説明

水処理装置及びこれを備えた流し台

【課題】流し台周りでの洗い物作業を妨げる物を無くすことができ、優れた排水逆流防止機能を発揮する水処理装置及びこれを備えた流し台を提供する。
【解決手段】流し台8においては、給水栓6から供給される水道水を浄化して処理水と排水とを生成する水処理装置本体2が流し台8の内部に配置され、水処理装置本体2において生成された排水が流れる排水ホース16を、エアギャップ13及び逆流防止弁15を設けた逆流防止機構部1を介して、流し台8のシンク9の排水管4に接続している。水処理装置本体2には、当該水処理装置本体2内の通水経路を切り替えるバルブ3が設けられ、シンク9の側方に吐水スパウト7を有する水栓5が配置されている。水栓5は、給水栓6から供給される水道水を水処理装置本体2へ供給、停止する機能と、水処理装置本体2から送給される処理水をスパウト7から吐出、停止する機能と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水に物理的若しくは化学的な処理を施すことによって所定の処理水と排水と生成する水処理装置及びこれを備えた流し台に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水を電気分解することによってアルカリ水とこれに伴う酸性水を生成する水処理装置においては、一般にアルカリ水が多用され、酸性水は捨て水として排水されているが、従来は、アルカリ水と同様、捨て水である酸性水についても流し台シンク上に吐出部を設けて吐出する構成となっている。そのひとつとして、従来、イオン水生成器を流し台のシンク下に設置した、所謂ビルトイン型水処理装置において、シンクの上にアルカリ水吐出部だけでなく酸性水吐出部を設け、シンク上から吐出した酸性水をシンクの排水口へ排出する流し台が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、電気温水器と排水管とを繋ぐ排水流路に配置することにより、電気温水器の沸き上げ時に発生する膨張水を排水管に導くとともに、排水管からの異臭漏出や害虫侵入などを防止する逆流防止機構を備えた排水トラップが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−232315号公報
【特許文献2】特開2008−57251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の流し台の場合、アルカリ水や酸性水の吐出部の構成が複雑になってしまうだけでなく、シンク上に設置される酸性水吐出部が、シンク周りでの洗い物作業の妨げになるという問題がある。また、後付けでシンク上に設置するタイプの水処理装置の場合も、アルカリ水吐出部及び酸性水吐出部の両方がシンク上に設置されるため、前述と同様、シンク上が煩雑になり、シンク周りでの洗い物作業を妨げるという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2記載の排水トラップを加熱再生型水処理装置に使用した場合、浄水手段である活性炭フィルタを加熱再生する際に、電気温水器の膨張水に比べて明らかに多量の湯及び水蒸気が発生し、特に、水蒸気については、排水トラップのエアギャップから多量に排出されることになる。しかしながら、流し台シンクの下方領域は、調理器具、調味料、保存食などが多数収納されていることが多いので、この領域を衛生的に保つためには水蒸気の排出を抑制する必要がある。また、加熱再生時に発生する多量の湯が直接流れ込むことにより温度上昇した排水トラップに誤って流し台使用者が触れないように安全対策を講じる必要もある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、流し台周りでの洗い物作業を妨げる物を無くすことができ、優れた排水逆流防止機能を発揮する水処理装置及びこれを備えた流し台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水処理装置は、水道水を処理して処理水とこれに伴う排水とを生成する水処理装置であって、
生成された前記排水が流れる排水ホースを、エアギャップ及び逆流防止弁を設けた逆流防止機構部を介して流し台シンクの排水管に接続したことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、流し台シンク上から排水を吐出する部分の構成を簡素化することができると共に、排水を吐出する部分を流し台シンク周りから無くすことができるため、洗い物作業を妨げる物がなくなる。また、エアギャップ及び逆流防止弁を設けた逆流防止機構部を介して排水ホースを排水管に接続しているため、排水管に流れる排水が逆流して水処理装置に流れる込むことがない。万一、異物などにより逆流防止弁が機能しなくなった場合、最悪でも、逆流してきた排水や流れてきた排水は逆流防止機構部のエアギャップから出て行くので、水処理装置に排水が流れ込むこともなくなる。
【0010】
ここで、前記逆流機防止機構部に水位検知器を設け、前記水位検知器からの情報に基づいて警告を発するようにすることができる。
【0011】
イオン水生成器や食器洗浄機などの排水量は、先行技術文献記載の電気温水器の膨張水のように微量ではなく、排水が溢れる可能性がある。そこで、このような構成とすれば、水位検知器からの水位情報によって逆流防止機構部に溜まっている排水量が分かり、エアギャップ部から排水が溢れるおそれがある場合には、事前に警報手段が発するアラーム音や発光表示などの警告により周囲に知らせることができる。
【0012】
また、前記逆流防止機構部に水位検知器を設け、前記水位検知器からの情報に基づいて前記排水の生成量の制御を行うこともできる。
【0013】
このような構成とすれば、水位検知器からの水位情報によって逆流防止機構部に溜まっている排水量が分かるので、前記水位情報に基づいて水処理装置からの排水量を抑制することによりエアギャップ部からの溢水を防止することができる。例えば、水処理装置がイオン水生成器であるような場合は、水処理装置からアルカリ水を流しているときには、自動的に電気分解処理を中止して内部通水路を切り替えることにより排水を一時的に止めることが可能になる。また、電気的バルブ等の水量制御機構や電磁弁など通水・止水切替機構などを有する水処理装置においては、通水量を自動的に低減させたり、止水したりすることも可能となる。
【0014】
さらに、前記逆流防止機構部に傾斜検知器を設け、前記傾斜検知器からの情報に基づいて警告を発する構成とすることもできる。
【0015】
台所の流し台シンクの下方領域には、通常、調理器具や調味料などが多数置かれ、調理作業者などは暗い中で頻繁にこれらの出し入れを行なっている。従って、調理作業者の手や物品などが逆流防止機構部に接触することにより当該逆流防止機構部が垂直から傾く可能性がある。一方、逆流防止機構部には、逆流防止のためのエアギャップが設けてあるため、逆流防止機構部が傾くと、エアギャップ部分から外部へ漏水する可能性が高くなる。そこで、前述の構成とすれば、傾斜検知器からの情報によって逆流防止機構部の傾斜度合いが分かるため、エアギャップ部から排水が溢れる可能性がある場合には、アラーム音や発光表示を発することにより周囲に知らせることができる。
【0016】
一方、前記逆流防止機構部に傾斜検知器を設け、前記傾斜検知器からの情報に基づいて前記排水の生成量の制御を行う構成とすることもできる。
【0017】
このような構成とすれば、傾斜検知器からの情報によって逆流防止機構部の傾斜度合いがわかり、前記情報に基づいて水処理装置からの排水量を抑制することによってエアギャップ部からの溢水を防止することができる。例えば、水処理装置がイオン水生成器であるような場合は、水処理装置からアルカリ水を流しているときには、自動的に電気分解処理を中止して内部通水路を切り替えることによって排水を一時的に止めることが可能になる。また、電気的なバルブなどの水量制御機構や、電磁弁などの通水・止水切替機構などを有する水処理装置においては、通水量を自動的に低減させたり、止水したりすることも可能となる。
【0018】
また、水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記逆流防止機構部のエアギャップの下方に、前記熱処理により前記逆流防止機構部へ送給される水蒸気または送給される高温水により発生する水蒸気の結露を促進する結露促進部を設けることもできる。
【0019】
このような構成とすれば、活性炭フィルタの熱処理中に、逆流防止機構部のエアギャップから大量の水蒸気が外部へ漏れるのを抑制することができるため、流し台シンク下方のキャビネット内が高温多湿になることが無くなり、キャビネット内を衛生的に保つことができる。
【0020】
また、水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記熱処理により前記逆流機防止機構部内へ送給される湯または水蒸気の温度を測定する温度検知器を設け、前記温度検知器からの情報に基づいて前記加熱手段を制御する構成とすることもできる。
【0021】
逆流防止機構部内の温度上昇は、水蒸気が送給された状態であることや、高温水が送給され、それにより発生する水蒸気量も増大することを示している。そこで、前述の構成とすれば、逆流防止機構部内の湯の温度が高い場合は、浄水手段の活性炭フィルタの熱処理を行なっている加熱手段を制御することにより、水蒸気の発生量を抑制しながら熱処理を行うことが可能となるため、エアギャップからの水蒸気放出量を減少させることができる。
【0022】
また、水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記活性炭フィルタの熱処理により供給される湯または水蒸気が流れる排水ホースを、前記逆流防止機構部を介して流し台シンクの排水管に接続するとともに、前記逆流防止機構部は、前記活性炭フィルタの熱処理中により供給される前記逆流防止機構部内の湯または水蒸気より低温の水を前記逆流防止機構部へ供給可能な構成とすることもできる。
【0023】
このような構成とすれば、活性炭フィルタの熱処理中に逆流防止機構部の湯の温度が高い場合に、逆流防止機構部へ低温の水を供給することによって逆流防止機構部の湯の温度を調整することができ、さらに、水蒸気の排出量を抑制することができる。
【0024】
次に、本発明の流し台は、前述した構成のいずれかを有する水処理装置を備えたことを特徴とする。
【0025】
このような構成とすれば、水処理装置の排水ホースが流し台シンクの排水管に接続された状態となり、排水を吐出する部分を流し台シンク周りから無くすことができるため、洗い物作業を妨げる物がなくなり、シンク周りにおける洗い作業性が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、流し台周りでの洗い物作業を妨げる物を無くすことができ、優れた排水逆流防止機能を発揮する水処理装置及びこれを備えた流し台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態である水処理装置を備えた流し台を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す水処理装置を構成する逆流防止機構部を示す一部切欠垂直断面図である。
【図3】逆流防止機構部に関するその他の実施形態を示す一部切欠垂直断面図である。
【図4】逆流防止機構部に関するその他の実施形態を示す一部切欠垂直断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態である水処理装置を備えた流し台を示す概略構成図である。
【図6】図5に示す水処理装置を構成する温度作動弁を示す図である。
【図7】本発明の第三実施形態である水処理装置を備えた流し台を示す概略構成図である。
【図8】図7に示す水処理装置を構成する逆流防止機構部を示す一部切欠垂直断面図である。
【図9】逆流防止機構部に関するその他の実施形態を示す一部切欠垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1,図2に基づいて、本発明の第一実施形態である水処理装置を備えた流し台について説明する。図1,図2に示すように、給水栓6から供給される水道水を浄化して処理水と排水とを生成する水処理装置本体2が流し台8の内部に配置され、水処理装置本体2において生成された排水が流れる排水ホース16を、エアギャップ13及び逆流防止弁15を設けた逆流防止機構部1を介して、流し台8のシンク9の排水管4に接続している。水処理装置本体2には、当該水処理装置本体2内の通水経路を切り替えるバルブ3が設けられ、シンク9の側方に吐水スパウト7を有する水栓5が配置されている。なお、本実施形態の水処理装置は、水処理装置本体2、排水ホース16及び逆流防止機構部1から構成されている。
【0029】
水栓5は、給水栓6から供給される水道水を水処理装置本体2へ供給、停止する機能と、水処理装置本体2から送給される処理水をスパウト7から吐出、停止する機能と、を備えている。水処理装置本体2の内部には活性炭で構成されたフィルタ部Fが設けられ、フィルタ部Fにはフィルタ部Fを熱処理する加熱手段であるヒータHが密着状に付設されている。
【0030】
水栓5のハンドル5aを所定方向へ操作すると、給水栓6から供給される水道水が水栓5を経由して水処理装置本体2へ送給され、バルブ3の切替状態に応じて、水処理装置本体2のフィルタ部Fで浄化された処理水が水栓5の吐水スパウト7から吐出されたり、逆流防止機構部1へ排水されたりする。
【0031】
ヒータHでフィルタ部Fを加熱して活性炭に吸着した有機物などを離脱させることにより、活性炭の再生を行うことができる。加熱再生中に排出される熱水及び蒸気はバルブ3を排水側へ切り替えることにより、逆流防止機構部1へ排出することができる。また、活性炭の加熱再生を行った後の最初の通水時にも、バルブ3を排水側へ切り替え、逆流防止機構部1への排水を行う。
【0032】
図2に示すように、逆流防止機構部1は、封水筒1bなどを内蔵した本体1aと、排水ホース16を経由して送給される排水を本体1a内へ導入するため本体1aの頂上部に突設された流入口11と、本体1a内を通過した排水を排出するため本体1aの略中央付近から横方向へ延設された排水口12と、本体1aの上端付近に通水可能に開設されたエアギャップ13と、エアギャップ13より下方で排水口12より高い位置に設けられた結露促進部14と、を備えている。
【0033】
エアギャップ13は、本体1a内の水位が上昇したときに本体1a内の排水を外部へ流出させることにより流入口11から水処理装置本体2へ排水が逆流することを防止する機能を有する。結露促進部14は、本体1a内へ流入した蒸気や熱水から発生する蒸気を積極的に結露させることにより、エアギャップ13から流し台8内へ蒸気が放出されるのを防止する。結露促進部14は、本体1a内の熱を大気中へ放出することによって、本体1a内の蒸気を結露させ、流し台8内へ蒸気が放出されるのを防止する。結露促進部14の外周面は凹凸形状をなしている。
【0034】
逆流防止弁15は、通常は閉止状態にあって、排出口12からの排水逆流を防止しているが、流入口11から本体1a内へ流入した排水が流れてくると、その流動圧力で逆流防止弁15が押し上げられて開放状態となり、排出口12から排水が排出される。
【0035】
図1に示すような構成とすることにより、流し台8のシンク9上から排水を吐出する部分の構成を簡素化することができるとともに、排水を吐出する部分を流し台8のシンク9周りから無くすことができるため、洗い物作業を妨げる物を無くすことができる。また、エアギャップ13及び逆流防止弁15を設けた逆流防止機構部1を介して排水ホース16を排水管4に接続しているため、排水管4に流れる排水が逆流して水処理装置本体2に流れ込むことがない。万一、異物などにより逆流防止弁15が機能しなくなった場合、最悪でも、逆流してきた排水や流れてきた排水は逆流防止機構部1のエアギャップ13から出て行くので、水処理装置本体2に排水が流れ込むこともない。
【0036】
また、逆流防止機能部1に結露促進部14を設けたことにより、活性炭フィルタ部Fの活性炭の熱処理中に、逆流防止機構部1のエアギャップ13から大量の水蒸気が外部へ漏れるのを抑制することができるため、流し台8のシンク9下方のキャビネット内が高温多湿になることが無く、キャビネット内を衛生的に保つことができる。
【0037】
ここで、図3,図4に基づいて、逆流防止機構部に関するその他の実施形態について説明する。なお、図3,図4中において図2中の符号と同符号を付している部分は逆流防止機構部1の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0038】
一般に逆流防止機構の一部をなす結露促進部の構成としては、以下の点が重要である。外部への放熱量は、ある二地点間での熱伝導量×総面積で表すことができ、二地点間の熱伝導量はその温度勾配と熱伝導性で決まるため、熱伝導性の高い材料、例えば、金属や熱伝導性の高い樹脂などを用いて結露促進部を形成すれば、内部の熱を速やかに外部へ伝えることができる。
【0039】
また、温度勾配を大きくするために結露促進部の内部空間を狭くし、熱が集まるようにすることもできる。さらに、結露促進部の外側の温度を低減させるため、外側形状として外気との接触面積を多く取るような凹凸のある構成とすることも効果的である。一方、外部への放熱量を多くするために結露促進部の総面積を大きくとることも有効であるため、上下方向に長い形状の結露促進部とすることもできる。
【0040】
そこで、図3に示す逆流防止機構部30においては、結露促進部34の外周面を凹凸形状とするとともに、本体30a内の封水筒1bと結露促進部34との対向面にそれぞれ複数段の棚状部1c,34aを設けることにより、結露促進部34の本体30a内部空間を狭くしている。一方、図4に示す逆流防止機構部40においては、結露促進部44を熱伝導性の高い金属で形成されている。図3,図4に示す構成とすれば、本体30a,40a内の熱が速やかに外部へ放出されるため、本体30a,40a内の蒸気を効率良く結露させることができる。
【0041】
次に、図5,図6に基づいて、本発明の第二実施形態である水処理装置を備えた流し台について説明する。なお、図5,図6において図1,2中の符号と同符号を付している部分は第一実施形態における水処理装置本体2を備えた流し台8の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0042】
図1で示したように、結露促進部14を設けることによって逆流防止機構部1からの蒸気放出量を抑制した場合においても、熱水量や蒸気量あるいは逆流防止機構部1のサイズによっては、能力が十分ではない場合が考えられる。この場合、蒸気の発生量を抑制する方法以外に、図5に示すように、逆流防止機構部21に積極的に水を注入して温度を低減する方法を採用することができる。
【0043】
図5に示す流し台58においては、図1に示す流し台8と同様、水栓5のハンドル5aを操作すると給水栓6から供給された水道水が水処理装置本体2へ通水され、バルブ3の切替状態に応じて、水栓5の吐水スパウト7から処理水を吐水させたり、逆流防止機構部1へ排水させたりすることができる。
【0044】
また、水処理装置本体2は活性炭からなるフィルタ部FにヒータHが密着して付設され、活性炭の加熱再生中に熱水及び蒸気が逆流防止機構部21へ排出され、加熱再生後の最初の通水時には、バルブ3を排水側へ切り替えて逆流防止機構部21へ排水する。
【0045】
本実施形態では、逆流防止機構部21の流入口11に温度作動弁22が設けられており、水処理装置本体2からの排水の温度が所定温度以上になると、温度作動弁22が作動して給水栓6から流入口11を経由して逆流防止機構部21内へ水が供給されるので、逆流防止機構部21に流入する水の温度が低下し、内部の蒸気が流し台8に放出されるのを抑制することができる。
【0046】
ここで、図6に基づいて、温度作動弁22の構成、動作などについて説明する。図6に示す温度作動弁22においては、弁開閉手段として形状記憶合金性のバネが用いられている。略T字状をした本体部22aに、排水流入口23、流出口24及び給水流入口25が設けられ、左右のバネ27,28の付勢力のバランスにより左右に移動して流路を構成するバルブ26が本体部22a内に配置されている。
【0047】
バネ27はバルブ26の給水側に設置された形状記憶合金製のバネであり、バネ28は温度等によってバネ定数が変化しない通常のバネである。常温では形状記憶合金製のバネ27は収縮し、バルブ26はバネ28に押されて本体部22a内面の左側に押し付けられ、給水流入口25を塞ぐとともに排水流入口23から流出口24への流路を開放しているので、水処理装置本体2からの排水は逆流防止機構部21へ流入する。
【0048】
ここで、水処理装置本体2からの排水の温度が、例えば、60度を超える程度まで上昇すると、形状記憶合金製のバネ27が伸張してバネ28を押すことにより、バルブ26が流入口23側へ押し付けられ流入口23からの排水を絞るとともに、給水流入口25から流出口24への流路を形成し、給水栓6からの水が逆流防止機構部21内へ流入する。この時、熱排水の圧力が籠もるのを防止するため、バルブ26の排水流入口23側には隙間ができるよう構成されている。
【0049】
このように温度作動弁22を設けたことにより、フィルタ部Fの活性炭の熱処理中に水処理装置本体2からの排水の温度が上昇した場合、逆流防止機構部21へ自動的に給水され、逆流防止機構部21に流入する水の温度を適正に戻すことが可能となるため、結果的に逆流防止機構部21のエアギャップからの蒸気放出を抑制することができる。
【0050】
次に、図7,図8に基づいて、本発明の第三実施形態である水処理装置を備えた流し台について説明する。なお、図7,図8において図1,2中の符号と同符号を付している部分は第一実施形態における水処理装置本体2を備えた流し台8の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0051】
本実施形態においては、図7及び図8に示すように、逆流防止機構部71の流入口11に電磁弁72が設けられ、逆流防止機構部71の本体71aの下部に温度検知器73が配置され、本体71aと逆流防止弁15との間の流路74に水位検知器75が配置されている。
【0052】
逆流防止機構部71の湯の温度が所定温度以上の場合には温度検知器73からの信号により電磁弁72が開いて給水栓6から逆流防止機構部71へ給水され、所定時間後、逆流防止機構部71が適正温度に戻ると温度検知器73からの信号により電磁弁72が閉じて給水が停止する。このように、温度検知器73の検知温度に応じて電磁弁72が開閉して逆流防止機構部71への給水、停止が行われるので、逆流防止機構部71の水温が一定以下に制御され、エアギャップ13からの蒸気の放出を抑制することができる。
【0053】
また、水位検知器75からの水位情報によって逆流防止機構部71に溜まっている排水量が分かるので、前記水位情報に基づいて水処理装置本体2からの排水量を抑制することにより、エアギャップ13からの溢水を防止することができる。
【0054】
次に、図9に基づいて逆流防止機構部に関するその他の実施形態について説明する。なお、図9において図2中の符号と同符号を付している部分は第一実施形態における逆流防止機構部1の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
【0055】
一般に、台所の流し台シンクの下方領域には、通常、調理器具や調味料などが多数置かれ、調理作業者などは暗い中で頻繁にこれらの出し入れを行なっている。従って、調理作業者の手や物品などが逆流防止機構部91に接触することにより当該逆流防止機構部91が垂直から傾く可能性がある。一方、逆流防止機構部91には、逆流防止のためのエアギャップ13が設けてあるため、逆流防止機構部91が傾くと、エアギャップ13部分から外部へ漏水する可能性が高くなる。
【0056】
そこで、図9に示すように、逆流防止機構部91の本体91aの下端寄りの部分に傾斜検知器92を設け、傾斜検知器92からの情報に基づいて警告を発する構成とすれば、傾斜検知器92からの情報によって逆流防止機構部91の傾斜度合いが分かるため、エアギャップ13から排水が溢れる可能性がある場合には、アラーム音や発光表示を発することにより周囲に知らせることができる。
【0057】
傾斜検知器92は、外側電極と、真ん中の1本の錘電極とから構成され、外側電極は全て電気的に導通して同電位である。錘電極は錘状で鉛直方向に垂下しており、通常(直立状態にあるとき)、外側電極と錘電極とは離れた状態にあるが、ある程度傾斜すると、それに伴って錘電極が外側電極に接触し、外側電極と錘電極との間の抵抗値により、所定範囲を超えて傾斜した場合にそれを検知することができる。このとき、外側電極は、外周全面に設けても良いし、傾斜が予想される2方向のみに設けるなど適宜設計が可能である。また、傾斜を検知可能なセンサであればその方式は限定しないので、従来から存在する多種多様な他の検知方式を採用したり、傾斜度合いを複数レベルで検知可能な構成としたりするなど、用途に応じて、適宜選択可能である。
【0058】
一方、傾斜検知器92からの情報に基づいて排水の生成量の制御を行う構成とすることもできる。このような構成とすれば、傾斜検知器92からの情報によって逆流防止機構部91の傾斜度合いが分かり、前記情報に基づいて、水使用機器からの排水量を抑制することによってエアギャップ13からの溢水を防止することができる。
【0059】
ここで、逆流防止機構部21を排水管4へ接続する箇所について説明する。排水管4には、通常、トラップと呼ばれる水溜め部分が存在し、例えば、途中をS字に蛇行させることによって水を溜めるような構造になっている。このトラップの役割は排水管の下流側から虫や排水の汚臭などが侵入するのを防止することであるが、逆流防止機構部21を排水管4のトラップの上流側に接続することにより、排水管4の下流からの虫や汚臭などが逆流防止機構部21に入ってエアギャップ13からシンクキャビネット内に入りこむことを防止することができる。また、逆流防止機構部21を排水管4のトラップの下流側に接続した場合は、万一、排水管4のトラップが詰まり逆流防止機構部21の逆流防止弁15が機能しない場合においても、逆流防止機構部側にシンクからの排水が流れ込むことを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の水処理装置及びこれを備えた流し台は、一般住宅の台所などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1,21,30,40,71,91 逆流防止機構部
1a,30a,40a,71a,91a 本体
1b 封水筒
2 水処理装置本体
3,26 バルブ
4 排水管
5 水栓
5a ハンドル
6 給水栓
7 吐水スパウト
8,58,78 流し台
9 シンク
11 流入口
12 排水口
13 エアギャップ
14,34,44 結露促進部
15 逆流防止弁
16 排水ホース
22 温度作動弁
22a 本体部
23 排水流入口
24 流出口
25 給水流入口
27,28 バネ
72 電磁弁
73 温度検知器
74 流路
92 傾斜検知器
F フィルタ部
H ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を処理して処理水とこれに伴う排水とを生成する水処理装置であって、
生成された前記排水が流れる排水ホースを、エアギャップ及び逆流防止弁を設けた逆流防止機構部を介して流し台シンクの排水管に接続したことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記逆流防止機構部に水位検知器を設け、前記水位検知器からの情報に基づいて警告を発することを特徴とする請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
前記逆流防止機構部に水位検知器を設け、前記水位検知器からの情報に基づいて前記排水の生成量の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の水処理装置
【請求項4】
前記逆流防止機構部に傾斜検知器を設け、前記傾斜検知器からの情報に基づいて警告を発することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記逆流防止機構部に傾斜検知器を設け、前記傾斜検知器からの情報に基づいて前記排水の生成量の制御を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の水処理装置。
【請求項6】
水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記逆流防止機構部のエアギャップの下方に、前記熱処理により前記逆流防止機構部へ送給される水蒸気または送給される高温水により発生する水蒸気の結露を促進する結露促進部を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の水処理装置。
【請求項7】
水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記熱処理により前記逆流機防止機構部内へ送給される湯または水蒸気の温度を測定する温度検知器を設け、前記温度検知器からの情報に基づいて前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の水処理装置。
【請求項8】
水道水を浄化する活性炭フィルタを有する浄水手段と、前記活性炭フィルタを熱処理する加熱手段と、を備え、
前記活性炭フィルタの熱処理により供給される湯または水蒸気が流れる排水ホースを、前記逆流防止機構部を介して流し台シンクの排水管に接続するとともに、前記逆流防止機構部は、前記活性炭フィルタの熱処理中により供給される前記逆流防止機構部内の湯または水蒸気より低温の水を前記逆流防止機構部へ供給可能としたことを特徴する請求項1〜7の何れかに記載の水処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の水処理装置を備えたことを特徴とする流し台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−229687(P2010−229687A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77406(P2009−77406)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】