気道狭窄を拡張するためのシステム
患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムは、患者の気道を通してバルーンカテーテルを前進させて狭窄領域の少なくとも一部分内にカテーテルのインフレータブルバルーンを位置決めする工程と、患者に対してカテーテルの位置を維持する工程と、カテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張する工程とを含む。患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムは、70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置されたインフレータブルバルーンと、スタイレットとを有し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/141,146号の利益を請求し、この開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書では、患者の気道の狭窄を治療するためのシステム及び方法を開示し、より具体的には患者の気道の狭窄領域を拡張するためのシステム及び方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
気道狭窄(airway stenosis)(又は「気道狭窄(airway narrowing)」)は、患者の気道の一部分が狭くなるか収縮するときに起こり、それにより呼吸が困難になる病状である。狭窄は、大人又は子どもの気道の任意の部分、即ち、喉頭、気管、気管支、又はこれらの組み合わせ(喉頭気管又は気管気管支狭窄)に、幾つかの様々な原因のいずれかによって生じ得る。圧倒的に最も一般的な気道狭窄(約95%)が後天性なものであり、これは、患者がその異常を持って生まれたのではないことを意味し、気道狭窄の最も一般的な原因は、挿管(呼吸できない患者の換気/呼吸を補助するために気道に設置される管)によって生じる外傷である。長期間の挿管は気道を損傷させることがあり、その結果、狭窄を形成する瘢痕組織が形成される。特発性声門下狭窄などの狭窄の原因は、分かっていないことがある。気道狭窄の管理は、ENT(耳、鼻部及び喉)外科医の最も困難な問題のうちの1つである。
【0004】
声門下狭窄は、声門(喉頭の声帯のまわりの領域)の下の喉頭内で起こる気道狭窄の一形態である。この病気は、先天性のこともあり後天性のこともあり、大人と子どもの両方を襲う可能性がある。後天性の声門下狭窄は、子どもの喉頭の最も一般的な後天性異常であり、最も一般的な異常は、1歳未満の子どもでは気管切開術を必要とする。声門下狭窄を矯正するために、呼吸中の気流を大きくするために輪状軟骨領域の内腔が拡張される。声門下狭窄(sublottic)の外科的矯正は、長年にわたって様々な技術で行われてきた。
【0005】
気道狭窄を処置する治療は、拡張やレーザ切除などの内視鏡的処置から、喉頭気管再構成などの切開処置までの範囲にわたる。1つの手法では、直径が大きくなる一連の剛性拡張器が気道に押し込まれ、狭窄を徐々に拡張するだけでなく、望ましくない剪断力を気道に加える。最近では、気道拡張を行なうためにバルーンカテーテルが使用されている。剛性拡張より優れたバルーン拡張の長所の1つは、剪断力に対して半径方向の力を加えることであり、これにより、粘膜外傷のリスクが減少する。また、使用されるバルーンカテーテルにより、外科医は、気道の狭窄領域を拡張するのに必要な正確な圧力の量に対してより確信を持つ。
【0006】
今日、バルーンカテーテルを使用するほとんどの気道拡張は、血管形成術用バルーンカテーテル及び末梢バルーンカテーテルを使用して行われ、これらは、狭くなった血管を拡張するよう設計されている。これらのバルーンカテーテルは、気道狭窄を拡張するために使用されるときに幾つかの制限を有する。第1に、これらのバルーンカテーテルは、特に気道内で使用されるように設計されていないため、既存のバルーンの寸法は、小児及び/又は成人の気道内で使いやすいように最適化されていない場合がある。第2に、現在のバルーンカテーテルは、一般に、内視鏡(例えば、喉頭鏡又は気管支鏡)を使用して気道バルーン拡張を都合よく可視化できるようにサイズが決められておらず、実際に、場合によっては、内視鏡を使用して気道拡張処置を観察することができない。第3に、血管処置に使用されるバルーンカテーテルは、一般に、極めて長くかつ撓み、そのため、気道の狭窄部に進み難くし、そのようなカテーテルのバルーンは、膨張されたときにその狭窄部から滑脱したり「スイカの種現象(watermelon seed)」を起こす傾向がある可能性がある。一般に、現在入手可能なバルーンカテーテルを、気道処置に望ましい位置に配置し、気道の狭くなった部分から滑脱させることなくバルーンを拡張し、処置を可視化することが困難な可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、血管及び他の生体構造内ではなく気道内で使用されるように設計された気道狭窄バルーン拡張システムを有することが望ましい。理想的には、そのようなシステムは、気道内で使用するように構成された寸法を有し、処置中に気道拡張処置及び/又はシステムの少なくとも一部分の可視化を可能にし、現在入手可能なバルーンカテーテルより容易に気道狭窄に進める(かつ内部に維持する)ことができる。本明細書に記載された実施形態は、これらの目的のうちの少なくとも幾つかに取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、患者の気道の狭窄領域を拡張するためのシステム及び方法を開示する。この方法は、一般に、患者の気道を通してバルーンカテーテルを前進させて狭窄領域の少なくとも一部分内にカテーテルのインフレータブルバルーンを位置決めする工程と、患者に対してカテーテルの位置を維持する工程と、カテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張する工程とを含む。システムは、一般に、70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置されたインフレータブルバルーンと、スタイレットとを含む。
【0009】
一態様において、患者の気道内の狭窄領域を拡張する方法は、近位部分、近位部分より柔軟な遠位部分、及び70cm未満の全長を有するバルーンカテーテルを患者の気道を通して前進させて狭窄領域の少なくとも一部分内にカテーテルのインフレータブルバルーンを位置決めする工程であって、カテーテル内に配置されたスタイレットが前進を容易にする工程と、バルーンカテーテルの近位部分を保持することによって、患者に対するカテーテルの位置を維持して狭窄領域内でバルーンの位置を維持する工程と、カテーテル内のスタイレットによってカテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張する工程とを伴い得る。
【0010】
一実施形態では、バルーンカテーテルを前進させる工程は、狭窄領域内を通してスタイレットの遠位部分を前進させる工程を伴ってよく、スタイレットは、遠位部分がカテーテルの遠位端を越えて突出するのを可能にする長さを有する。必要に応じて、この方法は、バルーンカテーテル内でスタイレットを回転させて、狭窄領域を通してスタイレットの遠位端を操縦する工程を更に伴ってもよい。代替の実施形態では、この方法は、バルーンカテーテルに対してスタイレットをロックする工程と、バルーンカテーテルを回転させて狭窄領域を通してスタイレットを操縦する工程とを含んでよい。
【0011】
幾つかの実施形態は、必要に応じて、患者の気道内の狭窄領域の近くの位置にスコープを前進させる工程と、そのスコープを使って狭窄領域内のインフレータブルバルーンの配置を可視化する工程とを更に含んでもよい。幾つかの実施形態はまた、スコープを使用してバルーンカテーテルのシャフト上の少なくとも1つのシャフトマーカを観察する工程と、シャフトマーカの位置に基づいて狭窄領域に対するインフレータブルバルーンの位置を近づける工程とを含んでもよい。一実施形態では、この方法は、前進させる工程の前に患者の気道内に気管支鏡を挿入する工程を伴ってもよく、バルーンカテーテルは、気管支鏡によって気道を通って前進する。
【0012】
ある実施形態では、この方法は、前進させる工程の前に、スタイレットに屈曲部を形成する工程を含んでもよく、屈曲したスタイレットは、バルーンカテーテルを屈曲形状に維持する。一実施形態において、この方法は、前進させる工程の後で気道からバルーンカテーテルとスタイレットを除去する工程と、スタイレットに屈曲部を形成する工程(屈曲したスタイレットは、バルーンシャフトを屈曲形状に維持する)と、バルーンカテーテルとスタイレットとを気道内に再導入する工程とを伴ってもよい。
【0013】
一実施形態では、この方法は、必要に応じて、カテーテルのスタイレット内腔からスタイレットを除去する工程と、スタイレット内腔を通して気道内に酸素を送る工程とを伴ってもよい。代替の実施形態では、この方法は、小児患者又は成人患者のどちらに実行されてもよい。
【0014】
別の態様では、患者の気道内の狭窄領域を拡張するシステムは、近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置され、膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及びスタイレットがスタイレット内腔内に収容されたときにスタイレットがカテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットとを含み、スタイレット近位部分はスタイレット遠位部分より柔軟ではなく、スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつスタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフト遠位部分は、カテーテルシャフト近位部分より柔軟でよい。必要に応じて、カテーテルシャフト遠位部分は、カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有してよい。一実施形態では、カテーテルシャフトは、スタイレット内腔を形成する内側部材と、内側部材の一部分の上に配置された外側部材とを含んでよく、内側部材は、外側部材の遠位端を越えて延在し、バルーンの近位端は外側部材に取り付けられ、バルーンの遠位端は内側部材に取り付けられ、内側部材と外側部材の間の空間は、カテーテルシャフトの膨張内腔を形成する。一実施形態は、外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に含んでもよく、ハブは、膨張内腔と連通している膨張口と、スタイレット内腔と連通しているスタイレット口とを含んでよい。一実施形態では、内側部材は、内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含んでよく、バルーンは、遠位区分で内側部材に取り付けられてもよい。一実施形態では、バルーンは、少なくとも12mmの外径を有し得る。一実施形態では、内側部材の内径は約1.2mm以下であり、内側部材の外径は約1.8mm以下である。
【0016】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフトの全長は、約50cm以下である。幾つかの実施形態では、シャフトに対するバルーンの近位取り付け部分のすぐ近くのカテーテルシャフトの外径は、約2mm以下である。また、幾つかの実施形態では、完全に膨張したときのバルーンの外径は、少なくとも3mmであり、バルーンの作業長は、少なくとも10mmである。幾つかの実施形態では、バルーンは、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる。バルーンは、幾つかの実施形態では、約10mm〜約60mmの作業長と、約3mm〜約24mmの外径と、作業長の近位端からカテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、作業長の遠位端からカテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分とを含み得る。幾つかの実施形態では、バルーンは、滑りにくい外側面を有してもよい。
【0017】
スタイレットに関して、幾つかの実施形態では、カテーテルシャフトの遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる。幾つかの実施形態では、スタイレットは、スタイレットの近位端から遠位端まで先細りになるコアワイヤと、コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルとを含んでよい。幾つかの実施形態では、スタイレットは、展性でもよい。幾つかの実施形態では、スタイレットの柔軟部分は、スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含んでよく、スタイレットがバルーンカテーテルの中に配置されたときに、この屈曲部によりバルーンカテーテルの遠位部分は屈曲する。幾つかの実施形態では、スタイレットは、カテーテルシャフトと結合されたハブ内でスタイレットをロックするために、スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それによりカテーテルシャフトを回転させるとスタイレットは回転する。必要に応じて、スタイレットは、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含んでよく、スタイレットの近位端は、光源と取り外し可能に結合する。
【0018】
幾つかの実施形態では、システムは、使用中にバルーンカテーテルを観察するための内視鏡を含んでよい。必要に応じて、内視鏡は、幾つかの実施形態において、バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能でもよい。
【0019】
別の態様では、患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのキットは、近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置され、膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、スタイレットと、取扱説明書とを含んでよい。スタイレットは、近位部分、遠位部分、及びスタイレットがスタイレット内腔内に収容されたときにスタイレットがカテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有してよく、スタイレット近位部分はスタイレット遠位部分より柔軟ではなく、スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつスタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる。取扱説明書は、バルーンカテーテルをバルーンカテーテルの中に配置されたスタイレットと共に気道を通して前進させてインフレータブルバルーンを狭窄領域に位置決めすること、バルーンカテーテルの近位部分を保持することによって、患者に対するカテーテルの位置を維持して狭窄領域内でバルーンの位置を維持すること、及びカテーテル内のスタイレットによってカテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張することのためのものでよい。
【0020】
追加の要素及び実施形態は、以下に更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】バルーンカテーテル、スタイレット及び任意選択の内視鏡を含む患者の気道内の狭窄を拡張するためのシステムの平面図。
【図2A】スタイレットの遠位部分に屈曲部を有するスタイレットの平面図。
【図2B】ほぼ真っ直ぐな形状を有するスタイレットの平面図。
【図3】内視鏡を保持するバルーンカテーテルの細長い管状部材上に配置された柄の部分透視図。
【図4】送達中にバルーンカテーテルを屈曲させる屈曲領域を有するスタイレットを使用して患者の気道内に導入されるバルーンカテーテルの断面図。
【図5】狭窄領域を拡張するためにバルーンが膨張された状態の、気道の狭窄領域に位置決めされた図4のバルーンカテーテルの断面図。
【図6A】気道バルーンカテーテルの側面図。
【図6B】図6Aの断面ADの拡大図。
【図7A】気道バルーンカテーテルの側面図。
【図7B】図7Aの断面ACの拡大図。
【図8A】気道バルーンカテーテルシャフトの外側部材を形成するために使用されるバンプチュービングの側面図。
【図8B】図8Aのバンプチュービングの部分C−Cの断面図。
【図8C】図8Aのバンプチュービングの部分F−Fの断面図。
【図9A】気道バルーンカテーテルシャフトの内側部材を形成するために使用されるバンプチュービングの側面図。
【図9B】図8Aのバンプチュービングの部分C−Cの断面図。
【図9C】図8Aのバンプチュービングの部分K−Kの断面図。
【図10A】近位ルアーを有するスタイレットの側面図。
【図10B】スタイレットの遠位部分の側面図。
【図10C】図10A及び図10Bのスタイレットのコア部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この装置及び方法について述べる前に、この開示が、記載した特定の実施形態に限定されず、当然ながら異なってもよいことを理解されたい。また、本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するものではないことを理解されたい。
【0023】
図1を参照すると、一実施形態は、患者の気道の狭窄を拡張するためのシステム8を対象とする。この実施形態では、システム8は、バルーンカテーテル10とスタイレット22とを含む。必要に応じて、システムは、気管支鏡などの内視鏡24を含んでもよい。更に後述されるように、気道を拡張するために特別に構成された寸法、剛性特性、及びその他の特徴をそれぞれが有するバルーンカテーテル10とスタイレット22を一緒に使用することは、気道拡張処置を容易にし、また収縮した通路内への拡張器の前進の難しさ及び/又は狭窄からのバルーンのスイカの種現象などの先行技術の様々な欠点をなくすのに役立ち得る。
【0024】
図示した実施形態において、バルーンカテーテルは、近位部分14と遠位部分16とを有するカテーテルシャフト12(又は、「細長い管状部材」)と、遠位部分16上に配置されたインフレータブルバルーン18とを含む。インフレータブルバルーン16は、膨張内腔と連通している。カテーテルシャフト12内にはスタイレット22も配置される。幾つかの実施形態では、スタイレット22の少なくとも一部分は、カテーテルシャフト12の少なくとも一部分より高い剛性を有してよく、それにより、スタイレット22が曲げられカテーテルシャフト12内に挿入されたときに、カテーテルシャフト12は、スタイレット22の形状に少なくとも部分的に従う。スタイレット22は、患者の気道内にバルーンカテーテル10を進めるために使用される。この実施形態では、本システムは、患者の気道内のバルーンカテーテル10の配置を可視化するために、バルーンカテーテル10の隣りに配置された内視鏡24も含む。使用する際、バルーンカテーテル10が患者の気道に挿入され、インフレータブルバルーン18が、患者の気道の狭窄を拡張するために膨張される。
【0025】
次に図2A、図2B及び図10A〜図10Cを参照して、スタイレット22について更に詳細に説明する。一般に、またほとんどの実施形態では、スタイレット22は、カテーテル10に剛性を提供しかつカテーテル10を患者の鼻孔又は口を通して気道の狭窄領域内の位置に進めることを可能にする剛性の近位部分と、屈曲部の形状を取り得、バルーンカテーテル10内に配置されたときに屈曲形状を保持する、柔軟な遠位部分とを含む。一実施形態では、屈曲部は、スタイレットにあらかじめ形成される。別の実施形態では、柔軟部分は展性があり、ユーザは、屈曲部を形成することができる。別の実施形態では、屈曲部は、あらかじめ形成されてもよく、またユーザが屈曲部を変更できるように展性でもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、ステンレス鋼でできており、この材料は、カテーテル10内に配置されたときでもスタイレット22がその屈曲形状を保持するのを助ける。これは、ユーザが屈曲部を利用してカテーテルを操縦することを可能にするので、重要な利点である。
【0026】
図2A、図2B及び図10A〜図10Cを再び参照すると、一実施形態では、スタイレット22は、近位部分28と遠位部分30とを有するコア部材26と、コア部材26の遠位部分30の少なくとも一部分のまわりに配置されたコイル32と、バルーンカテーテル10上のハブと結合するためにコア部材26の近位端と結合されたルアーロック部材(luer lock member)35とを含んでもよい。代替の実施形態では、スタイレット22は、コイルを含まなくてもよい。一実施形態では、コア部材26及び/又はコイル32は、ニチノールから形成されてよい。別の実施形態では、コア部材26及び/又はコイル32は、ステンレス鋼又は他の生体適合性材料から形成されてよい。少なくともコア部材26を形成するためにステンレス鋼が使用される実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10と共に配置されたときに屈曲形状をより維持できることが有利であり得る。スタイレットの遠位部分30は、患者の気道内にバルーンカテーテル10を配置する際にバルーンカテーテル10を曲げるのに十分な剛性を有する屈曲部又は湾曲部34を含んでよい。別の実施形態では、スタイレット22は、図2Bと同じように、ほぼ直線構成で提供されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、屈曲部34を有するようにあらかじめ形成されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、代替的に又は追加的に、ユーザがスタイレット22を曲げ、スタイレット22がユーザの作った屈曲部を維持できるように、展性でよい。一実施形態では、スタイレット22の近位部分28は一般に剛性でよく、遠位部分30は一般に展性でよく、最も遠位部分は、非外傷性で、極めて柔軟又は更には撓んでもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22の長さに沿った柔軟性のこの違いは、ステンレス鋼やニチノールなどの異なる材料の使用によって達成され得る。別の実施形態では、スタイレット22の長さに沿った柔軟性の違いを達成するために、ステンレス鋼などの1つの材料を使用することができ、スタイレット22の直径を変化させることができる。
【0027】
様々な実施形態によれば、スタイレット22、コア部材26及びコイル32は、任意の数の構成と寸法の組み合わせを有し得る。図10Cに示すように、例えば、一実施形態では、コア部材26は、近位部分28と、異なる直径を有する複数の部分30a、30b、30c、30dを有する遠位部分30とを含んでよい。様々な実施形態では、コア部材26を形成する際に、任意の数字の異なる直径及び長さなどを使用してよい。示される実施形態では、例えば、近位部分の直径は約0.8mmであり、第1の遠位部分30aの直径は、約0.8mmから約0.4mmに先細りになり、第2の遠位部分30bの直径は、約0.4mmであり、第3の遠位部分30cの直径は、約0.4mmから約0.13mmに先細りになり、第4の最も遠位の遠位部分30dは約0.13mmである。一実施形態では、第1の遠位部分30aの長さは約6〜8cmであり、第2の遠位部分30bの長さは約2〜4cmであり、第3の遠位部分30cの長さは約4〜5cmであり、第4の遠位部分の長さは約3〜5cmである。一実施形態では、コア部材26は、様々な遠位部分30a〜dを形成するように研磨されてもよい。例えば、一実施形態では、最も遠位にある第4の遠位部分30dは、高さ約0.06mm、幅約0.13mm、長さ約2.5〜4.0cm、及び好ましくは約3.0〜3.5cmを有する平坦構成に研磨されてもよい。当然ながら、これは単に1つの例示的な実施形態であり、代替の実施形態では、様々な寸法及び組み合わせが使用されてもよい。一般に、長さ全体にわたって先細りになるコア部材26を提供することが有利であり得、その結果、コア部材26が、バルーンカテーテル10内に配置されている間に長さの一部分に沿って屈曲形状を保持することができ、同時に、結合されたスタイレット22とカテーテル10を前進しやすくするのに十分な近位の剛性が提供され、また柔軟で非外傷性の遠位先端が得られる。
【0028】
図10A及び図10Bを参照すると、スタイレット22のコイル34は、任意の適切な全長と、任意の数の異なるコイル間隔(即ち、「ピッチ」)とを有してもよい。例えば、スタイレット22の遠位端をより柔軟にしたい場合は、より大きい方のピッチ(コイルの間隔が大きい)を使用することができる。遠位端を堅くしたい場合は、より小さいピッチを使用することができる。一実施形態では、例えば、コイル34は、約0.13mm〜約0.25mm、より好ましくは約0.20mmのピッチを有してよい。コイル34は、コア部材26の任意の適切な長さにわたって配置されてよい。極端に言うと、コイル34は、コア部材26の全長にわたって配置されてよく、又はコイル34は、スタイレット22から全くなくされてもよい。様々な他の実施形態では、コイル34は、約5cm〜約25cm、より好ましくは約10cm〜約15cmのコア部材26の長さにわたって配置されてもよい。幾つかの実施形態では、コイル32は、その近位端と遠位端でコア部材26にはんだ付けされてもよい。幾つかの実施形態では、遠位端でのはんだが、はんだ先端33を形成してもよい。他の実施形態では、別個の遠位先端部材が、接着剤又は他の取り付け手段によってスタイレット22に追加されてもよい。
【0029】
様々な実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10のカテーテルシャフト12とほぼ同じか又はそれより僅かに長い全長を有してよい。幾つかの実施形態では、例えば、スタイレット22は、スタイレット22がカテーテル10内に完全に配置されたときにカテーテルシャフト12から遠位方向に延在する非外傷性の柔軟な遠位先端部分を含んでよい。この先端部分は、例えば、長さが約0.25cm〜約8cm、又はより好ましくは約1〜5cmでよく、またユーザがシステム8を患者の気道を通して非外傷的に前進させやすくすることができる。幾つかの実施形態では、スタイレットの全長は、約30cm〜約80cm、より好ましくは約45cm〜約60cmで変動してよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22の柔軟な遠位部分は、全長のうちの約5〜20cm、好ましくは約10〜15cmでよい。スタイレット22は、0度を超え約20度までなどの任意の適切な角度を有する屈曲部34を含んでよい。一実施形態では、スタイレット22の最大直径は、約1.3mm、好ましくは0.9mm以下でよく、直径は、遠位方向に約0.13mm+/−0.013mmに減少してもよい。
【0030】
幾つかの実施形態において、スタイレット22が、あらかじめ形成された屈曲部34を含む場合であっても直線形状で提供された場合であっても、スタイレット22は、ユーザが屈曲部34を形成することができるか屈曲部34の角度を変更できるように展性であってよい。この展性により、ユーザは、特定の患者の気道の生体構造によって屈曲角度を調整することができる。ほとんどの実施形態では、屈曲したスタイレットがバルーンカテーテル10に入れられたときに、スタイレット22は、屈曲部34又はほぼ同じ屈曲部34を保持するが、ある程度真っすぐにされてもよい。幾つかの実施形態では、屈曲部34は、バルーンカテーテル10が患者の気道内に配置されている間及び時にはその後も維持されてよい。他の実施形態では、スタイレット22は、屈曲部34が患者の狭い気道内で部分的又は完全に真っ直ぐになるように剛性を有してもよい。図2Bに示すように、スタイレット22の一実施形態は、3つの区分を含み、遠位端の近くの柔軟部分40は、長さが約0.25cm〜約8cm、好ましくは約1〜5cmの範囲であることができる。一実施形態では、柔軟部分40は非外傷性であり、コイル32を含んでも含まなくてもよい。スタイレットの中央区分42は、スタイレット22に湾曲部又は屈曲部を導入してバルーンカテーテル10を患者の気道内で前進させ設置するのを助けるために展性でよい。中央区分42は、一実施形態では、長さが約0.5cm〜約10.0cmでよい。一実施形態では、展性の中央区分42は、自由空間内では屈曲部又は湾曲部などのあらかじめ形成された形を取り、次いで患者の気道の形状に従う。剛性区分44は、スタイレット22の近位端の近くにあり、一実施形態では約10cm〜約35cmの長さを有することができる。一実施形態では、これらの3つの区分40、42又は44のいずれかが互いに接合されてもよい。別の実施形態では、コア部材26は、一部分の直径を小さくするように一部分が研磨されてもよい。
【0031】
一実施形態のスタイレット22は、屈曲部34の上に存在するバルーンカテーテル10の対応する部分よりも、屈曲部34がある又は屈曲部が形成され得る長さの一部分に沿ってより大きな剛性を有してよい。この実施形態では、カテーテルシャフト12は、狭窄領域内に設置する間スタイレット22の形状(屈曲した又は直線)に従う。
【0032】
システム8の一実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10に取り付けられてもよく、別の実施形態では、スタイレットは、バルーンカテーテル10に取り外し可能に接続されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、近位部分28にねじ山を有するルアーロック部材35を含んでよく、このねじ山は、バルーンカテーテル10のルアー36上にある反対側のねじに嵌る。別の実施形態では、バルーンカテーテル10は、スタイレット22をカテーテルシャフト12内の適切な位置にロックするロック機構(図示せず)を含んでよい。ロック機構は、レバー、ボールとピン、及びルアーを含む任意の機械装置でよい。一実施形態において、スタイレット22が、バルーンカテーテル10に接続されるとき、スタイレット22の遠位部分30の全て又は一部分が、カテーテルシャフト12の遠位端から延在してもよい。更に、他の実施形態では、スタイレット22は、異なる位置又は長さでバルーンカテーテル10にロックされてもよく、したがって、スタイレット22の遠位端は、異なる長さでバルーンカテーテル10から延在するか又はバルーンカテーテル10内に位置決めされる。スタイレット22の長さ、直径及び剛性特性は、様々な実施形態において、システム8全体に異なる性能特性を与えるように変更されてよい。
【0033】
バルーンカテーテル10を挿入している間にスタイレット22に使用することにより、バルーンカテーテル10の遠位端を患者の気道を通して狭窄領域まで導きやすくする。スタイレットは、バルーンカテーテル10の前進中に高い操縦性を提供する。スタイレット22を使用するときには、バルーンカテーテル10のトルク伝達性(Torquability)も高まる。幾つかの実施形態では、スタイレット22のルアーロック部材35とバルーンカテーテル10のルアー36が嵌合し、その結果、スタイレット22とバルーンカテーテル10が一緒に回転され、それにより気道の収縮部分に導かれることができる。
【0034】
一実施形態では、スタイレット22は、光放射遠位端又は先端等の光放射部分を有してもよい。そのような一実施形態では、例えば、スタイレット22は、スタイレット22の近位端に取り付けられた光源からその遠位端に光を伝達する1つ以上の光ファイバを含んでよい。光放射スタイレット22からの光は、ユーザが、スコープを使用して内側から及び/又は場合によっては患者の皮膚を介した徹照によって外側から、患者の気道を見るのを助けるために使用され得る。そのような照明スタイレット22を得るために使用又は改良されることができる光放射ガイドワイヤ装置の一実施形態は、カリフォルニア州メンロパークのAcclarent,Inc.により製造されたRelieva Luma(商標)Sinus Illumination Guidewire/Systemである。そのような照明スタイレット22は、光放射機能の付加的な特徴と共に、前述の特徴のいずれを有してもよい。
【0035】
次に図6A及び図6Bを参照すると、一実施形態において、バルーンカテーテル50は、外側シャフト部材54と内側シャフト部材56とを有するカテーテルシャフト52と、近位取り付け点62及び遠位取り付け点64でシャフト52に取り付けられたインフレータブルバルーン58と、スタイレット口66と膨張口68とを有するハブ60とを含んでよい。この実施形態では、外側シャフト部材54は、内側シャフト部材56の一部分の上に配置され、内側シャフト部材56は、カテーテル50の遠位端に続く。バルーン58は、接着剤又は他の取り付け手段によって、近位取り付け点62で外側部材54に取り付けられ、遠位取り付け点64で内側シャフト部材56に取り付けられる。これにより、内側シャフト部材56と外側シャフト部材54との間に膨張内腔(図6Aでは小さすぎて見えない)が形成され、膨張流体が、膨張装置(図示せず)からカテーテル50内に入り、膨張口68を通って膨張内腔及びバルーン58へと入る。スタイレット22は、図6A及び図6Bに示されていないが、内側シャフト部材56の内側内腔内に通常存在し、カテーテル50の遠位端から遠位方向に延在し、ハブ60と近位方向に結合してもよい。
【0036】
様々な実施形態では、バルーンカテーテル50及びその様々な構成要素は、任意の数の適切なサイズ、形状及び構成を有し得る。例えば、バルーン58は、様々な患者の生体構造に対応するために、様々な実施形態において異なる長さ及び直径を有することができる。カテーテル全体の長さ及び直径も異なってよい。したがって、以下の実施形態の説明は、単なる例示であり、与えられた特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明を限定しない。幾つかの実施形態では、例えば、バルーンカテーテル50の全長(即ち、ハブ60の近位端からカテーテルシャフト52の遠位端まで)は、約35〜70cm、より好ましくは約50cm以下、より好ましくは約45cm±5cmである。カテーテル50の全長をこれらの範囲に制限すると、特にこのカテーテル50よりも長く撓みやすく、したがって気道拡張処置に使用し難い現在入手可能な血管カテーテルと比較して、カテーテルを片手で取り扱い、操作しやすくなる。
【0037】
図6A及び図6Bのバルーン58の作業長は、約40mm±2mmである。「作業長」とは、バルーン58の2つのテーパ部分の間の長さを意味する。代替の実施形態では、バルーン58の作業長は、約10mm〜約60mm、より好ましくは約16〜45mmの範囲であり得る。一実施形態では、約16mm、24mm及び40mmを含む様々な長さを提供することができる。バルーン58の完全に膨張した作業長の外径も異なってもよい。図6A及び図6Bに示す実施形態では、バルーン58は、約14.1mm±0.5mmの膨張径を有する。幾つかの実施形態では、バルーン径は、約3mm〜約24mm、好ましくは約5〜15mmの範囲であり得る。一実施形態では、約5mm、約7mm、約10mm、約14mm、約20mm、及び約24mmを含む様々な直径が提供され得る。例えば、医者が成人又は小児患者用の適切なサイズを選択できるように、バルーンサイズと長さとの組み合わせが提供され得る。一例では、5mm×24mm、7mm×24mm、10mm×40mm、及び14mm×40mmの組み合わせが提供され得る(最初の寸法が直径、次が長さである)。当然ながら、任意の数字の他のサイズの組み合わせのバルーン58を提供することができる。
【0038】
様々な実施形態において、任意の適切な材料を使用してバルーン58を形成してもよい。バルーン58は、様々な実施形態により従順性、半従順性又は非従順性でよいが、好ましい実施形態では、バルーン58は、半従順性又は非従順性である。バルーン58は、ナイロン、又は一例としてPTFEのような他のポリマーなどで作製されてもよい。幾つかの実施形態では、バルーン58は、テクスチャ化面又は被覆によって形成され得る外側滑り止め面を含んでもよい。そのような面は、膨張中にバルーン58が気道狭窄からスイカの種現象を起こすのを防ぐのに役立つことができ、及び/又は例えばそのバルーン58が次の若しくはその後の拡張処置に使用される場合に収縮後に手でバルーン58を包み直しやすいようにすることができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、インフレータブルバルーン58は、優先的に膨張してもよい。例えば、インフレータブルバルーン58は、ダンベル形に膨張するように設計することきる。典型的に、この形状は、バルーン58の近位端及び遠位端をバルーン58の中央部の壁厚と異なる壁厚にすることによって作ることができる。他の実施形態では、バルーン58の中央区分がバルーン58の近位端及び遠位端と同じ割合で膨張しないように、バルーン58の中央部分のまわりにスリーブが配置されてもよい。また、バルーン58の中央区分が、バルーン58の端部と同じ割合で膨張しないように熱処理されてもよい。更に他の実施形態では、バルーン58の一部分は、膨張口の場所によって異なる割合で膨張してもよい。
【0040】
様々な実施形態によれば、カテーテルシャフト52(外側シャフト部材54及び内側シャフト部材56)は、任意の適切な材料で形成されてよい。幾つかの実施形態では、曲げられたとき(スタイレット22及び/又はユーザによって曲げられたときなど)にシャフト52が捩れないように選択された材料でシャフト52を形成することが有利なことがある。そのような材料の1つは、例えばPebaxであるが、代替の実施形態では他のポリマーを使用してもよい。
【0041】
外側シャフト部材54、内側シャフト部材56、又はこれらの両方は、任意の適切な色を有してもよく、1つ又は複数のシャフトマーキングを有してもよい。シャフトの色及びマーキングは、有色材料を使用することによってシャフト52に組み込まれてもよく、又は塗料若しくは別の着色剤を塗布することによって追加されてもよい。一実施形態では、シャフト54は、黒や紺色などの暗色を有してもよく、1つ又は複数の明るい色のマーキングが、暗色のシャフト54の上に塗布されてもよい。様々な実施形態では、マーキング(図示せず)は、直接可視マーキング(肉眼又は内視鏡で直接見える)、X線撮影マーキング(術中蛍光透視法などのX線撮影装置で見ることができる)、又はこれらの両方を含んでもよい。例えば、一実施形態では、2つのX線撮影マーキングが、内側シャフト部材56内の、バルーン58の2つの作用端の場所に配置されてもよく、2つの直接可視化マーキングが、外側シャフト54上の、近位取り付け点の約1cm及び2cm近位に位置決めされてもよい。必要に応じて、追加の直接可視化マーキングが含まれてもよい。直接可視化マーキングは、医者が生体構造に対するバルーン58の位置を見積もることができるようにするために、気管支鏡や他の内視鏡によって観察されることができ、X線撮影マーキングは、気道狭窄に対してバルーン58の作用端の位置を確認するために蛍光透視装置によって観察されることができる。様々な実施形態では、任意の適切な組み合わせ、サイズ及び色のマーキングを使用することができる。バルーンカテーテル50に使用又は改良することができるシャフトカラー及びシャフトマーキングの一例は、カリフォルニア州メンロパークのAcclarent,Inc.によって製造されたRelieva Solo Pro(商標)Sinus Balloon Catheterである。
【0042】
次に図8A〜図8Cを参照すると、一実施形態において、カテーテルシャフト52の外側シャフト部材54は、第1の直径を有する遠位部分70(図8C)と、それより大きい第2の直径を有する近位部分72(図8B)とを含み得る。一実施形態では、この直径の差は、遠位より近位の方が大きい壁厚を有する「バンプチュービング(bump tubing)」を使用することによって達成され得る。あるいは、この差は、押し出し形成や他の技術によって外側シャフト部材54に形成されてもよい。一実施形態では、例えば、両方の内径が約1.6mmの場合に、近位部分72の外径は約2.1mmでよく、遠位部分70の外径は約1.8mmでよい。幾つかの実施形態では、バルーン58への取り付け部分のすぐ近くの外側シャフト部材54の最大径は、約1.5〜2.5mmでよく、一実施形態では約2mm(又は約1.8mm)でよい。バルーン58近くの外側シャフト54の外径をこの範囲内に制限することによって、ユーザは、気道内の内視鏡を使用してバルーン58を観察することができるか又は少なくとも観察しやすくなる。より大きな外径のシャフトは、気道内にカテーテルシャフト52と内視鏡24を収めるのに十分な空間がないので、そのような可視化を困難に又は不可能にする。外側部材の内径は、約1.3mm〜1.8mm、より好ましくは1.5mm〜1.65mm、及び一実施形態では1.6mm〜1.62mmであり得る。
【0043】
次に図9A〜図9Cを参照すると、カテーテルシャフト52の内側シャフト部材56は、第1の直径を有する遠位部分74(図9C)と、それより大きい第2の直径を有する近位部分76(図9B)とを含んでもよい。一実施形態では、例えば、近位部分76は、約1.5mm±0.025mmの外径を有してもよく、遠位部分74は、約1.2mm±0.025mmの外径を有してもよい。幾つかの実施形態では、内側シャフト部材56の内径及び外径は、それぞれ約1.3mm及び1.8mm以下、より好ましくはそれぞれ1.02mm及び1.3mm以下、一実施形態ではそれぞれ約0.97mm及び1.22mm以下であり得る。この場合も、一実施形態ではバンプチュービングが使用されてよい。
【0044】
図6A及び図6Bを再び参照すると、幾つかの実施形態では、内側シャフト部材56は、バルーン58の遠位端を越えて遠位方向に約1mm〜約10mm、より好ましくは約5mm±1mm延在してもよい。内側シャフト部材56のこの遠位端は、スタイレット22の突出遠位端と共に、非外傷性先端として機能してもよく、この突出遠位端は、内側シャフト部材から更に延在してもよい。幾つかの実施形態では、より大きい直径(例えば、10mm以上)のバルーンが使用される場合は、内側シャフト部材56のその遠位端の方への僅かな区分が、より大きい外径を有してもよく、それにより、より大きい直径のバルーンを内側シャフト部材56に遠位取り付け点64に適切に接合することができる。これは、内側シャフト部材56をその長さの残りの部分に沿って小さく維持する働きをし(即ち、断面の高さが小さいと気道を通して前進させやすい)、更に同時により大きなバルーンを内側シャフト部材56に接合することを可能にする。一実施形態では、接合前に内側シャフト部材56の遠位取り付け点64に材料を追加することによって、外径をより大きくしてもよい。別の実施形態では、より大きい直径で構成された内側シャフト部材56が遠位取り付け点64に組み込まれたバンプチュービングが使用されてもよい。
【0045】
内側シャフト部材56と外側シャフト部材54の内径と外径は、バルーンカテーテル50に幾つかの利点を提供することができる。例えば、シャフト52の内径をできるだけ大きく維持しながら近位のより大きい直径から遠位のより小さい直径に移行することは、膨張後のバルーン58の収縮時間を最小にするのに役立つ。これにより、拡張後にバルーン58の素早い除去及び/又は調整が可能になる。この素早い収縮は、バルーン58及びカテーテル50の遠位端に向かって比較的小さい直径のカテーテルシャフト52も提供しながら達成することができる。これにより、カテーテル50を気道内の所望の治療位置内に前進させ、また気道内に位置決めされた気管支鏡によってバルーン58の近位端を観察することが容易になる。気道狭窄を拡張するのに十分に大きい直径を有するバルーン58と組み合わされた、断面の高さが小さいカテーテルシャフト52によって、医者は、極めて異なる生体構造を有する小児患者と成人患者の両方を治療することができる。
【0046】
次に図7A及び図7Bを参照すると、バルーンカテーテル80の別の実施形態は、内側シャフト部材86と外側シャフト部材84とを有するカテーテルシャフト82と、シャフト82とその遠位端又はその近くで結合されたバルーン88と、シャフト82とその近位端又はその近くで結合されたハブ90とを含んでもよい。バルーンカテーテル80のこの実施形態は、図6A及び図6Bのバルーンカテーテル50と類似しているが、異なるサイズのバルーン88を有する。この実施形態では、バルーン88は、完全に膨張したときに長さが約22〜26mmであり、直径が約4.5〜5.5mmである。前述したように、様々な実施形態では、任意の数字の異なるサイズのバルーンを提供することができる。医者には、異なるサイズの気道を有する小児患者又は成人患者に対応するためにバルーンサイズの選択肢が設けられてもよい。図7A及び図7Bに示すような実施形態では、先に述べたバルーンカテーテル50よりも小さい直径のバルーン88では、内側シャフト部材86は、遠位取り付け点の位置で直径が大きくならなくてもよい(図7B)。より大きい直径のバルーン58に対応する前述の大きい直径は、より小さい直径のバルーン88では不要であり得る。一般に、前述のどの特徴も、この実施形態のバルーンカテーテル80に含まれてよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフト84の遠位端は、スタイレット22が遠位端から延在するのを防ぐために封止されてもよい。バルーンカテーテル80は、気管支鏡24、内視鏡、又は狭窄領域を直接可視化するための他のスコープ装置と適合する。更に、バルーンカテーテル80は、照明ガイドワイヤと一体化することができる(例えば、Acclarent,Inc.によるRelieva Luma(商標)Sinus Illumination Guidewire)。照明ガイドワイヤ装置は、光源に連結され、照明する照明部分を遠位端に備える。照明ガイドワイヤ装置の照明は、患者の気道内に追加の光を提供して、狭窄領域におけるバルーンカテーテルの配置を可視化することができる。
【0048】
図3を参照すると、一実施形態では、気道拡張バルーンカテーテルシステム100は、バルーンカテーテル110、スタイレット120、スコープ124、及びスコープ124をバルーンカテーテル110に結合するための結合部材138を含んでもよい。バルーンカテーテル110は、シャフト114とルアー136を含んでもよく、ルアー136は、スタイレット120のルアーロック部材134とロックする。一実施形態では、結合部材138は、スコープ124をカテーテル110と取り外し可能に結合することを可能にすることができる。一実施形態では、スコープ124は、結合部材138内に摩擦嵌めされてもよい。幾つかの実施形態では、結合部材138は、取っ手を含んでもよい。図3に示すように、スコープ124は、バルーンカテーテル110のどちら側で結合部材138内に固定されてもよい。スコープ124をバルーンカテーテル110に固定すると、インフレータブルバルーンの拡張中の滑りを防ぐのに役立つ。また、スコープ124をバルーンカテーテル110に固定することにより、医者が片手で両方の装置を保持することができる。別の実施形態では、結合部材138をバルーンカテーテル110のルアー136に取り付けることができる。
【0049】
次に図4及び図5を参照すると、声門下狭窄の場合においてなど、気道A内の狭窄領域246を拡張するための方法が示される。一実施形態において、この方法は、口を介して患者の気道内に気道拡張システム210を導入することを含む。上で詳細に述べたように、気道拡張システム210は、スタイレット222の上に配置されたインフレータブルバルーン218を備えたバルーンカテーテル212を含んでもよく、スタイレット222の遠位先端232は、カテーテル212から突出し非外傷性先端の役割をする。必要に応じて、幾つかの実施形態では、このシステムは、気管支鏡(図示せず)や他のスコープ装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、この方法は、ユーザ又はシステム210の製造者のいずれかによって、気道拡張システム210を曲げることを伴ってもよい。場合によって、スタイレット222は、曲げられ、次にバルーンカテーテル212に挿入されてもよく、他の場合には、スタイレット222がカテーテル212内に既にある状態でスタイレット222とバルーンカテーテル212が一緒に曲げられてもよい。したがって、場合によって、スタイレット222は、展性でもよく展性でなくてもよい。スタイレット222の支持とシステム210全体における屈曲部は、医者が、システム210を患者の気道を通して導いて、バルーン218を狭窄領域246の少なくとも一部分内に位置決めするの役立つことができる。図4に示すように、カテーテル212のインフレータブルバルーン218は、バルーンカテーテル212を前進させ配置している間は非拡張形状である。
【0050】
図5に示すように、バルーン218が、気道Aの狭窄領域246内に位置決めされると、インフレータブルバルーン218は、狭窄領域246を拡張させるために膨張する。幾つかの実施形態では、スタイレットは、バルーンカテーテルが患者の狭い気道Aで位置決めされた後でスタイレットの屈曲又は湾曲領域が真っ直ぐになるように形成されてもよい。他の実施形態では、図5と同じように、システム210の屈曲部は、気道A内に位置決めされても保持されることができる。
【0051】
一実施形態において、スタイレット遠位先端232は、照明機能を含んでもよい。そのような実施形態では、本方法は、スタイレット遠位先端232を照明することと、気道の内側から(スコープを使用して)及び/又は徹照法によって患者の外側から照明を観察することとを更に含んでもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、スタイレット222は、バルーン218の膨張中にバルーンカテーテル212内に留まる。膨張中にスタイレット222をカテーテル212内に維持することによって、カテーテル212の柱強度が高まり、狭窄領域246内のバルーン218の位置を維持するのに役立ち、それによりスイカの種現象を避けることができる。代替の実施形態では、この方法は、膨張前にバルーンカテーテル212からスタイレット222を取り出すことを含んでもよい。例えば、スタイレット222は、バルーンカテーテル212が患者の気道A内に適切に位置決めされた後でバルーンカテーテル212から取り出されてもよい。別の実施形態では、狭窄を拡張した後でバルーンカテーテル212を患者から除去する前にスタイレット222を取り出すことができる。
【0053】
この方法は、また、内視鏡又は気管支鏡(図示せず)を患者の気道Aに沿って前進させ、内視鏡の遠位端を狭窄領域246の近くに位置決めして気道拡張システム210の配置を可視化することを含んでもよい。内視鏡は、バルーン拡張中の移動及び滑りの防止を助けるために、一実施形態では結合部材138を使用してバルーンカテーテル212に取り付けられてもよい。拡張が実行された後で、内視鏡を柄から取り外し、患者から除去することができる。あるいは、内視鏡は、カテーテル212と別でもよい。代替の実施形態では、内視鏡は、バルーンカテーテル212の側に位置決めされてもよく、又は内視鏡は、バルーンカテーテル212内又はそれを通して位置決めされてもよい。別の実施形態では、声門下狭窄を拡張する方法は、患者の気道A内に気管支鏡を挿入し、次いでバルーンカテーテル212を気管支鏡に通すことを含む。
【0054】
一実施形態において、この方法は、気道Aの狭窄領域246を拡張するためにインフレータブルバルーン218を1回より多く膨張させることを含んでもよい。図5は、狭窄領域を拡張するための拡張形態のインフレータブルバルーンを示す。医者は、狭窄を拡張する度にインフレータブルバルーン218を所望の圧力まで膨張させる。狭窄領域246の適切な拡張は、領域を気管支鏡/内視鏡によって可視化することにより確認される。
【0055】
前述のような気道拡張システム210及び方法は、医者が患者の気道A内の狭窄領域246を拡張する操作性を向上させる。幾つかの実施形態では、医者は、片手を使ってシステム210を操作することができ、したがって、他方の手は自由のままで気管支鏡や他の装置を保持することができる。有利な長さ、シャフト及びバルーン径、並びに全体構成を有するバルーンカテーテル212と、気道の案内を容易にする屈曲部を有するスタイレット222との組み合わせが、気道拡張処置を容易にし、成功する頻度を高める。更に、バルーンカテーテル212とスタイレット222の非外傷性設計は、送達及び除去の際の患者の気道Aと声帯の損傷を防ぐのに役立つ。また、この設計は、狭窄領域246の拡張中のバルーンカテーテル212の移動及び滑りを防ぐのに役立ち、より拡張を制御されたものにする。
【0056】
本明細書に記載した方法及び装置は、特定の実施例及び実施形態について言及しているが、これらの実施例及び実施形態に様々な追加、削除、変更及び修正が行われてもよく、並びに/又は開示された趣旨及び範囲から逸脱することなく等価物が代用されてもよい。例えば、1つの実施形態又は実施例の任意の要素又は属性は、そうすることによってその実施形態又は実施例がその目的とする用途にそぐわないものとならないかぎりにおいて、別の実施形態又は実施例に取り入れるか、あるいは別の実施形態又は実施例と共に使用することが可能である。更に、本開示の目的、趣旨及び範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、処理、処理工程を適応させるために、多くの修正が行われてもよい。こうした修正はすべて、本明細書に添付される「特許請求の範囲」に含まれるものとする。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムであって、
近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って配置され、前記膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、
スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及び前記スタイレットが前記スタイレット内腔内に収容されたときに前記スタイレットが前記カテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットと
を含み、
前記スタイレット近位部分は前記スタイレット遠位部分より柔軟ではなく、前記スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつ前記スタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる、システム。
(2) 前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より柔軟である、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記カテーテルシャフトは、
前記スタイレット内腔を形成する内側部材と、
前記内側部材の一部分の上に配置された外側部材と
を有し、
前記内側部材は、前記外側部材の遠位端を越えて延在し、前記バルーンの近位端は前記外側部材に取り付けられ、前記バルーンの遠位端は前記内側部材に取り付けられ、前記内側部材と前記外側部材との間の空間は、前記カテーテルシャフトの前記膨張内腔を形成する、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に有し、前記ハブは、
前記膨張内腔と連通している膨張口と、
前記スタイレット内腔と連通しているスタイレット口と
を有する、実施態様4に記載のシステム。
(6) 前記内側部材が、前記内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含み、前記バルーンが、前記遠位区分で前記内側部材に取り付けられる、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記バルーンが、少なくとも12mmの外径を有する、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記内側部材の内径が、約1.2mm以下であり、前記内側部材の外径が、約1.8mm以下である、実施態様4に記載のシステム。
(9) 前記カテーテルシャフトの前記全長が、約50cm以下である、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記シャフトに対する前記バルーンの近位取り付け部分のすぐ近くの前記カテーテルシャフトの外径が、約2mm以下である、実施態様1に記載のシステム。
【0058】
(11) 完全に膨張したときの前記バルーンの外径が、少なくとも3mmであり、前記バルーンの作業長が、少なくとも10mmである、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記バルーンが、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記バルーンが、
約10mm〜約60mmの作業長と、
約3mm〜約24mmの外径と、
前記作業長の近位端から前記カテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、
前記作業長の遠位端から前記カテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分と
を含む、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記バルーンが、滑りにくい外側面を有する、実施態様1に記載のシステム。
(15) 前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる、実施態様1に記載のシステム。
(16) 前記スタイレットが、
前記スタイレットの前記近位端から前記遠位端まで先細りになるコアワイヤと、
前記コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルと
を含む、実施態様1に記載のシステム。
(17) 前記スタイレットが、展性である、実施態様1に記載のシステム。
(18) 前記スタイレットの前記柔軟部分が、前記スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含み、前記スタイレットが前記バルーンカテーテルの中に配置されたときに、前記屈曲部により前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が屈曲する、実施態様1に記載のシステム。
(19) 前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトと結合されたハブ内で前記スタイレットをロックするために、前記スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それにより前記カテーテルシャフトを回転させると前記スタイレットが回転する、実施態様1に記載のシステム。
(20) 前記スタイレットが、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含み、前記スタイレットの近位端が、光源と取り外し可能に結合可能である、実施態様1に記載のシステム。
【0059】
(21) 使用中に前記バルーンカテーテルを観察するための内視鏡を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(22) 前記内視鏡が、前記バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能である、実施態様21に記載のシステム。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/141,146号の利益を請求し、この開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書では、患者の気道の狭窄を治療するためのシステム及び方法を開示し、より具体的には患者の気道の狭窄領域を拡張するためのシステム及び方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
気道狭窄(airway stenosis)(又は「気道狭窄(airway narrowing)」)は、患者の気道の一部分が狭くなるか収縮するときに起こり、それにより呼吸が困難になる病状である。狭窄は、大人又は子どもの気道の任意の部分、即ち、喉頭、気管、気管支、又はこれらの組み合わせ(喉頭気管又は気管気管支狭窄)に、幾つかの様々な原因のいずれかによって生じ得る。圧倒的に最も一般的な気道狭窄(約95%)が後天性なものであり、これは、患者がその異常を持って生まれたのではないことを意味し、気道狭窄の最も一般的な原因は、挿管(呼吸できない患者の換気/呼吸を補助するために気道に設置される管)によって生じる外傷である。長期間の挿管は気道を損傷させることがあり、その結果、狭窄を形成する瘢痕組織が形成される。特発性声門下狭窄などの狭窄の原因は、分かっていないことがある。気道狭窄の管理は、ENT(耳、鼻部及び喉)外科医の最も困難な問題のうちの1つである。
【0004】
声門下狭窄は、声門(喉頭の声帯のまわりの領域)の下の喉頭内で起こる気道狭窄の一形態である。この病気は、先天性のこともあり後天性のこともあり、大人と子どもの両方を襲う可能性がある。後天性の声門下狭窄は、子どもの喉頭の最も一般的な後天性異常であり、最も一般的な異常は、1歳未満の子どもでは気管切開術を必要とする。声門下狭窄を矯正するために、呼吸中の気流を大きくするために輪状軟骨領域の内腔が拡張される。声門下狭窄(sublottic)の外科的矯正は、長年にわたって様々な技術で行われてきた。
【0005】
気道狭窄を処置する治療は、拡張やレーザ切除などの内視鏡的処置から、喉頭気管再構成などの切開処置までの範囲にわたる。1つの手法では、直径が大きくなる一連の剛性拡張器が気道に押し込まれ、狭窄を徐々に拡張するだけでなく、望ましくない剪断力を気道に加える。最近では、気道拡張を行なうためにバルーンカテーテルが使用されている。剛性拡張より優れたバルーン拡張の長所の1つは、剪断力に対して半径方向の力を加えることであり、これにより、粘膜外傷のリスクが減少する。また、使用されるバルーンカテーテルにより、外科医は、気道の狭窄領域を拡張するのに必要な正確な圧力の量に対してより確信を持つ。
【0006】
今日、バルーンカテーテルを使用するほとんどの気道拡張は、血管形成術用バルーンカテーテル及び末梢バルーンカテーテルを使用して行われ、これらは、狭くなった血管を拡張するよう設計されている。これらのバルーンカテーテルは、気道狭窄を拡張するために使用されるときに幾つかの制限を有する。第1に、これらのバルーンカテーテルは、特に気道内で使用されるように設計されていないため、既存のバルーンの寸法は、小児及び/又は成人の気道内で使いやすいように最適化されていない場合がある。第2に、現在のバルーンカテーテルは、一般に、内視鏡(例えば、喉頭鏡又は気管支鏡)を使用して気道バルーン拡張を都合よく可視化できるようにサイズが決められておらず、実際に、場合によっては、内視鏡を使用して気道拡張処置を観察することができない。第3に、血管処置に使用されるバルーンカテーテルは、一般に、極めて長くかつ撓み、そのため、気道の狭窄部に進み難くし、そのようなカテーテルのバルーンは、膨張されたときにその狭窄部から滑脱したり「スイカの種現象(watermelon seed)」を起こす傾向がある可能性がある。一般に、現在入手可能なバルーンカテーテルを、気道処置に望ましい位置に配置し、気道の狭くなった部分から滑脱させることなくバルーンを拡張し、処置を可視化することが困難な可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、血管及び他の生体構造内ではなく気道内で使用されるように設計された気道狭窄バルーン拡張システムを有することが望ましい。理想的には、そのようなシステムは、気道内で使用するように構成された寸法を有し、処置中に気道拡張処置及び/又はシステムの少なくとも一部分の可視化を可能にし、現在入手可能なバルーンカテーテルより容易に気道狭窄に進める(かつ内部に維持する)ことができる。本明細書に記載された実施形態は、これらの目的のうちの少なくとも幾つかに取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、患者の気道の狭窄領域を拡張するためのシステム及び方法を開示する。この方法は、一般に、患者の気道を通してバルーンカテーテルを前進させて狭窄領域の少なくとも一部分内にカテーテルのインフレータブルバルーンを位置決めする工程と、患者に対してカテーテルの位置を維持する工程と、カテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張する工程とを含む。システムは、一般に、70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置されたインフレータブルバルーンと、スタイレットとを含む。
【0009】
一態様において、患者の気道内の狭窄領域を拡張する方法は、近位部分、近位部分より柔軟な遠位部分、及び70cm未満の全長を有するバルーンカテーテルを患者の気道を通して前進させて狭窄領域の少なくとも一部分内にカテーテルのインフレータブルバルーンを位置決めする工程であって、カテーテル内に配置されたスタイレットが前進を容易にする工程と、バルーンカテーテルの近位部分を保持することによって、患者に対するカテーテルの位置を維持して狭窄領域内でバルーンの位置を維持する工程と、カテーテル内のスタイレットによってカテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張する工程とを伴い得る。
【0010】
一実施形態では、バルーンカテーテルを前進させる工程は、狭窄領域内を通してスタイレットの遠位部分を前進させる工程を伴ってよく、スタイレットは、遠位部分がカテーテルの遠位端を越えて突出するのを可能にする長さを有する。必要に応じて、この方法は、バルーンカテーテル内でスタイレットを回転させて、狭窄領域を通してスタイレットの遠位端を操縦する工程を更に伴ってもよい。代替の実施形態では、この方法は、バルーンカテーテルに対してスタイレットをロックする工程と、バルーンカテーテルを回転させて狭窄領域を通してスタイレットを操縦する工程とを含んでよい。
【0011】
幾つかの実施形態は、必要に応じて、患者の気道内の狭窄領域の近くの位置にスコープを前進させる工程と、そのスコープを使って狭窄領域内のインフレータブルバルーンの配置を可視化する工程とを更に含んでもよい。幾つかの実施形態はまた、スコープを使用してバルーンカテーテルのシャフト上の少なくとも1つのシャフトマーカを観察する工程と、シャフトマーカの位置に基づいて狭窄領域に対するインフレータブルバルーンの位置を近づける工程とを含んでもよい。一実施形態では、この方法は、前進させる工程の前に患者の気道内に気管支鏡を挿入する工程を伴ってもよく、バルーンカテーテルは、気管支鏡によって気道を通って前進する。
【0012】
ある実施形態では、この方法は、前進させる工程の前に、スタイレットに屈曲部を形成する工程を含んでもよく、屈曲したスタイレットは、バルーンカテーテルを屈曲形状に維持する。一実施形態において、この方法は、前進させる工程の後で気道からバルーンカテーテルとスタイレットを除去する工程と、スタイレットに屈曲部を形成する工程(屈曲したスタイレットは、バルーンシャフトを屈曲形状に維持する)と、バルーンカテーテルとスタイレットとを気道内に再導入する工程とを伴ってもよい。
【0013】
一実施形態では、この方法は、必要に応じて、カテーテルのスタイレット内腔からスタイレットを除去する工程と、スタイレット内腔を通して気道内に酸素を送る工程とを伴ってもよい。代替の実施形態では、この方法は、小児患者又は成人患者のどちらに実行されてもよい。
【0014】
別の態様では、患者の気道内の狭窄領域を拡張するシステムは、近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置され、膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及びスタイレットがスタイレット内腔内に収容されたときにスタイレットがカテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットとを含み、スタイレット近位部分はスタイレット遠位部分より柔軟ではなく、スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつスタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフト遠位部分は、カテーテルシャフト近位部分より柔軟でよい。必要に応じて、カテーテルシャフト遠位部分は、カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有してよい。一実施形態では、カテーテルシャフトは、スタイレット内腔を形成する内側部材と、内側部材の一部分の上に配置された外側部材とを含んでよく、内側部材は、外側部材の遠位端を越えて延在し、バルーンの近位端は外側部材に取り付けられ、バルーンの遠位端は内側部材に取り付けられ、内側部材と外側部材の間の空間は、カテーテルシャフトの膨張内腔を形成する。一実施形態は、外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に含んでもよく、ハブは、膨張内腔と連通している膨張口と、スタイレット内腔と連通しているスタイレット口とを含んでよい。一実施形態では、内側部材は、内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含んでよく、バルーンは、遠位区分で内側部材に取り付けられてもよい。一実施形態では、バルーンは、少なくとも12mmの外径を有し得る。一実施形態では、内側部材の内径は約1.2mm以下であり、内側部材の外径は約1.8mm以下である。
【0016】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフトの全長は、約50cm以下である。幾つかの実施形態では、シャフトに対するバルーンの近位取り付け部分のすぐ近くのカテーテルシャフトの外径は、約2mm以下である。また、幾つかの実施形態では、完全に膨張したときのバルーンの外径は、少なくとも3mmであり、バルーンの作業長は、少なくとも10mmである。幾つかの実施形態では、バルーンは、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる。バルーンは、幾つかの実施形態では、約10mm〜約60mmの作業長と、約3mm〜約24mmの外径と、作業長の近位端からカテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、作業長の遠位端からカテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分とを含み得る。幾つかの実施形態では、バルーンは、滑りにくい外側面を有してもよい。
【0017】
スタイレットに関して、幾つかの実施形態では、カテーテルシャフトの遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる。幾つかの実施形態では、スタイレットは、スタイレットの近位端から遠位端まで先細りになるコアワイヤと、コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルとを含んでよい。幾つかの実施形態では、スタイレットは、展性でもよい。幾つかの実施形態では、スタイレットの柔軟部分は、スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含んでよく、スタイレットがバルーンカテーテルの中に配置されたときに、この屈曲部によりバルーンカテーテルの遠位部分は屈曲する。幾つかの実施形態では、スタイレットは、カテーテルシャフトと結合されたハブ内でスタイレットをロックするために、スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それによりカテーテルシャフトを回転させるとスタイレットは回転する。必要に応じて、スタイレットは、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含んでよく、スタイレットの近位端は、光源と取り外し可能に結合する。
【0018】
幾つかの実施形態では、システムは、使用中にバルーンカテーテルを観察するための内視鏡を含んでよい。必要に応じて、内視鏡は、幾つかの実施形態において、バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能でもよい。
【0019】
別の態様では、患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのキットは、近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位部分に沿って配置され、膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、スタイレットと、取扱説明書とを含んでよい。スタイレットは、近位部分、遠位部分、及びスタイレットがスタイレット内腔内に収容されたときにスタイレットがカテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有してよく、スタイレット近位部分はスタイレット遠位部分より柔軟ではなく、スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつスタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる。取扱説明書は、バルーンカテーテルをバルーンカテーテルの中に配置されたスタイレットと共に気道を通して前進させてインフレータブルバルーンを狭窄領域に位置決めすること、バルーンカテーテルの近位部分を保持することによって、患者に対するカテーテルの位置を維持して狭窄領域内でバルーンの位置を維持すること、及びカテーテル内のスタイレットによってカテーテルのバルーンを膨張させて気道の狭窄領域を拡張することのためのものでよい。
【0020】
追加の要素及び実施形態は、以下に更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】バルーンカテーテル、スタイレット及び任意選択の内視鏡を含む患者の気道内の狭窄を拡張するためのシステムの平面図。
【図2A】スタイレットの遠位部分に屈曲部を有するスタイレットの平面図。
【図2B】ほぼ真っ直ぐな形状を有するスタイレットの平面図。
【図3】内視鏡を保持するバルーンカテーテルの細長い管状部材上に配置された柄の部分透視図。
【図4】送達中にバルーンカテーテルを屈曲させる屈曲領域を有するスタイレットを使用して患者の気道内に導入されるバルーンカテーテルの断面図。
【図5】狭窄領域を拡張するためにバルーンが膨張された状態の、気道の狭窄領域に位置決めされた図4のバルーンカテーテルの断面図。
【図6A】気道バルーンカテーテルの側面図。
【図6B】図6Aの断面ADの拡大図。
【図7A】気道バルーンカテーテルの側面図。
【図7B】図7Aの断面ACの拡大図。
【図8A】気道バルーンカテーテルシャフトの外側部材を形成するために使用されるバンプチュービングの側面図。
【図8B】図8Aのバンプチュービングの部分C−Cの断面図。
【図8C】図8Aのバンプチュービングの部分F−Fの断面図。
【図9A】気道バルーンカテーテルシャフトの内側部材を形成するために使用されるバンプチュービングの側面図。
【図9B】図8Aのバンプチュービングの部分C−Cの断面図。
【図9C】図8Aのバンプチュービングの部分K−Kの断面図。
【図10A】近位ルアーを有するスタイレットの側面図。
【図10B】スタイレットの遠位部分の側面図。
【図10C】図10A及び図10Bのスタイレットのコア部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この装置及び方法について述べる前に、この開示が、記載した特定の実施形態に限定されず、当然ながら異なってもよいことを理解されたい。また、本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するものではないことを理解されたい。
【0023】
図1を参照すると、一実施形態は、患者の気道の狭窄を拡張するためのシステム8を対象とする。この実施形態では、システム8は、バルーンカテーテル10とスタイレット22とを含む。必要に応じて、システムは、気管支鏡などの内視鏡24を含んでもよい。更に後述されるように、気道を拡張するために特別に構成された寸法、剛性特性、及びその他の特徴をそれぞれが有するバルーンカテーテル10とスタイレット22を一緒に使用することは、気道拡張処置を容易にし、また収縮した通路内への拡張器の前進の難しさ及び/又は狭窄からのバルーンのスイカの種現象などの先行技術の様々な欠点をなくすのに役立ち得る。
【0024】
図示した実施形態において、バルーンカテーテルは、近位部分14と遠位部分16とを有するカテーテルシャフト12(又は、「細長い管状部材」)と、遠位部分16上に配置されたインフレータブルバルーン18とを含む。インフレータブルバルーン16は、膨張内腔と連通している。カテーテルシャフト12内にはスタイレット22も配置される。幾つかの実施形態では、スタイレット22の少なくとも一部分は、カテーテルシャフト12の少なくとも一部分より高い剛性を有してよく、それにより、スタイレット22が曲げられカテーテルシャフト12内に挿入されたときに、カテーテルシャフト12は、スタイレット22の形状に少なくとも部分的に従う。スタイレット22は、患者の気道内にバルーンカテーテル10を進めるために使用される。この実施形態では、本システムは、患者の気道内のバルーンカテーテル10の配置を可視化するために、バルーンカテーテル10の隣りに配置された内視鏡24も含む。使用する際、バルーンカテーテル10が患者の気道に挿入され、インフレータブルバルーン18が、患者の気道の狭窄を拡張するために膨張される。
【0025】
次に図2A、図2B及び図10A〜図10Cを参照して、スタイレット22について更に詳細に説明する。一般に、またほとんどの実施形態では、スタイレット22は、カテーテル10に剛性を提供しかつカテーテル10を患者の鼻孔又は口を通して気道の狭窄領域内の位置に進めることを可能にする剛性の近位部分と、屈曲部の形状を取り得、バルーンカテーテル10内に配置されたときに屈曲形状を保持する、柔軟な遠位部分とを含む。一実施形態では、屈曲部は、スタイレットにあらかじめ形成される。別の実施形態では、柔軟部分は展性があり、ユーザは、屈曲部を形成することができる。別の実施形態では、屈曲部は、あらかじめ形成されてもよく、またユーザが屈曲部を変更できるように展性でもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、ステンレス鋼でできており、この材料は、カテーテル10内に配置されたときでもスタイレット22がその屈曲形状を保持するのを助ける。これは、ユーザが屈曲部を利用してカテーテルを操縦することを可能にするので、重要な利点である。
【0026】
図2A、図2B及び図10A〜図10Cを再び参照すると、一実施形態では、スタイレット22は、近位部分28と遠位部分30とを有するコア部材26と、コア部材26の遠位部分30の少なくとも一部分のまわりに配置されたコイル32と、バルーンカテーテル10上のハブと結合するためにコア部材26の近位端と結合されたルアーロック部材(luer lock member)35とを含んでもよい。代替の実施形態では、スタイレット22は、コイルを含まなくてもよい。一実施形態では、コア部材26及び/又はコイル32は、ニチノールから形成されてよい。別の実施形態では、コア部材26及び/又はコイル32は、ステンレス鋼又は他の生体適合性材料から形成されてよい。少なくともコア部材26を形成するためにステンレス鋼が使用される実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10と共に配置されたときに屈曲形状をより維持できることが有利であり得る。スタイレットの遠位部分30は、患者の気道内にバルーンカテーテル10を配置する際にバルーンカテーテル10を曲げるのに十分な剛性を有する屈曲部又は湾曲部34を含んでよい。別の実施形態では、スタイレット22は、図2Bと同じように、ほぼ直線構成で提供されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、屈曲部34を有するようにあらかじめ形成されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、代替的に又は追加的に、ユーザがスタイレット22を曲げ、スタイレット22がユーザの作った屈曲部を維持できるように、展性でよい。一実施形態では、スタイレット22の近位部分28は一般に剛性でよく、遠位部分30は一般に展性でよく、最も遠位部分は、非外傷性で、極めて柔軟又は更には撓んでもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22の長さに沿った柔軟性のこの違いは、ステンレス鋼やニチノールなどの異なる材料の使用によって達成され得る。別の実施形態では、スタイレット22の長さに沿った柔軟性の違いを達成するために、ステンレス鋼などの1つの材料を使用することができ、スタイレット22の直径を変化させることができる。
【0027】
様々な実施形態によれば、スタイレット22、コア部材26及びコイル32は、任意の数の構成と寸法の組み合わせを有し得る。図10Cに示すように、例えば、一実施形態では、コア部材26は、近位部分28と、異なる直径を有する複数の部分30a、30b、30c、30dを有する遠位部分30とを含んでよい。様々な実施形態では、コア部材26を形成する際に、任意の数字の異なる直径及び長さなどを使用してよい。示される実施形態では、例えば、近位部分の直径は約0.8mmであり、第1の遠位部分30aの直径は、約0.8mmから約0.4mmに先細りになり、第2の遠位部分30bの直径は、約0.4mmであり、第3の遠位部分30cの直径は、約0.4mmから約0.13mmに先細りになり、第4の最も遠位の遠位部分30dは約0.13mmである。一実施形態では、第1の遠位部分30aの長さは約6〜8cmであり、第2の遠位部分30bの長さは約2〜4cmであり、第3の遠位部分30cの長さは約4〜5cmであり、第4の遠位部分の長さは約3〜5cmである。一実施形態では、コア部材26は、様々な遠位部分30a〜dを形成するように研磨されてもよい。例えば、一実施形態では、最も遠位にある第4の遠位部分30dは、高さ約0.06mm、幅約0.13mm、長さ約2.5〜4.0cm、及び好ましくは約3.0〜3.5cmを有する平坦構成に研磨されてもよい。当然ながら、これは単に1つの例示的な実施形態であり、代替の実施形態では、様々な寸法及び組み合わせが使用されてもよい。一般に、長さ全体にわたって先細りになるコア部材26を提供することが有利であり得、その結果、コア部材26が、バルーンカテーテル10内に配置されている間に長さの一部分に沿って屈曲形状を保持することができ、同時に、結合されたスタイレット22とカテーテル10を前進しやすくするのに十分な近位の剛性が提供され、また柔軟で非外傷性の遠位先端が得られる。
【0028】
図10A及び図10Bを参照すると、スタイレット22のコイル34は、任意の適切な全長と、任意の数の異なるコイル間隔(即ち、「ピッチ」)とを有してもよい。例えば、スタイレット22の遠位端をより柔軟にしたい場合は、より大きい方のピッチ(コイルの間隔が大きい)を使用することができる。遠位端を堅くしたい場合は、より小さいピッチを使用することができる。一実施形態では、例えば、コイル34は、約0.13mm〜約0.25mm、より好ましくは約0.20mmのピッチを有してよい。コイル34は、コア部材26の任意の適切な長さにわたって配置されてよい。極端に言うと、コイル34は、コア部材26の全長にわたって配置されてよく、又はコイル34は、スタイレット22から全くなくされてもよい。様々な他の実施形態では、コイル34は、約5cm〜約25cm、より好ましくは約10cm〜約15cmのコア部材26の長さにわたって配置されてもよい。幾つかの実施形態では、コイル32は、その近位端と遠位端でコア部材26にはんだ付けされてもよい。幾つかの実施形態では、遠位端でのはんだが、はんだ先端33を形成してもよい。他の実施形態では、別個の遠位先端部材が、接着剤又は他の取り付け手段によってスタイレット22に追加されてもよい。
【0029】
様々な実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10のカテーテルシャフト12とほぼ同じか又はそれより僅かに長い全長を有してよい。幾つかの実施形態では、例えば、スタイレット22は、スタイレット22がカテーテル10内に完全に配置されたときにカテーテルシャフト12から遠位方向に延在する非外傷性の柔軟な遠位先端部分を含んでよい。この先端部分は、例えば、長さが約0.25cm〜約8cm、又はより好ましくは約1〜5cmでよく、またユーザがシステム8を患者の気道を通して非外傷的に前進させやすくすることができる。幾つかの実施形態では、スタイレットの全長は、約30cm〜約80cm、より好ましくは約45cm〜約60cmで変動してよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22の柔軟な遠位部分は、全長のうちの約5〜20cm、好ましくは約10〜15cmでよい。スタイレット22は、0度を超え約20度までなどの任意の適切な角度を有する屈曲部34を含んでよい。一実施形態では、スタイレット22の最大直径は、約1.3mm、好ましくは0.9mm以下でよく、直径は、遠位方向に約0.13mm+/−0.013mmに減少してもよい。
【0030】
幾つかの実施形態において、スタイレット22が、あらかじめ形成された屈曲部34を含む場合であっても直線形状で提供された場合であっても、スタイレット22は、ユーザが屈曲部34を形成することができるか屈曲部34の角度を変更できるように展性であってよい。この展性により、ユーザは、特定の患者の気道の生体構造によって屈曲角度を調整することができる。ほとんどの実施形態では、屈曲したスタイレットがバルーンカテーテル10に入れられたときに、スタイレット22は、屈曲部34又はほぼ同じ屈曲部34を保持するが、ある程度真っすぐにされてもよい。幾つかの実施形態では、屈曲部34は、バルーンカテーテル10が患者の気道内に配置されている間及び時にはその後も維持されてよい。他の実施形態では、スタイレット22は、屈曲部34が患者の狭い気道内で部分的又は完全に真っ直ぐになるように剛性を有してもよい。図2Bに示すように、スタイレット22の一実施形態は、3つの区分を含み、遠位端の近くの柔軟部分40は、長さが約0.25cm〜約8cm、好ましくは約1〜5cmの範囲であることができる。一実施形態では、柔軟部分40は非外傷性であり、コイル32を含んでも含まなくてもよい。スタイレットの中央区分42は、スタイレット22に湾曲部又は屈曲部を導入してバルーンカテーテル10を患者の気道内で前進させ設置するのを助けるために展性でよい。中央区分42は、一実施形態では、長さが約0.5cm〜約10.0cmでよい。一実施形態では、展性の中央区分42は、自由空間内では屈曲部又は湾曲部などのあらかじめ形成された形を取り、次いで患者の気道の形状に従う。剛性区分44は、スタイレット22の近位端の近くにあり、一実施形態では約10cm〜約35cmの長さを有することができる。一実施形態では、これらの3つの区分40、42又は44のいずれかが互いに接合されてもよい。別の実施形態では、コア部材26は、一部分の直径を小さくするように一部分が研磨されてもよい。
【0031】
一実施形態のスタイレット22は、屈曲部34の上に存在するバルーンカテーテル10の対応する部分よりも、屈曲部34がある又は屈曲部が形成され得る長さの一部分に沿ってより大きな剛性を有してよい。この実施形態では、カテーテルシャフト12は、狭窄領域内に設置する間スタイレット22の形状(屈曲した又は直線)に従う。
【0032】
システム8の一実施形態では、スタイレット22は、バルーンカテーテル10に取り付けられてもよく、別の実施形態では、スタイレットは、バルーンカテーテル10に取り外し可能に接続されてもよい。幾つかの実施形態では、スタイレット22は、近位部分28にねじ山を有するルアーロック部材35を含んでよく、このねじ山は、バルーンカテーテル10のルアー36上にある反対側のねじに嵌る。別の実施形態では、バルーンカテーテル10は、スタイレット22をカテーテルシャフト12内の適切な位置にロックするロック機構(図示せず)を含んでよい。ロック機構は、レバー、ボールとピン、及びルアーを含む任意の機械装置でよい。一実施形態において、スタイレット22が、バルーンカテーテル10に接続されるとき、スタイレット22の遠位部分30の全て又は一部分が、カテーテルシャフト12の遠位端から延在してもよい。更に、他の実施形態では、スタイレット22は、異なる位置又は長さでバルーンカテーテル10にロックされてもよく、したがって、スタイレット22の遠位端は、異なる長さでバルーンカテーテル10から延在するか又はバルーンカテーテル10内に位置決めされる。スタイレット22の長さ、直径及び剛性特性は、様々な実施形態において、システム8全体に異なる性能特性を与えるように変更されてよい。
【0033】
バルーンカテーテル10を挿入している間にスタイレット22に使用することにより、バルーンカテーテル10の遠位端を患者の気道を通して狭窄領域まで導きやすくする。スタイレットは、バルーンカテーテル10の前進中に高い操縦性を提供する。スタイレット22を使用するときには、バルーンカテーテル10のトルク伝達性(Torquability)も高まる。幾つかの実施形態では、スタイレット22のルアーロック部材35とバルーンカテーテル10のルアー36が嵌合し、その結果、スタイレット22とバルーンカテーテル10が一緒に回転され、それにより気道の収縮部分に導かれることができる。
【0034】
一実施形態では、スタイレット22は、光放射遠位端又は先端等の光放射部分を有してもよい。そのような一実施形態では、例えば、スタイレット22は、スタイレット22の近位端に取り付けられた光源からその遠位端に光を伝達する1つ以上の光ファイバを含んでよい。光放射スタイレット22からの光は、ユーザが、スコープを使用して内側から及び/又は場合によっては患者の皮膚を介した徹照によって外側から、患者の気道を見るのを助けるために使用され得る。そのような照明スタイレット22を得るために使用又は改良されることができる光放射ガイドワイヤ装置の一実施形態は、カリフォルニア州メンロパークのAcclarent,Inc.により製造されたRelieva Luma(商標)Sinus Illumination Guidewire/Systemである。そのような照明スタイレット22は、光放射機能の付加的な特徴と共に、前述の特徴のいずれを有してもよい。
【0035】
次に図6A及び図6Bを参照すると、一実施形態において、バルーンカテーテル50は、外側シャフト部材54と内側シャフト部材56とを有するカテーテルシャフト52と、近位取り付け点62及び遠位取り付け点64でシャフト52に取り付けられたインフレータブルバルーン58と、スタイレット口66と膨張口68とを有するハブ60とを含んでよい。この実施形態では、外側シャフト部材54は、内側シャフト部材56の一部分の上に配置され、内側シャフト部材56は、カテーテル50の遠位端に続く。バルーン58は、接着剤又は他の取り付け手段によって、近位取り付け点62で外側部材54に取り付けられ、遠位取り付け点64で内側シャフト部材56に取り付けられる。これにより、内側シャフト部材56と外側シャフト部材54との間に膨張内腔(図6Aでは小さすぎて見えない)が形成され、膨張流体が、膨張装置(図示せず)からカテーテル50内に入り、膨張口68を通って膨張内腔及びバルーン58へと入る。スタイレット22は、図6A及び図6Bに示されていないが、内側シャフト部材56の内側内腔内に通常存在し、カテーテル50の遠位端から遠位方向に延在し、ハブ60と近位方向に結合してもよい。
【0036】
様々な実施形態では、バルーンカテーテル50及びその様々な構成要素は、任意の数の適切なサイズ、形状及び構成を有し得る。例えば、バルーン58は、様々な患者の生体構造に対応するために、様々な実施形態において異なる長さ及び直径を有することができる。カテーテル全体の長さ及び直径も異なってよい。したがって、以下の実施形態の説明は、単なる例示であり、与えられた特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明を限定しない。幾つかの実施形態では、例えば、バルーンカテーテル50の全長(即ち、ハブ60の近位端からカテーテルシャフト52の遠位端まで)は、約35〜70cm、より好ましくは約50cm以下、より好ましくは約45cm±5cmである。カテーテル50の全長をこれらの範囲に制限すると、特にこのカテーテル50よりも長く撓みやすく、したがって気道拡張処置に使用し難い現在入手可能な血管カテーテルと比較して、カテーテルを片手で取り扱い、操作しやすくなる。
【0037】
図6A及び図6Bのバルーン58の作業長は、約40mm±2mmである。「作業長」とは、バルーン58の2つのテーパ部分の間の長さを意味する。代替の実施形態では、バルーン58の作業長は、約10mm〜約60mm、より好ましくは約16〜45mmの範囲であり得る。一実施形態では、約16mm、24mm及び40mmを含む様々な長さを提供することができる。バルーン58の完全に膨張した作業長の外径も異なってもよい。図6A及び図6Bに示す実施形態では、バルーン58は、約14.1mm±0.5mmの膨張径を有する。幾つかの実施形態では、バルーン径は、約3mm〜約24mm、好ましくは約5〜15mmの範囲であり得る。一実施形態では、約5mm、約7mm、約10mm、約14mm、約20mm、及び約24mmを含む様々な直径が提供され得る。例えば、医者が成人又は小児患者用の適切なサイズを選択できるように、バルーンサイズと長さとの組み合わせが提供され得る。一例では、5mm×24mm、7mm×24mm、10mm×40mm、及び14mm×40mmの組み合わせが提供され得る(最初の寸法が直径、次が長さである)。当然ながら、任意の数字の他のサイズの組み合わせのバルーン58を提供することができる。
【0038】
様々な実施形態において、任意の適切な材料を使用してバルーン58を形成してもよい。バルーン58は、様々な実施形態により従順性、半従順性又は非従順性でよいが、好ましい実施形態では、バルーン58は、半従順性又は非従順性である。バルーン58は、ナイロン、又は一例としてPTFEのような他のポリマーなどで作製されてもよい。幾つかの実施形態では、バルーン58は、テクスチャ化面又は被覆によって形成され得る外側滑り止め面を含んでもよい。そのような面は、膨張中にバルーン58が気道狭窄からスイカの種現象を起こすのを防ぐのに役立つことができ、及び/又は例えばそのバルーン58が次の若しくはその後の拡張処置に使用される場合に収縮後に手でバルーン58を包み直しやすいようにすることができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、インフレータブルバルーン58は、優先的に膨張してもよい。例えば、インフレータブルバルーン58は、ダンベル形に膨張するように設計することきる。典型的に、この形状は、バルーン58の近位端及び遠位端をバルーン58の中央部の壁厚と異なる壁厚にすることによって作ることができる。他の実施形態では、バルーン58の中央区分がバルーン58の近位端及び遠位端と同じ割合で膨張しないように、バルーン58の中央部分のまわりにスリーブが配置されてもよい。また、バルーン58の中央区分が、バルーン58の端部と同じ割合で膨張しないように熱処理されてもよい。更に他の実施形態では、バルーン58の一部分は、膨張口の場所によって異なる割合で膨張してもよい。
【0040】
様々な実施形態によれば、カテーテルシャフト52(外側シャフト部材54及び内側シャフト部材56)は、任意の適切な材料で形成されてよい。幾つかの実施形態では、曲げられたとき(スタイレット22及び/又はユーザによって曲げられたときなど)にシャフト52が捩れないように選択された材料でシャフト52を形成することが有利なことがある。そのような材料の1つは、例えばPebaxであるが、代替の実施形態では他のポリマーを使用してもよい。
【0041】
外側シャフト部材54、内側シャフト部材56、又はこれらの両方は、任意の適切な色を有してもよく、1つ又は複数のシャフトマーキングを有してもよい。シャフトの色及びマーキングは、有色材料を使用することによってシャフト52に組み込まれてもよく、又は塗料若しくは別の着色剤を塗布することによって追加されてもよい。一実施形態では、シャフト54は、黒や紺色などの暗色を有してもよく、1つ又は複数の明るい色のマーキングが、暗色のシャフト54の上に塗布されてもよい。様々な実施形態では、マーキング(図示せず)は、直接可視マーキング(肉眼又は内視鏡で直接見える)、X線撮影マーキング(術中蛍光透視法などのX線撮影装置で見ることができる)、又はこれらの両方を含んでもよい。例えば、一実施形態では、2つのX線撮影マーキングが、内側シャフト部材56内の、バルーン58の2つの作用端の場所に配置されてもよく、2つの直接可視化マーキングが、外側シャフト54上の、近位取り付け点の約1cm及び2cm近位に位置決めされてもよい。必要に応じて、追加の直接可視化マーキングが含まれてもよい。直接可視化マーキングは、医者が生体構造に対するバルーン58の位置を見積もることができるようにするために、気管支鏡や他の内視鏡によって観察されることができ、X線撮影マーキングは、気道狭窄に対してバルーン58の作用端の位置を確認するために蛍光透視装置によって観察されることができる。様々な実施形態では、任意の適切な組み合わせ、サイズ及び色のマーキングを使用することができる。バルーンカテーテル50に使用又は改良することができるシャフトカラー及びシャフトマーキングの一例は、カリフォルニア州メンロパークのAcclarent,Inc.によって製造されたRelieva Solo Pro(商標)Sinus Balloon Catheterである。
【0042】
次に図8A〜図8Cを参照すると、一実施形態において、カテーテルシャフト52の外側シャフト部材54は、第1の直径を有する遠位部分70(図8C)と、それより大きい第2の直径を有する近位部分72(図8B)とを含み得る。一実施形態では、この直径の差は、遠位より近位の方が大きい壁厚を有する「バンプチュービング(bump tubing)」を使用することによって達成され得る。あるいは、この差は、押し出し形成や他の技術によって外側シャフト部材54に形成されてもよい。一実施形態では、例えば、両方の内径が約1.6mmの場合に、近位部分72の外径は約2.1mmでよく、遠位部分70の外径は約1.8mmでよい。幾つかの実施形態では、バルーン58への取り付け部分のすぐ近くの外側シャフト部材54の最大径は、約1.5〜2.5mmでよく、一実施形態では約2mm(又は約1.8mm)でよい。バルーン58近くの外側シャフト54の外径をこの範囲内に制限することによって、ユーザは、気道内の内視鏡を使用してバルーン58を観察することができるか又は少なくとも観察しやすくなる。より大きな外径のシャフトは、気道内にカテーテルシャフト52と内視鏡24を収めるのに十分な空間がないので、そのような可視化を困難に又は不可能にする。外側部材の内径は、約1.3mm〜1.8mm、より好ましくは1.5mm〜1.65mm、及び一実施形態では1.6mm〜1.62mmであり得る。
【0043】
次に図9A〜図9Cを参照すると、カテーテルシャフト52の内側シャフト部材56は、第1の直径を有する遠位部分74(図9C)と、それより大きい第2の直径を有する近位部分76(図9B)とを含んでもよい。一実施形態では、例えば、近位部分76は、約1.5mm±0.025mmの外径を有してもよく、遠位部分74は、約1.2mm±0.025mmの外径を有してもよい。幾つかの実施形態では、内側シャフト部材56の内径及び外径は、それぞれ約1.3mm及び1.8mm以下、より好ましくはそれぞれ1.02mm及び1.3mm以下、一実施形態ではそれぞれ約0.97mm及び1.22mm以下であり得る。この場合も、一実施形態ではバンプチュービングが使用されてよい。
【0044】
図6A及び図6Bを再び参照すると、幾つかの実施形態では、内側シャフト部材56は、バルーン58の遠位端を越えて遠位方向に約1mm〜約10mm、より好ましくは約5mm±1mm延在してもよい。内側シャフト部材56のこの遠位端は、スタイレット22の突出遠位端と共に、非外傷性先端として機能してもよく、この突出遠位端は、内側シャフト部材から更に延在してもよい。幾つかの実施形態では、より大きい直径(例えば、10mm以上)のバルーンが使用される場合は、内側シャフト部材56のその遠位端の方への僅かな区分が、より大きい外径を有してもよく、それにより、より大きい直径のバルーンを内側シャフト部材56に遠位取り付け点64に適切に接合することができる。これは、内側シャフト部材56をその長さの残りの部分に沿って小さく維持する働きをし(即ち、断面の高さが小さいと気道を通して前進させやすい)、更に同時により大きなバルーンを内側シャフト部材56に接合することを可能にする。一実施形態では、接合前に内側シャフト部材56の遠位取り付け点64に材料を追加することによって、外径をより大きくしてもよい。別の実施形態では、より大きい直径で構成された内側シャフト部材56が遠位取り付け点64に組み込まれたバンプチュービングが使用されてもよい。
【0045】
内側シャフト部材56と外側シャフト部材54の内径と外径は、バルーンカテーテル50に幾つかの利点を提供することができる。例えば、シャフト52の内径をできるだけ大きく維持しながら近位のより大きい直径から遠位のより小さい直径に移行することは、膨張後のバルーン58の収縮時間を最小にするのに役立つ。これにより、拡張後にバルーン58の素早い除去及び/又は調整が可能になる。この素早い収縮は、バルーン58及びカテーテル50の遠位端に向かって比較的小さい直径のカテーテルシャフト52も提供しながら達成することができる。これにより、カテーテル50を気道内の所望の治療位置内に前進させ、また気道内に位置決めされた気管支鏡によってバルーン58の近位端を観察することが容易になる。気道狭窄を拡張するのに十分に大きい直径を有するバルーン58と組み合わされた、断面の高さが小さいカテーテルシャフト52によって、医者は、極めて異なる生体構造を有する小児患者と成人患者の両方を治療することができる。
【0046】
次に図7A及び図7Bを参照すると、バルーンカテーテル80の別の実施形態は、内側シャフト部材86と外側シャフト部材84とを有するカテーテルシャフト82と、シャフト82とその遠位端又はその近くで結合されたバルーン88と、シャフト82とその近位端又はその近くで結合されたハブ90とを含んでもよい。バルーンカテーテル80のこの実施形態は、図6A及び図6Bのバルーンカテーテル50と類似しているが、異なるサイズのバルーン88を有する。この実施形態では、バルーン88は、完全に膨張したときに長さが約22〜26mmであり、直径が約4.5〜5.5mmである。前述したように、様々な実施形態では、任意の数字の異なるサイズのバルーンを提供することができる。医者には、異なるサイズの気道を有する小児患者又は成人患者に対応するためにバルーンサイズの選択肢が設けられてもよい。図7A及び図7Bに示すような実施形態では、先に述べたバルーンカテーテル50よりも小さい直径のバルーン88では、内側シャフト部材86は、遠位取り付け点の位置で直径が大きくならなくてもよい(図7B)。より大きい直径のバルーン58に対応する前述の大きい直径は、より小さい直径のバルーン88では不要であり得る。一般に、前述のどの特徴も、この実施形態のバルーンカテーテル80に含まれてよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、カテーテルシャフト84の遠位端は、スタイレット22が遠位端から延在するのを防ぐために封止されてもよい。バルーンカテーテル80は、気管支鏡24、内視鏡、又は狭窄領域を直接可視化するための他のスコープ装置と適合する。更に、バルーンカテーテル80は、照明ガイドワイヤと一体化することができる(例えば、Acclarent,Inc.によるRelieva Luma(商標)Sinus Illumination Guidewire)。照明ガイドワイヤ装置は、光源に連結され、照明する照明部分を遠位端に備える。照明ガイドワイヤ装置の照明は、患者の気道内に追加の光を提供して、狭窄領域におけるバルーンカテーテルの配置を可視化することができる。
【0048】
図3を参照すると、一実施形態では、気道拡張バルーンカテーテルシステム100は、バルーンカテーテル110、スタイレット120、スコープ124、及びスコープ124をバルーンカテーテル110に結合するための結合部材138を含んでもよい。バルーンカテーテル110は、シャフト114とルアー136を含んでもよく、ルアー136は、スタイレット120のルアーロック部材134とロックする。一実施形態では、結合部材138は、スコープ124をカテーテル110と取り外し可能に結合することを可能にすることができる。一実施形態では、スコープ124は、結合部材138内に摩擦嵌めされてもよい。幾つかの実施形態では、結合部材138は、取っ手を含んでもよい。図3に示すように、スコープ124は、バルーンカテーテル110のどちら側で結合部材138内に固定されてもよい。スコープ124をバルーンカテーテル110に固定すると、インフレータブルバルーンの拡張中の滑りを防ぐのに役立つ。また、スコープ124をバルーンカテーテル110に固定することにより、医者が片手で両方の装置を保持することができる。別の実施形態では、結合部材138をバルーンカテーテル110のルアー136に取り付けることができる。
【0049】
次に図4及び図5を参照すると、声門下狭窄の場合においてなど、気道A内の狭窄領域246を拡張するための方法が示される。一実施形態において、この方法は、口を介して患者の気道内に気道拡張システム210を導入することを含む。上で詳細に述べたように、気道拡張システム210は、スタイレット222の上に配置されたインフレータブルバルーン218を備えたバルーンカテーテル212を含んでもよく、スタイレット222の遠位先端232は、カテーテル212から突出し非外傷性先端の役割をする。必要に応じて、幾つかの実施形態では、このシステムは、気管支鏡(図示せず)や他のスコープ装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、この方法は、ユーザ又はシステム210の製造者のいずれかによって、気道拡張システム210を曲げることを伴ってもよい。場合によって、スタイレット222は、曲げられ、次にバルーンカテーテル212に挿入されてもよく、他の場合には、スタイレット222がカテーテル212内に既にある状態でスタイレット222とバルーンカテーテル212が一緒に曲げられてもよい。したがって、場合によって、スタイレット222は、展性でもよく展性でなくてもよい。スタイレット222の支持とシステム210全体における屈曲部は、医者が、システム210を患者の気道を通して導いて、バルーン218を狭窄領域246の少なくとも一部分内に位置決めするの役立つことができる。図4に示すように、カテーテル212のインフレータブルバルーン218は、バルーンカテーテル212を前進させ配置している間は非拡張形状である。
【0050】
図5に示すように、バルーン218が、気道Aの狭窄領域246内に位置決めされると、インフレータブルバルーン218は、狭窄領域246を拡張させるために膨張する。幾つかの実施形態では、スタイレットは、バルーンカテーテルが患者の狭い気道Aで位置決めされた後でスタイレットの屈曲又は湾曲領域が真っ直ぐになるように形成されてもよい。他の実施形態では、図5と同じように、システム210の屈曲部は、気道A内に位置決めされても保持されることができる。
【0051】
一実施形態において、スタイレット遠位先端232は、照明機能を含んでもよい。そのような実施形態では、本方法は、スタイレット遠位先端232を照明することと、気道の内側から(スコープを使用して)及び/又は徹照法によって患者の外側から照明を観察することとを更に含んでもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、スタイレット222は、バルーン218の膨張中にバルーンカテーテル212内に留まる。膨張中にスタイレット222をカテーテル212内に維持することによって、カテーテル212の柱強度が高まり、狭窄領域246内のバルーン218の位置を維持するのに役立ち、それによりスイカの種現象を避けることができる。代替の実施形態では、この方法は、膨張前にバルーンカテーテル212からスタイレット222を取り出すことを含んでもよい。例えば、スタイレット222は、バルーンカテーテル212が患者の気道A内に適切に位置決めされた後でバルーンカテーテル212から取り出されてもよい。別の実施形態では、狭窄を拡張した後でバルーンカテーテル212を患者から除去する前にスタイレット222を取り出すことができる。
【0053】
この方法は、また、内視鏡又は気管支鏡(図示せず)を患者の気道Aに沿って前進させ、内視鏡の遠位端を狭窄領域246の近くに位置決めして気道拡張システム210の配置を可視化することを含んでもよい。内視鏡は、バルーン拡張中の移動及び滑りの防止を助けるために、一実施形態では結合部材138を使用してバルーンカテーテル212に取り付けられてもよい。拡張が実行された後で、内視鏡を柄から取り外し、患者から除去することができる。あるいは、内視鏡は、カテーテル212と別でもよい。代替の実施形態では、内視鏡は、バルーンカテーテル212の側に位置決めされてもよく、又は内視鏡は、バルーンカテーテル212内又はそれを通して位置決めされてもよい。別の実施形態では、声門下狭窄を拡張する方法は、患者の気道A内に気管支鏡を挿入し、次いでバルーンカテーテル212を気管支鏡に通すことを含む。
【0054】
一実施形態において、この方法は、気道Aの狭窄領域246を拡張するためにインフレータブルバルーン218を1回より多く膨張させることを含んでもよい。図5は、狭窄領域を拡張するための拡張形態のインフレータブルバルーンを示す。医者は、狭窄を拡張する度にインフレータブルバルーン218を所望の圧力まで膨張させる。狭窄領域246の適切な拡張は、領域を気管支鏡/内視鏡によって可視化することにより確認される。
【0055】
前述のような気道拡張システム210及び方法は、医者が患者の気道A内の狭窄領域246を拡張する操作性を向上させる。幾つかの実施形態では、医者は、片手を使ってシステム210を操作することができ、したがって、他方の手は自由のままで気管支鏡や他の装置を保持することができる。有利な長さ、シャフト及びバルーン径、並びに全体構成を有するバルーンカテーテル212と、気道の案内を容易にする屈曲部を有するスタイレット222との組み合わせが、気道拡張処置を容易にし、成功する頻度を高める。更に、バルーンカテーテル212とスタイレット222の非外傷性設計は、送達及び除去の際の患者の気道Aと声帯の損傷を防ぐのに役立つ。また、この設計は、狭窄領域246の拡張中のバルーンカテーテル212の移動及び滑りを防ぐのに役立ち、より拡張を制御されたものにする。
【0056】
本明細書に記載した方法及び装置は、特定の実施例及び実施形態について言及しているが、これらの実施例及び実施形態に様々な追加、削除、変更及び修正が行われてもよく、並びに/又は開示された趣旨及び範囲から逸脱することなく等価物が代用されてもよい。例えば、1つの実施形態又は実施例の任意の要素又は属性は、そうすることによってその実施形態又は実施例がその目的とする用途にそぐわないものとならないかぎりにおいて、別の実施形態又は実施例に取り入れるか、あるいは別の実施形態又は実施例と共に使用することが可能である。更に、本開示の目的、趣旨及び範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、処理、処理工程を適応させるために、多くの修正が行われてもよい。こうした修正はすべて、本明細書に添付される「特許請求の範囲」に含まれるものとする。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムであって、
近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って配置され、前記膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、
スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及び前記スタイレットが前記スタイレット内腔内に収容されたときに前記スタイレットが前記カテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットと
を含み、
前記スタイレット近位部分は前記スタイレット遠位部分より柔軟ではなく、前記スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつ前記スタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる、システム。
(2) 前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より柔軟である、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記カテーテルシャフトは、
前記スタイレット内腔を形成する内側部材と、
前記内側部材の一部分の上に配置された外側部材と
を有し、
前記内側部材は、前記外側部材の遠位端を越えて延在し、前記バルーンの近位端は前記外側部材に取り付けられ、前記バルーンの遠位端は前記内側部材に取り付けられ、前記内側部材と前記外側部材との間の空間は、前記カテーテルシャフトの前記膨張内腔を形成する、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に有し、前記ハブは、
前記膨張内腔と連通している膨張口と、
前記スタイレット内腔と連通しているスタイレット口と
を有する、実施態様4に記載のシステム。
(6) 前記内側部材が、前記内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含み、前記バルーンが、前記遠位区分で前記内側部材に取り付けられる、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記バルーンが、少なくとも12mmの外径を有する、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記内側部材の内径が、約1.2mm以下であり、前記内側部材の外径が、約1.8mm以下である、実施態様4に記載のシステム。
(9) 前記カテーテルシャフトの前記全長が、約50cm以下である、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記シャフトに対する前記バルーンの近位取り付け部分のすぐ近くの前記カテーテルシャフトの外径が、約2mm以下である、実施態様1に記載のシステム。
【0058】
(11) 完全に膨張したときの前記バルーンの外径が、少なくとも3mmであり、前記バルーンの作業長が、少なくとも10mmである、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記バルーンが、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記バルーンが、
約10mm〜約60mmの作業長と、
約3mm〜約24mmの外径と、
前記作業長の近位端から前記カテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、
前記作業長の遠位端から前記カテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分と
を含む、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記バルーンが、滑りにくい外側面を有する、実施態様1に記載のシステム。
(15) 前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる、実施態様1に記載のシステム。
(16) 前記スタイレットが、
前記スタイレットの前記近位端から前記遠位端まで先細りになるコアワイヤと、
前記コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルと
を含む、実施態様1に記載のシステム。
(17) 前記スタイレットが、展性である、実施態様1に記載のシステム。
(18) 前記スタイレットの前記柔軟部分が、前記スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含み、前記スタイレットが前記バルーンカテーテルの中に配置されたときに、前記屈曲部により前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が屈曲する、実施態様1に記載のシステム。
(19) 前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトと結合されたハブ内で前記スタイレットをロックするために、前記スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それにより前記カテーテルシャフトを回転させると前記スタイレットが回転する、実施態様1に記載のシステム。
(20) 前記スタイレットが、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含み、前記スタイレットの近位端が、光源と取り外し可能に結合可能である、実施態様1に記載のシステム。
【0059】
(21) 使用中に前記バルーンカテーテルを観察するための内視鏡を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(22) 前記内視鏡が、前記バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能である、実施態様21に記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムであって、
近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って配置され、前記膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、
スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及び前記スタイレットが前記スタイレット内腔内に収容されたときに前記スタイレットが前記カテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットと
を含み、
前記スタイレット近位部分は前記スタイレット遠位部分より柔軟ではなく、前記スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつ前記スタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる、システム。
【請求項2】
前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より柔軟である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトは、
前記スタイレット内腔を形成する内側部材と、
前記内側部材の一部分の上に配置された外側部材と
を有し、
前記内側部材は、前記外側部材の遠位端を越えて延在し、前記バルーンの近位端は前記外側部材に取り付けられ、前記バルーンの遠位端は前記内側部材に取り付けられ、前記内側部材と前記外側部材との間の空間は、前記カテーテルシャフトの前記膨張内腔を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に有し、前記ハブは、
前記膨張内腔と連通している膨張口と、
前記スタイレット内腔と連通しているスタイレット口と
を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記内側部材が、前記内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含み、前記バルーンが、前記遠位区分で前記内側部材に取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記バルーンが、少なくとも12mmの外径を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記内側部材の内径が、約1.2mm以下であり、前記内側部材の外径が、約1.8mm以下である、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記カテーテルシャフトの前記全長が、約50cm以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シャフトに対する前記バルーンの近位取り付け部分のすぐ近くの前記カテーテルシャフトの外径が、約2mm以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
完全に膨張したときの前記バルーンの外径が、少なくとも3mmであり、前記バルーンの作業長が、少なくとも10mmである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バルーンが、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記バルーンが、
約10mm〜約60mmの作業長と、
約3mm〜約24mmの外径と、
前記作業長の近位端から前記カテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、
前記作業長の遠位端から前記カテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分と
を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記バルーンが、滑りにくい外側面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記スタイレットが、
前記スタイレットの前記近位端から前記遠位端まで先細りになるコアワイヤと、
前記コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記スタイレットが、展性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記スタイレットの前記柔軟部分が、前記スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含み、前記スタイレットが前記バルーンカテーテルの中に配置されたときに、前記屈曲部により前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が屈曲する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトと結合されたハブ内で前記スタイレットをロックするために、前記スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それにより前記カテーテルシャフトを回転させると前記スタイレットが回転する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記スタイレットが、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含み、前記スタイレットの近位端が、光源と取り外し可能に結合可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
使用中に前記バルーンカテーテルを観察するための内視鏡を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記内視鏡が、前記バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能である、請求項21に記載のシステム。
【請求項1】
患者の気道内の狭窄領域を拡張するためのシステムであって、
近位部分、遠位部分、スタイレット内腔、膨張内腔、及び70cm未満の全長を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って配置され、前記膨張内腔と流体連通するインフレータブルバルーンと、
スタイレットであって、近位部分、遠位部分、及び前記スタイレットが前記スタイレット内腔内に収容されたときに前記スタイレットが前記カテーテルシャフトの遠位端を越えて延在できるようにするのに十分な長さを有する、スタイレットと
を含み、
前記スタイレット近位部分は前記スタイレット遠位部分より柔軟ではなく、前記スタイレット遠位部分は屈曲可能であり、かつ前記スタイレット内腔内に配置されたときに屈曲形状を保持することができる、システム。
【請求項2】
前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より柔軟である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カテーテルシャフト遠位部分は、前記カテーテルシャフト近位部分より小さい外径を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトは、
前記スタイレット内腔を形成する内側部材と、
前記内側部材の一部分の上に配置された外側部材と
を有し、
前記内側部材は、前記外側部材の遠位端を越えて延在し、前記バルーンの近位端は前記外側部材に取り付けられ、前記バルーンの遠位端は前記内側部材に取り付けられ、前記内側部材と前記外側部材との間の空間は、前記カテーテルシャフトの前記膨張内腔を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側部材の近位端に取り付けられたハブを更に有し、前記ハブは、
前記膨張内腔と連通している膨張口と、
前記スタイレット内腔と連通しているスタイレット口と
を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記内側部材が、前記内側部材の他の部分より大きい外径を有する遠位区分を含み、前記バルーンが、前記遠位区分で前記内側部材に取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記バルーンが、少なくとも12mmの外径を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記内側部材の内径が、約1.2mm以下であり、前記内側部材の外径が、約1.8mm以下である、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記カテーテルシャフトの前記全長が、約50cm以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シャフトに対する前記バルーンの近位取り付け部分のすぐ近くの前記カテーテルシャフトの外径が、約2mm以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
完全に膨張したときの前記バルーンの外径が、少なくとも3mmであり、前記バルーンの作業長が、少なくとも10mmである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バルーンが、約12気圧までの膨張圧力に耐えることができる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記バルーンが、
約10mm〜約60mmの作業長と、
約3mm〜約24mmの外径と、
前記作業長の近位端から前記カテーテルシャフトとの近位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、近位テーパ部分と、
前記作業長の遠位端から前記カテーテルシャフトとの遠位取り付け点まで延在し、約1mm〜約6mmの長さを有する、遠位テーパ部分と
を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記バルーンが、滑りにくい外側面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトの前記遠位端から約1mm〜約5cmの長さで延在することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記スタイレットが、
前記スタイレットの前記近位端から前記遠位端まで先細りになるコアワイヤと、
前記コアワイヤの少なくとも遠位部分の上に配置されたコイルと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記スタイレットが、展性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記スタイレットの前記柔軟部分が、前記スタイレットの長手方向軸に対して約20度までの屈曲部を含み、前記スタイレットが前記バルーンカテーテルの中に配置されたときに、前記屈曲部により前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が屈曲する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記スタイレットが、前記カテーテルシャフトと結合されたハブ内で前記スタイレットをロックするために、前記スタイレットの近位端と結合されたロック部材を含み、それにより前記カテーテルシャフトを回転させると前記スタイレットが回転する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記スタイレットが、その遠位端又はその遠位端の近くに光放射部分を含み、前記スタイレットの近位端が、光源と取り外し可能に結合可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
使用中に前記バルーンカテーテルを観察するための内視鏡を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記内視鏡が、前記バルーンカテーテルと取り外し可能に結合可能である、請求項21に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2012−513832(P2012−513832A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543635(P2011−543635)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069170
【国際公開番号】WO2010/078148
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506353574)アクラレント インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069170
【国際公開番号】WO2010/078148
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506353574)アクラレント インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】
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