説明

水なしで製造可能な重合混合物

本発明は、分散剤として適している、コポリマーを有する重合混合物の製造方法に関する。この方法において、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体を酸モノマー誘導体と、コポリマーの形成下でラジカル重合開始剤の存在で、ラジカル重合により反応させ、このラジカル重合は、25質量%より少ない水、並びに全体として60質量%より多いコポリマー、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体及び酸モノマー誘導体を含有する媒体中で進行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリマーを有する重合混合物の製造方法、コポリマーを有する重合混合物並びにその使用に関する。
【0002】
粉末状の無機物質又は有機物質、例えばクレー、シリケート粉末、チョーク、カーボンブラック、岩粉及び水硬性結合剤の水性スラリーを、それらの加工性、すなわち混練性、塗布性、噴霧性、ポンプ圧送性又は流動性の改善のために、しばしば、分散剤の形態の添加剤に混ぜることが公知である。この種の添加剤は、固体凝集物を裂開し、形成された粒子を分散させ、かつ、このようにして加工性を改善することができる。この効果は、殊に、水硬性結合剤、例えばセメント、石灰、石膏又は硬石膏を含む建材混合物の製造に際しても適切に利用される。
【0003】
上述の結合剤を基礎とするこれらの建材混合物を、そのまま使用できる、加工可能な形態に変えるために、一般に、後続の水和プロセスもしくは硬化プロセスのために必要な練り混ぜ水よりも本質的に多くの練り混ぜ水が必要である。過剰の、後で蒸発する水によって形成される、硬化する建築材料中の中空部分は、機械的強度及び安定性を著しく悪化させる。
【0004】
所定の加工コンシステンシーでの過剰の水の割合を減少させるために及び/又は所定の水/結合剤−比での加工性を改善するために、一般的に減水剤又は流動化剤といわれる添加剤が使用される。この種の混和材として、実際には、殊に、酸モノマーとポリエーテルマクロモノマーとのラジカル共重合によって製造されるコポリマーが使用される。
【0005】
WO 2005/075529には、酸モノマー構造単位の他に、ポリエーテルマクロモノマー構造単位としてビニルオキシポリ(エチレングリコール)構造単位を有する、水溶液中で合成されたコポリマーが記載される。この種のコポリマータイプを含有する水溶液は、優れた適用特性を有することから、高性能流動化剤として広く普及している。
【0006】
この主のコポリマー水溶液の比較的高い含水量は、しかしながら、その製造の際に次の欠点を生じさせることがある:この空時収率は最適ではない、それというのも、水は反応体としてではなく、溶剤として存在するためである。さらに、この溶剤の水によって、貯蔵及び輸送の際の付加的なコストが生じる。適切な乾燥方法による水の除去は、比較的費用がかかる。
【0007】
それゆえ本発明の基礎をなしている課題は、水硬性結合剤用の分散剤として、特に流動化剤として、良好な特性を示すコポリマーの経済的な製造方法を提供することである。
【0008】
前記課題の解決策は、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体を酸モノマー誘導体と、コポリマーの形成下で、ラジカル重合開始剤の存在でラジカル重合により反応させるコポリマーを有する重合混合物の製造方法において、水25質量%未満及びコポリマー、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体並びに酸誘導体を全体として60質量%より多く含有する媒体中で前記ラジカル重合を進行させ、使用した酸モノマー誘導体対使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体のモル比は20:1〜1:1であり、かつ一般式(I)
(I) H2C=CH−O−(AO)a−RA
[式中、RAは、同じ又は異なり、−CH2−C(CH32−OH、線状又は分枝状のC1〜C12−アルキル基、C1〜C8−シクロアルキル基、フェニル基又はC7〜C12−アリールアルキル基により表され、
Aは、同じ又は異なり、Cx2xにより表され、x=2、3、4及び/又は5であり、及び
aは、同じ又は異なり、5〜350の整数により表される]によるビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体が存在し、使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体対使用したラジカル重合開始剤のモル比は2〜100であり、前記使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体に有機化合物として存在する安定剤0.1ppm〜10000ppmが添加されていて、前記安定剤は、ポリエーテル中に存在するアルコキシ基の酸化分解を抑制するために適しており及び/又は前記使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体は溶解した酸素の濃度を低減させながら溶解した窒素の濃度が高められている形で準備される、コポリマーを有する重合混合物の製造方法である。
【0009】
本発明の範囲内での酸モノマー誘導体は、酸モノマー無水物としても、又はそれとは別に酸モノマーエステルとしても存在し、その際、本発明の場合には、これらの混合物も酸モノマー誘導体として使用することができる。本発明による酸モノマー誘導体は、ラジカル共重合可能な、少なくとも1個の炭素二重結合を有するモノマーであり、このモノマーは加水分解又はアルカリけん化により少なくとも1個の酸官能基を有する酸モノマーに反応させることができる。酸モノマー誘導体として酸モノマーエステル(カルボン酸エステル)を使用する場合に、中性の構造単位がコポリマー中に得られ、この構造単位は(例えばコンクリート中で)アルカリけん化される。従って、この適用の間にはじめて、この作用のために必要な負電荷が形成される(このアルカリ性の適用条件下で分解可能なエステル基は、次いで、実際にカルボン酸官能基に対する一種の保護基として作用する)。酸モノマー無水物、例えば無水マレイン酸は、これが水と接触すると同時に加水分解される。
【0010】
溶解した酸素の濃度を低減させながら溶解した窒素の濃度を高めるとは、溶解した酸素の割合が低減されかつ溶解した窒素の割合が高められることを意味する。
【0011】
本発明による方法により得られたコポリマーを有する重合混合物は、低い含水量に基づき高い空時収率で製造することができる、質的に価値の高い分散剤である。この貯蔵コスト及び輸送コストは相応して低い。さらに、本発明による方法を用いて得られたコポリマーを有する重合混合物は、水中で、つまり水性結合剤系中でも、通常では特に良好に溶解する。分散剤又は流動化剤として得られた方法生成物の品質は優れている。一般に、本発明による方法は特に経済的な方法で高品質な製品を作り出すことが言える。
【0012】
一般に、酸モノマー誘導体として、無水マレイン酸(酸モノマー無水物として)、メタクリル酸のエステル、マレイン酸のエステル及び/又はアクリル酸のエステル、有利に無水マレイン酸、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート及び/又は2−エチルヘキシルアクリラートが使用される。酸モノマー誘導体として、n−プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、メチルメタクリラート及び/又はエチルメタクリラートがさらに使用可能である。
【0013】
通常では、ラジカル重合が進行する媒体中の温度は、ラジカル重合の間に、40〜140℃、有利に70〜100℃である。
【0014】
このラジカル重合開始剤は、通常ではアゾ化合物として、ペルオキシドとして、過硫酸塩として、又はヒドラゾンとして存在し、この場合、アゾ化合物が一般に有利である。
【0015】
ラジカル重合開始剤として、特に、それぞれ異なる分解温度を有する多様なアゾ開始剤を使用することができる。
【0016】
一般に、このラジカル重合は、5質量%より少ない水、及び全体として80質量%より多いコポリマー、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体及び酸モノマー誘導体を含有する媒体中で進行する。
【0017】
有利な実施態様の場合に、一般式(I)中でRAはメチル基として存在する。この相応するモノマーは、メチルポリエチレングリコールのビニル化(アセチレンの付加)により得られる。
【0018】
さらに有利な実施態様の場合に、一般式(I)中でRAは、−CH2−C(CH32−OHとして存在する。この相応するモノマーは、イソブチレンオキシドを用いたエーテルマクロモノマーのアルコキシ化の中断により低コストで得ることができる。
【0019】
しばしば、一般式(I)中のCx2xにおいて、xは2を表し、つまり、頻繁にビニルオキシエチルポリエーテル誘導体が使用される。
【0020】
有利に、一般式(I)において、aは8〜200の整数を表す。
【0021】
一般に、有利にメルカプト化合物として存在する連鎖調節剤が使用される。
【0022】
有利に、ラジカル重合が進行する媒体は、3質量%より少ない、有利に1質量%より少ない水を含有する。完全に水不含の状態で作業することが最適であるが、この場合、それと関連して相応する出発成分の乾燥が費用がかかる。
【0023】
頻繁に、使用されたビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体は、この使用されたビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体に有機化合物として存在する1ppm〜1000ppmの安定剤が添加されている形で提供され、この安定剤はポリエーテル中に存在するアルコキシ基の酸化分解の抑制のために適している。
【0024】
適当な安定剤(ポリエーテル中に存在するアルコキシ基の酸化分解の抑制のため)は、頻繁に、ジフェニルアミン誘導体、例えばジフェニルアミン自体、ポリマーのトリメチル−ジヒドロキノリン、アルキル化されたモノフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、アルキル化されたヒドロキノン、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、アルキリデン−ビス−フェノール、例えば2,2′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、フェノール性のベンジル化合物、例えば1,3,5−トリ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、チオエーテル、例えば2,2′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)又はアミン、例えばフェノチアジンから選択される。実際に、特に、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)及び2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール(Kerobit(登録商標) TP 26)及びN,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニルジアミン(Kerobit(登録商標) BPD; BASF SE社のKerobit(登録商標))が有効であることが示された。
【0025】
溶解した窒素を用いて溶解した酸素の濃度を低減させることは、一般に、相応する酸素を含有する液体中に窒素を導通させて、この含まれる酸素を窒素によって追い出すことにより行う。窒素の濃度を高めながら酸素の濃度を低減させることは、ポリエーテル中に存在するアルコキシ基の酸化分解の抑制を引き起こす。頻繁に、この使用されたポリビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体が、溶解した酸素に対して溶解した窒素を、10より大きな、有利に30より大きなモル量比で有するように、この使用されたビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体は、溶解した酸素の濃度を低減しながら溶解した窒素濃度が高められる。
【0026】
さらに、本発明は、上述の方法により製造可能なコポリマーを有する重合混合物に関する。
【0027】
さらに、本発明は、コポリマーを有する重合混合物の、水硬性結合剤用の、特にセメント又は石膏用の流動化剤として及び/又は潜在水硬性結合剤用の流動化剤としての使用に関する。コポリマーを有するこの重合混合物は、例えば、セメント製造用の添加剤(純粋なポルトランドセメント又は複合セメント用の粉砕助剤及び「減水剤」)としても使用することができる。
【0028】
次に、本発明を、実施例を用いて詳説する。
【0029】
合成例1
貯蔵容器1中に、まず無水マレイン酸30.5g(0.31mol)をメチルポリエチレングリコール−500−モノビニルエーテル140g(0.28mol)中に溶かす。このモノマー混合物25g(約15質量%)を、温度計、撹拌機、還流冷却器及び個別の供給のための2つの接続部を備えた加熱可能な反応容器中に装入し、85℃に加熱する。モノマー混合物と一緒に反応器を不活性化することは、ボトムバルブを介した窒素のバブリングにより行い、かつこれを全体の反応時間にわたり維持する。この貯蔵容器1からの残りのモノマー溶液は、1.5時間内に供給される。同時に、別個の貯蔵容器2から、アゾジブチロニトリル4.0gのアセトン25ml中の溶液(開始剤溶液)を2時間で供給する。この反応混合物は重合の過程で次第に褐色に呈色し、僅かに粘性となる。開始剤溶液の添加の完了後に、90℃でさらに1時間後撹拌させる。引き続き、この還流冷却器を水分離器に取り替え、この反応混合物中に存在するアセトンを取り出す。この暗褐色の粗製生成物を50℃に冷却し、水170gの添加により希釈する。50%苛性ソーダ水溶液21.5gで中和後に、pH値6.5及び固体含有量48.9質量%の褐色のポリマー溶液が得られる。ポリエチレングリコールを標準として使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量は、14000g/Molである。
【0030】
合成例2
温度計、撹拌機及び加熱可能な滴下漏斗を備えた加熱された反応容器中に、酸化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)300ppmを含有するメチルポリエチレングリコール−1000−モノビニルエーテル150g(0.15mol)を装入し、90℃に加熱する。ボトムバルブを介して窒素をバブリングすることにより、この反応器を加熱期間の間に不活性化する。加熱された滴下漏斗を介して、無水マレイン酸15.7g(0.16mol)を1.5時間で滴加し、全体で3.6gのアゾジブチロニトリルを、それぞれ0.6gの同じ分量に分けて、15分毎に固体として添加する。この反応混合物は重合の過程で次第に褐色に呈色し、僅かに粘性となる。開始剤の添加の完了後に、90℃でさらに1時間後撹拌させる。引き続き、この黒褐色の粗製生成物を50℃に冷却し、水300gの添加により希釈する。50%苛性ソーダ水溶液11.2gで中和後に、pH値6.4及び固体含有量35.3質量%のポリマー溶液が得られる。ポリエチレングリコールを標準として使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量は、30900g/Molである。
【0031】
合成例2に対する比較モルタル試験:
以下に、合成例2の方法生成物(コポリマー溶液)を、同様に水性重合により製造された生成物と効果に関して比較するモルタル試験が記載されている。この比較生成物(水性コポリマー溶液)を、WO 2005/075529に従って、水性媒体中でラジカル重合により製造した。標準配合として、次の混合物を選択した:
ポートランドセメントCEM II B/S 270.00g
標準砂(0〜2mm、EN 196-1) 675.00g
実施例による分散剤 0.54g(=セメントに対して固体0.20質量%)
練り混ぜ水 必要に応じて
【0032】
このモルタル混合物は、DIN EN 196-1, Abs. 6.3により調整した。流動特性の評価のために、振動式テーブル上での15ストローク後のモルタルのスランプを測定した。
【0033】
【表1】

【0034】
上記の表は、スランプに関して比較される生成物はほぼ同等に良好であり、それぞれ品質的に価値の高い高性能流動化剤の要求を満たすことを示す。
【0035】
合成例3
合成例1に従って、貯蔵容器1中に、まず無水マレイン酸30.5g(0.31mol)をメチルポリエチレングリコール−500−モノビニルエーテル140g(0.28mol)中に溶かす。別個の貯蔵容器2中に、アクリル酸メチルエステル12.1g(0.14mol)を装入する。マレイン酸−ビニルエーテル混合物及びアクリル酸メチルエステルのそれぞれ10質量%を、温度計、撹拌機、還流冷却器及び個別の供給のための2つの接続部を備えた加熱可能な反応容器中へ圧送し、85℃に加熱する。ボトムバルブを介して窒素をバブリングすることにより、この反応器を加熱期間の間に不活性化する。貯蔵容器1及び2中に存在するモノマーの残りを、2つの供給部を介して並行して一定の体積流で1.5時間供給する。それぞれ同じ分量に分配した、全体で4.0gのアゾジブチロニトリルを、15分毎に固体として添加する。この反応混合物は褐色に呈色する。開始剤の添加の完了後に、85℃でさらに1時間後撹拌させる。引き続き、この暗褐色の粗製生成物を40℃に冷却し、水320gの添加により希釈する。20%苛性ソーダ水溶液54.0gで中和後に、pH値6.6及び固体含有量35質量%の暗褐色のポリマー溶液が得られる。ポリエチレングリコールを標準として使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量は、15500g/Molである。
【0036】
合成例4
合成例2に従って、加熱された反応器中で、酸化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)300ppmを含有するメチルポリエチレングリコール−1000−モノビニルエーテル150g(0.15mol)を、80℃で装入される。ボトムバルブを介した窒素のバブリングにより、モノマー混合物及び反応器を不活性化する。その後で、供給部Aを介して、トルエン30ml中に溶かしたアゾ開始剤7.45gを75分間で供給する。これと並行して、供給部Bを介して、アクリル酸エチルエステル7.45g(0.45mol)を60分間で添加する。開始剤の添加が完了した後、黄褐色の重合混合物を、さらに45分で80℃で撹拌した。この粗製生成物を、引き続き40℃に冷却し、水150mlで希釈する。46%の固体割合を有する明褐色のポリマー溶液が生じる。ポリエチレングリコールを標準として使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量は、35000g/Molである。
【0037】
合成例5
合成例2に従って、加熱された反応器中に、1200g/molの平均分子量を有し、かつKerobit(登録商標) TP 26 300ppmで安定化されたα−ビニルオキシ−ω−(2−メチル−プロパン−2−オール)−プロピル(オキシ−1,2−エタンジイル)100g(0.08mol)を80℃で装入する。供給部Aを介して、トルエン15ml中に溶かした2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.6g(開始剤溶液)を60分間で供給する。これと並行して、供給部Bを介して、アクリル酸エチルエステル16.8g(0.16mol)を60分間で供給する。開始剤溶液の供給の完了後に、90℃でさらに1時間後撹拌させる。室温に冷却した後に、コポリマー117gは、明るいオレンジ色に着色した、粘性の液体の形で得られる。ポリエチレングリコールを標準として使用したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した質量平均分子量は、24500g/Molである。
【0038】
合成例1〜5の生成物は、それぞれ、水硬性結合剤用の価値の高い分散剤又は流動化剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体を酸モノマー誘導体と、コポリマーの形成下で、ラジカル重合開始剤の存在でラジカル重合により反応させるコポリマーを有する重合混合物の製造方法において、水25質量%未満及びコポリマー、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体並びに酸誘導体を全体として60質量%より多く含有する媒体中で前記ラジカル重合を進行させ、使用した酸モノマー誘導体対使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体のモル比は20:1〜1:1であり、かつ一般式(I)
(I) H2C=CH−O−(AO)a−RA
[式中、RAは、同じ又は異なり、−CH2−C(CH32−OH、線状又は分枝状のC1〜C12−アルキル基、C1〜C8−シクロアルキル基、フェニル基又はC7〜C12−アリールアルキル基により表され、
Aは、同じ又は異なり、Cx2xにより表され、x=2、3、4及び/又は5であり、及び
aは、同じ又は異なり、5〜350の整数により表される]によるビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体が存在し、使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体の使用したラジカル重合開始剤に対するモル比は2〜100であり、前記使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体に有機化合物として存在する安定剤0.1ppm〜10000ppmが添加されていて、前記安定剤は、ポリエーテル中に存在するアルコキシ基の酸化分解を抑制するために適しており及び/又は前記使用したビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体は溶解した酸素の濃度を低減させながら溶解した窒素の濃度が高められている形で準備される、コポリマーを有する重合混合物の製造方法。
【請求項2】
酸モノマー誘導体として、無水マレイン酸、メタクリル酸のエステル、マレイン酸のエステル及び/又はアクリル酸のエステル、有利に無水マレイン酸、メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート及び/又は2−エチルヘキシルアクリラートを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ラジカル重合が進行する媒体中の温度は、ラジカル重合の間に、40〜140℃、有利に70〜100℃であることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物として、ペルオキシドとして、過硫酸塩として、又はヒドラゾンとして、有利にアゾ化合物として存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ラジカル重合開始剤として、それぞれ異なる分解温度を有する多様なアゾ開始剤を使用することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ラジカル重合は、5質量%より少ない水、並びに全体として80質量%より多いコポリマー、ビニルオキシアルキルポリエーテル誘導体及び酸モノマー誘導体を含有する媒体中で進行することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
一般式(I)において、RAはメチル基として存在することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
一般式(I)において、RAは−CH2−C(CH32−OHとして存在することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
一般式(I)において、Aは同じ又は異なり、Cx2xにより表され、その際、x=2であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
一般式(I)において、aは同じ又は異なり、8〜200の整数により表されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
他のビニル性化合物をコモノマーとして使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
有利にメルカプト化合物として存在する連鎖調節剤を使用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ラジカル重合が進行する媒体は、3質量%より少ない水、有利に1質量%より少ない水を有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により製造可能なコポリマーを有する重合混合物。
【請求項15】
請求項14記載のコポリマーを有する重合混合物の、水硬性結合剤用の、特にセメント又は石膏用の流動化剤としての、及び/又は潜在水硬性結合剤用の流動化剤としての使用。

【公表番号】特表2012−511092(P2012−511092A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539998(P2011−539998)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065784
【国際公開番号】WO2010/076091
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】