が、体液を収集するための毛細管路つまり溝54を画成する。スペーサ40は、例示すると、プラスチック、セラミックおよび/または一片の接着テープのような、種々の材料を用いて形成することができる。毛細管路54は、ランセットの突起50に近い方の端部に体液を取り込む開口56を有する。毛細管路54の他端は、終端部58によって閉じられる。別の実施形態において、終端部58は、空気または他のガスを溝54から通気つまり排気するための開口を有するように形成されている。図示したように、毛細管路54は、終端部58と、通気部材36とランセット32に沿って終端部58から突出した一対の腕部60によって画成される。スペーサ40と毛細管路54は、ランセット32と通気部材36、および試験片44のあいだに挟まれている。毛細管路54は、体液を毛管現象によって装置30の内部に吸引できる寸法にされている。通気部材36は、スペーサ40の一部を覆うために用いられるが、空気または他のガスを毛細管路54から排気する通気口62を形成するためにランセット32から離間して配置されている。通気部材36は、例示すると、プラスチック、セラミックおよび/または金属のような、種々の材料を用いて形成される。
【0022】
試験片44は、毛細管路54に導入された体液を試験片44に送給できるよう毛細管路54に沿って配置されている。図2に示したように、試験片44は、電極45と試薬を用いて、体液を電気化学的手段により分析することができる。この実施形態において、試験片44は、ポジティブ、ネガティブおよび基準の電極45を有する電気化学的試験片である。試験片44は、別の方法によっても体液を分析できると一般に理解される。試験片44は、例示すると、光学的手段(たとえば、反射率、吸光率、蛍光発光、ラマン効果など)および/または磁気的手段を用いて体液を分析することができる。
【0023】
上述したように、体液採取フラッグ48は、開口56を介して体液の試料を毛細管路54に導入するために用いられる。図1と図2を参照して説明すると、体液採取フラッグ48は、小滴状の体液に接触して、体液をユニット30の内部に誘導する採取端部64を有する。一実施例において、表面活性剤または親水性ポリマーのような親水性材料を用いて、採取フラッグ48を形成するまたはコーティングすることによって体液の流れが促進されるようになっている。体液採取フラッグ48は、ポリアミド被覆、酸化(たとえば、コロナ/プラズマ加工)、プラズマCVD、金属、金属酸化物または非金属酸化物の真空蒸着、または水によって酸化される元素を堆積させる手法を用いて処理することが可能である。しかし、体液採取フラッグは、異なる方法を用いて親水性を備えるように加工することが可能であると一般に理解される。図示したように、体液採取フラッグ48は、柔軟なシート状であることが好ましい。体液採取フラッグ48は、柔軟であるために、図11に示したように刺傷形成時に変形つまり屈曲して、切開部に近接した皮膚または体液の小滴に接触することができる。親水性フィルムは、柔軟であるために皮膚に接触したとき皮膚を大きく変形させることがなく、そのために、皮膚の切開部は、体液の試料を採取中は開いたままになっている。逆に、体液採取フラッグ48が硬い場合には、皮膚の変形により切開部が閉じられるために、体液の供給が中断される。さらに、体液採取フラッグ48は、屈曲可能であるために、ユニット30を皮膚に対して傾斜させた状態で体液を採取することを可能にし、また、ランセット32も、傾斜させた状態で皮膚に切開部を形成することができる。傾斜させて切開部を形成した場合、特定深さの刺傷によって切断される毛細血管の数が増大するために、体液量も増加する。一般に理解されているように、切開後に毛細管を切開部の位置に合わせるための苦労が低減される。これにより、体液の試料採取が容易になり、また、試料の無駄または採取が遅延する可能性が低減される。図示した実施形態において、体液採取フラッグ48は、使用者が試料採取中に切開部と体液の小滴を見ることができるよう透明である。しかし、別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、不透明および/または半透明である。
【0024】
図11を参照して説明すると、装置30の構成要素を組み立てたとき、開口56の位置に採取端部が形成され、この採取端部の位置からランセット32の突起50と体液採取フラッグ48の採取端部64が突出する。図示したように、体液採取フラッグ48の採取端部64とランセットの突起50は、互いにほぼ平行して突出する。一般に理解されているように、柔軟であることが好ましい体液採取フラッグ48は、装置30の向きに依って、ランセットの突起50に近づく向きまたは離れる向きに屈曲することができる。図11に示すように、切開部I形成後に毛管現象によって体液Fを導入するため、体液採取フラッグ48とランセットの突起50のあいだに間隙66が形成される。図示した実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、ランセットの突起50より大きく突出することによって、ランセットの突起50が切開部Iから抜き出された後にも皮膚Sとの接触を維持することができる。別の実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、ランセットの突起50の位置まで突出しているまたはランセットの突起50より短い。
【0025】
図11を続けて参照して説明すると、体液採取フラッグ48は、ランセットの突起50が切開部形成のために皮膚Sに向けて押進されたとき、皮膚Sに接触して屈曲する。ランセットの突起50が皮膚Sに切開部Iを形成した後切開部Iから後退させられるために、体液の試料Fが、切開部Iから流出を開始する。ランセットは、使用者が自分でまたはランセット32に連結された後退機構を用いて後退させることができる。切開部を一旦形成した後には、体液の試料Fを採取するために装置30を改めて配置するまたは位置決めを行う必要はない。図示したように、採取端部64は、体液採取中は皮膚Sに接触している。柔軟性を有することが好ましい体液採取フラッグ48は、皮膚Sを強く押圧することはなく、そのために、切開部Iから得られる体液の試料Fの量に制限が加えられることはない。別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、体液の試料Fの採取中に皮膚Sに接触しないよう、皮膚Sから離間して配置される。この実施形態においては、体液採取フラッグ48は、体液の試料Fを毛管現象によって開口56に導入することができるよう皮膚Sに近接して配置される。上述したように、体液採取フラッグ48は、体液が体液採取フラッグ48に沿って開口56の中へと容易に流れるようにするために、随意親水性材料によってコーティングするまたは形成することもできる。間隙66にある体液の試料Fは、毛管現象によって毛管サイズの溝54へと誘導されて、試験片44の上に蔵置される。流体の試料Fは、次に試験片44で分析され、所望の特性が判定される。
【0026】
叙上のとおり、刺傷形成式一体型試験片30は、体液の試料の量を最小にするように形成されている。検査に必要な体液量を小さくすることによって、ランセット32による刺傷の深さも浅くすることが可能になり、使用者にとっての痛みが大きく低減される。また、試料の量が小さくて済む場合には、体液を前腕のような血管が少ない部位から採取することができる。一般の採取装置を用いて採取する場合、切開部から得られた体液の全量が試験片の試験領域に達するわけではないために、体液の無駄が生ずる。体液は、しばしば皮膚に塗抹されるまたは体液の一部が採取装置の、たとえば毛細管に残留する。図3から図10に示すとともに以下に説明する実施形態において、体液採取フラッグ48の採取端部64は、体液の無駄を最小にする形状を有する。体液採取フラッグ48の採取端部64が矩形の場合、体液は、毛細管路54に導入される前に小滴に対向したフラッグ48の端部に沿って横方向に拡散することが発見された。横方向拡散が生ずる状況の場合、導入すべき体液が体液採取フラッグ48の前面に沿って一般には拡散するために、体液が毛細管路54に導入された後にも、その一部は体液採取フラッグ48の面に塗布されて残留する。以下に説明する実施形態において、体液採取フラッグ48は種々の形状を有するが、それらは、体液の横方向拡散と体液の皮膚への塗抹を最低限に抑制する。一般に理解されているように、図3から図10に示した、種々の形状を有する体液採取フラッグ48は、図1の刺傷形成式一体型試験片30に用いることができるように形成されている。
【0027】
図3に示した実施形態において、採取端部64aは、採取を行うとき体液採取フラッグ48を補強するとともに体液の横方向拡散を最小限に抑えるように作用する、一連の山または谷66が形成されたひだを有する。体液採取フラッグ48は、一般には、刺傷形成時にしばしば塑性曲りまたは変形を生じがちな薄い材料を用いて形成される。塑性曲りを生じた場合、体液採取フラッグ48は、小滴状の体液に接触不可能になる。山66は、体液採取フラッグ48を、刺傷形成時には屈曲可能にするとともに、刺傷形成後には付与された剛性によって元の位置に弾性的に復帰できるようにする。図示したように、採取端部64aの先端部68は、ジグザグ形に傾斜している。ジグザグ形の先端部68は、体液の横方向拡散を最小限に抑制することによって、より多くの体液を毛細管路に導入させ、よって、体液採取フラッグ48に付着して無駄になる体液量を低減する。
【0028】
別の実施形態によると、図4に示した採取端部64aは、先端部72から入れられた一連の切込70によって形成された一列の突片73を有する窓付きの形状である。先端部72から入れられた切込70は、先端部72に沿う横の経路を寸断することによって、先端部72に沿った体液の横方向拡散を最小限に抑制する。突片73は矩形に図示されているが、別の実施形態において、切込70は、例示すると、円形、楕円形および/または台形の突片を形成するように入れられていてもよい。図示したように、突片73は、隣接した突片73と同一の長さを有して、互いに平行に配置されている。別の実施形態において、特定の突片73が異なる長さを有し、また、特定の突片73を採取端部64b内で互いに異なる角度を有するように配置させることが可能であることは想定されている。
【0029】
図5を参照して説明すると、採取端部64cは、その一部分から突出した、小滴接触端76を備えた突出部74を有する。図示した実施形態において、突出部74は矩形であるが、突出部74は別の実施形態においては異なる形状であってもよいと一般に理解される。その場合の突出部74は、例示すると、円形、台形または三角形である。突出部74は、体液の横方向拡散を最小限に抑制することによって、毛細管路54に移送される体液量を間違いなく最大にすることができる。体液を採取する時、体液が突出部74だけによって誘導されるよう、突出部74が小滴の体液に最初に接触する。
【0030】
図6を参照して説明すると、採取端部64dは、二等辺三角形の先端部78を有する。先端部78は、別の実施形態においては異なる角度を有していてもよい。その場合の先端部78は、例示すると、直角三角形または不等辺三角形である。採取端部64dを三角形にした場合、体液採取フラッグ48と小滴状の体液が点接触をすることになり、先端部78に沿った体液の横方向拡散が低減される。さらに、体液採取フラッグ48と小滴状の体液が点接触をすることによって、塗抹される体液量も低減されることが判った。上述したように、皮膚または他の組織に塗抹することによって、体液の無駄が生ずる。
【0031】
図7は、さらに別の実施形態による採取端部64eを示す。図示したように、体液採取フラッグ48の採取端部64eは、丸い先端部80を有する半円形である。丸い先端部80は、体液の横方向拡散量と塗抹量を低減することが判った。丸い先端部80は、別の実施形態においては、たとえば、楕円形、放物線形または長円形である。
【0032】
図8を参照して説明すると、採取端部64fは、体液を体液採取フラッグ48の中央に向かわせる案内部として作用する切欠き82を有する。種々の理由により、体液採取フラッグ48は、しばしば小滴状の体液の中心に配置されないことがある。体液を採取するとき、体液は採取端部64fの縁に沿って横方向に移動するが、一旦切欠き82に到達すると、体液は、それ以上の横移動が阻止されて体液採取フラッグ48の中央へと誘導される。図示した実施形態において、切欠き82は三角形であるが、切欠き82は、別の実施形態においては異なる形状にすることが可能であることは想定されている。その場合の切欠き82は、たとえば、矩形、円形または台形である。また、採取端部64fは、複数の切欠き82を備えていて、切欠き82は、互いに異なる大きさと形状を有することが可能であることは想定されている。
【0033】
図9を参照して説明すると、別の実施形態による採取端部64gは、接触点86を含む直角三角形の形状である傾斜した先端部84を有する。体液を採取するとき、接触点86が小滴状の体液に接触して体液を導入するが、塗抹と横方向拡散は最小限に抑制される。図示したように、傾斜した先端部84は直線であるが、別の形態においては、先端部84は円形であってもよい。
【0034】
図10に示した実施形態における採取端部64hには孔88が形成されており、孔88は、体液採取フラッグ48が体液を横方向に拡散させることを阻止し、これにより、試験片44に移送される体液量が増大する。孔88は、例示すると、円形、三角形または台形のような種々の形状であってよい。
【0035】
図12は、本発明の別の実施形態による刺傷形成式一体型試験片30を示す。装置30は、図1と図2に示した装置30と同様に多数の構成要素を有するが、大きく異なる点については以下に説明する。先の実施形態の場合と同様に、装置30は、皮膚に刺傷による切開部を形成し、切開部からの体液を、体液採取フラッグ48を介して毛細管路の中に導入するように構成されている。
【0036】
別の実施形態において、体液採取フラッグ48は、疎水性および/または親水性の材料を用いて処理するまたは形成して、上述した体液採取フラッグ48の形状に相当する形状に形成可能であることは想定されている。たとえば、体液の横方向拡散を低減するために、親水性材料を用いた三角形部を体液採取フラッグ48に形成することができる。また、親水性/疎水性部分を特定形状の体液採取フラッグ48に設けることによって、横方向拡散を低減するとともに、体液の流路を確実に確保することができることは想定されている。
【0037】
刺傷形成式一体型試験片30、特にランセット32を如何にして無菌状態に維持するかは、いつも課題となる。ランセット32が汚染されていた場合には、感染やその他の重大な疾病を引き起こす。図12に示したように、刺傷形成式一体型試験片30は、体液採取フラッグ48と協働してランセット32の突起50を覆うことによって、それを無菌状態に維持する防護フィルム132を有する。防護フィルム132は、フィルム132をランセット32に固着させるためのランセット係合面134を有する。ランセット係合面134には、金属に対して小さい粘着力を示す低粘着力剤のような接着剤が塗布されている。接着剤が塗布されたランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置される。ランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置されたとき、体液採取フラッグ48にも接着される。
【0038】
ランセットの突起50の滅菌後には、フィルム132が、ランセット32に貼付されるとともに、体液採取フラッグ48にも接着される。図12に示した一実施形態において、フィルム132は、ランセット32を覆うとともに、体液採取フラッグ48と協働してランセットの突起50を囲繞するシール136を形成する。この形態において、接着剤は、ランセット係合面134の全面に塗布されている。図13に示した別の実施形態において、接着剤はランセット係合面134の一部だけに塗布されているため、体液採取フラッグ48と協働してランセットの突起50を囲繞するシール136を形成するフィルム132をランセット32の上に配置したとき、接着剤がランセットの突起50を覆うことはない。いずれの実施形態においても、フィルム132は、ランセット32を覆うとともに、体液採取フラッグ48と協働してシール136を形成するとともに、ランセットの突起50の周囲に低湿度環境またはポケットを形成する。フィルム132と体液採取フラッグ48は、ランセット32とランセットの突起50が使用前に損傷しないよう協働して防護する。また、フィルム132と体液採取フラッグ48が協働することによって形成されたシール136は、使用者以外の人がランセットの突起50により誤って刺傷を被ることがないように防護する。
【0039】
図示した実施形態の両方において、フィルム132は、接着剤が塗布されていない端部領域138を有する。端部領域138は、ランセット32を露出させるために、使用者がまたは機械装置を用いて、より容易にフィルム132を把持して取り外すことができるようにするための接着剤が塗布されていない部分である。フィルム132は、端部領域138を把持してランセット32から剥離することによって取り外されるが、体液採取フラッグ48は、試験片44に取り付けられたままである。一般に理解されているように、フィルム132が柔軟であり、また、フィルム132に塗布された接着剤が特殊な種類であるために、フィルム132は、ランセット32と体液採取フラッグ48から容易に取り外される。
【0040】
別の実施形態において、刺傷形成式一体型試験片30は一対のフィルム132を有し、フィルム132の各々のランセット係合面134に接着剤を塗布することが可能であることは想定されている。さらに、この実施形態において、フィルム132の一方は、ランセット32とランセットの突起50の上に配置されている。フィルム132の他方は、そこから突出するよう試験片44の上に配置されていて、ランセット係合面134は、ランセット32とランセットの突起50を覆う。双方のランセット係合面134は、互いに接着されて、ランセットの突起50を囲繞するとともに、シール136を形成する。一形態において、体液採取フラッグ48は、一対のフィルム132を有する実施形態には含まれない。しかし、別の実施形態においては、一対の防護フィルム132は、一体型試験片30に取り付けられた状態を維持する一対の体液採取フラッグ48の形態である。使用前に、一対の体液採取フラッグ48は、手動によりまたは自動的に互いに引き剥がされて、ランセットの突起50が露出される。切開部形成後に、体液を試験片44の上に導入するために両方の体液採取フラッグ48が用いされる。
【0041】
以上、図面を参照しつつ、本発明について詳細に説明してきたが、図面と説明は、例示であって、限定することを意図していないものと考慮され、また、選好実施形態についてだけ図示をして説明したが、本発明の精神の範囲内において想起される全ての変更と修正は、保護されるものであると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【図2】図1の試験片の組立分解図である。
【図3】図1の試験片に使用できるひだ付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図4】図1の試験片に使用できる窓付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図5】図1の試験片に使用できる突出部付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図6】図1の試験片に使用できる三角形の体液採取フラッグの平面図である。
【図7】図1の試験片に使用できる半円形の体液採取フラッグの平面図である。
【図8】図1の試験片に使用できる切欠き付き形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図9】図1の試験片に使用できる偏倚形状の体液採取フラッグの平面図である。
【図10】図1の試験片に使用できる円形開口付き矩形の体液採取フラッグの平面図である。
【図11】図1の試験片の体液採取時の断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態による一体型試験片の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に切開部を形成するランセットと、
前記切開部からの体液を分析するために前記ランセットに連結された試験片と、
前記試験片に体液を導入するために前記試験片より突出している体液採取フラッグと、を有し、
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する組織の切開部から体液を採取する装置。
【請求項2】
前記体液採取フラッグは、親水性材料によってコーティングされている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記体液採取フラッグは、前記切開部を見ることができるよう透明である請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記構造は、ひだ付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記構造は、窓付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記構造は、突出部付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記構造は、三角形である請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記構造は、半円形である請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記構造は、切欠き付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記構造は、傾斜した形状である請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記構造は、先端部に近接した孔を有する矩形である請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記ランセットは、ランセットの突起を含み、
また、前記採取端部は、前記ランセットの突起の方向に突出している請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記試験片は、前記ランセットに連結されている請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記体液採取フラッグは、可撓性を有していて、体液採取時に屈曲する請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記試験片は電極を有し、
絶縁層が、前記ランセットの一部を覆っており、
前記絶縁層は、前記ランセットと前記電極のあいだの電気的干渉を防止する請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記絶縁層は、パラフィンを含む請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記絶縁層は、ポリマーを含む請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記ランセットに取外し可能に取り付けられた防護フィルムをさらに有する請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記防護フィルムは、前記ランセットを覆うための、接着剤が塗布されたランセット係合面を含む請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記ランセット係合面は、接着剤が塗布されていない端部領域を含む請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記ランセットは、ランセットの突起を含み、
前記防護フィルムは、少なくとも前記ランセットの突起を防護するために、前記体液採取フラッグに取外し可能に取り付けられ、
さらに、前記ランセットの突起は、前記体液採取フラッグと前記防護フィルムのあいだに挟まれている請求項19記載の装置。
【請求項23】
前記防護フィルムと前記体液採取フラッグは、前記ランセットの突起を囲繞するシールを形成する請求項22記載の装置。
【請求項24】
皮膚に切開部を形成するためのランセットの突起を含むランセットと、
前記切開部からの体液を分析するために、前記ランセットに連結された試験片と、
前記試験片より突出していて、体液を前記試験片の上に導入するための体液採取フラッグと、
少なくとも前記ランセットの突起を防護するために、前記体液採取フラッグに取外し可能に取り付けられた防護フィルムと、を有し、
前記ランセットの突起は、前記体液採取フラッグと前記防護フィルムのあいだに挟まれている皮膚の切開部から体液を採取する一体型体液採取装置。
【請求項25】
前記体液採取フラッグは、親水性材料によってコーティングされている請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記防護フィルムは、前記ランセットを覆うための、接着剤が塗布されたランセット係合面を含む請求項24記載の装置。
【請求項27】
前記防護フィルムと前記体液採取フラッグは、前記ランセットの突起を囲繞するシールを形成する請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する請求項24記載の装置。
【請求項29】
前記構造は、ひだ付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項30】
前記構造は、窓付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項31】
前記構造は、突出部付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項32】
前記構造は、三角形である請求項28記載の装置。
【請求項33】
前記構造は、半円形である請求項28記載の装置。
【請求項34】
前記構造は、切欠き付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項35】
前記構造は、傾斜した形状である請求項28記載の装置。
【請求項36】
前記構造は、先端部に近接した孔を有する矩形である請求項28記載の装置。
【請求項37】
皮膚に切開部を形成するためのランセットの突起を含むランセットと、
体液の試料を検査するための電極を有し、前記ランセットに連結されている試験片と、
前記ランセットの一部を覆って、前記ランセットと前記電極のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層と、
前記試験片より突出していて、体液を前記試験片の上に導入するための体液採取フラッグと、を有する皮膚の切開部から体液を採取して検査する一体型体液採取装置。
【請求項38】
前記絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記絶縁層は、パラフィンを含む請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記絶縁層は、ポリマーを含む請求項37記載の装置。
【請求項41】
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する請求項37記載の装置。
【請求項42】
前記ランセットに取外し可能に取り付けられた防護フィルムをさらに有する請求項37記載の装置。
【請求項43】
組織に切開部を形成するための手段と、
前記切開部からの体液を分析するための手段と、
前記体液を分析するための手段に体液を導入するための体液採取シートと、を有し、
前記体液採取シートは、前記体液採取シートに沿った体液の横方向拡散を最小限に抑制する手段を含む体液採取装置。
【請求項44】
前記体液採取シートに沿った前記体液の横方向拡散を最小限に抑制する手段は、三角形の採取端部を含む請求項43記載の装置。
【請求項45】
体液採取フラッグを有するとともに、体液の横方向拡散を最小限に抑制するように構成された採取装置を準備する段階と、
前記体液採取フラッグを一滴の体液に接触させる段階と、
前記体液採取フラッグを利用して体液を前記体液採取フラッグの長さ方向に導入する段階と、を含む体液を導入する方法。
【請求項46】
前記採取装置のランセットを用いて皮膚に切開部を形成する段階をさらに含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
体液を前記採取装置の試験片の上に採取する段階をさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記ランセットの一部を、前記ランセットと前記試験片のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層によって覆う段階をさらに含む請求項47記載の方法。
【請求項49】
ランセットの突起を無菌状態に維持するために、前記ランセットの少なくとも前記ランセットの突起を防護フィルムと前記体液採取フラッグのあいだに挟む段階と、
前記採取装置を使用する時に前記防護フィルムを取り外す段階と、をさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記防護フィルムのランセット係合面に接着剤を塗布する段階と、
前記ランセット係合面を前記体液採取フラッグに接着する段階と、をさらに含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
切開部を形成するように構成されたランセットの突起が設けられたランセットと、前記切開部からの体液を分析するように構成された検査手段と、を有する採取装置を準備する段階と、
前記ランセットの突起を無菌状態に維持するために、前記ランセットの少なくとも前記ランセットの突起を防護フィルムと前記体液採取フラッグのあいだに挟む段階と、をさらに含み、
前記体液採取フラッグは、体液を前記検査手段に導入するように構成されている方法。
【請求項52】
前記防護フィルムのランセット係合面に接着剤を塗布する段階と、
前記ランセット係合面を前記体液採取フラッグに付着させる段階と、をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記採取装置を使用する時に前記防護フィルムを前記体液採取フラッグから取り外す段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記ランセットの一部を、前記ランセットと前記検査手段に設けられた電極のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層によって覆う段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記体液採取フラッグを親水性材料によってコーティングする段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項1】
組織に切開部を形成するランセットと、
前記切開部からの体液を分析するために前記ランセットに連結された試験片と、
前記試験片に体液を導入するために前記試験片より突出している体液採取フラッグと、を有し、
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する組織の切開部から体液を採取する装置。
【請求項2】
前記体液採取フラッグは、親水性材料によってコーティングされている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記体液採取フラッグは、前記切開部を見ることができるよう透明である請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記構造は、ひだ付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記構造は、窓付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記構造は、突出部付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記構造は、三角形である請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記構造は、半円形である請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記構造は、切欠き付きの形状である請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記構造は、傾斜した形状である請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記構造は、先端部に近接した孔を有する矩形である請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記ランセットは、ランセットの突起を含み、
また、前記採取端部は、前記ランセットの突起の方向に突出している請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記試験片は、前記ランセットに連結されている請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記体液採取フラッグは、可撓性を有していて、体液採取時に屈曲する請求項1記載の装置。
【請求項15】
前記試験片は電極を有し、
絶縁層が、前記ランセットの一部を覆っており、
前記絶縁層は、前記ランセットと前記電極のあいだの電気的干渉を防止する請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記絶縁層は、パラフィンを含む請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記絶縁層は、ポリマーを含む請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記ランセットに取外し可能に取り付けられた防護フィルムをさらに有する請求項1記載の装置。
【請求項20】
前記防護フィルムは、前記ランセットを覆うための、接着剤が塗布されたランセット係合面を含む請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記ランセット係合面は、接着剤が塗布されていない端部領域を含む請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記ランセットは、ランセットの突起を含み、
前記防護フィルムは、少なくとも前記ランセットの突起を防護するために、前記体液採取フラッグに取外し可能に取り付けられ、
さらに、前記ランセットの突起は、前記体液採取フラッグと前記防護フィルムのあいだに挟まれている請求項19記載の装置。
【請求項23】
前記防護フィルムと前記体液採取フラッグは、前記ランセットの突起を囲繞するシールを形成する請求項22記載の装置。
【請求項24】
皮膚に切開部を形成するためのランセットの突起を含むランセットと、
前記切開部からの体液を分析するために、前記ランセットに連結された試験片と、
前記試験片より突出していて、体液を前記試験片の上に導入するための体液採取フラッグと、
少なくとも前記ランセットの突起を防護するために、前記体液採取フラッグに取外し可能に取り付けられた防護フィルムと、を有し、
前記ランセットの突起は、前記体液採取フラッグと前記防護フィルムのあいだに挟まれている皮膚の切開部から体液を採取する一体型体液採取装置。
【請求項25】
前記体液採取フラッグは、親水性材料によってコーティングされている請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記防護フィルムは、前記ランセットを覆うための、接着剤が塗布されたランセット係合面を含む請求項24記載の装置。
【請求項27】
前記防護フィルムと前記体液採取フラッグは、前記ランセットの突起を囲繞するシールを形成する請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する請求項24記載の装置。
【請求項29】
前記構造は、ひだ付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項30】
前記構造は、窓付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項31】
前記構造は、突出部付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項32】
前記構造は、三角形である請求項28記載の装置。
【請求項33】
前記構造は、半円形である請求項28記載の装置。
【請求項34】
前記構造は、切欠き付きの形状である請求項28記載の装置。
【請求項35】
前記構造は、傾斜した形状である請求項28記載の装置。
【請求項36】
前記構造は、先端部に近接した孔を有する矩形である請求項28記載の装置。
【請求項37】
皮膚に切開部を形成するためのランセットの突起を含むランセットと、
体液の試料を検査するための電極を有し、前記ランセットに連結されている試験片と、
前記ランセットの一部を覆って、前記ランセットと前記電極のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層と、
前記試験片より突出していて、体液を前記試験片の上に導入するための体液採取フラッグと、を有する皮膚の切開部から体液を採取して検査する一体型体液採取装置。
【請求項38】
前記絶縁層は、酸化アルミニウムを含む請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記絶縁層は、パラフィンを含む請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記絶縁層は、ポリマーを含む請求項37記載の装置。
【請求項41】
前記体液採取フラッグは、体液の横方向拡散を最小限に抑制する構造の採取端部を有する請求項37記載の装置。
【請求項42】
前記ランセットに取外し可能に取り付けられた防護フィルムをさらに有する請求項37記載の装置。
【請求項43】
組織に切開部を形成するための手段と、
前記切開部からの体液を分析するための手段と、
前記体液を分析するための手段に体液を導入するための体液採取シートと、を有し、
前記体液採取シートは、前記体液採取シートに沿った体液の横方向拡散を最小限に抑制する手段を含む体液採取装置。
【請求項44】
前記体液採取シートに沿った前記体液の横方向拡散を最小限に抑制する手段は、三角形の採取端部を含む請求項43記載の装置。
【請求項45】
体液採取フラッグを有するとともに、体液の横方向拡散を最小限に抑制するように構成された採取装置を準備する段階と、
前記体液採取フラッグを一滴の体液に接触させる段階と、
前記体液採取フラッグを利用して体液を前記体液採取フラッグの長さ方向に導入する段階と、を含む体液を導入する方法。
【請求項46】
前記採取装置のランセットを用いて皮膚に切開部を形成する段階をさらに含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
体液を前記採取装置の試験片の上に採取する段階をさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記ランセットの一部を、前記ランセットと前記試験片のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層によって覆う段階をさらに含む請求項47記載の方法。
【請求項49】
ランセットの突起を無菌状態に維持するために、前記ランセットの少なくとも前記ランセットの突起を防護フィルムと前記体液採取フラッグのあいだに挟む段階と、
前記採取装置を使用する時に前記防護フィルムを取り外す段階と、をさらに含む請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記防護フィルムのランセット係合面に接着剤を塗布する段階と、
前記ランセット係合面を前記体液採取フラッグに接着する段階と、をさらに含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
切開部を形成するように構成されたランセットの突起が設けられたランセットと、前記切開部からの体液を分析するように構成された検査手段と、を有する採取装置を準備する段階と、
前記ランセットの突起を無菌状態に維持するために、前記ランセットの少なくとも前記ランセットの突起を防護フィルムと前記体液採取フラッグのあいだに挟む段階と、をさらに含み、
前記体液採取フラッグは、体液を前記検査手段に導入するように構成されている方法。
【請求項52】
前記防護フィルムのランセット係合面に接着剤を塗布する段階と、
前記ランセット係合面を前記体液採取フラッグに付着させる段階と、をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記採取装置を使用する時に前記防護フィルムを前記体液採取フラッグから取り外す段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記ランセットの一部を、前記ランセットと前記検査手段に設けられた電極のあいだの電気的干渉を防止する絶縁層によって覆う段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記体液採取フラッグを親水性材料によってコーティングする段階をさらに含む請求項51記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−515500(P2008−515500A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535096(P2007−535096)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010804
【国際公開番号】WO2006/037646
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010804
【国際公開番号】WO2006/037646
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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