説明

水中構造物の施工方法

【課題】 例えば原子力発電の取水プールのような水中構造物の設置に際し、不陸な水底であっても、水底との隙間を形成せずに設置可能な水中構造物の施工方法を提供する。
【解決手段】 取水プール1は、例えば、原子力発電所2に設けられた取水口3を囲むように設けられた潜堤7により形成される。潜堤7は、海面5よりも低い位置に設けられた水中構造物である。取水プール1は、海面5が潜堤7の上端よりも低くなった場合であっても、取水プール1内の海水が流出せず、取水プール1内の海水を取水口3へ供給する必要がある。したがって、潜堤7の下部には、海水が取水プール1外へ流出させないための遮水部11が設けられる。すなわち、遮水部11は、潜堤7と海底との隙間を埋めて、海水が取水プール1外へ流出することを防止するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば原子力発電所における取水口を囲む取水プールなどの水中構造物であって、不陸な場所に設置可能であり、下部からの水の流出を防ぐことが可能な水中構造物の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、原子力発電所に用いられる冷却水などは、海水等を取水口より取水して使用される。原子力発電においては、冷却水の供給が停止すると大きな損害を与える恐れがあるため、取水口は干潮時海面よりも十分に低い位置に設けられ、取水口が海面上に露出することがないように設置される。
【0003】
しかし、地震等により津波が発生すると、津波による引き波時に海面が低下し、取水口が海面に露出する恐れがある。このため、通常は、取水口を取り囲むように取水プールが設けられ、津波による引き波時においても、必要な量の海水が確保される。
【0004】
このような取水プールを形成するような原子力発電所の取水設備としては、たとえば開口部が設けられたカーテンウォールを海水取水口およびスクリーン設備を囲むように設置し、カーテンウォールとスクリーン設備の間に水中堰を設けた原子力発電所の取水設備がある(特許文献1)。
【0005】
また、海中に設置される構造体として、海中に所定間隔をあけて杭を設置し、杭間に砂止め用部材を設置する海域制御方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−54190
【特許文献2】特開平8−92935
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の取水設備は、カーテンウォールおよび水中堰を海底に取水口を囲むように連続して埋設設置する必要があり、また、広い範囲を掘削する必要があることから、施工納期およびコストがかかり、また、取水プール内に工事に伴う汚濁水が多量に発生するという問題がある。
【0008】
また、特許文献2のように、水中構造物として複数の杭を所定間隔で設置し、杭間に上方から砂止め用部材を落とし込む方法では、杭のみを海底に埋設設置して、砂止め用部材を海底に埋設設置する必要はないため、施工期間およびコスト低減には寄与するが、海底が不陸である場合には、砂止め用部材と海底との隙間が生じてしまうという問題がある。したがって、例えば本方法によって取水プールを構築した場合、取水プール内の水が隙間から流出してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、例えば原子力発電の取水プールのような水中構造物の設置に際し、不陸な水底であっても、水底との隙間を形成せずに設置可能な水中構造物の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための第1の発明は、水底地盤をケーシングを用いて掘削し、防波板保持部を有する杭を設置する工程(a)と、所定の間隔をあけて設けられた前記杭の間に、下部に遮水手段を有する防波板を、前記防波板保持部を用いて設置する工程(b)と、前記防波板と水底との隙間を、前記遮水手段を用いて塞ぐ工程(c)と、を具備することを特徴とする水中構造物の施工方法である。
【0011】
前記工程(c)は、前記遮水手段へ通ずる管体を用い、水上より前記遮水手段へ充填材を充填して前記防波板と水底との隙間を塞ぐことが望ましい。
【0012】
この場合、前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた袋状部材であり、前記管体は前記袋状部材に通じており、前記工程(c)は、前記袋状部材へ水上より充填材を充填し、前記袋状部材が膨れることで、前記防波板と水底との隙間を塞いでもよく、前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた袋状のラス網であり、前記管体は前記ラス網内に通じており、前記工程(c)は、前記ラス網が水底の形状に応じて変形し、前記ラス網で囲まれた部位に水上より充填材を充填し、前記防波板と水底との隙間を塞いでもよく、また、前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた型枠であり、前記管体は前記型枠内に通じており、前記工程(c)は、水底の形状に応じて変形可能な隙間塞ぎ部材を前記防波板と水底との隙間を埋めるように配置し、前記型枠および前記隙間塞ぎ部材とで囲まれた部位に水上より充填材を充填し、前記防波板と水底との隙間を塞いでもよい。
【0013】
前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられたゴム部材であり、前記工程(c)は、前記ゴム部材が水底の形状に応じて変形することにより、前記防波板と水底との隙間を塞でもよい。
【0014】
設置された前記杭の高さは水面よりも低く、杭頭が水中に没した状態であってもよく、前記水中構造物は発電所の取水プールを構成し、前記杭および前記防波板を発電所の取水口を囲むように設けてもよい。
【0015】
本発明の水中構造物の施工方法によれば、杭間に設けられる防波板の下部には、遮水手段が設けられ、遮水手段によって海底と防波板との隙間が埋められるため、水中構造物で囲まれた範囲内の水が隙間から流出することがない。
【0016】
特に、遮水手段に管体を接続し、管体から遮水手段へ充填材を充填すれば、防波板と水底との隙間を容易に埋めることができる。この場合、遮水手段が袋状部材または袋状ラス網であれば、容易に形状を変形するため、充填材充填時に確実に不陸な水底を埋めることができる。また、遮水手段が型枠であっても、型枠と水底との隙間をうめる土のうなどの隙間塞ぎ部材を設置することで、容易に隙間を埋めることができる。
【0017】
また、遮水手段がゴム部材であれば、充填材を必要とせず、不陸な水底との隙間をゴムの変形によって埋めることができる。
【0018】
また、杭および防波板が水面よりも低く、例えば干潮時における最低水面位置よりも低ければ、杭頭などが水上に露出することがない。このため、波などにより杭や防波板に大きな力がかかることを防止することができる。
【0019】
また、ケーシングを用いて杭を設置するため、ケーシング内での杭の設置に際して、ケーシング外へ汚濁物が流出することがない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば原子力発電の取水プールのような水中構造物の設置に際し、不陸な水底であっても、水底との隙間を形成せずに設置可能な水中構造物の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】潜堤7による取水プール1を示す図
【図2】ケーシング15を設置した状態を示す図
【図3】ケーシング15内を掘削した状態を示す図
【図4】ケーシング15内に杭19を設けた状態を示す図
【図5】ケーシング施工領域16内の汚濁水を排出する排水管23を設置した状態を示す図
【図6】ケーシング15を撤去した状態を示す図
【図7】杭19間に袋体27を有する防波板25を設置する状態を示す図で、(a)は正面図、(b)、(c)は(a)のF−F線矢視図
【図8】防波板25が設置された状態を示す図
【図9】杭19間にラス網33を有する防波板25を設置する状態を示す図で、(a)は正面図、(b)、(c)は(a)のF−F線矢視図
【図10】杭19間に型枠37を有する防波板25を設置する状態を示す図で、(a)は正面図、(b)、(c)は(a)のF−F線矢視図
【図11】杭19間にゴムプレート41を有する防波板25を設置する状態を示す図で、(a)は正面図、(b)、(c)は(a)のF−F線矢視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる水中構造物である潜堤7により形成される取水プール1を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の矢視Aによる立面図である。
【0023】
取水プール1は、例えば、原子力発電所2に設けられた取水口3を囲むように設けられた潜堤7により形成される。潜堤7は、海面5よりも低い位置に(すなわち海面5上に露出しないように)設けられた水中構造物である。
【0024】
潜堤7による取水プール1を設けることで、例えば津波等の発生時に、津波に伴う引き波の影響で海面レベルが取水口3よりも低くなり、取水が停止することを防止することができる。
【0025】
取水プール1は、海面5が潜堤7の上端よりも低くなった場合であっても、取水プール1内の海水が流出せず、取水プール1内の海水を取水口3へ供給する必要がある。したがって、潜堤7の下部には、海水が取水プール1外へ流出させないための遮水部11が設けられる。すなわち、遮水部11は、潜堤7と海底との隙間から海水が取水プール1外へ流出することを防止するためのものであり、後述する遮水手段が設けられる。
【0026】
なお、原子力発電所2の増設や設計変更により、より多くの取水が必要となった場合には、取水プールを増築または再構築する必要がある。この場合、できるだけ濁り成分が取水口3にいかないように、簡易に潜堤7を設置する必要がある。
【0027】
次に、本発明にかかる水中構造物である潜堤7の構築方法を説明する。図2〜図8は潜堤7の施工方法を示す図である。
【0028】
まず、図2に示すように、潜堤7を構築する部位の海底9にケーシング15を設置する。ケーシング15は例えば鋼管が用いられる。ケーシング15は例えば図中矢印B方向に回転させながら海底9に建てこむ(図中矢印C方向)。ケーシング15の下方先端の刃先が海底に突き刺されば、以後、汚濁成分はほとんど発生しない。
【0029】
次に、図3に示すように、ケーシング15内部(施工領域16の海底9)を掘削し、掘削部17を構築する。なお、掘削部17を設ける際には、大量の汚濁成分が発生するが、汚濁成分はケーシング15内にとどまり、施工領域16から外へ流出することはない。したがって、施工領域近傍に取水口3がある場合であっても、取水口3へ汚濁水が流れることがなく、取水口3からの取水を止めて工事を行う必要がない。
【0030】
次に、図4に示すように、掘削部17に杭19をクレーン等で挿入する。杭19は、例えば鋼管杭、PC杭(プレストレストコンクリート杭)、PHC杭(高強度プレストレストコンクリート杭)などが使用できる。杭19が掘削部17に挿入され、略鉛直方向に起立した状態で、杭19とケーシング15との隙間にモルタル21を充填する。
【0031】
なお、杭19は、掘削部17へ設置した状態で、干潮時における海面5よりも上方へは露出することがない。すなわち、杭19は常に海面下に潜っている。また、杭19の高さは、取水プール1の大きさと原子力発電所2による取水量によって決定される。すなわち、引き波によって杭19が海面状に露出した状態で、津波の周期を考慮し、引き波の間に、取水プール1内の海水量が取水量に対して十分である必要がある。
【0032】
次に、図5に示すように、必要に応じてケーシング15内の汚濁水を排出する。汚濁水の排出には、例えば施工領域16内に排水管23を挿入し、外部に設けられたポンプによりケーシング15内の汚濁水が吸い上げられる。汚濁水は、その後濾過して海上に放出される。施工領域16内の汚濁水を排出した後または排出しながら、ケーシング15を撤去する(図中矢印D方向)。なお、ケーシング15の撤去は、モルタル21が固まる前に行う必要がある。
【0033】
以上で杭19の設置が完了する。図6は杭19が設置された状態を示す図である。なお、同様の手順で、所定の間隔をあけて杭19が複数設置される。杭19は取水口3を取り囲むように設けられる。
【0034】
次に、図7に示すように、所定間隔で設けられた杭19の間に、防波板25を設置する。図7(a)は複数の杭19が設置された正面図であり、図7(b)、図7(c)は、図7(a)のF−F線矢視方向から見た防波板25の設置状態を示す図である。防波板25としてはPC製のプレキャスト板などが使用できる。
【0035】
杭19の両側には、図示を省略した防波板保持部が設けられている。防波板保持部は、例えば溝状であり、杭19の長手方向に設けられる。防波板25は隣り合う杭19の防波板保持部に沿って挿入される。なお、杭19と防波板25との接合部は、ある程度止水が確保され、防波板25が杭19から外れることがなければどのような態様であってもよい。
【0036】
防波板25の下方縁部には、遮水手段である袋体27が設けられる。袋体27は樹脂製や布製等の部材であり、海面5上に通ずる管体であるホース29が接続されている。
【0037】
防波板25を設置する際には、まず、図7(b)に示すように、袋体27が空の状態で袋体27およびホース29とともに防波板25を下方(矢印E方向)へ降ろす。
【0038】
防波板25(袋体27)が海底9上に降ろされた後、図7(c)に示すように、ホース29を用いて、袋体27内へ充填材であるモルタル31等を充填する。モルタル31が充填されると、袋体27はモルタル31によって膨らむ。この際、袋体27は防波板25および海底9と密着するように膨らむ。したがって、海底9が不陸であっても、海底9の形状に応じて袋体27が変形しながら膨らむため、袋体27は海底9と防波板25との隙間を確実に埋めることができる。
【0039】
袋体27に充填材を充填後、ホース29をクリップ等の固定部材を用いて栓止めして、ホース29から充填材が漏えいすることを防止する。充填材が固まった後、余分なホース29を撤去する。以上により防波板25の設置が完了する。
【0040】
図8は、全ての杭19間に防波板25を設置した状態を示す図である。防波板25は杭19とほぼ同高さであり、常に海面5よりも低い。したがって、海面5上に防波板25および杭19が露出することはない。すなわち、杭19および防波板25等によって潜堤7が構築される。また、防波板25と海底9との間には、モルタル31が充填された袋体27が設けられ、遮水部11が形成される。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、発電所の取水口3を取り囲むように潜堤7を容易に構築することができる。特に、潜堤7を構成する防波板25の下方に袋体27が設けられ、袋体27へモルタル31を充填することで、防波板25と海底9との隙間を容易に埋めることができる。このため、海底9が不陸な場所であっても、取水プール1内の海水が防波板25の下方から取水プール1外へ流出することがない。
【0042】
また、取水プール1を構築するのが潜堤7であり、海面5よりも低い位置であるため、海面近傍において波が生じた場合においても、潜堤7の前面および背面の水位変化がほぼ同時となり、このため、潜堤7に生じる波力の影響に対して有利である。
【0043】
また、ケーシング15を用いて杭19を設置するため、潜堤7の施工時に汚濁成分が取水口3へ大量に流入することがない。
【0044】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1から図8に示す潜堤7等と同一の機能を果たす構成要素には、図1から図8と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0045】
図9は第2の実施形態を示す図であり、図9(a)は複数の杭19が設置された正面図であり、図9(b)、図9(c)は、図9(a)のF−F線矢視方向から見た防波板25の設置状態を示す図である。第2の実施の形態は、第1の実施の形態における袋体27に代えてラス網33が用いられる。遮水手段であるラス網33は袋状であり、海面5上に通ずるホース29が接続されている。
【0046】
図9(b)に示すように、下部にラス網33が設けられる防波板25が、ラス網33およびホース29とともに下方へ降ろされる(図中矢印E方向)。
【0047】
防波板25(ラス網33)が海底9上に降ろされた後(図中矢印E方向)、図9(c)に示すように、ホース29を用いて、ラス網33内へ充填材である骨材入りのコンクリート35を充填する。ラス網33は、内部にコンクリート35が充填されるため、防波板25および海底9に応じて変形する。したがって、ラス網33は防波板25および海底9へ密着する。すなわち、海底9が不陸であっても、海底9の形状に応じてラス網33が変形するため、ラス網33は海底9と防波板25との隙間を確実に埋めることができる。
【0048】
次に、第3の実施の形態について説明する。図10は第3の実施形態を示す図であり、図10(a)は複数の杭19が設置された正面図であり、図10(b)、図10(c)は、図10(a)のF−F線矢視方向から見た防波板25の設置状態を示す図であり、図10(d)は図10(c)の下方(点線部)の矢視G方向から見た図である。第3の実施の形態は、第1の実施の形態における袋体27に代えて型枠37が用いられる。遮水手段である型枠37は板状であり、防波板25下端縁部の両面に設けられている。一対の型枠37で囲まれた部位には海面5上に通ずるホース29が接続されている。
【0049】
防波板25(型枠37)が海底9上に降ろされた後(図中矢印E方向)、図10(c)および図10(d)に示すように、型枠37と海底9との隙間を埋めるように隙間塞ぎ部材である土のう39が設置される。なお、図10(d)は、土のう39を透視した状態を示す図である。次に、ホース29を用いて、型枠37内へ充填材である骨材入りのコンクリート35を充填する。すなわち、防波板25下方の、型枠37および土のう39で囲まれた内部にコンクリート35が充填される。
【0050】
コンクリート35が固まった後、土のう39および型枠37が撤去される。なお、型枠37はコンクリート35とともに残してもよい。このように、海底9が不陸であっても、型枠37および土のう39内部に充填されたコンクリート35によって、海底9と防波板25との隙間を確実に埋めることができる。
【0051】
次に、第4の実施の形態について説明する。図11は第4の実施形態を示す図であり、図11(a)は複数の杭19が設置された正面図であり、図11(b)、図11(c)は、図11(a)のF−F線矢視方向から見た防波板25の設置状態を示す図である。第4の実施の形態は、第1の実施の形態における袋体27に代えてゴムプレート41が用いられる。遮水手段であるゴムプレート41は、防波板25下端縁部に設けられている。
【0052】
防波板25(ゴムプレート41)が海底9上に降ろされると(図中矢印E方向)、図11(c)に示すように、ゴムプレート41が海底9と接触する。ゴムプレート41は、容易に変形可能であるため、海底9の形状に応じて変形して防波板25と海底9との間の隙間を埋めることができる。したがって、海底9が不陸であっても、ゴムプレート41の変形によって、海底9と防波板25との隙間を確実に埋めることができる。
【0053】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
たとえば、遮水手段である袋体27、ラス網33、型枠37、ゴムプレート41の大きさや形態は、図示した例に限られない。防波板25と海底9との隙間を確実に埋めることができれば、その形態は限られない。
【符号の説明】
【0055】
1………取水プール
2………原子力発電所
3………取水口
5………海面
7………潜堤
9………海底
11………遮水部
15………ケーシング
16………施工領域
17………掘削部
19………杭
21………モルタル
23………排水管
25………防波板
27………袋体
29………ホース
31………モルタル
33………ラス網
35………コンクリート
37………型枠
39………土のう
41………ゴムプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底地盤をケーシングを用いて掘削し、防波板保持部を有する杭を設置する工程(a)と、
所定の間隔をあけて設けられた前記杭の間に、下部に遮水手段を有する防波板を、前記防波板保持部を用いて設置する工程(b)と、
前記防波板と水底との隙間を、前記遮水手段を用いて塞ぐ工程(c)と、
を具備することを特徴とする水中構造物の施工方法。
【請求項2】
前記工程(c)は、前記遮水手段へ通ずる管体を用い、水上より前記遮水手段へ充填材を充填して前記防波板と水底との隙間を塞ぐことを特徴とする請求項1記載の水中構造物の施工方法。
【請求項3】
前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた袋状部材であり、前記管体は前記袋状部材に通じており、前記工程(c)は、前記袋状部材へ水上より充填材を充填し、前記袋状部材が膨れることで、前記防波板と水底との隙間を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載の水中構造物の施工方法。
【請求項4】
前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた袋状のラス網であり、前記管体は前記ラス網内に通じており、前記工程(c)は、前記ラス網が水底の形状に応じて変形し、前記ラス網で囲まれた部位に水上より充填材を充填し、前記防波板と水底との隙間を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載の水中構造物の施工方法。
【請求項5】
前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられた型枠であり、前記管体は前記型枠内に通じており、前記工程(c)は、水底の形状に応じて変形可能な隙間塞ぎ部材を前記防波板と水底との隙間を埋めるように配置し、前記型枠および前記隙間塞ぎ部材とで囲まれた部位に水上より充填材を充填し、前記防波板と水底との隙間を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載の水中構造物の施工方法。
【請求項6】
前記遮水手段は、前記防波板下部に設けられたゴム部材であり、前記工程(c)は、前記ゴム部材が水底の形状に応じて変形することにより、前記防波板と水底との隙間を塞ぐことを特徴とする請求項1記載の水中構造物の施工方法。
【請求項7】
設置された前記杭の高さは水面よりも低く、杭頭が水中に没した状態であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の水中構造物の施工方法。
【請求項8】
前記水中構造物は発電所の取水プールを構成し、
前記杭および前記防波板を発電所の取水口を囲むように設けることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の水中構造物の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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