説明

気液混合装置

【課題】 内外2個の円筒の相対する面に永久磁石を設置し、両円筒間の間隙に水(又はその他の液体)と空気(又はその他の液体)とを導入し、内部円筒の高速回転によって気液の混合を行う装置における磁石の極性配置を最良のものとし、更に、磁石の寿命延伸のための手段を開発する。
【解決手段】 内外2個の円筒面に設置された磁石が、いずれもS極面を円筒間の間隙に向けるように配置し、磁石表面を耐食性金属の薄膜によって被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、水(又はその他の液体)と空気(又はその他の液体)とを混合し、水(又はその他の液体)中に空気(又はその他の液体)の微小気泡を造る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主として水質浄化の観点から、水中に空気の微小気泡を多量に作り出すために、多くの種類の装置が開発されて来ている。これらのうち、本発明に関連する、内外2個の円筒の相対する面に永久磁石を配置し、両円筒間の間隙に水(又はその他の液体)と空気(又はその他の液体)とを導入し、内部円筒の高速回転によって気液の混合を行う装置(以下回転円筒装置と言う)を用いる方法についても、例えば特開2003−53373、特開2002−59188、特開2002−346578、特開平11−104616等が提案され、実際の水質浄化にも部分的に使用されている。
【特許文献1】特開2003−53373
【特許文献2】特開2002−59188
【特許文献3】特開2002−346578
【特許文献4】特開平11−104616
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の如く回転円筒装置は実際的にも一応の評価が形成されつつあるが、永久磁石の効果については、水の磁気処理効果の評価方法自体が確立せず、経験的な判断にたよっており、特に、磁石の極性の効果に関しては明確にされていない。また、実際の使用に際し、水質にもよるが、永久磁石(ネオジム等)の腐食による損耗が大きい場合があり、長期の実施面で障害となる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は多年に渡り水質浄化装置の開発とその実用に意を注いできた結果、自身の発明にかかる装置において、磁石の極性配置が気液の混合効果(微小気泡の生成効率)に多大な影響をもつことを発見し、これに基づいて以下の発明を行った。
(1)円筒中に該円筒(以後固定筒と言う)と軸を同じくする回転円筒を配置し、固定筒内面及び回転円筒外面に永久磁石を設置し、固定筒と回転円筒との間隙に水(又はその他の液体)及び空気(又はその他の気体)を導入し、回転円筒を駆動・回転させて水(又はその他の液体)と空気(又はその他の気体)とを混合させ、水(又はその他の液体)中に空気(又はその他の気体)の微小気泡を造る装置において、固定筒及び回転円筒上の永久磁石がS極を両円筒間の間隙に面するように配置されることを特徴とする気液混合装置。
(2)(1)記載の気液混合装置において、固定筒内面及び/又は回転円筒外面に凹凸形状加工が施されていることを特徴とする気液混合装置。
(3)(1)記載の気液混合装置において、固定筒内面及び/又は回転円筒外面に断面略台形状の突条を該固定筒及び/又は回転円筒の長さ方向に複数本形成し、前記永久磁石を突条頂部及び/または各突条間に形成される断面略逆台形上の溝の底部に配置することを特徴とする気液混合装置。
(4)(1)〜(3)の何れかに記載の固定筒及び回転円筒上の永久磁石がS極を両円筒間の間隙に面するように配置された気液混合装置において、該配置部分(以下S極部分と言う)の面積が気液混合装置全体の永久磁石配置面積のうち少なくも30%を占めることを特徴とする気液混合装置。
(5)(4)記載のS極部分が気液混合装置の上端部及び/または下端部に位置することを特徴とする気液混合装置。
(6)(4)記載のS極部分が複数個に分かれて適宜の位置に存在することを特徴とする気液混合装置。
また、永久磁石の損耗を減少させるため、次の発明を行った。
(7)(1)記載の永久磁石の表面の一部ないし全部がステンレス・チタン等の耐食性金属によって被覆されていることを特徴とする気液混合装置。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、装置の構造等に全く手を加えることなく、磁極の配置を変えることのみで微小気泡の発生効率を向上させることが出来る。また、磁石の表面の全部又は接液の機械の大きい部分を耐食性金属の薄膜で被覆することにより、磁気効果に大きな影響をもたらすことなく磁石の寿命の延伸を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1はこの種の気液混合装置の一例(特開2003−53373)における固定筒及び回転円筒の一部の断面図であって、固定筒1内面及び回転円筒2外面に形成された逆台形の溝1a、2aの底部に磁石3がS極面4を上にしてビスで固定されている。本装置では、通常S極部分が全面に及んでおり、磁石のS極面のみに耐食金属被覆を行う。
【実施例】
【0007】
上記装置の実用品(0.5HP、1,800rpm電動機駆動)を水道水中で稼動させ、気泡の発生量を測定して図2に示す結果を得た。気泡径分布が変動するため、正確な比較は困難であるが、気泡数について言えば、この結果は同一装置において他の磁極配置を行った場合の約10倍乃至5倍に達している。この理由については未だ明確ではなく、いかなる理論によっても拘束されることを好むものではない。
【産業上の利用可能性】
【0008】
回転円筒装置は構造が簡単で使用方法も容易なため、水質浄化等に広く実用され始めているが、本発明は装置の構造自体を変化させることなく気泡発生効率を大幅に向上させることにより、更に広範囲な利用に道を開くものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】気液混合装置の固定筒及び回転円筒の一部の断面図である。
【図2】気泡の気泡径分布及び発生量の測定結果である。
【符号の説明】
【0010】
1 固定筒
1a 固定筒内面に形成された逆台形状の溝
2 回転円筒
2a 回転円筒外面に形成された逆台形状の溝
3 磁石
4 S極面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒中に該円筒(以後固定筒と言う)と軸を同じくする回転円筒を配置し、
固定筒内面及び回転円筒外面に永久磁石を設置し、固定筒と回転円筒との間隙に水(又はその他の液体)及び空気(又はその他の気体)を導入し、回転円筒を駆動・回転させて水(又はその他の液体)と空気(又はその他の気体)とを混合させ、水(又はその他の液体)中に空気(又はその他の気体)の微小気泡を造る装置において、固定筒及び回転円筒上の永久磁石がS極を両円筒間の間隙に面するように配置されることを特徴とする気液混合装置。
【請求項2】
請求項1記載の気液混合装置において、固定筒内面及び/又は回転円筒外面に凹凸形状加工が施されていることを特徴とする気液混合装置。
【請求項3】
請求項1記載の気液混合装置において、固定筒内面及び/又は回転円筒外面に断面略台形状の突条を該固定筒及び/又は回転円筒の長さ方向に複数本形成し、前記永久磁石を突条頂部及び/または各突条間に形成される断面略逆台形上の溝の底部に配置することを特徴とする気液混合装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の固定筒及び回転円筒上の永久磁石がS極を両円筒間の間隙に面するように配置された気液混合装置において、該配置部分(以下S極部分と言う)の面積が気液混合装置全体の永久磁石配置面積のうち少なくも30%を占めることを特徴とする気液混合装置。
【請求項5】
請求項4記載のS極部分が気液混合装置の上端部及び/または下端部に位置することを特徴とする気液混合装置。
【請求項6】
請求項4記載のS極部分が複数個に分かれて適宜の位置に存在することを特徴とする気液混合装置。
【請求項7】
請求項1記載の永久磁石の表面の一部ないし全部がステンレス・チタン等の耐食性金属によって被覆されていることを特徴とする気液混合装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−35197(P2006−35197A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238916(P2004−238916)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000100757)アイシーエス株式会社 (26)
【出願人】(501326724)
【Fターム(参考)】