説明

気泡検知回路及び気泡検知器

【課題】きわめて簡単な回路で、非伝導性チューブにおける対地静電誘導電荷を検出し、その電荷の変化で非伝導性チューブ内の気泡を検知する気泡検知に関する。
【解決手段】非導電性チューブの電荷信号を増幅する信号増幅器1、大気中の電荷信号を増幅する信号増幅器2、信号増幅器1と信号増幅器2の信号を比較する信号比較器5、信号比較器5の出力端に比較結果信号端6、導電性チューブの電荷信号を増幅する信号増幅器1の入力端には非導電性チューブの電荷を検知する導電物質3、そして大気中の電荷信号を増幅する信号増幅器2の入力端に大気中の電荷を検知する導電物質4とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、気泡検知回路及び気泡検知器に関する。詳しくは、非導電性チューブに発生する静電誘導電荷を検出し、その電荷の変化で非導電性チューブ内の気泡を検知する気泡検知に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非導電性チューブ内の気泡を安全に、精度よく検知するひとつの方法として、超音波の利用がある。超音波を使用する場合は、送信側の超音波センサーと受信側の超音波センサーを一対として使用する手段と、送受信を1つで行う手段が主である。
【0003】
超音波センサーを使用した場合、しばしば検知する必要のない細かな気泡問題に悩まされる。それは、超音波振動エネルギーにより、非導電性チューブ内の液に含まれる空気が発泡し、細かな気泡となって非導電性チューブ内に現れ、超音波センサーの検知面に付着することで、検出する必要がない細かな気泡を検知してしまい、検知を必要とする気泡検出の働きが妨げられてしまうことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の超音波を利用する多く装置では、検知する必要のない細かな気泡まで検知してしまう。超音波の特性からすれば、細かな気泡が超音波センサー面に付着することは大きな気泡が存在する状態とほとんど変わらない。このため、たびたび細かな気泡を大きな気泡と検知を誤るが、検知感度を変えるにも検知精度に限界がでてくる。そのたびに細かな気泡除去のための労力が使われている。
【0005】
また、超音波センサーとそれに付随する回路にコストをかけることにより、ある程度は大きな気泡検知精度を上げることも可能である。しかし、超音波による気泡検知は、超音波のρc「ρcとは密度×物質伝播速度」が異なる面では超音波は反射するという物理現象利用に基づくため、高度な対策を施してもコストが嵩むわりには顕著な効果は得られにくい。
【0006】
本願発明は、きわめて簡単な原理を用いて非導電性チューブ内の細かな気泡を含む、非導電性チューブ内の液を遮断する大きさの気泡を検知することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載した発明は、非導電性チューブに発生する静電誘導電荷を検知し、その電荷の変化で非導電性チューブ内の気泡を検知する気泡検知回路に関するものである。
【0008】
静電誘導現象というものがある。この現象は電荷(電灯線や電波、摩擦等による発生が主)が発生すれば、大地に接続されていない導体や誘電体、絶縁物に電荷が現れるという現象である。
【0009】
本願発明が利用する静電誘導現象は電灯線が交流であるため、導電物質や誘電体に電荷が伝わりやすい。
【0010】
輸液という具体的例を上げて説明すると、輸液製剤や水は半導電性・誘電物質であり、人体も同様に半導電性を持っている。輸液という行為は、薬剤バッグから輸液チューブを通して人体へ輸液をするものである。誘電物質からなる輸液バッグや輸液チューブラインに誘電された電荷は、電荷の移動がない限り保持されるが、人体針刺し接続等により電荷は移動し等電位化されやすい。この状態でも人体と輸液チューブ間の輸液ライン内の液体が気泡等で遮断されれば、輸液バッグや輸液ラインと人体に誘導された電荷は再び電位差となって現れる。
【0011】
つまり、非導電性チューブ内の液を遮断する大きさの気泡があるかないかは、この輸液ラインの接続先と輸液回路に誘導されてくる電位を測定すれば判断できる。
【0012】
本願の請求項2に記載した発明は、回路が簡単なため、その大きさを別の装置に組み込めるように安価に構成したものである。
【0013】
本願の請求項3に記載した発明は、上記請求項1に記載した回路をより具体化したものであり、非導電性チューブに発生する電荷を検知する導電物質と、非導電性チューブに発生する電荷と大気中のに発生する電荷との変化を検知する電荷変化検知回路とを備える気泡検知回路を含んで構成される。
【0014】
本願の請求項4に記載した発明は、大気中に発生する電荷をより正確に検知するために構成したものである。
【0015】
本願の請求項5に記載した発明は、上記請求項3に記載した導電物質の非導電性チューブに対しての状態を具体化したものであり、より非導電性チューブの電荷を正確に検知するために構成したものである。
【0016】
本願の請求項6に記載した発明は、検知器の構成が簡単なため、その大きさを別の装置に組み込めるように安価に構成したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本願説明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0018】
図1に本願説明に係る気泡検知器の第1の実施の形態に係る概略構成図を示す。
【0019】
図1に示すように、気泡検知器は、非導電性チューブの電荷信号を増幅する信号増幅器1、大気中の電荷信号を増幅する信号増幅器2、信号増幅器1と信号増幅器2の信号を比較する信号比較器5、信号比較器5の出力端に比較結果信号端6、導電性チューブの電荷信号を増幅する信号増幅器1の入力端には非導電性チューブの電荷を検知する導電物質3、そして大気中の電荷信号を増幅する信号増幅器2の入力端に大気中の電荷を検知する導電物質4とを備えて構成されている。
【0020】
また、信号増幅器1と信号増幅器2と信号比較器5とで電荷変化検知回路9を構成する。
【0021】
非導電性チューブの電荷信号を増幅する信号増幅器1と大気中の電荷信号を増幅する信号増幅器2は、共に電荷を増幅するものであり、同じものにしてもよい。
【0022】
第2図に示す第2の実施の形態では、気泡検出器の非導電性チューブの電荷を検知する導電物質3を非導電性チューブの電荷をより検知しやすくするために非導電性チューブに接触させる形とした導電物質に変更しても良い。
【0023】
超音波式のように信号を出力してその信号変化を読みとるのではなく、この気泡検知器は、あくまでも受け身のみであり、非導電性チューブ内の液体の状態を全く変化させずに使用できる。
【0024】
つまり、非導電性チューブ内の液体に作用することがないので薬品試験分野などに活用できる。
【0025】
比較結果信号端6には、閾値回路を設け、気泡有り時LED点灯、気泡無し時LED消灯とすることもできる。
【0026】
また、比較結果信号端6には、警報発生装置などに接続し、気泡警報として使用することができる。
【0027】
気泡検知器を使用するにおいて電源が必要である。電源は直流電源、交流電源のどちらでも良い。
【発明の効果】
【0028】
したがって、超音波式と違い、気泡の誤検知を無くし、作業者の負担を無くし、さらに非常に簡単な回路で安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の第1の実施の形態に係る気泡検知器の概略構成を示す図である。
【図2】本願発明の第2の実施の形態に係る接触させる形とした導電物質を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
7は非導電性チューブ
8は気泡検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性チューブに発生する静電誘導電荷を検出し、その電荷の変化で非導電性チューブ内の気泡を検知する気泡検知回路。
【請求項2】
別の装置に組み込むことができる小型なものとした、請求項1に記載の気泡検知回路。
【請求項3】
非導電性チューブに発生する電荷を検知する導電物質と、
非導電性チューブに発生する電荷と大気中に発生する電荷との変化を検知する電荷変化検知回路とを備える気泡検知器。
【請求項4】
大気中に発生する電荷を検知する導電物質を備える、請求項3に記載の気泡検知器。
【請求項5】
非導電性チューブに発生する電荷を検知する導電物質を非導電性チューブと接触させた形とした、請求項3又は請求項4のいずれかに記載の気泡検知器。
【請求項6】
別の装置に組み込むことができる小型なものとした、請求項3から請求項5のいずれかに記載の気泡検知器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−304443(P2008−304443A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177803(P2007−177803)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(591156618)株式会社テクトロン (13)
【Fターム(参考)】