説明

毛髪スタイリング組成物

第1のポリマー第四級アンモニウム塩、第2のポリマー第四級アンモニウム塩及び化粧用として許容可能なキャリアを含む毛髪スタイリング組成物。この組成物は高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様では、本発明は第1のポリマー第四級アンモニウム塩、第2のポリマー第四級アンモニウム塩及び化粧用として許容可能なキャリアを含むジェル形態の毛髪スタイリング組成物に関する。更に他の態様では、本発明は毛髪スタイリングキット、毛髪繊維の処理及び本毛髪スタイリング組成物の使用方法にも関する。本発明によれば、毛髪スタイリング組成物は高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
毛髪スタイリング組成物は、独自の毛髪スタイルの達成及び毛髪を一定の位置に一時保持するための使用を目的とする。
【0003】
これらの組成物は、ムース、ジェル及びワックスなどのさまざまな形態で提供されることがある。ジェルの形態の毛髪スタイリング組成物、特に透明なジェル形態の組成物は消費者及び/又はユーザーに人気が高い。これらの組成物の、例えばハンドジェル又はスプレージェルとしての毛髪への使用は通常容易であり、これらは特に透明な場合には魅力的な美しさを有している。
【0004】
通常、毛髪組成物は少なくとも1個の毛髪ー固定ポリマーを含んでいる。アニオン性毛髪−固定ポリマー、両性毛髪−固定ポリマー、非イオン性毛髪−固定ポリマー及びカチオン性毛髪−固定ポリマーを含め、多くの毛髪−固定ポリマーが使用できる。毛髪−固定ポリマーの特定の組み合わせを含む種々の組成物がすでに入手でき、これらの組成物は程度の異なるセッティング、例えば自然な感じから非常に強い固定まで、及び種々の保持係数、例えば短期間から長期間(24時間を超える)を毛髪スタイルに付与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、高いセット特性とともに長続きする保持力を有する独自の毛髪スタイルの達成を目的として使用される毛髪スタイリング組成物、望ましくはジェル形態の組成物の必要性は常に存在している。セット度合いの改善及び/又は保持係数の改善は、組成物中の毛髪−固定ポリマーの比率を増加させることにより達成できる。しかしながら、ジェル形態の組成物中のこれらのポリマー比率の増加は、使用時の感触を損なう恐れがある。ハンドジェルとして使用する場合、組成物が皮膚及び/毛髪にべたっとした残留物を残すことがある。スプレージェルとして、例えばスプレー散布器を使用して散布する場合には、組成物は均一に散布できず毛髪に残留物を残す恐れがある。これに加えて、このような混合は組成物を乳白及び/又は黄色っぽく変色させ、透明性などの美しさを損なう恐れがる。したがって、高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイル達成のための使用を目的とし、更に毛髪への塗布が容易なジェル形態の毛髪スタイリング組成物の提供の要求がある。また美しさを損なうことなく高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイル達成のための使用を目的としたジェル形態の組成物の提供の要求がある。
【0006】
使用者及び環境の両方により安全な毛髪スタイリング組成物、特にジェル形態の組成物の提供の要求も常に存在している。特に、これらの組成物に組み込まれるアルコールの割合、例えばエタノール及び/又はイソプロパノールの比率を制限することが推奨される。しかしながら、これらのアルコール比率を低下させると組成物により付与されるセットの度合及び/又は保持係数が損なわれる恐れがある。それゆえ、実質的にアルコールを含まず、しかし高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイル達成に使用されるジェル形態の組成物の提供の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、ジェル形態の毛髪スタイリング組成物に関し、
(a)N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び四級化N−ビニルイミダゾールのモノマーの共重合により得られる第1のポリマー第四級アンモニウム塩、
(b)塩化ジアリルジメチルアンモニウムで四級化されたヒドロキシエチルセルロースの第2のポリマー第四級アンモニウム塩、及び
(c)化粧用として許容可能なキャリア、を含む。
【0008】
第2の態様では、本発明は毛髪スタイリングキットに関し、
(a)本発明の第1の態様の毛髪スタイリング組成物、及び
(b)組成物を散布する下記(i)及び(ii)を含む散布器、
(i)前記毛髪スタイリング組成物を含む容器、及び
(ii)前記容器に取り付けた散布ポンプ、
(ここで、前記散布器は使用中前記散布ポンプが作動しているとき、毛髪スタイリング組成物をスプレーとして散布するように調節されている)を含む。
【0009】
第3の態様では、本発明は毛髪処理方法に関し、
(1)本発明の第1の態様の毛髪スタイリング組成物の提供、
(2)前記組成物の毛髪への塗布、及び
(3)毛髪スタイルを達成する工程を含む。
【0010】
第4の態様では、本発明は高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成のための、第1の態様の毛髪スタイリング組成物の使用に関する。
【0011】
本明細書において使用されるとき、用語「ジェル」はCannon FenskeのKinematic Viscosity(登録商標)(キャピラリー52020)装置により、25℃において測定した粘度が30mm2/s〜50,000mm2/sである組成物を意味する。
【0012】
本明細書において使用されるとき、用語「スプレー」は、例えばスプレー散布器を使用して、多数の微粒子状の液滴の形態で散布される組成物を意味する。
【0013】
本明細書において使用されるとき、用語「実質的に存在しない」は組成物が成分を0.01%未満、好ましくは0%含むことを意味する。
【0014】
本明細書において使用されるとき、用語「3点曲げ抵抗力」は毛髪スタイリング組成物を毛髪に塗布することで毛髪スタイルに付与されるセットの度合いを意味する。
【0015】
本明細書において使用されるとき、用語「長続きする保持力」は毛髪に毛髪スタイリング組成物を塗布することにより、毛髪スタイルに付与された、ある期間を超えて及び/又は所定の湿度条件のもとでの保持係数を意味する。
【0016】
本明細書において使用されるとき、組成物に用いられる用語「重量パーセント」及び「重量によるパーセント」は、特に指定のない限り、活性成分のパーセントを意味しこの活性物質を含む未加工物質のパーセントを意味しない(実施例を参照)。
【0017】
特に指定のない限り、本明細書の百分率、比率、及び割合は、全て重量基準である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の態様では、本発明は第1のポリマー第四級アンモニウム塩、第2のポリマー第四級アンモニウム塩及び化粧用として許容可能なキャリアを含むジェル形態の毛髪スタイリング組成物に関する。
【0019】
本発明による毛髪スタイリング組成物はジェル形態である。この組成物は好ましくは透明なジェルであり、より好ましくは0NTU〜2000NTUの濁度値を有する透明なジェルであり、更により好ましくは0NTU〜200NTUの濁度値を有する透明なジェルである。組成物の透明度は、D.Lange GmbHのLaboratory Turbidity Photometer LTP5(50mmのキュベット(ガラス)、通常の位置、未着色)を使用して測定することができる。
【0020】
本発明による組成物は、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び四級化N−ビニルイミダゾールのモノマーの共重合により得られる第1のポリマー第四級アンモニウム塩を含む。第1の塩は、したがって、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び四級化N−ビニルイミダゾールのモノマーを含む。第1の第四級アンモニウム塩は毛髪−固定ポリマーである。
【0021】
この組成物は、好ましくはN−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び3−メチル−1−ビニルイミダゾリウム硫酸メチルのモノマーの共重合により得られる第1のポリマー第四級アンモニウム塩を含む。この好ましい塩は、したがって、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び3−メチル−1−ビニルイミダゾリウム硫酸メチルのモノマーを含む。この好ましい第1塩のINCIの名称は、ポリクオタニウム−68である。市場で入手可能なこの好ましい第1塩の例には、BASF CorporationのLuviquat Supreme(登録商標)が含まれる。
【0022】
組成物は、全組成物の0.1重量%〜15重量%、好ましくは2.5重量%〜11重量%、より好ましくは4重量%〜10重量%の第1ポリマー第四級アンモニウム塩を含んでいてもよい。
【0023】
本発明による組成物は、塩化ジアリルジメチルアンモニウムで四級化されたヒドロキシエチルセルロースの第2のポリマー第四級アンモニウム塩を含む。この第2の塩のINCI名はポリクオタニウム−4である。市場で入手可能なこの第2の塩の例には、National Starch & Chemical CompanyのCelquat LV(登録商標)が含まれる。第2の第四級アンモニウム塩は毛髪−固定ポリマーである。
【0024】
組成物は、全組成物の0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.15重量%〜5重量%、より好ましくは0.3重量%〜3重量%の第2のポリマー第四級アンモニウム塩を含んでいてもよい。
【0025】
組成物の第1のポリマー第四級アンモニウム塩:第2のポリマー第四級アンモニウム塩、の重量比が1:5〜15:1、好ましくは1:2〜5:1であってもよい。
【0026】
本発明者らは、驚いたことに、第1及び第2のポリマー第四級アンモニウム塩を組成物に組み込むことにより、毛髪に塗布した場合、高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルが、塗布時の感触も組成物の美しさをも損なうことなく達成できることを見いだした。特に、発明者らはジェル形態の組成物が乳白色及び/又は黄色がかった外観を呈しないことを見いだした。これに加えて、組成物は皮膚及び/又は毛髪にべたっとした残留物を残さない。最後に、とりわけスプレー散布器を使用してスプレーとして使用した場合、組成物は容易にそして均一に毛髪に塗布できる。理論に束縛されるものではないが、第1及び第2のポリマー第四級アンモニウム塩は、とりわけ電荷及び化学構造に起因して相互の相溶性が非常に高いと考えられる。このような相溶性は、これらの第四級アンモニウム塩が沈殿及び/又は疑集することを防止し、それゆえ組成物の透明性の変化を阻止することも考えられる。組成物の容易で均一な塗布が、毛髪の電荷に適合するこれらの第四級アンモニウム塩の電荷により促進されることも考えられる。
【0027】
本発明による組成物は、化粧用として許容可能なキャリアを含む。キャリアは水性媒質又は水性アルコール媒質のどちらからも選択することができる。好ましくは、キャリアは水性媒質である。
【0028】
キャリアが水性−アルコールキャリアである場合、このキャリアは水とアルコールを含む。アルコールは通常組成物の経年安定性の改良と、この組成物を毛髪に塗布することにより毛髪スタイルに付与される保持係数の改良のために、毛髪スタイリング組成物に組み込まれる。アルコールは、望ましくは1個〜5個の炭素原子を有するアルコールから、より好ましくはエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール又はこれらの混合物から、更により好ましくはエタノール、イソプロパノール又はこれらの混合物から選択される。この水性−アルコールキャリアは、キャリアの好ましくは0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.01重量%〜5重量%、更により好ましくは、0.01重量%〜2重量%のアルコールを含む。またこのキャリアは、キャリアの好ましくは90重量%〜99.9重量%、より好ましくは95重量%〜99.9重量%、更により好ましくは、98重量%〜99.9重量%の水を含む。
【0029】
キャリアが水性キャリアである場合、このキャリアは基本的に水からなり実質的にはアルコールを含まない。好ましくはキャリアは水である。発明者らは、驚いたことに、高いセット特性と長続きする保持力が本発明による組成物により、組成物が実質的にアルコールを含まなくても、達成できることを見いだした。両方の第四級アンモニウム塩を含み実質的にアルコールを含まない組成物は、かなりの比率のアルコールを含む組成物と同等の、むしろそれよりよい性能を示す。理論に束縛されるものではないが、毛髪スタイルに長続きする保持力と高いセット特性を付与する両方の第四級アンモニウム塩の特性は、組成物中のアルコールの存在又は不存在に依存しないと考えられる。
【0030】
組成物は、全組成物の重量の80重量%〜99重量%、好ましくは85重量%〜95重量%、更に好ましくは87重量%〜92重量%の化粧用として許容可能なキャリアを含む。
【0031】
組成物は、25℃において好ましくは30mm2/s〜50,000mm2/sの、更に好ましくは30mm2/s〜1000mm2/s、更に好ましくは30mm2/s〜100mm2/sの粘度を有する。粘度は、FenskeのKinematic Viscosity(登録商標)(キャピラリー52020)装置により測定される。粘度が30mm2/s〜1000mm2/sである組成物の提供は、この組成物がスプレーとしての散布に特に適しているので好都合であり、例えば散布に適した散布ポンプを含むスプレー散布器の使用により、装置が作動しているとき組成物がスプレーとして散布される。スプレーとして散布される場合には、この組成物は多数の超微粒子状液滴として散布され、これらの液滴は容易にそして均一に毛髪全体に分布し残留物を全く残さない。本明細書で使用される場合、用語「超微粒子状液滴」は形状が球形で直径が約130〜500μmの毛髪スタイリング組成物の液滴を意味する。
【0032】
組成物は好ましくは5〜7.5、より好ましくは6〜7、更により好ましくは6.1〜6.5のpHを有する。6.1〜6.5のpHを有する組成物の提供は、このpHが毛髪−固定ポリマーとしての第1及び第2の第四級アンモニウム塩の特性を損なうことなく皮膚と毛髪のpHにマッチするので特に好都合である。望ましいpHは、従来の緩衝液及びpH調整剤を使用することにより達成及び/又は安定化できる。
【0033】
更に組成物は界面活性剤を含むことができる。組成物は、全組成物の好ましくは0.3重量%〜2重量%、より好ましくは0.5重量%〜1.9重量%、更により好ましくは0.9重量%〜1.5重量%の界面活性剤を含む。存在する場合、界面活性剤は組成物の透明性を損なわないために疎水性の成分、例えば疎水性の香油、の乳化に有効である。
【0034】
好適な界面活性剤は当業者にとってヘアケア組成物に混合することが適切であると知られている任意の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤の例は、CTFA International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,「Surfactants」,10th edition(2004)に見いだすことができる。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択することができる。界面活性剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはエトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸グリセリド、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化ヒマシ油、エトキシル化硬化ヒマシ油、脂肪酸糖エステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、アルキルオリゴグルコシド、アルキルポリグルコシド又はこれらの混合物、更により好ましくはエトキシル化ヒマシ油、エトキシル化硬化ヒマシ油又はこれらの混合物から選択される。
【0035】
ヒマシ油及び硬化ヒマシ油は、好ましくはエトキシル化度が10〜100の、より好ましくは20〜60のヒマシ油である。これらのヒマシ油のINCI名は、通常PEG−xヒマシ油又はPEG−x硬化ヒマシ油であり、ここでxはエトキシル化度である。市場で入手可能なエトキシル化硬化ヒマシ油の例には、BASF CorporationのCremophor CO 40(登録商標)(PEG−40硬化ヒマシ油)及びCremophor CO 60(登録商標)(PEG−60硬化ヒマシ油)が含まれる。
【0036】
組成物は更に増粘ポリマーを含むことがある。組成物は、全組成物の、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%、更により好ましくは0.2重量%〜2重量%の増粘ポリマーを含む。
【0037】
好適な増粘ポリマーは、当業者によりヘアケア組成物に組み込むことが好適であると知られている任意の増粘ポリマーを含む。増粘ポリマーの好適な例は、CTFA International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,「Viscosity−increasing agents−Aqueous」;「Viscosity−increasing agents−Non−aqueous」;「Suspending agents−Nonsurfactants」,10th edition(2004)に見いだすことができる。
【0038】
増粘ポリマーは天然増粘ポリマー、合成増粘ポリマー又はこれらの混合物から選択することができる。増粘ポリマーは化粧用として許容可能なキャリアに可溶性であることが好ましい。
【0039】
合成増粘ポリマーは、好ましくはアクリル酸、その塩又はその誘導体モノマーを含むポリマーから選択される。好適な合成増粘ポリマーの非制限的リストは、アクリル酸/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー(例えば、市場でNoveon,Inc.からPemulen TR−1 Polymer(登録商標)として入手できるクロスポリマー)、アクリレート/ステアレス−20イタコネート共重合体(例えば、National Starch & Chemical CompanyのStructure 2001(登録商標))、アクリレート/セテス−20イタコネート共重合体(例えば、National Starch & Chemical CompanyのStructure 3001(登録商標))、アクリレート/アミノアクリレート/C10−30アルキルPEG−20イタコネート共重合体(例えば、National Starch & Chemical CompanyのSupreme Plus)、カルボマー(例えば、Noveon,Inc.のCarbopol 980 Polymer(登録商標))、アクリレート共重合体(例えばNoveon,Inc.のCarbopol Aqua SF−1(登録商標))、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP共重合体(例えば、Clariant CorporationのAristoflex AVC(登録商標))、アンモニウムアクリロジメチルタウレート/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー(例えば、Clariant CorporationのAristoflex HMB(登録商標))、ポリアクリレート−1クロスポリマー(例えば、Noveon,Inc.のCarbopol Aqua CC Polymer(登録商標))、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートクロスポリマー(例えば、Rohm and Hass Company,Inc.のAculyn 88 Polymer(登録商標))、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレート共重合体(例えば、Rohm and Hass Company,Inc.のAculyn 28 Polymer(登録商標))、アクリレート/ステアレス−20メタクリレート共重合体(例えば、Rohm and Hass Company,Inc.のAculyn 22(登録商標))、アクリル酸/VPクロスポリマー(例えば、International Specialty ProductsのUltrathix P−100(登録商標))、及びヒドロキシプロピルグアー(例えば、Rhodia Inc.のJaguar HP−105(登録商標))を含む。
【0040】
天然増粘ポリマーの非制限的リストは、グアーガム、キサンタンガム(例えば、CP KelcoのKeltrol(登録商標))、改善されたコーンスターチ(例えば、National Starch & Chemical CompanyのAmaze(登録商標))、カラギーナンゴム類(例えば、FMC CorporationのViscarin GP209,NF(登録商標))及びヒドロキシエチルセルロース(例えば、Hercules IncoproratedのNatrosol Hydroethylcellulose(登録商標))を含む。
【0041】
組成物は更に粒子を含む。存在する場合、組成物は全組成物の好ましくは0.005重量%〜5重量%、より好ましくは0.01重量%〜3重量%の粒子を含む。
【0042】
粒子は、少なくとも1つのポリオレフィン、シリカ粒子又はこれらの混合物を含む粒子から選択されることがある。少なくとも1つのポリオレフィンを含む粒子は、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの混合物を含む。少なくとも1つのポリオレフィンを含む市場で入手可能な粒子の例には、Equistar Chemicals,LP.の Microthene FN−510−00が含まれる。シリカ粒子は好ましくはコロイダルシリカ、フィルム状シリカ、沈殿シリカ又はシリカゲルを含む。市場で入手可能なシリカ粒子の例には、Degussa AG.のSipernat 22LSが含まれる。
【0043】
組成物は更に追加の毛髪−固定ポリマーを含むことがある。本明細書で使用する場合、「追加の毛髪−固定ポリマー」は、第1のポリマー第四級アンモニウム塩及び第2のポリマー第四級アンモニウム塩以外の毛髪−固定ポリマーを意味する。存在する場合、組成物は好ましくは全組成物の0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.1重量%〜2重量%の追加の毛髪−固定ポリマーを含む。
【0044】
好ましくは、追加の毛髪−固定ポリマーは、アニオン性毛髪−固定ポリマー、両性毛髪−固定ポリマー、カチオン性毛髪−固定ポリマー又はこれらの混合物から選択される。好適な追加の毛髪−固定ポリマーは、CTFA International Cosmetics Ingredient Dictionary and Handbook,「Hair fixatives」10th edition(2004)に見いだすことができる。追加のカチオン性毛髪−固定ポリマーは、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−35、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−80;ポリビニルピロリドンとイミダゾールイミンメトクロリドとの共重合体;塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アクリル酸ナトリウム及びアクリルアミドのタ−ポリマー;ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート及びビニルカプロラクタムのターポリマー;ヒドロキシエチルセルロース及びトリメチルアンモニウム置換エポキシドの第四級アンモニウム塩;又はこれらの混合物から選択することができる。両性毛髪−固定ポリマーは、オクトイルアクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、及びアクリル酸、メタクリル酸又はこれらのエステルを含む2つ以上のモノマーの共重合体;イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド共重合体;又はこれらの混合物から選択することができる。
【0045】
組成物は実質的に非イオン性毛髪−固定ポリマーを含まなくてもよい。
【0046】
また組成物は実質的に噴射剤を含まなくてもよい。好ましくは、組成物はジメチルエーテル、プロパン、ブタン又はこれらの混合物から選択される噴射剤を実質的に含まないこともある。
【0047】
種々の追加的な任意成分が本発明の組成物に組み込まれてもよい。これらの追加の成分の非制限的な例は、芳香剤と香油;パラベン、ヨードプロピニルブチルカルバメート又はこれらの混合物などの防腐剤;保湿剤;エチレングリコールジステアレート、脂肪酸モノアルキルアミド又はこれらの混合物などの白濁剤;クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム又はこれらの混合物などの緩衝剤;ベタイン、パンテノール、植物抽出物、野菜抽出物、タンパク質加水分解産物、絹加水分解産物、ラノリン誘導体又はこれらの混合物などの毛髪ケア物質;揮発性又は不揮発性のシリコーンオイル、高分子量シロキサンポリマー又はこれらの混合物などの生理学的に相性のよいシリコーン誘導体;光防護剤;酸化防止剤;ラジカル−捕捉剤;ふけ抑制剤;脂肪酸アルコール;ビタミン;直接染料化合物;艶出し物質及びピグメントを含む。
【0048】
第2の態様によれば、本発明は第1の態様による毛髪スタイリング組成物及び散布器を含む毛髪スタイリングキットに関する。散布器は毛髪スタイリング組成物を含む容器及び散布ポンプを含む。散布ポンプは、容器に直接又は間接的に、例えばシール部分に取り付けることができ、容器との間で液体が移動できる。この散布器は前記散布ポンプが作動しているとき、毛髪スタイリング組成物をスプレーとして散布するよう調節されている。ジェル形態の毛髪ジェル組成物をスプレーとして散布するために使用されるこのような散布器は、当業者により知られている。
【0049】
毛髪スタイリング組成物をスプレーとして散布するのに好適なキットの提供は、これによりこの組成物を毛髪に均一に容易に塗布することができるので好都合である。湿った毛髪に使用して優れた保持力を達成することもまたこれにより可能である。第1の態様による組成物はこのような散布器中の保存及び散布器による散布に特に適しており、この組成物は多数の超微粒子状の液滴として容易に散布され、組成物の毛髪への均一な分布が可能となる。
【0050】
第3の態様によれば、本発明は毛髪の処理方法に関し、
(1)本発明の第1の態様による毛髪スタイリング組成物の提供、
(2)この組成物の毛髪への塗布、及び
(3)毛髪スタイルを達成する、工程を含む。
【0051】
組成物はハンドジェル又はスプレージェルとして塗布できる。ハンドジェルとして塗布する場合には、この組成物を一方の手の手のひらに分け取り、両手を互いに擦りこの組成物を手のひらに広げ、次いで手のひらで毛髪を擦り及び/又はマッサージし、この組成物を均一に毛髪に塗布する工程をこの方法が含むことができる。スプレージェルとして塗布する場合には、組成物をスプレーとして散布するために散布器ポンプを作動させ、同時に組成物を毛髪に均一に塗布するようスプレーの方向を向ける工程をこの方法が含むことができる。
【0052】
組成物を毛髪に好ましくは15〜45mg(毛髪グラム当たり)、より好ましくは20〜40mg(毛髪グラム当たり)、更により好ましくは25〜35mg(毛髪グラム当たり)塗布する。高いセット特性とともに長続きする保持力の毛髪スタイルの達成にこれは好都合である。
【0053】
組成物は毛髪に好ましくはスプレーとして塗布される。本発明の第2の態様によれば、組成物は毛髪スタイリングキットを使用して塗布することができる。組成物の毛髪へのスプレーは、これが組成物を毛髪に容易に均一に分布させるので、この方法が好都合である。
【0054】
所望の毛髪スタイルが得られるまで、指を使って作業を続けることにより毛髪スタイルを達成することができる。
【0055】
この方法は、毛髪スタイリング組成物を塗布する前に、水性媒質を毛髪に塗布する工程を更に含むことができる。水性媒質は好ましくは水であり、より好ましくは水道水である。手を濡らし、手で毛髪を均一にマッサージすることによりこの媒質を毛髪に塗布することができる。またこの媒質を毛髪にスプレーして、例えばスプレー散布器を使用して、媒質を毛髪に塗布することができる。毛髪を水道水で湿らせ、次いで毛髪を従来のシャンプーによりシャンプーし、次いで毛髪を水でリンスし、そして毛髪をタオルでマッサージすることにより過剰の水を除去して、媒質を塗布することもできる。組成物を塗布する前に水性媒質を塗布することにより、毛髪スタイリング組成物の塗布が容易になり毛髪全体への組成物の均一な分布が可能となるので、これは好都合である。組成物を塗布する前に水性媒質を塗布することは、第1及び第2の第四級アンモニウム塩の毛髪への接着力を高め、これにより毛髪スタイルのセットの度合いを向上させるので、これも好都合である。
【0056】
この方法は毛髪の空気流による乾燥工程を更に含んでもよい。毛髪は従来のブロードライヤーによりブロー乾燥されてもよい。この工程は毛髪スタイルを達成する工程と同時に実行するのが好ましい。
【0057】
この方法は、高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成に特に好適である。
【0058】
高いセット特性を有する毛髪スタイルの好ましい3点曲げ抵抗力は、0.1N〜10N、更に好ましくは1.8N〜6Nである。
【0059】
長続きする保持力を有する毛髪スタイルは、24時間後に好ましくは30%〜100%の、更に好ましくは70%〜100%の保持係数を有する。24時間後の保持係数が30%〜100%である組成物の提供は、一定期間、好ましくは少なくとも5時間、より好ましくは少なくとも24時間にわたり十分な保持を達成するために好都合である。
【0060】
第4の態様では、本発明は高いセット特性とともに長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成のための第1の態様に従う毛髪スタイリング組成物の使用に関する。
【0061】
方法
毛髪組成物を毛髪に塗布することにより毛髪スタイルに付与されるセットと保持は、3点曲げ抵抗力と保持係数をそれぞれ測定することにより決定できる。
【0062】
3点曲げ抵抗力、はF.Frosch,F.Vogel,6th International Hair Science Symposium Of the German Wool Research Institute,Luneburg/Germany(1988)に詳細が記載されている方法に従って測定できる。American National Standards InstituteのDIN−EN−658−5の方法も参照する。
【0063】
保持係数は、Institute Fresenius,Germanyにより開発され、C.R.Robbins,Chemical and Physical Behavior of Human Hair,3rd edition,page 352,Springer−Verlag,New York(1994)に詳細が示されている方法により測定した。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明し、実証する。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であるため、それら実施例は例示の目的でのみ提示されており、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0065】
これらの実施例の重量はすべて、市場で入手可能な材料の重量であり、活性物質及び/又は溶媒及び/又は副産物を含む。
【0066】
ジェル形態の組成物を次の通り調製した(表1)。
【0067】
【表1】

【0068】
1:脱イオン水;2:BASF CorporationのLuviquat Supreme(登録商標);3:National Starch & Chemical CompanyのCelquat LV(登録商標);4:BASF CorporationのクレモフォアCO40(登録商標);5:BASF CorporationのクレモフォアCO60(登録商標);6:Noveon Inc.のカーボポールUltrez 21ポリマー;7:Merck−Schuchardt OHGのグリコール酸;8:Rohm and Hass Company,Inc.のAculyn 28ポリマー;9:Hercules IncorporatedのNatrosol Hydroxyethylcellulose(登録商標);10:Schulke & Mary GmBHのEuxyl PE 9010;11:Schutz & Co.のPHB−メチルエステル;12:ClariantのNippaguard DMDMH;13:BASFのEDTA二ナトリウム;14:Angus Chemical CompanyのAMP Ultra PC;15:DegussaのAGSipernat 22LS;16:Equistar Chemicals,LPのMicrothene FN−510−00
【0069】
実施例1〜5は、例えばスプレー散布器を使用するスプレージェルとしての散布に特に好適である。実施例5はハンドジェルとしても使用できる。実施例6は特にハンドジェルとしての使用に適している。
【0070】
表2は実施例1及び4の組成物を塗布した後、5時間及び24時間経過後の毛髪スタイルの3点曲げ抵抗力と保持係数の詳細を示す。
【0071】
【表2】

【0072】
実施例1及び4によれば、これら両方の組成物は長い期間極めて強い保持力を示している。
【0073】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェル形態の毛髪スタイリング組成物であって、
(a)N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド及び四級化N−ビニルイミダゾールのモノマーの共重合により得られる第1のポリマー第四級アンモニウム塩、
(b)塩化ジアリルジメチルアンモニウムで四級化されたヒドロキシエチルセルロースの第2のポリマー第四級アンモニウム塩、及び
(c)化粧用として許容可能なキャリア、を含む、ジェル形態の毛髪スタイリング組成物。
【請求項2】
組成物であって、
(a)全組成物の0.1重量%〜15重量%の第1のポリマー第四級アンモニウム塩、及び
(b)全組成物の0.1重量%〜10重量%の第2のポリマー第四級アンモニウム塩、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
全組成物の80重量%〜99重量%の化粧用として許容可能なキャリアを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
25℃の時に30mm2/s〜50,000mm2/sの粘度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
全組成物の0.3重量%〜2重量%の界面活性剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
全組成物の0.01重量%〜5重量%の増粘ポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
全組成物の0.005重量%〜5重量%の粒子状物質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
毛髪スタイリングキットであって、
(a)請求項1〜7のいずれか一項に定義された毛髪スタイリング組成物、及び
(b)散布器であって、
(i)前記毛髪スタイリング組成物を含む容器、及び
(ii)前記容器に取り付けた散布ポンプ、
(ここで、前記散布器は使用中前記散布ポンプが作動しているとき、毛髪スタイリング組成物をスプレーとして散布するように調節されている)を含む散布器を含む、毛髪スタイリングキット。
【請求項9】
毛髪処理の方法であって、
(a)請求項1〜7のいずれか一項に定義された毛髪スタイリング組成物の提供、
(b)前記組成物の毛髪への塗布、及び
(c)毛髪スタイルを達成する工程を含む、毛髪処理の方法。
【請求項10】
高いセット特性と長続きする保持力を有する毛髪スタイルの達成のための、請求項1〜7のいずれか一項に定義された毛髪スタイリング組成物の使用。

【公表番号】特表2011−511058(P2011−511058A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545586(P2010−545586)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050435
【国際公開番号】WO2009/098638
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】