説明

気体濃縮方法およびその装置

本発明は、吸着剤に圧力差を加えて濃縮気体を得る方法およびその装置に関し、特に、生産気体の濃度よりも生産量に重点を置いた、各工程段階で連続生産の概念を導入して多量の富化気体を得る方法およびその装置に関する。本発明は、従来の圧力スイング吸着(PSA)の工程のうち、減圧段階においても所望の目的物を続けて生産して目的物の回収率および生産性の向上を図るスピーディな圧力スイング吸着方法(RPSA)を、真空スイング吸着方式(VSA)に導入した方法およびその装置に関する。本発明に係る装置は、産業用への応用よりも小型機器に適用できるという長所があり、特に、小型酸素濃縮器に適用した場合、医療用以外に家電製品である空気調和用および浄水器などに応用し得るように構成することができるという長所がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各気体に対して選択的な吸着力を有する吸着剤に圧力差を加え、混合気体から特定の気体を分離することで、原料気体から特定気体の濃度を高めた富化気体を得る方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着剤を用いて特定気体の濃度を高める濃縮方法には、気体分離膜に圧力を加えて気体の通過速度の差を利用する方式と、ゼオライト分子篩(Zeolite Molecular Sieve、ZMS)やカーボン分子篩(Carbon MS、CMS)を利用してそれらを充填した容器に圧力差を加え、特定成分の気体を吸着剤に吸着させるとともに、より吸着性の低い成分を分離する圧力スイング吸着(PSA、Pressure Swing Adsorption、以下「PSA」という)方式とに大別される。前記圧力スイング吸着(PSA)方式はSkarstromによって提示され、様々な方面に用いられている。
【0003】
PSA方式は、通常常圧以上で気体を吸着させ、大気圧で脱着および再生過程を行う。1950年代以降発展してきたPSA方式は、産業上での酸素および窒素などの生産に多く用いられており、空気乾燥、酸素濃縮、水素精製のほかに、最近浄水器、エアコン、空気清浄器および医療機器などに適用され、さらに小型化製品にも適用されている。前記PSA方式によって酸素が得られることから、該方式は、酸素を連続的に使用する産業、具体的には電気炉製鋼、下水処理時の水中に空気を入れて排水浄化する装置、パルプ漂白装置、オゾン発生装置などに、近年には空気燃焼の代わりに酸素を富化させたガスを用いて低NOx化、効率化を図る用途にも利用され、さらに発酵などの生化学分野に至るまで幅広く利用されている。特に最近、空気汚染の深刻化に伴い、酸素濃縮器は事務所や家庭の空調用に適用され、家電製品化され始めた。
【0004】
図1は、代表的なPSA方式による、2つの吸着ベッドを使用した4段階基本工程であるSkarstromサイクルを示す図でる。同図のPlとPhはそれぞれ運転される圧力の相対的な低圧値および高圧値を示す。前記4段階には供給原料加圧段階(Feed Pressurization Step)、生産段階、ブローダウン段階(Blowdown Step)、そして浄化段階(Purge Step)が基本的に含まれる。前記加圧段階では吸着段階が行われ、前記ブローダウン段階および浄化段階では脱着段階(Desorption Step)が行われる。典型的なO2−PSA方式は、米国特許第3,430,418号;第4,589,888号;第4,650,501号および第4,981,499号に記載されている。このような基本工程を基礎として圧力均等化段階などが追加され、多段階工程が行われる。
しかし、かかる工程は、吐出圧力が激しく変動するので、偏差を減らすためには吸着ベッドの個数を増やす必要がある。マルチベッドシステムは効率面で好ましいが、小型化に限界があり、前記PSA装置は医療用高濃度システムには有利であるが、濃度よりは生産量本位の家電用には不利であり、初期製作費用が割りに高いという短所がある。
【0005】
例えば、図7に示す従来の方式(特開平08−239204号公報)では、入力端部に多数の弁14、12a、17a、12b、17bを必要とするばかりでなく、生産端部にも多数の弁110a、110bを必要としている。また、吸着ベッドAおよびBの均圧ライン112には切換弁113が設けられている。しかも、均圧ライン112における切換弁13を迂回するように、絞り装置14を備える均圧迂回路ライン115が設けられていて、複雑な構造をなしている。
【0006】
PSA方式は、運転される圧力により大気圧以上で行なわれる典型的なPSA方式と、大気圧以上と真空圧との間で行なわれるVPSAと、大気圧以下で行なわれるVSAとにわけられるが、VSAおよびVPSAが混用されたり、包括してPSAと呼ばれたりする。V(P)SA方式の例は、米国特許第5,122,164号;第5,223,004号および第5,246,676号に記載されている。
【0007】
PSA工程の代表的な評価要素としては濃度、回収率、そして生産性であるが、従来の方式では、産業用に重点を置いて主に濃度および回収率、そして初期設備投資費および運転費を考慮した上で工程設計およびシステム設計が行われた。
【0008】
1970年代に開発されたRPSA(Rapid PSA)は、生産気体の生産量に重点を置いた工程である。ほとんどのPSA工程では吸着ベッド内部の圧力降下がほぼないか無視されるのに対して、前記RPSAでは、吸着ベッドの内部に小さな粒子を充填して圧力降下を発生させ、それを用いて数倍に達する酸素富化空気を生産することができた。すなわち、前記RPSAは、一般的なPSA工程とは異なり、減圧段階でも所望の目的気体が生産され続けるので、目的気体の回収率を高め、吸着剤の生産性を向上させることができた。
【0009】
図2は、かかるRPSA基本3段階工程である加圧段階、遅延段階、そして減圧段階を示す図であって、中間段階である遅延段階は必要によって省略することができる。同図に示すように、各段階で生産は続けられ、加圧段階および減圧段階は数秒のわずかな時間内に行われる。RPSAの典型的な例は、米国特許第4,406,675号;米国特許第5,827,358号;米国特許第6,068,680号および米国特許第6,565,627号に記載されている。この工程は、飛行士の非常用酸素供給装置と一部産業用とに適用したこともあるが、一般小型家電製品への応用はできなかった。
【0010】
家庭用空気清浄器やエアコンされる小容量酸素濃縮器の場合、目的空間の最終的な酸素濃度は、人に快適感を与える21〜23%程度であるので、事実上産業用でのような高濃度は意味がないものである。さらに浄水器に適用する場合にも、50%以上の酸素濃度であれば、十分溶存酸素量を増大させることができるとされている。したがって、小型機器にとっては、RPSAの如き高生産量を達成できる工程を選択することが好ましい。
【0011】
常圧以上で行なわれるPSAの場合は、小型化する場合、効率はよいが、通常用いる圧力である2気圧乃至5気圧程度の圧力を使用すると、ポンプの騒音及び熱且つ耐久性問題が最も大きな問題として台頭し、室内家電用機器への適用が困難であるとされている。最近、米国特許第5,07482号、米国特許第6,010,555号および米国特許第6,506,234号など吸脱着圧力比を最大限低減し、回収率を高める方法が提案されているが、それを達成するためには高性能の吸着剤が必要とされ、該吸着剤の再生問題に難があるため、その適用に限界がある。また、これらは小型機器および生産性に重点を置いたものであるとは言えないので、医療用には適しているが、小型家電機器には適していない。これらを小型家電に適用するためには、低電力で最大の生産性を上げる工程が必要になる。
【0012】
大気圧以上と真空圧との間で行なわれるVPSA方式の場合は、PSAよりも静粛な運転はできるが、複雑な多段階制御と弁装置およびサージタンクなどとを必要とするので、安価な構成はできない。
【0013】
大気圧以下でのみ行なわれる純粋VSAの場合は、メイン真空ポンプを備えて吸着および脱着を行い、送風機を用いて濃縮気体を供給する方式を用いる。この方式は、吸着剤に加えられる圧力の差が小さいので、真空ポンプの騒音および熱問題が相当解消されるという長所がある。しかしながら、機器構成において基本的に2つのポンプを必要とするので経済的に不利であり、小型機器に応用すると、その生産性が低くて高性能吸着剤が必要となる。しかも、前記吸着ベッドを3つ以上備えると、弁制御が複雑になるので、小型一般空調用としては適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためのもので、簡単な連続生産工程を実現して生産性を高め、装置を単純化して小型化し、前記工程を小型気体濃縮装置に適用することにより、生産コストを低減し、多量の濃縮気体を得ることを目的とする。
本発明は、大気圧より高い圧力と大気圧で行なわれるPSA方式よりも相対的に低騒音、低発熱および耐久性に優れたVPSAやVSA方式を用いて、高生産および工程の単純化を実現することを目的とする。
【0015】
本発明は、高濃度の濃縮気体を生産するよりも回収率および生産性に重点を置いた工程を実現することを目的とし、特に、前記工程を大気圧下でのみ行なわれるVSA工程に適用し、高性能吸着剤を使用することにより、低騒音化および小型化を可能にした気体濃縮器を実現することを目的とする。
【0016】
本発明は、2つの吸着ベッドを用いて連続生産が可能で、生産流量の変化が少なく、濃縮気体の濃度を調節し得る気体濃縮器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、一実施例によれば、特定の気体に対して選択的な吸着特性を有する吸着剤に圧力差を加えて気体を分離する気体濃縮方法において、第1吸着ベッドにおいて、その内部圧力を原料混合気体の圧力より低くして、混合気体を吸着ベッドの供給端部内に流入させ、吸着性の高い成分を優先的に吸着剤に吸着させ、第2吸着ベッドにおいて、その内部圧力を減少させて、吸着されていた成分を脱着させ、一方、前記第1吸着ベッドにおいて、より吸着性の低い成分を第1吸着ベッドの生産端部を通して外部に排出して富化気体を生産し、前記富化気体の一部を、前記各吸着ベッドの生産端部間に連結された微細管を通して前記第2吸着ベッドの生産端部に供給する第1段階と;前記第1吸着ベッドにおいて、その内部を供給端部から減圧して吸着されていた成分を脱着させ、第2吸着ベッドにおいて、原料混合気体を供給して供給端部から加圧して吸着性の高い成分を吸着させ、この過程中に前記第1および第2吸着ベッドのそれぞれの生産端部から供給端部までの間には圧力勾配が存在していて、第1吸着ベッドの生産端部は第2吸着ベッドの生産端部より圧力が高くて、生産気体の一部が第1吸着ベッドの生産端部から第2吸着ベッドへ生産端部へ供給され、この過程中にも生産気体は連続的に生産され、第1吸着ベッドおよび第2吸着ベッドの生産端部から同時に富化ガスが生産される時期が存在する第2段階と;第1吸着ベッドの生産端部と第2吸着ベッドの生産端部との圧力を前記第2段階と逆転して、第1段階と反対に、第1吸着ベッドでは脱着が行われ、第2吸着ベッドでは吸着が行われ、第2吸着ベッドの生産端部から生産される富化気体の一部が第1吸着ベッドの生産端部を通して供給されるとともに、第2吸着ベッドの生産端部から富化気体が生産される第3段階と;前記第2段階と反対に、各吸着ベッド内の圧力勾配によって生産気体の一部が第2吸着ベッドの生産端部から第1吸着ベッドの生産端部へ供給され、第1吸着ベッドにおいて、原料混合気体の供給によって供給端部から加圧して吸着が行われ、第2吸着ベッドにおいて、供給端部から減圧して脱着が行われ、この過程中にも生産気体は連続的に生産され、第1吸着ベッドおよび第2吸着ベッドの生産端部から同時に生産される時期が存在する第4段階と;を含むことを特徴とする気体濃縮方法が提供される。
【0018】
前記酸素濃縮器の場合、混合気体は空気であり、吸着性の高い成分は窒素で、吸着性の低い成分は酸素である。また、吸着圧力は、VPSAの場合には1乃至2気圧であり、VSAの場合は大気圧である。なお、脱着圧力は、真空ポンプ手段によって決定される真空圧であって、真空ゲージ圧200mmHg以上であることが好ましい(真空ゲージ圧とは大気圧を0とするとき、それより低い圧力値のことである)。
【0019】
また、本発明は、他の実施例によれば、混合気体から不純物をろ過するフィルターと;前記吸着剤を有する2つ以上の吸着ベッドと;前記吸着ベッド内に真空圧を加える真空ポンプ手段と;前記真空ポンプ手段による真空圧と混合気体の圧力とを交互に吸着ベッドに加えるように流路を切り換える弁手段と;各吸着ベッドの生産端部を連結する微細管と;
生産端部を通過する生産気体を一方向に流し出すチェック弁と;前記チェック弁を通過した生産気体を吸入して目的空間に噴射する気体吐出機と;を含むことを特徴とする気体濃縮装置を提供する。
【0020】
前記チェック弁と気体吐出機との間に調節手段を備えることで、吸着ベッドの生産端部から生産される生産気体の濃度および流量を調節することが好ましい。なぜなら、本発明の装置は、高濃度に限定されるものではなく、酸素濃縮器の如く25〜35%の空調用および呼吸用から50%以上の浄水器などにいたるまで多様に適用し得るが、この際、吸着ベッドの大きな変更無しに調節手段によってその適用が可能になるからである。
【0021】
また、前記気体吐出機とフィルターとの間に混合空気調節手段を備え、前記生産気体との混合量を調節することにより、前記チェック弁と気体吐出機との間の調節手段と連係して、最終生産気体の濃度および流量を調節することが好ましい。吸着ベッドに含まれた吸着剤は、一般的に吸着された不純物および湿気が完全には再生できないので、吸着剤の寿命を考慮すると、吸着ベッドを直接通過する気体の量をなるべく減らすほうが望ましい。本発明の一実施例によれば、前記2つの調節手段により、吸着ベッドを通過しなかった混合気体を、吸着ベッドを通過した生産気体に混合することにより、吸着ベッドを通過する気体の量を減らすことができるという効果がある。前記2つの調節手段は、応用先の富化空気の濃度および流量に合わせるために、気体吐出機とフィルター間の調節手段を用いて吸着ベッドを通過する流量を最小化しながら、目標濃度および流量を達成できるように、気体吐出機とフィルターとの間の調節手段を調整する。
【0022】
前記真空ポンプ手段および気体吐出機は同一のモータによって駆動可能である。また、前記チェック弁の開閉真空圧を好ましくは真空ゲージ圧100mmHg以下に、より好ましくは50mmHg以下に設定することで、吸着ベッドの混合空気供給端部の弁による単純流路切り換えにより、前記方法で第2段階および第4段階を実現することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施例を参照して詳細に説明する。
図3は本発明に係る工程を示す図式図である。本工程は標準4段階(ステップ)工程で構成され、Pl(P low)とPh(P high)は、吸着ベッド内でそれぞれ相対的に低い圧力および高い圧力を意味する。
【0024】
同図に示す各段階を詳しく説明する。第1段階では、吸着ベッド1で脱着が、吸着ベッド2で吸着がそれぞれ行われ、特に吸着ベッド2を基準としてみると、混合気体が吸着ベッド2に流入し、より吸着性の高い成分が吸着剤に吸着され、より吸着性の低い成分の生産気体が、生産気体の出口である生産端部を通して生産される。生産気体の一部は、吸着ベッド1の生産端部を通して流入し、相対的に高圧、高濃度で吸着ベッド1の吸着剤を浄化する。小型酸素濃縮器の場合、前記第1段階は2〜5秒の範囲で行うことが望ましい。また、本発明の適用範囲はVPSAおよびVSA工程にあり、最大限低い圧力を使用することに重点を置いているので、吸着ベッド1の供給端部に供給される混合気体の圧力は、VPSAでは2気圧以下とし、そして純粋VSA工程では大気圧または大気圧より数十mmHg程度低い圧力の、若干の真空圧とすることが適当である。
【0025】
第2段階では、第1段階に比べて割りに短時間(小型の場合2秒以下)で行われる。吸着ベッド2の供給端部(混合気体吸入部)では混合気体の供給が中断され、真空ポンプ手段による減圧・脱着が引き続き行われる一方、吸着ベッド1の供給端部では混合気体が供給され、昇圧・吸着が引き続き行われる。しかし、吸着ベッド1および吸着ベッド2の内部には圧力勾配が存在しているため、依然として吸着ベッド2の生産端部の圧力が吸着ベッド1の生産端部の圧力より高くて、富化気体(enriched gas)の一部が吸着ベッド2の生産端部から吸着ベッド1の生産端部へ移動する。この間にも吸着ベッド2の生産端部から富化気体が生産され続ける。ただし、吸着ベッド2の生産端部と吸着ベッド1の生産端部との間の圧力がほぼ平衡に達すると、前記2つの吸着ベッドで同時に富化気体が生産される。前記第2段階は、各吸着ベッドで同時に富化気体が生産され始め、さらに各吸着ベッドの生産端部の圧力が逆転し、富化気体の一部が吸着ベッド1の生産端部から吸着ベッド2の生産端部へ移動し始めるまで進められる。
【0026】
この部分が本発明の大きな特徴の1つであり、これは各吸着ベッド内に圧力勾配があることを利用したものである。従来の技術では、富化気体はそれぞれの吸着ベッドからそれぞれON/OFF式で生産され、1つの吸着ベッドからは富化気体の生産が中断され、もう1つの吸着ベッドからはその生産がスタートする時点で、生産される富化気体の吐出圧力に激しい変化乃至低下が生じた。しかし、本発明ではかかる点が非常に緩和された。
【0027】
第3段階では、吸着ベッド1の生産端部の圧力が吸着ベッド2の生産端部の圧力より高くなって、第1段階と反対に、すなわち第1段階での生産端部間の富化気体の流れが逆転し、吸着ベッド1の生産端部から吸着ベッド2の生産端部へ生産物の一部が逆流し(reflux)、生産気体は連続的に排出される。言い換えれば、吸着ベッド2では脱着が、吸着ベッド1では吸着がそれぞれ行われ、特に吸着ベッド1を基準としてみると、混合気体が吸着ベッド1に流入し続け、より吸着性の高い成分が吸着剤に吸着され、より吸着性の低い成分の生産気体が、生産気体の出口である生産端部を通して生産される。生産気体の一部は、吸着ベッド1の生産端部から吸着ベッド2に流入され、相対的に高圧、高濃度で吸着ベッド2の吸着剤を浄化する。
【0028】
第4段階では、第2段階と同様に各吸着ベッド間の吸着よび脱着が転換される。各吸着ベッド内部には圧力勾配が存在しているため、生産気体の一部が依然として第3段階と同一の方向に、すなわち吸着ベッド1の生産端部から吸着ベッド2の生産端部へ富化気体の一部が供給され、生産気体は排出され続ける。言い換えれば、吸着ベッド1の供給端部(混合気体の吸入部)では混合気体の供給が中断され、真空ポンプ手段による減圧・脱着が引き続き行われる一方、吸着ベッド2の供給端部では混合気体が供給され、昇圧・吸着が引き続き行われる。第4段階でも吸着ベッド1および2で同時に富化気体が生産される時期がある。
【0029】
第2段階から第3段階に転換する場合と、第4段階から第1段階に転換する場合とに、各吸着ベッドの生産端部の圧力変化および富化気体の流れなどは、同一の過程を経る。
【0030】
各段階における各吸着ベッドの圧力の経時的変化は、図6に示されている。以下、詳細に説明する。
【0031】
前記各段階における各吸着ベッド間の富化気体の流れは、各吸着ベッドの生産端部間の圧力差によって行われ、富化気体の流れを調節する別途の装置や弁などは不要である。ただし、富化気体の円滑な生産のためには、各生産端部間に適切に設計されたオリフィスを使用することが好ましい。
【0032】
前記各段階における供給端部の圧力は、真空ポンプ手段および気体吐出機を使用するVSA工程の場合には、真空ゲージ圧数十mmHg〜大気圧の範囲とし、真空ポンプ手段および空気圧縮手段を使用するVPSA工程の場合には、2気圧範囲以内とすることが好ましい。生産端部の圧力は、前記供給端部の圧力および生産物吐出方法によって決定され、通常真空ゲージ圧300mmHg〜1.8気圧の範囲である。富化気体の吐出圧力は、別途の気体吐出機を使用する場合には、気体吐出機の圧力によって決定され、一方、VPSA工程の如く別途の空気圧縮手段を使用する場合には、供給気体の圧力によって決定され、1.8気圧以下の範囲とすることが好ましい。
【0033】
本発明に係る実施例である、真空ポンプ手段および気体吐出機を用いて富化気体を供給するVSA工程の場合、吸着圧力は、混合気体が有する圧力とし、空気中の酸素分離時には大気圧とすることが好ましく、脱着圧力は、真空ポンプ手段によって決定される真空ゲージ圧200mmHg以上とすることが好ましく、生産端部の圧力は、大気圧より数十mmHg〜300mmHg程度低い圧力で行われることが好ましい。
【0034】
また、供給される混合気体は、本発明の応用は酸素分離に重点を置いているので、空気とすることが好ましい。酸素を濃縮する場合、吸着剤への吸着性の高い成分は窒素で、吸着性の低い成分は酸素であれば、生産気体は酸素となり、脱着ガスは窒素となる。勿論、吸着ベッドの吸着剤の性質に沿って、様々な種類の気体の分離および濃縮が行われる。本発明で生産を目的とする気体の種類に応じて、適当な吸着剤を選択することができる。
【0035】
従来の図1とは異なって本発明の一実施例に係る図3によれば、全工程で生産ができ、連続生産が可能となり、生産端部からの流れが円滑でその変動幅が極めて小さく、サイクルの各段階では数秒以内のスピーディな工程が行われる。各段階別時間は3秒以内になる。家電用小型酸素濃縮器のように超小型ベッドに適用する場合は、全サイクルの所要時間を10秒以下にすることができる。
【0036】
図1の工程によれば、実際は生産が不連続的に行われ、各段階によって生産流量が激しく変化するので、サージタンクを必要とし(米国特許第6,663,691号、特開平4−505448、特開平4−222613)、または圧力および流量の変化を減らすために、マルチベッド工程に拡張する必要がある。この場合、弁の構成が複雑になるので、モータによって駆動される流路付き回転板を有する回転弁を用いて、吸着および脱着を制御する必要がある。これに対して、図3の工程によれば、全工程で富化気体の連続生産が行われ、生産端部からの生産気体の流れが円滑に行われるので、別にサージタンクを設置しなくても、2つの吸着ベッドのみで富化気体の吐出圧力変化および流量変化を比較的小さくすることができる。
【0037】
図4は吸着ベッド1内の長さ別圧力分布を概略的に示す図である。同図に示すように、RPSAと同様に吸着ベッド内部の吸着剤粒子として小さいものを使用して圧力勾配を示す。吸着ベッドはなるべく小さいサイズの吸着剤を充填し、各段階は極めて短時間で行われるので、入口と出口との間に圧力勾配が存在している。このような過程中に圧力勾配が大きい第2段階および第4段階が行われ始め、吸着ベッド1および吸着ベッド2のそれぞれの生産端部の圧力が平衡に達するまで行われる。第2段階が行われ、吸着ベッド1の生産端部の圧力は吸着ベッド2の生産端部圧力より増加し、さらに第3段階に進められ、吸着ベッド1の生産端部から吸着ベッド2の生産端部への逆流が行われ、富化気体が生産され始める。
【0038】
本工程は、常圧以上で行われるPSA工程にも利用し得るが、前記各段階で述べたように、脱着過程に真空圧を設定するVPSAおよびVSA工程に利用することが好ましい。さらに、本工程は、各段階で連続生産ができて生産流量の変化を減らし、低い圧力差で静粛運転の可能な別途の生産気体吐出用ポンプを用いる、図5の実施例のようなVSA工程用装置に利用することがより好ましい。なぜなら、本工程は、本発明の目的が小型酸素濃縮器などに適用することにあり、静粛運転および多量生産を考慮すると、最近開発されている高性能吸着剤を必要とするので、脱着圧力を真空圧以下に設定することが好ましいからである。単純に大気圧での浄化および相対的高濃度酸素浄化では高性能吸着剤の長期的再生は比較的困難であるとされている。よって、大気圧以上と真空圧との間で運転するか、或いは図5の如く完全に大気圧以下で運転することが好ましい。
【0039】
図5は前記工程が適用される2つの吸着ベッドを有する、大気圧以下で作動する気体濃縮装置の実施例を示す図である。同図に示すように、本発明に係る工程を用いる気体濃縮装置は、混合気体の不純物をろ過するフィルタ3と、内部に吸着剤を有する吸着ベッド1、1’と、前記吸着ベッド1、1’に真空圧を加えるための真空ポンプ手段4と、フィルタ3を通過した混合気体の圧力と真空ポンプ手段4による真空圧とを、交互に前記吸着ベッド1、1’に供給するための弁手段2と、一方の吸着ベッドから生産された生産気体の一部を他方の吸着ベッドに流し出すための微細管5と、生産気体を一方向に流し出すためのチェック弁6、6’と、生産された富化気体を目的空間に噴射するための気体吐出機7とで構成され、さらに生産気体の量および濃度を調節する調節手段8、9を付設することができる。
【0040】
前記気体吐出機7は一種の真空ポンプと言え、調節手段8およびチェック弁6、6’を経て吸着ベッド1、1’生産端部の富化気体を吸入して噴射するほどの真空圧を必要とする。よって、チェック弁6、6’の開閉真空圧は低いほうが好ましい。このため、ゴム製スプリングを使用しない単純な形態のチェック弁が好ましく、スプリングと一緒に構成する場合には弾性が極めて低いスプリングを採用することが好ましい。気体吐出機7は別途のポンプ手段を備えて使用するか、あるいは前記真空ポンプ手段4のモータに2つの真空ポンプヘッドを備えてそれぞれ駆動することにより、1つの真空ポンプで使用することができる。弁手段2としては公知のように一般的なソレノイド弁を使用し、この場合は別の制御手段が必要とされる。モータに流路付き回転板を結合して回転弁といった弁手段2を使用することも可能である。前記回転弁の場合、ソレノイド弁を制御する別の電子回路基板を使用せずに機械的な駆動のみで流路切り換えができることは、当業者に一般的に知られている。
【0041】
前記微細管5は、各吸着ベッド1、1’の生産端部を連結させるもので、一定の流れ抵抗を有するオリフィスで構成することが好ましい。吸着ベッド1、1’に直接連結孔を形成することもでき、別途のオリフィス部品を使用して構成することもできる。
【0042】
本発明の方法または装置と関連して、前記RPSAと関連した前記従来の技術およびVSAと関連した前記従来の技術全体を本発明の参考文献とする。
【0043】
図5の装置は次のように作動する。先ず、第1段階では、吸着ベッド1は、真空ポンプ手段4によって弁手段2を介して真空圧となり、混合気体の供給端部から減圧が行われ始め、全体内部が真空圧に達するようになる脱着段階が行われる。この際、他の吸着ベッド1’から生産された富化気体の一部が吸着ベッド1の生産端部を通して流入し、浄化段階が行われる。この際、気体吐出機7は、他の吸着ベッド1’から生産された富化気体を吸入し、目的空間に噴射する。
【0044】
第2段階では、吸着ベッド1の入口を通してフィルタ3および弁手段2を通過した混合気体が、混合気体の圧力およびベッド内の真空圧との差によって供給端部に流入し、圧力が上昇し始め、依然として吸着ベッド1の生産端部の圧力が吸着ベッド1’の生産端部の圧力より低くて、生産気体の一部が生産端部に流入する。吸着ベッド1’からの生産は続けられる。各吸着ベッド1、1’の生産端部の圧力がほぼ平衡に達すると、各吸着ベッド1、1’から同時に生産され始める。この際、気体吐出機7は、チェック弁6、6’の抵抗を抑えて吸着ベッド1、1’の生産端部の生産気体を吸入するほどの吸入力を必要とする。よって、前述した如く、開閉圧が非常に低いチェック弁6、6’を使用することが好ましい。
【0045】
その後、第3段階では、第1段階とは反対に、吸着ベッド1から生産され、吸着ベッド1’では脱着および浄化が行われる。第4段階では、第2段階と反対に、各吸着ベッド1、1’は逆の役割を果たす。
【0046】
ここで、調節手段8は、吸着ベッド1、1’を通過した生産気体の流量および濃度を調節し、調節手段9は、フィルタ3を通過した混合気体と吸着ベッド1、1’によって生産された生産気体との混合量を調整する。これにより、最終気体吐出機7によって噴射される富化気体の流量および濃度を調節することができる。その他、可変コントロール流量調節弁を使用することもでき、固定された最終富化気体の濃度および流量を得るために固定オリフィスを使用することもできる。吸着ベッド1、1’に含まれた吸着剤は通常不純物と湿気の完全再生ができないので、吸着剤の寿命を考慮すると、なるべく吸着ベッド1、1’を直接通過する気体の量を減らすことが好ましい。
【0047】
本発明の一実施例によれば、前記調節手段8および9によって、吸着弁を通過しなかった混合気体を、吸着弁を通過した生産気体に混合することにより、吸着ベッドを通過する気体の量を減らすことができる。応用先の流量および濃度が決められると、初期設定段階で先ずそれに合わせて調節手段8を設定し、調節手段9を変更して目標濃度での流量の達成可否を確認する。この方法により、吸着ベッドを通過する気体の量を最小化しながら目標濃度の流量を達成する。一旦前記チューニングが行われた後には、前記固定オリフィスを用いて固定された目標濃度および流量を達成することができる。
【0048】
チェック弁6、6’の開閉圧力および気体吐出機7の吸入真空圧は、先に述べたように本工程において極めて重要である。前記チェック弁6、6’は、その開閉真空圧が大きければ、吸着ベッド1、1’の生産端部の圧力によって2つのチェック弁6、6’が一緒に閉じるおそれがあるので、開閉真空圧の低いチェック弁6、6’を使用することが好ましい。よって、チェック弁6、6’は通常100mmHg以下の真空ゲージ圧を有することが好ましい。
【0049】
一方、気体吐出機7は、濃縮気体を目的空間に噴射するための手段で、その吐出圧力はその応用先に応じて重要度が決定され、一般的にその吸入力が本装置の性能に大きな影響を及ぼす。十分な真空圧を有するピストンやダイアフラムポンプを使用する場合は、調節手段8によって十分本発明の方法を適用することができるが、低い吸入力を有するブロアーや、観賞魚用金魚蜂に空気を供給する、電磁石によるゴム板振動方式の気泡発生器を使用する場合は、前記チェック弁6、6’の開閉真空圧が極めて重要になる。
【0050】
したがって、チェック弁6、6’は一般的に真空ゲージ圧100mmHg以下の開閉真空圧を有することが好ましく、50mmHg以下の開閉真空圧を有することがより好ましい。前記50mmHg以下の開閉真空圧を有するチェック弁6、6を採用すると、200mmHg以下の低い吸入力を有する気体吐出機7を使用する場合も、本発明の工程を十分適用することができる。この場合、チェック弁6、6’の開閉真空圧のみで濃度および流量の設定がある程度可能なので、調節手段8無しに調節手段9のみで目標濃度および流量を調節することができる。
【0051】
図6は概略的な吸着ベッド1、1’の圧力変化を示すグラフであって、混合気体の圧力が大気圧である場合を示す図である。同図のAおよびBはそれぞれ吸着ベッド1の混合気体入力(供給)端部および生産端部における圧力変化曲線であり、CおよびDは吸着ベッド1’の入力端部および生産端部における圧力変化曲線である。吸着ベッド1を基準としてみると、t1は脱着過程、t2は吸着過程を示す。この際、Xを、濃縮気体の供給手段である気体吐出機7の吸入真空圧によって、抵抗体の調節手段8およびチェック弁6、6’を経て吸着弁1、1’の生産端部にかかる圧力レベルとみると、吸着ベッド1、1’の生産端部の圧力であるBおよびDがXより高い場合は、吐出機による生産が可能である。図6の場合は連続生産が可能である。同図において、第2段階または第4段階に含まれるt3では、吸着ベッド1、1’の生産端部の圧力がXより大きいので、両吸着ベッド1、1’で同時に生産される。Xは大気圧より100〜300mmHg程度低く設定することが好ましい。Xが低くなると、吸着ベッド1および吸着ベッド2の生産端部から生産気体が同時に生産される範囲が広くなり、生産気体の酸素濃度は低くなる傾向がある。したがって、目標濃度および流量に対して、濃度および流量の変動量を最小化するようにXを設定することが好ましい。
【0052】
前記VSAシステムに前記工程を適用する場合、 吸着ベッドの長さおよび直径と吸着剤粒子の大きさを調節して吸入気体の抵抗を調節することで、圧力勾配を変化させることにより、第2段階および第4段階の工程時間を調節することができる。吸着ベッドに使用される吸着剤は商業的に市販されている。空気から酸素を分離する場合は、5A−ゼオライト(5A−zeolite、5オングストロームの孔径を有するゼオライト)を主に用いる。吸着ベッドと関連して、前記RASAと関連した従来技術全体を本発明の参考文献とする。また、気体吐出機7の吸入真空圧とチェック弁6、6’の開閉圧力とを調節することで、第2段階および第4段階を調節することができる。このような調節は濃度および流量の調節に重要であるが、気体吐出機7に十分な吸入真空圧を、チェック弁6、6’に最大限低い開閉圧力をそれぞれ持たせるとともに、別途の調節手段8、9を使用することが望ましい。
【0053】
前記工程の適用において、開閉圧力が極めて低い(真空ゲージ圧50mmHg以下)チェック弁6、6’を使用することにより、 複雑な弁制御でなく簡単な弁手段2の流路切り換えによって、第2段階および第4段階を実現することができる。すなわち、第1段階及び第4段階では、吸着ベッド1、1‘の供給端部における吸脱着流路方向が同一であり、また第2段階および第3段階でもそれが同一であるので、吸着ベッド1、1’供給端部における弁の単純なON/OFFによる流路切り換えによって、吸着ベッド1、1’内の圧力勾配が自然的に形成され、前記4つの段階を実現することができるようになる。それぞれの吸着ベッド1、1’に設置されたそれぞれの弁を所定の工程に沿って制御して前記工程を行うことは、当業者にとって自明のことである。従って、弁手段2としては、簡単な制御によって単純に実現できる、2つの一般的なソレノイド弁を使用することもでき、当業者によく知られている、モータによって流路付き回転板を駆動して具現する回転弁を使用することもできる。前記低い開閉真空圧を有するチェック弁6、6’を使用すると、前述したように、真空ゲージ圧200mmHg以下の低い吸入真空圧を有するブロアーや気泡発生器を使用する場合にも、本発明の工程を単純弁制御を介して適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、生産性に重点を置いた工程を適用することにより、多量の濃縮気体を効率よく生産することができる。
【0055】
本発明は、本発明の工程が適用された小型気体濃縮器によって多量の濃縮気体を生産することができ、特に、家電用酸素濃縮器に応用され、家電機器と結合されるか携帯用酸素濃縮器に使用されて、小型化、低コスト化および高効率の機器を構成することができる。
【0056】
本発明は、VSA工程を用いるシステムに適用され、従来の小型気体濃縮装置の騒音および耐久性問題を解消するとともに、部品の単純化を実現して経済性に優れ、しかも濃縮気体の流量および濃度を自由に調節することができ、吸着剤の寿命を最大化するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、従来のPSA方式に係る標準4段階工程を示す図である。
【図2】図2は、従来のRPSA方式に係る標準3段階工程を示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る標準4段階工程を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る吸着ベッド内の圧力分布を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明に係る気体濃縮装置の実施例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る気体濃縮装置の吸着ベッドの圧力を概略的に示す図である。
【図7】図7は、従来のPSA方式に係る気体濃縮装置の実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の気体に対して選択的な吸着特性を有する吸着剤に圧力差を加えて気体を分離する気体濃縮方法において、
第1吸着ベッドにおいて、その内部圧力を原料混合気体の圧力より低くして、混合気体を吸着ベッドの供給端部内に流入させ、吸着性の高い成分を優先的に吸着剤に吸着させ、第2吸着ベッドにおいて、その内部圧力を減少させて、吸着されていた成分を脱着させ、一方、前記第1吸着ベッドにおいて、より吸着性の低い成分を、第1吸着ベッドの生産端部を通して外部に排出して富化気体を生産し、前記富化気体の一部を、前記各吸着ベッドの生産端部間に連結された微細管を通して前記第2吸着ベッドの生産端部に供給する第1段階と;
前記第1吸着ベッドにおいて、その内部を供給端部から減圧し、吸着されていた成分を脱着させ、第2吸着ベッドにおいて、原料混合気体を供給して供給端部から加圧して吸着性の高い成分を吸着させ、この過程中に前記第1および第2吸着ベッドのそれぞれの生産端部から供給端部までの間には圧力勾配が存在していて、第1吸着ベッドの生産端部は第2吸着ベッドの生産端部より圧力が高くて、生産気体の一部が第1吸着ベッドの生産端部から第2吸着ベッドへ生産端部へ供給され、この過程中にも生産気体は連続的に生産され、第1吸着ベッドおよび第2吸着ベッドの生産端部から同時に富化ガスが生産される時期が存在する第2段階と;
第1吸着ベッドの生産端部と第2吸着ベッドの生産端部との圧力を前記第2段階と逆転して、第1段階と反対に、第1吸着ベッドでは脱着が行われ、第2吸着ベッドでは吸着が行われ、第2吸着ベッドの生産端部から生産される富化気体の一部が第1吸着ベッドの生産端部を通して供給されるとともに、第2吸着ベッドの生産端部から富化気体が生産される第3段階と;
前記第2段階と反対に、各吸着ベッド内の圧力勾配によって生産気体の一部が第2吸着ベッドの生産端部から第1吸着ベッドの生産端部へ供給され、第1吸着ベッドにおいて、原料混合気体の供給によって供給端部から加圧して吸着が行われ、第2吸着ベッドにおいて、供給端部から減圧して脱着が行われ、この過程中にも生産気体は連続的に生産され、第1吸着ベッドおよび第2吸着ベッドの生産端部から同時に生産される時期が存在する第4段階と;を含むことを特徴とする気体濃縮方法。
【請求項2】
混合気体は空気であり、吸着性の高い成分は窒素で、吸着性の低い成分は酸素であることを特徴とする請求項1記載の気体濃縮方法。
【請求項3】
吸着圧力は大気圧であり、脱着圧力は真空ポンプ手段によって決定される真空圧であることを特徴とする請求項1または2記載の気体濃縮方法。
【請求項4】
特定の気体に対して選択的な吸着特性を有する吸着剤に圧力差を加えて気体を分離する気体濃縮装置において、
混合気体から不純物をろ過するフィルターと;
前記吸着剤を有する2つ以上の吸着ベッドと;
前記吸着ベッド内に真空圧を加える真空ポンプ手段と;
前記真空ポンプ手段による真空圧と混合気体の圧力とを交互に吸着ベッドに加えるように流路を切り換える弁手段と;
各吸着ベッドの生産端部を連結する微細管と;
生産端部を通過する生産気体を一方向に流し出すチェック弁と;
前記チェック弁を通過した生産気体を吸入して目的空間に噴射する気体吐出機と;
前記チェック弁と気体吐出機との間に、吸着ベッドの生産端部から生産される生産気体の濃度および流量を調節する調節手段と;を含むことを特徴とする気体濃縮装置。
【請求項5】
前記気体吐出機とフィルターとの間に混合空気調節手段を備え、前記生産気体との混合量を調節することにより、最終生産気体の濃度および流量を調節することを特徴とする請求項4記載の気体濃縮装置。
【請求項6】
特定の気体に対して選択的な吸着特性を有する吸着剤に圧力差を加えて気体を分離する気体濃縮装置において、
混合気体から不純物をろ過するフィルターと;
前記吸着剤を有する2つ以上の吸着ベッドと;
前記吸着ベッド内に真空圧を加える真空ポンプ手段と;
前記真空ポンプ手段による真空圧と混合気体の圧力とを交互に吸着ベッドに加えるように流路を切り換える弁手段と;
各吸着ベッドの生産端部を連結する微細管と;
生産端部を通過する生産気体を一方向に流し出すチェック弁と;
前記チェック弁を通過した生産気体を吸入して目的空間に噴射する気体吐出機と;を含み、請求項1記載の方法を具現することを特徴とする気体濃縮装置。
【請求項7】
前記チェック弁と気体吐出機との間に調節手段を備え、吸着ベッドの生産端部から生産される生産気体の濃度および流量を調節することを特徴とする請求項6記載の気体濃縮装置。
【請求項8】
前記気体吐出機とフィルターとの間に混合空気調節手段を備え、前記生産気体との混合量を調節することにより、最終生産気体の濃度および流量を調節することを特徴とする請求項7記載の気体濃縮装置。
【請求項9】
前記真空ポンプ手段および気体吐出機は同一のモータによって駆動されることを特徴とする請求項6または7記載の気体濃縮装置。
【請求項10】
前記チェック弁の開閉真空圧を極めて低く設定し、吸着ベッドの混合空気供給端部の弁を、前記フィルターおよび前記真空ポンプ手段へ単純に流路を切り換えることにより、請求項1記載の第1段階および第4段階を具現することを特徴とする請求項6又は7記載の気体濃縮装置。
【請求項11】
前記チェック弁は真空ゲージ圧50mmHg以下の開閉真空圧を有し、前記気体吐出機は真空ゲージ圧200mmHg以下の吸入真空圧を有する真空ポンプ手段であることを特徴とする請求項6または7記載の気体濃縮装置。
【請求項12】
前記弁手段は、モータによって駆動される流路付き回転板により流路が切り換えられる回転弁であることを特徴とする請求項6または7記載の気体濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−500890(P2008−500890A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566469(P2004−566469)
【出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000312
【国際公開番号】WO2004/087300
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504178465)ジェイイージェイ カンパニー,リミティド (1)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】