気中終端接続箱
【課題】電界集中を緩和する気中終端接続箱を実現する。
【解決手段】気中終端接続箱100の取付板40に支持碍子50を固定するボルト45を、取付板40の上面に形成した凹部41内に没入させて、そのボルト45が取付板40の上面に突出しないようにすることで、気中終端接続箱100の周囲に生じた電界が、取付板40の一部分をなすボルト45に集中してしまうことがないので、気中終端接続箱100における電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【解決手段】気中終端接続箱100の取付板40に支持碍子50を固定するボルト45を、取付板40の上面に形成した凹部41内に没入させて、そのボルト45が取付板40の上面に突出しないようにすることで、気中終端接続箱100の周囲に生じた電界が、取付板40の一部分をなすボルト45に集中してしまうことがないので、気中終端接続箱100における電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気中終端接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所や変電所にて電力ケーブル同士を接続する気中終端接続箱が知られている。
気中終端接続箱は、段剥ぎした電力ケーブルの先端側をポリマー碍管(ポリマー套管)で覆ったものを取付金具に取り付けて、その取付金具を碍子を介して支持架台に固定することで、所定位置に設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、取付金具と碍子とを接続したボルトが取付金具の上面に突出していることがある。
そして、この気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加することで、気中終端接続箱の周囲に電界が生じた際、その電界が突出したボルトなどに集中することがある。これは、突き出ている突起や、角度が急な角部などに電界が集中しやすい性質があることによる。そして、そのボルトに電界が集中し過ぎると、電界集中に起因する放電破壊を起こしてしまう恐れがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、電界集中を緩和する気中終端接続箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の態様は、
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの導体の先端部に取り付けた導体引出棒を先端側から突き出して、その内部に前記電力ケーブルを収容する碍管と、
前記電力ケーブルと前記碍管を保持する取付板と、
前記取付板を、支持碍子を介して支持する架台と、
を備えた気中終端接続箱であって、
前記支持碍子は、前記取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって前記取付板に固定されていることを特徴とする。
【0007】
気中終端接続箱の取付板と架台とを繋ぐ支持碍子は、取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって取付板に固定されている。そして、固定部材は凹部に没入した状態で支持碍子を取付板に固定しており、その固定部材が取付板の表面に突出することがないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、固定部材に集中してしまうことがない。
このように、支持碍子を固定する固定部材が取付板の表面に突出することがない気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の一部分となる固定部材に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【0008】
好ましくは、前記取付板における前記碍管側に相当する面の縁が曲面を成している。
【0009】
気中終端接続箱の取付板における少なくとも一方の面であって、碍管側に相当する面の縁が曲面を成しているため、その取付板における碍管側に相当する面の縁には角度が急な角部がないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、取付板の縁に集中してしまうことがない。
このように、取付板の外縁が曲面を成す気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の縁などの一部分に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記取付板は略円盤形状を呈し、その取付板における前記碍管側に相当する面に前記凹部が形成されており、前記凹部とは反対側の面に前記支持碍子が固定されている。
【0011】
気中終端接続箱の取付板が略円盤形状を呈していることで、取付板の外縁が略円形状を成すため、その取付板の中心から外縁までの距離はほぼ一定であり、取付板の外縁には突出した部分がないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、取付板の縁に集中してしまうことがない。
このように、略円盤形状を呈し、その外縁が略円形状を有する取付板を備える気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の縁などの一部分に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
そして、取付板における凹部とは反対側の面に支持碍子を固定して、その支持碍子を介して取付板を架台で支持する際に、略円盤状の取付板であれば支持碍子が幾つであってもそれら支持碍子を取付板にバランスよく均等に配することができ、取付板を安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気中終端接続箱の取付板に支持碍子を固定する固定部材が取付板の表面に突出することはなく、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の一部分となる固定部材に集中してしまうことがないので、気中終端接続箱における電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
更に、気中終端接続箱の取付板における縁が、例えば円弧状の曲面を成すようにして、その取付板の縁の角を無くすことで、気中終端接続箱の周囲に生じる電界を取付板の縁に集中させないようにすることができ、同様に電界集中を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る気中終端接続箱を示す側面図である。
【図2】本発明に係る気中終端接続箱を一部断面視して示す説明図である。
【図3】気中終端接続箱の取付板における支持碍子部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
図1は、気中終端接続箱を示す側面図であり、図2は、気中終端接続箱を一部断面視して示す説明図である。図3は、気中終端接続箱の取付板における支持碍子部分の拡大図である。
【0016】
気中終端接続箱100は、図1から図3に示すように、電力ケーブル10と、電力ケーブル10を内部に収容するポリマー碍管20と、ポリマー碍管20の上端に取り付けた蓋体30と、ポリマー碍管20の下端に取り付けた取付板40と、取付板40に固定されている支持碍子50と、支持碍子50を介して取付板40を支持する架台60等を備えている。
【0017】
電力ケーブル10は、例えば、中心の導体11と、導体11を被覆する電気絶縁層12と、電気絶縁層12を被覆する外部半導電層13と、外部半導電層13を被覆する絶縁体のシース14等を備えている。この電力ケーブル10の端部を段剥ぎすることにより、シース14、外部半導電層13、電気絶縁層12が順次露出し、その先端側で導体11が露出している。導体11の先端部には導体引出棒15を取り付けてある。
導体引出棒15は、導電性を有し、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金などの金属からなる。この導体引出棒15の基端側の孔部に電力ケーブル10の導体11の先端部を嵌入して、その孔部を縮径するように導体引出棒15を圧縮することで、導体引出棒15を導体11に取り付けている。
【0018】
また、電力ケーブル10の電気絶縁層12から外部半導電層13にかけてストレスコーン16を取り付けている。
また、電力ケーブル10の外部半導電層13の周囲に鉛管などの金属管17を取り付けている。
また、金属管17から外部半導電層13、シース14にかけてテープ部材を巻回してなるテープ層18を設けている。
【0019】
ポリマー碍管20は、例えば、繊維強化プラスチックからなる円筒形状の筒体21と、筒体21の外周側面に一体成型したシリコーンゴムからなるひだ付部22とを有している。ひだ付部22は、ほぼ同じ直径を有する筒体21の外周面に所定の間隔毎に形成された複数のリング状のひだ2…を備えている。
ポリマー碍管20の上端には、碍管の一部を成す蓋体30が、ポリマー碍管20の上端の開口を閉じるように取り付けられている。
蓋体30は、その略中央に形成された貫通孔31を有しており、貫通孔31から導体引出棒15の先端が突き出している。
そして、ポリマー碍管20は、その内部に電力ケーブル10とともに、シリコーンオイルなどの絶縁油23を収容している。
【0020】
取付板40は、外縁が円形で略円盤形状を呈する板状部材であり、ポリマー碍管20の下端を閉じるように取り付けられている。また、取付板40の略中央に形成した中央孔に電力ケーブル10が挿通している。そして、取付板40は、電力ケーブル10とポリマー碍管20を保持している。
この取付板40の中央側の上面に、ポリマー碍管20の下端と電力ケーブル10(金属管17)とに密着するシール部材70を配設している。このシール部材70は、ポリマー碍管20内に充填されている絶縁油23の漏れを防止するための封止部材である。なお、シール部材70が電力ケーブル10と取付板40に接する面には、図示しないOリングが設けられている。また、ポリマー碍管20が取付板40に接する面にも、図示しないOリングが設けられている。それらOリングによって絶縁油23の漏れをより確実に防ぐようになっている。
【0021】
また、取付板40は、取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面の縁に形成された曲面部42を有している。曲面部42は、取付板40の外縁の上面から下面にかけて、略円弧状の曲率を有する曲面を成している。つまり、取付板40の上面の縁には角がない。
【0022】
また、取付板40は、取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面に形成された座繰り穴である凹部41を有している。この凹部41に、固定部材であるボルト45を没入するように設けており、取付板40の下面側に支持碍子50をボルト45で螺合して固定している。このボルト45は、例えば、六角穴付ボルトであって、六角レンチで締め付けを行い、ボルト45の頂部を凹部41に埋め込むように螺入して、ボルト45と支持碍子50を螺合するようになっている。つまり、凹部41に螺入して没入したボルト45の頂部が、取付板40の上面に突出しないようになっている。
なお、取付板40は、例えば、その上面の4箇所に凹部41を有しており、各凹部41に対応する位置にそれぞれボルト45で固定した支持碍子50を備えている。
【0023】
支持碍子50は架台60に固定されており、この支持碍子50を介して架台60が取付板40を支持している。
そして、その架台60が据え付けられている位置に、気中終端接続箱100を設置することができる。
【0024】
このように、気中終端接続箱100の取付板40を略円盤形状にして、その取付板40の上面の縁が円弧状の曲面を成すように曲面部42を形成しているので、取付板40の上面側には角度が急な角部がほとんど無く、その上面は比較的緩やかで滑らかな面からなる表面形状を呈している。
また、取付板40に支持碍子50を固定するためのボルト45は、取付板40の上面の凹部41内に没入させているので、取付板40の上面にボルト45の頂部などの突起が突出することはない。
【0025】
以上のように、気中終端接続箱100の取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面には、突起や角度が急な部分がなく、気中終端接続箱100における電力ケーブル10に電圧を印加した際に、その気中終端接続箱100の周囲に生じる電界が集中しやすい箇所がない。
このような気中終端接続箱100であれば、気中終端接続箱100の周囲に生じた電界が、取付板40の一部分に電界集中してしまうことがほとんどないので、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
つまり、この気中終端接続箱100は、電界集中を緩和することができ、気中終端接続箱としての電気特性を向上させることができる。
【0026】
なお、以上の実施の形態においては、取付板40の上面の縁に円弧状の曲面を成す曲面部42を形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取付板40の下面の縁にも円弧状の曲面を成す曲面部を形成してもよい。
また、凹部41の開口の縁も面取りするなどして、曲面に形成することが好ましい。
また、取付板40は、外縁が円形の略円盤形状であることに限らず、外縁が緩やかな曲線からなり、角部や突出部分が無いものであれば、その他の任意の形状であってもよい。
【0027】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
10 電力ケーブル
11 導体
15 導体引出棒
20 ポリマー碍管(碍管)
30 蓋体
40 取付板
41 凹部
42 曲面部
45 ボルト(固定部材)
50 支持碍子
60 架台
70 シール部材
100 気中終端接続箱
【技術分野】
【0001】
本発明は、気中終端接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所や変電所にて電力ケーブル同士を接続する気中終端接続箱が知られている。
気中終端接続箱は、段剥ぎした電力ケーブルの先端側をポリマー碍管(ポリマー套管)で覆ったものを取付金具に取り付けて、その取付金具を碍子を介して支持架台に固定することで、所定位置に設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、取付金具と碍子とを接続したボルトが取付金具の上面に突出していることがある。
そして、この気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加することで、気中終端接続箱の周囲に電界が生じた際、その電界が突出したボルトなどに集中することがある。これは、突き出ている突起や、角度が急な角部などに電界が集中しやすい性質があることによる。そして、そのボルトに電界が集中し過ぎると、電界集中に起因する放電破壊を起こしてしまう恐れがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、電界集中を緩和する気中終端接続箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明の態様は、
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの導体の先端部に取り付けた導体引出棒を先端側から突き出して、その内部に前記電力ケーブルを収容する碍管と、
前記電力ケーブルと前記碍管を保持する取付板と、
前記取付板を、支持碍子を介して支持する架台と、
を備えた気中終端接続箱であって、
前記支持碍子は、前記取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって前記取付板に固定されていることを特徴とする。
【0007】
気中終端接続箱の取付板と架台とを繋ぐ支持碍子は、取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって取付板に固定されている。そして、固定部材は凹部に没入した状態で支持碍子を取付板に固定しており、その固定部材が取付板の表面に突出することがないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、固定部材に集中してしまうことがない。
このように、支持碍子を固定する固定部材が取付板の表面に突出することがない気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の一部分となる固定部材に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【0008】
好ましくは、前記取付板における前記碍管側に相当する面の縁が曲面を成している。
【0009】
気中終端接続箱の取付板における少なくとも一方の面であって、碍管側に相当する面の縁が曲面を成しているため、その取付板における碍管側に相当する面の縁には角度が急な角部がないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、取付板の縁に集中してしまうことがない。
このように、取付板の外縁が曲面を成す気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の縁などの一部分に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記取付板は略円盤形状を呈し、その取付板における前記碍管側に相当する面に前記凹部が形成されており、前記凹部とは反対側の面に前記支持碍子が固定されている。
【0011】
気中終端接続箱の取付板が略円盤形状を呈していることで、取付板の外縁が略円形状を成すため、その取付板の中心から外縁までの距離はほぼ一定であり、取付板の外縁には突出した部分がないので、気中終端接続箱における電力ケーブルに電圧を印加した際に、その気中終端接続箱の周囲に生じる電界が、取付板の縁に集中してしまうことがない。
このように、略円盤形状を呈し、その外縁が略円形状を有する取付板を備える気中終端接続箱であれば、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の縁などの一部分に集中してしまうことがほとんどないので、電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
そして、取付板における凹部とは反対側の面に支持碍子を固定して、その支持碍子を介して取付板を架台で支持する際に、略円盤状の取付板であれば支持碍子が幾つであってもそれら支持碍子を取付板にバランスよく均等に配することができ、取付板を安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、気中終端接続箱の取付板に支持碍子を固定する固定部材が取付板の表面に突出することはなく、気中終端接続箱の周囲に生じた電界が、取付板の一部分となる固定部材に集中してしまうことがないので、気中終端接続箱における電界集中を緩和することができ、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
更に、気中終端接続箱の取付板における縁が、例えば円弧状の曲面を成すようにして、その取付板の縁の角を無くすことで、気中終端接続箱の周囲に生じる電界を取付板の縁に集中させないようにすることができ、同様に電界集中を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る気中終端接続箱を示す側面図である。
【図2】本発明に係る気中終端接続箱を一部断面視して示す説明図である。
【図3】気中終端接続箱の取付板における支持碍子部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
図1は、気中終端接続箱を示す側面図であり、図2は、気中終端接続箱を一部断面視して示す説明図である。図3は、気中終端接続箱の取付板における支持碍子部分の拡大図である。
【0016】
気中終端接続箱100は、図1から図3に示すように、電力ケーブル10と、電力ケーブル10を内部に収容するポリマー碍管20と、ポリマー碍管20の上端に取り付けた蓋体30と、ポリマー碍管20の下端に取り付けた取付板40と、取付板40に固定されている支持碍子50と、支持碍子50を介して取付板40を支持する架台60等を備えている。
【0017】
電力ケーブル10は、例えば、中心の導体11と、導体11を被覆する電気絶縁層12と、電気絶縁層12を被覆する外部半導電層13と、外部半導電層13を被覆する絶縁体のシース14等を備えている。この電力ケーブル10の端部を段剥ぎすることにより、シース14、外部半導電層13、電気絶縁層12が順次露出し、その先端側で導体11が露出している。導体11の先端部には導体引出棒15を取り付けてある。
導体引出棒15は、導電性を有し、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金などの金属からなる。この導体引出棒15の基端側の孔部に電力ケーブル10の導体11の先端部を嵌入して、その孔部を縮径するように導体引出棒15を圧縮することで、導体引出棒15を導体11に取り付けている。
【0018】
また、電力ケーブル10の電気絶縁層12から外部半導電層13にかけてストレスコーン16を取り付けている。
また、電力ケーブル10の外部半導電層13の周囲に鉛管などの金属管17を取り付けている。
また、金属管17から外部半導電層13、シース14にかけてテープ部材を巻回してなるテープ層18を設けている。
【0019】
ポリマー碍管20は、例えば、繊維強化プラスチックからなる円筒形状の筒体21と、筒体21の外周側面に一体成型したシリコーンゴムからなるひだ付部22とを有している。ひだ付部22は、ほぼ同じ直径を有する筒体21の外周面に所定の間隔毎に形成された複数のリング状のひだ2…を備えている。
ポリマー碍管20の上端には、碍管の一部を成す蓋体30が、ポリマー碍管20の上端の開口を閉じるように取り付けられている。
蓋体30は、その略中央に形成された貫通孔31を有しており、貫通孔31から導体引出棒15の先端が突き出している。
そして、ポリマー碍管20は、その内部に電力ケーブル10とともに、シリコーンオイルなどの絶縁油23を収容している。
【0020】
取付板40は、外縁が円形で略円盤形状を呈する板状部材であり、ポリマー碍管20の下端を閉じるように取り付けられている。また、取付板40の略中央に形成した中央孔に電力ケーブル10が挿通している。そして、取付板40は、電力ケーブル10とポリマー碍管20を保持している。
この取付板40の中央側の上面に、ポリマー碍管20の下端と電力ケーブル10(金属管17)とに密着するシール部材70を配設している。このシール部材70は、ポリマー碍管20内に充填されている絶縁油23の漏れを防止するための封止部材である。なお、シール部材70が電力ケーブル10と取付板40に接する面には、図示しないOリングが設けられている。また、ポリマー碍管20が取付板40に接する面にも、図示しないOリングが設けられている。それらOリングによって絶縁油23の漏れをより確実に防ぐようになっている。
【0021】
また、取付板40は、取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面の縁に形成された曲面部42を有している。曲面部42は、取付板40の外縁の上面から下面にかけて、略円弧状の曲率を有する曲面を成している。つまり、取付板40の上面の縁には角がない。
【0022】
また、取付板40は、取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面に形成された座繰り穴である凹部41を有している。この凹部41に、固定部材であるボルト45を没入するように設けており、取付板40の下面側に支持碍子50をボルト45で螺合して固定している。このボルト45は、例えば、六角穴付ボルトであって、六角レンチで締め付けを行い、ボルト45の頂部を凹部41に埋め込むように螺入して、ボルト45と支持碍子50を螺合するようになっている。つまり、凹部41に螺入して没入したボルト45の頂部が、取付板40の上面に突出しないようになっている。
なお、取付板40は、例えば、その上面の4箇所に凹部41を有しており、各凹部41に対応する位置にそれぞれボルト45で固定した支持碍子50を備えている。
【0023】
支持碍子50は架台60に固定されており、この支持碍子50を介して架台60が取付板40を支持している。
そして、その架台60が据え付けられている位置に、気中終端接続箱100を設置することができる。
【0024】
このように、気中終端接続箱100の取付板40を略円盤形状にして、その取付板40の上面の縁が円弧状の曲面を成すように曲面部42を形成しているので、取付板40の上面側には角度が急な角部がほとんど無く、その上面は比較的緩やかで滑らかな面からなる表面形状を呈している。
また、取付板40に支持碍子50を固定するためのボルト45は、取付板40の上面の凹部41内に没入させているので、取付板40の上面にボルト45の頂部などの突起が突出することはない。
【0025】
以上のように、気中終端接続箱100の取付板40におけるポリマー碍管20側に相当する上面には、突起や角度が急な部分がなく、気中終端接続箱100における電力ケーブル10に電圧を印加した際に、その気中終端接続箱100の周囲に生じる電界が集中しやすい箇所がない。
このような気中終端接続箱100であれば、気中終端接続箱100の周囲に生じた電界が、取付板40の一部分に電界集中してしまうことがほとんどないので、電界集中に起因する放電破壊を低減することができる。
つまり、この気中終端接続箱100は、電界集中を緩和することができ、気中終端接続箱としての電気特性を向上させることができる。
【0026】
なお、以上の実施の形態においては、取付板40の上面の縁に円弧状の曲面を成す曲面部42を形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取付板40の下面の縁にも円弧状の曲面を成す曲面部を形成してもよい。
また、凹部41の開口の縁も面取りするなどして、曲面に形成することが好ましい。
また、取付板40は、外縁が円形の略円盤形状であることに限らず、外縁が緩やかな曲線からなり、角部や突出部分が無いものであれば、その他の任意の形状であってもよい。
【0027】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
10 電力ケーブル
11 導体
15 導体引出棒
20 ポリマー碍管(碍管)
30 蓋体
40 取付板
41 凹部
42 曲面部
45 ボルト(固定部材)
50 支持碍子
60 架台
70 シール部材
100 気中終端接続箱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの導体の先端部に取り付けた導体引出棒を先端側から突き出して、その内部に前記電力ケーブルを収容する碍管と、
前記電力ケーブルと前記碍管を保持する取付板と、
前記取付板を、支持碍子を介して支持する架台と、
を備えた気中終端接続箱であって、
前記支持碍子は、前記取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって前記取付板に固定されていることを特徴とする気中終端接続箱。
【請求項2】
前記取付板における前記碍管側に相当する面の縁が曲面を成していることを特徴とする請求項1に記載の気中終端接続箱。
【請求項3】
前記取付板は略円盤形状を呈し、その取付板における前記碍管側に相当する面に前記凹部が形成されており、前記凹部とは反対側の面に前記支持碍子が固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気中終端接続箱。
【請求項1】
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの導体の先端部に取り付けた導体引出棒を先端側から突き出して、その内部に前記電力ケーブルを収容する碍管と、
前記電力ケーブルと前記碍管を保持する取付板と、
前記取付板を、支持碍子を介して支持する架台と、
を備えた気中終端接続箱であって、
前記支持碍子は、前記取付板に形成されている凹部に没入するように設けた固定部材によって前記取付板に固定されていることを特徴とする気中終端接続箱。
【請求項2】
前記取付板における前記碍管側に相当する面の縁が曲面を成していることを特徴とする請求項1に記載の気中終端接続箱。
【請求項3】
前記取付板は略円盤形状を呈し、その取付板における前記碍管側に相当する面に前記凹部が形成されており、前記凹部とは反対側の面に前記支持碍子が固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気中終端接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−23842(P2012−23842A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159245(P2010−159245)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(502308387)株式会社ビスキャス (205)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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