説明

気体放出機構、圧力調整機構及び排液回収容器

【課題】液体を通過した気体が液体から放出される際の音や液面の揺れ発生を抑制することが可能な気体放出機構、圧力調整機構及び排液回収容器を提供すること。
【解決手段】排液回収容器10であって、貯留部21と、前記貯留部21に貯留した水Wに空気を導入する空気導入部22と、前記貯留される水Wの液面予定部のうち気体放出予定領域に配置する多孔体24と、前記液面予定部の上方及び下方で貯留部と連通する吸引圧読取管路23とを有し、前記貯留された水Wのヘッド圧によって吸引手段の吸引力を調整する圧力調整機構20と、排液を貯留する排液回収部30とを備え、前記排液回収部30は、前記吸引手段に対して前記圧力調整機構20と並列に接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体が液体内を通過して液体から放出される際に発生する音を抑制することが可能な気体放出機構と、この気体放出機構を用いた圧力調整機構及び排液回収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、工業分野、医療分野等におけるバブリング等、貯留された液体に気体を通過させてその後に大気等の気体領域に放出させる気体放出機構では、液体から気体が大気等に移行する際に音や液面の揺れが発生する場合がある。
このような気体放出機構において発生する音は騒音として周辺環境の悪化を招く場合があり、液面の揺れは液位を測定する際の阻害要因となっている。
【0003】
気体放出機構は、例えば、医療分野では薬剤を含んだ液体内に気泡を通過させることにより薬剤の水溶液等を気化し、気化した薬剤を患者が吸入可能な状態に変化させる吸入器等に用いられ、薬液を気化させる際の音が吸入器等を使用する人にストレスを与える場合がある。
【0004】
また、医療分野では、患者等の生体から滲出する血液等の体液を除去するための吸引手段として、例えば、特許文献1に示すような吸引圧力を手元スイッチで容易に調整することが可能な低圧持続吸引器が広く用いられている。
一方、医療施設等において用いられる手術室の壁部に開口した吸引手段に排液バック等を接続して体液を排液バックに吸引させる吸引装置では、吸引手段によって各開口部の吸引圧力を調整することが困難であるために排液回収容器を圧力調整機構を介して吸引手段に接続し、吸引圧が調整されている。
【0005】
かかる圧力調整機構は、例えば、水を貯留する貯留部の液面より下部に空気導入部を接続するとともに液面より上部に吸引源を接続し、貯留した液体、例えば、水の水頭圧(ヘッド圧)によって吸引圧を調整するようになっており、貯留部と連通する液面読取部により吸引圧を確認することができるようになっている。
【0006】
このような圧力調整機構では、液体を通過する際に形成される気泡が大気等の気体領域に移行する際に大きな音が発生するうえ液面の揺れによって液面を読み取ることが困難であるため、そのような問題を解消するために、空気導入部から読取部に連通する流路を複数の小孔、多孔板、又はスポンジ等により形成して読取部に移動する気泡を小さくして音を抑える試みが行なわれている。
また、読取部にボール等を浮かべることにより、液面の揺れを抑制する試みが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−111833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、空気導入部から読取部に連通する流路を複数の小孔、多孔板、又はスポンジ等により形成すること、及び読取部にボール等を浮かべた場合においても、気泡が気体領域に移行する際の音や液面の揺れを充分に抑制することは困難であり、液体内に放たれた気体により形成される気泡が気体領域に移行する際に発生する弊害を抑制するための技術が要望されていた。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、液体を通過した気体が気体領域に移行する際の音や液面の揺れ発生を抑制することが可能な気体放出機構、圧力調整機構及び排液回収容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、液体が貯留される貯留部と、前記貯留部に貯留した液体に気体を導入する気体導入部と、を備え、前記気体導入部から導入した気体が前記液体を通過した後に放出されるように構成された気体放出機構であって、前記貯留される液体の液面を位置させる液面予定部のうち、前記液体から放出される際に前記気体が通過する予定の気体放出予定領域に、前記液体が気体領域と接する界面を細分化する界面細分化部材を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る気体放出機構によれば、貯留部内の液体が気体領域と接する界面を界面細分化部材によって細分化するので、界面細分化部材内で気泡が液体から気体領域に移行する際の気泡が小さくなり、その結果、液体から気体領域に移行する際に大きな音が発生することが抑制される。また、気泡の気体領域への移行が液面において行なわれないため液面の揺れが抑制される。
【0012】
この明細書において、界面細分化部材とは、液体と大気等の気体領域との界面を細分化することで通過する気泡を細分化するものをいい、例えば、一つ一つの気泡が細かく細分化されることはもとより、界面細分化部材内において気泡をなす気体が連続していても、消失する際の気体の大きさが分断等により細分化されているものを含む。
また、界面細分化部材による界面の細分化とは、気泡が界面を通過する際の流路の長さ、幅の双方を小さくする場合(例えば、円形等も含む)の他、界面における流路に継続的に長い部分が形成されている場合であっても通過した気体が分断され、又は消失する単位が細分化されている場合も含む。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の気体放出機構であって、前記界面細分化部材は、前記貯留部内の前記液面予定部から前記気体導入部との接続部まで設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る気体放出機構によれば、界面細分化部材が液面予定部から気体導入部との接続部まで設けられているので、気泡が界面細分化部材から液体側に漏出することが抑制され、気泡を界面細分化部材内に容易に留めて界面部分に移行させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の気体放出機構であって、前記界面細分化部材が、多孔体であることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る気体放出機構によれば、界面細分化部材が多孔体であるので通過する気泡を3次元的に細分化するとともに、細分化された気体の再結合が抑制される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の気体放出機構を備えた圧力調整機構であって、前記貯留部は、前記液面予定部より上方において吸引手段と接続され、前記吸引手段は、前記貯留部に貯留された液体を介して前記気体導入部と接続されるとともに前記気体導入部の前記気体が導入される側は大気に開放され、前記貯留された液体のヘッド圧によって前記吸引手段の吸引力を調整することを特徴とする。
【0018】
この発明に係る圧力調整機構によれば、気泡が気体領域に移行する際の音及び液面の揺れの発生を抑制しつつ吸引手段の吸引圧を液体のヘッド圧により容易に調整することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の圧力調整機構であって、前記貯留部と、前記液面予定部の上方及び下方で連通する吸引圧読取管路を備えることを特徴とする。
【0020】
この発明に係る圧力調整機構によれば、吸引圧読取管路が貯留部と上下で連通して、吸引圧読取管路の内部に界面細分化部材が配置されていないので、吸引圧読取管路内の液体の液面は界面細分化部材によって揺れが小さく抑制されるとともに、界面細分化部材によって読み取りにくくなることもなく、吸引圧を容易に読み取ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の圧力調整機構と、排液を貯留する排液回収部とを備え、前記排液回収部は、前記吸引手段に対して前記圧力調整機構と並列に接続されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る排液回収容器によれば、所定の吸引圧で容易に排液を排液回収部に吸引することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る気体放出機構によれば、気体導入部から流入した気体からなる気泡を界面細分化部材により細分化するので、気泡が液体から気体領域に移行する際の音、液面の揺れの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る圧力調整機構によれば、吸引圧を容易に調整することができる。
また、本発明に係る排液回収容器によれば、患者周辺を静かにするとともに吸引圧読取管路により吸引圧を容易に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸入器の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る排液回収容器の概略を示す斜視図である。
【図3】第2の実施形態に係る排液回収容器の圧力調整機構の概略を示す縦断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る排液回収容器の変形例を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1を参照して、この発明の第1の実施形態に係る吸入器について説明する。
吸入器1は、吸入対象である薬剤を含有する薬剤水溶液(液体)Mが貯留される薬液貯留部(貯留部)2と、蓋部材3と、空気供給管(空気導入部)4と、吸入管5と、多孔体6とを備えている。
【0026】
薬液貯留部2は、例えば、透明なガラス又はプラスチック製の容器からなり上部は縮径されて略円錐状とされ、先端に開口部2Aが開口する形態とされている。
蓋部材3は、例えば、ゴム等の樹脂からなり、開口部2Aに挿入した状態で開口部2Aと蓋部材3の間が密封されるようになっている。蓋部材3には、第1の孔3Aと第2の孔3Bの二つの貫通孔が形成されていて、開口部2Aに挿入された状態で第1の孔3Aと第2の孔3Bを介して薬液貯留部2は外部と流通可能とされている。
【0027】
空気供給管4は、蓋部材3に形成された第1の孔3Aに挿入され、一方端が薬液貯留部2内において多孔体6の下方に開口され、他方端には図示しない空気供給源が空気供給チューブ4Aを介して接続されている。
吸入管5は、蓋部材3に形成された第2の孔3Bに挿入され、一方端が薬液貯留部2内において多孔体6の上方に開口され、他方端には吸入マスク7に連通する吸入チューブ5Aが接続されている。
【0028】
多孔体6は、薬液貯留部2の内周とほぼ接するように形成された、例えば、空隙率が約95%以上のスポンジ様の発泡ポリウレタン等からなり、薬液貯留部2内の薬剤水溶液Mの液面予定部に配置されて下部が薬剤水溶液Mに浸漬され、多孔体6の内部に薬剤水溶液Mと大気(気体領域)が接する界面が形成されるようになっている。なお、多孔体6のセルサイズとしては、例えば液体が水等であり気体が空気の場合には、(6〜16セル/25mm)が好適であるが、上記以外の空隙率、セルサイズでもよいことはいうまでもない。
【0029】
多孔体6は、多数の孔を有する三次元的に伸びる壁部から構成され、薬剤水溶液Mと気体領域の界面を細分化して、例えば、壁部で仕切られる界面の単位面積を細かくするようになっており、薬剤水溶液M内に放たれた空気による気泡を多孔体6内で細分化するとともに細分化された気泡を多孔体6で消失させるようになっている。
【0030】
次に、吸入器1の作用について説明する。
1)図示しない空気供給源から供給された空気が薬剤水溶液M内に供給されて気泡が形成される。
2)薬剤水溶液M内で形成された気泡は、薬剤水溶液M内を上昇した後に多孔体6内に入り込む。
3)多孔体6に入り込んだ気泡は、多孔体6を移動するうちに多孔体6内で細分化され、細分化された気泡が消失する際に薬剤水溶液Mを気化する。
4)気化された薬剤は、吸入管5及び吸入チューブ5Aを経由して吸入マスク7に移動する。
【0031】
吸入器1によれば、薬剤水溶液M内に放出された空気により形成された気泡の消失及び薬剤水溶液Mの気化が多孔体6内で行われるので、薬剤水溶液M内の気泡が気体領域に移行する際の音及び薬剤水溶液Mの揺れの発生が抑制される。
その結果、薬剤水溶液Mの気化を安定して行うことができる。
【0032】
次に、図2、図3を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。
図2、図3は、排液回収容器10の概略構成を示す図である。
排液回収容器10は、患者等の生体から排出された体液等を例えば、手術室の壁面等に設けられた吸引手段(図示せず)により所定の吸引圧で吸引、排液を回収するものである。
【0033】
排液回収容器10は、例えば、外形が直方体とされ一体の透明プラスチックス等で形成された筐体11からなり、吸引手段の吸引圧を調整する圧力調整部(圧力調整機構)20と、排液を貯留する排液回収部30とを備え、排液回収部30の吸引圧は圧力調整部20によって調整可能とされている。
【0034】
圧力調整部20は、例えば、貯留部21と、空気導入部(気体導入部)22と、吸引圧読取管路23とを備え、貯留部21には多孔体24が配置されている。
貯留部21は、下方が空気導入部22と流通可能に接続されて貯留部21内に空気を導くようになっており、吸引圧読取管路23と上方及び下方が流通可能に接続されていて貯留部21の上部は気体区画(気体領域)25とされている。
【0035】
気体区画25は、上部に吸引用開口部12が開口し、吸引用開口部12には吸引チューブ13が接続されて気体区画25内の空気を吸引手段に吸引するようになっている。
【0036】
多孔体24は、例えば、スポンジ様の発泡ポリウレタン等からなる多数の孔を有し三次元的に伸びる壁部から構成されており、貯留部21に水Wを貯留した場合における水面予定部(液面予定部)より上方の気体区画25から貯留部21と空気導入部22の接続部まで延在している。
【0037】
その結果、多孔体24は、下部が水に浸漬されるとともに上部が気体区画25に接し、多孔体24の下部から入った気泡が多孔体24内で細分化されるとともに消失するようになっている。なお、多孔体24の空隙率、セルサイズは、第1の実施形態と同様である。
【0038】
吸引圧読取管路23は、側部に目盛りが設けられ、吸引圧の代用特性として貯留部21に貯留された水の高さを読み取って吸引圧を確認することができるようになっている。
【0039】
排液回収部30は、第1回収部31と、第2回収部32と、水封部33とを備え、第1回収部31、第2回収部32、水封部33はこの順に流通可能に接続されるとともに第1回収部31の排液流入口31Aは、患者等の生体から排液を回収する排液チューブ31Bに接続されている。
【0040】
第1回収部31は、第2回収部32と仕切板34により仕切られており、第1回収部31と第2回収部32とは、仕切板34の上方においてのみ流通可能とされている。
第2回収部32は、水封部33と仕切板35により仕切られており、第2回収部32と水封部33とは、仕切板35の上方においてのみ流通可能とされている。
【0041】
水封部33は、上方から形成された仕切板36により下部のみで流通可能とされる二つの領域に区分されるとともに、第2回収部と反対側の領域の上部が気体区画25と接続され、吸引手段に対して圧力調整部20と排液回収部30とは並列に接続されている。
水封部33を構成する2つの領域は、吸引手段に近い側(図3において右側)の断面積(横断面積)が、吸引手段から遠い側(図3において左側)の断面積よりも大きく形成され、下部には水が保持されていて通常の吸引状態では、患者側よりも気体区画25のほうが負圧であるために、吸引手段に近い側の水面が高くなっている。
【0042】
患者が咳やくしゃみをした後などに患者側の負圧が大きくなると、水封水は、左側の細い流路を上昇するが、左右の液面の差による水頭圧が気体区画25と第1回収部31及び第2回収部32の差圧と等しくなったところで水封部33の左側の水封水の上昇が止まり、これにより、気体区画25から第1回収部31、第2回収部32への空気の流入が遮断される。
【0043】
次に、排液回収容器10の作用について説明する。
1)図示しない吸引手段を作動させて、排液回収容器10内の気体区画25の空気を吸引用開口部12から吸引する。
2)排液回収容器10内の空気を気体区画25から吸引すると、気体区画25が負圧となり、空気導入部22及び排液流入口31Aから排液回収容器10内に流入する吸引圧が形成される。
3)吸入するべき排液がある場合には、排液が排液流入口31Aから排液回収部30内に吸引され、排液は第1回収部31、第2回収部32の順に貯留される。
4)一方、空気導入部22から気体区画25に吸引される空気が貯留部2内の水Wを通過することにより、排液チューブ31B先端の吸引圧が所定の圧力に調整される。
5)空気導入部22から導入された空気は、空気導入部22から貯留部21に移行する際に気泡となり、貯留部21内の多孔体24に入り込むとともに多孔体24により細分化されながら上昇して水面予定部近傍において気体区画25と接する界面において消失する。
また、この場合、貯留部21の下部、空気導入部22の下部及び吸引圧読取管路23の下部は水Wが流通可能に接続されているが、空気導入部22から導入された空気は多孔体24により遮られ、あるいは他の手段によって吸引圧読取管路23への空気の侵入が防止されて多孔体24内を上昇する。
6)一方、水Wは、貯留部21、空気導入部22、吸引圧読取管路23の下部で連通しているので、空気導入部22から空気が流入しても貯留部21と吸引圧読取管路23は同一の水位となり、その結果、貯留部21内の水位を吸引圧読取管路23で読み取ることができ、その結果、吸引圧を確認することができる。
【0044】
排液回収容器10によれば、空気導入部22から導入された空気が多孔体24内で細分化、消失するので水Wから気泡が放出される際の音の発生が抑制される。また、水面の揺れが抑制される。その結果、静かな状態で排液回収容器10により安定した吸引を行なうことができる。
【0045】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
上記実施の形態においては、気体放出機構を、吸入器1、排液回収容器10に適用する場合について説明したが、例えば、液体にバブリングすることで洗浄し、又は気体を溶解させる装置等、種々の装置に適用可能であり、工業分野等、医療分野以外の分野で適用してもよい。また、上記実施の形態においては、気体が空気とされ、液体が薬剤水溶液M又は水Wである場合について説明したが、気体としてその他のガスを用いてもよいし、液体として薬剤水溶液M、水W以外のもの、例えば、水Wに消泡材や色素のような添加物を加えたものを用いてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態においては、界面細分化部材がスポンジ等の多孔体6、24である場合について説明したが、繊維を寄せ集めた集合体、中空細管等、液体と気体の界面を細分化可能な多孔体以外のものを用いてもよい。
また、界面細分化部材である多孔体6、24が液面予定部全体にわたって配置されている場合について説明したが、液面予定部のうち気体領域に移行する際にすべての気泡が通過する領域に限って多孔体等の界面細分化部材を配置してもよい。
【0047】
また、排液回収容器10においては、多孔体24が液面予定部から空気導入部22との接続部まで延在する場合について説明したが、例えば、図4(A)に示すように気泡が吸引圧読取管路23に入り込まないように仕切板21Aを配置し、例えば、界面細分化部材24Aを液面予定部を含むように配置してもよいし、図4(A)における仕切板21Aに代えて、例えば、多孔体等からなる気泡の移動を抑制する部材21Bにより空気導入部22から吸引圧読取管路23への気泡の侵入を抑制する構成としてもよい。
また、貯留部21と空気導入部22の連通部と、貯留部21と吸引読取管路23の連通部の位置関係を前後、あるいは上下にずらすことによって空気導入部22から流入した空気が吸引圧読取管路23に侵入しないようにしてもよいことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
液体から放出される気泡を界面細分化部材を通過させ、細分化して気体領域に移行させることで気泡が気体領域に以降する際に発生する音、液面の揺れを抑制することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
M 薬剤水溶液(液体)
W 水(液体)
1 吸入器
2 薬液貯留部(貯留部)
4 空気供給管(空気導入部)
6 多孔体(界面細分化部材)
10 排液回収容器
20 圧力調整部(圧力調整機構)
21 貯留部
23 吸引圧読取管路
25 気体区画(気体領域)
30 排液回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留される貯留部と、
前記貯留部に貯留した液体に気体を導入する気体導入部と、を備え、
前記気体導入部から導入した気体が前記液体を通過した後に放出されるように構成された気体放出機構であって、
前記貯留される液体の液面を位置させる液面予定部のうち、前記液体から放出される際に前記気体が通過する予定の気体放出予定領域に、前記液体が気体領域と接する界面を細分化する界面細分化部材を備えることを特徴とする気体放出機構。
【請求項2】
請求項1に記載の気体放出機構であって、
前記界面細分化部材は、前記貯留部内の前記液面予定部から前記気体導入部との接続部まで設けられていることを特徴とする気体放出機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の気体放出機構であって、
前記界面細分化部材が、多孔体であることを特徴とする気体放出機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の気体放出機構を備えた圧力調整機構であって、
前記貯留部は、前記液面予定部より上方において吸引手段と接続され、
前記吸引手段は、前記貯留部に貯留された液体を介して前記気体導入部と接続されるとともに前記気体導入部の前記気体が導入される側は大気に開放され、前記貯留された液体のヘッド圧によって前記吸引手段の吸引力を調整することを特徴とする圧力調整機構。
【請求項5】
請求項4に記載の圧力調整機構であって、
前記貯留部と、前記液面予定部の上方及び下方で連通する吸引圧読取管路を備えることを特徴とする圧力調整機構。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の圧力調整機構と、
排液を貯留する排液回収部と、を備え、
前記排液回収部は、前記吸引手段に対して前記圧力調整機構と並列に接続されていることを特徴とする排液回収容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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