説明

気体輸送の制御方法及びその装置

【課題】フルラインコンセプト輸送の利点とコンベンショナルコンセプト輸送の利点とを併せもつ気体輸送の制御方法とその装置を提供すること。
【解決手段】トランスポータ6の粉粒体の有無を検知するレベル計LV2が、粉粒体がなくなったことを検知するとともに、貯留槽2内の粉粒体の量を計測するレベル計LV1が、所定量の粉粒体の量を検知したときに、圧縮空気の供給を止め、輸送管5内に粉粒体を残存させた状態で、貯留槽2に蓄えられた粉粒体をトランスポータ6に送り込み、トランスポータ6内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ6内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルNBからの圧縮空気によって粉粒体の輸送を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体輸送の制御方法とその装置に関し、特に、設備全体のコンパクト化を図るとともに、高い輸送能力をもった気体輸送の制御方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を空気流により輸送する装置としては、図2に示すように、粉粒体を蓄える貯留槽2と、該貯留槽2の下流側にゲートバルブ3及びインレットバルブ4をこの順に設け、ゲートバルブ3とインレットバルブ4とを開放し、貯留槽2内の粉粒体をトランスポータ6に一定量送り込み、ゲートバルブ3とインレットバルブ4とを閉鎖し、エアレシーバ7内の圧縮空気をブースタノズルNB0を介して輸送管5内に送り、輸送管5の長さに応じて途中ブースタノズルNB1、NB2・・・を配設することによって粉粒体を輸送先のサイロ(図示省略)に搬送する粉粒体の気体輸送装置1が知られている。
【0003】
ところで、この粉粒体の気体輸送装置1では、粉粒体の輸送方法として、大別すると周知のフルラインコンセプト輸送とコンベンショナルコンセプト輸送との2種類がある。
コンベンショナルコンセプト輸送の場合、貯留槽2に溜まった粉粒体を、ゲートバルブ3とインレットバルブ4を開放してトランスポータ6内に所定量蓄え、インレットバルブ4を閉鎖後に空気輸送を開始し、輸送管5内に粉粒体が残らない状態になるまで送りきるもので、トランスポータ6内の内圧が粉粒体を送りきったことによってほぼ無負荷状態となったことを検知して輸送を完了する。
【0004】
そして、このコンベンショナルコンセプト輸送の場合、輸送圧力は低く抑えることができるとともに、輸送中の粉体速度も遅くできるため、長距離を安定して輸送することができるという利点がある一方、トランスポータ6内の粉粒体がほぼなくなる際の最終期には、粉体速度が上がることによって粉体形状が損傷したり輸送管5内面が摩耗する他、粉粒体を輸送管5内に残留させることなく送りきるため輸送用圧縮空気を大量に消費するといった問題があった。
【0005】
また、フルラインコンセプト輸送の場合、トランスポータ6内に粉粒体がなくなったことをレベル計やロードセル(重量計)によって感知したときに粉粒体の輸送を一旦停止し、貯留槽2に必要な量の粉粒体が溜まったときにゲートバルブ3とインレットバルブ4を開放して、再度トランスポータ6に所定量の粉粒体を送り込み、輸送を再開する方式で、輸送用の圧縮空気の消費量を低減させることができるとともに、1バッチ終了時、輸送管5内に粉粒体を残留させた状態で待機するため、最終期には輸送圧力が上昇することもなく輸送効率を向上させることができる。
しかし、フルラインコンセプト輸送の場合では1バッチ終了時、輸送管5内に粉粒体を残留させた状態で待機させるために、例えば都市ゴミ焼却炉の飛灰輸送など吸湿性が高く物性変化を起こしやすい粉粒体においては1バッチ終了後に長時間輸送が再開されないときなどには潮解現象をおこし、粉粒体が輸送管5内に付着し、場合によっては輸送管5内面を腐食してしまうといった問題があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−309436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の気体輸送の制御方法の有する問題点に鑑み、フルラインコンセプト輸送の利点とコンベンショナルコンセプト輸送の利点とを併せもつ気体輸送の制御方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の気体輸送の制御方法は、貯留槽から送られてきた粉粒体を蓄えるトランスポータ内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルからの圧縮空気によって輸送管内に粉粒体を残存させることなく粉粒体を輸送する気体輸送の制御方法において、トランスポータの粉粒体の有無を検知するレベル計が、粉粒体がなくなったことを検知するとともに、貯留槽内の粉粒体の量を計測するレベル計が、所定量の粉粒体の量を検知したときに、圧縮空気の供給を止め、輸送管内に粉粒体を残存させた状態で、貯留槽に蓄えられた粉粒体をトランスポータに送り込み、トランスポータ内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルからの圧縮空気によって粉粒体の輸送を再開するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記制御方法を用いた本発明の気体輸送装置は、貯留槽から送られてきた粉粒体を一時的に蓄えるトランスポータと、該トランスポータに内圧をかけるトップエアノズルと、トランスポータのコーン部に配設したジェットノズルと、輸送管内の粉粒体を圧送するブースタノズルとからなる気体輸送装置において、貯留槽内の粉粒体の量を計測するレベル計と、トランスポータ内の粉粒体の量を計測するレベル計とを配設し、レベル計の値によって輸送管内に粉粒体を残存させたまま貯留槽から粉粒体をトランスポータ内に送るように制御する制御機構とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の気体輸送の制御方法とその装置によれば、トランスポータの粉粒体の有無を検知するレベル計が、粉粒体がなくなったことを検知するとともに、貯留槽内の粉粒体の量を計測するレベル計が、所定量(トランスポータの容量分の量)の粉粒体の量を検知したときに、圧縮空気の供給を止め、輸送管内に粉粒体を残存させた状態で、貯留槽に蓄えられた粉粒体をトランスポータに送り込み、トランスポータ内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルからの圧縮空気によって粉粒体の輸送を再開するようにしたから、貯留槽に溜まる粉粒体の量が多くない場合にはコンベンショナルコンセプト輸送によってトランスポータ内の粉粒体を送りきる運転を行い、貯留槽に溜まる粉粒体の量が、トランスポータ内の粉粒体がなくなる時点、つまり輸送管内には粉粒体が残留している時点でトランスポータ内の容量分だけ溜まっているときにはフルラインコンセプト輸送に切り換えて粉粒体を輸送するから、コンベンショナルコンセプト輸送とフルラインコンセプト輸送との長所を併せもった気体輸送の制御方法とその装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の気体輸送の制御方法とその装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、従来装置と同様の構造については同一の符号、一連の符号を付し説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
図1に、本発明の気体輸送装置の第1実施例を示す。
この気体輸送装置1は、従来例と同様に粉粒体を貯える貯留槽2と、該貯留槽2の下流側にゲートバルブ3及びインレットバルブ4をこの順に設け、ゲートバルブ3とインレットバルブ4とを開放し、貯留槽2内の粉粒体をトランスポータ6に一定量送り込み、ゲートバルブ3とインレットバルブ4とを閉鎖し、エアレシーバ7内の圧縮空気をブースタノズルNB0を介して輸送管5内に送り、輸送管5の長さに応じて途中ブースタノズルNB1、NB2・・・を配設することによって粉粒体を輸送先のサイロ(図示省略)に搬送するようにしている。
また、トランスポータ6内の圧力を上昇させておくための複数本のトップエアノズルNTを配設するとともに、トランスポータ6内に滞留する粉粒体に対してトランスポータコーン部6aに付着しないようにジェットノズルNJ1、NJ2・・・NJnを多数内壁に配設し、コーン部6aの内壁に旋回流を作り、コーン部6aでの粉体の流動性を高め、コーン部6aに粉粒体が付着しないようにしている。
【0012】
そして、本発明の気体輸送装置1では、貯留槽2内の粉粒体の量を計測するレベル計LV1と、トランスポータ6内の粉粒体の残存量を計測するレベル計LV2とを配設し、レベル計LV1、LV2の値によって輸送管5内に粉粒体を残存させたまま貯留槽2から粉粒体をトランスポータ6内に送るように制御する制御機構8とを設けるようにしている。
レベル計LV1は、貯留槽2内の粉粒体量を計測するもので、トランスポータ6の容量分の粉粒体が貯留槽2に蓄えられたか否かのみを判定しそれを検知するレベル計の他、貯留槽2全体の重量を計測し、貯留槽2の重量を差し引くことによって貯留槽2内の粉粒体量を正確に計測する重量計を用いても構わない。
また、レベル計LV2は、トランスポータ6内に粉粒体が残存するか否かを判断することができる機能を有しておればよく、その設置場所はトランスポータ6適所の他、図例の如くトランスポータ6の出口近傍に備えてもよい。
制御機構8は、レギュレータPS1〜3と電磁弁S1〜3とを制御する他、ゲートバルブ3とインレットバルブ4との開放の制御も行うようにすることが好ましい。
【0013】
しかして、粉粒体の輸送運転に際しては、通常はコンベンショナルコンセプト輸送を基本として運転制御を行うように制御機構8によって設定され、トランスポータ6内に粉粒体がなくなったときに、レベル計LV1によって貯留槽2内にトランスポータ6の容量分の粉粒体が溜まっていないと判断された場合には、輸送管5内に粉粒体が残存しないようにブースタノズルNBの圧縮空気によって粉粒体を送りきり、トランスポータ6内に粉粒体がなくなったときに、レベル計LV1によって貯留槽2内にトランスポータ6の容量分の粉粒体が溜まっていると判断された場合には、トップエアノズルNT、ブースタノズルNB、ジェットノズルNJを停止し一旦輸送を止め、輸送管5内に粉粒体を残存させたままゲートバルブ3とインレットバルブ4を開放し、再度トランスポータ6内に所定量の粉粒体を送り込む。
そして、トランスポータ6内に所定量の粉粒体を送り込んだ後、ゲートバルブ3とインレットバルブ4とを閉鎖し、トップエアノズルNTによってトランスポータ6内を昇圧し、ブースタノズルNBからの圧縮空気によって粉粒体の輸送を再開する所謂、フルラインコンセプト輸送となるように制御機構8によって輸送方法を切り換える。
【0014】
なお、レベル計LV1によって測定する貯留槽2内の粉粒体の量がトランスポータ6の容量の100%に満たない場合であっても、一定量(例えばトランスポータ6の容量の80%)となっているときは、コンベンショナルコンセプト輸送からフルラインコンセプト輸送に切り換えて運転するように制御することもできる。
【0015】
以上、本発明の気体輸送装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の気体輸送装置は、トランスポータ内に粉粒体がなくなったときの貯留槽の粉粒体量に応じてコンベンショナルコンセプト輸送とフルラインコンセプト輸送とを切り換えて運転制御するという特性を有していることから、新規設備に用いることができる他、例えば、既設設備においてもレベル計を配設し、制御機構を改造することで適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の気体輸送装置の概略を示す説明図である。
【図2】従来の気体輸送装置の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 気体輸送装置
2 貯留槽
6 トランスポータ
8 制御機構
NT トップエアノズル
NB ブースタノズル
LV1 レベル計
LV2 レベル計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽から送られてきた粉粒体を蓄えるトランスポータ内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルからの圧縮空気によって輸送管内に粉粒体を残存させることなく粉粒体を輸送する気体輸送の制御方法において、トランスポータの粉粒体の有無を検知するレベル計が、粉粒体がなくなったことを検知するとともに、貯留槽内の粉粒体の量を計測するレベル計が、所定量の粉粒体の量を検知したときに、圧縮空気の供給を止め、輸送管内に粉粒体を残存させた状態で、貯留槽に蓄えられた粉粒体をトランスポータに送り込み、トランスポータ内に一定量の粉粒体が溜まった後、トランスポータ内の内圧を一定圧力まで上昇せしめ、ブースタノズルからの圧縮空気によって粉粒体の輸送を再開するようにしたことを特徴とする気体輸送の制御方法。
【請求項2】
貯留槽から送られてきた粉粒体を一時的に蓄えるトランスポータと、該トランスポータに内圧をかけるトップエアノズルと、トランスポータのコーン部に配設したジェットノズルと、輸送管内の粉粒体を圧送するブースタノズルとからなる気体輸送装置において、貯留槽内の粉粒体の量を計測するレベル計と、トランスポータ内の粉粒体の量を計測するレベル計とを配設し、レベル計の値によって輸送管内に粉粒体を残存させたまま貯留槽から粉粒体をトランスポータ内に送るように制御する制御機構とを設けたことを特徴とする気体輸送装置。

【図1】
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【図2】
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