説明

気泡混合軽量土の造成方法およびその施工装置

【課題】盛土の上に構築されることになる構築物の上載荷重と盛土厚さとの関係を定量化した気泡混合軽量土の造成方法を提供する。
【解決手段】現位置土と気泡および固化材とを混合撹拌して、コンクリート構造物1の構築に伴う上載荷重に耐え得るだけの強度を有する気泡混合軽量土2を造成する際に、現位置土の軽量土化に伴う軽減重量が上載荷重とほぼ等しくなるように施工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡混合軽量土の造成方法とその施工装置、特に現位置撹拌による気泡混合軽量土の造成方法とその施工装置に関し、さらに詳しくは、地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って、現位置土に空隙形成材としての気泡と固化材を加えて混合撹拌して、軽量で且つ強度的には上載荷重に耐え得るだけの十分な強度を有する気泡混合軽量土を造成する方法と施工装置に関するものである。
【0002】
なお、ここに言う地面とは、地表面より1.0m〜10.0m程度までの深度の大地を言う。
【背景技術】
【0003】
周知のように気泡混合土は軽量であり、橋台、擁壁の裏込め材としての利用のほか、山岳地における拡幅盛土等に利用されており、その造成は土砂と固化材、水および気泡とを混合撹拌して気泡混合土とすることを基本としている。
【0004】
すなわち、従来の気泡混合軽量土の造成方法としては、例えば特許文献1に記載のように、ミキシングプラントで土砂、水および固化材を混合した上でこれに発泡装置で製造した気泡を気泡混合装置で混合して気泡混合軽量土とし、その製造された気泡混合軽量土を、圧送ポンプを用いて耐圧ゴムホースもしくはコンクリート用圧送管にて施工箇所まで圧送した上で打設造成することになる。なお、この工法は一般にFCB工法と称されている。
【0005】
また、別の造成方法としては、例えば特許文献2に記載のように、施工現場の土砂を掘削し、その掘削土砂に加水して液性限界以上の含水比となし、これを撹拌してスラリ状とした上で発泡剤もしくは起泡剤等の空隙形成剤とセメント系固化材とを加えて混合撹拌し、これを現場地盤上に盛り上げて盛土とする。
【特許文献1】特開2002−332657号公報
【特許文献2】特公平5−28285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に代表されるような従来の技術では、いずれの場合も盛土造成箇所以外の場所にて気泡混合土を製造するものであり、下記のような欠点がある。
【0007】
すなわち、前者の技術では、ミキシングプラントにて土砂、水および固化材を混合し、これに発泡装置で製造した気泡を気泡混合装置で混合して気泡混合軽量土とするものであるから、現場発生土(土砂)を一次掘削してミキシングプラントの近くに一旦仮置きする必要があり、その仮置き場の設置によってスペース効率が悪くなる。また、製造された気泡混合軽量土を圧送ポンプのほか耐圧ゴムホースやコンクリート用圧送管を用いて施工箇所まで圧送して打設造成しているので、気泡混合軽量土そのものに十分な流動性を必要とする。その流動性の確保には多くの水を使用することになるため、気泡混合土としての必要強度を得る上で多くのセメント系固化材を必要とし、不経済とならざるを得ない。
【0008】
また、後者の技術では、施工現場の掘削のほか含水比調整を含めた多くの工程を必要とするため、一日あたりの作業量にも限界があり、上記と同様に不経済なものとなる。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、現位置にて原土を掘削しながらその時点で気泡や固化材と混合撹拌することで気泡混合軽量土とするようにしたきわめて経済性に優れた造成方法と施工装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して構造物や盛土体の構築に伴う上載荷重に耐え得るだけの強度を有する気泡混合軽量土を造成するにあたり、現位置土の軽量土化に伴う軽減重量が上載荷重とほぼ等しくなるように施工することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、地面上に新たな盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、その盛土体の底面部または底面部付近の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して造成する気泡混合軽量土の増量分でまかなうとともに、盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することを特徴とする。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、その盛土体の底面部または底面部付近の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して造成する気泡混合軽量土の増量分でまかなうにあたり、増量分に相当する気泡混合軽量土が入る容積を確保する手段として、盛土体の底面周辺の土砂で土堰堤を構築するか、もしくは、型枠で囲い盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することが望ましい。
【0013】
これらの請求項1〜3に記載の発明では、例えばバックホウ等の作業系建設機械のアーム先端に装着されている混合攪拌機の先端から、製造しておいた気泡とスラリ状の固化材を吐出させながらその混合攪拌機にて現位置で原土と混合撹拌して、軽量で且つ造成体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成する。
【0014】
具体的には、請求項4に記載のように、地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、気泡混合材としてスラリ状の固化材に気泡を加えたエアミルクを製造しておき、混合攪拌機の先端よりエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しつつエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とする。
【0015】
この場合において、上記造成方法に代えて、請求項5に記載のように、予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながらスラリ状の固化材および気泡と混合撹拌して気泡混合軽量土とする造成方法のほか、請求項6に記載のように、起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材を予め製造して、その起泡材を圧縮空気と合流させて気泡とした上で混合攪拌機の先端より吐出させるのと並行して、スラリ状の固化材を混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて原土を掘削しながら上記気泡および固化材を混合撹拌して気泡混合軽量土とする造成方法を採用することもできる。
【0016】
また、請求項4に記載の造成方法に代えて、請求項7に記載のように、予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを合流させエアミルクとして、エアミルクを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながらエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とする造成方法のほか、請求項8に記載の発明のように、起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材として、混合材と圧縮空気を合流させた上で混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記混合材と混合撹拌して気泡混合軽量土とする造成方法とすることもできる。
【0017】
さらに、請求項9に記載のように、起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材とするとともに、この混合材と圧縮空気を発泡装置に通してエアミルクとして、混合撹拌機の先端よりそのエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記エアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とする造成方法としても良い。
【0018】
これらの請求項1〜9に記載の固化材としては、例えばセメント及びセメント系のものを用いる。
【0019】
また、請求項3〜9に記載の混合攪拌機は、例えば請求項10に記載のように作業系建設機械のアーム先端に装着されているものとする。望ましくは、請求項11に記載のように、混合攪拌機は、フレーム上部の駆動輪とフレーム下部の従動輪との間に混合撹拌翼が取り付けられたエンドレスなチェーンを巻き掛けるとともに、そのチェーンを上下方向に周回移動させることで現位置土の掘削と混合撹拌処理を行うようになっているものとする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜3に記載の発明によれば、新たな構造物や盛土体の施工に伴う増加荷重すなわち上載荷重は、現位置土の軽量土化に伴う重量軽減分で上載荷重の全部または一部が相殺され、結果として新たな構造物や盛土体の施工に伴う増加荷重の全部または一部がなかったものとみなし得るため、特に地下水位の高い地面上に新たな構造物や盛土体の構築等を施す場合には無用なコストアップを抑制して経済性に優れた施工を行うことができる。
【0021】
請求項4〜9に記載の発明によれば、従来のいわゆるプラント混合方式と異なり、気泡と固化材および原土との混合撹拌は現位置での原土の掘削と並行して行われるため、従来のような原土の一時的な仮置き場等も不要で、スペース効率と経済性に優れた施工を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、地面Gの上に例えばコンクリート構造物1を構築する場合の例を示している。
【0023】
なお、ここに言う地面とは、地表面より1.0m〜10.0m程度までの深度の大地を言う。
【0024】
すなわち、地面Gの上に単位面積当たり30kN/m2の重量を有するコンクリート構造物1を構築するにあたり、その底面部分の地面についてセメント系固化材のほか空隙形成材として気泡を投入して原土(現位置土)を掘削しつつこれらと混合撹拌し、もって軽量で且つコンクリート構造物1の荷重(上載荷重)に耐え得るだけの強度を有する気泡混合軽量土、例えば単位体積重量がおよそ9.5kN/m3となる気泡混合軽量土層2に造成するものである。この場合、そのときの現位置土の湿潤土重量は15kN/m3とする。また、現位置土と混合撹拌されることになる固化材と気泡は、固化材を含む気泡混合材として予め製造しておくものとする。
【0025】
そして、コンクリート構造物1の荷重である上載荷重と、現位置土そのものを軽量土化することによって軽減された分の重量とをほぼ等しくなるように設定することで、結果としてコンクリート構造物1を構築しながらもその荷重の一部または全部の増加がなかったものとみなし得る状態をつくり出すことに特徴がある。
【0026】
上記の気泡の製造に用いられる起泡剤としては、界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系の三種類に分類される。それらのうち使用例の多い起泡剤の種類と標準的な希釈倍率、および発泡倍率を表1に示す。
【0027】
なお、「ジオハート2」は麻生フオームクリート(株)製、「OFA−2」は小野田ケミコ製、「スミシールドA」は住友大阪セメント製、「ファインフォーム606」はポゾリス物産製、「パリックFA100」はフローリック製、「APフォーム」はキザイテクト製、「マールP」はCELLULARコンクリート製(販売元は麻生フオームクリート(株))のもので、いずれも一般に市販されているものである。
【0028】
【表1】

【0029】
そして、先に述べた湿潤土重量15kN/m3の現位置土を9.5kN/m3まで軽量化する際の原土1m3当たりの配合例を表2に示す。
【0030】
起泡剤としてはタンパク質系の「マールP」を使用した。
【0031】
起泡剤である「マールP」を清水にて約25倍に希釈した希釈液を圧縮空気とともに起泡筒を通過させて発泡倍率として20倍まで発泡させる。そのときの気泡比重は0.05となる。すなわち、表2では気泡の量が1400リットルとあるが、これは起泡剤である「マールP」2.7リットルに対して希釈水(水道水)を67.3リットル加えて約25倍に希釈したものを70リットルとし、これを20倍まで発泡させることにより気泡の量が1400リットルとなる。
【0032】
【表2】

【0033】
ここで、造成しようとする気泡混合軽量土層2の厚さ1m当たりの軽減重量gは、原土重量と気泡混合軽量土2の重量との差にほかならないから、g=15kN/m3−9.5kN/m3よりして5.5kN/m3となる。
【0034】
また、コンクリート構造物1の構築に伴う増加荷重に相当する気泡混合軽量土層2の厚さHは、H=(構造物重量)/(1m当たりの軽減重量)の関係よりして、H=(30kN/m2)/(5.5kN/m3)≒5.5mとなる。
【0035】
次に、現位置における増加加重による支持力を検証してみる。
【0036】
(ア)深度(深さ)H=5.5m時の先行圧密応力P0は、P0=15kN/m3×5.5m=82.5kN/m2となる。
【0037】
(イ)深度H=5.5m時の圧密応力P1は、P1=30kN/m2+(9.5kN/m3×5.5m)=82.3kN/m2となる。
【0038】
(ウ)地下水位の高い地面が故の地下水による浮力を考慮して地表以下の重量を0とした場合の深度5.5m時の圧密応力P1は、P1=30kN/m2である。
【0039】
(エ)先の(イ)のときにはP0≒P1となり、また上記(ウ)のときにはP0>P1となる。
【0040】
このように、いずれの場合においても増加荷重であるコンクリート構造物1の重量を、気泡混合軽量土層2の造成により現位置土の軽減重量で相殺できたことになる。しかも、気泡混合軽量土2の強度は表2から明らかなように150kN/m2であり、充分な強度と言える。
【0041】
すなわち、単位体積重量≒9.5kN/m3で且つ設計地耐力30kN/m2以上となる気泡混合軽量土層2を深さ約5.5mまで造成したならば、上載荷重(増加荷重)は現位置土重量の軽減重量で相殺されたことになる。また、構造物によっては、許容残留沈下量を考慮して気泡混合軽量土厚さを軽減することも可能である。
【0042】
次に、図2には、地面G上に盛土高さH1が1.5mの堤体(盛土体)3を構築する場合であって、且つ堤体3を構築するのに必要な体積を、盛土体の底面部の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを後述する混合攪拌機8にて混合撹拌して造成する気泡混合軽量土2の増量分でまかなう場合の実施例を示す。
【0043】
原土1m3当たりで増量する気泡混合軽量土の量は、表2から明らかなように、3.38m3−1m3=2.28m3となる。
【0044】
堤体盛土高さH1として1.5mを確保するのに必要な混合撹拌深度H2は、1.5m/2.28m3≒0.7mとなる(ただし、消泡率を0とした場合)。
【0045】
施工時の消泡を考慮して、深度H2=1.0mまで混合撹拌した場合の現位置における支持力を検証してみる。
【0046】
(カ)深度H2=1.0m時の先行圧密応力P0は、P0=15kN/m3×1.0m=15.0kN/m2となる。
【0047】
(キ)深度H2=1.0m時の圧密応力P1は、P1=9.5kN/m3×2.5m≒23.8kN/m2となる。
【0048】
(ク)地下水位の高い地面が故の地下水による浮力を考慮して地表以下の重量を0とした場合の深度H2=1.0m時の圧密応力P1は、P1=9.5kN/m3×1.5m≒14.3kN/m2である。
【0049】
(ケ)先の(キ)のときにはP0<P1となり、将来的に圧密沈下を起こす可能性があるが、(ク)のときにはP0≒P1となり、先行圧密応力P0と堤体盛土重量P1とはほぼ重量バランスが保たれていると言える。実施工時には、現位置土の支持力および地下水位の変動等を充分調査した上で混合深度を決定する必要がある。
【0050】
(コ)現位置土の支持力も小さく地下水位も低い場合には、P0≒P1となる混合深度H2を見つけて実施すれば良いと言える。
【0051】
このように、気泡混合軽量土2の強度としては150kN/m2であり、堤体盛土としては充分な強度であると言える。
【0052】
すなわち、現位置土に固化材を含む気泡混合材を加えて深さH2=1.0mまで混合撹拌すれば、増量した気泡混合軽量土2でH1=1.5mの高さの堤体3が構築されたことになる。また、その時における堤体3の強度としては150kN/m2が確保されており、堤体構造物としては安定した状態にあると言える。
【0053】
また、上記実施例は地下水位の高い地面への盛土のみならず山岳地における腹付け盛土等の手段としても有効である。例えば図3の(A),(B)に示すように、壁面パネル51を併用することを前提として気泡混合軽量土層52からなる盛土体53の計画高さをH3に設定してその表面を舗装面53aとする場合に、高さH2分の現位置土(原土)に固化材を含む気泡混合材を加えて混合撹拌して、現位置混合によって増量したH3−H2分の軽量土で盛土量をまかなうことによって、盛土体53としての必要強度を確保する上で有効な手段となる。
【0054】
図4はさらに別の実施例を示し、この実施例では、気泡混合軽量土層52からなる所定高さの盛土体54を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、その盛土体54の底面部または底面部付近の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して造成する気泡混合軽量土層52の増量分でまかなうことを前提とする。その上で、増量分に相当する気泡混合軽量土52が入る容積を確保する手段として、盛土体54の底面周辺の土砂で予め土堰堤55を構築しておき、土堰堤55の内部の現位置土(原土)に固化材を含む気泡混合材を加えて混合撹拌し、必要な強度を有する気泡混合軽量土層52をいわゆる囲い盛土体形状の盛土体54として造成する。
【0055】
ここで、上記増量分に相当する気泡混合軽量土52が入る容積を確保する手段として、図4の土堰堤55に代えて図5に示すように気泡混合軽量土層52たる盛土体56を造成しようとする位置に予め型枠57を設置しておいても良い。この場合には、型枠57内の現位置土(原土)に固化材を含む気泡混合材を加えて混合撹拌して気泡混合軽量土層52をいわゆる囲い盛土体形状の盛土体56として造成する。その後、タイロッド58を用いて型枠57を補強した上で十分に養生し、必要な強度が得られた後に型枠57を解体するものとする。
【0056】
図6は上記のような気泡混合軽量土の施工に適した施工システムの概略構造を、図7は同システムを模式化したブロック系統図をそれぞれ示している。
【0057】
図6,7のシステムでは、セメントミルク製造系統5でセメントミルクを、気泡製造系統6で気泡をそれぞれ製造し、両者をブレンダー7にて混合することにより固化材を含む気泡混合材とした上で、施工箇所Pである現位置にて待機している混合攪拌機8に圧送するものである。
【0058】
なお、セメントミルクとは、固化材スラリまたはスラリ状もしくはミルク状固化材の下位概念であり、固化材として例えばセメントを用いる場合に、粉体であるセメントと水とを所定の水/セメント比で混ぜ合わせたスラリ状もしくはミルク状のものを言う。また、エアミルクとは、上記の固化材を含む気泡混合材の下位概念であり、上記のセメントミルクに対し起泡材を用いて製造した気泡を混入したものを言う。
【0059】
図6,7に示すように、セメントミルク製造系統5には、固化材としてのセメントを収容しておくためのセメントサイロ9のほか、ミキサー型のスラリプラント10および水槽11等が用意されており、それぞれに計量されたセメントと水とをスラリプラント10に投入して混合撹拌することにより、所定の水/セメント比のセメントミルクが製造される。そして、製造されたセメントミルクは後段のブレンダー7に供給され、グラウトポンプ16にて圧送される。
【0060】
他方、気泡製造系統6には、起泡剤収容部12、水槽13および発泡装置14のほか、付帯設備として発動発電機15およびコンプレッサー46が用意されており、起泡剤に所定の割合で水を混ぜ合わせたものを起泡材として発泡装置14に導入した上でコンプレッサー46から圧縮空気を吹き込むことによりいわゆるフォーム状の気泡が製造される。そして、製造された気泡は先のセメントミルクとともにブレンダー7に供給され、そのブレンダー7にて両者が混合撹拌されることにより、いわゆるエアミルクが製造される。
【0061】
一方、混合攪拌機8は、作業系建設機械であるところの例えばバックホウ17をベースマシン(母機)としてそのアーム18先端に装着されていて、図8に示すように混合撹拌機8の先端には材料吐出口19が設定されている。材料吐出口19は圧送管20を介して図6のグラウトポンプ16に接続されている。そして、先のブレンダー7にて製造されたエアミルクが、グラウトポンプ16にて混合攪拌機8の材料吐出口19へと圧送されて吐出される。
【0062】
混合撹拌機8は、図8に示すように上下方向に延びるフレーム21の上部の駆動輪22と下部の従動輪23との間にエンドレスなドライブチェーン24を巻き掛けるとともに、そのドライブチェーン24の外周に所定のピッチで複数の撹拌翼25を装着したもので、フレーム21の下端には先に述べた材料吐出口19が設けられている。そして、フレーム21の上部に設けられた油圧モータ26を起動することにより各撹拌翼25がドライブチェーン24とともに周回移動して、それに併せてバックホウ17自体の推力による混合撹拌機8の地中への貫入と引き抜きとを繰り返すことにより、施工箇所の土砂の掘削と並行してその土砂とエアミルクとの混合撹拌が行われることになる。
【0063】
すなわち、上記のようにグラウトポンプ16からのエアミルクの供給を受ける混合撹拌機8側では、図8に示すようにフレーム21の上部に設けられた油圧モータ26の起動により各撹拌翼25をドライブチェーン24とともに周回移動させるとともに、材料吐出口19からエアミルクを連続的に吐出させて、それに併せてバックホウ17自体の推力による混合撹拌機8の土砂中への貫入と引き抜きとを繰り返すことにより、造成もしくは施工箇所Pの現位置土(土砂)の掘削と並行してその現位置土とエアミルクとの混合撹拌が行われて、その現位置土の土砂が気泡混合軽量土化することになる。なお、土砂とエアミルクとの混合割合は土砂そのものの性状等に応じて決定する。
【0064】
この場合、土砂中からの混合撹拌ヘッド8の最大引き抜き時においても材料吐出口19が地表側に露出しないで常に土砂中に埋もれているように制御する。こうすることにより、エアミルクが常に土砂中に吐出されることとなって、土砂との混合撹拌が均一に行われて、品質の安定した気泡混合軽量土とすることができる。
【0065】
そして、現位置土の土砂の気泡混合軽量土化を終えたならば、バックホウ等にて表面整正する。
【0066】
図9,10は本発明の第2の実施の形態として上記施工システムの別の例を示しており、図6,7と共通する部分には同一符号を付してある。
【0067】
この実施の形態では、図6では必須とされたブレンダー7が付帯しておらず、代わって気泡製造系統6にも独立した気泡用圧送ポンプ27を設けてあり、セメントミルク製造系統5および気泡製造系統6でそれぞれ製造されたセメントミルクと気泡とを途中で混合することなしに混合攪拌機8までそれぞれ個別に圧送するようにしている点で図6,7のものと異なっている。
【0068】
一方、図11は図8の(A)のQ部に相当する図であって、混合撹拌機8には、相互に独立した二つの圧送管28,29の先端にそれぞれ材料吐出口30,31が設けられていて、一方の材料吐出口30にはセメントミルク製造系統5のグラウトポンプ16にてセメントミルクが供給されて吐出される。また、他方の材料吐出口31には気泡製造系統6の圧送ポンプ27にて気泡が供給されて吐出される。
【0069】
すなわち、この実施の形態では、それぞれに別系統にて供給されてきたセメントミルクと気泡とが材料吐出口30,31から同時吐出されることで、それらのセメントミルクと気泡および現位置の土砂とが初めて混合撹拌されることになる。
【0070】
図12,13は本発明の第3の実施の形態として上記施工システムのさらに別の例を示しており、図6,7と共通する部分には同一符号を付してある。
【0071】
この実施の形態では、図6では必須とされたブレンダー7が付帯しておらず、代わって気泡製造系統6にも独立したグラウトポンプ32を設けてある。さらに、コンプレッサー46を施工箇所Pに近い位置に用意してある。そして、気泡製造系統6では起泡剤に水を加えて希釈した起泡材を製造するにとどまり、この起泡材をグラウトポンプ32にて直接混合攪拌機8まで圧送するようになっている。同様に、セメントミルク製造系統5で製造されたセメントミルクも途中で上記起泡材と混合することなしにグラウトポンプ16にて混合攪拌機8まで直接圧送するようになっている。
【0072】
一方、混合撹拌機8には、図14,15に示すように相互に独立した二つの圧送管33,34の先端にはそれぞれに材料吐出口35,36が設けられていて、一方の材料吐出口35にはセメントミルク製造系統5のグラウトポンプ16にてセメントミルクが供給されて吐出される。また、他方の材料吐出口36には気泡製造系統6のグラウトポンプ32にて起泡材が供給される。
【0073】
ここで、起泡材供給用の圧送管34の途中の合流部Mでは給気管37が合流していて、この給気管37を介して圧送管34にはコンプレッサー46からの圧縮空気が導入されるようになっている。つまり、圧送管34にて供給されてきた起泡材に対し、材料吐出口36からの吐出直前に圧縮空気を吹き込むことによりいわゆるフォーム状の気泡と化し、この気泡が材料吐出口36から吐出されることになる。
【0074】
また、コンプレッサー46からの圧縮空気が導入された後に、図10および図22で示す発泡装置14もしくは43に導入することによりフォーム状の気泡化がより促進されることは言うまでもない。
【0075】
したがって、この実施の形態においても、セメントミルクと気泡とが材料吐出口35,36から同時吐出されることで、それらのセメントミルクと気泡および現位置の土砂とが初めて混合撹拌されることになる。
【0076】
図16〜18は本発明の第4の実施の形態として上記施工システムのさらに別の例を示しており、図9〜11と共通する部分には同一符号を付してある。
【0077】
この実施の形態では、気泡製造系統6にも独立した気泡用圧送ポンプ27を設けて、セメントミルク製造系統5および気泡製造系統6でそれぞれ製造されたセメントミルクと気泡とを途中で混合することなしに混合攪拌機8までそれぞれ個別に圧送するようにしているとともに、コンプレッサー46を施工箇所Pに近い位置に用意してある。そして、図17に示すように、混合撹拌機8の直前位置にてセメントミルクと気泡とを合流させて、この時点で初めてエアミルクとするようにしてある。
【0078】
他方、図18には図16,17のシステムで使用される混合撹拌機8を示しており、同混合撹拌機8の上端部において、材料吐出口19に接続された圧送管20に対しコンプレッサー46側に接続された圧縮空気供給用の給気管41とグラウトポンプ27側に接続された気泡供給用の圧送管42がそれぞれ接続されている。そして、各々の接続位置にて、圧送管20を通して送られてくるセメントミルクに対して給気管41側からの圧縮空気と、圧送管42側からの気泡がそれぞれに導入されて合流することになる。
【0079】
なお、図17から明らかなように、気泡そのものは起泡材に対する圧縮空気の吹き込みによって起泡化もしくは発泡化したものであるから、気泡の圧送距離が比較的短い場合には、図16に示した気泡用圧送ポンプ27のほか、コンプレッサー46による圧縮空気の導入を省略することも可能である。
【0080】
したがって、この実施の形態では、材料吐出口19の直前位置であるところの混合撹拌機8の上端部においてセメントミルクへの圧縮空気および気泡の導入,合流によって初めて起泡化されたエアミルクが製造され、そのエアミルクが混合撹拌機8の先端の材料吐出口19から吐出されて、それらのセメントミルクと気泡および現位置の土砂とが初めて混合撹拌されることになる。
【0081】
図19〜21は本発明の第5の実施の形態として上記施工システムの別の例を示しており、図9〜11と共通する部分には同一符号を付してある。
【0082】
この実施の形態では、図6,7と比較すると明らかなように、セメントミルク製造系統5のブレンダー7および気泡製造系統の発泡装置14を廃止する一方で、コンプレッサー46を施工箇所Pに近い位置に用意してある。
【0083】
そして、図20から明らかなように、起泡剤に水を加えた起泡材とセメントおよび水をミキサー型のスラリプラント10にて混ぜ合わせた混合材をグラウトポンプ16にて混合撹拌機8側に圧送するようになっている。
【0084】
その一方、図21に示すように、同混合撹拌機8の上端部では、材料吐出口19に接続された圧送管20に対しコンプレッサー46側に接続された圧縮空気供給用の給気管41が接続されていて、その接続位置にて、圧送管20を通して送られてくる起泡材とセメントミルクとの混合材に対して給気管41側からの圧縮空気が導入されて合流することになる。
【0085】
したがって、この実施の形態においては、材料吐出口19の直前位置であるところの混合撹拌機8の上端部において起泡材とセメントミルクとの混合材に対して圧縮空気が導入,合流化した上で、このエアミルクが混合撹拌機8の先端の材料吐出口19から吐出される。そして、混合撹拌機8による混合撹拌作用をもって初めて積極的に発泡化もしくは起泡化されて、それらの発泡化もしくは起泡化されたセメントミルクと現位置の土砂とが初めて混合撹拌されることになる。
【0086】
図22,23は本発明の第6の実施の形態として上記施工システムのさらに別の例を示しており、図19〜21と共通する部分には同一符号を付してある。
【0087】
この実施の形態では、図20,21と比較すると明らかなように、混合撹拌機8の上端部では、圧送管20の途中に材料吐出口19の上流側に位置することになる発泡装置43が設けられている一方、その発泡装置43の上流側直近位置にて圧送管20に対しコンプレッサー46側に接続された圧縮空気供給用の給気管41が接続されている。そして、圧送管20を通して送られてくる起泡材とセメントミルクとの混合材に対して給気管41側からの圧縮空気が導入されて合流した上で、その混合材が発泡装置43にて導入されることになる。
【0088】
したがって、この実施の形態では、発泡装置43の直前または発泡装置43で起泡材とセメントミルクとの混合材に対して圧縮空気が導入,合流化されることでエアミルクが製造され、さらにそのエアミルクが発泡装置43にて発泡化もしくは起泡化された上で混合撹拌機8の先端の材料吐出19から吐出されて、それらの発泡化もしくは起泡化されたエアミルクと現位置の土砂とが初めて混合撹拌されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る造成方法のより具体的な実施の形態を示す説明図。
【図2】本発明に係る造成方法の別の例を示す説明図。
【図3】本発明に係る造成方法のさらに別の例を示す説明図。
【図4】本発明に係る造成方法のさらに別の例を示す説明図。
【図5】本発明に係る造成方法のさらに別の例を示す説明図。
【図6】図1〜5の造成方法に適した施工システムの概略説明図。
【図7】図6を模式化したブロック系統図。
【図8】(A)は図6に示した混合攪拌機の詳細を示す拡大説明図、(B)は同図(A)の側面説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態として図1〜5の造成方法に適した別の施工システムの概略説明図。
【図10】図9を模式化したブロック系統図。
【図11】図9に示した混合攪拌機の詳細を示す要部拡大説明図。
【図12】本発明の第3の実施の形態として図1〜5の造成方法に適したさらに別の施工システムの概略説明図。
【図13】図12を模式化したブロック系統図。
【図14】(A)は図12に示した混合攪拌機の詳細を示す拡大説明図、(B)は同図(A)の側面説明図。
【図15】(A)は図14の(B)をD方向から見たときの説明図、(B)は同図(A)の要部拡大説明図。
【図16】本発明の第4の実施の形態として図1〜5の造成方法に適した別の施工システムの概略説明図。
【図17】図16を模式化したブロック系統図。
【図18】(A)は図16に示した混合攪拌機の詳細を示す拡大説明図、(B)は同図(A)の側面説明図。
【図19】本発明の第5の実施の形態として図1〜5の造成方法に適した別の施工システムの概略説明図。
【図20】図19を模式化したブロック系統図。
【図21】(A)は図19に示した混合攪拌機の詳細を示す拡大説明図、(B)は同図(A)の側面説明図。
【図22】本発明の第6の実施の形態として図1〜5の造成方法に適したさらに別の施工システムのブロック系統図。
【図23】図22のシステムで使用される混合撹拌機の説明図で、(A)はその詳細を示す拡大説明図、(B)は同図(A)の側面説明図。
【符号の説明】
【0090】
1…コンクリート構造物
2…気泡混合軽量土層(気泡混合軽量土)
3…堤体(盛土体)
5…セメントミルク製造系統
6…気泡製造系統
8…混合攪拌機
17…バックホウ(作業系建設機械)
18…アーム
19…材料吐出口
21…フレーム
22…駆動輪
23…従動輪
24…ドライブチェーン
25…混合撹拌翼
30,31…材料吐出口
35,36…材料吐出口
52…気泡混合軽量土層
53…盛土体
54…盛土体
55…土堰堤
56…盛土体
57…型枠
G…地面
P…施工箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して構造物や盛土体の構築に伴う上載荷重に耐え得るだけの強度を有する気泡混合軽量土を造成するにあたり、
現位置土の軽量土化に伴う軽減重量が上載荷重とほぼ等しくなるように施工することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項2】
地面上に新たな盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、その盛土体の底面部または底面部付近の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して造成する気泡混合軽量土の増量分でまかなうとともに、盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項3】
所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、その盛土体の底面部または底面部付近の現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して造成する気泡混合軽量土の増量分でまかなうにあたり、
増量分に相当する気泡混合軽量土が入る容積を確保する手段として、盛土体の底面周辺の土砂で土堰堤を構築するか、もしくは、型枠で囲い盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することを特徴とする請求項2に記載の気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項4】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
気泡混合材としてスラリ状の固化材に気泡を加えたエアミルクを製造しておき、
混合攪拌機の先端よりエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しつつエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項5】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながらスラリ状の固化材および気泡と混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項6】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材を予め製造して、
その起泡材を圧縮空気と合流させて気泡とした上で混合攪拌機の先端より吐出させるのと並行して、スラリ状の固化材を混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて原土を掘削しながら上記気泡および固化材を混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項7】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを合流させエアミルクとして、
エアミルクを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながらエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項8】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材として、
混合材と圧縮空気を合流させた上で混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記混合材と混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項9】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材とするとともに、
この混合材と圧縮空気を発泡装置に通してエアミルクとして、
混合撹拌機の先端よりそのエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記エアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれかに記載の気泡混合軽量土の造成方法に用いる施工装置であって、
混合攪拌機は作業系建設機械のアーム先端に装着されていることを特徴とする気泡混合軽量土の造成用施工装置。
【請求項11】
混合攪拌機は、フレーム上部の駆動輪とフレーム下部の従動輪との間にエンドレスなチェーンを巻き掛けるとともに、そのチェーンを上下方向に周回移動させることで現位置土の掘削と混合撹拌処理を行うようになっていることを特徴とする請求項10に記載の気泡混合軽量土の造成用施工装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と、固化材を含む界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤を用いて製造される気泡、または固化材を含む界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡材とを混合撹拌して構造物や盛土体の構築に伴う上載荷重に耐え得るだけの強度を有する気泡混合軽量土を造成するにあたり、
現位置土の軽量土化に伴う軽減重量が上載荷重とほぼ等しくなるように施工することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項2】
地面上に新たな盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
盛土体の底面部または底面部付近の現位置土と、固化材を含む界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤を用いて製造される気泡、または固化材を含む界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡材とを混合撹拌して気泡混合軽量土化し、
所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、造成される気泡混合軽量土の増量分でまかなうとともに、盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項3】
所定高さの盛土体を構築するのに必要な体積分またはその一部分を、造成される気泡混合軽量土の増量分でまかなうにあたり、
増量分に相当する気泡混合軽量土が入る容積を確保する手段として、盛土体の底面周辺の土砂で土堰堤を構築するか、もしくは、型枠で囲い盛土体として必要な強度を有する気泡混合軽量土を造成することを特徴とする請求項2に記載の気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項4】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
気泡混合材として、スラリ状の固化材に界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤を用いて製造される気泡を加えたエアミルクを製造しておき、
混合攪拌機の先端よりエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しつつエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項5】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤を用いて予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら気泡およびスラリ状の固化材と混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項6】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材を予め製造して、
その起泡材を圧縮空気と合流させて気泡とした上で混合攪拌機の先端より吐出させるのと並行して、スラリ状の固化材を混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて原土を掘削しながら上記気泡およびスラリ状の固化材と混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項7】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤を用いて予め製造した気泡とスラリ状の固化材とを合流させてエアミルクとして、
エアミルクを混合攪拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながらエアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項8】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材として、
混合材と圧縮空気を合流させた上で混合撹拌機の先端より吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記混合材と混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項9】
地面上に新たな構造物や盛土体を構築するのに先立って行う気泡混合軽量土の造成方法であって、
現位置土と固化材を含む気泡混合材とを混合撹拌して気泡混合軽量土を造成するにあたり、
界面活性剤系、タンパク質系および樹脂石鹸系のうちの少なくともいずれかの起泡剤に水を加えたスラリ状の起泡材とスラリ状の固化材を混合して混合材とするとともに、
この混合材と圧縮空気を発泡装置に通してエアミルクとして、
混合撹拌機の先端よりそのエアミルクを吐出させるとともに、その混合攪拌機にて現位置土を掘削しながら上記エアミルクと混合撹拌して気泡混合軽量土とすることを特徴とする気泡混合軽量土の造成方法。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれかに記載の気泡混合軽量土の造成方法に用いる施工装置であって、
混合攪拌機は作業系建設機械のアーム先端に装着されていることを特徴とする気泡混合軽量土の造成用施工装置。
【請求項11】
混合攪拌機は、フレーム上部の駆動輪とフレーム下部の従動輪との間にエンドレスなチェーンを巻き掛けるとともに、そのチェーンを上下方向に周回移動させることで現位置土の掘削と混合撹拌処理を行うようになっていることを特徴とする請求項10に記載の気泡混合軽量土の造成用施工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−161535(P2006−161535A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160789(P2005−160789)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【特許番号】特許第3784822号(P3784822)
【特許公報発行日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000140694)株式会社加藤建設 (50)
【出願人】(594126735)麻生フォームクリート株式会社 (7)
【Fターム(参考)】