説明

気道疾患に対する組み合わせワクチン

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、および/またはRSVワクチンが、免疫原性効力を保持しながら、組み合わせワクチンとして投与される。この組み合わせは、これらの2つの下気道感染に対する免疫化を単純化する。肺炎球菌ワクチンは、理想的には、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。本発明はまた、インフルエンザウイルス免疫原と肺炎球菌免疫原とを混合する工程を含む、免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年9月10日に出願された米国仮出願61/241,264、および2009年9月11日に出願された米国仮出願61/241,485の利益を主張し、上記米国仮出願の両方の全容は、本明細書によって、全ての目的について、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、下気道および/または上気道疾患に対する免疫化の分野にある。
【背景技術】
【0003】
(背景分野)
異なる呼吸器ワクチンを被験体に同時に共投与する、例えば、インフルエンザワクチンと同時に肺炎球菌ワクチンを投与することは知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1〜3(参考文献1〜4))。2つ以上のワクチンが混合物として投与される組み合わせワクチンもまた知られており、例えば、特許文献2(参考文献5)は、肺炎球菌糖類(結合体型または非結合体型)をRSウイルス(RSV)抗原と組み合わせ、さらに、インフルエンザウイルス抗原などのいくつかの他の抗原を加え得ることも推測した。特許文献3(参考文献6)は、RSVの融合(F)タンパク質、付着(G)タンパク質、およびマトリックス(M)タンパク質のインフルエンザワクチンとの組み合わせを開示している。非特許文献4(参考文献7)は、プラスミドを投与することに基づいた、インフルエンザAウイルスおよびRSVに対する組み合わせワクチンを開示している。
【0004】
下気道および/または上気道疾患に対する免疫化を単純化することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0208523号明細書
【特許文献2】国際公開第00/62801号
【特許文献3】国際公開第00/35481号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hilleman et al., Rev Infect Dis. (1981) 3 Suppl:S31−42.
【非特許文献2】McCue, J Fam Pract. (1981) 13(2):175−7.
【非特許文献3】Honkanen, Arch Intern Med. (1996) 156(2):205−8.
【非特許文献4】Talaat et al., Vaccine (2001) 20:538−44.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
参考文献1〜4(および様々な他の文献)は、別々のインフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンを共投与しているが、本発明者らは、そのようなワクチンを、免疫原性効力を保持しながら、組み合わせワクチンとして投与することができることを見出した。参考文献5はRSV抗原を含んだが、本発明者らは、必ずしもRSV成分を含まずに、インフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンの組み合わせを提供する。さらに、参考文献5とは対照的に、本発明者らは、肺炎球菌糖類抗原だけに頼るのではなく、肺炎球菌タンパク質抗原を含むことを選ぶ。また、肺炎球菌免疫原(タンパク質成分および/または糖類成分を含む)の含有によって、参考文献6および7のワクチンを向上させることができる。これらの知見は、これらの異なる下気道感染に対する免疫化が単純化され、かつ向上され得ることを意味する。
【0008】
インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンとを組み合わせることはありふれたことではない。現在の肺炎球菌ワクチン(例えば、PREVNARTM製品およびSYNFLORIXTM製品)は、固定化された組成を有し、1年のうちのいつでも投与されるが、インフルエンザワクチンの組成はシーズンごとに異なり、そのワクチンは冬の初めに投与される。したがって、その2つのワクチンは直感的には両立しないものであるが、本発明者らはその組み合わせが実行可能であることを示している。
【0009】
このように、本発明は、インフルエンザウイルス免疫原および肺炎球菌免疫原を含む免疫原性組成物を提供する。これらの組成物は、インフルエンザウイルスおよび肺炎球菌の両方に対する免疫化に適している。肺炎球菌免疫原は、典型的には、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。組成物は、RSV免疫原を含んでもよいが、いくつかの実施形態において、組成物はRSV免疫原を含まない。
【0010】
本発明はまた、(i)少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む肺炎球菌免疫原、ならびに(ii)インフルエンザウイルス免疫原および/またはRSV免疫原を含む免疫原性組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物はRSV免疫原を含まず、いくつかの実施形態においては、組成物はインフルエンザウイルス免疫原を含まないが、いくつかの実施形態においては、RSV免疫原およびインフルエンザウイルス免疫原の両方を含む。
【0011】
本発明はまた、インフルエンザウイルス免疫原と肺炎球菌免疫原とを混合する工程を含む、免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供する。肺炎球菌免疫原は、典型的には、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。免疫原性組成物は、RSV免疫原を含まない組成物であり得る。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む肺炎球菌免疫原を、RSV免疫原およびインフルエンザウイルス免疫原の1つまたは両方と混合する工程を含む、免疫原性組成物を調製するためのプロセスを提供する。組成物が、肺炎球菌免疫原、RSV免疫原、およびインフルエンザウイルス免疫原の3つ全てを含む場合、これらの成分を任意の順序で混合してもよい。
【0013】
本発明のこれらのプロセスは、0.5mlの単位用量容積を有する組成物を提供することができる。
【0014】
本発明の組成物はまた、追加としてB群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae;GBS)に対して免疫化するのにも適するようにすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、組成物はまた、GBS免疫原を含み、例えば、(RSV免疫原を含むか、または含まない)インフルエンザ免疫原、肺炎球菌免疫原、およびGBS免疫原の組み合わせである。本発明のプロセスは、GBS免疫原を、(i)インフルエンザウイルス免疫原、(ii)肺炎球菌免疫原、(iii)RSV免疫原、ならびに/または(iv)インフルエンザウイルス免疫原、肺炎球菌免疫原、およびRSV免疫原の任意の1つ、2つもしくは3つの混合物と混合する工程を含んでもよい。
【0015】
(インフルエンザウイルス免疫原)
インフルエンザウイルス免疫原は、様々な形をとることができる。インフルエンザワクチンは、一般的に、生のウイルスまたは不活性化ウイルスのいずれかに基づいており、本発明は、好ましくは、インフルエンザ免疫原として不活性化ウイルスを用いる。不活性化ウイルス免疫原は、ビリオン全体、「スプリット」ビリオンに基づいてもよいし、精製された表面抗原(赤血球凝集素を含み、通常、ノイラミニダーゼも含む)に基づいてもよい。本発明と共に用いることができる別の型のインフルエンザウイルス免疫原は、ビロソームである。本発明はまた、インフルエンザウイルス免疫原として組換え赤血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ糖タンパク質(複数可)を用いてもよい。さらに有用な型のインフルエンザウイルス免疫原は、M2マトリックスタンパク質である。生の弱毒化ワクチンは、本発明と共に用いることができるが、典型的には、生の弱毒化RSVワクチンと組み合わせてのみ、用いられる。
【0016】
不活性化ウイルス免疫原の調製について、ウイルスを不活性化するための化学的手段には、有効量の以下の作用物質の1つまたは複数での処理が挙げられる:界面活性剤、ホルムアルデヒド、β−プロピオラクトン、メチレンブルー、ソラレン、カルボキシフラーレン(C60)、バイナリーエチルアミン、アセチルエチレンイミン、またはそれらの組み合わせ。ウイルス不活性化の非化学的方法は、当技術分野において知られており、例えば、UV光またはγ線照射などがある。
【0017】
ビリオンは、様々な方法によってウイルス含有液から収集することができる。例えば、精製プロセスは、ビリオンを破壊するための界面活性剤を含む直線的スクロース勾配溶液を用いるゾーン遠心分離法を含み得る。その後、抗原は、任意の希釈後、ダイアフィルトレーションによって精製することができる。
【0018】
スプリットビリオンは、精製ビリオンを界面活性剤で処理して、サブビリオン調製物を生じることによって得られる(例えば、「Tween−エーテル」スプリッティングプロセス)。インフルエンザウイルスをスプリッティングする方法は、当技術分野においてよく知られており、例えば、参考文献8〜13などを参照されたい。ウイルスのスプリッティングは、典型的には、ウイルス全体を、感染性か非感染性かにかかわらず、破壊濃度のスプリッティング剤で破壊または断片化することによって行われる。破壊によってウイルスタンパク質の完全または部分的可溶化が生じ、ウイルスの完全性が変化する。好ましいスプリッティング剤は、非イオン性およびイオン性(例えば、陽イオン性)サーファクタント、例えば、エチルエーテル、デオキシコレート、リン酸トリ−N−ブチル、Tergitol NP9、アルキルグリコシド、アルキルチオグリコシド、アシル糖、スルホベタイン、ベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、N,N−ジアルキル−グルカミド、Hecameg、アルキルフェノキシ−ポリエトキシエタノール、第四級アンモニウム化合物、サルコシル、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム、例えば、Cetavlon)、リン酸トリ−N−ブチル、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、リポフェクチン、リポフェクタミン、およびDOTMA、オクチルフェノキシポリオキシエタノールまたはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100またはTriton N101などのTritonサーファクタント)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Tweenサーファクタント、例えば、ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエステルなどである。1つの有用なスプリッティング手順は、デオキシコール酸ナトリウムおよびホルムアルデヒドの連続効果を用い、スプリッティングは、最初のビリオン精製中に(例えば、スクロース密度勾配溶液中で)起こり得る。したがって、スプリッティングプロセスは、(非ビリオン材料を除去するための)ビリオン含有材料の清澄、(例えば、CaHPO吸着などの吸着方法を用いる)収集されたビリオンの濃縮、ビリオン全体の非ビリオン材料からの分離、(例えば、デオキシコール酸ナトリウムなどのスプリッティング剤を含むスクロース勾配を用いる)密度勾配遠心分離工程におけるスプリッティング剤を用いるビリオンのスプリッティング、およびその後の望ましくない材料を除去するための濾過(例えば、限外濾過)を含むことができる。スプリットビリオンは、有用には、リン酸ナトリウム緩衝等張塩化ナトリウム溶液中に再懸濁することができる。BEGRIVACTM製品、FLUARIXTM製品、FLUZONETM製品、およびFLUSHIELDTM製品は、スプリットワクチンである。
【0019】
精製された表面抗原は、インフルエンザ表面抗原の赤血球凝集素を含み、典型的にはノイラミニダーゼも含む。それらは、これらの糖タンパク質をインフルエンザビリオンから精製することによって得られる。これらのタンパク質を精製された形で調製するためのプロセスは当技術分野においてよく知られている。FLUVIRINTM製品、AGRIPPALTM製品、およびINFLUVACTM製品は、サブユニットワクチンである。
【0020】
別の有用なインフルエンザ抗原は、INFLEXAL VTM製品およびINVAVACTM製品中にあるような、ビロソーム[14](すなわち、核酸を含まないウイルス様リポソーム粒子)である。ビロソームは、インフルエンザウイルスの界面活性剤での可溶化、続いて、ヌクレオカプシドの除去、そしてウイルス糖タンパク質を含む膜の再構成によって調製することができる。ビロソームを調製するための代替方法は、ウイルス膜糖タンパク質を過剰量のリン脂質に加えて、膜中にウイルスタンパク質を有するリポソームを生成することを含む。
【0021】
インフルエンザビリオン由来の材料からインフルエンザワクチンを作製することの代わりの方法として、異種性組換え宿主内にタンパク質を発現させることも知られている。例えば、HAは、バキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞系に発現することができ[15、16]、ノイラミニダーゼも同様にできる[17]。精製された組換え赤血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ糖タンパク質(複数可)は、本発明で免疫原として用いることができる。これらの組換え抗原は完全長であってもよいし、例えば、HA外部ドメインを含む、完全長タンパク質由来のエピトープを含んでもよい。
【0022】
さらに有用な型のインフルエンザウイルス免疫原は、M2マトリックスタンパク質である。インフルエンザに対して免疫化するためにM2外部ドメイン(M2e;20〜25アミノ酸長)を用いることは知られている。M2eは、表面にM2抗原を提示する免疫原性粒子を供給するためにB型肝炎コア抗原(HBc)などのタンパク質と融合させることができる。GCN4などのタンパク質への融合によってまた、オリゴマーM2eを供給することもできる。そのような組換えM2e融合タンパク質は本発明と共に用いることができる。
【0023】
インフルエンザウイルス免疫原が赤血球凝集素を含む場合、1つより多い赤血球凝集素が含まれてもよい。循環インフルエンザウイルスの赤血球凝集素は、経時的に変化し、それゆえ、ワクチン免疫原は、シーズンごとに最新に保たれる。したがって、インフルエンザウイルス免疫原は、多価であってもよく、例えば、少なくとも1つのインフルエンザAウイルス赤血球凝集素および少なくとも1つのインフルエンザBウイルス赤血球凝集素を含むか、少なくとも2つの異なるインフルエンザAウイルス赤血球凝集素を含むか、少なくとも2つの異なるインフルエンザBウイルス赤血球凝集素を含むなどである。例えば、組成物は、2つのインフルエンザA株(H1N1およびH3N2)および1つのインフルエンザB株由来の赤血球凝集素を含んでもよい。異なる亜型(例えば、H1およびH3)由来の2つのインフルエンザAウイルス赤血球凝集素が含まれる場合、ノイラミニダーゼが含まれるならば、理想的には、2つの異なるノイラミニダーゼ亜型もまた含まれる(例えば、N1およびN2)。しかし、いくつかの実施形態において、異なる赤血球凝集素亜型であるが、同一のノイラミニダーゼ亜型が含まれる(例えば、H1N1およびH5N1の組み合わせ)。
【0024】
他の実施形態において、赤血球凝集素含有インフルエンザウイルス免疫原は、一価、すなわち、1つだけのインフルエンザウイルス株由来の赤血球凝集素を含んでもよい。そのような一価免疫原は、典型的には、インフルエンザAウイルス由来、例えば、亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のいずれか1つ由来である。一価免疫原は、H2、H5、H7、またはH9亜型インフルエンザAウイルス株などのワクチンレシピエントおよび一般的なヒト集団が免疫学的にナイーブである株を含む、パンデミック株について特に有用である。
【0025】
より一般的には、インフルエンザウイルス免疫原は、以下由来の赤血球凝集素を含んでもよい:(i)赤血球凝集素亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、および/もしくはH16の1つもしくは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)のインフルエンザAウイルス株;ならびに/または(ii)1つもしくは複数(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)のインフルエンザBウイルス株。1つより多いインフルエンザBウイルス赤血球凝集素が含まれる場合、B/Victoria/2/87様株およびB/Yamagata/16/88様株のそれぞれ由来の赤血球凝集素を含むことが有用である。これらの2つの型の株は、通常、抗原性で区別されるが、アミノ酸配列の違いもまた、その2つの系統を区別するために記載されており、例えば、B/Yamagata/16/88様株は、アミノ酸残基164(「Lee40」HA配列に対して番号付けられた)での欠失を有するHAタンパク質を有することが(常にではないが)多い[18]。
【0026】
本発明と共に用いるのに適したインフルエンザウイルス免疫原の特定の実施形態は、以下由来の赤血球凝集素を含む免疫原を含むが、それらに限定されない:(i)H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、およびインフルエンザBウイルスの三価の組み合わせ;(ii)一価のH5N1インフルエンザAウイルス;(iii)H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、B/Victoria/2/87様インフルエンザBウイルス、およびB/Yamagata/16/88様インフルエンザBウイルスの四価の組み合わせ;(iv)H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、H5N1インフルエンザAウイルス、およびインフルエンザBウイルスの四価の組み合わせ。
【0027】
赤血球凝集素(HA)は、現在の不活性化インフルエンザワクチンにおける主要なインフルエンザウイルス免疫原であり、それらのワクチンの全てがHAを含み、ワクチン用量は、典型的にはSRIDにより測定される、HAレベルを参照することによって標準化される。既存のワクチンは、典型的には、株あたり約15μgのHAを含むが、例えば、子ども用に、またはパンデミック状況において、またはアジュバントを用いる場合、より低い用量を用いることができる。より高い用量(例えば、3×または9×用量[21、22])と同様に、1/2(すなわち、株あたり7.5μgのHA)、1/4、および1/8などの分割量が用いられている[19、20]。したがって、ワクチンは、インフルエンザ株あたり0.1〜150μgのHA、好ましくは、0.1μg〜50μg、例えば、0.1〜20μg、0.1〜15μg、0.1〜10μg、0.1〜7.5μg、0.5〜5μgなどを含み得る。特定の用量としては、例えば、株あたり約45、約30、約15、約10、約7.5、約5、約3.8、約1.9、約1.5などが挙げられる。例えば、各株についてのHA質量が株あたりの平均HA質量の10%以内、好ましくは平均の5%以内であるように、ワクチンに含まれる各株について実質的に同じ質量のHAを用いることが好ましい。
【0028】
インフルエンザウイルス免疫原における赤血球凝集素は、野生型ウイルスに見出されるような天然HAであってもよいし、改変HAであってもよい。例えば、ウイルスをトリ種において高病原性にしている決定因子(例えば、HA1/HA2切断部位の周囲の超塩基性領域)を除去するためにHAを改変することは知られている。
【0029】
インフルエンザウイルス免疫原における赤血球凝集素は、理想的には、Sia(α2,3)Gal末端二糖を有するオリゴ糖と比較して、Sia(α2,6)Gal末端二糖を有するオリゴ糖への結合優先を有する。ヒトインフルエンザウイルスは、Sia(α2,6)Gal末端二糖(シアル酸がガラクトースにα−2,6結合している)を有する受容体オリゴ糖に結合するが、卵およびベロ細胞は、Sia(α2,3)Gal末端二糖を有する受容体オリゴ糖を有する。卵継代と違って、MDCKなどの細胞におけるヒトインフルエンザウイルスの増殖により、天然のSia(α2,6)Gal結合を維持するように赤血球凝集素に選択圧が与えられる。ウイルスが、Sia(α2,3)Gal末端二糖を有するオリゴ糖と比較してSia(α2,6)Gal末端二糖を有するオリゴ糖への結合優先を有するか否かを決定するために、様々なアッセイを用いることができる。例えば、参考文献23は、親和定数の高感度かつ定量的な測定を与えるインフルエンザウイルス受容体結合活性についての固相酵素結合アッセイを記載する。参考文献24は、ウイルスの2つの異なるシアリル糖タンパク質(Sia(α2,3)Gal決定基を有するオボムコイド;およびSia(α2,6)Gal決定基を有するブタα−マクログロブリン)への結合が評価される固相アッセイを用いており、それはまた、ウイルスの結合が、2つの受容体類似体:遊離シアル酸(Neu5Ac)および3’−シアリルラクトース(Neu5Acα2−3Galβ1−4Glc)に対して評価されたアッセイも記載する。参考文献25は、α2,3結合またはα2,6結合への受容体優先を明らかに識別することができたグリカンアレイを用いるアッセイを報告している。参考文献26は、Sia(α2,6)GalかまたはSia(α2,3)Galのいずれかを含むように酵素的に改変されたヒト赤血球の凝集に基づいたアッセイを報告している。アッセイの型に依存して、アッセイは、ウイルス自体を用いて直接実施される場合もあるし、ウイルスから精製された赤血球凝集素を用いて間接的に実施することもできる。
【0030】
いくつかの実施形態において、赤血球凝集素(およびインフルエンザウイルス免疫原に存在する他のインフルエンザウイルス糖タンパク質(複数可))は、卵由来のウイルスとは異なるグリコシル化パターンを有する。したがって、糖タンパク質は、ニワトリ卵に見られないグリコフォームを含む。
【0031】
インフルエンザウイルス免疫原がインフルエンザビリオンから調製される場合、これらは適切な培養基において生成される。インフルエンザウイルスを増殖させるために現在用いられている培養基には、卵および細胞培養物が挙げられる。インフルエンザウイルス増殖のための現在の標準的方法は、特定病原体除去(SPF)孵化鶏卵を用い、ビリオンが卵内容物(尿膜腔液)から精製される。しかしながら、代替方法として、ウイルスを動物細胞培養物で増殖させており、速度および患者のアレルギーという理由で、この増殖方法が好まれる。
【0032】
そのような細胞培養方法について、ウイルスを通常、哺乳動物起源の細胞系において増殖させる。適切な起源の哺乳動物細胞には、非限定的に、ハムスター細胞、ウシ細胞、(ヒトおよびサルを含む)霊長類細胞、およびイヌ細胞が挙げられるが、霊長類細胞の使用は好ましくない。腎細胞、線維芽細胞、網膜細胞、肺細胞などの様々な細胞型を用いてもよい。適切なハムスター細胞の例は、BHK21またはHKCCという名前をもつ細胞系である。適切なサル細胞は、例えば、ベロ細胞系におけるような腎細胞などのアフリカミドリザル細胞である[27−29]。適切なイヌ細胞は、例えば、CLDKおよびMDCK細胞系におけるような腎細胞である。
【0033】
したがって、適切な細胞系には、MDCK、CHO、CLDK、HKCC、293T、BHK、Vero、MRC−5、PER.C6[30]、FRhL2、WI−38などが挙げられるが、それらに限定されない。適切な細胞系は、例えば、American Type Cell Culture(ATCC)コレクション[31]、Coriell Cell Repositories[32]、またはEuropean Collection of Cell Cultures(ECACC)からなど、いろいろな所から入手できる。例えば、ATCCは、カタログ番号CCL−81、CCL−81.2、CRL−1586、およびCRL−1587において様々な異なるベロ細胞を供給し、カタログ番号CCL−34においてMDCK細胞を供給している。PER.C6は、寄託番号96022940においてECACCから入手できる。
【0034】
最も好ましい細胞系は、哺乳動物型グリコシル化を有するものである。あまり好ましくないが、哺乳動物細胞系に代わるものとして、ウイルスを、アヒル(例えば、アヒル網膜)または雌鳥由来の細胞系を含むトリ細胞系で増殖させることができる[例えば、参考文献33〜35]。トリ細胞系の例には、トリ胚性幹細胞[33、36]およびアヒル網膜細胞[34]が挙げられる。適切なトリ胚性幹細胞には、ニワトリ胚性幹細胞由来のEBx細胞系、EB45、EB14、およびEB14−074が挙げられる[37]。ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)もまた用いることができる。しかしながら、トリ細胞を用いるのではなく、哺乳動物細胞を用いることは、ワクチンがトリDNAおよび(オボアルブミンおよびオボムコイドなどの)卵タンパク質を含まず、それによってアレルゲン性を低下させ得ることを意味する。
【0035】
インフルエンザウイルスを増殖させるための最も好ましい細胞系は、Madin Darbyイヌ腎臓由来のMDCK細胞系[38−41]である。オリジナルのMDCK細胞系は、CCL−34としてATCCから入手できるが、この細胞系の派生物もまた用いてもよい。例えば、参考文献38は、懸濁培養における増殖に適応したMDCK細胞系(DSM ACC 2219として寄託された「MDCK 33016」)を開示する。同様に、参考文献42は、無血清培養において懸濁状態で増殖するMDCK由来細胞系(FERM BP−7449として寄託された「B−702」)を開示する。参考文献43は、「MDCK−S」(ATCC PTA−6500)、「MDCK−SF101」(ATCC PTA−6501)、「MDCK−SF102」(ATCC PTA−6502)、および「MDCK−SF103」(PTA−6503)を含む非腫瘍形成性MDCK細胞を開示する。参考文献44は、「MDCK.5F1」細胞(ATCC CRL−12042)を含む、感染に対して高感受性を有するMDCK細胞を開示する。これらのMDCK細胞系のいずれでも用いることができる。
【0036】
ウイルスは、付着培養中の細胞上でも懸濁状態の細胞上でも増殖することができる。マイクロキャリア培養もまた用いることができる。したがって、いくつかの実施形態において、細胞を、懸濁状態での増殖に適応させてもよい。
【0037】
好ましくは、細胞系を、無血清培養培地および/または無タンパク質培地中で増殖させる。ヒトまたは動物起源の血清由来の添加物がない培地は、本発明の関連においては、無血清培地と呼ばれる。そのような培養物中で増殖する細胞は、当然、それ自体のタンパク質を含むが、無タンパク質培地は、細胞の増殖がタンパク質、増殖因子、他のタンパク質添加物および非血清タンパク質を排除して起こっているものを意味すると理解され、しかし任意で、ウイルス増殖に必要である場合があるトリプシンまたは他のプロテアーゼなどのタンパク質を含むことができる。
【0038】
インフルエンザウイルス複製を支持する細胞系を、好ましくは、ウイルス複製中、37℃より下で[45](例えば、30〜36℃、すなわち、約30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃で)増殖させる。
【0039】
培養細胞中でインフルエンザウイルスを増殖させるための方法は、一般的に、増殖されるべき菌株の接種材料を細胞の培養物に接種する工程、例えば、ウイルス力価または抗原発現によって決定されるようなウイルス繁殖のために望ましい期間(例えば、接種後24時間〜168時間)、感染細胞を培養する工程、および繁殖したウイルスを収集する工程を含む。培養細胞は、1:500〜1:1、好ましくは1:100〜1:5、より好ましくは1:50〜1:10の(PFUまたはTCID50により測定される)ウイルス対細胞の比で接種される。ウイルスを細胞の懸濁物に加えるか、または細胞の単層にアプライし、ウイルスを、少なくとも60分間、ただし、通常は300分未満、好ましくは90分〜240分間、25℃〜40℃、好ましくは28℃〜37℃で、細胞に吸収させる。感染細胞培養物(例えば、単層)を、凍結融解によるかまたは酵素作用によるかのいずれかで除去し、収集培養物上清のウイルス含有量を増加させてもよい。その後、収集された流体を不活性化するかまたは凍結保存する。培養細胞を、約0.0001〜10、好ましくは0.002〜5、より好ましくは0.001〜2の感染多重度(「m.o.i」)で感染させてもよい。さらにより好ましくは、細胞を、約0.01のm.o.i.で感染させる。感染細胞を感染から30〜60時間後に収集してもよい。好ましくは、細胞を、感染から34〜48時間後に収集する。さらにより好ましくは、細胞を感染から38〜40時間後に収集する。一般的には、プロテアーゼ(典型的にはトリプシン)を細胞培養中に加えて、ウイルスを放出させることができ、プロテアーゼは、培養中の任意の適切な工程で、例えば、接種前、接種と同時に、または接種後、加えることができる[45]。
【0040】
好ましい実施形態において、特にMDCK細胞に関して、細胞系を、40の集団倍化レベルを超えるマスターワーキング細胞バンクから継代しない。
【0041】
ウイルス接種材料およびウイルス培養物は、好ましくは、単純ヘルペスウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス3、SARSコロナウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、ビルナウイルス、サーコウイルス、および/またはパルボウイルスを含まない(すなわち、それらについて検査されて、それらによる汚染について陰性結果が示されている)[46]。単純ヘルペスウイルスの非存在は、特に好ましい。
【0042】
ウイルスが細胞系で増殖している場合、最終ワクチン中の残留細胞系DNAの量を最小限にすることは、そのDNAのいかなる腫瘍形成活性をも最小限にするために、標準的な慣行である。したがって、培養増殖したインフルエンザウイルスから調製された組成物は、極めて微量の宿主細胞DNAが存在する可能性はあるにしても、好ましくは、用量あたり10ng未満(好ましくは1ng未満、より好ましくは100pg未満)の残留宿主細胞DNAを含む。15μgの赤血球凝集素あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンが好ましく、0.25mlの容積あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンも同様である。50μgの赤血球凝集素あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンはより好ましく、0.5mlの容積あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンも同様である。
【0043】
任意の残留宿主細胞DNAの平均の長さは500bp未満、例えば、400bp未満、300bp未満、200bp未満、100bp未満などであることが好ましい。
【0044】
混入DNAは、標準的精製手順、例えば、クロマトグラフィーなどを用いてワクチン調製中に除去することができる。残留宿主細胞DNAの除去は、ヌクレアーゼ処理により、例えば、DNアーゼを用いることによって、促進することができる。宿主細胞DNA混入を低減するための便利な方法は、参考文献47および48に開示されており、まず、ウイルス増殖中に用いてもよいDNアーゼ(例えば、Benzonase)を使用する工程、およびその後、ビリオン破壊中に用いてもよい陽イオン性界面活性剤(例えば、CTAB)を使用する工程の2工程処理を含む。β−プロピオラクトン処理による除去もまた用いることができる。
【0045】
残留宿主細胞DNAの測定は、今や、生物製剤(biological)についての日常的な規制的要求事項であり、当業者の標準能力の範囲内である。DNAを測定するために用いられるアッセイは、典型的には、検証されたアッセイである[49、50]。検証されたアッセイの性能特性は、数学的かつ数量化可能な用語で記載することができ、その可能性のある誤差原因は同定されている。アッセイは、一般的に、正確さ、精度、特異性などの特性について試験されている。いったん、アッセイが、(例えば、宿主細胞DNAの既知の標準量に対して)検定され、試験されたら、定量的DNA測定は、日常的に実施することができる。DNA定量化についての以下の3つの主な技術を用いることができる:サザンブロットまたはスロットブロットなどのハイブリダイゼーション法[51];ThresholdTMシステムなどのイムノアッセイ法[52];および定量的PCR[53]。これらの方法は全て、当業者に熟知されているが、各方法の正確な特性、例えば、ハイブリダイゼーションのためのプローブの選択、増幅のためのプライマーおよび/またはプローブの選択などは、問題の宿主細胞に依存し得る。Molecular Devices製のThresholdTMシステムは、ピコグラムレベルの全DNAについての定量的アッセイであり、生物医薬品中の混入DNAのレベルをモニターするために用いられている[52]。典型的アッセイは、ビオチン化ssDNA結合タンパク質、ウレアーゼ結合型抗ssDNA抗体とDNAとの間の反応複合体の非配列特異的形成を含む。全てのアッセイ成分は、製造会社から入手可能な完全な全DNAアッセイキットに含まれる。様々な商業的製造会社が、残留宿主細胞DNAを検出するための定量的PCRアッセイを提供しており、例えば、AppTecTMLaboratory Services、BioRelianceTM、Althea Technologiesなどがある。ヒトウイルスワクチンの宿主細胞DNA混入を測定することについての化学ルミネセンスハイブリダイゼーションアッセイと全DNA ThresholdTMシステムとの比較は、参考文献54に見出すことができる。
【0046】
免疫原が調製されるインフルエンザウイルスは、野生型株、またはより典型的には、再集合(reassortant)株であってもよい。そのような再集合株は、逆遺伝学技術によって得られた可能性がある。逆遺伝学技術[例えば、55〜59]によって、所望のゲノムセグメントを有するインフルエンザウイルスを、プラスミドなどの発現構築物を用いてインビトロで調製することが可能になる。典型的には、それらは、(a)例えば、polIプロモーターから、所望のウイルスRNA分子をコードするDNA分子を、および(b)例えば、polIIプロモーターから、ウイルスタンパク質をコードするDNA分子を発現させることを含み、それにより、両方の型のDNAの細胞における発現が、完全なインタクト感染性ビリオンのアッセンブリをもたらす。そのDNAは、好ましくは、ウイルスRNAおよびタンパク質の全てを供給するが、そのRNAおよびタンパク質の一部を提供するためにヘルパーウイルスを用いることも可能である。各ウイルスRNAを産生するために別々のプラスミドを用いるプラスミドに基づいた方法が好ましく[60〜62]、これらの方法はまた、ウイルスタンパク質の全部または一部(例えば、PB1、PB2、PA、およびNPタンパク質だけ)を発現するプラスミドの使用を含み、いくつかの方法においては、最高12個までのプラスミドが用いられている。必要とされるプラスミドの数を減らすために、1つのアプローチ[63]は、同じプラスミド上の(ウイルスRNA合成のための)複数のRNAポリメラーゼI転写カセット(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個全てのインフルエンザA vRNAセグメントをコードする配列)、および別のプラスミド上のRNAポリメラーゼIIプロモーターを含む複数のタンパク質コード領域(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個全てのインフルエンザA mRNA転写産物をコードする配列)を組み合わせている。参考文献63の好ましい態様の方法は、(a)単一のプラスミド上のPB1、PB2、およびPA mRNAコード領域;ならびに(b)単一のプラスミド上の8個全てのvRNAコードセグメントを含む。単一の鋳型においてウイルスRNAおよび発現可能なmRNAを同時にコードするために、2つのpolIおよびpolIIプロモーターを用いることが可能である[64、65]。
【0047】
したがって、ウイルスは、特にウイルスが卵中で増殖する場合、A/PR/8/34ウイルス由来の1つまたは複数のRNAセグメントを含んでもよい(典型的には、6個のセグメントはA/PR/8/34由来であり、HAおよびNセグメントはワクチン株に由来しており、すなわち、6:2再集合である)。それはまた、A/WSN/33ウイルス由来、またはワクチン調製のための再集合ウイルスを作製するのに有用な任意の他のウイルス株由来の1つまたは複数のRNAセグメントを含んでもよい。典型的には、本発明は、ヒトからヒトへ伝染する能力がある株から防御し、それゆえ、その株のゲノムは通常、哺乳動物(例えば、ヒト)インフルエンザウイルスを起源とする少なくとも1つのRNAセグメントを含む。それは、トリインフルエンザウイルスを起源とするNSセグメントを含んでもよい。
【0048】
(肺炎球菌免疫原)
肺炎球菌免疫原は、様々な形をとることができる。例えば、それは、肺炎球菌由来の莢膜糖類および/またはポリペプチドを含んでもよい。好ましい実施形態において、肺炎球菌免疫原は、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。
【0049】
現在の肺炎球菌ワクチンは、キャリアタンパク質に結合体化しているか、または結合体化していない形かのいずれかでの、莢膜糖類に基づいている。肺炎球菌免疫原は、1つまたは複数のそのような莢膜糖類を含み得るが、いくつかの実施形態において、肺炎球菌免疫原は、肺炎球菌莢膜糖類を含まない。存在する場合、糖類は、細菌からの糖類の精製中に生じるサイズを有する多糖であってもよいし、そのような多糖の断片化によって得られるオリゴ糖であってもよい。例えば、7価のPREVNARTM製品において、その糖類のうちの6個は、インタクトな多糖として存在するが、1個(18C血清型)はオリゴ糖として存在する。
【0050】
肺炎球菌免疫原は、以下の肺炎球菌血清型の1つまたは複数由来の莢膜糖類を含んでもよい:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、および/または33F。免疫原は、複数の血清型、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、またはそれ以上の異なる血清型由来の糖類を含んでもよい。7価、9価、10価、11価、および13価の結合体型組み合わせは当技術分野においてすでに知られており、23価の非結合体化型組み合わせも知られており、これらのいずれかを本発明と共に用いてもよい。例えば、7価組み合わせ(PREVNARTM製品など)は、血清型4、6B、9V、14、18C、19F、および23F由来の糖類を含み得る。10価組み合わせ(SYNFLORIXTM製品など)は、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F、および23F由来の糖類を含み得る。11価組み合わせはさらに、血清型3由来の糖類を含み得る。12価組み合わせは、10価混合物に血清型6Aおよび19A;6Aおよび22F;19Aおよび22F;6Aおよび15B;19Aおよび15B;r 22Fおよび15Bを加え得る。13価組み合わせは、11価混合物に血清型19Aおよび22F;8および12F;8および15B;8および19A;8および22F;12Fおよび15B;12Fおよび19A;12Fおよび22F;15Bおよび19A;15Bおよび22Fなどを加え得る。1つの有用な13価組み合わせは、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19、19F、および23F由来の莢膜糖類を含む。1個より多い血清型が用いられる場合、血清型1、5、および14のうちの1個、2個、または3個を含むことが有用である。
【0051】
莢膜糖類が肺炎球菌免疫原として用いられる場合には、それは、好ましくは、キャリアタンパク質に結合体化している。キャリアは、RrgB、spr0057、spr0096、およびspr2021などの肺炎球菌抗原、またはニューモリシン[66]、またはその無毒性誘導体[67]、または肺炎球菌表面タンパク質PspA[68]であってもよい。しかし、他の実施形態において、キャリアは、肺炎球菌抗原ではなく、例えば、細菌トキシンまたはトキソイドであってもよい。典型的なキャリアタンパク質は、ジフテリアトキソイドもしくは破傷風トキソイド、またはそれらの変異体である。CRM197ジフテリアトキシン変異体[69]は有用であり、PREVNARTM製品におけるキャリアである。他の適切なキャリアタンパク質には、N.meningitidis外膜タンパク質複合体[70]、合成ペプチド[71、72]、熱ショックタンパク質[73、74]、百日咳タンパク質[75、76]、サイトカイン[77]、リンホカイン[77]、ホルモン[77]、増殖因子[77]、様々な病原体由来抗原からの複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質[78]、例えば、N19[79]、H.influenzae由来のタンパク質D[80〜82]、鉄取り込みタンパク質[83]、C.difficile由来のトキシンAまたはB[84]、組換えP.aeruginosaエキソプロテインA(rEPA)[85]などが挙げられる。
【0052】
組成物が、1個より多い結合体を含む場合、各結合体は、同じキャリアタンパク質を用いてもよいし、異なるキャリアタンパク質を用いてもよい。参考文献86は、多価肺炎球菌結合体ワクチンにおいて異なるキャリアタンパク質を用いる場合の考えられる利点を記載する。
【0053】
いくつかの実施形態において、単一の結合体は、複数の血清型由来の糖類を有してもよい[87]。しかしながら、通常、各結合体は単一の血清型由来の糖類を含む。
【0054】
結合体は、過剰のキャリア(w/w)または過剰の糖類(w/w)を有してもよい。いくつかの実施形態において、結合体はそれぞれの等重量を含み得る。
【0055】
キャリア分子は、キャリアに直接、またはリンカーを介して、共有結合性に結合体化し得る。タンパク質への直接的結合は、例として、例えば参考文献88および89に記載されているように、糖類とキャリアとの間の還元的アミノ化によって、達成することができる。糖類は、最初、例えば酸化によって、活性化を必要とする場合がある。リンカー群を介する結合は、任意の公知の手順、例えば、参考文献90および91に記載された手順を用いて、形成することができる。好ましい型の結合は、アジピン酸リンカーであり、それは、(例えば、アミノ化によってグルカンに導入された)遊離−NH基をアジピン酸に(例えば、ジイミド活性化を用いて)連結し、その後、生じた糖類−アジピン酸中間体にタンパク質を連結することによって、形成され得る[92、93]。別の好ましい型の結合は、カルボニルリンカーであり、それは、糖類の遊離ヒドロキシル基のCDIとの反応[94、95]、続いてタンパク質との反応によるカルバメート結合の形成によって形成され得る。他のリンカーには、β−プロピオンアミド[96]、ニトロフェニル−エチルアミン[97]、ハロアシルハライド[98]、グリコシド結合[99]、6−アミノカプロン酸[100]、ADH[101]、C〜C12部分[102]などが挙げられる。カルボジイミド縮合もまた用いることができる[103]。
【0056】
肺炎球菌免疫原は、以下の肺炎球菌ポリペプチドの1つまたは複数を含んでもよい:(1)spr0057抗原;(2)spr0565抗原;(3)spr1098抗原;(4)spr1416抗原;(5)spr1418抗原;(6)spr0867抗原;(7)spr1431抗原;(8)spr1739抗原;(9)spr2021抗原;(10)spr0096抗原;(11)spr1707抗原;(12)spr1875抗原;(13)spr0884抗原;および/または(14)RrgB抗原。同様に、肺炎球菌免疫原は、以下の肺炎球菌ポリペプチドの1つまたは複数を含んでもよい:(1)ClpP;(2)LytA;(3)PhtA;(4)PhtB;(5)PhtD;(6)PhtE;(7)ZmpB;(8)CbpD;(9)CbpG;(10)PvaA;(11)CPL1;(12)PspC;(13)PspA;(14)PsaA;(15)PrtA;(16)Sp133;(17)PiaA;(18)PiuA;(19)CbiO;および/または(20)30Sリボソームタンパク質S8。これらの抗原は、別々のポリペプチドとして存在してもよいし、融合ポリペプチド、例えば、spr0057−spr0096融合体またはspr0096−spr2021融合体、spr0565−PhtD融合体、RrgB−spr0057融合体などとして存在してもよい。
【0057】
オリジナルの「spr0057」配列は、参考文献104において「β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体」として注釈を付けられた(GI:15902101参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr0057のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号23として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr0057ポリペプチドは、(a)配列番号23と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号23の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr0057タンパク質は、配列番号23の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号23由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号23の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号23のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号38であり、それは、天然のリーダーペプチド配列およびソルターゼ認識配列を削除している。別の適切な断片は配列番号24であり、それは、N末端切断およびC末端切断を有する。配列番号27は、異なる野生型株に基づいた、配列番号24の改変体であり、本発明と共に用いるのに有用なspr0057配列である。
【0058】
オリジナルの「spr0565」配列は、参考文献104において「β−ガラクトシダーゼ前駆体」として注釈を付けられた(GI:15902609参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr0565のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号25として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号25と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号25の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr0565タンパク質は、配列番号25の改変体(例えば、配列番号45;下記参照)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号25由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号25の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号25のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号42であり、それは、天然のリーダーペプチド配列およびソルターゼ認識配列を削除している。他の適切な断片は配列番号43および44である。これらのspr0565の短縮型は、天然のポリペプチドが非常に長い(>2000アミノ酸)ため、特に有用である。spr0565の改変型は本明細書では配列番号45である。この改変型を免疫化のために用いることは、参考文献105(その文献中では、配列番号178)に報告されている。したがって、有用なspr0565ポリペプチドは、(a)配列番号45と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号45の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは配列番号45の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号45由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号45の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号45のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号45の免疫原性断片は、参考文献105の表1に同定されている。
【0059】
オリジナルの「spr1098」配列は、参考文献104において「ソルターゼ」として注釈を付けられた(GI:15903141参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1098のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号26として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1098ポリペプチドは、(a)配列番号26と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号26の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1098タンパク質は、配列番号26の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号26由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号26の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号26のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号46であり、それは、天然のリーダーペプチド配列を削除している。
【0060】
オリジナルの「spr1416」配列は、参考文献104において「仮定的タンパク質」として注釈を付けられた(GI:15903459参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1416のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号28として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1416ポリペプチドは、(a)配列番号28と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号28の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1416タンパク質は、配列番号28の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号28由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号28の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号28のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0061】
オリジナルの「spr1418」配列は、参考文献104において「仮定的タンパク質」として注釈を付けられた(GI:15903461参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1418のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号29として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1418ポリペプチドは、(a)配列番号29と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号29の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1418タンパク質は、配列番号29の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号29由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号29の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号29のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0062】
オリジナルの「spr0867」配列は、参考文献104において「エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ」として注釈を付けられた(GI:15902911参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr0867のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号30として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr0867ポリペプチドは、(a)配列番号30と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号30の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr0867タンパク質は、配列番号30の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号30由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号30の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号30のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号48であり、それは、天然のリーダーペプチド配列を削除している。
【0063】
オリジナルの「spr1431」配列は、参考文献104において「1,4−β−N−アセチルムラミダーゼ」として注釈を付けられた(GI:15903474参照)。それはまた「LytC」としても知られており、免疫化のためにそれを用いることは、参考文献126に報告されている。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1431のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号31として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1431ポリペプチドは、(a)配列番号31と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号31の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1431タンパク質は、配列番号31の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号31由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号31の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号31のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号49であり、それは、天然のリーダーペプチド配列を削除している。
【0064】
「spr1739」ポリペプチドは、ニューモリシンである(例えば、GI:15903781参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1739のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号32として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1739ポリペプチドは、(a)配列番号32と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号32の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1739タンパク質は、配列番号32の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号32由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号32の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号32のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。ワクチン接種用のニューモリシンの変異体型は当技術分野において知られており[67、106〜111]、これらの変異体型は本発明と共に用いることができる。解毒は、C末端切断(例えば、参考文献112参照)、例えば、34個のアミノ酸、45個のアミノ酸、7個のアミノ酸を欠失する[113]ことなどによって達成することができる。さらなる変異には、配列番号32に従って番号付けすれば、Pro325→Leu(例えば、配列番号50)および/またはTrp433→Phe(例えば、配列番号51)が挙げられる。これらの変異を、C末端切断と組み合わせてもよく、例えば、Pro325→Leu変異を7−mer切断と組み合わせること(例えば、配列番号52)である。
【0065】
オリジナルの「spr2021」配列は、参考文献104において「一般的なストレスタンパク質GSP−781」として注釈を付けられた(GI:15904062参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr2021のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号33として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr2021ポリペプチドは、(a)配列番号33と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号33の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr2021タンパク質は、配列番号33の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号33由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号33の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号33のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号53であり、それは、天然のリーダーペプチド配列を削除している。参考文献105は、spr2021を、GbpBとの相同性を有する分泌性45kDaタンパク質として注釈を付けており、それを免疫原として用いることを開示している(その文献中では、配列番号243;SP2216)。spr2021の免疫原性断片は参考文献105の表1(73ページ)に同定されている。spr2021の別の有用な断片は、参考文献114の配列番号1として開示されている(本明細書では配列番号33のアミノ酸28〜278)。
【0066】
オリジナルの「spr0096」配列は、参考文献104において「仮定的タンパク質」として注釈を付けられた(GI:15902140参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr0096のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号34として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr0096ポリペプチドは、(a)配列番号34と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号34の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr0096タンパク質は、配列番号34の改変体(例えば、配列番号40)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号34由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号34の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号34のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号34と比較してそのC末端近くに挿入物を有する、spr0096の改変型は、本明細書では配列番号54である。この改変体を免疫化に用いることは、参考文献105に報告されており(その文献中では、配列番号150)、その文献中では、それは、LysMドメインタンパク質として注釈を付けられている。したがって、本発明と共に用いるspr0096は、(a)配列番号54と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号54の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号54の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号54由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号54の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号54のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号54の免疫原性断片は、参考文献105の表1に同定されている。spr0096ポリペプチドは、二量体、例えば、ホモ二量体の形で用いてもよい。
【0067】
オリジナルの「spr1707」配列は、参考文献104において「ABCトランスポーター基質結合タンパク質−オリゴペプチドトランスポート」として注釈を付けられた(GI:15903749参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1707のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号36として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号36と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号36の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1707タンパク質は、配列番号36の改変体(例えば、配列番号100;下記参照)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号36由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号36の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号36のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号36と4個のアミノ酸だけ異なる、spr1707の改変型は、本明細書では配列番号55である。配列番号55を免疫化に用いることは、参考文献105に報告されている(その文献中では、配列番号220)。したがって、本発明と共に用いるspr1707ポリペプチドは、(a)配列番号55と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号55の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含み得る。これらのポリペプチドは、配列番号55の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号55由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号55の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号55のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号55の免疫原性断片は、参考文献105の表1に同定されている。
【0068】
オリジナルの「spr1875」配列は、参考文献104において「仮定的タンパク質」として注釈を付けられた(GI:15903916参照)。参考として、R6株に見出されるような完全長spr1875のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号35として示されている。本発明と共に用いるのに好ましいspr1875ポリペプチドは、(a)配列番号35と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号35の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1875タンパク質は、配列番号35の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号35由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号35の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号35のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0069】
「spr0884」タンパク質は、ペプチジルプロリルイソメラーゼであり、プロテアーゼ成熟タンパク質としても知られている。参考として、完全長spr0884のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号37である。本発明と共に用いるのに好ましいspr0884ポリペプチドは、(a)配列番号37と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号37の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr0884タンパク質は、配列番号37の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号37由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号37の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号37のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。1つの適切な断片は配列番号56であり、それは、天然のリーダーペプチド配列を削除している。spr0884を免疫化に用いることは参考文献115に報告されている。
【0070】
ClpPは、ATP依存性Clpプロテアーゼタンパク質分解サブユニットである。参考として、完全長ClpPのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号58である。R6ゲノムにおいて、ClpPはspr0656である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいClpPポリペプチドは、(a)配列番号58と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号58の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのClpPタンパク質は、配列番号58の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号58由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号58の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号58のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。ClpPを免疫化に用いることは参考文献116および117に報告されている。それは、有利には、PspAおよびPsaAおよび/またはPspCと組み合わせて用いてもよい[116]。
【0071】
LytAは、N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(自己溶菌素)である。参考として、完全長LytAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号59である。R6ゲノムにおいて、LytAはspr1754である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいLytAポリペプチドは、(a)配列番号59と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号59の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのLytAタンパク質は、配列番号59の改変体(例えば、GI:18568354)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号59由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号59の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号59のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。LytAを免疫化に用いることは参考文献118に報告されており、特に、異種性無差別(promiscuous)Tヘルパーエピトープに融合したLytAコリン結合ドメインを含む形で用いられる。
【0072】
PhtAは、肺炎球菌ヒスチジン三つ組プロテインAである。参考として、完全長PhtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号60である。R6ゲノムにおいて、PhtAはspr1061である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPhtAポリペプチドは、(a)配列番号60と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号60の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPhtAタンパク質は、配列番号60の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号60由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号60の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号60のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PhtAを免疫化に用いることは参考文献119および120に報告されている。
【0073】
PhtBは、肺炎球菌ヒスチジン三つ組プロテインBである。参考として、完全長PhtB前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号61である。残基578におけるXアミノ酸はリジンであり得る。本発明と共に用いるのに好ましいPhtBポリペプチドは、(a)配列番号61と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号61の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPhtBタンパク質は、配列番号61の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号61由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号61の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号61のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PhtBを免疫化に用いることは参考文献119、120、および121に報告されている。
【0074】
PhtDは、肺炎球菌ヒスチジン三つ組プロテインDである。参考として、完全長PhtD前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号62である。R6ゲノムにおいて、PhtDはspr0907である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPhtDポリペプチドは、(a)配列番号62と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号62の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPhtDタンパク質は、配列番号62の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号62由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号62の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号62のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PhtDを免疫化に用いることは参考文献119、120、および122に報告されている。
【0075】
PhtEは、肺炎球菌ヒスチジン三つ組プロテインEである。参考として、完全長PhtE前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号63である。R6ゲノムにおいて、PhtEはspr0908である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPhtEポリペプチドは、(a)配列番号63と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号63の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPhtEタンパク質は、配列番号63の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号63由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号63の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号63のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PhtEを免疫化に用いることは参考文献119および120に報告されている。
【0076】
ZmpBは、亜鉛メタロプロテアーゼである。参考として、完全長ZmpBのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号64である。R6ゲノムにおいて、ZmpBはspr0581である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいZmpBポリペプチドは、(a)配列番号64と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号64の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのZmpBタンパク質は、配列番号64の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号64由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号64の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号64のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0077】
CbpDは、コリン結合タンパク質Dである。参考として、完全長CbpDのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号65である。R6ゲノムにおいて、CbpDはspr2006である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいCbpDポリペプチドは、(a)配列番号65と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号65の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのCbpDタンパク質は、配列番号65の改変体(例えば、配列番号57;下記参照)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号65由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号65の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号65のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。CbpDを免疫化に用いることは参考文献126に報告されている。配列番号65の改変体は本明細書では配列番号57である。配列番号57を免疫化に用いることは参考文献105に報告されている(その文献中では配列番号241)。したがって、本発明と共に用いるCbpDポリペプチドは、(a)配列番号57と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号57の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含み得る。これらのCbpDタンパク質は、配列番号57の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号57由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号57の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号57のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。配列番号57の免疫原性断片は、参考文献105の表1に同定されている。
【0078】
CbpGは、コリン結合タンパク質Gである。参考として、完全長CbpGのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号47である。R6ゲノムにおいて、CbpGはspr0350である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいCbpGポリペプチドは、(a)配列番号47と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号47の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのCbpGタンパク質は、配列番号47の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号47由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号47の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号47のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。CbpGを免疫化に用いることは参考文献126に報告されている。
【0079】
PvaA(Streptococcus pneumoniae肺炎球菌ワクチン抗原A)は、sp101としても知られている。参考として、完全長PvaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号41である。R6ゲノムにおいて、PvaAはspr0930である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPvaAポリペプチドは、(a)配列番号41と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号41の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPvaAタンパク質は、配列番号41の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号41由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号41の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号41のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PvaAを免疫化に用いることは参考文献123および124に報告されている。
【0080】
CPL1は、肺炎球菌ファージCP1リゾチームである。参考として、完全長CPL1のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号39である。本発明と共に用いるのに好ましいCPL1ポリペプチドは、(a)配列番号39と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号39の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのCPL1タンパク質は、配列番号39の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号39由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号39の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号39のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。CPL1を免疫化に用いることは参考文献118に報告されており、特に、異種性無差別Tヘルパーエピトープに融合したCPL1コリン結合ドメインを含む形で用いられる。
【0081】
PspCは、肺炎球菌表面プロテインCであり[125]、コリン結合プロテインA(CbpA)としても知られている。それを免疫化に用いることは参考文献123および126に報告されている。R6株において、それはspr1995であり、参考として、完全長spr1995のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号22である。本発明と共に用いるのに好ましいPspCポリペプチドは、(a)配列番号22と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号22の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのspr1995タンパク質は、配列番号22の改変体(例えば、配列番号20;下記参照)を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号22由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号22の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号22のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0082】
PspCの改変体は「Hic」として知られている。それは、参考文献127の図1に示されているように、PspCと類似しており、その文献中で、H因子(fH)に結合することが報告されている。参考として、完全長Hicのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号20である。Hicタンパク質は、PspCポリペプチドに加えて、またはその代わりに、本発明と共に用いてもよい。本発明と共に用いるのに好ましいHicポリペプチドは、(a)配列番号20と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号20の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのHicタンパク質は、配列番号20の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号20由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号20の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号20のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PspCおよび/またはHicは、有利には、PspAおよび/またはPsaAと組み合わせて用いてもよい。
【0083】
PspAは、肺炎球菌表面プロテインAである。参考として、完全長PspAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号18である。R6ゲノムにおいて、PspAはspr0121である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPspAポリペプチドは、(a)配列番号18と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号18の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPspAタンパク質は、配列番号18の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号18由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号18の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号18のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PspAを免疫化に用いることは、とりわけ参考文献128に報告されている。それは、有利には、PspCと組み合わせて投与することができる。
【0084】
PsaAは、肺炎球菌表面アドヘシンである。参考として、完全長PsaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号16である。本発明と共に用いるのに好ましいPsaAポリペプチドは、(a)配列番号16と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号16の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPsaAタンパク質は、配列番号16の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号16由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号16の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号16のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。有用なPsaAの断片は、参考文献114において配列番号3として開示されている(本明細書における配列番号16のアミノ酸21〜309に相当)。PsaAを免疫化に用いることは、参考文献129に報告されている。それは、PspAおよび/またはPspCと組み合わせて用いることができる。
【0085】
PrtAは、細胞壁結合型セリンプロテイナーゼである。それはまた、sp128およびsp130として知られており、サブチリシン様セリンプロテアーゼに含まれる。参考として、完全長PrtA前駆体のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号14である。R6ゲノムにおいて、PrtAはspr0561である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPrtAポリペプチドは、(a)配列番号14と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号14の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPrtAタンパク質は、配列番号14の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号14由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号14の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号14のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PrtAを免疫化に用いることは、参考文献130および131に、ならびに参考文献123にも報告されている。
【0086】
Sp133は、保存された肺炎球菌抗原である。参考として、完全長Sp133のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号12である。R6ゲノムにおいて、Sp133はspr0931である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいSp133ポリペプチドは、(a)配列番号12と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号12の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのSp133タンパク質は、配列番号12の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号12由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号12の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号12のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。Sp133を免疫化に用いることは、参考文献132に報告されている。
【0087】
PiaAは、肺炎球菌による鉄獲得に関与する膜パーミアーゼである。参考として、完全長PiaAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号10である。R6ゲノムにおいて、PiaAはspr0935である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPiaAポリペプチドは、(a)配列番号10と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号10の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPiaAタンパク質は、配列番号10の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号10由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号10の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号10のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PiaAを免疫化に用いることは、参考文献133、134、および135に報告されており、特に、PiuAと組み合わせて用いている。
【0088】
PiuAは、第二鉄輸送のためのABCトランスポーター基質結合タンパク質である。それはまた、FatBとしても知られている。参考として、完全長PiuAのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号9である。R6ゲノムにおいて、PiuAはspr1687である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいPiuAポリペプチドは、(a)配列番号9と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号9の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのPiuAタンパク質は、配列番号9の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号9由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号9の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号9のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。PiuAを免疫化に用いることは、参考文献133〜135に報告されており、特に、PiaAと組み合わせて用いている。
【0089】
CbiOは、コバルトトランスポーターATP結合サブユニットとして注釈を付けられている。参考として、完全長CbiOのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号8である。R6ゲノムにおいて、CbiOはspr2025である[104]。CbiOを免疫化に用いることは参考文献136に報告されている(その文献中では、「ID2」)。本発明と共に用いるのに好ましいCbiOポリペプチドは、(a)配列番号8と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号8の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのCbiOタンパク質は、配列番号8の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号8由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号8の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号8のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0090】
参考として、30Sリボソームタンパク質S8のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号7である。R6ゲノムにおいて、S8サブユニットはspr0203である[104]。本発明と共に用いるのに好ましいS8ポリペプチドは、(a)配列番号7と60%以上(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれ以上)の同一性を有し、かつ/または(b)配列番号7の少なくとも「n」個の連続したアミノ酸の断片を含む(ただし、「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、またはそれ以上)である)、アミノ酸配列を含む。これらのS8タンパク質は、配列番号7の改変体を含む。(b)の好ましい断片は、配列番号7由来のエピトープを含む。他の好ましい断片は、配列番号7の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、配列番号7のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。他の断片は、1つまたは複数のタンパク質ドメインを削除している。
【0091】
S.pneumoniaeは、以下をコードする7個の遺伝子を有する14−kbのislet(PI−1)によってコードされる線毛−1(pilus−1)として知られた線毛を有する:RlrA転写調節因子、LPXTG型細胞壁ソーティングシグナルを有する3つの線毛サブユニット、および3つのソルターゼ酵素。RrgBは、構造のバックボーンを形成する主要なサブユニットである[137〜140]。RrgBサブユニットは、本発明と共に肺炎球菌免疫原として用いることができる。それは少なくとも3つのクレイドを有する。3つのクレイドについての参照アミノ酸配列は、本明細書では配列番号1、2、および3である。クレイドは、それらのN末端およびC末端でよく保存されているが、その間においては異なっている(deviate)。所定のRrgBクレイドに対して産生された血清は、そのクレイドを発現する肺炎球菌に対して活性があるが、その他の2つのクレイドの1つを発現する株に対しては活性がなく、すなわち、クレイド内交差防御はあるが、クレイド間交差防御はないことが見出されている。したがって、肺炎球菌免疫原は、RrgBの少なくとも2つの異なるクレイドを含んでもよい。これらは、別々のポリペプチドとして免疫原性組成物中に存在してもよいし、単一のポリペプチド鎖として融合されていてもよい。
【0092】
したがって、肺炎球菌免疫原は、以下のうちの1つ、2つ、または3つを含んでもよい:
(a)第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、上記第1のアミノ酸配列が、(i)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号1由来の少なくともx個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第1のポリペプチド;
(b)第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドであって、上記第2のアミノ酸配列が、(i)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号2由来の少なくともy個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第2のポリペプチド;ならびに/または
(c)第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチドであって、上記第3のアミノ酸配列が、(i)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号3由来の少なくともz個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第3のポリペプチド。
【0093】
aの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、またはそれ以上である。bの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、またはそれ以上である。cの値は、少なくとも75、例えば、80、85、90、92、94、95、96、97、98、99、またはそれ以上である。a、b、およびcの値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、a、b、およびcは同一である。典型的には、a、b、およびcは少なくとも90、例えば、少なくとも95である。
【0094】
xの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。yの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。zの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。x、y、およびzの値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、x、y、およびzは同一である。
【0095】
好ましくは、断片は、それぞれの配列番号の配列由来のエピトープを含む。他の有用な断片は、それぞれの配列番号の少なくとも1つのエピトープを保持しながら、それぞれの配列番号のC末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠き、かつ/またはN末端から1個もしくは複数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、またはそれ以上)のアミノ酸を欠く。N末端における20〜25個のアミノ酸の切断、例えば、配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸1〜23の除去が、都合がよい。配列番号1の適切な断片は配列番号4である。配列番号2の適切な断片は配列番号5である。配列番号3の適切な断片は配列番号6である。
【0096】
配列番号1由来の少なくともx個の連続したアミノ酸の断片はまた、配列番号2内にも配列番号3内にも存在すべきではない。同様に、配列番号2由来の少なくともy個の連続したアミノ酸の断片はまた、配列番号1内にも配列番号3内にも存在すべきではない。同様に、配列番号3由来の少なくともz個の連続したアミノ酸の断片はまた、配列番号1内にも配列番号2内にも存在すべきではない。したがって、いくつかの実施形態において、配列番号1の断片は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸31〜614に由来する;配列番号2の断片は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸31〜593に由来する;および配列番号3の断片は、好ましくは、配列番号3のアミノ酸31〜603に由来する。いくつかの実施形態において、配列番号1〜3のうちの1つ由来の断片を、その他の2つの配列番号に対して連続した配列として整列させた場合、その断片とその他の2つの配列番号のそれぞれとの間の同一性は、75%未満、例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満である。
【0097】
第1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合、アミノ酸配列、配列番号1を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株TIGR4)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、アミノ酸配列、配列番号2を有する野生型肺炎球菌タンパク質にもアミノ酸配列、配列番号3を有する野生型肺炎球菌タンパク質にも結合しない。
【0098】
第2のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合、アミノ酸配列、配列番号2を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株Finland6B−12)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、アミノ酸配列、配列番号1を有する野生型肺炎球菌タンパク質にもアミノ酸配列、配列番号3を有する野生型肺炎球菌タンパク質にも結合しない。
【0099】
第3のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与された場合、アミノ酸配列、配列番号3を有する野生型肺炎球菌タンパク質(株Taiwan23F−15)に結合する抗体を含む抗体応答を誘発する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、アミノ酸配列、配列番号1を有する野生型肺炎球菌タンパク質にもアミノ酸配列、配列番号2を有する野生型肺炎球菌タンパク質にも結合しない。
【0100】
第1、第2、および第3のアミノ酸配列はいくつかの配列を共有し得るが、全体として、それらは異なるアミノ酸配列を有する。
【0101】
本発明が2つのRrgBクレイドのみを用いる場合、組成物またはポリペプチドは、(a)上記で定義された第1のアミノ酸配列、および(b)上記で定義された第2のアミノ酸配列の両方を含むことができる。代替の実施形態において、組成物は、(a)上記で定義された第1のアミノ酸配列、および(b)上記で定義された第3のアミノ酸配列の両方を含む。代替の実施形態において、組成物は、(a)上記で定義された第2のアミノ酸配列、および(b)上記で定義された第3のアミノ酸配列の両方を含む。
【0102】
本発明と共に用いられるRrgBアミノ酸配列は、配列番号1、2、または3と比較して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の保存的アミノ酸置き換え、すなわち、1つのアミノ酸の、関連側鎖を有する別のものとの置き換えを含んでもよい。遺伝的にコードされているアミノ酸は、一般的に、以下の4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)無極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)無荷電の極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは一緒に、芳香族アミノ酸として分類されることがある。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物活性に大きな影響を生じることはない。ポリペプチドは、参照配列に対して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の単一アミノ酸欠失を有してもよい。ポリペプチドはまた、参照配列に対して、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、それぞれ1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸)を含んでもよい。
【0103】
本発明と共に用いられる肺炎球菌免疫原は、1つより多いそのようなポリペプチドを含み得る。例えば、免疫原は、(a)spr0057、spr0096、およびspr2021の混合物;(b)spr0057、spr0565、およびspr2021の混合物;(c)spr0057、spr0096、およびspr0560の混合物;(d)spr0057、spr0096、spr0565、およびspr2021の混合物;(e)spr1418、spr0884、およびspr0096の混合物;(f)spr1418、spr0884、およびspr2021の混合物;(g)spr1418、spr0884、spr0096、およびspr2021の混合物;(h)spr0884、spr1416、およびspr0057の混合物;(h)spr0884、spr1416、およびspr0096の混合物;(h)spr0884、spr1416、spr0057、およびspr0096の混合物;または(i)spr1418、spr1431、およびspr0565の混合物であってもよい。これらの混合物(a)〜(i)のいずれも、1つまたは複数のRrgBクレイドをさらに含んでもよい。
【0104】
(異なるRrgBクレイドを含む)異なるポリペプチドは、別々のポリペプチドとして存在する必要はなく、代わりに、融合ポリペプチド鎖として発現することができる。有用な融合タンパク質は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸を含む。配列番号15のアミノ酸1〜1793を含むポリペプチドが好ましい。
【0105】
(RSV免疫原)
様々なRSV免疫原が本発明と共に用いることができる。これらは、典型的には、ウイルスのF、G、M(融合、付着、およびマトリックス)抗原、またはそれらの断片の1つ、2つ、または3つを含む。
【0106】
参考文献141は、1つまたは複数のGタンパク質またはその断片を含むサブユニットワクチンを開示し、それらが、免疫病理学的応答を誘発することなく防御免疫を誘発するのに用いることができることを教示している。
【0107】
参考文献142は、支持ペプチドに連結したGタンパク質または断片に基づいたワクチンを開示している。Gタンパク質に基づいたワクチンを、ミクロスフェア内にカプセル化してもよい[143]。
【0108】
3つのF、G、およびM抗原を含む有用な免疫原は参考文献144に開示されており、最良の結果は、アルミニウム塩アジュバントを含まない組成物を用いる場合に得られている。RSV抗原のF/G/M三つ組はまた、参考文献6にも開示された。
【0109】
別のアプローチは、RSVエピトープを含むウイルス様粒子(VLP)またはカプソマーを用いる[145]。VLPは、キメラパピローマウイルスL1ポリペプチドに基づいてもよい。
【0110】
弱毒化生RSVワクチンもまた知られており(例えば、参考文献146参照)、これらが本発明と共に用いられる場合には、それらは、最も有用には、弱毒化生インフルエンザワクチン(例えば、FLUMISTTM製品)と組み合わせることができる。
【0111】
(GBS免疫原)
GBS免疫原は、莢膜糖類および/またはGBSタンパク質を含み得る。典型的なタンパク質には、参考文献147〜150に開示されたものが挙げられる。結合体化莢膜糖類に基づいたワクチンは参考文献151に論じられている。結合体化糖類が含まれる場合、GBS血清型Ia、Ib、II、III、IV、および/またはVの1つまたは複数由来の糖類を含むことが好ましい。有用なGBS免疫原は、「GBS80」タンパク質(配列番号67)またはその免疫原性断片を含み得る。
【0112】
(好ましい免疫原)
本発明と共に用いるのに好ましいインフルエンザ免疫原は、不活性化ウイルス由来免疫原であり、理想的には、スプリットウイルスワクチンかまたは精製インフルエンザウイルス表面抗原ワクチンかのいずれかである。理想的には、ウイルスを、卵またはMDCK細胞培養物において増殖させる。2つのインフルエンザA株(H1N1およびH3N2)および1つのインフルエンザB株由来の赤血球凝集素を含むインフルエンザ免疫原が有用である。インフルエンザ免疫原に、例えば、サブミクロンの液滴を有する水中油型エマルジョンアジュバントを用いて、アジュバント添加してもよい。
【0113】
本発明と共に用いるための別の好ましいインフルエンザ免疫原は、2つのインフルエンザA株(H1N1およびH3N2)および2つのインフルエンザB株(B/Victoria/2/87様インフルエンザBウイルスおよびB/Yamagata/16/88様インフルエンザBウイルス)由来の赤血球凝集素を含む、不活性化ウイルス由来免疫原で、理想的には、スプリットウイルスワクチンかまたは精製インフルエンザウイルス表面抗原ワクチンかのいずれかである。インフルエンザ免疫原に、例えば、サブミクロンの液滴を有する水中油型エマルジョンアジュバントを用いて、アジュバント添加してもよい。このアジュバント添加された4価組み合わせは、月齢6ヶ月以下の乳児において特に有用である。
【0114】
好ましい肺炎球菌免疫原(「Pneumo−3」)は参考文献152に開示されており、抗原「SP2216−1」(参考文献152では配列番号1;本明細書では配列番号68)、「SP 1732−3」(参考文献152では配列番号2;本明細書では配列番号69)、および任意で、PsaA(参考文献152では配列番号3;本明細書では配列番号70)を含む。これらの配列番号の免疫原性断片を含むポリペプチドは、実際に開示された配列番号の代わりに用いることができ、例えば、配列番号68および69のそれぞれ由来の少なくとも1つの免疫原性断片を含むポリペプチドである。
【0115】
別の好ましい肺炎球菌免疫原は、spr0096およびspr2021抗原の両方、特に、spr0096およびspr2021の両方を含む融合タンパク質(例えば、配列番号66を含む)を含む。
【0116】
別の好ましい肺炎球菌免疫原は、3つの異なるRrgBクレイドのそれぞれを含む。したがって、それは、(a)(i)配列番号1と少なくともa%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号1由来の少なくともx個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第1のアミノ酸配列;(b)(i)配列番号2と少なくともb%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号2由来の少なくともy個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第2のアミノ酸配列;ならびに(c)(i)配列番号3と少なくともc%の配列同一性を有し、かつ/もしくは(ii)配列番号3由来の少なくともz個の連続したアミノ酸の断片からなる、アミノ酸配列を含む、第3のアミノ酸配列を含み得る。配列(a)、(b)、および(c)は、理想的には、例えば、配列番号11、13、15、17、19、および21においてのように、同じポリペプチド鎖の一部である(「RrgB三重融合体」)。
【0117】
可能な肺炎球菌免疫原(それがまた、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含むならば好ましい)は、7価または10価または13価の結合体ワクチンである。
【0118】
(免疫原性組成物)
本発明は、ワクチンとして用いることができる免疫原性組成物を提供する。これらのワクチンは予防的(すなわち、感染を防ぐために)または治療的(すなわち、感染を処置するために)のいずれでもあり得るが、典型的には予防的である。
【0119】
したがって、組成物は薬学的に許容され得る。それらは、通常、肺炎球菌免疫原およびインフルエンザ免疫原に加えて成分を含み、例えば、それらには、典型的には、1つまたは複数の薬学的キャリア(複数可)および/または賦形剤(複数可)が挙げられる。そのような成分の徹底的な議論は、参考文献228で入手できる。
【0120】
組成物は、一般的に、水性の形で哺乳動物に投与される。しかしながら、組成物は、投与前に非水性の形である場合もある。例えば、水性の形で製造され、その後、同様に水性の形で、充填され、配布され、投与されるワクチンもあれば、製造中に凍結乾燥され、使用時点で水性の形へ再構成されるワクチンもある。したがって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物などのように乾燥していてもよい。
【0121】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含んでもよい。しかしながら、ワクチンは、水銀物質を実質的に含まないことが好ましく(すなわち、5μg/ml未満)、例えば、チオメルサールを含まないものであるべきである。水銀を含まないワクチンがより好ましい。保存剤を含まないワクチンは特に好ましい。
【0122】
張性を調節するために、ナトリウム塩などの生理的塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、それは、1mg/ml〜20mg/mlで存在し得、例えば、約10±2mg/mlのNaClである。存在し得る他の塩には、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、無水リン酸二ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0123】
組成物は、一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは、240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲内にある。
【0124】
組成物は、1つまたは複数の緩衝剤を含んでもよい。典型的な緩衝剤として、リン酸緩衝剤、Tris緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤(特に、水酸化アルミニウムアジュバントと共に)、またはクエン酸緩衝剤が挙げられる。緩衝剤は、典型的には、5〜20mMの範囲で含まれる。
【0125】
組成物のpHは、一般的には、5.0〜8.1であり、より典型的には、6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5、または7.0〜7.8である。
【0126】
組成物は、好ましくは無菌性である。組成物は、好ましくは、非発熱性であり、例えば、用量あたり<1EU(エンドトキシン単位、標準的尺度)、好ましくは用量あたり<0.1EUを含む。組成物は、好ましくはグルテンを含まない。
【0127】
組成物は、単回免疫化のための材料を含んでもよいし、複数回免疫化のための材料(すなわち、「複数回用量」キット)を含んでもよい。保存剤の含有は、複数回用量の用意においては好ましい。複数回用量組成物に保存剤を含むことの代わりとして(またはそれに加えて)、組成物は、材料の取り出しのための無菌性アダプターを有する容器に含まれてもよい。
【0128】
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの単位投薬容積で投与されるが、半用量(すなわち、約0.25ml)が子どもに投与される場合がある。
【0129】
本発明の免疫原性組成物はまた、1つまたは複数の免疫調節剤を含んでもよい。好ましくは、1つまたは複数の免疫調節剤は、1つまたは複数のアジュバントを含む。本発明の組成物中に用いることができるアジュバントには、以下が挙げられるが、それらに限定されない。
【0130】
(A.ミネラル含有組成物)
本発明においてアジュバントとして用いるのに適したミネラル含有組成物には、アルミニウム塩およびカルシウム塩などのミネラル塩が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などのミネラル塩[例えば、参考文献156の8章および9章参照]、または異なるミネラル化合物の混合物を含み、化合物は任意の適切な形(例えば、ゲル、結晶、非晶質)をとり、かつ吸着が好ましい。ミネラル含有組成物をまた、金属塩の粒子として処方してもよい。
【0131】
「水酸化アルミニウム」として知られたアジュバントは、典型的には、オキシ水酸化アルミニウム塩であり、それは通常、少なくとも部分的に結晶である。式AlO(OH)によって表すことができるオキシ水酸化アルミニウムは、水酸化アルミニウムAl(OH)などの他のアルミニウム化合物と、赤外(IR)分光学、特に1070cm−1における吸着(adsorption)バンドおよび3090〜3100cm−1における強い肩の存在によって区別することができる[参考文献156の9章]。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶度は、半値高における回折バンドの幅((width of the diffraction band at half height)WHH)によって反映され、結晶性が弱い粒子は、より小さい結晶サイズのために、より大きな線の広がりを示す。WHHが増加するにつれて、表面積は増加し、より高いWHH値を有するアジュバントは、抗原吸着についてより大きな能力を有すると見られている。(例えば、透過型電子顕微鏡写真に見られるような)線維状形態は、水酸化アルミニウムアジュバントについて典型である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には、約11であり、すなわち、アジュバント自体は、生理的pHにおいて正の表面電荷を有する。pH7.4における1mgのAl+++あたり1.8〜2.6mgのタンパク質の吸着能力が水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0132】
「リン酸アルミニウム」として知られたアジュバントは、典型的には、ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、少量の硫酸塩も含む(すなわち、ヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩)場合も多い。それらは沈殿によって得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度は、塩においてヒドロキシルに代わってホスフェートが置換する程度に影響する。ヒドロキシリン酸塩は、一般的に、0.3から1.2のPO/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在によって厳密なAlPOとは区別することができる。例えば、3164cm−1(例えば、200℃で)におけるIRスペクトルバンドは、構造的ヒドロキシルの存在を示す[参考文献156の9章]。
【0133】
リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、一般的に、0.3から1.2、好ましくは0.8から1.2、より好ましくは0.95±0.1である。リン酸アルミニウムは一般的に、特にヒドロキシリン酸塩については、非晶質である。典型的なアジュバントは、0.6mg Al3+/mlで含まれる、0.84から0.92のPO/Alモル比をもつ非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムである。リン酸アルミニウムは、一般的に粒状(例えば、透過型電子顕微鏡写真で見られるようにプレート状形態)である。粒子の典型的な直径は、任意の抗原吸着後、0.5〜20μmの範囲(例えば、約5〜10μm)である。pH7.4における1mgのAl+++あたりの0.7〜1.5mgのタンパク質の吸着能力が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0134】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルに代わってのホスフェートの置換度に逆相関し、この置換度は、その塩を沈殿によって調製するのに用いられる反応条件および反応物の濃度に依存して異なり得る。PZCはまた、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させることによって(より多いホスフェート=より酸性PZC)、またはヒスチジン緩衝剤などの緩衝剤を加えることによって(PZCをより塩基性にさせる)、変化する。本発明に従って用いられるリン酸アルミニウムは、一般的に、4.0から7.0、より好ましくは5.0から6.5、例えば、約5.7のPZCを有する。
【0135】
本発明の組成物を調製するために用いられるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤またはTris緩衝剤)を含んでもよいが、これは常に必要とは限らない。懸濁物は、好ましくは、無菌で発熱物質を含まない。懸濁物は、遊離水性リン酸イオンを含んでもよいが、例えば、1.0mMから20mM、好ましくは5mMから15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する。懸濁物はまた、塩化ナトリウムを含んでもよい。
【0136】
一実施形態において、アジュバント成分には、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムの両方の混合物が挙げられる。この場合、水酸化アルミニウムより多いリン酸アルミニウムが存在してもよく、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比である。
【0137】
公知のPREVNARTMおよびSYNFLORIXTMワクチンは、どちらもリン酸アルミニウムアジュバントを含む。このアジュバントは、インフルエンザワクチンと共に用いるのには理想的ではなく、また、肺炎球菌のタンパク質抗原より糖類抗原に適し得る。したがって、組成物がインフルエンザウイルス免疫原および肺炎球菌タンパク質免疫原の両方を含むいくつかの実施形態において、組成物はリン酸アルミニウムアジュバントを含まない場合がある。しかし、リン酸アルミニウムアジュバントが存在する場合には、それは、第2のアジュバント、例えば、3dMPLまたは水中油型エマルジョンとの組み合わせであり得る。単独のアジュバントとしてのリン酸アルミニウム塩の含有は、このようにして避けることができる。
【0138】
患者への投与用の組成物におけるAl+++の濃度は、好ましくは、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3mg/mlから1mg/mlである。<0.85mg/用量の最大量が好ましい。
【0139】
(B.油エマルジョン)
本発明においてアジュバントとして用いるのに適した油エマルジョン組成物には、MF59などのスクアレン−水のエマルジョンが挙げられる[参考文献156の10章;参考文献153も参照](マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子へ処方された5%スクアレン、0.5%Tween 80、および0.5%Span 85)。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた用いてもよい。
【0140】
様々な適切な水中油型エマルジョンが知られており、それらは、典型的には、少なくとも1つの油および少なくとも1つのサーファクタントを含み、油(複数可)およびサーファクタント(複数可)は生分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般的に、直径が5μm未満であり、有利には、エマルジョンは、サブミクロンの直径をもつ油滴を含み、これらの小さいサイズはマイクロフルイダイザーを用いて得られ、安定なエマルジョンを提供する。220nm未満のサイズをもつ液滴は、それらを濾過滅菌に供することができるので、好ましい。
【0141】
本発明は、(魚などの)動物供給源または植物供給源由来のものなどの油と共に用いることができる。植物油の供給源には、堅果、種子、および穀物が挙げられる。最も一般的に入手可能な落花生油、大豆油、ココナッツ油、およびオリーブ油は、堅果油を例示するものである。ホホバ油を用いることができ、例えば、それはホホバ豆から得られる。種子油には、紅花油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油などが挙げられる。穀物群において、コーン油が最も容易に入手できるが、小麦、オート麦、ライ麦、米、テフ、ライコムギなどの他の穀物の油もまた用いてもよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10個の炭素の脂肪酸エステルは、種油中に天然では存在しないが、堅果油および種子油から始まる適切な材料の加水分解、分離、およびエステル化によって調製することができる。哺乳動物の乳由来の脂肪および油は代謝可能であり、それゆえに、本発明の実施に用いてもよい。動物供給源から純粋な油を得るのに必要な分離、精製、鹸化、および他の手段についての手順は当技術分野においてよく知られている。たいていの魚は、容易に収集することができる代謝可能な油を含む。例えば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨蝋などの鯨油は、本明細書で用いることができる魚油のいくつかを例示するものである。いくつかの分岐鎖油は、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般的にテルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして知られた分岐型不飽和テルペノイドを含む。他の好ましい油はトコフェロールである(下記参照)。スクアレンを含む水中油型エマルジョンは特に好ましい。油の混合物を用いることができる。
【0142】
サーファクタントは、それらの「HLB(親水性/親油性バランス)」によって分類することができる。本発明の好ましいサーファクタントは、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、非限定的に、ポリオキシエチレンソルビタンエステルサーファクタント(一般的に、Tweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;DOWFAXTMの商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(例えば、線状EO/POブロックコポリマー);オクトキシノール(繰り返すエトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が様々であり得、オクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に関心対象である);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質;(Brijサーファクタントとして知られた)ラウリル、セチル、ステアリル、およびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30);ならびに(一般的にSPANとして知られた)ソルビタンエステル、例えば、ソルビタントリオレエート(Span 85)およびソルビタンモノラウレートを含むサーファクタントと共に用いることができる。エマルジョンに含まれるのに好ましいサーファクタントは、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span 85(ソルビタントリオレエート)、レシチン、およびTriton X−100である。上記で述べられているように、Tween 80などの界面活性剤は、下記の実施例に見られる熱安定性に寄与する可能性がある。
【0143】
サーファクタントの混合物、例えば、Tween 80/Span 85混合物を用いることができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステル、およびt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100)などのオクトキシノールの組み合わせもまた適している。別の有用な組み合わせは、ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールに加えたラウレス9を含む。
【0144】
サーファクタントの好ましい量(重量%)は以下である:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Tween 80など)0.01〜1%、特に約0.1%;オクチルフェノキシポリオキシエタノールまたはノニルフェノキシポリオキシエタノール(Triton X−100、またはTritonシリーズにおける他の界面活性剤など)0.001〜0.1%、特に0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%。
【0145】
本発明に関して有用な特定の水中油型エマルジョンアジュバントには以下が挙げられるが、それらに限定されない。
【0146】
・スクアレン、Tween 80、およびSpan 85のサブミクロンエマルジョン。容積によるエマルジョンの組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のSpan 85であり得る。重量に置き換えれば、これらの比率は、4.3%のスクアレン、0.5%のポリソルベート80、および0.48%のSpan 85になる。このアジュバントは、参考文献156の10章および参考文献157の12章により詳細に記載されているように、「MF59」として知られている[153〜155]。MF59エマルジョンは、有利には、クエン酸イオン、例えば、10mMのクエン酸ナトリウム緩衝剤を含む。
【0147】
・スクアレン、α−トコフェロール、およびポリソルベート80を含むエマルジョン。これらのエマルジョンは、2〜10%のスクアレン、2〜10%のトコフェロール、および0.3〜3%のTween 80を有し得、スクアレン:トコフェロールの重量比は、好ましくは≦1(例えば、0.90)である(これがより安定なエマルジョンを提供するため)。スクアレンおよびTween 80は、約5:2の容積比、または約11:5の重量比で存在してもよい。1つのそのようなエマルジョンは、Tween 80をPBS中に溶解して、2%の溶液を生じ、その後、90mlのこの溶液を(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlのスクアレン)の混合物と混合し、その後、その混合物をマイクロフルイダイズすることによって作製することができる。生じたエマルジョンは、サブミクロンの油滴、例えば、100nmから250nm、好ましくは約180nmの平均直径をもつ油滴であり得る。
【0148】
・スクアレン、トコフェロール、およびTriton界面活性剤(例えば、TritonX−100)のエマルジョン。エマルジョンはまた、3d−MPLを含んでもよい(下記参照)。エマルジョンはリン酸緩衝剤を含んでもよい。
【0149】
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton界面活性剤(例えば、Triton X−100)、およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3つの成分を約75:11:10の質量比(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTriton X−100、および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)で含んでもよく、これらの濃度は、抗原由来のこれらの成分のいかなる寄与も含むべきである。エマルジョンはまた、スクアレンを含んでもよい。エマルジョンはまた、3d−MPLを含んでもよい(下記参照)。水性相はリン酸緩衝剤を含んでもよい。
【0150】
・スクアラン、ポリソルベート80、およびポロキサマー401(「PluronicTM L121」)のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝食塩水、pH7.4中に処方することができる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバント[158](0.05〜1%のThr−MDP、5%のスクアラン、2.5%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)においてスレオニル−MDPと共に用いられている。それはまた、「AF」アジュバント[159](5%のスクアラン、1.25%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)においてのように、Thr−MDPなしで用いることもできる。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0151】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性サーファクタント(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)、および疎水性非イオン性サーファクタント(例えば、ソルビタンモノオレエート(monoleate)または「Span 80」などのソルビタンエステルまたはマンニドエステル)を含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、および/または200nm未満のサイズをもつ油滴を(容積で)少なくとも90%有する[160]。エマルジョンはまた、アルジトール、凍結保護剤(例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロースなどの糖)、および/またはアルキルポリグリコシドのうちの1つまたは複数を含んでもよい。そのようなエマルジョンを凍結乾燥してもよい。
【0152】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質、および0.05〜5%の非イオン性サーファクタントを有するエマルジョン。参考文献161に記載されているように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
【0153】
・非代謝型油(例えば、軽油)および少なくとも1つのサーファクタント(例えば、レシチン、Tween 80、またはSpan 80)のサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性結合体(例えば、グルクロン酸のカルボキシル基を介しての脂肪族アミンのデスアシルサポニンへの付加によって生成される、参考文献162に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(dimethyidioctadecylammonium)ブロミド、および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンなどの添加物を含んでもよい。
【0154】
・ミネラルオイル、非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性親水性サーファクタント(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[163]。
【0155】
・ミネラルオイル、非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性親油性サーファクタント(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[163]。
【0156】
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)およびステロール(例えば、コレステロール)がらせん状ミセルとして会合しているエマルジョン[164]。
【0157】
本発明と共にアジュバントとして水中油型エマルジョンを用いることは、子どもにおいて特に有用である。これらのアジュバントは、少なくとも6ヶ月間、インフルエンザウイルスに対する高くかつ持続性の抗体力価を与えることができ、誘発された免疫応答は、循環インフルエンザウイルス株の変動改変体に対して交差反応性がある[165]。月齢6ヶ月未満の乳児のインフルエンザ入院率は、現在、あらゆる年齢群の中でも最も高く、したがって、この年齢群において効果的な予防の必要性がある。
【0158】
組成物中の抗原およびアジュバントは、典型的には、患者への送達時点で混合された状態である。エマルジョンを、製造中に、または送達時に即席で、抗原と混合してもよい。したがって、アジュバントおよび抗原は、使用時に最終処方物にする準備が整った状態で、パッケージ化されたワクチンまたは配布されるワクチン内で別々に保持されてもよい。ワクチンが2つの液体を混合することによって最終的に調製されるように、抗原は、一般的に、水性の形である。混合のための2つの液体の容積比は様々であり得るが(例えば、5:1から1:5)、一般的に約1:1である。
【0159】
(C.サポニン処方物[参考文献156の22章])
サポニン処方物もまた、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、茎、根、さらに花にも見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群である。Quillaia saponaria Molinaの木の樹皮由来のサポニンがアジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、商業的には、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライズベール)、およびSaponaria officianalis(ソープルート)から得ることができる。サポニンアジュバント処方物には、QS21などの精製された処方物、およびISCOMなどの脂質処方物が挙げられる。QS21はStimulonTMとして市販されている。
【0160】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。これらの技術を用いた、特定の精製画分は同定されており、それらにはQS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが挙げられる。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の製造方法は、参考文献166に開示されている。サポニン処方物はまた、コレステロールなどのステロールを含んでもよい[167]。
【0161】
サポニンおよびコレステロールの組み合わせは、免疫賦活性複合体(ISCOM)と呼ばれる独特な粒子を形成するために用いることができる[参考文献156の23章]。ISCOMはまた、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質を含む。任意の公知のサポニンをISCOMに用いることができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA、およびQHCの1つまたは複数を含む。ISCOMは、参考文献167〜169にさらに記載されている。任意で、ISCOMはさらなる界面活性剤を欠いてもよい[170]。
【0162】
サポニンに基づいたアジュバントの開発の概論は、参考文献171および172に見出すことができる。
【0163】
(D.細菌または微生物の誘導体)
本発明に用いるのに適したアジュバントには、腸内細菌性リポ多糖(LPS)の無毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、ならびにADPリボシル化毒およびその解毒化誘導体などの細菌または微生物の誘導体が挙げられる。
【0164】
LPSの無毒性誘導体には、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4つ、5つ、または6つのアシル化鎖を有する3デ−O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3デ−O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」の形は、参考文献173に開示されている。そのような3dMPLの「小粒子」は、0.22μmの膜を通って滅菌濾過されるのに十分小さい[173]。他の無毒性LPS誘導体には、リン酸アミノアルキルグルコサミニド誘導体、例えば、RC−529などのモノホスホリルリピドA模倣体が挙げられる[174、175]。
【0165】
リピドA誘導体には、OM−174などの大腸菌由来のリピドAの誘導体が挙げられる。OM−174は、例えば、参考文献176および177に記載されている。
【0166】
本発明においてアジュバントとして用いるのに適した免疫賦活性オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(リン酸結合によってグアノシンに連結した非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドもまた、免疫賦活性であることが示されている。
【0167】
CpGは、ホスホロチオエート修飾体などのヌクレオチド修飾体/類似体を含み得、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献178、179、および180は、可能な類似体置換、例えば、グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでの置き換えを開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献181〜186にさらに考察されている。
【0168】
CpG配列は、TLR9に向けられ得、例えば、モチーフGTCGTTまたはTTCGTTがある[187]。CpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的である場合があり、(例えば、CpG−A ODN)、またはB細胞応答の誘導に、より特異的である場合もある(例えば、CpG−B ODN)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは参考文献188〜190に考察されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0169】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識のためにアクセス可能であるように構築される。任意で、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列を、それらの3’末端で付着して、「イムノマー」を形成してもよい。例えば、参考文献187、および191〜193参照。
【0170】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドに基づいた特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして知られている[194〜196]。したがって、本発明と共に用いられるアジュバントは、(i)少なくとも1つ(好ましくは複数)のCpIモチーフ(すなわち、シトシンがイノシンに連結してジヌクレオチドを形成している)を含むオリゴヌクレオチド(例えば、15〜40個のヌクレオチド)、および(ii)少なくとも1つ(好ましくは複数)のLys−Arg−Lysトリペプチド配列を含むオリゴペプチド(例えば、5〜20個のアミノ酸)などのポリカチオン性ポリマーの混合物を含んでもよい。オリゴヌクレオチドは、26−merの配列5’−(IC)13−3’(配列番号71)を含むデオキシヌクレオチドであってもよい。ポリカチオン性ポリマーは、11−merのアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号72)を含むペプチドであってもよい。配列番号71と配列番号72のこの組み合わせは、IC−31TMアジュバントを提供する。
【0171】
細菌ADPリボシル化トキシンおよびその解毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。好ましくは、そのタンパク質は、大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)に由来する。解毒化ADPリボシル化トキシンを粘膜アジュバントとして用いることは、参考文献197に記載され、参考文献198においては非経口アジュバントとして記載されている。そのトキシンまたはトキソイドは、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホロトキシンの形をとる。好ましくは、Aサブユニットは、解毒性変異を含む;好ましくは、Bサブユニットは変異されていない。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLT−G192などの解毒化LT変異体である。ADPリボシル化トキシンおよびそれらの解毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72をアジュバントとして用いることは、参考文献199〜206に見出すことができる。有用なCT変異体はCT−E29Hである[207]。アミノ酸置換に関する数的基準は、好ましくは、全体が参考として本明細書に明確に組み入れられた参考文献208に示されたADPリボシル化トキシンのAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントに基づいている。
【0172】
(E.ヒト免疫調節物質)
本発明においてアジュバントとして用いるのに適したヒト免疫調節物質には、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12[209]など)[210]、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子などのサイトカインが挙げられる。好ましい免疫調節物質はIL−12である。
【0173】
(F.生体接着剤(bioadhesive)および粘膜接着剤(mucoadhesive))
生体接着剤および粘膜接着剤もまた、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。適切な生体接着剤には、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア[211]、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖、およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体などの粘膜接着剤が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた本発明においてアジュバントとして用いてもよい[212]。
【0174】
(G.微粒子)
微粒子もまた、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。生分解性かつ無毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましい)から形成された微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)は、任意で、負荷電表面(例えば、SDSを用いて)または正荷電表面(例えば、CTABなどの陽イオン性界面活性剤を用いて)を有するように処理される。
【0175】
(H.リポソーム(参考文献156の13章および14章))
アジュバントとして用いるのに適したリポソーム処方物の例は、参考文献213〜215に記載されている。
【0176】
(I.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとして用いるのに適したイミダゾキノロン化合物の例には、イミキモドおよびその同族体(例えば、「レシキモド 3M」)が挙げられ、それらは参考文献216および217にさらに記載されている。
【0177】
本発明はまた、上記で同定されたアジュバントの1つまたは複数の態様の組み合わせを含んでもよい。例えば、以下のアジュバント組成物を本発明に用いてもよい:(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン[218];(2)サポニン(例えば、QS21)+無毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[219];(3)サポニン(例えば、QS21)+無毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(任意で、+ステロール)[220];(5)3dMPLの、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ[221];(6)サブミクロンエマルジョンへマイクロフルイダイズされたか、またはより大きな粒子サイズエマルジョンを生じるようにボルテックスされたかのいずれかの、10%のスクアレン、0.4%のTween 80TM、5%のプルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAF;(7)2%のスクアラン、0.2%のTween 80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つまたは複数の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)を含む、RibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);ならびに(8)1つまたは複数のミネラル塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの無毒性誘導体(例えば、3dMPL)。
【0178】
免疫賦活剤として作用する他の物質は参考文献156の7章に開示されている。
【0179】
水酸化アルミニウムアジュバントは有用であり、抗原は、一般的にこの塩に吸着される。サブミクロンの油滴を有する、スクアレンを含む水中油型エマルジョンもまた、特に高齢者において、好ましい。有用なアジュバント組み合わせには、CpGとアルミニウム塩、またはレシキモドとアルミニウム塩などのTh1アジュバントとTh2アジュバントとの組み合わせが挙げられる。アルミニウム塩と3dMPLとの組み合わせを用いてもよい。
【0180】
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫的有効量の肺炎球菌免疫原およびインフルエンザ免疫原、加えて、必要に応じて、任意の他の成分を含む。「免疫的有効量」とは、単回投与で、または一連の一部として、のいずれかでのその量の個体への投与が、処置または予防に効果的であることを意味する。この量は、処置されるべき個体の健康状態および身体的状態、年齢、処置されるべき個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系の抗体を合成する能力、望まれる防御の程度、ワクチンの処方、処置を行う医者の医学的状況の評価、および他の関連因子によって異なる。量は、日常的試行を通して決定することができる比較的広い範囲になることが予想される。投薬ガイダンスは、認可されたヒト肺炎球菌ワクチンおよびインフルエンザワクチンからすでに入手可能である。
【0181】
肺炎球菌感染およびインフルエンザ感染は、身体の様々な領域に影響を及ぼし得、それゆえに、本発明の組成物は様々な形に調製してもよい。例えば、組成物は、液体溶液かまたは懸濁物かのいずれかとしての注射剤(injectables)として調製されてもよい。注射前の液体ビヒクルにおける溶液または懸濁物に適した固体の形でもまた調製することができる(例えば、凍結乾燥した組成物、または噴霧凍結乾燥した組成物)。組成物は、局所投与用に、例えば、軟膏、クリーム、または粉末として、調製されてもよい。組成物は、経口投与用に、例えば、錠剤またはカプセルとして、スプレーとして、またはシロップ(任意で、矯味矯臭する)として、調製されてもよい。組成物は、肺への投与用に、例えば、微粉またはスプレーを用いる吸入器として、調製されてもよい。組成物は、坐剤またはペッサリーとして調製されてもよい。組成物は、鼻、耳、または眼への投与用に、例えば、滴剤として、調製されてもよい。しかし、通常、組成物は、筋肉内注射に適した注射液であり、それは、不活性化インフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンの両方についての現在の投与経路であり、通常、0.5mlの単位投薬容積で用いられる。
【0182】
インフルエンザワクチンはシーズンを基準として調製されるが、肺炎球菌ワクチンはそうではないため、本発明の免疫原性組成物を提供するように使用時点で組み合わせることができる成分を含むキットを配布することが、都合がよい場合がある。この用意により、例えば、肺炎球菌ワクチンまたはRSVワクチンをインフルエンザのシーズンとシーズンとの間に保存することができる。したがって、本発明は、(i)インフルエンザウイルス免疫原を含む第1のキット成分および(ii)肺炎球菌免疫原を含む第2のキット成分を含む、キットを提供する。その2つのキット成分を混合することによって、本発明の組成物が提供される。第2のキット成分は、乾燥した形であり得、その場合、それは、インフルエンザウイルス免疫原によって再構成されて、本発明の組成物を提供することができる。第1の成分および第2の成分の両方が液体の形である場合には、それらの免疫原は、それらの混合によって最終投薬濃度へと相互希釈されるように、所望の最終濃度より濃縮されているべきである。例えば、2つの液体免疫原は、1:1(容積)混合が、要求される最終濃度を与えるように、2倍濃度で供給することができる。
【0183】
そのようなキットが提供される場合、それは2つのバイアルを含んでもよいし、1つの充填済みのシリンジおよび1つのバイアルを含んでもよく、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために用いられる。他の用意もまた可能である。
【0184】
2つの免疫原がキットの形で存在する場合、一方または両方がアジュバントを含み得る。しかしながら、他の実施形態において、キットは、アジュバントを含む第3のキット成分を含み、その場合、第3の成分を、アジュバント無添加の第1の成分および第2の成分と組み合わせて、最終のアジュバント添加組成物を提供することができる。1つの有用なキットにおいて、インフルエンザ免疫原が(例えば、水中油型エマルジョンアジュバントで)アジュバント添加され、一方、肺炎球菌免疫原はアジュバントを添加されず、それらの混合により、本発明のアジュバント添加組成物が提供される。別の有用なキットにおいて、インフルエンザ免疫原はアジュバントを添加されず、一方、肺炎球菌免疫原はアジュバント添加され、それらの混合により、本発明のアジュバント添加組成物が提供される。別の有用なキットにおいて、インフルエンザ免疫原および肺炎球菌免疫原は両方ともアジュバント添加されるが、異なるアジュバントが添加される。
【0185】
(処置方法およびワクチンの投与)
本発明はまた、有効量の本発明の免疫原性組成物を投与する工程を含む、哺乳動物において免疫応答を起こす方法を提供する。免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体および/または細胞媒介免疫を含む。上記方法はブースター応答を起こし得る。
【0186】
本発明はまた、例えば、哺乳動物において免疫応答を起こすのに用いる、組み合わせ医薬として使用するためのインフルエンザウイルス免疫原および肺炎球菌免疫原を提供する。肺炎球菌免疫原は、典型的には、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。医薬はまた、RSV免疫原を含んでもよいが、いくつかの実施形態において、医薬はRSV免疫原を含まない。
【0187】
本発明はまた、例えば、哺乳動物において免疫応答を起こすのに用いる、組み合わせ医薬として使用するための、(i)少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む肺炎球菌免疫原、ならびに(ii)インフルエンザウイルス免疫原および/またはRSV免疫原を提供する。
【0188】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を起こすための組み合わせ医薬の製造におけるインフルエンザウイルス免疫原および肺炎球菌免疫原の使用を提供する。肺炎球菌免疫原は、典型的には、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む。医薬はまた、RSV免疫原を含んでもよいが、いくつかの実施形態において、医薬はRSV免疫原を含まない。
【0189】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を起こすための組み合わせ医薬の製造における(i)少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む肺炎球菌免疫原、ならびに(ii)インフルエンザウイルス免疫原および/またはRSV免疫原の使用を提供する。
【0190】
これらの使用および方法によって哺乳動物において免疫応答を起こすことにより、哺乳動物は、肺炎球菌およびインフルエンザの両方に対して防御することができる。したがって、組成物は、(a)S.pneumoniaeにより引き起こされる侵襲性疾患(例えば、菌血症、敗血症、髄膜炎、菌血症性肺炎、および/または急性中耳炎を含む)、ならびに(b)特にインフルエンザウイルスA型およびB型によって引き起こされる、インフルエンザウイルス疾患および/または感染に対する能動免疫のために用いることができる。したがって、相まって、その組み合わせは、複数の下気道疾患に対して効果的であり得る。
【0191】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物であらかじめ充填された送達デバイスを提供する。適切な送達デバイスには、プレフィルドシリンジが挙げられる。
【0192】
哺乳動物は好ましくはヒトである。ワクチンが予防用である場合、ヒトは好ましくは、子ども(例えば、幼児または乳児)またはティーンエイジャーである;ワクチンが治療用である場合、ヒトは好ましくはティーンエイジャーまたは成人である。子ども用に意図されたワクチンもまた、成人に、例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために投与されてもよい。本発明に従って調製されたワクチンは、子どもおよび成人のどちらを処置するのにも用いることができる。したがって、ヒト患者は、1歳未満、5歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であってもよい。そのワクチンを受けるのに好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは≧65歳)である。しかしながら、そのワクチンは、これらの年齢群だけに適しているのではなく、より一般的に、幼い者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍人および兵士、妊婦、慢性疾病患者または免疫不全の患者を含む集団に用いてもよい。
【0193】
治療的処置の効力を調べる1つの方法は、本発明の組成物の投与後、肺炎球菌感染またはインフルエンザ感染をモニターすることを含む。予防的処置の効力を調べる1つの方法は、標準的検査において免疫後血清を検査することを含む。例えば、抗肺炎球菌性免疫を調べるために、血清を、オプソニン作用性死滅アッセイ((opsonophagocytic killing assay)OPKA)において検査し得、肺炎球菌をオプソニン化する能力は、防御効力を示している。予防的な抗肺炎球菌処置の効力を調べる別の方法は、肺炎球菌感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスにおける免疫後のチャレンジを含む。1つのそのようなモデルは参考文献222に記載されている。抗インフルエンザ免疫を調べるために、赤血球凝集力価またはマイクロ中和力価を試験するなどの標準のインビトロ試験を用いることができる。好ましい本発明の組成物は、子どもに投与されるとしても、各インフルエンザ株について成人効力のCPMP判定基準の1、2、または3を満たす。これらの基準は、(1)≧70%の血清防御;(2)≧40%のセロコンバージョンもしくは有意な増加;および/または(3)≧2.5倍のGMT増加である。高齢者(>60歳)においては、これらの判定基準は、(1)≧60%の血清防御;(2)≧30%のセロコンバージョン;および/または(3)≧2倍のGMT増加である。これらのCPMP判定基準は、少なくとも50人の患者での非盲検研究に基づく。
【0194】
本発明の組成物は、医療的看病を必要とする発熱性疾病、急性中耳炎、および/または下気道感染(肺炎を含む)を低減するのに適し得る。
【0195】
本発明の組成物は、一般的に、患者へ直接、投与される。直接的送達は、非経口注射(例えば、皮下に、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、または組織の間質腔へ)により、または直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、膣、局所、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻腔内、眼、耳、肺、もしくは他の粘膜投与によるなどの粘膜を通して、達成することができる。上記で論じられているように、筋肉内投与が典型的である。
【0196】
本発明は、全身性免疫および/または粘膜免疫を誘発するために、好ましくは全身性免疫および/または粘膜免疫の増強を誘発するために、用いることができる。
【0197】
投薬は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュールによるものであり得る。複数回投与は、一次免疫スケジュールおよび/またはブースター免疫スケジュールに用いることができる。複数回投与スケジュールにおいて、様々な投与を、同じ経路かまたは異なる経路、例えば、非経口で一次免疫および粘膜でブースター、粘膜で一次免疫および非経口でブースターなどによって与えることができる。複数回投与は、典型的には、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)離して投与される。本発明の免疫原性組成物は、同じ患者に、毎年、2年ごと、3年ごとなどで、投与することができる。
【0198】
本発明の組成物を(例えば、<15歳の子ども、または>55歳の高齢者において)用いる1つの方法は、本明細書に定義されているような(例えば、肺炎球菌免疫原およびインフルエンザ免疫原を含む)組み合わせワクチンを投与すること、およびその後、それに続くシーズン中に組み合わせではないインフルエンザワクチン(例えば、通常の三価シーズン性インフルエンザワクチン)を与えることである。本発明は、(i)本発明の免疫原性組成物を投与する工程であって、前記組成物がインフルエンザウイルス免疫原を含む、工程、その後、少なくとも3ヶ月後、(ii)インフルエンザウイルス免疫原が唯一の免疫原性成分である免疫原性組成物を投与する工程を含む、患者を免疫化するための方法を提供する。本発明はまた、インフルエンザウイルス免疫原が唯一の免疫原性成分である免疫原性組成物を患者へ投与する工程であって、前記患者が以前、インフルエンザウイルス免疫原を含む本発明の免疫原性組成物で免疫化されている、工程を含む、患者を免疫化するための方法を提供する。
【0199】
本発明により作製されたワクチンは、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同じ診察中に、またはヘルスケアの専門家もしくは予防接種センターへの同じ訪問中に)、例えば、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合体型H.influenzae b型ワクチン、不活性化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合体ワクチン(四価A−C−W135−Yワクチンなど)、RSウイルスワクチンなどと実質的に同時に、患者に投与されてもよい。
【0200】
本発明の組成物を(例えば、<1歳の子どもにおいて)用いる1つの方法は、2ヶ月間間隔をあけた3回の投与を、例えば、生後2ヶ月目、4ヶ月目、および6ヶ月目に、施すことである。これらの免疫化は、他の小児用ワクチンと同時に、例えば、DTP含有ワクチン(DTaP含有ワクチンなど)と同時に、与えることができる。したがって、子どもにおける三価インフルエンザワクチンの典型的な用法とは違って、本発明の組成物は、シーズン的なスケジュールではなく、年齢に基づいたスケジュールで用いることができる。この投与スケジュールは、肺炎球菌ポリペプチド、H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、B/Victoria/2/87様インフルエンザBウイルス、およびB/Yamagata/16/88様インフルエンザBウイルスのそれぞれ由来の赤血球凝集素、ならびに水中油型エマルジョンアジュバントを含むワクチンに関して特に有用である。
【0201】
(ポリペプチド)
本発明と共に用いられるポリペプチドは(例えば、肺炎球菌免疫原の一部として)、多くの方法で、例えば、化学合成により(全部または一部において)、より長いポリペプチドをプロテアーゼを用いて消化することにより、RNAからの翻訳により、細胞培養物から(例えば、組換え発現から)の精製により、生物体自体から(例えば、細菌培養後、または患者から直接)などで調製することができる。<40個のアミノ酸長のペプチドの作製のための好ましい方法は、インビトロの化学合成を含む[223、224]。tBocまたはFmoc[225]化学に基づいた方法などの固相ペプチド合成が特に好ましい。酵素合成[226]もまた、部分的に、または全部に用いてもよい。化学合成の代替として、生物学的合成を用いてもよく、例えば、ポリペプチドは翻訳によって産生することができる。これは、インビトロでもインビボでも行うことができる。生物学的方法は、一般的に、L−アミノ酸に基づいたポリペプチドの産生に制限されるが、翻訳機構の(例えば、アミノアシルtRNA分子の)操作を用いて、D−アミノ酸の(またはヨードチロシン、もしくはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなどの他の非天然アミノ酸の)導入を可能にすることができる[227]。しかしながら、D−アミノ酸が含まれる場合、化学合成を用いることが好ましい。ポリペプチドは、C末端および/またはN末端に共有結合的修飾を有してもよい。
【0202】
ポリペプチドは、様々な形(例えば、天然、グリコシル化、非グリコシル化、脂質付加、脂質付加なし、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、粒子性、変性など)をとることができる。
【0203】
ポリペプチドは、好ましくは、精製されたか、または実質的に精製された形、すなわち、他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば、天然のポリペプチドを含まない)、特に、他の肺炎球菌ポリペプチドまたは宿主細胞ポリペプチドを含まない形で提供され、一般的に、少なくとも約50(重量)%純粋、通常、少なくとも約90%純粋であり、すなわち、組成物の約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば、5%以下)が、他の発現したポリペプチドで構成されている。
【0204】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、線状でも分岐型でもよく、それは、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。その用語はまた、自然に、または介入によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合体化などの任意の他の操作もしくは改変によって、改変されているアミノ酸ポリマーも含む。例えば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、および当技術分野において公知の他の改変を含むポリペプチドもまた、その定義内に含まれる。ポリペプチドは、一本鎖または会合した鎖として生じることができる。ポリペプチドは、自然にグリコシル化するか、または非自然的にグリコシル化することができる(すなわち、ポリペプチドは、対応する天然に生じているポリペプチドに見出されるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)。
【0205】
ポリペプチドの発現は連鎖球菌で起こり得るが、本発明は、通常、組換え発現のための異種性宿主を用いる。異種性宿主は、原核生物(例えば、細菌)であってもよいし、真核生物であってもよい。それは通常、大腸菌であるが、他の適切な宿主として、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。
【0206】
(全般)
本発明の実施は、他に指示がない限り、当技術分野の技能範囲内の、化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の通常の方法を用いる。そのような技術は、文献に完全に説明されている。例えば、参考文献228〜235など参照。
【0207】
「GI」番号付けは上記で用いられている。GI番号、または「GenInfo識別名」は、配列がデータベースに加えられたときに、NCBIによって処理される各配列記録に連続的に割り当てられる一連の数字である。GI番号は、配列記録のアクセッション番号との類似点はない。配列が(例えば、訂正のために、またはより多くのアノテーションもしくは情報を加えるために)アップデートされるとき、配列は新しいGI番号を受け取る。したがって、所定のGI番号に関連した配列は決して変更されない。
【0208】
本発明が「エピトープ」に関係する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであり得る。そのようなエピトープは、実験的に(例えば、PEPSCAN[236、237]または類似した方法を用いて)同定することができ、または(例えば、Jameson−Wolf抗原インデックス[238]、マトリックスに基づいたアプローチ[239]、MAPITOPE[240]、TEPITOPE[241、242]、神経ネットワーク(neural network)[243]、OptiMer & EpiMer[244、245]、ADEPT[246]、Tsites[247]、親水性[248]、抗原インデックス[249]、または参考文献250〜254に開示された方法などを用いて)予測することができる。エピトープは、抗体またはT細胞受容体によって認識され、それらの抗原結合部位に結合する抗原の一部であり、「抗原決定基」と呼ばれる場合もある。
【0209】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、排他的にXだけからなる場合もあるし、追加のものを含む、例えば、X+Yである場合もある。
【0210】
用語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを全く含まなくてもよい。必要な場合、用語「実質的に」は、本発明の定義から省略されてもよい。
【0211】
数値xに関しての用語「約」は、任意であり、例えば、x±10%を意味する。
【0212】
具体的に記述がない限り、2つ以上の成分を混合する工程を含むプロセスは、いかなる特定の混合順序も必要としない。したがって、成分は、任意の順序で混合することができる。3つの成分がある場合、2つの成分をお互いに組み合わせることができ、その後、その組み合わせを第3の成分と組み合わせてもよいなど。
【0213】
抗体は、一般的に、それらの標的に特異的である。したがって、それらは、ウシ血清アルブミンなどの無関係の対照タンパク質に対してよりも、その標的に高い親和性を有する。
【0214】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性への言及は、整列させた場合、その2つの配列を比較すると、そのパーセンテージのアミノ酸が同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば、参考文献255のセクション7.7.18に記載されたものを用いて決定することができる。好ましいアラインメントは、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより、12のギャップオープンペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスでのアフィンギャップ検索を用いて決定する。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは参考文献256に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】図1は、11個の試験群のマウス由来の血清を用いた50%中和力価を示す。各群は、A/H1N1(左)およびA/H3N2(右)に対するMN力価を表す、2つのバーのデータを有する。11個の群は、左から右へ、RrgB−321+MF59;RrgB−213+MF59;インフルエンザ単独;インフルエンザ+MF59;RrgB−321+インフルエンザ/MF59;RrgB−213+インフルエンザ/MF59;MF59単独;インフルエンザ+水酸化アルミニウム;RrgB−321+インフルエンザ/水酸化アルミニウム;RrgB−213+インフルエンザ/水酸化アルミニウム;緩衝剤である。
【図2】図2は、図1と同じ11個の試験群についてのHI力価(GMT、log−2スケール)を示す。各群は、A/H1N1(左)、A/H3N2(中央)、またはB(右)に対するMN力価を表す、3つのバーのデータを有する。
【図3】図3は、血清の示された希釈度を用いたOPKA結果(%死滅)を示す。線は、6個の群についてのデータを示し、1/12希釈度について上から下へ:○ Prevnar対照;△ 抗−6B対照;◇ RrgB−321+MF59;△ RrgB−321+インフルエンザ+MF59;□ RrgB−321+インフルエンザ+水酸化アルミニウム;および△ インフルエンザ単独である。
【発明を実施するための形態】
【0216】
(予備実験)
6週齢のBalB/cマウス(群あたり8匹のマウス)を0日目、14日目、および28日目に免疫化する。組成物を筋肉内に投与する。その後、マウスを肺炎球菌のTIGR4株で鼻腔内チャレンジし、インビボ防御(死亡率)およびインビトロ防御(オプソニン作用性死滅アッセイ)について評価する。そのチャレンジ前にマウスから血液を採取し、インフルエンザセロコンバージョンについて評価する。
【0217】
第1の実験は、肺炎球菌免疫原(20μgの「RrgB三重融合体」タンパク質および/またはポリペプチドあたり50μgでの150μgの「Pneumo−3」組み合わせ)、インフルエンザ免疫原(0.1μg/株でのAgrippalTM製品またはFluadTM製品)、またはその2つの混合物を与える11群のマウスを用いる。組成物に水酸化アルミニウムでアジュバント添加し、さらなる対照群には、アジュバントのみを与える。11群には以下のとおりに免疫原を与える:
1.RrgB三重融合体+アジュバント
2.Pneumo−3+アジュバント
3.AgrippalTM+アジュバント
4.RrgB三重融合体+Pneumo−3+AgrippalTM+アジュバント
5.RrgB三重融合体+Pneumo−3+アジュバント
6.Pneumo−3+AgrippalTM+アジュバント
7.RrgB+AgrippalTM+アジュバント
8.アジュバント
9.AgrippalTM
10.FluadTM
11.RrgB三重融合体+Pneumo−3+FluadTM
【0218】
第2の実験は、肺炎球菌免疫原、インフルエンザ免疫原、またはその2つの混合物を与える8群のマウスを用いる。組成物にMF59でアジュバント添加する。8群は以下である:
1.RrgB三重融合体+MF59
2.Pneumo−3+MF59
3.FluadTM
4.RrgB三重融合体+Pneumo−3+FluadTM+MF59
5.RrgB三重融合体+Pneumo−3+MF59
6.Pneumo−3+FluadTM+MF59
7.RrgB三重融合体+FluadTM+MF59
8.MF59。
【0219】
(組み合わせワクチンでの機能的免疫学アッセイ)
「213」(配列番号21)または「321」(配列番号15)と呼ばれる2つの異なるRrgB三重融合体を、アジュバント添加されていないか、またはMF59かもしくは水酸化アルミニウムのいずれかでアジュバント添加された、三価シーズン性インフルエンザワクチンと組み合わせる。これらの組み合わせを、マウスを免疫化するのに用いる。
【0220】
マウスをRrgB三重融合体およびインフルエンザワクチンの異なる組み合わせで、筋肉内で免疫化する。免疫化されたマウス由来の血清を、インフルエンザ赤血球凝集抑制(HI)アッセイおよびマイクロ中和(MN)アッセイにより、およびオプソニン作用性死滅アッセイ(OPKA)においても評価する。合計11群である。0日目に、マウスに、MF59かまたは水酸化アルミニウムのいずれかでアジュバント添加されたRrgB三重融合体(20μg)の1つを与える。対照マウスには、MF59単独かまたは緩衝剤単独を与える。14日目に、マウスに、アジュバント添加されていないか、またはMF59もしくは水酸化アルミニウムでアジュバント添加されたかのいずれかのRrgB三重融合体(20μg)を、0.1μgのインフルエンザワクチンと共に、またはインフルエンザワクチン無しで、与える。対照マウスには、緩衝剤単独を、またはアジュバント添加されていないか、MF59もしくは水酸化アルミニウムでアジュバント添加されたかのいずれかのインフルエンザワクチンを与える。28日目に、マウスに、再び14日目と同じ組成物を与える。
【0221】
MNアッセイについて、MDCK細胞を、20,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに入れた。次の日、マウス血清を、96ウェルプレートにおいて連続希釈し、一定量のインフルエンザウイルス(各株について300 TCID50/ウェル)と37℃で1時間、インキュベートする。その後、血清/ウイルスの混合物を、トリプシンの存在下でプレートに入れておいたMDCK細胞へ加え(1:250最終)、37℃でインキュベートする。一晩のインキュベーション後、感染細胞を、ELISAに基づいたアッセイで同定する。MDCK細胞をPFA2%で固定し、透過処理し、各ウイルスに特異的であるFITC結合型抗M/NP抗体で標識する。1時間のインキュベーション後、細胞を、POD結合型抗FITC抗体で染色する。1時間後、POD基質を加え、450nmでの吸光度を評価する。吸光度の強さは、感染細胞の数に正比例する。各試料希釈物について得られたデータは、4パラメーターのフィッティング曲線で内挿され、MN力価は、感染を50%低下させるのに必要とされる血清希釈度の逆数として表示される。
【0222】
HIアッセイについて、血清を個々に分析し、結果は、幾何平均力価(GMT)として表される。HIアッセイは、シチメンチョウの赤血球を用いる標準手順に従って実行される。力価は、赤血球凝集の抑制を与える最後の血清希釈度として読み取られる。10の力価が、試験された最初(1:20)の希釈度で陰性結果を示した血清に割り当てられる。
【0223】
OPKAアッセイについて、42日目の血清から得られたデータは、血清型6B肺炎球菌に対して試験される。簡単に述べると、熱不活性化マウス抗血清の連続希釈でオプソニン化された細菌を、寒天上へ蒔く前に、新生仔ウサギ補体および食細胞(分化型ヒト前白血病(proleukemia)細胞)と37℃で1時間、混合する。一晩のインキュベーション後、生存しているコロニーを数え、結果は、血清無しの対照に対する、OPKAにおいて死滅した細菌のパーセンテージとして表示される。
【0224】
MN(図1)およびHI(図2)の両方に関する結果は、水酸化アルミニウムを用いるよりMF59の存在下において全体的に良好な応答を示している。一般的に、インフルエンザワクチンの「321」融合体との組み合わせで免疫化されたマウスは、インフルエンザワクチン単独に匹敵するHI力価およびMN力価を示し、一方、インフルエンザワクチンの「213」融合体との組み合わせで免疫化されたマウスは、3つのシーズン性株に対してHI力価およびMN力価の有意な減少を示す。同様の結果はインフルエンザBウイルスについて見られた。
【0225】
同様に、OPAアッセイ(図3)は、組み合わせワクチンに対して産生された抗体が、RrgB融合体単独に対して産生された抗体に類似した死滅効力を有することを示している。加えて、死滅は、MF59でアジュバント添加された「321」キメラを含む組み合わせから得られた抗血清に関して、より高かった。
【0226】
結論として、これらの前臨床データより、肺炎球菌ポリペプチド抗原およびインフルエンザウイルス抗原の組み合わせが、下気道感染を標的にする効果的な免疫化ストラテジーを提供できることが示されている。水中油型エマルジョンアジュバントを用いる効力の向上は、このアプローチが月齢6ヶ月未満の乳児において特に役立つことを指し示している[165]。
【0227】
本発明は例としてのみ記載されているのであって、本発明の範囲および精神の中に留まりながら改変がなされ得ることは理解される。
【0228】
【数1】

【0229】
【数2】

【0230】
【数3】

【0231】
【数4】

【0232】
【数5】

【0233】
【数6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)インフルエンザウイルス免疫原および肺炎球菌免疫原、
(b)RSV免疫原および肺炎球菌免疫原、または
(c)インフルエンザウイルス免疫原、RSV免疫原、および肺炎球菌免疫原
を含む免疫原性組成物であって、該肺炎球菌免疫原は、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
アジュバントを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アジュバントが水中油型エマルジョンを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
B群連鎖球菌免疫原を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
0.5mlの単位用量容積を有するものである、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記インフルエンザウイルス免疫原が、H1N1インフルエンザAウイルス、H3N2インフルエンザAウイルス、B/Victoria/2/87様インフルエンザBウイルス、およびB/Yamagata/16/88様インフルエンザBウイルス由来の赤血球凝集素を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
インフルエンザウイルス免疫原、肺炎球菌免疫原、および/またはRSV免疫原の2つ以上を混合する工程であって、該肺炎球菌免疫原が肺炎球菌ポリペプチドを含む、工程を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物を調製するためのプロセス。
【請求項8】
GBS免疫原を混合する工程を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
0.5mlの単位用量容積を有する組成物を生じる、請求項7または請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
(i)インフルエンザウイルス免疫原を含む第1のキット成分、および
(ii)肺炎球菌免疫原を含む第2のキット成分であって、該肺炎球菌免疫原は、少なくとも1つの肺炎球菌ポリペプチドを含む、第2のキット成分
を含む、キット。
【請求項11】
前記第2のキット成分が乾燥した形をとる、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記第1のキット成分がアジュバントを含む、請求項10または請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記インフルエンザ免疫原が、スプリットウイルスワクチンまたは精製されたインフルエンザウイルス表面抗原ワクチンであり、該スプリットウイルスワクチンまたは該精製されたインフルエンザウイルス表面抗原ワクチンが、2つのインフルエンザA株(H1N1およびH3N2)および1つのインフルエンザB株由来の赤血球凝集素を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物またはプロセスまたはキット。
【請求項14】
前記肺炎球菌免疫原が、
(a)
(i)配列番号1と少なくとも75%の配列同一性を有し、かつ/または
(ii)配列番号1由来の少なくとも7個の連続したアミノ酸の断片からなる
アミノ酸配列を含む、第1のアミノ酸配列;
(b)
(i)配列番号2と少なくとも75%の配列同一性を有し、かつ/または
(ii)配列番号2由来の少なくとも7個の連続したアミノ酸の断片からなる
アミノ酸配列を含む、第2のアミノ酸配列;ならびに
(c)
(i)配列番号3と少なくとも75%の配列同一性を有し、かつ/または
(ii)配列番号3由来の少なくとも7個の連続したアミノ酸の断片からなる
アミノ酸配列を含む、第3のアミノ酸配列
を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物またはプロセスまたはキット。
【請求項15】
(a)請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の有効量を哺乳動物に投与する工程、または
(b)請求項10〜12のいずれか一項に記載のキットの第1の成分および第2の成分を混合し、該混合された内容物の単位用量を哺乳動物に投与する工程
を含む、哺乳動物において免疫応答を起こすための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−504556(P2013−504556A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528466(P2012−528466)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002401
【国際公開番号】WO2011/030218
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】