説明

水中運動量計

【課題】水中運動量計に係り、特に水中における各種の運動の運動量を計測できる水中運動量計が望まれていた。
【解決手段】本発明に係る水中運動量計は、光検出センサと、電源と、光検出センサからの信号を受信し、受信した信号を演算する演算手段と、演算手段が演算した結果を表示する表示部とを備えることを特徴とする。また、光検出センサが、硫化カドミウム(CdS)素子であることを特徴とする。さらに、演算手段が、光検出センサが受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数する手段であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水陸両用の運動量計に係り、特に水中における各種の運動の運動量を計測できる運動量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、万歩計(登録商標)などに代表されるように、陸上における運動量を計測する運動量計は広く知られている。
【0003】
また、水中における運動量を計測する運動量計については、例えば特許文献1〜6に示すような運動量計が開示されている。
具体的には、特許文献1〜4に記載の運動量計は、装着されている変位部材(特許文献1)、ブレード(特許文献2)、検出杆(特許文献3)、水掻き板(特許文献4)などが、水中における計測対象者による歩行や水泳などの運動によって、振り子運動や往復運動をすることで回数をカウントして運動量を計測するものである。
また、特許文献5に記載の運動量計は、水中における計測対象者の運動によって生じる負荷を加速度センサが検知して運動量を計測するものである。
さらに、特許文献6に記載の運動量計は、水中における計測対象者の運動によって生じる圧力変動を圧力センサが検知して運動量を計測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−12177号公報
【特許文献2】特許第2030117号公報
【特許文献3】実開平6−70041号公報
【特許文献4】特開2000−148964号公報
【特許文献5】特開2010−22740号公報
【特許文献6】特許第3773468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1〜4に記載の運動量計は、上記の通り装着されている変位部材等が計測対象者の水中における運動によって可動するものである。従って、当該運動量計によって水中における運動量を計測するためには、計測対象者は当該変位部材等を可動させることができるような負荷が生じる運動、すなわち、特許文献1や特許文献2に記載されている水中におけるキック運動などのように強い負荷が生じる運動をしなければならないことになる。そうすると、変位部材が可動を開始する負荷量は高く設定しておかなければならないことになり、例えば、プール内においてウォーキングをする場合や移動することなくその場で体操をする場合、あるいは水泳においても静かに泳ぐ場合などには変位部材がうまく可動せず、正確な運動量が計測できないという問題が生じる。
一方、かかる問題点を解決するために、変位部材等が可動を開始する負荷量を低く設定すると、今度は当該変位部材等が水中に進入した際に受ける浮力によって誤作動を起こすという問題が生じる。
従って、特許文献1〜4に記載の運動量計では、変位部材等が可動を開始する負荷量を各種の運動に対応するように調整することが非常に困難であり、正確な運動量の計測ができる運動は自ずと限定されてくるという問題が生じることになる。
【0006】
また、特許文献5に記載の運動量計についても、計測対象者が運動をすることによって生じた負荷を加速度センサが検知することで運動量を計測するものであることから、上記特許文献1〜4に記載の運動量計と同様に、加速度センサにかかる負荷が弱いような運動では、正確な運動量を計測できないという問題がある。さらに、加速度センサは、特許文献1〜4に記載の運動量計に用いられている変位部材等よりも浮力の影響を大きく受けることから、実際における水中での使用は困難であるという問題もある。
【0007】
これに対して、特許文献6に記載の運動量は、圧力センサとして歪抵抗素子を用いることから微妙な圧力変化を電気信号に変換することができ、負荷が低い運動についても運動量を計測することができるという長所がある。
しかしながら、特許文献6に記載の運動量は、計測対象者が水中において運動をする際にかかる負荷を圧力センサが正確に捉えることが必要であるところ、当該運動量計は段落[0014]に記載されているように圧力センサを取り付けたベルトを腹部に装着して使用するものである。
従って、例えばプール内においてウォーキングをする場合や静かに泳ぐ場合などの負荷が低い運動をする場合であっても、かかる運動によって腹部に負荷がかかるような場合には運動量を計測できることになるが、腹部に負荷がかからないような運動、例えばプール内において移動することなくその場で体操をする場合などにおいては、計測対象者は運動をしているにもかかわらず、腹部には負荷がかからない、あるいは負荷がかかりにくいことになり、圧力センサが運動に伴う負荷を十分に検知できなくなり、正確な運動量を計測できなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、水陸両用の運動量計に係り、特に水中における各種の運動の運動量を計測できる運動量計の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る運動量計は、光検出センサと、電源と、光検出センサからの信号を受信し、受信した信号を演算する演算手段と、演算手段が演算した結果を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に係る運動量計は、光検出センサが、硫化カドミウム(CdS)素子であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に係る運動量計は、演算手段が、光検出センサが受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数する手段であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に係る運動量計は、演算式と計測対象者の身体データを格納しておく情報格納部を有しており、演算手段が、光検出センサから受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数と、情報格納部から抽出した演算式および身体データとを用いて演算処理する手段であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5に係る運動量計は、演算結果を送信する送信部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る運動量計によれば、光検出センサを用いることを特徴としているので、空気中から水中に入水した際の光の強弱や水中における光の強弱を検出することができ、その結果、運動の負荷の度合にかかわらず、水中における各種の運動について正確な運動量の計測を行うことができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る運動量計によれば、光検出センサが、硫化カドミウム(CdS)素子であることを特徴としているので、安価でありながら、より光の強弱の検出感度を向上させることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る運動量計によれば、演算手段が、光検出センサが受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数する手段であることを特徴としているので、より正確な運動量の計測を行うことができる。具体的には、運動量計が空気中と水中との間を移動する際や水面近傍から深さ方向に移動する際に光の強弱が発生し、光検出センサが受信した信号が設定値を横切ることになる。
従って、この設定値を横切った回数を計数することによって、例えば静かに泳ぐ場合などにおいてもストローク回数など正確な運動量を計測することができる。また、複数の設定値を設けておき、運動の種類に応じて設定値を切り替えることによって、プール内において移動することなくその場で体操をする場合など、運動量計が常に水中にある状態においても正確な運動量の計測を行うことができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る運動量計によれば、演算式と計測対象者の身体データを格納しておく情報格納部を有しており、演算手段が、光検出センサから受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数と、情報格納部から抽出した演算式および身体データとを用いて演算処理することを特徴としているので、情報格納部に予め計測対象者ごとの基礎代謝量などを格納しておくことによって、当該基礎代謝量に基づく各個人の消費カロリーの計算を行うことができるなど、より詳細な運動量を把握することができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る運動量計によれば、演算処理した結果を送信する送信部を備えているので、運動量をパソコンや携帯電話などに簡単に取り込むことができ、計測対象者の継続的な運動管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の運動量計を示す模式図である。
【図2】本発明の運動量計の使用状態を示す模式図である。
【図3】本発明の運動量計の別の使用状態を示す模式図である。
【図4】本発明の運動量計のさらに別の使用状態を示す模式図である。
【図5】本発明の運動量計に用いられる光検出センサが光の強弱を検出する状態を示す模式図である。
【図6】本発明の運動量計の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
【0021】
次に、本発明の運動量計の構成を説明する。図1は本発明の運動量計を示す模式図である。
運動量計1は、光検出センサ(CDSセンサ)2、加速度センサ(図示せず)、電源(図示せず)、制御手段(図示せず)、表示部3、操作スイッチ4を主な部品として構成されており、さらに腕、腹部、足首など、計測対象者5の所定の位置に装着できるようにバンド6などが取り付けられている。
制御手段は、光検出センサ2や加速度センサから受信した信号を演算する演算手段(図示せず)、消費カロリー計算式などの演算式や年齢、性別、身長、体重、基礎代謝量などの計測対象者5の身体データを格納しておく情報格納部(図示せず)、演算手段によって得た演算結果を記憶する記憶部(図示せず)、演算手段によって得た演算結果を外部のパソコンや携帯電話に送信する送信部(図示せず)を備えている。
また、運動量計1には、プラスチックやガラスでできた透明の窓部7が設けられており、窓部7の内側には光検出センサ2が光を検出できるように配置されている。
【0022】
次に、本発明を構成する主な構成要件を説明する。
【0023】
(光検出センサ)
本発明の運動量計1に用いられる光検出センサ2は、光の強弱、例えば屈折率や照度(明暗)の変化などに応じて、抵抗値や電圧などが変化する性質を有するものであり、かかる抵抗値や電圧などの信号を出力することによって光の強弱を検知することができるものである。
かかる光検出センサ2としては、上記の通り光の強弱を数値化できる性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、CDSセンサ(硫化カドミウム素子)、フォトダイオード、フォトトランジスタ、CCDセンサ、PSDセンサなどを挙げることができる。そして、この中でもCDSセンサ(硫化カドミウム素子)は、安価でありながらも良好な感度を示すので好適である。
【0024】
(加速度センサ)
本発明の運動量計1には、上記の通り加速度センサを併用することもできる。加速度センサとしては、例えば一般的な万歩計(登録商標)などに用いられている1方向や3方向などの振動を検出できるものを使用することができる。また、加速度センサの代わりに圧力センサを用いることもできる。
なお、加速度センサや圧力センサを併用する場合においては、光検出センサ2による検出と加速度センサによる検出の切り替えを行う切り替え手段を制御手段内に設けておいてもよいが、水中における運動では浮力などによって加速度センサは機能しない代わりに光の強弱を検出できることから光検出センサ2によって運動量を計測でき、陸上における運動では光の強弱にほとんど変化がないことから光検出センサ2は機能しない代わりに加速度センサによって運動量を計測することができるので、切り替え手段を設けずに単純に加速度センサを併用するだけでも水陸両用の運動量計1として使用することができる。
【0025】
(電源)
本発明の運動量計1に用いられる電源は、光検出センサ2、演算手段、表示部3などを稼働させるものであり1次電池や2次電池などを用いることができる。
【0026】
(演算手段)
本発明の運動量計1に用いられる演算手段は、光検出センサ2が検出した光の強弱に応じた信号や加速度センサが検出した信号に基づいて、計測対象者5が実際にどの程度運動を行ったかを演算する手段である。
ここで、演算手段の具体的な内容としては、例えば後記するように、光検出センサ2が受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数することによって、水泳時のストローク回数や水中におけるウォーキング時の歩数を計測するものが挙げられる。
また、上記によって計数した水泳時のストローク回数や水中におけるウォーキング時の歩数と、情報格納部から抽出した演算式や身体データを用いて消費カロリーなどの運動量を演算することもできる。
【0027】
(表示部)
本発明の運動量計1に用いられる表示部3は、上記演算手段によって計測された運動量を表示するためのものであるが、適宜、時刻表示機能やタイマー機能を内蔵しておくこともできる。
【0028】
次に、上記のように構成された運動量計1の水中における動作を説明する。なお、陸上においては、段落[0024]において記載した通り、加速度センサによって運動量を計測することになる。
【0029】
まず、図2を説明する。図2は本発明の使用状態を示す模式図であり、具体的にはプールなどにおいてクロールを行う場合を模式した図である。
【0030】
図2に示すように、運動量計1を腕に装着した計測対象者5がクロールを行う場合には、腕が水上にある段階(A)、腕が入水して水面付近で伸ばされている段階(B)、腕が掻かれることで体が進む段階(C)、腕が水中から抜かれる段階(D)の4つの段階に大きく分けることができる。
【0031】
ここで各段階における光検出センサ2の動作を説明すると以下のようになる。
まず、Aの段階では、光検出センサ2は空中に存在することから、腕がどの位置にあっても光検出センサ2が受ける光の量に変化がないことになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号は一定の値を示すことになる。
【0032】
次に、Bの段階では、光検出センサ2が水中に存在することになることから、Aの段階よりも光検出センサ2が受ける光の量は少なくなる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号はAの段階での値よりも低い値を示すことになる。
【0033】
次に、Cの段階では、最初は光検出センサ2が徐々に水中深くに移動することになるが、最下点を通過した後は逆に光検出センサ2が徐々に水面近くに移動することになる。すなわち、最初は光検出センサ2が受ける光の量がBの段階よりも少なくなっていくが、最下点を通過した後は光検出センサ2が受ける光の量がBの段階に近づいていくことになる。
従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号についても、最初はBの段階での値から徐々に低い値を示すことになるが、最下点を通過した後はBの段階での値に徐々に近づいていくことになる。
【0034】
最後に、Dの段階においては、光検出センサ2が水中から空中に移動することになることから、光検出センサ2が受ける光の量はBの段階における量からAの段階における量に変化することになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号はBの段階での値からAの段階での値に変化することになる。
【0035】
以上の動作が行われることから、光検出センサ2から送られるBの段階における値とCの段階における値の間に設定値を設けておくことによって、腕がストロークされた回数を確実に計測することができる。
従って、空中と水中との間の移動によって、運動が行われたことを検知できるので、水中における負荷が必要となる従来の運動量計に比べて確実に運動量を計測することができる。また、運動量計1を装着している腕は確実に空中と水中との間を移動することから、負荷が弱いような静かな泳ぎ方をする場合においても正確な運動量を計測することができる。
【0036】
なお、図2については、計測対象者5がクロールで泳ぐ場合を模式しているが、これに限られるものではなく、バタフライや背泳ぎなどの腕が空中と水中との間を移動するような泳法全般において適用することができる。
【0037】
次に、図3を説明する。図3は本発明の別の使用状態を示す模式図であり、具体的にはプールなどにおいて平泳ぎを行う場合を模式した図である。
【0038】
図3に示すように、運動量計1を腕に装着した計測対象者5が平泳ぎを行う場合には、腕が前方に伸ばされて水面付近に位置している段階(A)、腕が広げられて掻かれることで体が進む段階(B)、掻かれた腕が胸の下に折り畳まれる段階(C)、折り畳まれた腕が胸の下から前方に伸ばされる段階(D)の4つの段階に大きく分けることができる。
【0039】
ここで各段階における光検出センサ2の動作を説明すると以下のようになる。
まず、Aの段階では、光検出センサ2は水中でも水深の浅い位置に存在することになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号は空中よりは低い値を示すことになる。
【0040】
次に、Bの段階においても、光検出センサ2はAの段階における水深とほとんど変わらない位置に存在することになることから、光検出センサ2が受ける光の量はAの段階とほとんど変わらないことになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号はAの段階での値と同程度の値を示すことになる。
【0041】
次に、Cの段階では、光検出センサ2は胸に下に位置することになり、胸によって光が遮られることになることから、光検出センサ2が受ける光の量はAやBの段階に比べると少なくなることになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号についても、AやBの段階での値よりも低い値を示すことになる。
【0042】
最後に、Dの段階においては、光検出センサ2が胸に下から再び水面付近に移動することになることから、光検出センサ2が受ける光の量は再び多くなっていくことになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号は再びAの段階での値に変化することになる。
【0043】
以上の動作が行われることから、光検出センサ2から送られるA、B、Dの段階における値とCの段階における値の間に設定値を設けておくことによって、腕がストロークされた回数を確実に計測することができる。
従って、水中のみにおける移動においても、運動を検知できるので従来の運動量計に比べて確実に運動量を計測することができる。また、運動量計1を装着している腕は確実に水面付近と胸の下の間を移動することから、負荷が弱いような静かな泳ぎ方をする場合においても正確な運動量を計測することができる。
【0044】
なお、図3については、計測対象者5が平泳ぎで泳ぐ場合を模式しているが、これに限られるものではなく、横泳ぎや立ち泳ぎなどの腕が常に水中を移動するような泳法全般において適用することができる。
【0045】
次に、図4を説明する。図4は本発明のさらに別の使用状態を示す模式図であり、具体的にはプールなどにおいてウォーキングを行う場合や移動をせずにその場で運動を行う場合を模式した図である。
【0046】
図4に示すように、運動量計1を腕に装着した計測対象者5がウォーキングなどを行う場合には、腕が空中に位置している段階(A)または水面付近に位置している段階(A’)と腕が水中に位置している段階(B)の2つの段階に大きく分けることができる。
【0047】
ここで各段階における光検出センサ2の動作を説明すると以下のようになる。
まず、Aの段階では、光検出センサ2は空中や水中でも水深の浅い位置に存在することになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号は一定の値または空中よりは低い値を示すことになる。
【0048】
次に、Bの段階では、光検出センサ2はAの段階よりは深い位置に存在することになることから、光検出センサ2が受ける光の量はAの段階に比べると少なくなることになる。従って、光検出センサ2から送られる電圧や抵抗などの信号についても、Aの段階での値よりも低い値を示すことになる。
【0049】
以上の動作が行われることから、光検出センサ2から送られるA、A’の段階における値とBの段階における値の間に設定値を設けておくことによって、腕が動かされた回数を確実に計測することができる。
従って、プールなどにおいてウォーキングを行う場合や移動をせずにその場で運動を行う場合においても、運動を検知できるので従来の運動量計に比べて確実に運動量を計測することができる。
【0050】
次に、図5を説明する。図5は本発明の運動量計1に用いられる光検出センサ2が光の強弱を検出する状態を示す模式図である。具体的には、運動量計1が受けた光によって光検出センサ2が出力する電圧を例に取った場合の数値変動を示した図である。
なお、光検出センサ2が出力するパラメータは電圧に限定されるものではなく、抵抗など他のパラメータを用いることもできる。
【0051】
まず、図2に示すクロールなどを行う場合には、図2のA〜Dの段階における電圧は、光の量が多い場合には電圧が高くなり、逆に光の量が少ない場合には電圧が低くなることから、図5(a)に示す数値変動をすることになる。
従って、設定値をBとCの間に設定することによってストローク数を計測することができる。
【0052】
次に、図3に示す平泳ぎなどを行う場合には、図3のA〜Dの段階における電圧は、光の量が多い場合には電圧が高くなり、逆に光の量が少ない場合には電圧が低くなることから、図5(b)に示す数値変動をすることになる。
従って、設定値をA、B、DとCの間に設定することによってストローク数を計測することができる。
ここで、図3に示す平泳ぎなどを行う場合には、光検出センサ2は常に水中に存在することから、光検出センサ2が受ける光の強弱は図2に示すクロールなどを行う場合に比べて弱くなることから、電圧の数値変動の幅も図2に示すクロールなどを行う場合に比べて狭くなることになる。
【0053】
最後に、図4に示す運動を行う場合には、図4のA、A’〜Bの段階における電圧は、光の量が多い場合には電圧が高くなり、逆に光の量が少ない場合には電圧が低くなることから、図5(c)に示す数値変動をすることになる。
従って、設定値をA、A’とBの間に設定することによって歩数を計測することができる。
【0054】
次に、図6を説明する。図6は本発明の運動量計1の動作を示すフローチャートである。
【0055】
まず、計測対象者5が、水中において運動をした場合にはS1の光検出センサによって運動に伴う光の強弱が検出され、陸上において運動をした場合にはS2の加速度センサまたは圧力センサによって運動に伴う負荷や圧力の変化が検出されて、その信号がS3の制御手段の中にあるS4の演算手段に送られる。
【0056】
次に、演算手段に送られた信号は、S5の操作スイッチからの指示によって演算処理が行われる。具体的には、上記した通り、例えば光検出センサが受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数する演算処理や、計数した水泳時のストローク回数や水中におけるウォーキング時の歩数とS6の情報格納部から抽出した演算式や身体データとを用いて、消費カロリーなどの運動量を演算する演算処理などが行われる。
【0057】
次に、演算手段によって演算された演算結果は、S7の表示部3に送られて表示される。また、同時にS8の送信部に送られるとともに、S9の記憶部にも送られて記憶される。
【0058】
最後に、送信部に送られた演算結果は、無線または有線回線を通じてS10の、携帯電話などの各種の情報端末や、S11のサーバなどの大型コンピュータに送信される。
【実施例】
【0059】
次に、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
【0060】
光検出センサとしてCDSセンサ(ROC製:品番SEN−5003)を用い、当該CDSセンサを試験管に入れて配線を試験管の外に取り出し、試験官内に水が浸入しないようにシールした後、当該試験官をゴム製のブレスレットに取り付け、さらに配線を電圧計と乾電池に接続することによって、簡易の運動量計を作製した。
【0061】
次に、この運動量計を腕に取り付け、プールにてウォーキングについては20歩、クロール、平泳ぎ、背泳ぎについては各20ストローク行い、その際の電圧の変化を計測した。なお、設定値については、本実施例については2.5Vを設定値にし、当該設定値を横切った回数の計数を行った。特に、クロールにおいては、入水の際に水しぶきが飛ばないように静かに泳ぐことを心がけた。
【0062】
一方、比較例として、CDSセンサの代わりに2種類のセンサ(振り子型センサ:松下電工製 品番EM−180、加速度センサ:オムロン製 品番NJ−123)を用いて実施例と同様に運動量計を作製し、実施例と同様の運動を行った。
【0063】
結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
その結果、CDSセンサを用いた運動量計については、ウォーキング、クロール、平泳ぎ、背泳ぎともに20回の運動をほぼ正確に計測することができた。しかしながら、加速度センサを用いた運動量計については、いずれの運動においても正確な計測を行うことはできなかった。
【0066】
以上から、本発明の運動量計は水中における各種の運動の運動量を正確に計測できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の運動量計は、水中または水中と陸上における各種の運動の運動量計測に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 運動量計
2 光検出センサ
3 表示部
4 操作スイッチ
5 計測対象者
6 バンド
7 窓部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出センサと、
電源と、
前記光検出センサからの信号を受信し、受信した信号を演算する演算手段と、
前記演算手段が演算した結果を表示する表示部を備えることを特徴とする運動量計。
【請求項2】
前記光検出センサが、
硫化カドミウム(CdS)素子であることを特徴とする請求項1に記載の運動量計。
【請求項3】
前記演算手段が、
前記光検出センサが受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数を計数する手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運動量計。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の運動量計が、
演算式と計測対象者の身体データを格納しておく情報格納部を有しており、
前記演算手段が、
前記光検出センサから受信した信号が予め設定しておいた設定値を上回った回数および設定値を下回った回数と、
前記情報格納部から抽出した前記演算式および前記身体データとを用いて演算処理する手段であることを特徴とする運動量計。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の運動量計が、
演算結果を送信する送信部を備えていることを特徴とする運動量計


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−39316(P2013−39316A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179794(P2011−179794)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【特許番号】特許第4987151号(P4987151)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(511203606)
【Fターム(参考)】