説明

水処理装置及び冷却塔

【課題】水に含まれるスケール成分を効率的に除去あるいは中性化して、水を使用する機器にとって問題のない状態にでき、スケール析出による悪影響を防止できる水処理装置を提供する。
【解決手段】水中に配設される電極11、12間で所定周期で繰返しのピーク成分が生じる波形で通電を行い、電気分解を行う中、スケール成分の電極12への移動をもたらす全体的な直流の通電状態は維持しつつ、電子の流れに変化を与えることから、水中における物質同士の連鎖状態を壊しやすくすると共に、水中での電子の動きを活発化して、陽イオンである水中のスケール成分をスケールとして陰極側の電極12に効率よく付着させられることに加え、水中を浮遊するスケール成分を中性化することができ、スケール成分が水の流路となる各部においてスケールとして各部に付着することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却塔等で使用する水に含まれるスケール成分の除去や中性化を図る水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場や空気調和設備などで循環使用する水の冷却を目的として屋外に設置される冷却塔には、冷却塔内部の熱交換部分で空気と水を直接接触させ、水と空気の温度差を利用する熱伝達すなわち顕熱による冷却作用、及び、水自体の蒸発すなわち潜熱(蒸発熱)による冷却作用を合せ持つ開放式冷却塔と、熱交換器を有して空気と循環水が直接接触しない密閉式冷却塔とがある。
【0003】
こうした冷却塔では、開放式冷却塔の場合は循環水、密閉式冷却塔の場合は熱交換器に散布されて潜熱による冷却効果を付加する散布水が、それぞれ直接大気と接触するため、大気中の汚染物質がこれらの水に不純物として溶け込み、水を汚染するだけでなく、スケールとして析出した場合には、管路等の水循環系各部で流れに対する抵抗となり、また、熱交換器に流入し伝熱面に付着すると伝熱効率を低下させるなど、冷却塔としての動作に不具合を及す危険性があった。また、水中に溶け込んでいたスケール成分が、金属部分において水分の蒸発に伴い析出してスケールになると、周囲の金属部分と共に酸素濃淡電池を形成した状態となり、金属部分を腐食させるという危険性もあった。
【0004】
このため、下部水槽における水取出し用の取水口部分には、析出したスケール等の異物を濾し取って除去し、水のみ循環用管路に送出すストレーナが配設されていた。しかし、ストレーナの濾過部分にスケール等の異物が大量に捕捉されて詰まり、水の流れを滞らせる状態に至ると、冷却塔の正常動作を阻害するため、ストレーナに対しては頻繁なメンテナンスが必要となるなど、ストレーナのみでの対応には難しい問題があった。このため、冷却塔で用いられる水には、通常、薬液(スケール防止剤他)が適宜注入され、且つその濃度を維持するようにして、スケールの発生を抑えるようにしていた。
【0005】
ただし、冷却塔で循環使用される水の水質は、近年の節水志向により水交換頻度が減り、溶存成分の濃縮倍率が大幅に上昇しているのに伴って悪化しており、こうした水からはスケールも生じやすくなっている。薬液の使用には大きなコストがかかるため、単純に薬液の注入量を増加させることは難しく、なるべく薬液を用いないスケール対策がより強く求められるようになっている。
【0006】
このため、冷却塔で使用される水に対し電気分解処理によりスケールを集めて回収除去する提案がなされている。このような冷却塔に適用可能な電気分解を用いたスケール成分の除去装置の例としては、特開2001−259690号公報や特開2003−200170号公報、特開2006−61844号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−259690号公報
【特許文献2】特開2003−200170号公報
【特許文献2】特開2006−61844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の冷却塔で使用されるスケール成分の除去装置は前記各特許文献に示される構成とされ、処理対象の水中における所定時間の電極間での通電により陰極側にスケールを付着させ、スケールを回収可能とする仕組みを有している。ただし、前記各特許文献では、電極間の通電に関して、極性反転や三つ以上の電極間での極性の切換え制御による、付着したスケールの剥離や特定電極へのスケール付着防止等については示されているものの、一般的な電気分解の手法でスケールを陰極に付着させる点自体はこれら以前の技術と何ら変ることはなく、電極に効率的にスケールを付着させたり、水中のスケール成分を変化させるための具体的な通電手法に係る新たな提案は何ら示されていない。
【0009】
また、前記各特許文献に示されるものでは、スケールは回収用の容器に集められたり、着脱可能な陰極に付着した状態とされることから、継続的にスケールを回収するためには、定期的に溜ったスケールを手作業で排出、除去する必要があり、このスケールを排出、除去する作業の間、装置を停止させることとなり、冷却塔に適用する場合、前記作業の間は水中のスケール成分に対する処理が行えなくなるという課題を有していた。
【0010】
加えて、前記各特許文献に示される装置では、水中におけるカルシウムやマグネシウム等の極性の大きなスケール成分に比べて、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分を電極に付着させにくく、こうしたスケール成分を水中から収集、除去することは極めて困難であるという課題を有していた。
【0011】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、水に含まれるスケール成分を効率的に除去あるいは中性化して、水を使用する機器にとって問題のない状態にでき、スケール析出による悪影響を防止できる水処理装置及びこれを用いた冷却塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る水処理装置は、水中の陽極と陰極の両電極間における通電で一方の電極表面にスケールを付着させて捕捉し、水中のスケール成分を減少させる水処理装置において、前記電極間で、所定周期で繰返し現れるピーク成分のある直流の通電を実行する通電制御部を備えるものである。
【0013】
このように本発明によれば、水中に配設される電極間で所定周期で繰返しのピーク成分が生じる波形で通電を行い、電気分解を行う中、スケール成分の電極への移動をもたらす全体的な直流の通電状態は維持しつつ、電子の流れに変化を与えることにより、水中における物質同士の連鎖状態を壊しやすくすると共に、水中での電子の動きを活発化して、陽イオンである水中のスケール成分をスケールとして陰極側の電極に効率よく付着させられることに加え、水中を浮遊するスケール成分を中性化することができ、スケール成分が水の流路となる各部においてスケールとして各部に付着することを防止できる。また、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分も適切に帯電させられ、電極に付着させて収集、除去でき、適切に水処理が行える。
【0014】
また、本発明に係る水処理装置は必要に応じて、所定間隔で対向する陽極と陰極の二つの電極の組を、所定の配置基準軸を中心として回転対称となり、且つ異なる組で並んで隣合う電極同士は互いに異なる極性とされる配置として複数組並べて配設されるものである。
【0015】
このように本発明によれば、対向状態とした二つの電極の組が複数並べられ、異なる組で隣合う電極同士も極性を異ならせた配置となって水中に配設されることにより、電極の周囲には異なる極性の電極が配置されて電極周囲の各方向で通電状態が得られ、水に対する通電の影響が増大することとなり、電極表面へのスケール付着が促され、より効率よく
スケールを除去できることに加え、通電域の拡大に伴い、水中のスケール成分の中性化に係る効率も向上させられる。
【0016】
また、本発明に係る水処理装置は必要に応じて、前記電極の下側に配設され、開閉制御されるバルブを介して排水路に接続されるスケール受部を備え、前記通電制御部が、電極間への通電開始から所定時間経過後、電極の極性を反転させ、電極に付着したスケールを脱落させるものである。
【0017】
このように本発明によれば、電極の通電に係る極性を反転させ、スケールの電極からの脱落を図る一方、電極から脱落して水中を落下するスケールを受けるスケール受部を電極下側に設け、このスケール受部を排水路に接続することにより、電極からスケールが脱落し、水中を落下したスケールがスケール受部に達して溜った後、バルブを開放して水を排出すれば、水に伴ってスケールが排水路に流れ込み、外部に排出されることとなり、スケールが水の排出の機会ごとに効率よく排出され、電極やスケール回収容器等からのスケール除去、回収等のメンテナンスの手間が省け、装置の保守コストの低減が図れる。
【0018】
また、本発明に係る水処理装置は必要に応じて、前記通電制御部が、前記導電率測定手段で測定された導電率があらかじめ設定された値となるように、前記電極間での通電状態を調整するものである。
【0019】
このように本発明によれば、導電率測定手段で水の導電率を測定し、得られた導電率に基づいて通電制御部が電極間での通電状態を調整し、通電に伴う電気分解の水への影響度合を変えることにより、水の導電率の値が適切な範囲を上回る場合には、電極にスケールをより多く付着させて収集できる通電状態として、水中のスケール成分が多いことで高くなっている導電率の値から、適切に水中のスケール成分の状態を識別してスケール除去等が行える。また、導電率が適切範囲にあり、水中のスケール成分が少ない場合には、一時的に通電を停止することもでき、水中のスケール成分を問題のない程度に留められる範囲で省電力化でき、電極の劣化も抑えてより長寿命化が図れる。
【0020】
また、本発明に係る冷却塔は、前記水処理装置が、下部水槽における所定箇所に前記電極を下部水槽内の水に浸漬状態とされて配設されるものである。
【0021】
このように本発明によれば、水処理装置を冷却塔の下部水槽内に配設し、スケールを電極に付着させて除去すると共に、水中のスケール成分を中性化して冷却塔の管路や熱交換部等をはじめとする水の循環経路でスケールとして析出しにくくすることにより、冷却塔や冷凍装置等に水が循環していく中、水中のスケール成分を電極に付着させることで循環経路各部を流れるスケール成分の量を大幅に低減させられると共に、スケール成分の中性化でスケール成分が循環経路各部でスケールとして析出して悪影響を与えることがなくなり、水の流れをスムーズにして損失を抑えられることに加え、熱交換部分での熱交換効率の低下を避けられる。また、薬液を使用せずに循環経路各部でのスケールの発生を抑えられ、メンテナンスの手間やコストを抑えられる。
【0022】
また、本発明に係る冷却塔は必要に応じて、前記電極が、下部水槽からの水のブローダウンの際に排水を行う排水口の上側に配設され、下部水槽から自動的にブローダウンとして排水される水と共に、電極から脱落して排水口付近に位置するスケールを排水口に流入させ、下部水槽外へ排出するものである。
【0023】
このように本発明によれば、冷却塔におけるブローダウン用の排水口の上側に水処理装置の電極を配設して、電極から脱落して落下したスケールが排水口付近に達するようにし、下部水槽からの自動ブローダウンに合わせて排水口付近のスケールを排出可能とするこ
とにより、スケールの排出のためにブローダウンで排出される水を利用して無駄な水の消費を抑えられると共に、脱落したスケールをブローダウン毎に効率よく排出でき、スケール排出のために特別な制御を行う必要もない上、スケール除去等のメンテナンスの手間が省け、保守コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置における電極の配置状態を示す底面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置における電極の正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置における他の電極配置状態を示す底面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置における別の電極配置状態を示す底面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る水処理装置における電極の集合体の正面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る水処理装置における電極の集合体の平面図及び底面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る水処理装置における電極の集合体の左側面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る水処理装置のブロック構成図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る水処理装置を用いる冷却塔の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を前記図1ないし図3に基づいて説明する。
【0026】
前記各図に示すように、本実施形態に係る水処理装置10は、処理対象の水中に二つ一組で複数組配設される電極11、12と、これら電極11、12間で、所定周期で繰返し現れるピーク成分のある直流の通電を実行する通電制御部13と、前記複数組の電極の下側に配設され、開閉制御されるバルブ14aを介して排水路15に接続されるスケール受部14とを備える構成である。
【0027】
前記電極11、12は、金属製の略板状体で形成され、所定間隔で対向してそれぞれ陽極と陰極となる二つの電極の組を、所定の配置基準軸Oを中心として回転対称となり、且つ異なる組で並んで隣合う電極同士は互いに異なる極性とされる配置として複数組並べて処理対象の水中に配設される構成である。具体的には、組をなす二つの電極11、12が、配置基準軸Oを中心とする内外二つの円周上にほぼ沿ってそれぞれ配設され、各円周上では、異なる極性の電極が交互に並んだ配置となる。
【0028】
また、各電極11、12には複数の孔を適宜穿設して、電極間の隙間に対し水が出入りしやすい状態とし、電極付近で水の入れ替りを促して、水の電極付近での滞留により電気
分解の効果の波及が限定されるのを防止している。
【0029】
これら電極については、通常のスケールを付着、収集する状態では、電極11が陽極、電極12が陰極となるように通電され、スケールを電極から剥離脱落させる際のみ、極性を反転させて電極11が陰極、電極12が陽極となるように通電することとなる。電極間での通電は、対向させた電極同士だけでなく、ある電極の周囲に存在する極性の異なる複数の電極との間でも行われることとなる。
【0030】
電極11、12の材質は、水中での電気分解に際して腐食しにくく、水質に悪影響を与えないものが望ましく、ステンレス鋼やチタン、ニッケル、プラチナコーティング材等を使用できるが、コスト面も考慮する必要があり、通常の通電で陽極となる電極には耐腐食性に優れるプラチナコーティング材を用い、また陰極となる電極にはコスト面で優れるステンレス鋼を用いるのが好ましい。
【0031】
そして、各電極11、12は、水中における水の流れがわずかに生じる箇所に設けるのが好ましい。電極周囲で水が緩慢に流れている状況では、電極周囲の水の流れが速すぎる場合のように、電極にスケールが付着しきれないうちに水が流れてしまう事態となることもなく、また、水の流れがほとんど静止している場合のように、電極周囲での水の入れ替りが生じないことで、電極間の通電による電気分解の影響が一部の水のみへの限定的なものに留まる、といった問題も生じない。
【0032】
前記通電制御部13は、前記ピーク成分として所定時間幅のパルスが所定周波数で繰返される波形をなすような直流の通電を電極11、12間で実行すると共に、この電極11、12間への通電開始から所定時間経過後、電極の極性を反転させ、電極に付着したスケールが電極から十分に脱落可能な時間だけ、前記反転状態を継続させた後、電極の極性を元に戻し、以前の極性非反転の通電状態に復帰する一連の過程を繰返し実行するものである。この他、通電制御部13は、前記バルブ14aを別の所定時間ごとに開放させて、水と共にスケール受部14に落下したスケールの排出を図る制御を実行する構成である。
【0033】
通電制御部13は、電極11、12間の通電を実行するにあたり、通電における前記ピーク成分の出現周期、すなわち繰返しパルスの周波数を調整したり、ピークの期間とピークでない期間との比、すなわちパルスのデューティー比を調整する、パルス幅変調(PWM)の制御で電極間での通電状態を変化させ、スケールの電極への付着や水中のスケール成分の中性化の度合を、水質や水の用途に応じた適切なものに調節する仕組みである。
【0034】
また、通電制御部13は、電極11、12間における測定電圧を、時間方向で大きさの変化の小さいほぼ平滑化された波形とするように、ピーク成分の出現周期や、ピークの期間とピークでない期間との時間割合を調整する。すなわち、通電のパルスの周波数やデューティー比をパルス幅変調制御として調整する。こうして電極間での実際の測定電圧が平滑化された波形として現れることにより、不要輻射を抑えられ、法的な各種条件も満たせることとなる。
【0035】
この通電制御部13から出力されるパルスの周波数は、1kHz〜1GHzの範囲とするのが好ましいが、より好ましくは20〜200kHzの範囲に設定するものとする。また、パルスのデューティー比は、0.05〜0.95の範囲内で設定するのが好ましい。
【0036】
なお、通電制御部13による電極11、12間の通電は、パルス幅変調(PWM)としてパルスすなわちピークの期間以外をOFF状態とするものに限られず、ピークの期間以外も電流が流れる状態として行うこともできる。
【0037】
前記スケール受部14は、全ての組の電極11、12の下側にわたって配設され、電極11、12の極性反転に伴って電極12から脱落したスケールを回収可能とされるものである。このスケール受部14は、通電制御部13で開閉制御されるバルブ14aを介して排水路15に接続されており、バルブ14aの開放に伴い、スケール受部14上に落下して堆積したスケールが、水と共に排水路15に流れ込み、そのまま排出される仕組みである。
【0038】
次に、前記構成に基づく水処理装置の使用状態について説明する。水中に浸漬された電極11、12に対し、通電制御部13が電極11を陽極、電極12を陰極として通電を開始すると、電極11、12周囲の水中で電気分解が起り、スケール成分は陰極側に移動して陰極である電極12の表面に付着する。こうして電極12表面にスケールを付着させて捕捉することで、水中のスケール成分を減少させることができる。また、水中のスケール成分のうち、陰極表面に付着しきれない分についても、酸化還元電位を下げる、すなわち中性化することとなる。
【0039】
通電制御部13による通電は、極短時間幅のパルスが例えば1kHz〜1GHzといった高い周波数で繰返される波形をなすような直流で実行されていることで、水中では、水分子を振動させて水中の物質同士、例えば水とスケール成分、の連鎖を断ち切ることに加え、水中の電子の働きを活発にすることができ、極性の大きいカルシウム等のスケール成分だけでなく、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分も効率よく帯電させられ、電極12に付着させて収集できる。
【0040】
また、水中のスケール成分が中性化されることで、スケール成分を含んだ水が他の流路各部に流れ込み、流路各部にスケール成分が達してもスケールが付着することはない。さらに、電気分解によって水中に生じたOHラジカルは、強い酸化作用に伴う殺菌効果を有することから、水の水質改善も期待できる。
【0041】
通電を開始して所定時間が経過し、電極12表面に付着したスケールが対向する電極11、12間で間隙をほとんど埋めてそれ以上は付着できない所定量に達していることが見込める状況に至ると、通電制御部13は、電極への通電方向を切換え、電極11、12の極性を反転させる。すなわち、電極11を陰極に、電極12を陽極として通電を行う。
【0042】
この極性反転状態を所定時間継続すると、陽極となった電極12に付着していたスケールに、陰極となった逆側の電極11に向う力が作用することで、スケールは電極12から脱落し、いったん析出して固体となっているスケールは、その重量で水中を落下し、電極下側のスケール受部14に達する。極性反転状態で、十分にスケールが電極から脱落した状態となるだけの時間が経過したら、通電制御部13はあらためて電極への通電方向を通常の極性非反転の状態、すなわち、電極11を陽極、電極12を陰極として通電する状態に戻し、水中のスケール成分をスケールとして陰極である電極12に付着させる状態とし、こうした通電によるスケールの付着と脱落の一連の過程が繰返し実行される。
【0043】
スケール受部14に溜ったスケールは、通電制御部13の制御に基づいて所定時間ごとにバルブ14aが開くことで、スケール受部14に接続した排水路15に水と共に流れ込み、排出されることとなる。こうして排出されたスケールは他の排水と共に外部で別途まとめて廃水処理され、無害化される。
【0044】
このように、本実施形態に係る水処理装置では、水中に配設される電極11、12間で所定周波数の繰返しパルスが生じる直流の波形で通電を行い、電気分解を行う中、スケール成分の電極12への移動をもたらす全体的な直流の通電状態は維持しつつ、電子の流れに変化を与えることから、水中における物質同士の連鎖状態を壊しやすくすると共に、水
中での電子の動きを活発化して、陽イオンである水中のスケール成分をスケールとして陰極側の電極12に効率よく付着させられることに加え、水中を浮遊するスケール成分を中性化することができ、スケール成分が水の流路となる各部においてスケールとして各部に付着することを防止できる。また、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分も適切に帯電させられ、電極12に付着させて収集、除去でき、適切に水処理が行える。
【0045】
なお、前記実施形態に係る水処理装置においては、所定の配置基準軸を中心とした電極の回転対称配置として、配置基準軸を中心とする二つの円周上に沿って電極11、12をそれぞれ配置する構成としているが、これに限らず、図4に示すように、対向する二つの電極16、17の複数組を配置基準軸Oの周りに等角度間隔で略放射状に配置したり、四組の平板状の電極を異なる組の隣合う電極同士が直角をなして全体として略方形状をなす配置とすることもできる。
【0046】
また、前記実施形態に係る水処理装置においては、水中に二つ一組で複数組配設される電極11、12の大きさを一様にする構成としているが、これに限らず、図5に示すように、組をなす二つの電極18、19のうち、通常の通電で陽極となる電極18に対し、他方の陰極となる電極19をより大きく形成する構成とすることもでき、表面にスケールを付着させる電極19を大きくすることで、より効率よくスケールを付着させて収集できる。これら電極18、19については、中間部で所定角度折曲げて形成していることにより、水中での強度を高められ、水の流れの圧力が加わっても変形しにくく、電極間の間隔を維持してスケール収集への悪影響を生じさせない。
【0047】
また、前記実施形態に係る水処理装置において、電極11、12の周りを覆うものは特に設けず、電極11、12を水中でそのまま露出させる構成としているが、これに限らず、水の通過は許容しつつ電極群を外側から覆うカバーを設ける構成とすることもでき、水中に進入した異物や作業者の通電中の電極への接触をカバーで阻止可能となり、異物の接触による電極間の短絡を防止でき、装置自体及び作業者の安全を確保できる。
【0048】
また、前記実施形態に係る水処理装置においては、電極11、12間で正常に通電が行われる状態のみ想定しているが、通電状態で電極間に設定値を超える電流が流れると通電を停止する過電流保護回路を設ける構成とすることもでき、水中に誤って進入した異物や腐食し折損した電極部材等が、通電中の電極に接触して電極間に短絡が生じた場合に、そのまま過大な電流が流れて通電制御部等の回路が損傷を受けることを確実に防止でき、装置の故障による停止を回避できる。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る水処理装置においては、対向する電極11、12を、所定の配置基準軸を中心として回転対称となるようにそれぞれ配置する構成としているが、これに限らず、図6ないし図8に示すように、電極21、22を平板状とし、異なる極性のものが隣合うようにして複数をそのまま平行に並べた並列配置とする構成にすることもでき、電極の構造を大幅に簡略化できる。各電極21、22は、上部で同極ごとに接続しつつ絶縁材製の電極座部23に固定して一体化した集合体とすることで、処理対象の水中における支持やメンテナンスなどにおける着脱等の取扱いがまとめて容易に行える。
【0049】
この場合も、電極21、22間における水の通過は許容しつつ電極群を外側から覆うカバー、例えば、並んだ電極21、22のうち両端のものを外から覆う板状のカバーを設ける構成とすることもでき、カバーによって水中に進入した異物や作業者が通電中の電極へ接触しにくくなり、異物の接触による電極間の短絡や、電極と周囲の物体との間での通電を防止でき、装置自体及び作業者の安全を確保できる。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を前記図9及び図10に基づいて説明する。
【0050】
前記各図に示すように、本実施形態に係る水処理装置30は、前記第1の実施形態と同様、電極31、32と、通電制御部33とを備える構成を有する一方、異なる点として、通電される水の導電率を測定する導電率測定手段35が配設されると共に、前記電極31、32が、冷却塔50における下部水槽53に配設されて、冷却塔50の循環水を処理対象とするものである。
【0051】
前記冷却塔50は、起立状態で多数並列配置される略板状の充填材間の隙間に循環水を滴下されると共に横方向へ外部の空気を通過させ、循環水と空気との熱交換を行わせる熱交換部51と、この熱交換部51の上側に配設されて循環水を供給され、この循環水を熱交換部51各部へ分配滴下させる上部水槽52と、熱交換部51下側に配設されて熱交換部51を流下した循環水を回収する下部水槽53と、この下部水槽53から送出され所定の循環経路を通じて戻った循環水を前記上部水槽52に送込む配水管路54と、下部水槽53中央上方に配設されて熱交換部51の各充填材間に誘引通風で横方向から外部空気を通し、熱交換部51を通過した排気を上方へ吹出して排出するファン55とを備える構成の、公知の開放式冷却塔であり、詳細な説明を省略する。
【0052】
冷却塔50の下部水槽53は、固定設置される支持枠56上に配設され、流下した循環水を受けて一時貯溜しつつ回収するものであり、濃縮された循環水のブローダウン用の排水口53aや、補給される新水の給水部(図示を省略)、循環水の循環経路への送出し用の管路(図示を省略)等をそれぞれ接続され、循環水を所定量貯溜可能とされる公知の構成であり、説明を省略する。そして、この下部水槽53内に、水処理装置30の各電極31、32が配設されることとなる。
【0053】
前記電極31、32は、下部水槽53からの水のブローダウンの際に排水を行う排水口53aの上側に、下部水槽53内の通常水位で水中に浸漬される状態で配設される構成である。電極31、32の配設される排水口53aの上側部分は、排水口53aからの水の流出がない通常の状態で、循環水の循環系統における水の流入出に伴う流速の速い水、すなわち、冷却塔50の熱交換部51から下部水槽53に流下する水や下部水槽53から循環経路をなす管路へ送出されようとする水、と直接接触しない箇所となっており、電極付近の水の入れ替りが生じつつも、水の流れは緩慢であり、電極へのスケール付着が水の流れで抑制されることはなく、スケール成分を含む水を電極周囲の通電が生じる範囲に順次位置させて電気分解の影響を与えられ、電極に効率よくスケールを付着させることができる。
【0054】
また、この電極31、32が、下部水槽53からの水のブローダウンの際に排水を行う排水口53aの上側に配設されることで、電極の極性を反転して脱落したスケールは、水中を落下して前記スケール受部としての下部水槽53底面の排水口53a付近に溜り、自動的にブローダウンとして下部水槽53内の水がこの排水口53aから排水される際に、水と共にスケールも排水口53aに流入させ、下部水槽53外へ排出される仕組みである。なお、前記電極31、32の形状や各電極同士の配置関係は前記第1の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0055】
前記通電制御部33は、前記第1の実施形態同様、前記ピーク成分として所定時間幅のパルスが所定周波数で繰返される波形をなすような直流の通電を電極31、32間で実行すると共に、通電開始から所定時間経過後に電極31、32の極性を反転させ、この反転状態をしばらく継続させた後、電極31、32の極性を元に戻す一連の過程を繰返し実行するものであり、通電における繰返しパルスの周波数を調整したり、パルスのデューティー比を調整する、パルス幅変調(PWM)の制御で電極間での通電状態を変化させる他、電極の極性の反転に係り、反転のタイミングと反転状態の継続時間を調整するなどして、
スケールの電極への付着や水中のスケール成分の中性化の度合を、水質や水の用途に応じた適切なものに調節する仕組みである。
【0056】
そして、通電制御部33は、冷却塔における各種パラメータ、例えば、前記導電率測定手段35で測定された導電率の他、冷却塔の循環水量に応じたブローダウンの水量、スケールの剥離サイクル等に基づいて、通電の実行状態、すなわち、PWMのデューティー比、電極の極性反転のタイミング等を最適値に調整する。
【0057】
例えば、導電率については、前記通電制御部33は、下部水槽53に配設された前記導電率測定手段35で測定された下部水槽内の循環水の導電率があらかじめ設定された値となるように、通電における前記ピーク成分の出現周期、すなわち繰返しパルスの周波数を調整したり、ピークの期間とピークでない期間との比、すなわちパルスのデューティー比を調整する、パルス幅変調(PWM)の制御で電極間での通電状態を変化させ、例えば循環水の導電率が設定値より高い、すなわち水中のスケール成分が多い場合には、導電率がより低い適切な範囲内の値となるように調整してスケールを電極に付着させる。
【0058】
次に、前記構成に基づく水処理装置を用いた冷却塔の使用状態について説明する。通常の冷却塔運転状態では、熱交換媒体として冷凍機や空気調和機器等で熱を吸収し、温まった冷却対象の循環水が所定の循環経路から取出されて冷却塔50に戻ると、循環水はまず冷却塔50内の配水管路54に入り、循環水はこれを経由して上部水槽52へ向うこととなる。
【0059】
水処理装置30から上部水槽52に達した循環水は、所定時間で底部の各孔を通過し、下方の熱交換部51へ向けて滴下される。この上部水槽52から滴下され、熱交換部51に達した循環水は、熱交換部51をなす充填材間の各隙間に進み、充填材に沿って流下しつつ、この熱交換部51に対してファン55の誘引により横方向に導入、通風される外部の空気と接触する。循環水は、主に空気と循環水の温度差に伴う熱伝達(顕熱)による冷却作用、及び、循環水の蒸発熱(潜熱)による冷却作用により冷却される一方、熱交換により空気は逆にその温度を上昇させることとなる。こうして循環水は熱交換部51で冷却された後、下部水槽53に達して回収され、また、熱交換部51を通過した空気は、ファン55で排出され、そのまま外気に拡散することとなる。
【0060】
下部水槽53には水処理装置30の電極31、32が存在しており、下部水槽53に溜った循環水に浸漬されたこれら電極31、32に対し、通電制御部33が電極31を陽極、電極32を陰極として通電を行うことにより、電極31、32周囲の水中で電気分解が起り、スケール成分は陰極側に移動して陰極である電極32の表面に付着する。こうして電極32表面にスケールを付着させ収集することで、循環水はスケール成分を除去され、また除去されない分も中性化されることとなる。循環水は熱交換部51から下部水槽53に継続的に流下すると共に、下部水槽53の出口から循環経路の管路に送出されることで、下部水槽53内の水は静止せず流動しており、電極付近の水も適度に入れ替って次々にスケール成分を除去される。
【0061】
前記第1の実施形態と同様、通電制御部33による通電は、極短時間幅のパルスが例えば1kHz〜1GHzといった高い周波数で繰返される波形をなすような直流で実行されていることで、循環水中では、極性の大きいカルシウム等のスケール成分だけでなく、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分も効率よく帯電させられ、電極32に付着させて循環水から除去できる。
【0062】
通電状態で所定時間、すなわち、通電開始から、電極32表面に付着したスケールが電極31、32間の隙間でそれ以上は付着しにくい量に達していることが予測される時期ま
での、循環水水質により必要に応じて調整可能な時間、が経過した後、前記第1の実施形態同様、通電制御部33は電極31、32の極性を反転させる。すなわち、電極31を陰極に、電極32を陽極として通電を行う。この電極31、32の極性反転により、スケールは電極32から脱落し、下部水槽53内の循環水中を落下して、下部水槽53のブローダウン用の排水口53a付近に溜る。そして、下部水槽内の水がブローダウンで排水口53aから排出される際に、排水口53a付近にあるスケールは水の流出の勢いで排水口53aに流れ込み、スケールも水と共に下部水槽53外に排出され、冷却塔外でまとめて廃水処理されることとなる。
【0063】
極性反転状態とされた電極31、32については、十分にスケールが電極32から脱落した状態となるだけの時間、例えば1時間程度経過後、通電制御部33は電極31を陽極、電極32を陰極として通電する通常の極性非反転の状態に戻し、水中のスケール成分をスケールとして陰極である電極32に付着させる状態とし、こうした通電の過程が繰返し実行される。
【0064】
一方、下部水槽53に溜った循環水は、水槽出口から再び循環経路に入り、熱交換媒体として冷凍機や空気調和機器等で熱を吸収した後、配水管路54に入って前記過程が繰返される。下部水槽53での通電により、循環水中のスケール成分が中性化されていることで、スケール成分を含んだ循環水が循環経路の各部に達しても、スケールが析出、付着することはない。
【0065】
このように、本実施形態に係る水処理装置では、電極31、32を冷却塔50の下部水槽53内に配設し、スケールを電極32に付着させて除去すると共に、水中のスケール成分を中性化して冷却塔50の管路や熱交換部51等をはじめとする水の循環経路でスケールとして析出しにくくすることにより、冷却塔や冷凍装置等に水が循環していく中、水中のスケール成分を電極に付着させることで循環経路各部を流れるスケール成分の量を大幅に低減させられると共に、スケール成分の中性化でスケール成分が循環経路各部でスケールとして析出して悪影響を与えることがなくなり、水の流れをスムーズにして損失を抑えられることに加え、熱交換部分での熱交換効率の低下を避けられる。また、薬液を使用せずに循環経路各部でのスケールの発生を抑えられ、メンテナンスの手間やコストを抑えられる。
【実施例】
【0066】
本発明の水処理装置を、冷却塔の循環水を処理対象として動作させ、スケールの除去性能等について検証、評価した。
【0067】
具体的には、前記第1の実施形態の場合(図2及び図3参照)と同形状(以下、Aタイプと呼称)の電極と、第2の実施形態の場合(図6ないし図8参照)と同形状(以下、Bタイプと呼称)の電極をそれぞれ用いて、前記第3の実施形態で示したように、電極を冷却塔における下部水槽に配設して、繰返しパルス波形の直流通電を電極間で実行し、また所定時間ごとに電極の極性反転期間を設けるようにして、下部水槽内の冷却塔循環水からスケールを析出させ、最終的に電極から落下して集められたスケールの量を測定する。Aタイプの電極を用いた場合については、スケールの成分についても分析を行い、他の手法との比較、評価を実施した。
【0068】
まず、同一使用条件とした二つの冷却塔の一方にAタイプの電極を用い、他方にBタイプの電極を用いて、それぞれについて、パルス周波数を100kHz、パルスのデューティー比を0.9(ON:OFF=9:1)として連続23時間の通電と1時間の極性を反転させた通電を交互に繰返して15日間動作させ、スケールを収集した。収集されたスケールの量(1日あたりの平均値)を、表1に示す。ただし、Aタイプの電極における陰極の表
面積は1382cm2、Bタイプの電極における陰極の表面積は4800cm2である。また、A、Bいずれのタイプも、電極材質は試験用としてSUS304を用いている。
【0069】
【表1】

表1より、いずれの電極の場合も、適切にスケールを収集できているが、Aタイプの電極を用いた場合より、Bタイプの電極を用いた場合の方で、収集されたスケールの量は多くなっている。しかし、電極の面積はAタイプの方が大幅に小さくなっているため、収集の効率はAタイプの方が良いといえ、Bタイプの電極の場合に比べ、Aタイプの電極の場合には、通電が対向させた電極間だけでなく、その電極の周囲に存在する極性の異なる他の電極との間でも行われやすい分、スケールの析出の効率が向上していると考えられる。
【0070】
こうしたスケール収集を行った15日間の動作中における、下部水槽内循環水の導電率とpHの測定を、Aタイプの電極を用いた場合と、比較例として本発明の水処理装置を設けない以外は同一使用条件の冷却塔の場合とについて実施し、結果について比較、評価した。各例での導電率とpHの測定値を、表2に示す。ただし、15日間のうち、9月11日、12日、18日ないし20日は都合により測定を省略した。
【0071】
【表2】

表2より、比較例の何も処理を行わない場合と比べて、処理を行った場合の導電率は低くなっており、またpHもより中性側に変化しており、水中のスケール成分が減少し、中性化されていることがわかる。
【0072】
次に、Aタイプの電極を用いた場合について、収集されたスケールの成分分析を行った。また、比較例として、冷却塔の外の配管途中に設けられる、従来型の電気分解処理によりスケールを集めて回収除去する装置で収集されたスケールについても、同様に成分分析を行った。得られた代表的な酸化物スケール成分の酸化物スケール全体に対する各質量比を表3に示す。なお、比較例の従来型の装置は、冷却塔外の容器中の電極間でパルス状でない単純な直流通電を実行し、所定時間ごとに電極の極性反転期間を設けて、スケールを収集するものである。
【0073】
【表3】

表3に示したように、代表的なスケール成分であるCaOやMgOの量に対するSiO2の量の割合は、Aタイプの電極を用いた本発明の例の方が、比較例より大きくなっており、従来の手法に比べて、シリカスケールを効率よく収集し、カルシウム等のスケール成分に近いレベルまで収集できることがわかる。
【0074】
これらから、冷却塔下部水槽で本発明の水処理装置を使用することで、循環水中のスケール成分を収集できると共に、水中のスケール成分を中性化し、水の流路となる各部へのスケール付着防止が図れ、また、極性の大きいカルシウム等のスケール成分だけでなく、電気的に中性であるシリカ等のスケール成分も効率よく電極に付着させて循環水から除去できるなど、適切に水処理が行えることは明らかである。
【符号の説明】
【0075】
10、30 水処理装置
11、12、31、32 電極
13、33 通電制御部
13a 下枠部
14 スケール受部
14a バルブ
15 排水路
16、17、18、19 電極
21、22 電極
23 電極座部
35 導電率測定手段
50 冷却塔
51 熱交換部
52 上部水槽
53 下部水槽
53a 排水口
54 配水管路
55 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の陽極と陰極の両電極間における通電で一方の電極表面にスケールを付着させて捕捉し、水中のスケール成分を減少させる水処理装置において、
前記電極間で、所定周期で繰返し現れるピーク成分のある直流の通電を実行する通電制御部を備えることを
特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の水処理装置において、
所定間隔で対向する陽極と陰極の二つの電極の組を、所定の配置基準軸を中心として回転対称となり、且つ異なる組で並んで隣合う電極同士は互いに異なる極性とされる配置として複数組並べて配設されることを
特徴とする水処理装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の水処理装置において、
前記電極の下側に配設され、開閉制御されるバルブを介して排水路に接続されるスケール受部を備え、
前記通電制御部が、電極間への通電開始から所定時間経過後、電極の極性を反転させ、電極に付着したスケールを脱落させることを
特徴とする水処理装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の水処理装置において、
通電される水の導電率を測定する導電率測定手段を備え、
前記通電制御部が、前記導電率測定手段で測定された導電率があらかじめ設定された値となるように、前記電極間での通電状態を調整することを
特徴とする水処理装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の水処理装置が、下部水槽における所定箇所に前記電極を下部水槽内の水に浸漬状態とされて配設されることを
特徴とする冷却塔。
【請求項6】
前記請求項5に記載の冷却塔において、
前記電極が、下部水槽からの水のブローダウンの際に排水を行う排水口の上側に配設され、
下部水槽から自動的にブローダウンとして排水される水と共に、電極から脱落して排水口付近に位置するスケールを排水口に流入させ、下部水槽外へ排出することを
特徴とする冷却塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−161760(P2012−161760A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25030(P2011−25030)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000164553)空研工業株式会社 (28)
【出願人】(306033575)空研冷機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】