説明

水の物理処理用磁場発生装置

【課題】水が流れる流路内に磁石を配置することなく、ある程度以上の強度の磁場を流路内に発生させることができ、かつ、ある程度以上の強度の磁場を流路内の広範囲にわたって発生させることができる磁場発生装置を提供すること。
【解決手段】水の物理処理用磁場発生装置(磁場発生装置1)は、水が流される筒部(パイプ4)と、パイプ4の径方向R外側にパイプ4と同心に配置され、当該パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させることにより水を磁気処理するメインコイル5(超電導コイル)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の物理処理用磁場発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給排水管・循環水管など各種水配管の防食およびスケール対策のための技術として、例えば特許文献1〜5に記載された水の磁気処理技術(物理処理技術)がある。これらの文献には、水の磁気処理のための磁石として永久磁石、電磁石が記載されている。
【0003】
ここで、防食効果、スケール除去・付着防止効果などを水の磁気処理により得るためには、ある程度以上の磁場強度が必要となる。例えば、特許文献1には、磁束密度0.5T〜3Tの磁場中に水を通過させることが好ましい旨記載されている。特許文献2には、磁束密度0.8T〜2Tの磁場中に水を通過させることが好ましい旨記載されている。
【0004】
一方、各種配管の管径は流れる流体の圧力損失を考慮して決定されるため、多量の水を配管に流す場合には配管径が大きくなる。そのため、例えば特許文献4に記載されているように配管の外側に永久磁石(または電磁石)を配置する場合、配管の内壁部から中心部にいたるまである程度以上の強度の磁場を発生させようとすると大型な磁石を用いなければならない。配管径によっては、実現が困難な規模の磁石になってしまう。
【0005】
この対策として、特許文献5では複数の永久磁石を流路内に配置している。これにより、流路の内壁部から中心部にいたるまで磁場を発生させることができるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−143890号公報
【特許文献2】特開2005−270728号公報
【特許文献3】特開2006−297346号公報
【特許文献4】特開2005−272891号公報
【特許文献5】特開2007−330869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献5に記載された方法では、流路内に配置した複数の永久磁石が抵抗となり流量が減少してしまう。すなわち、圧力損失を低く抑える(流量の確保)という観点からは、流路内に磁石を配置することは好ましくない。
【0008】
また、前記したように、防食効果、スケール除去・付着防止効果などを水の磁気処理により得るためには、ある程度以上の磁場強度が必要となるが、磁場強度だけでなく水が感じた磁場の積分値を大にすることも重要である。すなわち、水が流れる流路のできるだけ広い範囲にある程度以上の強度の磁場を発生させることが重要となる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、水が流れる流路内に磁石を配置することなく、ある程度以上の強度の磁場を流路内に発生させることができ、かつ、ある程度以上の強度の磁場を流路内の広範囲にわたって発生させることができる磁場発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、水が流される非磁性体で形成された筒部と、前記筒部の径方向外側に当該筒部と同心に配置され、当該筒部の軸方向と同じ向きの磁場を当該筒部の内側に発生させることにより水を磁気処理する超電導コイルと、を備える水の物理処理用磁場発生装置を提供する。
【0011】
この構成によると、超電導コイルを用いることにより、永久磁石や電磁石を用いる場合に比して、小型の磁場発生装置(物理処理用磁場発生装置)で筒部内の広範囲にわたって強い磁場を発生させることができる。
【0012】
ここで、例えば、筒部の軸方向に対して直交する向きの磁場を当該筒部の内側に発生させる超電導コイルを用いた場合、軸方向に対して直交する向きに筒部内を磁場が横切るようになり、軸方向(水の流れる方向)における磁場発生空間(磁気処理に有効なある程度以上の強度の磁場発生空間)を確保しにくい。しかしながら、本発明に係る上述した構成の超電導コイルによると、筒部内においてその軸方向(水の流れる方向)に沿って磁場が発生するため、ある程度以上の強度の磁場を広範囲にわたって筒部内の軸方向に発生させることができる。すなわち、本発明によると、筒部の軸方向と同じ向きの磁場を当該筒部の内側に発生させる超電導コイルとすることにより、ある程度以上の強度の磁場を広範囲にわたって筒部(流路)内に発生させることができる。
【0013】
また本発明において、前記超電導コイルが発生させる磁場と同じ向きの磁場を発生させる第2超電導コイルを備え、前記第2超電導コイルは、径方向においては前記超電導コイルの径方向外側または径方向内側に当該超電導コイルと同心に配置され、軸方向においては前記超電導コイルの軸方向端部近傍に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によると、筒部の軸方向に対して直交する筒部断面の径方向の各位置における磁場強度が均一化する。換言すれば、筒部の中心部における磁場強度と筒部の内壁部における磁場強度との差が小さくなる。また、軸方向の磁場強度も均一化する。これらにより、筒部内を流れる水が感じた磁場の積分値をより大にすることができる。
【0015】
さらに本発明において、前記超電導コイルを冷却する冷凍機を備えることが好ましい。
【0016】
この構成によると、液体ヘリウムなどの極低温冷媒を用いないで超電導コイルを冷却することができる。これにより、磁場発生装置(物理処理用磁場発生装置)の運転が容易となる。
【0017】
さらに本発明において、前記超電導コイルを収納するシールド容器と、前記シールド容器内に配置され、前記冷凍機と前記超電導コイルとを熱的に接続する伝熱板と、を備え、前記筒部と前記シールド容器とは間隔を開けて配置され、かつ、前記筒部と前記伝熱板との間にも間隔が開けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によると、筒部から冷却部(シールド容器内)への熱侵入を防止できる。
【0019】
さらに本発明において、磁場が2.0T以上である前記筒部内に0.5秒以上の時間をかけて水が流されることが好ましい。
【0020】
この構成によると、磁気処理水が大きな防食効果を有するようになる。
【0021】
さらに本発明において、水中に存在する磁性体を含む懸濁粒子を分離する磁気分離フィルタが前記筒部内に配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によると、磁気処理水中に懸濁した磁性体を含む粒子を効率よく分離することができ、その結果、筒部内壁面への懸濁物付着を防止でき、筒部の閉塞を防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、本発明の構成要件、特に、筒部(流路)の軸方向と同じ向きの磁場を当該筒部の内側に発生させる超電導コイルにより、水が流れる流路内に磁石を配置することなく、ある程度以上の強度の磁場を流路内に発生させることができ、かつ、ある程度以上の強度の磁場を流路内の広範囲にわたって発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る水の物理処理用磁場発生装置を示す側面断面図である。
【図2】超電導コイルが発生させる磁場分布の一例を示す図である。
【図3】電磁石が発生させる磁場分布の一例を示す図である。
【図4】錆の平均生成速度とボア中心領域の最低磁場との関係を示すグラフである。
【図5】錆の平均生成速度とボア中心領域の水の通過時間との関係を示すグラフである。
【図6】磁気分離フィルタによるマグネタイト分離効果を示すためのグラフである。
【図7】パイプ(筒部)と超電導コイルとの位置関係を示す模式図である。
【図8】内径が100mmのパイプの中心部に10Tの磁場を発生させたときのコイル配置および磁場分布を示す図である。
【図9】内径が435mmのパイプの中心部に5Tの磁場を発生させたときのコイル配置および磁場分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、磁気処理対象とする水は、水道水、海水、工場からの排水(イオンや重金属などを含む廃液)、工場内の循環水、オゾン水などである。
【0026】
(水の物理処理用磁場発生装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る水の物理処理用磁場発生装置1(以下、「磁場発生装置1」と呼ぶ)を示す側面断面図である。
【0027】
磁場発生装置1は、真空容器2、シールド容器3、パイプ(筒部)4、メインコイル5、シールドコイル6、および冷凍機31を有している。パイプ4には、水が流される(図中に矢印Wで示す)。メインコイル5によって発生する磁場の中にパイプ4が配置されているために、当該パイプ4中を流れる水に対して磁気処理が行なわれる。以下、各部について説明する。
【0028】
(容器)
真空容器2は、アルミニウム製の箱型容器である。真空容器2の上面には、電力供給用の入力端子2tが取り付けられている。真空容器の材料は、アルミニウム合金やステンレスなどの非磁性金属であってもよい。また、真空容器は、円筒形状であってもよい。
【0029】
シールド容器3もまた、アルミニウム製の箱型容器であり、シールド容器3は、真空容
器2の内部に収容されている。なお、シールド容器3の内部および外部は、真空状態(10−4Pa以下)に保たれる。シールド容器の材料は、アルミニウム合金や銅であってもよい。
【0030】
シールド容器3は、冷凍機31の第1ステージ31fに接触している。すなわち、シールド容器3は、第1ステージ31fに対して熱的に接続されている。そのため、シールド容器3は、冷凍機31の第1ステージ31fにおいて冷却される。
【0031】
シールド容器3とパイプ4との間には、空間(真空壁)が設けられており、シールド容器3とパイプ4とは接触していない。これにより、断熱性が高まる(パイプ4内を流れる水の有する熱がメインコイル5に伝わりにくい)。
【0032】
シールド容器3の内部には、伝熱板52が水平に配置されている。伝熱板52は銅製である。また、伝熱板52には、銅製の伝熱体33が取り付けられており、伝熱体33は、冷凍機31の第2ステージ31sに接続されている。すなわち、伝熱板52は、伝熱体33を介して、第2ステージ31sに熱的に接続されている、そのため、伝熱板52は、冷凍機31の第2ステージ31sによって冷却される。なお、伝熱板の材質は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金である。
【0033】
伝熱板52とシールド容器3との間には、空間(真空壁)が設けられており、伝熱板52とシールド容器3とは接触していない。すなわち、伝熱板52とパイプ4との間には、空間(真空壁)が設けられており、伝熱板52とパイプ4とは接触していない。これにより、断熱性が高まる(パイプ4内を流れる水の有する熱がメインコイル5に伝わりにくい)。
【0034】
ここで、シールド容器3は、断熱サポート部材(図示せず)を介して、真空容器2の内面に取り付けられている。また、伝熱板52についても同様に、断熱サポート部材(図示せず)を介して、シールド容器3の内面に取り付けられている。このように、シールド容器3と真空容器2との間は断熱されており、また、シールド容器3と伝熱板52との間についても断熱されている。断熱サポート部材は、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic;ガラス繊維強化複合材料)から成る。なお、断熱サポート部材の材料は、熱伝導率が小さい他の材料あってもよい。例えば、CFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)であってもよい。
【0035】
また、シールド容器3と伝熱板52とを接続するように、熱スイッチ34が設けられている。熱スイッチ34の内部には、伝熱媒体(窒素)が収容されている。なお、伝熱媒体は、アルゴンであってもよく、また、窒素やアルゴンを含む混合ガスであってもよい。
【0036】
(パイプ)
パイプ4は、水の流路となるアルミニウム製のパイプである。真空容器2およびシールド容器3を貫通するようにパイプ4は設けられている。真空容器2およびシールド容器3の両容器において、上板および底板にはそれぞれ孔が設けられており、この孔を通るようにパイプ4が配置されている。真空容器2の上記孔は、シールド容器3の上記孔よりも小さく、パイプ4は、真空容器2の上記孔部分で真空容器2に対して固定されている。なお、パイプ4を、真空容器2を構成する一部材とみなしてもよい。すなわち、パイプ4は、真空容器2の一部であってもよい。なお、真空容器の内側に当該真空容器との間に空間を設けて当該真空容器とは別にパイプ4を配置してもよい。
【0037】
パイプ4の一端(本実施形態においては上端)には、水を導入するための導入管(不図示)が接続される。パイプ4の他端(本実施形態においては下端)には、水の出口となる排出管(不図示)が接続される。パイプ4は、断熱構造を有する。なお、パイプの材料は、非磁性体材料であればよく、銅やステンレスであってもよい。また、本実施形態では、パイプ4の両端は、いずれも真空容器2の外面と面一とされているが、面一とされている必要は必ずしもない。パイプ4の両端が、真空容器2の外面から突出する形態であってもよい。
【0038】
また、パイプ4は、(i)磁場発生装置1の構造部材として真空容器2の真空状態を維持する機能、および(ii)水の流路としての機能、の二つの機能を有する。なお、流路のメンテナンスを容易にするため、パイプ4を二重構造にして、外側のパイプに上記(i)の機能を、内側のパイプに上記(ii)の機能を持たせてもよい。
【0039】
(コイル)
シールド容器3内に収容されたメインコイル5およびシールドコイル6は、どちらも超電導コイルである。メインコイル5は、パイプ4の径方向R外側にパイプ4と同心に配置され、パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させることにより、水の磁気処理に供される超電導コイルである。シールドコイル6は、メインコイル5の径方向R外側にメインコイル5と同心に配置され、当該シールドコイル6の径方向外側において、メインコイル5の発生させる磁場とは逆方向の磁場を発生させることにより、漏れ磁場の低減に供される超電導コイルである。
【0040】
メインコイル5は、その軸方向が鉛直方向に一致するように配置されている。シールドコイル6の内径は、メインコイル5の外径よりも大きい。パイプ4の軸方向Z、メインコイル5の軸方向、およびシールドコイル6の軸方向は一致している。なお、径方向Rは、軸方向Zに対して垂直である。
【0041】
メインコイル5は、超電導物質の線材からなり、支持体51の外周に巻かれている。シールドコイル6もまた、超電導物質の線材からなり、支持体61の外周に巻かれている。支持体61の内径は、メインコイル5の外径よりも大きく、メインコイル5の外周面と、支持体61の内周面との間には、空間が形成されている。
【0042】
支持体51および支持体61は、軸方向Zに延びる円筒状部材であり、アルミニウム製である。また、支持体51および支持体61の上下端には、径方向Rに延びるフランジが形成されている。なお、支持体は、ステンレス製であってもよい。支持体51とパイプ4との間には、空間(真空壁)が設けられており、支持体51とパイプ4とは接触していない。これにより、断熱性が高まる(パイプ4内を流れる水の有する熱がメインコイル5に伝わりにくい)。その結果、冷凍機31(ひいては磁場発生装置1)を小型にできる。
【0043】
また、支持体51および支持体61は、伝熱板52の上面に固定されている。そのため、メインコイル5は、支持体51を介して、伝熱板52に対して熱的に接続されており、シールドコイル6は、支持体61を介して、伝熱板52に対して熱的に接続されている。
【0044】
シールドコイル6の径方向外側に生じるメインコイル5の磁場は、当該磁場とは逆向きのシールドコイル6の磁場によって弱められる。磁場発生装置1においては、このようにして、漏れ磁場(シールドコイル6の外側の磁場)が低減される。
【0045】
酸化物超電導体(酸化物リード)35は、熱伝導率は低いが、電気抵抗はゼロであり、酸化物超電導体35により、低温部への熱移動量を抑制しながら、大電流を流すことができる。酸化物超電導体35は、導線を用いて、入力端子2t、メインコイル5、およびシールドコイル6に対して電気的に接続されている。入力端子2tには、図示しない電源が接続されており、酸化物超電導体35を介して、メインコイル5およびシールドコイル6に電力が供給される。
【0046】
(冷凍機)
磁場発生装置1においては、伝導冷却方式によって、超電導コイル(メインコイル5およびシールドコイル6)が冷却される。冷凍機31は、GM冷凍機(ギフォード・マクマホン冷凍機)であり、冷凍機31には、図示しない圧縮機が接続されている。冷凍機31は、モーター、および、シリンダ(第1シリンダ32f、第2シリンダ32s)を有している。シリンダ内部には、往復動作をするディスプレーサ(図示せず)が収容されている。また、ディスプレーサの内部には、蓄冷材が収容されている。
【0047】
第1シリンダ32fの下端には、第1ステージ(第1冷却部)31fが設けられており、第2シリンダ32sの下端には、第2ステージ(第2冷却部)31sが設けられている。冷凍機31は、二段階での冷却が可能であり、例えば、第1ステージ31fの温度を40Kにし、第2ステージ31sの温度を4Kにすることができる。
【0048】
冷凍機31の冷却原理について説明する。まず、ガス冷媒(ヘリウムガス)が圧縮機からシリンダ内に供給される。このガス冷媒は、ディスプレーサの往復動作にともなってシリンダ内で膨張することにより低温になる。このようにして、冷凍機31により冷却作用が得られる。
【0049】
(磁場発生装置の動作)
次に、磁場発生装置1の動作について説明する。冷凍機31を起動させると、シールド容器3および伝熱板52が冷却される。具体的には、シールド容器3が第1ステージ31fによって冷却され、伝熱板52が第2ステージ31sによって冷却される。その結果、シールド容器3の温度が40K程度となり、メインコイル5およびシールドコイル6の温度が4K程度となる。冷凍機31によると、液体ヘリウムなどの極低温冷媒を用いないでメインコイル5およびシールドコイル6を冷却することができる。これにより、磁場発生装置1の運転が容易となる。
【0050】
次に、メインコイル5およびシールドコイル6に電力が供給されると、メインコイル5の内側にはパイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場が発生する。メインコイル5の中心部における磁場は、例えば2T(テスラ)程度となる。一方、シールドコイル6の作用により、シールドコイル6の外側においては、ほぼ0T(テスラ)となる。そして、パイプ4に水を流すことにより、パイプ4内の磁場空間を水が通過して水は磁気処理される。
【0051】
(実施例)
図2は、メインコイル5(超電導コイル)が発生させる磁場分布の一例を示す図である。図3は、電磁石が発生させる磁場分布の一例を示す図である。超電導コイルを用いた場合、および電磁石(比較例)を用いた場合の、配管(パイプ4)の中心部に2Tの磁場を発生させるための条件(コイル仕様)および発生する磁場分布を、シミュレーションによりそれぞれ求めた。
【0052】
配管(パイプ4)の直径は、約200mm(200mmよりも少し小さい)とした。多量の水を圧力損失を少なくしてパイプ4に流すには、設備機器(不図示)の設置条件などから要求される配管長さに対し、配管径が規定される。例えば、長さ100mの配管で0.05m/s(=3000L/min)の流量を確保し、かつ圧力損失を0.1気圧(atm)とすると、配管径は約200mm必要となる。このときの流速は1.59m/sである。
【0053】
配管の中心部に2Tの磁場を発生させるための超電導コイル(メインコイル5)の仕様は下記のようになり、発生する磁場分布は図2のようになった。図2の横軸は径方向長さであり、縦軸は軸方向長さである。図2(グラフ)の目盛りの基点は、超電導コイル(メインコイル5)の中心である(図1参照)(図3についても同様)。
超電導コイルの内径D1:200mm
超電導コイルの外径D2:220mm
超電導コイルの長さL:80mm
超電導コイルの線材重量:4.3kg
【0054】
一方、配管の中心部に2Tの磁場を発生させるための電磁石の仕様は下記のようになり、発生する磁場分布は図3のようになった。なお、コイル(電磁石)の電流密度を10A/mmとした。
コイル(電磁石)の内径D1:200mm
コイル(電磁石)の外径D2:610mm
コイル(電磁石)の長さL:500mm
コイル(電磁石)の線材重量:1140kg
【0055】
図3に磁場分布を示したように、電磁石を用いた場合でも配管内に2Tの磁場が発生するが、そのときの電力損失は94kWとなり、実用規模の装置ではなくなる。なお、室温・空冷で運転できる電磁石の電流密度は一般に2〜4A/mmとされており、この場合、さらに大型の電磁石となってしまい、実現可能性は極めて低い。すなわち、理論上は、水の磁気処理に電磁石を用いることは可能であるが、その場合、極めて大型の電磁石とする必要があり、実用規模の装置ではなくなる。
【0056】
これに対し、超電導コイル(メインコイル5)の場合は、冷却によりコイルの電気抵抗を0とすることができ、コイルに大電流を流すことができる。その結果、配管内に2Tの磁場を発生させるという条件でもコイルのサイズ・重量を小さく抑えることができる。すなわち、磁場発生装置の構成部品として、超電導コイルを用いることにより、電磁石を用いる場合に比して、小型の磁場発生装置(物理処理用磁場発生装置)とすることができ、当該小型の磁場発生装置で強い磁場を筒部内(パイプ内)に発生させることができる。当然ながら、永久磁石を用いる場合に比しても、小型の磁場発生装置で強い磁場を筒部内に発生させることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、パイプ4の中心部Oにおいて、軸方向Zに対して垂直な磁場面内で磁場強度分布を8%以内にしている。このように、パイプ4の中心部Oの磁場強度(T)に対する、中心部Oの磁場強度と筒部(パイプ4)内面(R=97mm、Z=0mm)の磁場強度との差の絶対値の比を8%以内にすることが好ましい。磁場強度分布を8%以内にすることで水の磁気処理効果が高まる。
【0058】
(パイプ内の適切な磁場強度について)
図1に示した磁場発生装置1を用いて、次のような実験を行った。コイル長さ80mmのメインコイル5(超電導コイル)のボア中心領域(パイプ4の中心部領域)では、図2に示したように、軸方向Z中心位置(Z=0)では2Tの磁場が発生し、Z=40mmの位置では1.7Tの磁場が発生する(Z=±40mmの位置を、以下、「最低磁場位置」と呼ぶ)。このZ=±40mmの最低磁場位置での磁場をパラメータとして変化させ、温度20℃でNaCl濃度50mg/Lの水をパイプ4内に流した。パイプ4中心領域(ボア中心領域)の体積は、π×100mm×100mm×80mm=2.51×10mm(2.51L)であり、この領域を2.0秒で通過するように水量を調整した。すなわち、2.51L÷2s=1.26L/s=75.3L/minの水量とした。
【0059】
当然ではあるが、Z=±40mmの位置での磁場が1.7Tの場合、−40mm<Z<+40mmの範囲の磁場は、1.7T以上となる。
【0060】
そして、この水量(流量72L/min)の水が通る配管(パイプ4に連結されている)内であって、磁場発生装置1から約3m離れた場所(0.001T以下の場所)に、長さ130mm×幅35mm×厚さ1mmのSPCC(JIS G3141)板(サンプル)を置き、20日間保持した。20日後にサンプルに付着した錆を落とし、磁気処理を行う前に測定した重量から錆落とし後のサンプルの重量を引いて錆の重量を求めた。求めた錆の重量を20日で除した値である錆の平均生成速度と、Z=±40mmの位置での磁場(ボア中心領域の最低磁場)との関係を調べた結果を図4に示す。図4から明らかなように、磁場が0Tの場合は、平均生成速度0.06g/日というように錆の高い生成速度を示すが、磁場が高くなるにつれて生成速度は低下していく。磁場が2.0Tの場合には平均生成速度0.006g/日と、磁場が0Tの場合に比して1/10の錆量に抑制できていることがわかる。
【0061】
(パイプ内の磁場空間における適切な水通過時間について)
図1に示した磁場発生装置1を用いて、さらに次のような実験を行った。Z=±40mmの最低磁場位置での磁場を2.0Tに固定し、温度20℃でNaCl濃度30mg/Lの水をパイプ4内に流すときに、その水量をパラメータとして変化させ、パイプ4中心領域(ボア中心領域、2.51Lの領域)を水が通過する時間と、前記した実験と同じように0.001T以下の場所(磁場中)に置いたSPCC板(サンプル)を20日間保持したときの錆の平均生成速度との関係を調べた。なお、各条件で20日間保持している。その実験結果を図5に示す。図5から明らかなように、通過時間が0秒(パイプ4内を通過させない場合に相当)の場合に推測される錆の平均生成速度は0.08g/日と高い値を示すが、通過時間が長くなるにつれて生成速度は低下していく。通過時間が0.5秒のときには平均生成速度0.008g/日と、パイプ4内を通過させない場合に比して1/10の錆量に抑制できていることがわかる。
【0062】
(磁気分離フィルタの設置について)
マグネタイトFeは強い磁性を有する酸化鉄である。水中に懸濁したマグネタイトは磁場の強いパイプ4中心(ボア中心)に集まろうとするため、パイプ4の壁面やパイプ4内に別な配管を通した場合もその配管内壁面にマグネタイトが堆積していき、水の円滑な流れを妨げる原因となる。
【0063】
ここで、図1に示した磁場発生装置1を用いて、さらに次のような実験を行った。Z=±40mmの最低磁場位置での磁場を2.0Tに固定するとともに、パイプ4中心領域(ボア中心領域、2.51Lの領域)を水が通過する時間を2.0秒とし、温度20℃でNaCl濃度50mg/Lの水を流す場合に、パーマロイ製の磁気分離フィルタを配管内の所定位置に配置し、その所定位置で磁気分離フィルタを20日間保持して、当該磁気分離フィルタによって分離されたマグネタイトの重量を測定して、マグネタイトの平均分離速度を求めた。その後、磁気分離フィルタの設置場所を変更したとき、磁気分離フィルタ設置位置の磁場とマグネタイトの平均分離速度との関係を調べた結果を図6に示す。図6から明らかなように、磁気分離フィルタの設置位置の磁場が強くなるにつれてマグネタイトの平均分離速度が上昇していき、設置位置の磁場が0.6T以上で飽和状態となる。この飽和状態の90%に相当するマグネタイトの平均分離速度が0.3T以上の磁場で得られている。なお、設置位置の磁場0.3Tを境に、マグネタイトの平均分離速度の上昇率が変化している。配管内の0.3T以上の磁場空間は、パイプ4の長さを調整することによりパイプ4内に発生させることができる(他の大きさの磁場空間についても同様)。
【0064】
なお、パーマロイとは、鉄・ニッケル(Fe−Ni)の合金で初透磁率の大きいことを目的に作られた合金のことをいう。また、磁気分離フィルタとは、液体(例えば水)などに分散している粒子(磁性体を含む懸濁粒子)を、磁気の力を用いて分離するフィルタのことをいう。磁気分離フィルタとしては、メッシュ状・スリット状・ワイヤ巻きなど種々の形状のフィルタがある。流路(例えばパイプ4)の断面全面に磁気分離フィルタが配置されることが好ましいが、流路断面の一部のみに磁気分離フィルタを配置してもよい。磁気分離フィルタは、流路(例えばパイプ4)の一部を抜き差しできるスリット部材の形態として配置されると、取替えが容易である。なお、磁性ステンレス製の磁気分離フィルタを用いても、パーマロイ製の磁気分離フィルタと同様の効果が得られる。
【0065】
(水の流れ方向と磁場の向きとの関係)
図7は、パイプ(筒部)と超電導コイルとの位置関係を示す模式図である。図7(a)は、図1に示した本実施形態のパイプ4とメインコイル5(超電導コイル)との位置関係を示す図であり、図7(b)は、パイプ4と比較例に係るメインコイル5c(超電導コイル)との位置関係を示す図である。
【0066】
図7(a)、(b)のパイプ4内のハッチングは、メインコイル5(超電導コイル)がパイプ4内に発生させた磁場(ある程度以上の強度の磁場空間)を示す。
【0067】
図7(b)にハッチングで示したように、パイプ4の軸方向Zに対して直交する向きの磁場をパイプ4の内側に発生させるメインコイル5c(超電導コイル)を用いた場合、軸方向Zに対して直交する向きにパイプ4内を磁場が横切るようになり、軸方向Z(水の流れる方向)における磁場発生空間(磁気処理に有効なある程度以上の強度の磁場発生空間)を確保しにくい。
【0068】
一方、図7(a)に示したように、パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させるメインコイル5(超電導コイル)によると、ある程度以上の強度の磁場をパイプ4(流路)内の広範囲にわたって発生させることができる。
【0069】
(筒部(流路)断面方向の磁場の均一化)
水の磁気処理効果は、水が感じた磁場の積分値に依存する。したがって、水が流される筒部(流路)内において、その断面方向には磁場ができるだけ均一で、かつ長さ方向には強い磁場空間ができるだけ長いほうが好ましい。強い磁場空間を長さ方向にできるだけ長くするには、前記したように、パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させるメインコイル5(超電導コイル)とすること、およびこのメインコイル5(超電導コイル)の軸方向Z長さを適宜定めることで達成できる。ここでは、筒部(流路)断面方向の磁場の均一化について説明する。
【0070】
図8は、内径が100mmのパイプ4の中心部Oに10Tの磁場を発生させたときのコイル配置および磁場分布を示す図である。図8(a)はコイル配置図であり、図8(b)はこのときの磁場分布図である。
【0071】
図8(b)の横軸は径方向長さであり、縦軸は軸方向長さである。図8(b)の目盛りの基点は、超電導コイル(メインコイル5)の中心部Oである。また、図8(b)のハッチングにおいて、例えば「0.0〜2.5%」の領域は、磁場強度が10T〜10.25Tであることを示す(図9(b)についても同様)。
【0072】
図8(a)に示したように、メインコイル5(超電導コイル)は、パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させるように、パイプ4の径方向R外側に当該パイプ4と同心に配置されている。また、ここでのメインコイル5(超電導コイル)の仕様は下記とした。
超電導コイルの内径D1:115mm
超電導コイルの外径D2:220mm
超電導コイルの長さL:150mm
超電導コイルの線材重量:34kg
【0073】
このメインコイル5(超電導コイル)によると、図8(b)に示すように、軸方向Zに対して垂直な面内では、磁場強度分布を3.1%以内にすることができている(中心部Oの磁場強度(10T)に対する、中心部Oの磁場強度とパイプ4内面(R=50mm、Z=0mm)の磁場強度との差の絶対値の比を3.1%以内にすることができている)。このように、図8(a)に示したメインコイル5(超電導コイル)によると、その断面方向の磁場強度分布を均一化できる。その結果、パイプ4内を流れる水が感じた磁場の積分値を大にすることができる。
【0074】
次に、図9は、内径が435mmのパイプ4の中心部Oに5Tの磁場を発生させたときのコイル配置および磁場分布を示す図である。図9(a)はコイル配置図であり、図9(b)はこのときの磁場分布図である。
【0075】
図9(a)に示したように、メインコイル5(超電導コイル)は、パイプ4の軸方向Zと同じ向きの磁場をパイプ4の内側に発生させるように、パイプ4の径方向R外側に当該パイプ4と同心に配置されている。本実施形態では、メインコイル5(超電導コイル)が発生させる磁場と同じ向きの磁場を発生させる一対の補助コイル7,8(第2超電導コイル)がさらに設けられている。補助コイル7,8は、径方向Rにおいてはメインコイル5の径方向R外側に当該メインコイル5と同心に配置され、軸方向Zにおいてはメインコイル5の軸方向両端部近傍にそれぞれ配置されている。径方向Rにおいて、補助コイル7,8は、メインコイル5とシールドコイル6との間に配置されている。
【0076】
メインコイル5および補助コイル7,8の仕様は下記とした。
メインコイル5の内径D1:450mm
メインコイル5の外径D2:640mm
メインコイル5の長さL:450mm
メインコイル5の線材重量:596kg
補助コイル7,8の内径D1:540mm
補助コイル7,8の外径D2:580mm
補助コイル7,8の長さL:100mm
補助コイル7,8の線材重量:28.7kg
【0077】
これらメインコイル5(超電導コイル)および補助コイル7,8(第2超電導コイル)によると、図9(b)に示すように、軸方向Zに対して垂直な面内では、磁場強度分布を5.8%以内にすることができている(中心部Oの磁場強度(5T)に対する、中心部Oの磁場強度とパイプ4内面付近(R=200mm、Z=0mm)の磁場強度との差の絶対値の比を5.8%以内にすることができている)。このように、図9(a)に示したメインコイル5(超電導コイル)および補助コイル7,8(第2超電導コイル)によると、その断面方向の磁場強度分布をさらに均一化できる。すなわち、パイプ4内を流れる水が感じた磁場の積分値をより大にすることができる。
【0078】
また、図9(b)において、例えばZ=50mm、R=0mm付近の領域の磁場強度分布は、−2.5%〜0.0%となっているのに対し、図8(b)において、Z=50mm、R=0mm付近の領域の磁場強度分布は、−7.5%〜−5.0%となっている。すなわち、メインコイル5(超電導コイル)だけでなく補助コイル7,8(第2超電導コイル)も配置することで、軸方向Zの磁場強度も均一化する。
【0079】
なお、本実施形態では、メインコイル5の径方向R外側に補助コイル7,8を配置した例を示したが、メインコイル5の径方向R内側(パイプ4とメインコイル5との間)に補助コイル7,8を配置してもよい。
【0080】
また、本実施形態では、メインコイル5の軸方向両端部近傍に補助コイル7,8をそれぞれ配置した例を示したが、メインコイル5の軸方向両端部のうちいずれかの近傍のみに補助コイル7(または8)を配置してもよい。
【0081】
(配管径および流速について)
本発明においては、筒部(パイプ4)の内径が50mm以上であって、当該筒部(パイプ4)に20L/min以上の流速で水が流されることが好ましい。筒部の内径が50mm以上であっても、本発明では超電導コイルを用いるので、筒部(パイプ4)の中心部にいたるまで小型の磁場発生装置で強い磁場を発生させることができる。その結果、多量の流水を効率よく磁気処理することができる。
【0082】
ここで、配管(パイプ4)の圧力損失を1kPa以下とし、流量(流速)を20L/minとすると、配管内径は50mmとなる。一方、内径が50mm未満の配管では、例えば永久磁石を用いても磁場が配管中心部におよぶ。このように、内径が50mm未満の配管の場合には、超電導コイルを用いる利点が縮小する。なお、実際的な水の流量(流速)は、5L/min〜500L/min程度となる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【符号の説明】
【0084】
1:水の物理処理用磁場発生装置
2:真空容器
3:シールド容器
4:パイプ(筒部)
5:メインコイル(超電導コイル)
6:シールドコイル
31:冷凍機
R:径方向
Z:軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流される非磁性体で形成された筒部と、
前記筒部の径方向外側に当該筒部と同心に配置され、当該筒部の軸方向と同じ向きの磁場を当該筒部の内側に発生させることにより水を磁気処理する超電導コイルと、
を備える、水の物理処理用磁場発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水の物理処理用磁場発生装置において、
前記超電導コイルが発生させる磁場と同じ向きの磁場を発生させる第2超電導コイルを備え、
前記第2超電導コイルは、径方向においては前記超電導コイルの径方向外側または径方向内側に当該超電導コイルと同心に配置され、軸方向においては前記超電導コイルの軸方向端部近傍に配置されていることを特徴とする、水の物理処理用磁場発生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水の物理処理用磁場発生装置において、
前記超電導コイルを冷却する冷凍機を備えることを特徴とする、水の物理処理用磁場発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水の物理処理用磁場発生装置において、
前記超電導コイルを収納するシールド容器と、
前記シールド容器内に配置され、前記冷凍機と前記超電導コイルとを熱的に接続する伝熱板と、を備え、
前記筒部と前記シールド容器とは間隔を開けて配置され、かつ、前記筒部と前記伝熱板との間にも間隔が開けられていることを特徴とする、水の物理処理用磁場発生装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水の物理処理用磁場発生装置において、
磁場が2.0T以上である前記筒部内に0.5秒以上の時間をかけて水が流されることを特徴とする、水の物理処理用磁場発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の水の物理処理用磁場発生装置において、
磁気分離フィルタが前記筒部内に配置されていることを特徴とする、水の物理処理用磁場発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121031(P2011−121031A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282770(P2009−282770)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】