説明

気泡入りフルーツデザート

【課題】フルーツからの離水が抑えられ、口溶けに優れ、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られる気泡入りフルーツデザートを提供する。
【解決手段】卵白、乳清、還元澱粉糖化物を含有する粘度(20℃)が40〜100Pa・sである気泡入り加工食品を用いた気泡入りフルーツデザート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られるフルーツデザートを提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康嗜好の高まりを背景にフルーツの需要が高まっている。さらに、カットフルーツ等にシロップ等のデザートソースをかけたフルーツデザートは、見た目にも美しく、簡便に作れることから、年々市場が拡大している。
【0003】
フルーツデザートは、一般的にフルーツ等の食材にシロップ、ラズベリーソース等のデザートソースをかけて製する。
【0004】
しかしながら、フルーツ等の離水性を有する食材は経時的に離水を起こし、その結果デザートソースの粘度が低下してしまい、さらにはフルーツとデザートソースの食味の一体感を損ねる等の問題が生じる。そこで、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られる方法が求められていた。
【0005】
上記問題を解決する手段として、離水を防止するために増粘材などで粘度を付与する方法があるが、ガム特有の粘稠性の食感が好まれず、口溶けが悪くなってしまい、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られないという問題が生じ、離水防止と口溶けを両立することは難しかった。上記問題を解決する方法として、従来より種々の方法が検討されており、その一つとして、特開平9−252719号公報(特許文献1)には、20〜62重量%のエチルアルコールと、2.5〜20重量%のトレハロースと、0.1〜0.5重量%のビタミンC類と、残部の実質的に水とからなり、水で希釈して用いるカットフルーツの鮮度保持剤により、カットフルーツの変色、離水、異臭等の発生を抑制し長期保存を可能にしたことが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の鮮度保持剤は、カットフルーツの長期保存時の離水を防止できるものの喫食時の離水を防止できず、フルーツとデザートソースの食味の一体感は得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−252719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、フルーツからの離水が抑えられ、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られる気泡入りフルーツデザートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、卵白、乳清、還元澱粉糖化物を含有する粘度(20℃)が40〜100Pa・sである気泡入り加工食品を用いた気泡入りフルーツデザートであれば、意外にも離水を防止でき、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
卵白、乳清、還元澱粉糖化物を含有する粘度(20℃)が40〜100Pa・sである気泡入り加工食品を用いた気泡入りフルーツデザート、
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フルーツからの離水が抑えられ、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られるフルーツデザートを提供することができる。これにより、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットにおけるフルーツデザートを用いるチルド食品及び冷凍食品の品位向上に貢献できる。また、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットに限らず、常に新しい価値を求められる外食店においても、気泡入りのふわっとした軽い食感のフルーツデザートというオリジナリティーのあるメニューを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の気泡入りフルーツデザートを詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0013】
本発明の気泡入りフルーツデザートで用いるフルーツデザートは、フルーツにシロップ、ラズベリーソース等のデザートソースをかけたものである。
【0014】
本発明の気泡入りフルーツデザートは、特定の気泡入り加工食品とフルーツ、デザートソースからなるものである。なお、本発明は該気泡入り加工食品に特徴を有するため、説明上、本発明で用いる気泡入り加工食品を中心に詳述する。
【0015】
本発明の気泡入りフルーツデザートで用いる気泡入り加工食品は、気泡が全体的に存在するように、スラリーを泡立てて調整したものをいう。また、該気泡入り加工食品は、粘度(20℃)40〜100Pa・sであり、卵白、乳清及び還元澱粉糖化物が気泡の主成分であることを特徴とする。
【0016】
本発明の気泡入り加工食品に用いる気泡入り加工食品は、粘度(20℃)が40〜100Pa・sであり、好ましくは、50〜90Pa・sである。粘度が前記範囲より低いと、経時的に離水し易くなり、粘度が前記範囲より高いと、フルーツデザートと混ぜ難いものとなるため、好ましくない。
なお、本発明において粘度は、BH型粘度計を用い、回転数:4rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した値である。
【0017】
また、本発明の気泡入りフルーツデザートに用いる気泡入り加工食品は、油脂の含有量が5%以下であり、1%以下が好ましく、油脂を含まないことがさらに好ましい。油脂の含有量が前記より多いと、油脂分離によって、気泡が潰れてしまい、気泡入りフルーツデザートに軽い食感が付与されない場合があるため好ましくない。本発明において油脂とは、特に限定するものではないが、例えば、大豆油、菜種油、バター、卵黄油、卵黄、大豆等が挙げられる。
【0018】
気泡入り加工食品に用いる卵白としては、特に制限はないが、具体的には、例えば、常法により鶏卵を割卵して卵黄と分離し得られた液卵白、冷凍卵白とした後に解凍したもの、乾燥卵白、更には、起泡性を備えている限り、これら卵白からリゾチーム、グルコース等の成分の一部を除去したもの、プロテアーゼ等の酵素で処理したもの等が挙げられる。
【0019】
気泡入り加工食品に用いる乳清としては、生乳や脱脂粉乳からチーズや酸カゼイン、レンネットカゼインを製造する際に副生する酸ホエイ、スイートホエイを原料とし、これを精製したものを使用することができる。また、それを濃縮、希釈、ペースト化、乾燥等の処理を行ったものも使用することができる。
乳清に代えて全粉乳や脱脂粉乳等の乳原料を使用すると、カゼインを含むためか気泡入り加工食品の気泡安定性が損なわれ、気泡入りフルーツデザートに軽い食感を付与できない場合があるため、カゼインの含有量(固形分換算)は乳原料の蛋白質全体の5%以下が好ましく、カゼインを全く含まないものがより好ましい。
また、気泡入り加工食品においても、カゼインの含有量は1%以下が好ましく、カゼインを全く含まないものがより好ましい。
【0020】
気泡入り加工食品に対する卵白と乳清の好ましい含有量は、それぞれ固形分換算で0.8〜5%とすることが好ましく、より好ましくは1〜4%である。さらに卵白と乳清の含有量比は、1:6〜6:1が好ましく、1:4〜1:1とすることがより好ましい。卵白の含有量及び含有量比が少なすぎると気泡入り加工食品の気泡安定性が低下し、気泡入りフルーツデザートに軽い食感を付与できない場合があり、多すぎると気泡入り加工食品の泡が硬くなり過ぎてはんぺん様となり、フルーツデザートと混合しにくくなる。また、乳清の含有量及び含有量比が少なすぎると気泡入り加工食品は比重が大きくなって口溶けに劣り、フルーツとデザートソースの一体感が得られない場合があり、多すぎても気泡入り加工食品の泡が硬くなり、気泡入りフルーツデザートのふわっとした食感が得られない場合がある。
【0021】
気泡入り加工食品には、卵白及び乳清に加えて還元澱粉糖化物を含有させる。これにより、気泡入りフルーツデザートが離水し難く、フルーツとデザートソースの食味の一体感が良好な食感となる。ここで、還元澱粉糖化物とは、澱粉を酸や酵素等で加水分解して得られる澱粉糖化物(澱粉糖)を更に水素添加処理により還元した糖アルコールの混合物で、還元澱粉加水分解物、還元水飴、デキストリンアルコール等とも呼ばれる。
【0022】
また、気泡入り加工食品に用いる還元澱粉糖化物は、当該原料糖、即ち澱粉糖化物(澱粉糖)のDE値が10〜40、好ましくは10〜30のものを用いることが好ましい。また、DE値とは、「デキストロースエキュイバレント(dextrose equivalent)」の略称で、澱粉糖化物(澱粉糖)の品質表示の一方法で、澱粉の加水分解の程度を示す指標である。DEが高いほうが加水分解の程度が高く、一方、DEが低いほうが加水分解の程度が低いことを意味する。
【0023】
原料糖のDE値が、前記範囲より高い還元澱粉糖化物を使用すると、得られる気泡入り加工食品の口溶けが悪くなる場合があり、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られない場合がある。一方、DE値は低い方が好ましいが、10を下回る還元澱粉糖化物は、一般的に販売されていないため、DE値10を下限とする。
【0024】
気泡入り加工食品に対する還元澱粉糖化物の含有量は、固形分換算で、2〜20%が好ましく、3.5〜14%がより好ましい。還元澱粉糖化物の含有量が、前記範囲より少ないと、気泡入り加工食品の口溶けが悪くなる場合があり、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られない場合がある。一方、前記範囲より多くしても、フルーツとデザートソースの食味の一体感が増し難いことから経済的でない。
【0025】
本発明の気泡入りフルーツデザートに用いる気泡入り加工食品において、泡立ちについては、比重が、好ましくは0.3〜0.7、より好ましくは0.4〜0.6となる程度である。比重が前記範囲より小さいと気泡入り加工食品の気泡安定性が低く、気泡入りフルーツデザートの離水防止効果が得られない場合がある。反対に大きいと気泡入り加工食品は泡立ちが足りずに離水防止効果が弱く、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られない場合がある。
【0026】
本発明の気泡入りフルーツデザートに用いる気泡入り加工食品には、pH調整材を含有させることが好ましい。pH調整材は、気泡入り加工食品のpHを好ましくは4.5〜6、より好ましくは5〜5.5とするために使用する。pHが低すぎると卵白及び乳清中の蛋白質の酸変性により泡立ちが悪くなり、pHが高すぎると泡が柔らかくなり、気泡入り加工食品の気泡安定性が劣る場合があり、気泡入りフルーツデザートの離水防止効果が得られない場合がある。
【0027】
pH調整材としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸及びその塩、リン酸等の無機酸及びその塩、レモン、オレンジ、リンゴ等の果汁、食酢、ヨーグルト等の酸性発酵食品、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
気泡入り加工食品が上述の好ましい粘度範囲とするためには、卵白、乳清、還元澱粉糖化物の含有量によって調整すればよいが、スラリーの泡立ちを向上させると共に、潰れにくくするために、前述の原料に加えて、増粘多糖類、ゼラチンなどを適宜使用しても良い。増粘多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、発酵セルロース、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、λカラギナン、タラガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、アラビノガラクタン、プルラン等を使用することができる。中でも、スラリーの撹拌時の剪断抵抗を減少させて泡立ちを向上させる点からシュードプラスチック性を有するキサンタンガム、発酵セルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、λカラギナン、タラガム、ジェランガム等が好ましく、特にキサンタンガムが好ましい。
【0029】
また、気泡入り加工食品に増粘多糖類、ゼラチンを用いる場合には、その含有量は、0.3〜2%とすることが好ましい。増粘多糖類が少なすぎると気泡入り加工食品が潰れ易くなり、気泡入りフルーツデザートの離水防止効果を付与できない場合があり、多すぎると気泡入りフルーツデザートに良好な口溶けを付与できない場合がある。
【0030】
気泡入り加工食品には、以上の各成分の他、必要に応じて、グルコース、マルトース、トレハロース、スクラロース、オリゴ糖等の糖類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ポリソルベート等の乳化剤、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、鉄、マグネシウム等の各種ミネラル類、香料、着色料、調味料及び保存料等を配合することができる。
【0031】
気泡入り加工食品は、気泡安定性、特に冷凍時の気泡安定性に優れるため、含気状態の気泡入り加工食品を、容器詰めにして冷凍庫で1年程度保存した後であっても、解凍すると冷凍前と同様の含気状態と気泡安定性を保持し、嵩高く泡立ったメレンゲ様の食感を有する。そのため、容器詰めの状態で冷凍流通させた気泡入り加工食品を解凍した後、フルーツデザートと混合しても、得られる本発明の気泡入りフルーツデザートは、フルーツとデザートソースの食味の一体感を有する。
【0032】
気泡入り加工食品は、上述した油脂、卵白、乳清、還元澱粉糖化物及びその他必要に応じて配合される各成分を混合してスラリーとし、そのスラリーを撹拌や気体の吹き込みなどにより泡立てた後、品温60〜90℃、好ましくは75〜85℃の加熱をして製造することができる。この加熱により卵白及び乳清中の蛋白質が凝集するためか、気泡入り加工食品は気泡安定性に優れたものとなる。この時、加熱後に必要に応じて任意の容器に充填し、冷凍することもできる。この場合、スラリーの泡立ては、好ましくは、加熱後の比重が0.3〜0.7となるように適宜調整する。
過度に加熱温度を高くすると、気泡入り加工食品は蛋白質の凝集物が過度に形成されてメレンゲ様のふわっとした口溶け感が損なわれ、気泡入りフルーツデザートの離水防止効果が得られない。反対に、加熱温度が低すぎると、気泡入り加工食品の気泡安定性が低くなり、気泡入りフルーツデザートに良好な口溶けが得られない。
【0033】
本発明の気泡入り加工食品のより具体的な製造方法は、例えば、上述のスラリーを形成する各成分を脱気機能付き撹拌ミキサーに入れ、脱気撹拌してスラリーを得る。次に、このスラリーに空気、窒素ガス等の気体を吹き込みながらこのスラリーを撹拌して泡立て、次いでチューブ式熱交換器に通し、品温60〜90℃の条件で加熱する。これにより、気泡入り加工食品を得ることができる。また、この気泡入り加工食品は、耐冷凍性に優れるため、任意の容器に充填し、冷凍保存することができる。
【0034】
本発明では、上述の気泡入り加工食品をフルーツおよびデザートソースと混合して気泡入りフルーツデザートを得る。
【0035】
本発明のフルーツデザートに用いるデザートソースは、粘度が10Pa・s(品温20℃)以下の流動性を有するソースである。そのような低粘度のソースにおいては、フルーツからの離水によりデザートソースの粘度が低下してしまい、さらにはフルーツとデザートソースの食味の一体感を損ねる等の問題が生じる。デザートソースの粘度が前記範囲より高い場合には、フルーツの離水による粘度低下は起きにくいが、ソースとデザートの一体感が得られにくい。本発明におけるデザートソースとしては、特に限定されないが、例えば、ショ糖、ぶどう糖果糖液糖、蜂蜜等の糖類を水に溶解したシロップ、メープルシロップ、黒蜜、カラメルソース、レモン、ライム、ブルーベリー、オレンジ等の果汁、マンゴー果汁、イチゴジャム、リンゴのコンフィチュール等を用いたフルーツソース、ジンジャーソース等のスパイスソース、バルサミコ酢、カスタードソース、牛乳、生クリーム、脱脂粉乳、チーズ、ヨーグルト等からなる乳ソース、エスプレッソソース等のコーヒーソース、紅茶ソース、抹茶ソース、小倉ソース、豆乳ソース等が挙げられる。
【0036】
本発明のフルーツデザートに用いる上記デザートソースの原料は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。具体的には、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂等の食用油脂、食酢、果汁、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸等の酸剤、食塩、醤油、アミノ酸、核酸系旨味調味料等の各種調味料、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、トレハロース、パラチノース等の甘味料、卵黄、ホスフォリパーゼA 処理卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン等の乳化剤、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、化工澱粉等の増粘剤、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸塩、香辛料、アスコルビン酸、ビタミンE 等の酸化防止剤、色素、各種具材等が挙げられる。
【0037】
本発明のフルーツデザートに用いる上記デザートソースの配合率は、特に限定されないが、フルーツデザート全体に対し3%〜50%であることが好ましく、5%〜40%であることがより好ましい。本発明に用いるデザートソースの配合率が、前記範囲より少ない又は多い場合、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られない恐れがある。
【0038】
本発明のフルーツデザートに用いるフルーツは、主にとれたままの形状のもの、食べやすい大きさにカットしたもの或いは冷凍したものである。本発明に用いるフルーツの配合率は、特に限定されないが、フルーツデザート全体に対し10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。本発明のフルーツデザートに用いるフルーツの配合率が、前記範囲より少ないと、フルーツの離水に起因する本発明の課題が生じ難い場合がある。本発明のフルーツデザートに用いるフルーツは、特に限定されないが、例えば、パイナップル、プラム、パッションフルーツ、シークワーサー、オレンジ、アマナツ、ミカン、イヨカン、ネーブル、グレープフルーツ、ハッサク、ブンタン、ポンカン、カボス、メロン、スイカ、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、和ナシ、洋ナシ、リンゴ、ブドウ、モモ、パパイヤ、マンゴー、カキ、キウイ、イチジク、クリ、サクランボ、グァバ、ユズ、ブラックチェリー、アンズ、アセロラ、ザクロ、アケビ、ココナッツ、レモン、バナナ、ドラゴンフルーツ、スモモ、イチジク、ライチ等が挙げられ、特に、オレンジ、ネーブル等のミカン科、メロン、スイカ等のウリ科、イチゴ、ブルーベリー等のベリー類、和ナシ、洋ナシ等のナシ属、リンゴ、ブドウ、モモ、パパイヤ等の離水を生じやすいフルーツの場合に本発明の効果が発揮されやすい。本発明に用いるフルーツの含水率は、特に限定されないが、含水率80%以上が好ましく、含水率85%以上がより好ましい。前記範囲より少ないとフルーツの離水に起因する本発明の課題が生じ難い場合がある。
【0039】
本発明のフルーツデザートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記デザートソース、フルーツ以外の食材を配合することができ、例えば、アイスクリーム、ヨーグルト、生クリーム、ムース、クリームチーズ等の乳製品、ワッフル、ウエハース、クッキー、ビスケット等の焼菓子類、へーゼルナッツ等のナッツ類、シナモン、ミント等のハーブ類、コーンフレーク、玄米フレーク、チョコレート、カカオパウダー、餡子、抹茶、ずんだ、黄粉、胡麻、ナタ・デ・ココ、タピオカパール、植物性生クリーム、ババロア、ケーキ、杏仁豆腐、アザラン等が挙げられる。
【0040】
本発明で用いるフルーツデザートは、上記フルーツにシロップ、ラズベリーソース等の上記デザートソースをかけて製すれば良く、一般的な製造方法で製したフルーツデザートであれば、特に限定されないが、市販のチルド品、冷凍品、缶詰品、工業的に製造されたもの、レストラン、家庭で作られたもの等を用いてもよい。
【0041】
本発明の気泡入りフルーツデザートは、気泡入り加工食品1部に対してフルーツデザートを0.5〜10部混合することが好ましい。前記より混合するフルーツデザートが少ないと、フルーツデザートとしてのフルーツ感が足りず好ましくない。一方、前記より混合するフルーツデザートが多いと、得られる気泡入りフルーツデザートが口溶けに乏しいものとなり、好ましくない。
【0042】
本発明の気泡入りフルーツデザートの製造方法は、上記方法で製造された気泡入り加工食品とフルーツおよびデザートソースを特定の割合で混合すれば、特に限定されない。気泡入り加工食品を容器詰めにし冷凍した場合は、適宜解凍した後、フルーツデザートと混合すればよい。
また、用途に応じて、気泡入り加工食品とデザートソースを混合したものをフルーツにかけても良い。
【0043】
気泡入り加工食品とフルーツデザートから得られる本発明の気泡入りフルーツデザートは、含気状態のまま容器詰めにして冷凍庫で1年程度保存した後であっても、解凍すると冷凍前と同様の含気状態を維持し、軽い食感を維持することができる。よって、本発明の気泡入りフルーツデザートは任意の容器に充填して冷凍流通させることができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例及び比較例を述べ、本発明を更に説明する。なお、本発明はこれらに限定するものではない。
【0045】
[実施例1]
(1)気泡入り加工食品の製造
下記配合表1に示す組成で、各原料を脱気機能付撹拌ミキサーで攪拌混合し、真空度0.1MPaで脱気攪拌を行い、スラリーを得た。次いで、スラリーを攪拌ミキサーに投入し、空気を吹き込みながら攪拌して泡立てた。その後、泡立てたスラリーをチューブ式熱交換器に通して品温75℃で、3分間加熱して気泡入り加工食品を得た。なお、得られた気泡入り加工食品は、油脂及びカゼインを含んでおらず、粘度(20℃)が80Pa・s、比重が0.4、pHが5.5であった。
(2)デザートソースの製造
デザートソースは、マンゴーの果肉92%、上白糖5%、ペクチン3%をフードプロセッサーにかけ、品温90℃で加熱殺菌したものを品温5℃まで冷却して製した(pH3.5、粘度4Pa・s(品温20℃))。
(3)気泡入りフルーツデザートの製造
広口のパフェグラスに、アセロラ(含水率90%)20g、上記で得た気泡入り加工食品60g、生クリーム40g、上記で得たデザートソース60g、モモ(含水率89%)60g、タピオカパール9g、及びミントの葉1gの順番に盛り付け合計250gの気泡入りフルーツデザートを製した。
【0046】
〔配合表1〕
生卵白(固形分10%) 30%(固形分換算3%)
乳清(固形分換算) 3%
原料糖のDE値20の還元澱粉糖化物(「PO−20」
三菱商事フードテック(株)製、固形分70%) 20%(固形分換算14%)
キサンタンガム 1%
クエン酸 0.3%
清水 残余
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100%

【0047】
[実施例2]
(1)気泡入り加工食品の製造
実施例1と同様の方法で気泡入り加工食品を製造した。
(2)気泡入りデザートソースの製造
実施例1において製したデザートソースに気泡入り加工食品を混合し、気泡入りデザートソースを製造した。
(3)気泡入りフルーツデザートの製造
広口のパフェグラスに、アセロラ(含水率90%)20g、生クリーム40g、上記(2)で得た気泡入りデザートソース120g、モモ(含水率89%)60g、タピオカパール9g、及びミントの葉1gの順番に盛り付け合計250gの気泡入りフルーツデザートを製した。
【0048】
[試験例1]
気泡入り加工食品に使用する糖の種類による、気泡入りフルーツデザートの離水及びデザートソースとの一体感への影響を調べた。具体的には、気泡入り加工食品に用いる糖を表1に示す糖に変更した以外は、実施例1(1)に準じて気泡入り加工食品を製し、次いで実施例1(2)および実施例1(3)に準じて気泡入りフルーツデザートを製した。得られた気泡入りフルーツデザートは、以下の評価方法に従って評価し、これらの結果を表1に示す。
還元澱粉糖化物を粉末状のデキストリン、トレハロース、マルトオリゴ糖に置き換える場合は、固形分換算で含有量を揃えた。即ち、気泡入り加工食品の還元澱粉糖化物(固形分70%)20%を、各種粉末状糖類14%に変更した。
なお、得られた全ての気泡入り加工食品は、油脂を含んでおらず、粘度が50〜90Pa・s、比重が0.4〜0.6、pHが5.5であった。
【0049】
〔評価方法〕
気泡入りフルーツデザートをポリエチレン製の容器に充填して−20℃で1週間冷凍保存し、5℃で解凍し5℃で1日保存した後、喫食し、その際の食感を以下の評価基準に従って評価した。
【0050】
〔離水の評価基準〕
A:実質的に離水がない、乃至表面が水で濡れている程度。
B:わずかに水が分離している。
C:大量に水が分離している。
【0051】
〔ソースとの一体感の評価基準〕
A:ふわっとした軽い口溶けであり、フルーツとデザートソースの一体感が感じられる。
B:重い食感が若干感じられるが、問題ない程度でフルーツとデザートソースの一体感が感じられる。
C:フルーツとデザートソースの一体感が損なわれている。
【0052】
【表1】

【0053】
表1の結果より、卵白、乳清及び還元澱粉糖化物を含有する気泡入りフルーツデザートは、いずれも離水が抑制されて、フルーツとデザートソースの一体感を感じられることがわかる(実施例1)。一方、還元澱粉糖化物を各種糖類に置き換えると、気泡入りフルーツデザートは、離水を生じ、フルーツとデザートソースの一体感を感じられる気泡入りフルーツデザートが得られないことが理解できる。(比較例1〜3)。
【0054】
[比較例4]
生卵白30%を乳清(固形分換算)3%に置き換えた以外は、実施例1(1)に準じて気泡入り加工食品を製し、次いで実施例1(2)、(3)に準じて気泡入りフルーツデザートを製した。
【0055】
試験例1の評価方法及び評価基準に従って評価を行ったところ、この気泡入りフルーツデザートは、気泡安定性が悪く、離水防止効果が低く、フルーツとデザートソースの食味の一体感が得られなかった。
【0056】
[比較例5]
乳清(固形分換算)3%を生卵白30%に置き換えた以外は、実施例1(1)に準じて気泡入り加工食品を製し、次いで実施例1(2)、(3)に準じて気泡入りフルーツデザートを製した。
【0057】
試験例1の評価方法、及び評価基準に従って、評価を行ったところ、この気泡入りフルーツデザートは、ふわっとした軽い食感であるものの、泡が硬くなり過ぎて、フルーツデザートと混合しにくいため、十分な離水防止効果が見られずフルーツとデザートソースの食味の一体感が得られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵白、乳清、還元澱粉糖化物を含有する粘度(20℃)が40〜100Pa・sである気泡入り加工食品を用いた気泡入りフルーツデザート。

【公開番号】特開2013−27335(P2013−27335A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164316(P2011−164316)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】