説明

水の浄化方法および水浄化装置搭載の洗濯機

【課題】メンテナンスフリーの水の浄化方法および水浄化装置搭載の洗濯機を提供する。
【解決手段】イオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段1と、金属イオン除去手段1を洗剤により再生する洗剤ケース(再生手段)3と、洗剤ケース3および金属イオン除去手段1を洗浄するための洗浄手段2(洗浄水流入管2aおよび洗浄水流出管2b)とを備えた水の浄化方法とすることにより、洗浄効果を上昇させるとともに、メンテナンスフリーの水の浄化方法および水浄化装置搭載の洗濯機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の浄化における軟水化方法および軟水化装置搭載の洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業の発達や世界的な人口の増加により、水資源の安全且つ有効な利用が求められている。そのため、水の浄化は非常に有効な措置として行われている。水の浄化は原水中の雑物や汚染物を、特定の過程で処理し、水質の上昇を図ることである。用途として飲用水、家庭用水と工業用水等に使用される。その浄化方式として、殺菌、濾過、硬水の軟水化などがある。
【0003】
水の浄化において、特に硬水地域では、水中の硬度成分の除去すなわち軟水化は非常に重要な位置を占めている。
【0004】
従来、水浄化方式における軟水化について、イオン交換樹脂がよく使用されている。イオン交換樹脂は、処理能力と処理容積(イオン交換容量)が大きく、かつ処理範囲が広いことと使用寿命が長いという特徴を有することから、水処理工業に幅広く利用されている。
【0005】
イオン交換樹脂は、水および一般の溶媒には溶けず、その多数が顆粒状または繊維状であり、また粉末状のものもある。イオン交換樹脂は、架橋した三次元の高分子基体に、スルホン酸基(−SOH)や4級アンモニウム基(≡N)のような官能基を導入した化学構造を持つ合成樹脂である。顆粒状樹脂のサイズは、一般的に0.3〜1.2mmであり、その大部分は、0.4〜0.6mmの範囲にあり、比較的に高い耐圧性能、安定な化学性質を有する。
【0006】
イオン交換樹脂は、官能基を有するため、水溶液に陽イオン(例えば、H+またはNa+)または陰イオン(例えば、OHまたはCl)を解離し、溶液中の元から存在するほかの陽イオンまたは陰イオンを吸収することができる。すなわち、イオン交換が行われる。イオン交換樹脂は、その働きによって、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂およびキレート樹脂等がある。
【0007】
家庭で利用されている水には、通常、水道水、地下水、井戸水などがあり、洗濯機に使用される場合では、洗濯物の洗浄効果が水質の影響を大きく受ける。特にカルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)などの硬水成分は界面活性剤の洗浄力を低下させる性質があり、洗浄性能に対するマイナス影響を与える。また、硬水中の大量なカルシウム、マグネシウムおよび微量な鉄やマンガン、アルミニウム等は洗剤の界面活性剤等の成分と反応し、金属石けん等が生じ、洗濯機または衣類に残され、汚れの源になりやすく、従って、カビなど微生物が増殖しやすくなる。
【0008】
これら硬水の硬度成分による影響を抑えるために、市販の洗剤には、硬度成分を吸着させるゼオライトなどの軟水化剤が配合されている。ゼオライトは、微細孔を持つアルミナケイ酸塩であり、骨格構造中に、アルミニウム(+3価)とケイ素(+4価)が酸素(−2価)を互いに共有することで、骨格中に陽イオン(例えば、Na)が必要となり、イオン交換ができるようになっている。そのため、洗剤中のゼオライト成分は水中のカルシウム、マグネシウム等の多価の陽イオンを吸着し、軟水化効果を発揮する。
【0009】
洗剤中のゼオライトは、イオン交換容量の限界があり、また、洗浄水中に分散されているため、軟水化効果には限度がある。これらの問題の対処方法として、硬水地域では、軟水地域に比べてより多くの洗剤を投入することによって、洗浄性能の上昇を図っている。例えば、洗剤のパッケージには硬度に応じて投入量を増やすように指示してある。しかし、洗剤の使用量が多くなることによって、排水の環境への負担が増加することが懸念される。
【0010】
従来、水中の硬度成分を除去する軟水化装置を洗濯機に搭載して洗浄性能の上昇を図った方法がある。例えば、軟水化材として陽イオン樹脂などのイオン交換材を使用する技術がある(例えば、特許文献1、2、3参照)。イオン交換樹脂はその分子内に、スルホン酸基(−SOH)など酸性イオン交換基を有し、静電力によって陽イオンを吸着保持する。イオン交換樹脂は溶液中の各種イオンに対して親和力(吸着力)が異なり、選択性を示す。各種イオンに対する吸着性は一般的にある一定の順序がある。
【0011】
陽イオンに関しては、高価のイオンほど吸着しやすい。また、低価イオンの場合はその吸着が弱い。イオンの価数が同じ場合では、イオン半径が大きいほど吸着しやすく、一般的に数式1の順序がある。
【0012】
【数1】

【0013】
Na型のイオン交換樹脂に硬水を通水すると、硬水成分であるCa2+、Mg2+が、Naよりも選択性が強いために、イオン交換樹脂に保持されて、代わりに同量のNaが流出する。
【0014】
陽イオン交換樹脂は、硬水が通水し、一定の硬度成分(Ca2+、Mg2+)が樹脂吸着し、最終的にイオン交換容量に達した場合にその軟水化作用が失われる。したがって、樹脂の再生が必要である。通常は、食塩(NaCl)などを再生剤として高濃度のNa溶液を使用し、樹脂の中からCa2+、Mg2+と交換し樹脂の再生を行う。
【0015】
イオン交換材として、陽イオン樹脂の代わりにキレート樹脂を使用した軟水化装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。金属キレート剤の一種であるEDTA(エチレンジアミン四酢酸、分子式は、(HOOCCHNCHCHN(CHCOOH))を使用することが考えられる。EDTAは、キレート剤であり、Ag、Ca2+などのそれぞれ1価、2価、3価、4価の金属イオンと錯体(キレート結合)を形成する。
【0016】
硬度成分であるカルシウムイオンCa2+やマグネシウムイオンMg2+は、2価の陽イオンである。これらは水中の1価の陽イオンであるナトリウムイオン(Na)やカリウムイオン(K)に比べキレート樹脂で補足されやすい。このため硬度成分が優先的に補足される。水道水中には、塩素イオン、硫酸イオン、炭酸水素イオンなどの陰イオンが存在し、初期状態では、ほぼ中性の状態にある。ところが、硬度成分が補足されると、その分だけこれら陰イオンが過剰となって水は酸性に傾く。一方、キレート樹脂は、能力を失う。吸着された金属イオンの脱着は、通常、塩酸、硫酸などの酸が用いられる。これは、金属キレートの安定性が低pHでは低く、分解される性質を利用したのである。軟水は、電解装置などでアルカリと酸とに分離され、酸が、キレート樹脂から硬度成分の脱離に使用される。硬度成分を補足したキレート樹脂のキレート基は、この酸のために硬度成分を離し、離れた硬度成分は酸に溶解しては排出される。従って、キレート樹脂は再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−70296号公報
【特許文献2】特開平11−319383号公報
【特許文献3】特開2002−11286号公報
【特許文献4】特開2005−161144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、前記従来のイオン交換樹脂を使用する軟水化方法では、イオン交換樹脂の再生手段として、食塩を使用しているが、これは、イオン交換樹脂は一定量の硬度成分、すなわちカルシウムおよびマグネシウムイオンが吸着後、イオン交換効果がなくなるため、一定量の硬水を処理した後に再生する必要がある。食塩水を使用する場合、洗濯機に再生剤として、食塩を定期的に補給しなければならない。また、大量の食塩を洗濯機に積むことも難しいため、食塩で再生には手間と余分の費用がかかる。したがって、商品としての実用性に乏しく、市場訴求および使用者の要求に応じえることができないという課題を有していた。
【0019】
また、従来の方法の水を電解して酸とアルカリを生成し、生じるプロトン(H)で、イオン交換樹脂またはキレート樹脂を再生する方法では、水を電解するためには電解装置と直流電源を別途搭載する必要があり、電解装置などを洗濯機に搭載するには、設置スペースの制限と高コストなどの問題があるので、実用に至る技術上の課題が多いものであった。
【0020】
本発明は、金属イオンが含まれる水は、金属イオン除去手段によって、金属イオンが取り除かれ、また、金属イオン除去手段の機能が効かなくなった場合には、再生手段によって、金属イオン除去手段の金属イオン除去機能が再生され、さらに、洗浄手段によって、再生手段の装置が洗浄されるので、使用者にとって、メンテナンスフリーの水の浄化方法および軟水化装置を搭載した洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、イオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段と、前記金属イオンおよび前記洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段とを備えた水の浄化方法としたものである。
【0022】
これによって、金属イオンが含まれる水は、金属イオン除去手段により金属イオンが取り除かれ、また、金属イオン除去手段の機能が効かなくなった場合には、再生手段により金属イオン除去手段の金属イオン除去機能が再生され、さらに、洗浄手段により、再生手段の装置が洗浄されるので、使用者にとって、メンテナンスフリーの水の浄化方法を提供することができることとなる。
【0023】
また、本発明は、給水手段とイオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段と、前記金属イオンおよび前記洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段と、洗い工程とすすぎ工程をコントロールする
制御手段とを備えた水浄化装置搭載の洗濯機としたものである。
【0024】
これによって、水道から供給される水は、金属イオン除去手段により水中の金属イオンが除去され、その水は洗濯槽に供給され、また、金属イオン除去手段の機能が失われた場合に、再生手段によって、金属イオン除去手段の金属イオン除去機能が再生され、洗浄手段によって、再生手段の装置が洗浄されるので、使用者にとって、メンテナンスフリーの水浄化装置搭載の洗濯機を提供することができることとなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、水中のカルシウムなど高濃度イオンを効率よく除去することができ、再生手段を使用することで、洗浄用の水の軟水化に関して、洗剤以外の再生用の薬剤を使用せず再生ができるので、使用者にとって、メンテナンスフリーの水の浄化方法を提供することができる。
【0026】
また、本発明は、再生手段を用いることで、イオン交換材の再生に、洗剤以外の特別な再生剤を使用せず再生ができ、イオン交換材を再生し循環使用を行うことにより、衣類の洗い工程に常に軟水を供給することができるので、使用者にとって、メンテナンスフリーの水浄化装置搭載の洗濯機を提供することができ、洗濯機の衣類に対する洗浄効果を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における水の浄化方法の構成図
【図2】同水の浄化方法の他の構成図
【図3】本発明の実施の形態2における洗濯機の縦断面図
【図4】同洗濯機の軟水化工程の模式図
【図5】同洗濯機の再生工程の模式図
【図6】同洗濯機の洗浄工程の模式図
【図7】同洗濯機の洗い工程における動作を示すフローチャート
【図8】同洗濯機のすすぎ工程における動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
第1の発明は、イオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段とを備えた水の浄化方法とすることにより、金属イオンが含まれる水(硬水)は、金属イオン除去手段により金属イオンが取り除かれることで軟水化することができ、また、金属イオン除去手段の機能が効かなくなった場合には、再生手段により金属イオン除去手段の金属イオン除去機能が再生され、さらに、洗浄手段により、再生手段の装置が洗浄されるので、硬水など高濃度の金属イオンを含む水から金属イオンを除去し、軟水など低濃度の金属イオンが含まれる水または純水など金属イオンが含まれない水を提供でき、使用者にとって、メンテナンスフリーの水の浄化方法を提供することができる。
【0029】
第2の発明は、特に、第1の発明において、金属イオンおよび洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段をさらに備えた水の浄化方法とすることにより、金属イオンおよび洗剤の炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物は分離手段によって分離することができ、沈殿物の悪影響を排除することができる。
【0030】
第3の発明は、給水手段とイオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により
再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段と、洗い工程とすすぎ工程をコントロールする制御手段とを備えた水浄化装置搭載の洗濯機とすることにより、金属イオンが含まれる水(硬水)は、金属イオン除去手段により金属イオンが取り除かれることで軟水化することができ、また、金属イオン除去手段の機能が失われた場合に、再生手段によって、金属イオン除去手段の金属イオン除去機能が再生され、さらに、洗浄手段によって、再生手段の装置が洗浄されるので、硬水など高濃度の金属イオンを含む水から金属イオンを除去し、軟水など低濃度の金属イオンが含まれる水または純水など金属イオンが含まれない水を洗濯水として使用することができ、洗剤の衣類に対する洗浄効果が一段と上昇し、それ故、洗濯機における衣類の洗濯に関して、低温洗浄でも温水洗浄並みの洗浄効果を創出し、洗濯機の省エネを実現でき、したがって、使用者にとって、メンテナンスフリーの水浄化装置搭載の洗濯機を提供することができる。
【0031】
第4の発明は、特に、第3の発明において、金属イオン除去手段は、陽イオン交換性能またはキレート結合性能を有するイオン交換材を有し、水中に含まれるカルシウムイオン、マグネシウムイオンの少なくとも一部を除去し軟水化するように構成したことにより、硬水領域における硬水中に含まれるカルシウム、マグネシウムなどを除去し、洗濯機に軟水を供給することができので、洗濯機の衣類に対する洗浄効果を上昇させることができる。
【0032】
第5の発明は、特に、第3または第4の発明において、再生手段は、洗剤を一定の水道水で溶解し、再生液として使用するように構成したことにより、硬水中のカルシウム、マグネシウムイオンの吸着により飽和されるイオン交換材のイオン交換機能を再生することができる。
【0033】
第6の発明は、特に、第4の発明において、イオン交換材は、洗濯槽の上方または側面に設置され、イオン交換樹脂、ゼオライト、アルミナ、キレート材等の少なくとも一部からなり、水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンの少なくとも一部を吸着させる機能を有するように構成したことにより、供給される水道水中のカルシウム、マグネシウムイオンの硬度成分をキャッチし、含まれるカルシウム、マグネシウムイオン成分が低濃度の軟水を洗濯機に供給することができる。
【0034】
第7の発明は、特に、第3〜6のいずれか1つの発明において、再生手段は、洗い工程に使用される一定の水道水で洗剤を溶解後、濾過または遠心の少なくともどちらか一つの方法を使用することにより、不溶顆粒物の少なくとも一部を除去したナトリウムイオン溶液を用いて、イオン交換材の再生を行うように構成したことにより、洗剤溶解液の中の不溶顆粒物を除去することができ、比較的に純度の高いナトリウムイオン溶液でイオン交換材を再生することができ、イオン交換の再生効果を向上させることができる。
【0035】
第8の発明は、特に、第3〜7のいずれか1つの発明において、再生手段は、洗濯機洗剤ケースの中の洗剤を洗い工程に使用する全水量の1/20〜1/10の量の水道水で溶解するように構成したことにより、溶液中のナトリウムイオン濃度を洗濯機で使用される実際の濃度より遥かに高濃度に濃縮させることができ、この高濃度のナトリウムイオン溶液を用いることにより、イオン交換材を速やかに再生することができる。
【0036】
第9の発明は、特に、第3〜8のいずれか1つの発明において、水浄化装置は、給水経路に濾過手段とイオン交換材とを備え、水道水または再生手段を前記濾過手段により濾過し、前記イオン交換材を経由し、洗濯槽に流れるように構成したことにより、金属イオン除去手段においては、水道水が濾過手段を経由し、イオン交換材に流れ、水中の大きな顆粒を取り除くことができ、洗濯機に衣類洗浄用の安定な軟水を供給することができ、また
、再生手段においても、洗剤溶解により得られる再生液は、イオン交換材に入る前に濾過され、不溶の洗剤成分を洗濯機の洗濯槽に戻すことができ、洗剤の損失を減少することができる。
【0037】
第10の発明は、特に、第9の発明において、濾過手段は、水道水または再生手段の洗剤液を濾過する網状のものであり、前記網状の網の孔の直径が0.01μm〜1000μmとなるように構成したことにより、イオン交換材を再生する時、イオン交換材を収容するカラムの詰まりを防ぐことができ、イオン交換材の再生を速やかに行え、また、濾過手段を用いることで、イオン交換材の再生溶液の流量を増加させることができ、再生液の流れる時間を短縮することができ、結果的に洗濯機全体の省エネルギーを実現することができる。
【0038】
第11の発明は、特に、第3〜10のいずれか1つの発明において、再生手段は、洗剤中の炭酸イオン(CO)と、イオン交換材の再生により置換されるカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)の金属イオンを再生過程で濃縮させて反応させ、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)を生成させ沈殿させるように構成したことにより、通常の洗濯機の洗濯水の場合より遥かに炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)の沈殿物が生じやすくなり、水中金属イオン成分を沈殿化させることができる。洗剤を少量の水で溶解することにより、炭酸イオン(CO)を濃縮させることができる。それ故、再生液中に、高濃度の炭酸イオンが存在する。また、再生により、イオン交換材に吸着されているカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)など金属イオンはナトリウムに置換されることで、再生液に高濃度に濃縮される。これら、高濃度金属イオンは洗剤溶解により生じる高濃度の炭酸イオン(CO)と反応し、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)などの沈殿になる。この反応沈殿物の炭酸カルシウム(CaCO)および炭酸マグネシウム(MgCO)は、通常の洗濯機の洗濯水の場合より遥かに生じやすくなり、水中金属イオン成分をより効率よく沈殿化させることができる。
【0039】
第12の発明は、特に、第3〜11のいずれか1つの発明において、金属イオンおよび洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段をさらに備えたことにより、金属イオンおよび洗剤の炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物は分離手段によって分離することができ、沈殿物の悪影響を排除することができる。
【0040】
第13の発明は、特に、第12の発明において、分離手段は、イオン交換材を再生後、再生液中に生じる炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)などの沈殿を分離し、洗濯機の機外に排出するように構成したものであり、硬水成分を沈殿物として洗濯機の外に排出することで、洗濯機の洗浄性能を上昇させることができる。
【0041】
第14の発明は、特に、第12または第13の発明において、分離手段は、水流の過流によって沈殿成分の分離を行うように構成したものであり、硬水成分の沈殿を容易に分離することができ、それにより、安価なコストで高洗浄性能を実現できる。
【0042】
第15の発明は、特に、第3〜14のいずれか1つの発明において、制御手段は、流量に依存する水が流れる時間をコントロールすることで洗い工程およびすすぎ工程を自動的に制御するように構成したものであり、洗い工程における金属イオン除去手段、再生手段、洗浄手段のコントロールおよびすすぎ工程の制御を自動的にすることができ、洗濯機の操作性を向上させるとともに、正確に工程を実行することができる。
【0043】
第16の発明は、特に第3〜15のいずれか1つの発明において、洗浄手段は、イオン
交換材の上方あるいは側面に設置され、開閉弁と送水管とを設け、洗い工程時の使用水量の1/20〜1/10の量の水道水を洗浄液として、前記イオン交換材および洗剤ケースの順に流し込むことにより、再生手段および金属イオン除去手段を洗浄するように構成したものであり、洗剤の損失を減少させることができ、洗浄効果を上昇させることができる。
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参考しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における水の浄化方法の構成図を示すものである。
【0046】
図1において、金属イオン除去手段1は、静電力により水中の金属イオンを取り除くものである。この金属イオン除去手段1は、イオン交換材1aを内蔵するとともに、水中に金属イオンが含まれる硬水を導入するための金属イオン除去手段導入管1bと、水中の金属イオンが除去された軟水を排出するための金属イオン排出手段排出管1cとが設けられている。洗剤ケース(再生手段)3は、洗浄に使用する洗剤が投入され貯蓄されるものである。濾過手段7は、洗剤ケース3からの洗剤が溶解した洗剤液を濾過し、雑物を取り除くものである。洗剤ケース3と濾過手段7とは、洗剤ケース排出管3aを介して連通している。また、濾過手段7と金属イオン除去手段1とは、濾過液連通管7aを介して連通している。洗浄手段2は、金属イオン除去手段1の金属イオン排出手段導入管1bが設けられている側に設けられた洗浄水流入管2aと、金属イオン除去手段1の金属イオン排出手段排出管1cが設けられている側に設けられた洗浄水流出管2bとから構成されている。
【0047】
以上のように構成された水の浄化システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0048】
金属イオンが含まれる水、例えば高濃度のカルシウム、マグネシウムなどを含む硬水において、イオン交換材1aを内蔵した軟水化機能を有する金属イオン除去手段1によって、硬水中のカルシウム、マグネシウムなど金属イオンが取り除かれ、硬水を軟水化する。
【0049】
このイオン交換材1aに関しては、例えば、イオン交換樹脂を使用することができる。下記の数式2および数式3で示すように、44mLのイオン交換樹脂を使用することで、22L硬水を250ppmから50ppmまで軟水化することができる。
【0050】
【数2】

【0051】
【数3】

【0052】
また、このイオン交換樹脂の軟水化機能、すなわち金属イオン除去機能が効かなくなった場合に、再生手段としての洗剤ケース3よって、イオン交換樹脂の金属イオン除去機能の再生を行うことができる。
【0053】
すなわち、洗濯機で言えば、洗い工程に使用する水量の1/20〜1/10の量(1〜2L)の水道水(硬水)で洗剤を溶解し、その洗剤液が再生剤として使用される。この再生剤がイオン交換樹脂(金属イオン除去手段1)に流れ込み、イオン交換樹脂にトラップされているカルシウム、マグネシウムなどの金属イオンをナトリウムイオンで置換する。
【0054】
洗剤中のナトリウムイオン成分は、通常炭酸ナトリウムおよびその他洗剤成分に含まれるもので、一例として、IEC(International Electrotechnical Commission)公認の洗浄試験用洗剤の成分においては、ナトリウムイオン量は、重量換算で全体洗剤重量の8.5%を占める。数式1で示したように、当量あたりで計算すると、硬度250ppm(CaCO mg/L相当)の硬水22Lを50ppmまで軟水化するのに必要なカルシウム量は、88mモル当量である。
【0055】
上記除去必要なカルシウム量に比べて、例えば、9kgの衣類をドラム式洗濯機で洗濯する場合には、198gの洗剤が使用される。それ故、洗剤中のナトリウム量は16.96g(737.5meq)であり、目標における除去必要なカルシウム量(88meq)の8.4倍もある。従って、洗剤の溶解液を再生剤として使用することができる。
【0056】
洗剤を洗い工程に使用する水量の1/20〜1/10量の水道水で溶解し、その洗剤液を再生剤として使用する場合、再生液の中のナトリウムイオン(Na)と炭酸イオン(CO2−)は、通常洗濯機の洗い工程の洗濯水(22L)に洗剤を溶解する場合より、10倍〜20倍濃縮される。
【0057】
すなわち、この高濃度のナトリウムイオン(Na)が、イオン交換樹脂(44mlで計算)にトラップされているカルシウムイオン(Ca2+)を置換する。その結果、イオン交換樹脂を通過後の再生液中のカルシウムイオン(Ca2+)濃度は、通常の洗濯機の洗い工程の洗濯水(22L)に含まれるカルシウムイオン(Ca2+)より、10倍〜20倍濃縮された状態で存在する。
【0058】
数式4と数式5に反応速度の関係を示す。なお、数式5の[Ca2+]と[CO2−]はそれぞれの濃度を示す。数式4と数式5に示すように、通常の洗濯機の洗い工程の洗濯水(22L)の状態でのカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO2−)の反応速度より、再生後の溶液に濃縮されている状態での反応速度が100〜400倍も速くなることが分かる。
【0059】
【数4】

【0060】
【数5】

【0061】
従って、イオン交換樹脂を通った後の再生後溶液中の高濃度のカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO2−)は通常の洗濯機の洗い工程の洗濯水(22L)に含まれる状態より反応速度が速く、炭酸カルシウムの沈殿物質がより生成し易くなる。再生液に炭酸カルシウム(CaCO)の沈殿が生じるため、洗濯には影響がなく、洗濯機では、そのまま洗濯用水として使用できる。
【0062】
また、洗剤ケース(再生手段)3と金属イオン除去手段1の間に濾過手段7を設けることにより、洗剤の濃縮溶解で、飽和により再生液中に生じる大きな洗剤塊などを捕捉することができ、溶解しにくい洗剤成分を洗濯機の洗濯槽に戻すことができ、洗剤の損失を減少することができる。
【0063】
特に、濾過手段7で使用される網の孔の直径を0.01μm〜1000μmにすること
により、イオン交換材1aを再生する際、イオン交換材1aを収容する容器の詰まりを防ぐことができる。また、濾過により溶解ナトリウムだけを分けることができ、雑物減少で再生溶液中のナトリウムイオンの純度を高めることができ、イオン交換材の再生処理を速やかに行うことができる。
【0064】
また、図2の水の浄化方法の他の構成図に示すように、金属イオン排出手段排出管1cの代わりに、金属イオン排出手段第2排出管1dを設け、分離手段4を設置してもよい。分離手段4は、略円筒形をしており、下部に流入口4aを設け、天面中央部に流出口4bを設けている。流入口4aは、略円筒形の分離手段の下部に円筒の接線方向に開口するように構成している。流入口4aから流入した不溶物5を含む洗濯水は、矢印6のように、円筒の内壁に沿って流れながら上昇する。このとき、洗濯水中の不溶物5は、内壁に押し付けられた状態となり、不溶物5を含まない洗濯水のみが、流出口4bから流出する。このように渦流を起こすことで、液体と固体を分離することができる。このようにして、再生後溶液中の炭酸カルシウムなど金属イオン沈殿物質を分離し、排出することができる。従って、再生後の溶液中の金属イオンが沈殿物質として完全に取り除かれるため、沈殿物質による洗浄へのマイナス影響がなく、洗浄効果を一段と向上させることができる。
【0065】
さらに、洗浄手段2の洗浄水流入管2aから洗浄水(水道水)が金属イオン除去手段1内に流入され、その後、洗浄水流出管2bから流出されることよって、金属イオン除去手段1が洗浄される。このような循環システムにより、金属イオンが高濃度含まれる水から金属イオンを除去し、金属イオンが低濃度含まれる水または金属イオンが含まれない水を洗濯機に提供することができる。
【0066】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における洗濯機の縦断面図を示すものである。
【0067】
図3において、洗濯機本体11内に水槽12が配設され、水槽12内に回転ドラム13が回転自在に支持されている。洗濯機本体11には、水道水を水槽12内に供給するための給水経路14と、給水経路14からの水道水の流れを制御する第1の給水弁15aと、第2の給水弁15bとが設けられている。
【0068】
第1の給水弁15aの下流側には、分岐部16を設けており、その分岐部16の一方は、内部にイオン交換材17a(実施の形態1の「イオン交換材1a」に相当)を有する金属イオン除去手段17(実施の形態1の「金属イオン除去手段1」に相当)に金属イオン除去手段連通管18を介して連通し、他方は、第1の給水管19を介して水槽12に連通している。また、第2の給水弁15bの下流側には、水の流れを矢印a方向と矢印b方向とに切り換える流路切換弁20が設けられている。
【0069】
流路切換弁20の矢印a方向の下流側には、洗剤を収容可能な洗剤ケース(再生手段)21が設けられ、この洗剤ケース21と金属イオン除去手段17とは、連通管22により連通している。なお、連通管22と金属イオン除去手段17の間には、図示はしていないが、実施の形態1の濾過手段7を設けてもよい。
【0070】
一方、流路切換弁20の矢印b方向の下流側は、第2の給水管23を介して水槽12に接続されている。そして、分岐部16には、矢印cの流れが発生した場合は、矢印d方向のみの水の流れを形成し、矢印eの流れが発生した場合は、矢印f方向のみの水の流れを形成する流路規制弁16aを設けている。
【0071】
また、水槽12の下部には、水槽12内の洗濯水を排水するための排水管24が接続されており、その途中に排水を制御する排水弁25が設けられている。
【0072】
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0073】
図4は、軟水化工程の模式図であり、軟水化工程は下記のような動作をする。
【0074】
軟水化工程では、第1の給水弁15aが閉状態、第2の給水弁15bが開状態、流路切換弁20が矢印a方向に流れる状態となっている。この状態において、給水経路14より供給される水道水(硬水)は、第2の給水弁15b、流路切換弁20を通って、洗剤ケース21に達する。このとき、洗剤ケース21には洗剤は収容されていない。その後、連通管22を通って、金属イオン除去手段17に流れ込み、金属イオン除去手段17によって、硬水中のカルシウム、マグネシウムなど硬度成分が除去され、低濃度のカルシウムおよびマグネシウムなどの金属イオンしか含まれない軟水に変わり、金属イオン除去手段連通管18、流路規制弁16a、第1の給水管19を経由して、水槽12に入り、洗濯水として供給される。このときの軟水化の原理は、実施の形態1と同様である。
【0075】
図5は、再生工程の模式図であり、金属イオン除去手段17の軟水化の機能が失われた場合に、再生工程として下記のような動作をする。
【0076】
再生工程では、洗剤ケース21に洗剤21aが収容された状態で、第1の給水弁15aが閉状態、第2の給水弁15bが開状態、流路切換弁20が矢印a方向に流れる状態となっている。この状態において、給水経路14より供給される水道水(硬水)は、第2の給水弁15b、流路切換弁20を通って、洗剤ケース21に達する。このとき、洗剤ケース21に洗剤21aが収容されているので、供給される少量(1〜2L)の水道水(硬水17)が洗剤21aを溶解し、再生手段として、連通管22を通って、金属イオン除去手段17の内部のイオン交換材17aに流れ込む。
【0077】
金属イオン除去手段17のイオン交換材17aは、軟水化工程において、硬水を軟水化することにより、硬水中のカルシウム、マグネシウムなど硬度成分が吸着されるので、イオン交換機能が低下し、再生する必要がある状態となっている。イオン交換材17a中にトラップされているカルシウム、マグネシウムなどの金属イオンは、再生手段としての洗剤液中に含まれるナトリウムイオンにより置換される。このときの再生の原理は、実施の形態1と同様である。
【0078】
イオン交換材17aを通った再生手段としての洗剤液は、溶液中のカルシウムイオン(Ca2+)などが、洗剤中の炭酸イオン(CO2−)と反応し、炭酸カルシウム(CaCO)の沈殿物になるため、そのまま、金属イオン除去手段連通管18、流路規制弁16a、第1の給水管19を経由して、水槽12に入り、洗濯水として供給される。
【0079】
図6は、洗浄工程の模式図であり、金属イオン除去手段17、洗剤ケース21、給水管などの装置を洗浄する洗浄工程として下記のような動作をする。
【0080】
洗浄工程では第1の給水弁15aが開状態、第2の給水弁15bが閉状態となっている。この状態において、給水経路14より供給される少量(1〜2L)の水道水(硬水)は、流路規制弁16a、金属イオン除去手段連通管18、金属イオン除去手段17のイオン交換材17a、連通管22、洗剤ケース21、流路切換弁20、第2の給水管23を通り、水槽12に入り、洗濯水として供給される。このように、洗剤ケース21を通すことで、再生手段としての洗剤ケース21の洗浄を行う。このような循環洗浄を行うことで、金属イオン除去手段17の再生に使用した洗剤の成分の損失を抑えることができる。
【0081】
本実施の形態の洗濯機の洗い工程およびすすぎ工程における制御について、図7および
図8を用いて説明する。
【0082】
図7は、洗い工程における動作を示すフローチャートである。
【0083】
使用者は、洗剤ケース21に所定量の洗剤を投入した後、洗濯機本体11の上部に設けられた操作パネル(図示せず)の操作ボタン(図示せず)を操作して洗濯を開始させる。
【0084】
洗い工程がスタート(ステップS100)すると、第1の給水弁15aは閉じた状態のまま(ステップS101)で、第2の給水弁15bが開き(ステップ102)、流路切換弁20が水の流れを矢印a方向に流すように切り換わる(ステップ103)。
【0085】
これにより、硬水である水道水が、洗剤ケース21内の洗剤21aを溶解しながら、イオン除去手段17のイオン交換材17aに流れ込み、その後、水槽12に入る。洗剤溶解の再生溶液(1〜3L)の流れる時間、すなわち所定時間a(0〜3min)に達していない場合は上記の動作を繰り返し続ける(ステップS104)。これによって、前回の洗濯における洗い工程の軟水化工程において、金属イオン除去手段17のイオン交換材17aに吸着したカルシウム、マグネシウムなど硬度成分は、洗剤液中に含まれるナトリウムイオンにより置換されて取り除かれ、イオン交換材17aは再生することとなる。
【0086】
所定時間aが経過すると(ステップS104)、次に、第2の給水弁15bが閉じ(ステップS105)、第1の給水弁15aが開き(ステップS106)、流路切換弁20が水の流れを矢印b方向に流すように切り換わる(ステップS107)。硬水である水道水は、洗浄液(1〜2L)として、第1の給水弁15aからで流路規制弁16aを経由して、イオン除去手段17のイオン交換材17aに流れ込み、軟水化され、その後、洗剤ケース21に残留する洗剤成分を洗い流し、第2の給水管23を経由し、洗濯槽12に入る。洗浄溶液として流れる硬水の流れる時間、すなわち所定時間b(0〜2min)に達していない場合は上記の動作を繰り返し続ける(ステップS108)。
【0087】
所定時間bが経過すると(ステップS108)、第1の給水弁15aが閉じ(ステップS109)、第2の給水弁15bが開き(ステップ110)、流路切換弁20が水の流れを矢印a方向に流すように切り換わる(ステップ111)。洗い工程で使用される残りの水は、第2の給水弁15b、流路切換弁20、洗剤ケース21に達し、その後、連通管22を通って、金属イオン除去手段17に流れ込み、金属イオン除去手段17によって、硬水中のカルシウム、マグネシウムなど硬度成分が除去され、低濃度のカルシウムおよびマグネシウムなどの金属イオンしか含まれない軟水に変わり、金属イオン除去手段連通管18、流路規制弁16a、第1の給水管19を経由して、水槽12に入り、洗濯水として使用される。洗濯水が所定水位c(洗濯物の量に対応した所定水位)に達していない場合は上記の動作を繰り返し続ける(ステップS112)。
【0088】
所定水位cに達すると(ステップS112)、第2の給水弁15bを閉じ(ステップS113)、給水を終了する。その後、回転ドラム13を回転させて洗濯物を撹拌し洗浄する洗い撹拌工程がスタートする(ステップS113)。
【0089】
この洗い撹拌行程を所定時間行った後、回転ドラム13の回転を終了し、排水弁25を開けることで、水槽12内の洗濯水の排水を行い、その後、すすぎ工程に移行する。
【0090】
図8は、すすぎ工程における動作を示すフローチャートである。
【0091】
上記の洗い工程に続くすすぎ工程においては、洗濯物の洗剤成分や汚れなどを除去するための工程であるので、硬水を軟水化する必要はない。したがって、すすぎ工程がスター
ト(ステップS200)すると、第1の給水弁15aは閉じた状態のまま(ステップS201)で、第2の給水弁15bが開き(ステップ202)、流路切換弁20が水の流れを矢印b方向に流すように切り換わる(ステップ203)。
【0092】
給水経路14より供給される水道水(硬水)は、第2の給水弁15b、流路切換弁20、第2の給水管23を経由して、水槽12に入り、すすぎ水として使用される。すすぎ水が所定水位d(洗濯物の量に対応した所定水位)に達していない場合は上記の動作を繰り返し続ける(ステップS204)。
【0093】
所定水位dに達すると(ステップS204)、第2の給水弁15bを閉じ(ステップS205)、給水を終了する。その後、回転ドラム13を回転させて洗濯物を撹拌してすすぐすすぎ撹拌工程がスタートする(ステップS206)。
【0094】
このすすぎ撹拌行程を所定時間行った後、回転ドラム13の回転を終了し、排水弁25を開けることで、水槽12内のすすぎ水の排水を行い、その後、次の第2のすすぎ工程に移行し、同様のすすぎ行程を実行した後、脱水工程を経て、洗濯を終了する。
【0095】
以上のように、上記方法および装置を使用することにより、水道水中の硬水成分であるカルシウムおよびマグネシウムイオンが除去され、生成された軟水が洗濯槽に入り、洗濯用の水として使用される。従って、洗剤の衣類に対する洗浄効果が一段と上昇し、それ故、洗濯機における衣類の洗濯に関して、低温洗浄でも温水洗浄並みの洗浄効果を創出し、洗濯機の省エネを実現でき、したがって、使用者にとって、メンテナンスフリーの水浄化装置搭載の洗濯機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明にかかる水の浄化方法および水浄化装置搭載の洗濯機は、メンテナンスフリーの水の浄化方法および水浄化装置搭載の洗濯機を提供することが可能となるので、硬水地域における家庭用の洗濯機、食器洗浄機に限らず、産業用の大型食器洗浄機および洗濯機、機器洗浄機などにも使用することができ、産業用目的で硬水地域の水道水の浄化にも使用可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 金属イオン除去手段
1a イオン交換材
2a 洗浄水流入管(洗浄手段)
2b 洗浄水流出管(洗浄手段)
3 洗剤ケース(再生手段)
4 分離手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段とを備えた水の浄化方法。
【請求項2】
金属イオンおよび洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段をさらに備えた請求項1記載の水の浄化方法。
【請求項3】
給水手段とイオン交換により水中に含まれる金属イオンの少なくとも一部を取り除くことができる金属イオン除去手段と、前記金属イオン除去手段を洗剤により再生する再生手段と、前記再生手段および前記金属イオン除去手段を洗浄するための洗浄手段と、洗い工程とすすぎ工程をコントロールする制御手段とを備えた水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項4】
金属イオン除去手段は、陽イオン交換性能またはキレート結合性能を有するイオン交換材を有し、水中に含まれるカルシウムイオン、マグネシウムイオンの少なくとも一部を除去し軟水化するように構成した請求項3記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項5】
再生手段は、洗剤を一定の水道水で溶解し、再生液として使用するように構成した請求項3または4に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項6】
イオン交換材は、洗濯槽の上方または側面に設置され、イオン交換樹脂、ゼオライト、アルミナ、キレート材等の少なくとも一部からなり、水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンの少なくとも一部を吸着させる機能を有するように構成した請求項4記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項7】
再生手段は、洗い工程に使用される一定の水道水で洗剤を溶解後、濾過または遠心の少なくともどちらか一つの方法を使用することにより、不溶顆粒物の少なくとも一部を除去したナトリウムイオン溶液を用いて、イオン交換材の再生を行うように構成した請求項3〜6のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項8】
再生手段は、洗濯機洗剤ケースの中の洗剤を洗い工程に使用する全水量の1/20〜1/10の量の水道水で溶解するように構成した請求項3〜7のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項9】
水浄化装置は、給水経路に濾過手段とイオン交換材とを備え、水道水または再生手段を前記濾過手段により濾過し、前記イオン交換材を経由し、洗濯槽に流れるように構成した請求項3〜8のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項10】
濾過手段は、水道水または再生手段の洗剤液を濾過する網状のものであり、前記網状の網の孔の直径が0.01μm〜1000μmとなるように構成した請求項9記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項11】
再生手段は、洗剤中の炭酸イオン(CO)と、イオン交換材の再生により置換されるカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)の金属イオンを再生過程で濃縮させて反応させ、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)を生成させ沈殿させるように構成した請求項3〜10のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項12】
金属イオンおよび洗剤に含まれる炭酸イオンとの反応より再生後溶液に生じる沈殿物を分離するための分離手段をさらに備えた請求項3〜11のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項13】
分離手段は、イオン交換材を再生後、再生液中に生じる炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)などの沈殿を分離し、洗濯機の機外に排出するように構成した請求項12記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項14】
分離手段は、水流の過流によって沈殿成分の分離を行うように構成した請求項12または13に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項15】
制御手段は、流量に依存する水が流れる時間をコントロールすることで洗い工程およびすすぎ工程を自動的に制御するように構成した請求項3〜14のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。
【請求項16】
洗浄手段は、イオン交換材の上方あるいは側面に設置され、開閉弁と送水管とを設け、洗い工程時の使用水量の1/20〜1/10の量の水道水を洗浄液として、前記イオン交換材および洗剤ケースの順に流し込むことにより、再生手段および金属イオン除去手段を洗浄するように構成した請求項3〜15のいずれか1項に記載の水浄化装置搭載の洗濯機。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−172777(P2011−172777A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39722(P2010−39722)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】