説明

水冷式半導体試験装置の冷却水タンク

【課題】水冷式半導体試験装置の冷却水を貯蔵する冷却水タンクにおいて、配管内の結露を起因とする水位上限オーバーフロー誤検出を防止する。
【解決手段】側面に水位上限を定める開口部が設けられた冷却水タンク本体と、開口部によりタンク本体内部と連結したサブタンクと、水位上限を超えた冷却水を、サブタンクを経由して外部に排出する排出用配管とを備え、サブタンクは、開口部より高い位置において外気開放され、底面が開口部より低い位置にある水冷式半導体試験装置の冷却水タンク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式半導体試験装置の冷却水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
ICやメモリの試験を行なう半導体試験装置では、発熱したテストヘッドを冷却する必要があり、冷却方式として水冷式、空冷式等が用いられている。図4は、水冷式半導体試験装置の冷却水配管部分の構成を模式的に示す図である。本図において、テストヘッド100には、テストヘッド100を冷却するための水冷配管200が備えられており、水冷配管200を流れる冷却水は、図示しないポンプにより、循環配水管210内を循環している。
【0003】
循環配水管210は、メインフレーム240を経由している。メインフレーム240は、水冷式半導体試験装置各部に電力供給を行なうとともに、各種センサにより水冷式半導体試験装置における異常検出を行なう。
【0004】
水冷配管200でテストヘッド100の熱を吸い取った循環冷却水は、チラー400内に備えられた熱交換器410において、工場冷却水配管440を流れる工場冷却水と熱交換される。工場冷却水は、工場から供給され、チラー400内の温度調整器420により温度調整されている。
【0005】
循環配水管210の途中には、タンク500が設けられており、循環冷却水が一時的に貯蔵される。図5は、従来のタンク500の構造を説明する図である。本図に示すように、タンク500は、一方の側面に給水口510が備えられ、他方の側面に開口部を介してエルボ継手520が備えられている。また、エルボ継手520の他端にはオーバーフロー配管530が接続されている。
【0006】
給水口510は、循環冷却水の補給に用いられる。エルボ継手520が接続される開口部の位置がタンク500内の水位上限となるようになっており、水位上限を超えた循環冷却水は、開口部からエルボ継手520およびオーバーフロー配管530を通じてタンク外に排出される。タンク外には、漏水センサ280が設置されており、水位上限を超えてタンク外に排出された循環冷却水を検知すると、メインフレーム240に水位上限オーバーフローに関するアラームを通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−25150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のタンク500においては、タンク500の内部温度と、オーバーフロー配管530の周囲温度との温度差により、オーバーフロー配管530への配管路内において結露が発生することがある。この結露がオーバーフロー配管530側に流出することで、タンク500内の循環冷却水が水位上限を超えていないにもかかわらず、漏水センサ280が水位上限オーバーフローを誤検出して、不要なアラームを通知する場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、水冷式半導体試験装置の冷却水を貯蔵する冷却水タンクにおいて、配管内の結露を起因とする水位上限オーバーフロー誤検出を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である水冷式半導体試験装置の冷却水タンクは、側面に水位上限を定める開口部が設けられた冷却水タンク本体と、前記開口部により前記タンク本体内部と連結したサブタンクと、前記水位上限を超えた冷却水を、前記サブタンクを経由して外部に排出する排出用配管とを備え、前記サブタンクは、前記開口部より高い位置において外気開放され、底面が前記開口部より低い位置にあることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である水冷式半導体試験装置の冷却水タンクは、側面に開口部が設けられた冷却水タンク本体と、前記開口部に接続され、前記開口部よりも高い基準位置を経由し、前記基準位置を超えた冷却水を外部に排出する排出用配管とを備え、前記排出用配管は、前記基準位置よりも高い位置において外気開放されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様である水冷式半導体試験装置の冷却水タンクは、側面に水位上限を定める開口部が設けられた冷却水タンク本体と、前記開口部に接続され、前記水位上限を超えた冷却水を外部に排出する排出用配管とを備え、前記排出用配管は、前記開口部より低い位置となる滞留部を形成するとともに、前記開口部よりも高い位置において外気開放されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水冷式半導体試験装置の冷却水を貯蔵する冷却水タンクにおいて、配管内の結露を起因とする水位上限オーバーフロー誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のタンクおよびオーバーフロー配管付近の構造を説明する図である。
【図2】本実施形態のタンクおよびオーバーフロー配管付近の構造の別例を説明する図である。
【図3】本実施形態のタンクおよびオーバーフロー配管付近の構造の第2の別例を説明する図である。
【図4】水冷式半導体試験装置の冷却水配管部分の構成を模式的に示す図である。
【図5】従来のタンクの構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るタンクおよびオーバーフロー配管付近の構造を説明する図である。本図に示すように、タンク300は、本体の一方の側面に給水口310が備えられ、他方の側面に開口部を介してサブタンク340が備えられている。サブタンク340には、オーバーフロー配管330が接続されたエルボ継手320が備えられている。ここで、エルボ継手320とオーバーフロー配管330は、排出用配管として機能する。
【0016】
サブタンク340につながるタンク300の開口部とエルボ継手320とは、ほぼ同じ高さに位置し、この位置がタンク300の水位上限となっている。タンク300内の循環冷却水が水位上限を超えた場合は、サブタンク340、エルボ継手320、オーバーフロー配管330を通って外部に排出され、漏水センサ280によって水位上限オーバーフローが検出される。
【0017】
本実施形態において、サブタンク340の底面は、この水位上限よりも低い位置となっており、この部分が滞留部341を形成している。滞留部341は、サブタンク340付近で発生した結露を滞留させる機能を有している。
【0018】
また、サブタンク340の上面には、外気開放のための開口部342が形成されており、サブタンク340、エルボ継手320、オーバーフロー配管330内の温度と外部温度との差が小さくなる。これにより、配管内で結露が生じにくくなっている。
【0019】
サブタンク340付近で結露が生じた場合であっても、サブタンク340の滞留部341に滞留し、滞留した水分は、開口部342から蒸発するため、オーバーフロー配管330から外部に流出することを防ぐことができる。
【0020】
図2は、タンクおよびオーバーフロー配管付近の構造の別例を説明する図である。本図に示すように、タンク300aは、本体の一方の側面に給水口310が備えられ、他方の側面に開口部を介して、開放端が上向きとなる方向でつながれたエルボ継手350が備えられている。エルボ継手350の開放端には、チーズ継手351が接続されている。チーズ継手351の上方向には、上面が外気開放された蒸発用配管352が接続され、チーズ継手351の水平方向には、オーバーフロー配管330が接続されたエルボ継手320が接続されている。
【0021】
ここで、エルボ継手350とチーズ継手351と蒸発用配管352とエルボ継手320とオーバーフロー配管330は、排出用配管として機能する。
【0022】
本図の例では、チーズ継手351の水平方向に接続されたエルボ継手320の位置が、タンク300aの水位上限となっている。タンク300a内の循環冷却水が水位上限を超えた場合は、エルボ継手350、チーズ継手351、エルボ継手320、オーバーフロー配管330を通って外部に排出され、漏水センサ280によって水位上限オーバーフローが検出される。
【0023】
蒸発用配管352によりチーズ継手351の上面が外気開放されているため、エルボ継手350、チーズ継手351、エルボ継手320、オーバーフロー配管330内の温度と外部温度との差が小さくなる。これにより、配管内で結露が生じにくくなっている。
【0024】
チーズ継手351付近で結露が生じた場合であっても、エルボ継手350からタンク300aの内部に戻り、また、チーズ継手351の上面から蒸発するため、オーバーフロー配管330から外部に流出することを防ぐことができる。このように、エルボ継手350は、滞留部としても機能する。
【0025】
図3は、オーバーフロー配管付近の構造の第2の別例を説明する図である。本図に示すように、タンク300b本体の一方の側面には、開口部を介してエルボ継手360が備えられており、エルボ継手360には、他端にチーズ継手351が接続されたJ字配管361がつながれている。チーズ継手351の上方向には、上面が外気開放された蒸発用配管352が接続され、チーズ継手351の水平方向には、オーバーフロー配管330が接続されたエルボ継手320が備えられている。
【0026】
ここで、エルボ継手360とJ字配管361とエルボ継手350とチーズ継手351と蒸発用配管352とエルボ継手320とオーバーフロー配管330は、排出用配管として機能する。
【0027】
エルボ継手360につながるタンク300bの開口部とエルボ継手320とは、ほぼ同じ高さに位置し、この位置がタンク300bの水位上限となっている。タンク300内の循環冷却水が水位上限を超えた場合は、エルボ継手320、J字配管361、チーズ継手351、エルボ継手320、オーバーフロー配管330を通って外部に排出され、漏水センサ280によって水位上限オーバーフローが検出される。
【0028】
蒸発用配管352によりチーズ継手351の上面が外気開放されているため、エルボ継手360、J字配管361、エルボ継手350、チーズ継手351、エルボ継手320、オーバーフロー配管330内の温度と外部温度との差が小さくなる。これにより、配管内で結露が生じにくくなっている。
【0029】
エルボ継手360、J字配管361、チーズ継手351付近で結露が生じた場合であっても、滞留部として機能するJ字配管361に滞留し、チーズ継手351の上面から蒸発するため、オーバーフロー配管330から外部に流出することを防ぐことができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、タンクからオーバーフロー配管までの経路に外気開放部と滞留部とを設けているため、結露が発生しにくく、また、結露が発生した場合であっても、外部に流出せずに滞留し、外気開放部から蒸発する。したがって、水冷式半導体試験装置の冷却水を貯蔵する冷却水タンクにおいて、配管内の結露を起因とする水位上限オーバーフロー誤検出を防止することができる。
【符号の説明】
【0031】
100…テストヘッド、200…水冷配管、210…循環配水管、240…メインフレーム、280…漏水センサ、300…タンク、300a…タンク、300b…タンク、310…給水口、320…エルボ継手、330…オーバーフロー配管、340…サブタンク、341…滞留部、342…開口部、350…エルボ継手、351…チーズ継手、352…蒸発用配管、360…エルボ継手、361…J字配管、400…チラー、410…熱交換器、420…温度調整器、440…工場冷却水配管、500…タンク、510…給水口、520…エルボ継手、530…オーバーフロー配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に水位上限を定める開口部が設けられた冷却水タンク本体と、
前記開口部により前記タンク本体内部と連結したサブタンクと、
前記水位上限を超えた冷却水を、前記サブタンクを経由して外部に排出する排出用配管とを備え、
前記サブタンクは、前記開口部より高い位置において外気開放され、底面が前記開口部より低い位置にあることを特徴とする水冷式半導体試験装置の冷却水タンク。
【請求項2】
側面に開口部が設けられた冷却水タンク本体と、
前記開口部に接続され、前記開口部よりも高い基準位置を経由し、前記基準位置を超えた冷却水を外部に排出する排出用配管とを備え、
前記排出用配管は、前記基準位置よりも高い位置において外気開放されていることを特徴とする水冷式半導体試験装置の冷却水タンク。
【請求項3】
側面に水位上限を定める開口部が設けられた冷却水タンク本体と、
前記開口部に接続され、前記水位上限を超えた冷却水を外部に排出する排出用配管とを備え、
前記排出用配管は、前記開口部より低い位置となる滞留部を形成するとともに、前記開口部よりも高い位置において外気開放されていることを特徴とする水冷式半導体試験装置の冷却水タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−154682(P2012−154682A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12048(P2011−12048)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】