水中ロープの水棲生物付着防止具
【課題】本発明は、海苔養殖、定置網などの設置あるいは船舶の係留などのために水中に敷設あるいは張設されるロープに挿通して使用され、該ロープを常時自然に擦過しつつ、水棲生物の付着のごく初期段階で剥ぎ取ってそれらの付着、群生を防止する器具を提供する。
【解決手段】本発明は、潮流を受ける潮流受板部分3と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分2とからなる水棲生物付着防止具1であり、望ましくは本文で規定するその海水浮沈速度Vが、海苔養殖網用を除くものにおいては、−500<=V<=500cm/分であり、海苔養殖網用の場合には、同海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具である。
【解決手段】本発明は、潮流を受ける潮流受板部分3と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分2とからなる水棲生物付着防止具1であり、望ましくは本文で規定するその海水浮沈速度Vが、海苔養殖網用を除くものにおいては、−500<=V<=500cm/分であり、海苔養殖網用の場合には、同海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、養殖網・筏、定置網等の養殖・捕獲基材の海中への設置あるいは船舶係留等のために水中に水平ないし傾斜して敷設または張設されるロープに対して、珪藻類、エビ等と呼ばれるワレカラ等の節足生物、フジツボ、牡蠣等の水棲生物が付着するのを防止する付着防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海苔養殖網、魚などの養殖網設置あるいは各種筏、船舶係留のために水中に敷設または張設されるロープ対して付着して群生する水棲生物は、資材重量の増加と多量の付着物の傷害により資材の取替え、撤去、運搬などの作業性を阻害するばかりではなく危険であり、また、海苔のような養殖製品に対しては珪藻類(海苔製品ではヒゲと呼ばれる)や節足小生物(海苔製品ではエビと呼ばれる)などが異物として混入したり、養殖魚貝を傷つけたり、資材を損傷するなどの悪影響を与えている。水棲生物のロープへの付着現象をなくするには、ロープに付着する藻類や水棲生物を少なくとも成長する前に掻き落すか、ロープに水棲生物の付着を未然に防止することが有効である。しかしながら、前者の方法は作業には手間がかかり、そのための有効な手段もなく、後者の場合も、水棲生物付着防止塗料、樹脂などが開発されているが、海苔等の養殖生物の生育に影響がなく、かつ他の有害水棲生物の付着を妨げるのに有効で、持続性のあるものはまだ殆ど実用化されていない。なお、本発明者らは、潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる海苔養殖用に使用されるロープの水棲生物付着防止具を提案し、特許出願2003−148393として出願して、さらに研究を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、先の出願の発明と同様に、潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分に設けられた滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなり、牡蠣、真珠などの養殖筏、定置網などの設置あるいは船舶、水中構造物の係留、支持など、海苔養殖以外の他の目的で水中に水平ないし傾斜した状態で敷設あるいは張設されるロープに対しても広く使用することが可能であり、水棲生物付着防止効果を高めることができる手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、図1で代表されるように、潮流を受ける潮流受板部分3と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分2とからなる水棲生物付着防止具1であり、望ましくは本文で規定するその海水浮沈速度Vが、海苔養殖網用を除くものにおいては、−500<=V<=500cm/分であり、海苔養殖網用の場合には、同海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の水棲生物付着防止具は、ロープ挿通部分2と潮流受板部分3とを有することによって、そのロープ挿通部分2を、水中に水平ないし傾斜して設置、敷設あるいは架設されたロープに通して使用する場合、防止具1の潮流受板部分3に潮の干満や潮流あるいは波による波動を受け、それらのエネルギーによって、1日少なくとも数回、防止具1をロープに沿って往復滑動させ、該ロープ表面をロープ挿通部分2により常時自然に擦過しつつ、水棲生物の付着のごく初期段階で剥ぎ取って、それらへの水棲生物の付着、群生を長期間にわたって防止するものである。特に、後述する海水中の浮沈速度を特定の範囲とすることによって、該防止具は海水に近い比重を有するため海水の流れに乗ってあたかも海水と一体になったように移動し易く、ロープ上での滑動をスムースにし、水棲生物の剥ぎ取り効果を発揮する。また、本発明の防止具は、特に海水浮沈速度が0を超えるプラス側のものについては、海苔養殖を行うに際して、珪藻(ヒゲ)やワレカラ(エビ)が付着して群生し、それらが剥がれて一挙に多量に浮遊して養殖中の海苔に付着、混入し易い水域に位置する、少なくとも浮流し方式における固定ロープ、枠綱あるいは支柱方式における支柱固定ロープなどに装着され、養殖期間を通して珪藻、ワレカラ等が付着することを防止し、低品位の最終海苔製品の発生を大幅になくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の水棲生物付着防止具1は、図1または図2に示すように、基本的にはロープ挿通部分2と潮流を受ける潮流受板部分3とを有し、全体としてほぼプレート状をなす構造であり、潮の干満や波の動きなどによる潮流を潮流受板部分3に受け、さらには潮の干満による海面の上下によって、該ロープ挿通部分2に通された養殖資材の固定ロープ、枠綱あるいは船舶係留などのロープ上を自在に滑動しながらロープ表面を擦過する機能を持つ。なお、図1及び図2に示される水棲生物付着防止具1は、硬質または半硬質のプラスチックからなる潮流受板部分3の中央部分または偏心部分にロープ挿通部分2を有するものを一体に成形したものであるが、以下に述べるようにこの構造に限られるものではない。なお、2aの部分はロープ挿通部分を補強するための肉厚部分である。
【0007】
本発明の水棲生物付着防止具1のロープ挿通部分2は、装着したロープ上を自在に滑動しながらロープ表面を擦過する機能を発揮する部分である。このため、該ロープ挿通部分2はその内壁とロープ表面との間にある程度の間隙が必要であり、その間隙は、海苔網用の枠綱あるいは固定ロープ(通常の直径10〜30mm)の場合、ロープ挿通部分とロープを同心円状に配したとき、好ましくは全周にわたって3〜10mm程度である。この間隙が3mm以下ではロープに対する防止具の滑動がスムーズに行われ難く、また10mm以上になると防止具の滑動中に防止具のロープ挿通部分2がロープ表面を擦過するチャンスが少なくなり、ロープへの水棲生物付着防止効果が小さくなる。なお、前記間隔はロープの太さによって異なるので、適宜有効な範囲で選択すれば良い。
【0008】
また、ロープ挿通部分の長さ(図1、図2、図5、図6あるいは図7のようにプレート状の潮流受板部に穿たれたような場合には該プレートないしその肉厚部の厚さ)は、本発明の防止具のロープに対する十分な擦過効果を得るために数mm以上、好ましくは5mm以上であるが、本防止具の大きさによっては50mmを超えるとロープ上での防止具の滑動性が損なわれる場合がある。
【0009】
本発明の水棲生物付着防止具における潮流受板部分3は、主としてこの部分で潮流を受けとめ、そのエネルギーによって、本防止具のロープ挿通部分2をロープ上に沿って滑動させてその表面を擦過し、この部分にロープに水棲生物が付着するのを防ぐとともに、付着した水棲生物を初期の段階で剥ぎ取るための作用を与える。このため、潮流受板部分はある程度の硬さが必要であり、アクリル系、塩化ビニル系、エステル系、オレフィン系、カーボネート系などの硬質,半硬質のプラスチックもしくはゴムまたはアルミニウム、スチールなどの金属からなるプレート状のものが望ましい。なお、本発明の防止具をポリ乳酸系などの生分解性のプラスチックで形成する場合には、破損して海中に浮遊、沈殿した場合の汚染をなくするのに好都合である。
【0010】
また、本発明の防止具をロープに沿って滑動させながらその表面を擦過するエネルギーを得るためにはある程度以上の防止具の潮流を受ける面積(ロープ挿通部を含む防止具の平面投影面積として代表される)が必要であるが、該面積は挿通されるロープとロープ挿通部分との摩擦の影響、あるいは設置する海域の潮流の状態などによって変わるので、実験的あるいは経験的に決められる。例えば10mmのロープに対して装着されるものは、潮流の早さなどにもよるが100cm2以上好ましくは200cm2以上の面積を有する大きさが有効である。なお、前記のような太さの固定ロープの場合、その面積が1000cm2以上になると取扱いにくくなり、また潮流や波により海苔網、ロープを損傷する可能性が高くなる。ただし、太さが数10mm以上の太い船舶係留用のロープに使用する場合は、その面積はさらに大きくても良く、また逆に、数mmのロープ用には該面積が数10cm2でも良い。
【0011】
潮流受板部分3の形状は、円形、半円形、各種多角形などから任意に選択し得るが、通常は本発明の水棲生物付着防止具の潮流受板部分3にほぼ均一に潮流を受け、防止具をスムーズにロープ上を滑動させるためには、円形、四角以上の正多角形でそのほぼ中央にロープ挿通部分2を有するものが良い。ただし、海苔養殖用の枠綱、アバ(浮子)用張綱など海面に近い部分に取り付けられる本発明の付着防止具は、海苔収穫時に枠綱に乗り上げる船などとの接触による破損を少なくするために、図2のようにロープ挿通部分2の下方(水面下)に半円形または扇型の潮流受板部分3が存在するものが望ましい。
【0012】
本発明の水棲生物付着防止具は、図1、図2、図5、図6あるいは図7の形状のようにロープ挿通部分2と潮流受板部分3とを、両者を射出成形するか潮流受板部分3を構成するプレートにロープ挿通部分2を穿設することにより一体に形成しても良いが、図3及び図4に示すように、ロープ挿通部分2と潮流受板部分3を含む部品とを別々に成形し、それらを接着、嵌合、ねじ止めなどによって一体化しても良い。図中4は止めねじである。前者の場合は防止具の安価な製造が可能であるが、異なるロープ径に対応して多くの在庫、成形型の準備や穿設加工が必要となり、後者の場合には、一定形状の一種の潮流受板部分3と挿通部分径の異なる複数のロープ挿通部分2を準備しておくことによって、在庫品を軽減し、異なるロープ径に簡単に対応し得る利点がある。もちろんロープ挿通部分2と潮流受板部分3を含む部品は別素材で製造することができる。
【0013】
本発明の水棲生物付着防止具1は、ロープの設置前あるいは設置後に所定のロープ位置に装着されるが、前者の場合は予めロープに防止具を装着しておくことができるため、図1、図2及び図3に示すような防止具で対応できるが、後者の場合には、防止具に工夫が必要である。例えば、図5に示すものは、図1の水棲生物付着防止具1の潮流受板部分3において、ロープ挿通部分2から一箇所に外周に至る切れ目あるいはスリット5を形成したもので、この部分を捻るように開いてこの防止具をロープに装着することができる。図6に示すものは、図5に示す防止具のスリット5の外周側にロープ案内用半円状の凹部1aを形成し、この部分にロープを押しつけるようにして潮流受板部分3を捻りやすくすることより簡単にスリットを開いてロープの装着を行い易くしたものである。図中6は、潮流受板部分3を部分的に厚くしたり、金属等の重い部材や樹脂独立発泡体などの軽い部材を固着して、本発明の防止具の重量を調整して浮沈速度をコントロールし、さらに必要に応じて本発明の防止具の水中設置時にスリット部分5の方向(図6では横向き)を規制したり、防止具を垂直に近い状態あるいはロープに直角な状態でロープに装着されるようにするための調整部分である。
【0014】
また、図7に示すものは、図5の防止具1において、比重の大きい潮流受板部分3Aと比重の小さい潮流受板部分3Bを張り合わせ、その大きさの組合せによって海水浮沈速度Vを調節するようにしたものである。図8、図9に示すものは、ロープ挿通部分を含めてプレート状の防止具を左右同形の部品3a、3bに分割し、その重ね合せ代部分7aおよび7bにおいてねじ止めできるようにしたものであり、ロープを挟むように両部品を組合せてねじ止めする。図10、図11に示すものは、図8に類似するが、プレート状の防止具の左右部品3a、3bを一方の重ね合せ代部分7aにおいて予めピン止めして左右に開閉可能としたもので、両部品をロープを挟むように閉じ、重ね合せ代部分7bにおいてねじ止めする。
【0015】
また、本発明者らは、本発明における水棲生物付着防止具を、海中においてロープに装着された状態で潮流によってロープ上を容易に滑動させるために、防止具全体として海水に近い見掛け比重を有していることが望ましいことを知り、この見掛け比重に代えて以下の方法で測定される海水浮沈速度Vを特定することが目的達成の上で有効であることを確認した。
【0016】
海水浮沈速度:
海水を満たした水槽中に、本発明の水棲生物付着防止具を完全に没した状態で定位置に保持した後、防止具を離し、その位置から1m浮上または沈降するまでに要した時間を測定し、浮上側を+、沈降側を−として浮沈速度(cm/分)として換算する。
なお、このような海水浮沈速度は、防止具を構成する素材の選択、比重の大きい素材と比重の小さい素材の組合せ、例えば比重の大きい樹脂等と比重の小さいポリプロピレンなどの合成樹脂、合成樹脂またはゴムの独立気泡体、中空体など浮力のあるものの組合せ、さらには必要に応じて防止具に浮体あるいは重りを付けたり、さらにはロープへの装着時に比重の大きい部品と小さい部品を併用することによって調整することが可能である。
【0017】
海水浮沈速度Vが−500cm/分以下あるいは500cm/分以上の場合、防止具の重量又は浮力によって、ロープと防止具のロープ挿通部分との間の摩擦が大きく、ロープ表面の僅かな付着物によっても潮流、波などによる防止具のロープ上の滑動性が低下することが多くなる。好ましい浮沈速度は−200〜200cm/分、さらには−100〜100cm/分である。なお、浮沈速度Vが前記範囲内でも0を超える範囲では、干満による潮流変化に加えて、潮の干満や波による水面の上下、防止具の浮力をさらに利用して防止具のロープ上での滑動をよりスムースに、大きくまた回数多く行わせることができ、特に海面に近い水域での水棲小生物の付着、群生をより強く防止することができるため、海苔養殖網用の各種ロープに適している。また、このように軽い領域の防止具は、破損などによってロープから外れたとき、該防止具が海底に沈まず、水面に浮いた状態となるのでその回収が容易であり、環境に汚さないという利点がある。
【0018】
また、本発明の防止具は、蛍光色を施したり、金属蒸着等による光反射面を持たせることによって、その動きあるいは破損、脱落を海面からの目視により簡単にチェックすることができる。さらに、本発明の水棲生物付着防止具は、潮流受板部分に潮通し穴を形成したり、切れ目や捻れを形成することによって、該水棲生物付着防止具自体を回転させながらロープ上を滑動させることにより、ロープとロープ挿通部分とを均一に接触させて水棲生物の付着防止、剥離をより有効に行わせることが可能である。
【0019】
本発明の防止具の使用例を図によって説明する。
図12は、本発明の一例として浮流し方式による海苔養殖方法を説明するための海中における海苔網設置状態を示すの部分斜視概略図であり、海苔網11は各張綱12、中浮子13を介して周囲の枠綱14に取りつけられ、枠綱14の外側に張られたフロート15を装着した固定ロープ16の先端に取りつけられたアンカー17によって、定位置に設置されている。なお、固定ロープ16のフロート15とアン力ー17の間には、フロート15から数m乃至数10mの位置18に重しブロック19が補助ロープ20によって吊り下げられている。図12においては、本発明の図7に示す構造の水棲生物付着防止具1(直径20cm、ポリカーボネート板3Aとポリエチレン独立気泡体板3Bを接合、浮海水沈速度V:約60cm/分)が、珪藻類やワレカラが群生し易い固定ロープ16上のフロート15から重しブロック19の取りつけられる位置18に至る間で滑動するように装着され、さらに図2に示される防止具1A(潮流受板部分を含む防止具面積約80cm2、ポリプロピレンとアクリル樹脂の張り合せ複合、浮沈速度V:約50cm/分)が張綱12及び枠綱14に装着されている。(なお、図12おいて、防止具1Aについては部分的に示している。)これによる養殖開始後、本発明の防止具を装着した部分の固定ロープ、張綱及び枠綱に対する珪藻とワレカラの付着状況を目視によって観察した結果、海苔養殖期間中それぞれ付着は殆ど認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の防止具は、養殖漁業用の施設、定置網などの設置網、船舶の係留あるいは他の海中構築物用に、水中に水平ないし傾斜して敷設または張設されているロープ等に装着され、長期間にわたって藻類、フジツボ、牡蠣その他の水棲生物の付着防止に効果があり、特に海中浮沈速度Vが0を超える範囲のものについては、海苔養殖用の網の設置、保持、固定ロープなどとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の水棲生物付着防止具の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の水面設置ロープに対する使用に適した水棲生物付着防止具の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に使用する水棲生物付着防止具の他の一例を示す平面図である。
【図4】図4のA−Aにおける断面図である。
【図5】本発明に使用する水棲生物付着防止具のさらに他の一例を示す平面図である。
【図6】図5に類似する本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図7】図5に類似する本発明のさらに他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図8】本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図9】図7におけるB−B断面図である。
【図10】図7に示すものに類似する本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図11】図9におけるC−C断面図である。
【図12】本発明の海苔養殖方法を説明する斜視概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1:水棲生物付着防止具
1a:スリット端のロープ案内用窪み
2:ロープ挿通部分
2a:ロープ挿通部分の肉厚部
3:潮流受板部分
5:スリット5
6:調整部分
11:海苔網
12:張綱
13:中浮子
14:枠綱
15:フロート
16:固定ロープ
17:アンカー
18:重しブロックの取り付け位置
19:重しブロック
20:補助ロープ
【技術分野】
【0001】
この発明は、養殖網・筏、定置網等の養殖・捕獲基材の海中への設置あるいは船舶係留等のために水中に水平ないし傾斜して敷設または張設されるロープに対して、珪藻類、エビ等と呼ばれるワレカラ等の節足生物、フジツボ、牡蠣等の水棲生物が付着するのを防止する付着防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海苔養殖網、魚などの養殖網設置あるいは各種筏、船舶係留のために水中に敷設または張設されるロープ対して付着して群生する水棲生物は、資材重量の増加と多量の付着物の傷害により資材の取替え、撤去、運搬などの作業性を阻害するばかりではなく危険であり、また、海苔のような養殖製品に対しては珪藻類(海苔製品ではヒゲと呼ばれる)や節足小生物(海苔製品ではエビと呼ばれる)などが異物として混入したり、養殖魚貝を傷つけたり、資材を損傷するなどの悪影響を与えている。水棲生物のロープへの付着現象をなくするには、ロープに付着する藻類や水棲生物を少なくとも成長する前に掻き落すか、ロープに水棲生物の付着を未然に防止することが有効である。しかしながら、前者の方法は作業には手間がかかり、そのための有効な手段もなく、後者の場合も、水棲生物付着防止塗料、樹脂などが開発されているが、海苔等の養殖生物の生育に影響がなく、かつ他の有害水棲生物の付着を妨げるのに有効で、持続性のあるものはまだ殆ど実用化されていない。なお、本発明者らは、潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる海苔養殖用に使用されるロープの水棲生物付着防止具を提案し、特許出願2003−148393として出願して、さらに研究を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、先の出願の発明と同様に、潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分に設けられた滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなり、牡蠣、真珠などの養殖筏、定置網などの設置あるいは船舶、水中構造物の係留、支持など、海苔養殖以外の他の目的で水中に水平ないし傾斜した状態で敷設あるいは張設されるロープに対しても広く使用することが可能であり、水棲生物付着防止効果を高めることができる手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、図1で代表されるように、潮流を受ける潮流受板部分3と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分2とからなる水棲生物付着防止具1であり、望ましくは本文で規定するその海水浮沈速度Vが、海苔養殖網用を除くものにおいては、−500<=V<=500cm/分であり、海苔養殖網用の場合には、同海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の水棲生物付着防止具は、ロープ挿通部分2と潮流受板部分3とを有することによって、そのロープ挿通部分2を、水中に水平ないし傾斜して設置、敷設あるいは架設されたロープに通して使用する場合、防止具1の潮流受板部分3に潮の干満や潮流あるいは波による波動を受け、それらのエネルギーによって、1日少なくとも数回、防止具1をロープに沿って往復滑動させ、該ロープ表面をロープ挿通部分2により常時自然に擦過しつつ、水棲生物の付着のごく初期段階で剥ぎ取って、それらへの水棲生物の付着、群生を長期間にわたって防止するものである。特に、後述する海水中の浮沈速度を特定の範囲とすることによって、該防止具は海水に近い比重を有するため海水の流れに乗ってあたかも海水と一体になったように移動し易く、ロープ上での滑動をスムースにし、水棲生物の剥ぎ取り効果を発揮する。また、本発明の防止具は、特に海水浮沈速度が0を超えるプラス側のものについては、海苔養殖を行うに際して、珪藻(ヒゲ)やワレカラ(エビ)が付着して群生し、それらが剥がれて一挙に多量に浮遊して養殖中の海苔に付着、混入し易い水域に位置する、少なくとも浮流し方式における固定ロープ、枠綱あるいは支柱方式における支柱固定ロープなどに装着され、養殖期間を通して珪藻、ワレカラ等が付着することを防止し、低品位の最終海苔製品の発生を大幅になくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の水棲生物付着防止具1は、図1または図2に示すように、基本的にはロープ挿通部分2と潮流を受ける潮流受板部分3とを有し、全体としてほぼプレート状をなす構造であり、潮の干満や波の動きなどによる潮流を潮流受板部分3に受け、さらには潮の干満による海面の上下によって、該ロープ挿通部分2に通された養殖資材の固定ロープ、枠綱あるいは船舶係留などのロープ上を自在に滑動しながらロープ表面を擦過する機能を持つ。なお、図1及び図2に示される水棲生物付着防止具1は、硬質または半硬質のプラスチックからなる潮流受板部分3の中央部分または偏心部分にロープ挿通部分2を有するものを一体に成形したものであるが、以下に述べるようにこの構造に限られるものではない。なお、2aの部分はロープ挿通部分を補強するための肉厚部分である。
【0007】
本発明の水棲生物付着防止具1のロープ挿通部分2は、装着したロープ上を自在に滑動しながらロープ表面を擦過する機能を発揮する部分である。このため、該ロープ挿通部分2はその内壁とロープ表面との間にある程度の間隙が必要であり、その間隙は、海苔網用の枠綱あるいは固定ロープ(通常の直径10〜30mm)の場合、ロープ挿通部分とロープを同心円状に配したとき、好ましくは全周にわたって3〜10mm程度である。この間隙が3mm以下ではロープに対する防止具の滑動がスムーズに行われ難く、また10mm以上になると防止具の滑動中に防止具のロープ挿通部分2がロープ表面を擦過するチャンスが少なくなり、ロープへの水棲生物付着防止効果が小さくなる。なお、前記間隔はロープの太さによって異なるので、適宜有効な範囲で選択すれば良い。
【0008】
また、ロープ挿通部分の長さ(図1、図2、図5、図6あるいは図7のようにプレート状の潮流受板部に穿たれたような場合には該プレートないしその肉厚部の厚さ)は、本発明の防止具のロープに対する十分な擦過効果を得るために数mm以上、好ましくは5mm以上であるが、本防止具の大きさによっては50mmを超えるとロープ上での防止具の滑動性が損なわれる場合がある。
【0009】
本発明の水棲生物付着防止具における潮流受板部分3は、主としてこの部分で潮流を受けとめ、そのエネルギーによって、本防止具のロープ挿通部分2をロープ上に沿って滑動させてその表面を擦過し、この部分にロープに水棲生物が付着するのを防ぐとともに、付着した水棲生物を初期の段階で剥ぎ取るための作用を与える。このため、潮流受板部分はある程度の硬さが必要であり、アクリル系、塩化ビニル系、エステル系、オレフィン系、カーボネート系などの硬質,半硬質のプラスチックもしくはゴムまたはアルミニウム、スチールなどの金属からなるプレート状のものが望ましい。なお、本発明の防止具をポリ乳酸系などの生分解性のプラスチックで形成する場合には、破損して海中に浮遊、沈殿した場合の汚染をなくするのに好都合である。
【0010】
また、本発明の防止具をロープに沿って滑動させながらその表面を擦過するエネルギーを得るためにはある程度以上の防止具の潮流を受ける面積(ロープ挿通部を含む防止具の平面投影面積として代表される)が必要であるが、該面積は挿通されるロープとロープ挿通部分との摩擦の影響、あるいは設置する海域の潮流の状態などによって変わるので、実験的あるいは経験的に決められる。例えば10mmのロープに対して装着されるものは、潮流の早さなどにもよるが100cm2以上好ましくは200cm2以上の面積を有する大きさが有効である。なお、前記のような太さの固定ロープの場合、その面積が1000cm2以上になると取扱いにくくなり、また潮流や波により海苔網、ロープを損傷する可能性が高くなる。ただし、太さが数10mm以上の太い船舶係留用のロープに使用する場合は、その面積はさらに大きくても良く、また逆に、数mmのロープ用には該面積が数10cm2でも良い。
【0011】
潮流受板部分3の形状は、円形、半円形、各種多角形などから任意に選択し得るが、通常は本発明の水棲生物付着防止具の潮流受板部分3にほぼ均一に潮流を受け、防止具をスムーズにロープ上を滑動させるためには、円形、四角以上の正多角形でそのほぼ中央にロープ挿通部分2を有するものが良い。ただし、海苔養殖用の枠綱、アバ(浮子)用張綱など海面に近い部分に取り付けられる本発明の付着防止具は、海苔収穫時に枠綱に乗り上げる船などとの接触による破損を少なくするために、図2のようにロープ挿通部分2の下方(水面下)に半円形または扇型の潮流受板部分3が存在するものが望ましい。
【0012】
本発明の水棲生物付着防止具は、図1、図2、図5、図6あるいは図7の形状のようにロープ挿通部分2と潮流受板部分3とを、両者を射出成形するか潮流受板部分3を構成するプレートにロープ挿通部分2を穿設することにより一体に形成しても良いが、図3及び図4に示すように、ロープ挿通部分2と潮流受板部分3を含む部品とを別々に成形し、それらを接着、嵌合、ねじ止めなどによって一体化しても良い。図中4は止めねじである。前者の場合は防止具の安価な製造が可能であるが、異なるロープ径に対応して多くの在庫、成形型の準備や穿設加工が必要となり、後者の場合には、一定形状の一種の潮流受板部分3と挿通部分径の異なる複数のロープ挿通部分2を準備しておくことによって、在庫品を軽減し、異なるロープ径に簡単に対応し得る利点がある。もちろんロープ挿通部分2と潮流受板部分3を含む部品は別素材で製造することができる。
【0013】
本発明の水棲生物付着防止具1は、ロープの設置前あるいは設置後に所定のロープ位置に装着されるが、前者の場合は予めロープに防止具を装着しておくことができるため、図1、図2及び図3に示すような防止具で対応できるが、後者の場合には、防止具に工夫が必要である。例えば、図5に示すものは、図1の水棲生物付着防止具1の潮流受板部分3において、ロープ挿通部分2から一箇所に外周に至る切れ目あるいはスリット5を形成したもので、この部分を捻るように開いてこの防止具をロープに装着することができる。図6に示すものは、図5に示す防止具のスリット5の外周側にロープ案内用半円状の凹部1aを形成し、この部分にロープを押しつけるようにして潮流受板部分3を捻りやすくすることより簡単にスリットを開いてロープの装着を行い易くしたものである。図中6は、潮流受板部分3を部分的に厚くしたり、金属等の重い部材や樹脂独立発泡体などの軽い部材を固着して、本発明の防止具の重量を調整して浮沈速度をコントロールし、さらに必要に応じて本発明の防止具の水中設置時にスリット部分5の方向(図6では横向き)を規制したり、防止具を垂直に近い状態あるいはロープに直角な状態でロープに装着されるようにするための調整部分である。
【0014】
また、図7に示すものは、図5の防止具1において、比重の大きい潮流受板部分3Aと比重の小さい潮流受板部分3Bを張り合わせ、その大きさの組合せによって海水浮沈速度Vを調節するようにしたものである。図8、図9に示すものは、ロープ挿通部分を含めてプレート状の防止具を左右同形の部品3a、3bに分割し、その重ね合せ代部分7aおよび7bにおいてねじ止めできるようにしたものであり、ロープを挟むように両部品を組合せてねじ止めする。図10、図11に示すものは、図8に類似するが、プレート状の防止具の左右部品3a、3bを一方の重ね合せ代部分7aにおいて予めピン止めして左右に開閉可能としたもので、両部品をロープを挟むように閉じ、重ね合せ代部分7bにおいてねじ止めする。
【0015】
また、本発明者らは、本発明における水棲生物付着防止具を、海中においてロープに装着された状態で潮流によってロープ上を容易に滑動させるために、防止具全体として海水に近い見掛け比重を有していることが望ましいことを知り、この見掛け比重に代えて以下の方法で測定される海水浮沈速度Vを特定することが目的達成の上で有効であることを確認した。
【0016】
海水浮沈速度:
海水を満たした水槽中に、本発明の水棲生物付着防止具を完全に没した状態で定位置に保持した後、防止具を離し、その位置から1m浮上または沈降するまでに要した時間を測定し、浮上側を+、沈降側を−として浮沈速度(cm/分)として換算する。
なお、このような海水浮沈速度は、防止具を構成する素材の選択、比重の大きい素材と比重の小さい素材の組合せ、例えば比重の大きい樹脂等と比重の小さいポリプロピレンなどの合成樹脂、合成樹脂またはゴムの独立気泡体、中空体など浮力のあるものの組合せ、さらには必要に応じて防止具に浮体あるいは重りを付けたり、さらにはロープへの装着時に比重の大きい部品と小さい部品を併用することによって調整することが可能である。
【0017】
海水浮沈速度Vが−500cm/分以下あるいは500cm/分以上の場合、防止具の重量又は浮力によって、ロープと防止具のロープ挿通部分との間の摩擦が大きく、ロープ表面の僅かな付着物によっても潮流、波などによる防止具のロープ上の滑動性が低下することが多くなる。好ましい浮沈速度は−200〜200cm/分、さらには−100〜100cm/分である。なお、浮沈速度Vが前記範囲内でも0を超える範囲では、干満による潮流変化に加えて、潮の干満や波による水面の上下、防止具の浮力をさらに利用して防止具のロープ上での滑動をよりスムースに、大きくまた回数多く行わせることができ、特に海面に近い水域での水棲小生物の付着、群生をより強く防止することができるため、海苔養殖網用の各種ロープに適している。また、このように軽い領域の防止具は、破損などによってロープから外れたとき、該防止具が海底に沈まず、水面に浮いた状態となるのでその回収が容易であり、環境に汚さないという利点がある。
【0018】
また、本発明の防止具は、蛍光色を施したり、金属蒸着等による光反射面を持たせることによって、その動きあるいは破損、脱落を海面からの目視により簡単にチェックすることができる。さらに、本発明の水棲生物付着防止具は、潮流受板部分に潮通し穴を形成したり、切れ目や捻れを形成することによって、該水棲生物付着防止具自体を回転させながらロープ上を滑動させることにより、ロープとロープ挿通部分とを均一に接触させて水棲生物の付着防止、剥離をより有効に行わせることが可能である。
【0019】
本発明の防止具の使用例を図によって説明する。
図12は、本発明の一例として浮流し方式による海苔養殖方法を説明するための海中における海苔網設置状態を示すの部分斜視概略図であり、海苔網11は各張綱12、中浮子13を介して周囲の枠綱14に取りつけられ、枠綱14の外側に張られたフロート15を装着した固定ロープ16の先端に取りつけられたアンカー17によって、定位置に設置されている。なお、固定ロープ16のフロート15とアン力ー17の間には、フロート15から数m乃至数10mの位置18に重しブロック19が補助ロープ20によって吊り下げられている。図12においては、本発明の図7に示す構造の水棲生物付着防止具1(直径20cm、ポリカーボネート板3Aとポリエチレン独立気泡体板3Bを接合、浮海水沈速度V:約60cm/分)が、珪藻類やワレカラが群生し易い固定ロープ16上のフロート15から重しブロック19の取りつけられる位置18に至る間で滑動するように装着され、さらに図2に示される防止具1A(潮流受板部分を含む防止具面積約80cm2、ポリプロピレンとアクリル樹脂の張り合せ複合、浮沈速度V:約50cm/分)が張綱12及び枠綱14に装着されている。(なお、図12おいて、防止具1Aについては部分的に示している。)これによる養殖開始後、本発明の防止具を装着した部分の固定ロープ、張綱及び枠綱に対する珪藻とワレカラの付着状況を目視によって観察した結果、海苔養殖期間中それぞれ付着は殆ど認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の防止具は、養殖漁業用の施設、定置網などの設置網、船舶の係留あるいは他の海中構築物用に、水中に水平ないし傾斜して敷設または張設されているロープ等に装着され、長期間にわたって藻類、フジツボ、牡蠣その他の水棲生物の付着防止に効果があり、特に海中浮沈速度Vが0を超える範囲のものについては、海苔養殖用の網の設置、保持、固定ロープなどとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の水棲生物付着防止具の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の水面設置ロープに対する使用に適した水棲生物付着防止具の一例を示す平面図である。
【図3】本発明に使用する水棲生物付着防止具の他の一例を示す平面図である。
【図4】図4のA−Aにおける断面図である。
【図5】本発明に使用する水棲生物付着防止具のさらに他の一例を示す平面図である。
【図6】図5に類似する本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図7】図5に類似する本発明のさらに他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図8】本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図9】図7におけるB−B断面図である。
【図10】図7に示すものに類似する本発明の他の水棲生物付着防止具を示す平面例図である。
【図11】図9におけるC−C断面図である。
【図12】本発明の海苔養殖方法を説明する斜視概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1:水棲生物付着防止具
1a:スリット端のロープ案内用窪み
2:ロープ挿通部分
2a:ロープ挿通部分の肉厚部
3:潮流受板部分
5:スリット5
6:調整部分
11:海苔網
12:張綱
13:中浮子
14:枠綱
15:フロート
16:固定ロープ
17:アンカー
18:重しブロックの取り付け位置
19:重しブロック
20:補助ロープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが−500<=V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項2】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが−500<=V<=500cm/分であることを特徴とする、海苔養殖網用を除く水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項3】
海水浮沈速度Vが−200<=V<=200cm/分であることを特徴とする請求項1または2に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項4】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする海苔養殖網用の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項5】
海水浮沈速度Vが0<V<=200cm/分であることを特徴とする請求項4に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項6】
ロープ挿通部分と潮流を受ける潮流受板部分が一体成形により作られたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項7】
ロープ挿通部分から潮受け板部分の外周に至る切れ目またはスリットを有することを特徴とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項8】
ロープ挿通部分から潮受け板部分の外周に至る切れ目またはスリットの外端にロープ案内用凹部を有する請求項7に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項9】
別々のロープ挿通部分と潮流を受ける潮流受板部分とからなり、これらが一体に組立てられていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項10】
ロープ挿通部分を含めて二個に分割された防止具が、少なくとも潮流受板部分において接合し得ることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項11】
硬質もしくは半硬質のプラスチックまたは金属材料からなることを特徴とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項12】
大部分が生分解性材料からなることを特徴とする請求項1、2、3,4、5、6、7、8、9、10または11に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項13】
少なくとも潮流受板部分が蛍光色または光反射面を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項14】
潮流受板部分が円形またはこれに類似する形状であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項15】
潮流受板部分が半円形またはこれに類似する形状であることを特徴とする、特に水面近くで使用される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項1】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが−500<=V<=500cm/分であることを特徴とする水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項2】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが−500<=V<=500cm/分であることを特徴とする、海苔養殖網用を除く水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項3】
海水浮沈速度Vが−200<=V<=200cm/分であることを特徴とする請求項1または2に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項4】
潮流を受ける潮流受板部分と、該潮流受板部分の中心部分または偏心部分に設けられた、滑動自在にロープを挿通してロープ表面を擦過するロープ挿通部分とからなる水棲生物付着防止具であり、本文で規定するその海水浮沈速度Vが0<V<=500cm/分であることを特徴とする海苔養殖網用の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項5】
海水浮沈速度Vが0<V<=200cm/分であることを特徴とする請求項4に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項6】
ロープ挿通部分と潮流を受ける潮流受板部分が一体成形により作られたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項7】
ロープ挿通部分から潮受け板部分の外周に至る切れ目またはスリットを有することを特徴とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項8】
ロープ挿通部分から潮受け板部分の外周に至る切れ目またはスリットの外端にロープ案内用凹部を有する請求項7に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項9】
別々のロープ挿通部分と潮流を受ける潮流受板部分とからなり、これらが一体に組立てられていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項10】
ロープ挿通部分を含めて二個に分割された防止具が、少なくとも潮流受板部分において接合し得ることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項11】
硬質もしくは半硬質のプラスチックまたは金属材料からなることを特徴とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項12】
大部分が生分解性材料からなることを特徴とする請求項1、2、3,4、5、6、7、8、9、10または11に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項13】
少なくとも潮流受板部分が蛍光色または光反射面を有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項14】
潮流受板部分が円形またはこれに類似する形状であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【請求項15】
潮流受板部分が半円形またはこれに類似する形状であることを特徴とする、特に水面近くで使用される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13に記載の水中ロープの水棲生物付着防止具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−109826(P2006−109826A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331210(P2004−331210)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(591171976)山田実業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(591171976)山田実業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]